仮面ライダーバトルロワイヤル THE NEXT Version.7at SFX
仮面ライダーバトルロワイヤル THE NEXT Version.7 - 暇つぶし2ch650:名無しより愛をこめて
08/08/01 10:44:51 DuncU2za0



651:◇deggScNisI(代理)
08/08/01 11:10:54 DuncU2za0
「いや、風間さ」

駅内部に戻り、デネブの眠る場所をなんとも言えぬ表情で通り過ぎ、ホームで電車を待って数十分。
ようやく来た電車に乗り込む加賀美と風間と、ジャングラー。

「…何か?」
「…何でも無い」

貴重な移動手段なのだから手放すわけにはいかないのはわかるが、電車の中にバイクというのは違和感丸出しだ。
ジャングラーを固定させると風見は手すりに寄りかかり、じっと目をつぶる。
加賀美も風見とさほど離れていない座席に腰を下ろし、一息つく。
簡素なメロディーが流れ終わるとドアが閉まり、電車はゆっくりと動き出す。
二人が乗り込んだのは大学方面へと北上していく路線。
加賀美はてっきり人が集まりそうなショッピングセンターを目指すものと考えていたからこれには面食らった。

(風間の奴…何考えてるんだ?)

目を閉じ、電車の揺れに身を任せる風見の顔からは何もわからない。
やはり何か間違えてしまったのではないか、強引にでもやはり止めるべきだったのでは?


652:◇deggScNisI(代理)
08/08/01 11:11:39 DuncU2za0
顔を落とす加賀美の目にふと、ジャングラーが目に入る。

(鍵、差しっぱなしじゃないか…)

再び風見の顔を見る。じっと目をつむるその姿は寝ているようにも見える。

(悪く思うなよ…)

音を立てないようにゆっくりと立ち上がり、差し込まれたままの鍵を引き抜き、懐に仕舞いこむ。
これで少なくともジャングラーを自由に扱う事はできないはずだ。罪悪感が加賀美を襲うが、手段は選んでいられない。
風見は気付く様子も無く目をつぶったままだ。

(で、結局風間はどこに向かうつもりなんだ?)

座り込んだ加賀美はこの電車の行く先をぼんやりと案じていた―


653:◇deggScNisI(代理)
08/08/01 11:12:32 DuncU2za0
*   *   *

バダーは畦道を走らせながら唇をゆがませる。
さきほどの男といいこのバイクの元々の持ち主といい…獲物に対して困る事はなさそうだ。
そしてその獲物はどれも、強い。一筋縄ではいかない相手なだけに轢き殺せた時の快感は想像するだけで身震いする。
他にはいないのか?他の獲物は。もっともっとと子供が親にせがむ様に、純粋にバダーは獲物を求めてバイクを走らせる。

ある程度走らせると整備された道路が目に入る。道路に進入していくと徐々にハリケーンが本来の速度を取り戻していく。
自由に走り回るハリケーン。自分の愛用のバイクであるバギブソンとは違う新鮮さがそこにはあった。
道沿いにずっと進んでいくと少しずつ人工的な建物が増え、施設が近い事を悟る。
少し速度を落とし、地図を確認しながら進んでいく。途中で男の死体を見かけたがデイパックも近くになさそうなので大した価値は無いと判断し、先を進む。
しばらく走らせると目的の場所を探し当てる事ができた。やれる内にやっておくべきなのだ、こういうことは。
コインをピンと弾きながら、バダーはハリケーンに給油する。少しずつハリケーンに生気が戻っていく、そんな錯覚さえ覚えてしまう。

給油を終え、次の行き先を考えていたバダーに僅かながら聞こえる駆動音。

「でんしゃ、か」

ハリケーンに跨り、駅へと走り出す。電車はここまで来る途中にも走る様子は見てきたし珍しいとは思わない。
だがマップにも載っている様な大型の駅周辺になら或いは獲物がいるのではないか?そんな期待を込めてバダーはハリケーンを走らせた。



654:◇deggScNisI(代理)
08/08/01 11:13:10 DuncU2za0
しかしほんの少しだけ、遅れた。駅に近づいた時には既に電車は動き始めていた。
チッ、と舌打ちし目を凝らす。もし乗客がいるのならば或いは見つけることができるかもしれない。
しかし駅から動き出す電車は北上する物と南下する物の二つ。それらを交互に見やるのだ。とても細部までは見ていられない。
だがかろうじて、北上する路線の電車に人影が見えた、そんな気はした。だが北上する道は元来た道を戻る事になり、新たな獲物を見つられる可能性は低い。
期待できるのは電車に乗り込んでいる、かもしれない獲物に少し前に対峙したのほほんとした男くらいだろう。
だが、南下した所で新たな獲物を見つけられる保障も無い、それならば。

実際の所はバダーはそこまで考える前に既にハリケーンを北上する電車へと向けていた。
獲物らしき者がいるのならば、そちらを追う。
獰猛な狩人はもしかしたら匂いを感じたのかもしれない、獲物の匂いを。


加速していく電車に追いつき、並走する。品定めするかのようにゆっくりと電車の様子を窺う。
後ろから一両ずつ、順々に。ほとんど前を見ないでも安定した走りが可能なのはやはりバダーだから、と言うしかないのかもしれない。
そして遂に見つける。ドアの窓からほんの少しだけ見える獲物の影。
獲物を見つけたのならば、後は捉えるだけだ。バダーは加速し、電車を追い越していく。
少し前に通った道だ。何があるかは当然記憶している。バダーは目当ての場所で右折し、止まる。
カンカンカンカンという音と赤い光が点灯し、遮断機が下りてくる。踏み切り、だ。
エンジンを唸らせタイミングを窺う。まだ遠い、あと少しあと少し。驚くほどの集中力で、バダーはその時を待つ。



ハリケーンを急発進させ、赤いマフラーを棚引かせ、踏み切りへと加速していく。
踏み切り内に電車が入り、通過していく。バダーは構わず加速し、飛び上がる―

          *   *   *


655:◇deggScNisI(代理)
08/08/01 11:13:43 DuncU2za0
突然の轟音に風見と加賀美は驚き、招かれざる侵入者を睨みつける。
ハリケーンの突撃によって開かれた大穴から風が容赦なく入り込み、バダーのマフラーをバサバサと揺らした。

「何だ、お前は…」
「そのバイクは…!」

加賀美は非常識すぎる乗り込みをしてきたバダーを警戒し、風見は自分の愛車が目の前にあるという事実に驚いていた。

「ほう、またあったな」

バダーは久々の再会に胸を躍らせる。
本来なら彼らは初対面である。だが加賀美が風間と風見を勘違いしたように、バダーも同じように勘違いしていた。

「そのバイクは私の物です。返してもらいますよ」
「ふん、やってみろ」

会話が成立していたのは勘違いしていたにしては、出来すぎだが。
バダーはハリケーンのエンジンを吹かし、ジャングラーの存在に気付く。

「…それは、バイクか」
「これも、私の「これは俺のだ!」…はい?」

風見の返答を遮り加賀美が前に出る。右手にジャングラーの鍵を持って。

「いつの間に…」
「悪い、ちょっと借りる」
「ふたりか…こうつごう、だ」

話は終わりだ、と告げるかのようにバダーはハリケーンを走らせる。

656:◇deggScNisI(代理)
08/08/01 11:20:13 n7DexNED0
狭い車内を破壊するほどの轟音と共にバダーが二人に迫る。
加賀美はジャングラーを起動させ立ち向かう。
二台のバイクが通れるスペース等車内にあるわけ…厳密に言えば無くは無かったがジャングラーでは無理な相談であった。
ハリケーンとジャングラーが衝突し、ギリギリと鍔迫り合いのように押し合う。
バダーが前輪を持ち上げ、仕掛けてくるが加賀美もそれに合わせるように前輪を持ち上げ対抗する。
空中で前輪同士がぶつかり合い、火花を散らした。
らちが明かないと判断した加賀美はジャングラーを加速させる為に少しだけ引くがそこをバダーに衝かれた。
前輪を支点にハリケーンを半回転させ、後輪でジャングラー共々加賀美を弾き飛ばす。

「いっつ!」

ジャングラーから弾き飛ばされた加賀美は座席の手すりに頭をぶつけ呻く。
バダーが加賀美を押し潰そうとハリケーンの矛先を向けるが、その眼前に風見のとび蹴りが炸裂する。
不意をつかれ、バダーは思わずハンドルを放し床に転がる。
変身していないのにライダー顔負けのキックを放った風見はそのままハリケーンに跨り、発進させる。

「ま、待つんだ!風間!」

加賀美が頭を抑えながら立ち上がり、風間を止めようとする。

「言ったでしょう。あなたには私は止められない、と」

風間は大穴を利用し、バダーが入ってきたのと同じように車内から抜け出す。
着地した際に生じた強い衝撃を凌ぎ、走り続ける電車を見つめる。

657:◇deggScNisI(代理)
08/08/01 11:21:07 n7DexNED0
開けられた大穴から加賀美が身を乗り出し、何か叫んでいるが電車はお構いなしに進んでいき、結局何と叫んでいたのか風見には分からなかった。

「さて…」

携帯を取り出し自分の現在位置を確認する。どうやらC-9にいるようだ。
悩み所かもしれない。
風見は脱出派の意図をつぶすつもりで研究所を目指す事にしていた。施設さえ破壊すれば首輪を解除するのはより困難になるはずだから。
だがそれも加賀美の協力があっての事。協力してくれるかどうかは微妙だったが少なくとも戦闘になれば戦力になるだろう、と期待はしていた。
その協力が得られない状況で単身研究所に侵入し、破壊できるだろうか?
放送の口ぶりから考えると、研究所内で首輪の解析をしている者は間違いなくいるはず。
返り討ちに遭う可能性は有り得る。だが研究所襲撃を遅らせると無駄に敵を研究所に集めてしまう事になるかもしれない。
様子を見るべきか、一気に突入すべきだろうか?
久々に味わう愛車の上で風見は一人、決断を迫られていた。

658:◇deggScNisI(代理)
08/08/01 11:21:33 n7DexNED0
【風見志郎@仮面ライダーTHE NEXT】
【1日目 昼】
【現在地:C-9 】
【時間軸:】THE NEXT中盤・CHIHARU失踪の真実を知った直後
【状態】: 疲労回復、全身打撲、中。両腕、腹部にダメージ大。
【装備】:ハリケーン 、ホッパーゼクター+ゼクトバックルB、デンガッシャー
【道具】:不明支給品(未確認)0~3。基本支給品×2セット、ピンクの腕時計、FOX-7+起爆装置(残り4)
【思考・状況】
1:殺し合いに勝ち残り、優勝してちはるに普通の生を送らせる。
2:ショッカーに対する忠誠心への揺らぎ。
3:葦原涼が死んでいなかったことに驚きと僅かな安堵。
4:研究所施設を破壊し、脱出派の意図をつぶす or 破壊は後回しにし、様子見にする。
5:いずれあの男(加賀美)と決着を付ける。
【備考】
※モモタロスの死を受け止め、何か複雑な心境です。
※ホッパーゼクターを扱えます。
※FOX-7は基本的に、起爆装置を使った時にのみ爆発します。爆発の規模は使った量に比例します。
 起爆装置は全携帯が内蔵している専用アプリに起爆装置のコードを打ち込んで操作するもの。
 スイッチ式と時限式の両方の使い方ができます。

          *   *   *

659:◇deggScNisI(代理)
08/08/01 11:22:43 n7DexNED0
「風間の奴…くそっ!」

加賀美は床に倒れたままのジャングラーを起こし、風間のように車内から飛び出そうとするが―
バダーがジャングラーの前に立ち、妨害する。

「どけっ!見失う前に追わないと…」
「そいつをよこせ」

風を切るような回し蹴りが加賀美の顔面に迫るが、すんでの所でジャングラーから飛び降り事なきを得る。
バダーは悠々とジャングラーを起こし…鍵が無い事に気付く。

「探し物は、これかな?」

加賀美が右手に持った鍵をチラチラと揺らす。だがバダーに焦る様子は無い。

バダーは右手を突き出し、ゆっくりと横に動かす。奇妙な音と共に異質な姿へと変化していく。
脅威のライダー、ゴ・バダー・バ の本来の姿。見た目で共有しているのは赤いマフラーくらいか。

「なっ、ワームなのか!?」

バダーは加賀美を無視し左肘の装飾品をジャングラーの鍵穴に差し込む。
が、バダーが望んだ変化は訪れず、ジャングラーは無反応のまま電車に揺られていた。

「…いまいましい」


660:◇deggScNisI(代理)
08/08/01 11:23:53 n7DexNED0
ジャングラーから降り、加賀美を睨みつける。その睨みに臆する事無く加賀美は睨み返し―右手を突き上げる。

「いくぞ!ガタックゼクター!」

今の今まで加賀美の肩に止まっていたガタックゼクターはようやく出番か、とでも言うように身を震わせ、加賀美の右手に納まる。

「変身!」

電子音声が発せられ、マスクドフォームのアーマーが生成され、加賀美を戦いの神へと変えていく。
両拳を振り上げ、機械的に走り続ける車両の中、バダーと対峙する。

「カギをよこせ」
「断る!俺は風間を止めなきゃいけないんだ!邪魔をするなら、容赦はしない!」

両肩のガタックバルカンが火を噴き、イオンビーム光弾を連射する。
通常よりも威力、弾数ともに制限されているが狭い車内という状況のおかげで効果を…上げない。
強靭な脚力を生かし、壁や天井を地の如く扱いバダーは縦横無尽に跳び回る。
素早い動きに光弾の弾幕もついていけず、ダメージを与える事ができない。
勢いをさらにつけたバダーはドロップキックをガタックの顔面へと打ち込む。
バダーは身体を回転させ、足から床に着地し、地を這うような跳躍で後ろに吹き飛ばされたガタックを追う。
倒れこむ寸前のガタックの足首に接近したバダーが強烈な足払いで追い討ちをかける。

「ボソラグ(ノロマが)」

バダーが再び跳躍し、仰向けに倒れこんだガタックの顔面を踵で踏み付ける。
バキリと甲高い音が鳴り、バダーは勝負が決した事を確信する。

661:◇deggScNisI(代理)
08/08/01 11:24:21 n7DexNED0


バキリという音はガタックの身体全体から鳴り響き…

「キャストオフ!」

―CAST OFF―

アーマーの破片が股下からバダーを襲う。
身体に食い込んだ破片に悶絶しながらバダーは転がっていく。
それを見ながらガタックがゆっくりと身体を起こし、雄々しき二本の角も起き上がる。

―Change Stag Beetle―

「うぉぉぉっ!」

ガタックはなんとか起き上がろうとするバダーにエルボースタンプを豪快に背中に打ち込み、起き上がらせない。
そのままバダーの背中に座り込み、顎をしっかりと掴んで反り上げる。
体勢のせいでバダーの振り回される腕はガタックにダメージを与えない、このままいけばバダーの背骨や腰骨が破壊されるだろう。
だがこのままで終るはずもなく。自由な両足を反り上げ、ガタックの胴体を挟み込む。
強靭な脚力による胴締めはガタックの力を確実に弱め、バダーは顎のホールドから脱出した。
そのまま振り下ろすようにガタックの身体ごと両足を下ろし、後頭部を強打させる。

「あぐぅっ!」

変身前にも同じ場所を強打していたガタックにこの一撃はかなり効いたらしくしばらく立ち上がることができない。

662:名無しより愛をこめて
08/08/01 11:27:21 r7JkXQErO
支援

663:◇deggScNisI(代理)
08/08/01 11:27:23 n7DexNED0
バダーは再度跳躍し、杭打ち機のように何度も何度もガタックの身体を踏み付けていく。
踏み付けるたびにガタックの身体が震える。何かを掴むかのように伸ばされた腕は少しずつ力を失っていく。
トドメの一撃を振り下ろすため、バダーは跳躍し、狙いをガタックの頭部に定め、急降下。

「クロック、アップ!」

―CLOCK UP―

ガタックの周りを包む時間がゆっくりとした進みになる。
窓から見える景色はゆっくりと進んでいき、バダーはパラシュートでも付けたかのようにゆっくりと降りてくる。
その間にガタックは身体をゴロゴロと転がし、バダーから距離を稼ぎだす。

―PUT ON―

両肩のガタックバルカンのみを元に戻し、構え…時が元に戻る。

―CLOCK OVER―

バダーからみれば突然ガタックが残像のみを残して移動し、着地して無防備な自分を
いつのまにか装備していた両肩のバルカンで撃ち抜くという理不尽極まりない状況だ。
ほとんどの光弾を喰らい、身体の所々が痛々しく焼けている。

―CAST OFF―

ガタックバルカンが吹き飛ばされ、その下に隠された二本の聖剣が姿を現す。
ガタックが両肩のプラスカリバー、マイナスカリバーを掲げ、合体させる。

―Rider Catting―

鋏がバダーの胴体を挟み込み、イオンエネルギーを流し込む事によって完成するガタックの必殺技の一つだ。

664:◇deggScNisI(代理)
08/08/01 11:27:43 n7DexNED0
だがバダーはその挟み込む瞬間に飛び上がり、鋏の上に悠然と立っていた。

「嘘だろ!?」

行き場を失ったイオンエネルギーを両足に纏いながらバダーは驚きで硬直状態のガタックを蹴り上げる。

「ふんっ」

落ちてくるガタックを残りのイオンエネルギーと共に回し蹴りで吹き飛ばし、膝をつく。
ゴロゴロと転がったガタックはふらふらしつつもなんとか立ち上がり、両拳を構え、バダーを睨みつける。
バダーもそれに答えるように肩で息をしながら立ち上がり…側に転がっていたダブルカリバーを拾い上げる。
ダブルカリバーを解体し、プラスカリバーだけをガタックに投げつけ、マイナスカリバーを構えた。
ガタックもプラスカリバーを受け止め、対抗するように構える。

ゆらゆらと電車に揺られながら、ガタックとバダーは互いに機を窺う。
お互いかなり消耗し、もう長く戦闘することは不可能だ。お互いが、お互いを理解していた。

665:名無しより愛をこめて
08/08/01 11:27:53 DuncU2za0




666:◇deggScNisI(代理)
08/08/01 11:29:46 n7DexNED0
ガタン、と電車が大きく左に傾く。それを合図にガタックとバダーはそれぞれの得物を―投げつけた。

バダーはマイナスカリバーを投げつけると同時に膝を抱え、縦に回転しながら跳躍する。
ガタックはプラスカリバーを投げつけると同時に身体を横に捻り、横に回転しながら立ち向かう。


投げつけたお互いの得物がガシャンと音を立てて床に落ちる―


バダーはまるでバネを解放するかのように身体を引き伸ばす。
ガタックと目が合った。
右足を突き出し、蹴りこむ。脅威のライダーとしての誇りをのせて。


1、2、3とスイッチを順番に押し、ゼクターホーンを起き上がらせる。
バダーと目が合った。
ゼクターホーンを倒しこみ、蹴りこむ。戦いの神としての意地をのせて。


形は違うが二人の技はまさに…


―Rider Kick―


          *   *   *

667:◇deggScNisI(代理)
08/08/01 11:30:18 n7DexNED0
永遠にも一瞬にも思えるエネルギーのぶつかり合いの果てに、二人は吹き飛ばされた。

衝撃で変身の解けた加賀美はバダーの姿を探すが見当たらない。
だがバダーが侵入してきた時に開けた穴の縁に肌色の何かが見えた。
バダーも加賀美と同じく衝撃に吹き飛ばされ、変身が解けていた。

穴の外は目まぐるしいほど景色が変わり、少なくとも生身のまま飛び出せば無事では済まない事を物語る。
縁を掴む手が離れてしまえば自分は死ぬ、そういう状況にも関わらずバダーの表情は普段のままだった。

加賀美は躊躇う。ここで手を差し出し、助け上げる事は間違いなのでは?
この男はワーム…じゃないにしても人間とは明らかに敵対している生命体だ。
それならばいっそ…そう考えている間にバダーの手が離れた。

瞬間、無意識の内に加賀美はバダーの手を掴み、間一髪でバダーの身体が地面と衝突する事は無かった。
だがバダーの身体は未だ車外に放り出されており、加賀美が手を離せば、バダーは死ぬ。

その状況でバダーが笑っていたのが、加賀美の神経を逆撫でした。

「馬鹿野郎っ!」

大声で叫び、どこにそんな力が残っていたのか不思議なほどの勢いで、バダーを車内に引きずり込む事に成功した。

668:◇deggScNisI(代理)
08/08/01 11:30:36 n7DexNED0
肩で息をし、もはやどう足掻いても動けないという加賀美の胴体をバダーが軽く蹴りこむ。
加賀美の懐から一つの鍵が転がり落ち、バダーはそれを拾い上げるとジャングラーの元へと歩いていく。

待て、そう口にしたいが言葉にならない。口から漏れるのは熱い吐息だけ。

「ババババジャスバ、リント(なかなかやるな、リント)」

バダーは加賀美にそう言い残し、ジャングラーに乗って車外へと飛び出し何処へと走り去っていった。

残された加賀美は床の上で大の字で寝転がり、酸素を少しでも吸い込もうと大きな呼吸を続ける。
電車のスピードは徐々に緩まっていき、停車駅が近い事を加賀美に伝えていた―

669:名無しより愛をこめて
08/08/01 11:31:00 DuncU2za0




670:◇deggScNisI(代理)
08/08/01 11:33:30 n7DexNED0
【ゴ・バダー・バ@仮面ライダークウガ】
【時間軸:ゲゲル実行中(31-32話)】
【1日目 昼】
【現在地】C-7 道路
【状態】全身にダメージ、背中や腕部等に多少の火傷、右足にダメージ、グロンギ体に2時間変身不能
【装備】ジャングラー@仮面ライダーアマゾン
【道具】基本支給品 車両配置図 ラウズカード(ダイヤの7・8・10) ライダーブレス(コーカサス) 
【思考・状況】
基本行動方針:リントではなく自分の「ゲゲル」を完遂する。
1:クウガ、イブキ、ガタック、ドレイクはいずれ自分で倒す。
2:(スマートブレイン勢力も含めた)「ライダー」の探索と殺害。
3:グロンギ族に遭遇しても、このゲゲルを終え、ゲリザギバス・ゲゲルを続行する為に殺す。


※バダーは「乗り物に乗った敵を轢き殺す」ことにこだわっています。
 選択の余地がある状況ならば、上の条件に合わない相手は殺せる場合でも無視するかもしれません。
※「10分の変身継続時間」についての制限にはほぼ把握しましたが、
 「2時間の変身不能時間」についてはまだ完全には把握していません。
※用意されたすべてのバイクが出そろったため、車両配置図は詳細地図としての価値以外なくなりました。
※風見志郎の事を風間大介だと勘違いしています

671:◇deggScNisI(代理)
08/08/01 11:33:55 n7DexNED0
【加賀美新@仮面ライダーカブト】
【1日目 昼】
【現在地:B-7 研究所駅停車予定の電車内】
[時間軸]:34話終了後辺り
[状態]:激しい疲労と痛み、脇腹に刺し傷、頭部に打撲、肩に裂傷、背中に複数の打撲、右足にダメージ
   強い怒りと悲しみ。ガタックに2時間変身不能
[装備]:ガタックゼクター、ライダーベルト(ガタック)
[道具]:基本支給品一式 ラウズカード(ダイヤQ、クラブ6、ハート6)不明支給品(確認済み)2個。
[思考・状況]
1:他の仲間、特に桜井侑斗と合流する。
2:危険人物である澤田と真魚、バダー(名前は知りません)を倒す。
3:風間(風見)を探しだしたい。
4:風間(風見)といずれは戦うことへの迷い。出来れば戦いたくない。
[備考]
※デネブが森林内で勝手に集めた食材がデイパックに入っています。新鮮です。
※首輪の制限について知りません。
※友好的であろう人物と要注意人物について、以下の見解と対策を立てています
味方:桜井侑斗(優先的に合流)
友好的:風間大介、影山瞬、モモタロス、ハナ(可能な限り速やかに合流)
要注意:牙王、澤田、真魚、バダー(警戒)
※風間大介(実際には風見志郎)が戦いに乗っていることを知りました。


672:名無しより愛をこめて
08/08/01 11:35:37 n7DexNED0
648 名前: ◆deggScNisI[sage] 投稿日:2008/08/01(金) 11:04:27 ID:???
投下終了。仮投下してくださった方、支援してくださった方ありがとうございました。

それと今まで数々のご迷惑をかけ、本当に、申し訳ございませんでした。

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代理投下終了

673:名無しより愛をこめて
08/08/01 14:42:31 GUTP8gP00
>>672
投下乙です。加賀美と風見、ガタックとバダー、ジャングラーとハリケーン
といった、それぞれの立ち位置からくる対比が非常に面白かったと思います。
風見や加賀美は今後研究所絡みにどう関わっていくのか…非常に楽しみになりました、GJ!

674:名無しより愛をこめて
08/08/01 16:19:42 Vak0w9oy0
投下&代理投下乙です!
加賀美のまっすぐさと風見の揺れる思い、脅威のバダー。
それぞれがとても魅力的に書かれていて面白かったです。
しかし、電車内でのバイクファイトとは!意外性があって驚きました。
それも緊迫感が有ってナイスでした。三者三様、これからどうなるのか気になります。
GJでした!

675:名無しより愛をこめて
08/08/01 17:31:25 v/s41nGp0
    /: : : : : : : : : : : : :/三/       `ヽ三三三三三三三三三ハ
  ∧: : : : : : : : : : _/三/   _,. -    ソ三三三三ニニ三三三l
  /: : : : : : : : : _/.三/  /ィ´  ィニ=-、._  ノ三三三=/ ̄`ヽ三三ニl
. /三三三ニニ=ニ='´´  _,./   /三=r─--、``ヽ.三ニ{ /´ \ヽ三三|
 ヽ三l ̄ ̄ ̄´         /三ニ/    ,;   ヽ.三、| \_) ヽ}三ニ!
   ヽ|/ ̄``    、    ./三ニ/___         ∨ハ\\  ll.三ニ|
    f/^\__     ヽ 、ィ´三三=ノィtッ ̄フ       !三ハ L `〉 !.三ニ!
    |l=-、三三三7| 、\三ニ∠= ´ ´         ∨三、 | ノ j´三ニj
    ヽ|  \三三ニl ζ`ーニ≠、             ∨三!´  |´ ̄`\
     ヽ_ r-―'tッ´ヽ.! f´ \ `` ヽ、         .!三ハ __.ノ     \___
      ヽ  ̄ ̄ / l  |   ヽ    \        ∨_/ ´        \二フ`ヽ
       ヽ    / |  !    |     \       `´/           弋/
          ヽ   l  | |    '         \         ノ! .       /
        ヽ     ! `!   ‐--               / リ  l、     /
         ヽ    1  ` _,.-                   /  |  、    /
          \   `ー-' _ニ─ヽ         /   /    ヽ./
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             \  ` ̄ ̄ ̄´            /  /   /
              \  ヽ_ノ⌒``ヽ='    ./    ≠´
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676:名無しより愛をこめて
08/08/01 17:34:54 DuncU2za0
投下乙です。
加賀美VSバダーの緊張感溢れるバトル、不敵なバダーが魅力的でした。
愛車を取り戻した風見はこれからどう動くのか、今後が楽しみになりました。
面白かったです。GJ!

677:名無しより愛をこめて
08/08/01 21:51:04 n7DexNED0
投下乙です。
電車内でのバトルとは意外な発想。
結末も加賀美らしい、実にお人好しな、かつ皮肉でした。
ハリケーンを手に入れた風見の修羅の道が切ない。
GJ!

678:名無しより愛をこめて
08/08/01 22:52:00 7DUQwdxCP
ただいまより、◆N4mOHcAfck氏の代理投下を行います。

679:blood ◇N4mOHcAfck(代理)
08/08/01 22:53:11 7DUQwdxCP

「……………………」

 H-5―市街地の一角にてその存在を誇示する港エリア。
 一部を除き昏睡状態へと追い込まれた参加者達をこの島へと連行した船が、僅かの間だが停泊したのもここである。
 ゲームのステージとして定められた範囲の中央付近を流れる大抵の河川はここへと辿り着き、海へと流れ込む。
 ショッピングセンター付近を流れるそれも例外ではない。
 そんな港の隅で、力無く座り込む左手を欠いた異形の姿があった。

 人類にとって脅威と成り得る「アギト」の芽を刈り取る為に暗躍する、神からの使者「アンノウン」。
 その中でも最上位に位置する「エルロード」にあって、「風」を司る存在。
 それこそが異形―風のエルである。
 もっとも―風の如く天を舞う地位にあったその威厳も、今となっては文字通り地に落ちたと言っても語弊は無いだろう。
 手首から先を失った左手からは、今となっても血が少量ながらポタポタと音を立て地面に流れ落ちている。
 本来全ての参加者へと平等に支給されている筈のデイパックは彼の周辺には存在しておらず、代わりに黄金の剣が右腕に握られているだけだ。
 左手首の切断―風のエルの主が愛し、恐れるただの人間であれば、早急に処置をしなければならないレベルの負傷と言える。
 いや、彼が人外の異形であっても、切断という事象に加えて、複数要因の関わり方次第では即死に至ったのは間違いない。
 風のエルがこうして「生存」という名の二文字を掴んでいるのは、「彼の意識を何が支配していたか」という問題に起因していたと見るのが最良だろうか。



680:blood ◇N4mOHcAfck(代理)
08/08/01 22:53:35 7DUQwdxCP


 風のエルがこの港へと流されたのは、言うまでも無く彼が川へと投げ出されたからだ。

 まず、風のエルは何処からその川へ投げ出されたのか。そして、そこでどの様な事態に彼は関与していたのか。
 ショッピングセンター。店内外合わせて彼を除いても七人の参加者が犇めき合ったこの建造物内で、彼もまた交戦に入っている。
 店内三名の参加者の内、殿として風のエルに立ち塞がった人間の変身した仮面ライダー、ゼロノス。
 そのゼロノスを追い詰めたエルの左手首を狩った、人間で無ければ、アギトでも無いエルから見て正体不明の異形、ホースオルフェノク。
 左手首を切断された時点でエルが力尽きなかったのは、それら敵対参加者への闘争心が精神や思考のほぼ全域を支配していたからだろう。
 戦意を持っていなければ、そこで終わっていたかも知れない。
 しかし、それで傷が治まるなどということは決してない。継続された戦闘の最中も、エルは出血を続けていたのだから。
 やがてエルはゼロノスの連続攻撃によって、腹部を深々と切り裂かれる結果を迎えた。
 更なる痛覚に伴って発生した出血は、いかに強靭な精神を持った存在にであろうと「絶望」の二文字を叩き付けるのに十分な効果を秘めていたであろう。
 その様な状況において、何故エルが「絶望」や「死」に魂を売らず、「生」をその身に宿したままでいることができたのか―

「ククク……なるほど、な」

 エルは微苦笑を浮かべながら、左手首の断面を見やる。
 黒に近い赤で血塗られたその部位は、天高く昇った太陽の光を明るく照り返す白を基調としたボディと鮮やかなコントラストをなすのに一役買っている。
 その、血―そこにエルの生存の訳が示されていた。
 そう、誰もが「絶望」「敗北」「脱落」「死亡」といった言葉を脳裏へ浮かべるべき場面で、彼は「歓喜」していたのだ。
 激痛に悶え叫んだ裏で、血に飢えるモンスターと既に化していたエルは心からの喜びに身を支配させて。
 川へと落ちて意識を手放すその瞬間まで、己が血を啜る時を心待ちにしていたのだ。
 その執念に身を任せていたから、今こうして笑みを浮かべている。風のエルはそう判断した。



681:blood ◇N4mOHcAfck(代理)
08/08/01 22:54:05 7DUQwdxCP
 一連の思考整理によって、風のエルはようやく現在の己が立場を把握し終えた訳だ。
 左手の出血は既に止まっている。制限されているとはいえ、これも常軌を逸した者のなせる技だろう。

「これも、悪くは……ないな」

 口元に左手を這わせながら、エルは不敵に感想を漏らす。
 ホース・オルフェノクによって左手首を撥ねられ、ゼロノス・ゼロフォームに腹部を切り裂かれたあの時まで、エルは一つの事実を忘却の海から引き上げずにいたのだ。
 「仲間」こそ、この地においては持たない風のエルだが、彼もまた「強き者」だということを。
 意識を手放す直前までは、ただ新たな血を得た事実が思考回路を支配し、彼を生存に導いた。
 そして今、彼自身の血でコーティングされた左手首は、風のエルの想像を超えた濃厚さと、甘味を錯覚させている。
 まだ生きている人外の自分でこれなのだ。
 何処までも上を目指し、慕うべき主へと集団で抗おうと立ち上がる人間や、それに近い存在が息絶えた際に残す血液とはどれほどの物なのだろうか。


 欲しい。
 確かめたい。
 本当の絆、真実の強さを。

 そして理解したい。
 近付くためにも。
 主が人間共に抱く恐怖、愛情の意味を。

 その為にするべきことは何か―
 答えとなるべき選択は唯一つ。「戦うこと」だ。



682:blood ◇N4mOHcAfck(代理)
08/08/01 22:54:36 7DUQwdxCP
 最早エルの欲求は、敵を傷つけるだけでは満たすに至らない。
 殺さなければ始まらないのだ。欲求も確認も、理解も接近も、全て他者を殺さなければ成し得ない。
 邪魔なのは全力の発揮に歯止めを掛ける正体不明の制限。
 大体の間隔こそ分かるが、今現在はどの程度の時間が最後の戦闘から経過しているのか。
 制限の掛かる時間帯では、エルの持つ優位性は失われ、人間達と大差無い存在まで自身は落ちぶれる。
 その危険性から目を背けない程度には冷静になっている風のエルは、右の握力を強めながら立ち上がった。

 制限が掛かっている時の自分は、人間と大差がない。
 全力を出せる状態でも、傷ついた今の自分と互角かそれ以上に戦える参加者が複数存在している。
 今のエルはそれら突きつけられた現実を否定することをしない。
 実の所、否定する必要がない、が正しいか―

 本人は気付いていないが、今の彼は遂行することができるのだ。
 「敵集団が迎撃態勢を整える前に遠距離から大火力による奇襲」や、「なんらかのトラブルで混乱に陥った集団の中心に切り込み、白兵戦で殲滅」といったミッションを。
 パーフェクト・ゼクター。エルが右手に携える黄金の剣は、例え持ち主が首輪の制限を受けていようと、単体で前途のミッションを両立させるポテンシャルを秘めている。
 ……もっとも、見かけはただの大振りな剣でしかなく、マニュアル無しでその事実を認識するのには運を必要とするが。
 参加者においてパーフェクト・ゼクターの性能を知る者はゲーム開始当初二人のみで、今となっては唯一人だ。
 エルがその力の片鱗に触れることが出来たのは、偶然の産物としか表現のしようがないだろう。



683:blood ◇N4mOHcAfck(代理)
08/08/01 22:55:35 7DUQwdxCP
 パーフェクト・ゼクターの柄に設けられた赤、黄、青、紫の計四色にそれぞれ塗られた四つのボタン。その中の何れかを押すことで、電子音声が鳴り響き、トリガーを引くことで発光、力を発揮する。
 エルは無我夢中で行っていた、ショッピングセンター内での使用手順に誤りがないか、確認を開始。
 まずはボタンを押す。握り直した結果親指が引っ掛かったという理由から、正面から見た場合左下に位置することとなる紫色を押す。

「……これは違う、という訳だ」

 反応が、無い。黄色や青色も押して見たが、やはり同様の結果が生み出された。
 ここでエルは、赤色こそが前回使用したボタンだと確信を持つ。
 「正解」と思われる残された赤のボタンを押すという用意されたテンプレート的な考えよりも、剣について詳しく知りたいという欲求が勝った為か、風のエルは左腕でグリップを抱え込み右手先で刀身に触れ始める。
 弄ってみるが、水に流されて何処かが故障した、とは違うらしい。ならばやはり赤い―

 ―GUN MODE―

 突然の物音に、思わずエルは硬直を見せた。


684:blood ◇N4mOHcAfck(代理)
08/08/01 22:56:08 7DUQwdxCP
 それは戦闘中であれば即命失に繋がり、危険人物との邂逅中であれば、間違いなく隙を突かれるであろうことが容易に推測出来るほど、分かりやすいリアクションだ。
 心中で己の油断を叱り飛ばすと同時に、双眼は一つの事実を受け入れる。左腕から開放されたグリップが、折れ曲がっている―
 注意深く観察せずとも、「曲がるべくして曲がった」ことを推察するのは容易い。曲がった部分を戻すと、再び元の通り大刀の出で立ちが出現。
 しかし、「曲がるべくして曲がった」のならば必ず理由が存在する。風のエルは変化した外見からそれを導くことを即座に決定し、再度の形状変化を求めた。
 グリップが曲がった姿は、人間達の用いる射撃武器「銃」をどこと無く連想させ、トリガーは剣状だった先刻に比べて明らかに存在感を増している。
 そうは言うものの、完全に剣として成立していて、あれだけの威力を誇ったものが折れ曲がっただけで銃として利用できるものなのだろうか? 風のエルは自問を余儀無くされる。
 銃に見られるトリガーは、引いたところでエネルギーを刀身に纏わせるだけだ。パーフェクト・ゼクターが先の交戦で纏った輝きからも、風のエルは剣の腹から離れ出る気配を感じられなかった。
 実際問題、剣として利用するだけでも十分な成果が挙げられるだろう。エルはそれを良しとしないのだが。
 主が恐れる人間の技術が何処まで発展しているのか―それを確かめたいと思う。



685:blood ◇N4mOHcAfck(代理)
08/08/01 22:57:00 7DUQwdxCP
 現状エルが知るパーフェクト・ゼクターの情報は、以下の三点。
・グリップの変化で「ソード」「ガン」というモードにそれぞれ切り替わる。
・「ソード」の状態において、ボタン入力→トリガーを引く、という行程を踏むことで刀身が光で強化される。
・「ソード」の状態では黄・青・紫のボタンは反応しない。

 エルは迷わず、先程の三色に輝くボタンを力任せに押し込んだ。
 先程これらが反応しなかったのは、「ソード」ではなく「ガン」に対応しているからではないか、という見解が根拠だ。
 今度こそ、という思いが先行したものの、やはり結果は変化を見せない。
 続けて指は赤のボタンへと駆けた。他三つが共通して「間違い」なら、無試行とはいえおそらくは「ソード」の「正解」もまた共通している筈―

 ―KABUTO POWER―

 当たりだ。安堵が一時的にエルの体を駆け巡る。続けて、視界をフル活用しながら周囲を探索。


686:blood ◇N4mOHcAfck(代理)
08/08/01 22:57:17 7DUQwdxCP
 もしパーフェクト・ゼクターが射撃兵装と化したのであるならば、闇雲に空へ先端を向けて撃つ訳にはいかない。
 威力を確認するのに適した、手頃な的が欲しいと考えるのは道理だ。
 そしてその希望は、頑丈に閉じられた扉を持つ小倉庫という形で叶うことになる。一度己の手で開けようと試みるが、全く開く気配が感じられず。
 待機音が鳴り響く中で、ゆっくりと銃口として機能するであろう先端を倉庫の扉に向け距離を広げていくエル。
 右手でしっかりと握ったグリップのトリガーに指を引っ掛け、左腕の間接周辺を抑えとして狙いを定め。

 ―Hyper Cannon―

 トリガーを引く音、「ハイパーキャノン」と技名を公表する電子音声、以前は刀身の全体を纏っていたエネルギーが先端に集中する音。
 それら三様の音色全てが次の瞬間向かうのは、頑強な倉庫の扉だ。
 爆発。エルの視界の正面に位置した扉が一瞬見えなくなり、次の瞬間にはその残骸がまるで、紙吹雪の様に舞う。その外観が段々と遠くなっていった様に思えたのは、反動で思わず後ずさってしまった為だろう。
 刹那、爆発、炸裂、倉庫内の物音―組み合わさった奇妙な複合音が空気を震わせ、最短ルートでエルの聴覚を捉えた。
 倉庫が想定以上に頑丈だった為か、完全に破壊とはいかなかった。それでも対人戦では十分過ぎる威力、射程を備えているのは明白である。
 更に、喜ばしい知らせが脳内に舞い込むのをエルは把握した。

687:blood ◇N4mOHcAfck(代理)
08/08/01 22:57:41 7DUQwdxCP
 エル自身の力は未だ使用可能な状況に戻っていないのを肌で感じるのに対し、最期の能力行使時期が重なっていた筈のパーフェクト・ゼクターは使用が可能―
 この事実から能力制限が個人個人に掛けられているものとエルは確信を持つ。
 詰まる所、能力が制限されていようとパーフェクト・ゼクターの行使には何の問題も存在しない。
 勿論接近戦は、体の強度が強制劣化させられている制限状態の場合リスクが伴うが、先程の砲撃を駆使した戦いならばそれをもカバーできる。

 エルは中破した倉庫へと歩を進めた。厳しい目つきを崩してはいない。が、内心ではほくそ笑んでいる。
 材質不明の頑強「だった」扉の破片を踏みしめ、窓の存在しない薄暗い室内へと入り込む。
 そうは言っても、パーフェクト・ゼクターの黄金が目立つ程度には光が入り込んでいる。
 扉を突破した閃光は、向かい側の壁は破壊出来なかったらしい。跡が付いているものの、そこまでだ。
 ただ黙々とひしげたケース群や、衝撃でバランスが崩れて中身を飛び散らせながら崩れたダンボールをその目に捉えるエル。
 大方、島外から島内の各施設へ輸送される品々の保管庫、とでも言うべきだったのだろうか。
 転がってきた小瓶を右足で蹴り払うと、既に皹の入っていたそれは簡単に音を立て割れる。
 その過程を眺めていたエルは、他にも似た瓶が多数散乱していることに気付く。
 更に――灰。既に蓋が開けられていたいくつかの瓶の付近に、灰がある。密閉されていた為か、山となった形は崩れていない。
 ここで死んだ参加者がいたのだろうか? エルは一瞬頭を捻るが、直に思考からそれを排除する。
 これからの戦いに役立つ様なものは確認されず、灰などあったところで弱者が脱落したことを示すに過ぎないのだ。
 
「人間も、ここまで来たか……」

 改めてパーフェクト・ゼクターを臨むエル。この人間の技術結晶は、狂気に染まった神の御使いに何を拝ませるのか? それは彼の望む、人間の血だけが知ることだ。



688:blood ◇N4mOHcAfck(代理)
08/08/01 22:58:05 7DUQwdxCP
【H-5 港】【昼】
【風のエル@仮面ライダーアギト】
[時間軸]:48話
[状態]:頭部にダメージ。全身に大程度の負傷・行動原理に異常発生。左手首欠損。十分間能力発揮不可。
[装備]:パーフェクトゼクター
[道具]:なし
[思考・状況]
基本行動方針:優勝して帰る。 帰還した暁には、主に未知の力を報告。
1:「仲間」を持つ「強き者」を殺す。容赦する気はない。
2:人を殺すことに、快楽を覚えた。
3:人間の血から、主の人間へ抱く感情の一端を知りたい。
4:パーフェクトゼクター(名前は知らない)を有効活用したい。
[備考]
※デネブの放送、および第一回放送を聞いていません。
※首輪の制限時間に大体の目星を付け始めました。
※ショッピングセンター内に風のエルの左手首が落ちています。
※パーフェクトゼクターの使用法を理解しました。

689:名無しより愛をこめて
08/08/01 22:58:39 7DUQwdxCP
以上、代理投下終了です。

690:名無しより愛をこめて
08/08/01 23:02:00 n7DexNED0
投下、代理投下乙です。
エルの戦力が向上し、ますます大暴れが期待できそうです。
原作では一話怪人程度の出演のエルのキャラ立ても見事。
GJ!

691:名無しより愛をこめて
08/08/01 23:22:09 24sl784a0
投下、代理投下おつかれさまです。
エルの狂気がどんどん溢れていくのが見てて楽しい…っ!
GJです!

692:名無しより愛をこめて
08/08/01 23:52:31 kwlEYCBe0
投下乙です!
ハイパーキャノンを覚えて戦力強化されたエル……!これは惨劇の予感!
段々と思考が危なくなっていくエルが恐ろしい良繋ぎでした。
そして港の灰とは一体……?

693:名無しより愛をこめて
08/08/02 01:49:46 Wzd8JnfmO
>>641
V3のモチーフはトンボです。

694:名無しより愛をこめて
08/08/02 02:32:30 PX62+nct0
NEXT版だとホッパーVersion 3なんだしトンボよりもバッタ寄りなんじゃね?

695:名無しより愛をこめて
08/08/02 10:01:03 z5KCc2lG0
投下&代理投下乙です!
敗戦を重ねているエルですが、ここに来て強力な武器を手に入れましたね!
狂気に取り付かれ殺人衝動を膨らませていく様子にゾクゾクします。
これからの活躍に期待です!GJ!!

696:名無しより愛をこめて
08/08/02 10:42:51 8a88tb2bO
風のエルが冷静過ぎませんか?
既に獣の様な精神になっていると思ってたんですが。
パーフェクトゼクターを持つだけでも、ちょっと違和感がありましたが、分析となるかなりの違和感があります。

697:名無しより愛をこめて
08/08/02 13:05:00 FnsIXN+h0
>>696
同感です。
よって
4:前のストーリーとの間で重大な矛盾が生じてしまっている(心境変化が激しすぎる。唐突)
修正、破棄を要求します。
これ以上は議論スレで。


698:名無しより愛をこめて
08/08/02 13:15:30 PRbV+Kut0
>>696
パーファクトゼクターは前回拾っています。
それに、どう狂っているかは書き手の裁量であります。

なにより、仮投下時に矛盾以外の指摘はマナー違反です。
よって、この指及び>>697は無効することを提案します。

699:名無しより愛をこめて
08/08/02 14:16:08 +Lok/7Un0
>>698
>仮投下時
ここは本スレです。ここに投下された以上は本投下ですし、それに対して要求が出された以上
ここでそのような発言をすること自体マナー違反です。
意見があるなら議論スレに行くべきです。

700:名無しより愛をこめて
08/08/02 22:52:35 pzB21xc+0
ルールを守る為にルールで戦ってりゃ世話は無いな。

701:名無しより愛をこめて
08/08/03 19:45:01 gqoQG3BH0
荒らしは3rdスレでも作って、そこで荒らし同士仲良くしたら?

702: ◆SBNext.HzA
08/08/03 20:33:36 hpsz9Az/0
「blood」についての修正議論ですが、修正の必要なしというご意見多数につき
本投下のままで採用となりましたことをご報告申し上げます。
なお、このところ本スレでNG発議があっても議論スレで話し合いが始まらないケースが続きましたので
テンプレートにもあるNG発議の際に必要となる「議論スレへの誘導」を、より具体的に
「議論スレURLの明記と、議論スレへの論点をまとめた書き込み」と定めたいと思っています。
すでに議論スレに出た意見では、この線で異論は出ていませんが
他にご提案のある方は出来るだけ早く議論スレの方にご意見をお願い致します。

ところで今回の件に関して一つ、追加の報告がございます。

すでに議論スレでまとまった議論にしつこく食い下がるwillcomユーザーの方がいらしたことは
以前から議論スレをご覧になっていた方はご存知かと思います。
今回の状況を見てホストを確認したところ、willcomの方は上記の方を除いても
何人かいらっしゃることが判明しました。
名無しで主に意義を唱えられる方と◆.dVdJr06fs氏、そして◆cW9wr8uD4A氏です。

前回までのスクリプトではブラウザや携帯機種は取得していなかったのですが、
新しく移転した避難所ではその情報も取得しています。
その結果、名無しの方と◆.dVdJr06fs氏、および◆cW9wr8uD4A氏は
みなwillcomをご利用になっているだけでなく
全く同じ機種の携帯をご利用になっていることがわかりました。
なお、この機種はスマートフォンであり、この機種を使ってホストの変動するwillcomから2chなどに書き込むと
末尾が0で頻繁にIDが変動することも付記しておきます。
(続きます)

703: ◆SBNext.HzA
08/08/03 20:34:34 hpsz9Az/0
ところで、◆cW9wr8uD4A氏はPCからも避難所に書き込まれています。
今回、書き手さんご本人以外で「小さなもの」の破棄に唯一反対された方、および
NG発議者以外で唯一「blood」の修正に同意された方のホストが
◆cW9wr8uD4A氏がPCから書き込まれた時のホストと一致しました。
つまり、携帯機種のわからない以前のwillcomの方を除いても以下のようになります。
1:willcomかつ特定の携帯機種(スマートフォン)を使っている方
・「リング・オブ・ローズ」の修正に肯定的意見を出した方(議論スレ>>141,144,145)
・◆.dVdJr06fs氏
・◆cW9wr8uD4A氏
・「当スレ>>697(議論スレ>>195)」および意義に賛成なさる方(議論スレ>>204を除く。下参照)

2:PCからおなじホストで書き込んでいる方
・◆cW9wr8uD4A氏
・議論スレで「小さなもの」を問題なしとされた方(議論スレ>>184
・議論スレで「blood」が要修正というご意見の方(議論スレ>>204

このような状況ですので、簡単に何をどうアク禁と言うわけにもいきません。
できればまずこの件について◆cW9wr8uD4A氏のご説明を頂き、
その上で住人の皆さんの判断を仰ぎたいと思うのですが、いかがでしょうか。

なお、この件につきましては通常の議論と同様、
◆cW9wr8uD4A氏には48時間以内に議論スレでのお返事をお願い致します。
また、その後の皆様のご意見も含め、この件に関する議論はすべて議論スレをご利用ください。
本スレでの発言は状況を鑑み、荒らしと見なされて考慮から除外されますのでご理解頂きたく。

報告は以上です。

704: ◆SBNext.HzA
08/08/03 20:44:51 hpsz9Az/0
っと、肝心な誘導を忘れていました。
議論スレのURLは以下になります。既に議論スレでも今回の問題につき提起済みです。
URLリンク(riders.sphere.sc)


705:名無しより愛をこめて
08/08/03 20:55:00 qiM625ta0
本当にお疲れ様でした。
では、反応を待つとしましょうか。

706:名無しより愛をこめて
08/08/03 22:13:13 qLboDRXL0
スレリンク(slot板:458番)

458 名前:( ´∀`)ノ7777さん[sage] 投稿日:2008/08/03(日) 22:09:32 ID:tfljdaVh0
ここでクソスレ乙と書き込むと明日は大勝
スレリンク(sfx板)l50

707:名無しより愛をこめて
08/08/04 05:37:07 RVeZfojt0
282 :1/3:2008/07/31(木) 10:53:09 0
長い上に痛いです、申し訳ないです。
3年前に「真実の愛に目覚めた」と言って、プリンちゃんの元へ家出し、
離婚した元旦那から復縁要求のメールがパソコンに届いていた。

「(元旦那)です。プリンちゃんとの真実の愛は偽りの愛でした、ごめんなさい。
 もうすぐ、プリンちゃんとは離婚します、目が覚めるとあっという間に冷めました。
 プリンちゃんは一緒に居て分かったことなのですが、彼女は完璧主義者でした。
 女として、嫁として完璧過ぎた・・・完璧すぎると今度は疲れてきてしまうんだね。
 (私)がだらけてる、という意味でなはいよ、力を抜いてリラックス出来る
 笑顔を、家庭を君が支えてくれたって事に気がついたんだ。
 君は妻として嫁といして、素晴らしい人だと分かりました。
 来月になったら、一人身に戻れます。
 お金は前みたいにない、苦労をかけるかもしれない。
 でも、前みたいに幸せな新婚夫婦をもう一度、やらないかい?
 (私)には、酷い事をしたとわかっています。
 もう一度、夫婦2人、優しさに溢れた家庭に戻らないか?
 もし、このメールが君の瞳に届いたなら、是非前向きに考えて欲しい。」

長い文章省略したら、こんな感じの内容に・・・どこまで自分勝手な男なんだ。
完璧なプリンちゃんと末永く幸せにやって、こっちに係わってこなきゃいいのに。
というか、随分な言われように腹が立った、完璧主義な女で嫌がられるプリン、
その正反対の私、アホは自分の楽な方に楽な方に流れようとしてるだけじゃないか。
こっちはこっちで半年前に再婚してるし、アホと接触する気もない、むしろ嫌。
どうしようかなーと思ったんだけど、暑くてムシャクシャしてたのでついやってしまった

708:名無しより愛をこめて
08/08/04 05:39:06 RVeZfojt0
2 名前: 公共放送名無しさん 投稿日: 2006/11/26(日) 01:34:56.77 ID:4XLeFI5t
 A:煙草吸ってもよろしいですか?
 B:どうぞ。ところで一日に何本くらいお吸いに?
 A:ふた箱くらいですね。
 B:喫煙年数はどれくらいですか?
 A:30年くらいですね。
 B:なるほど。あそこにベンツが停まってますね。
 A:停まってますね。
 B:もしあなたが煙草を吸わなければ、あれくらい買えたんですよ。
 A:あれは私のベンツですけど。

3 名前: 公共放送名無しさん [sage] 投稿日: 2006/11/26(日) 01:36:37.55 ID:oRnUvIra
 B:あれがもう一台買えたわけですよ。

4 名前: 公共放送名無しさん 投稿日: 2006/11/26(日) 01:37:33.07 ID:NfCR39ul
 >>3
 引き下がれよw


709:名無しより愛をこめて
08/08/04 05:44:09 RVeZfojt0
ある日、泣き声がしゃくに障ったので妹を殺した、死体は井戸に捨てた
次の日見に行くと死体は消えていた

5年後、些細なけんかで友達を殺した、死体は井戸に捨てた
次の日見に行くと死体は消えていた

10年後、酔った勢いで孕ませてしまった女を殺した、死体は井戸に捨てた
次の日見に行くと死体は消えていた

15年後、嫌な上司を殺した、死体は井戸に捨てた
次の日見に行くと死体は消えていた

20年後、介護が必要になった母が邪魔なので殺した、死体は井戸に捨てた
次の日見に行くと死体は消えていなかった
次の日も、次の日も死体はそのままだった


710:名無しより愛をこめて
08/08/04 09:38:39 I8O0UUS3O
>>698
おいおい、俺は>>696だけどいきなりケンカ腰だねぇ?
ここは、仮投下じゃなく本投下じゃないのか?
矛盾以外の指摘はマナー違反って言ってるけど、>>697と俺は無関係だよ。
あっちは指摘かもしれんが、俺のは只の感想だよ。
只の感想にそんなに過剰反応されると、なにか疚しい事でもあるんじゃねえか?
って、勘繰りたくもなるよ。

711:名無しより愛をこめて
08/08/04 09:52:16 I8O0UUS3O
それから、このスレを建てた人かその取り巻きかはしらねえけど、ここは、誰もが閲覧出来るし、誰もが書き込める場だよ。
一部の人間が、組んで他の人間を排除する様な態度はやめてくれ。
そんな、気持は一切無いと思ってるかも知れないけど、傍目にはそう見えるから。
スレは、建てた人の物って訳じゃないんだよ。
また、荒らし扱いされるんだろうな。

712:名無しより愛をこめて
08/08/04 12:40:58 lMzkg+jy0
>>711
日本語でおk

713:名無しより愛をこめて
08/08/04 12:57:28 fJx2oaxy0
句読点の付け方くらいちょっとは考えて書き込めよな

714:名無しより愛をこめて
08/08/05 02:34:07 iZI2haL6O
>>712>>713
何を言いたいかは分かるだろ?
そんな返ししかできないって事は、内容的には反論できないって事か?


715:名無しより愛をこめて
08/08/05 09:03:05 hSb5xr450
>>714
日本語でおk

716:名無しより愛をこめて
08/08/05 14:37:58 WqqHEucu0
>>714
willcomさんご苦労様です
こっちはいいから議論スレに書き込んでくださいよw

717:名無しより愛をこめて
08/08/05 22:10:51 PVBnx81X0
実質的に崩壊したな、おめでとうw

718:名無しより愛をこめて
08/08/06 00:34:43 Nx+evIbY0
いい加減うぜえよ
荒らす奴等は勝手にライダーロワ3でも建てて、そっちいけ!

719:名無しより愛をこめて
08/08/06 16:53:49 tKWqausQ0
没ネタ一覧

モモタロスの死後に残された砂。
モモタロスの分まで闘うことを決意したハナはその砂をモモタロスォードに具現化し、固く握り締める。

死の間際。侑斗は時の運行とデネブをよろしく頼みながら、ゼロライナーのオーナー権限をベルトと共に託す。

乃木の力は強大。特に技コピーは無敵に思えた。
しかし、音撃の清らかな音までは邪悪な心を持つものには決して真似出来なかった。
極めつけはゼロノスの必殺技。
通常の必殺技をコピーさせたところを二連続フルチャージで迎撃した。

首輪のフラグ以外で考えてたのはこんなところかな。
首輪の考えは皆と合わなかったみたいだしね。
でも、これだけは一つ。
青い薔薇の灰化作用はオルフェノクには効かないんだから、オルフェノクをこのロワに参加させるには首輪に薔薇を仕込むだけでは不十分。
オルフェノクの力を弱める何らかの働きが必要で、それが他の参加者に能力制限がかかる理由と一致している。
その働きをもった薬に薔薇の花を浸したものがあって…
なんて考えていたのが懐かしい今日この頃。

720:名無しより愛をこめて
08/08/06 20:43:08 3zcMk+4/0
没ネタ、ね。
どうやら真性の電王厨だったみたいだな。
最初から電王贔屓の展開をやらかすために自作自演してたわけか。

で、今更没ネタをご披露くださるってのは、
住人が泣いて慰留するほどの傑作だと思ってるからだろうね。
ネタの善し悪し以前にあんなキンクリだらけの雑文でやられちゃ感動も何もないがな。

721:名無しより愛をこめて
08/08/06 21:14:08 ntaAAliH0
>>718
ご要望の品をお持ちしました
新ライダーバトルロワイヤル
スレリンク(sfx板)

722:名無しより愛をこめて
08/08/07 00:16:27 mYhcxKQl0
個人の没ネタ一つにそんなにいちゃもんつける方もどうかと思うけどな

723:名無しより愛をこめて
08/08/07 02:07:35 TtWAExmw0
雑分(笑)ためしに>>720の作品を読んでみたい

724:名無しより愛をこめて
08/08/07 03:31:45 tyk0fIHX0
プキウィキ

725:名無しより愛をこめて
08/08/07 08:58:35 +BYvZvq0O
>>720
なんでそんなに喧嘩腰なんだろうね?
自分の意見が無く、発言内容よりも発言者によって態度かえてんだろうな。
どうせ、仲間がいないと自分の意見も言えない馬鹿なんだから、だまってろって。

726:名無しより愛をこめて
08/08/08 19:15:13 nQLrLvF20
他ロワの話で申し訳ありませんが、告知させていただきます。

スレリンク(sfx板)
>>721の方に建てられた、上記の「新ライダーバトルロワイヤル」スレで、新たなバトルロワイヤルが始動しようとしています。
元はライダーロワ2アンチが建てたスレですが、そこから住人達で話し合い、現在は「特撮ロワ」という形で話が進んでいます。
勿論自分も最初は荒らしが建てたスレだと思っていましたが、ここで新たなロワを始めようとしている住人は、
ライダーロワをきっかけにしている人が多く、出来ることなら他のロワとも仲良くやっていきたいと思っています。
良ければまだここを知らない他の住人の方々にも参加してもらえればなと思い、告知させて頂きました。

現在の議論は、下記の3つです。

1.バトルロワイヤルの方針
 ライダー限定派
 特撮全体派
 平成ライダー限定派
 平成特撮全体派
現状では「平成特撮全般」という案が多数で、最も有力です。
しかし特撮と言っても幅が広いので、近年のスーパーヒーロータイム・ウルトラマン・ビーファイター系
などを主な参加者にするという流れです。

2.参加者の選考
次に、このロワの参加者を投票で決めなければなりません。
恐らくは1の議論が終わり次第、投票で選出されるという形になるものかと。

3.ルールに関しての議論
現在でもいくつかのルールは議論されていますが、まだ完成には程遠いものです。
参加者を選考すると同時に、ロワのルールも議論していければなと思っています。

以上の点に関して、議論中です。
興味のある方は、どうか議論にご参加下さい。

727:名無しより愛をこめて
08/08/08 22:29:59 iU120r/l0
>>726
ここのテンプレを無断拝借してるんなら、他ロワにそういう話題を持ち出す事自体が
マナー違反なのはわかるよな?
悪いがそういう事だ

728:名無しより愛をこめて
08/08/09 09:20:41 Ng4d/A270
どうでもいいじゃないか

729: ◆KaixaRMBIU
08/08/09 11:35:41 BuLvkZDW0
桜井侑斗、香川英行、木場勇治、海堂直也、十面鬼ゴルゴス投下します。

730: ◆KaixaRMBIU
08/08/09 11:36:43 BuLvkZDW0

 ― EXCEED CHARGE ―

 ブティックやCD専門店の並ぶショッピングセンターにて、男性の無機質な電子音が響く。
 電子音と共に赤い閃光を引きつれて、黒い影が駆ける。
 黄のバイザーと赤いラインを持つ黒い強化スーツの仮面ライダー。
 ファイズは道路を駆けて、空に浮かぶ赤い異形の怪人へと跳躍した。
「らぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
 ベルトよりチャージされたエネルギーは拳のパンチングマシン、ファイズショットに届き破壊の衝撃を生み出す。
 ファイズに変身した海堂は、そのまま赤い異形、ゴルゴスへとグランインパクトを振り下ろした。
「甘いわ!!」
 ファイズのグランインパクトをゴルゴスは両腕で受け止め、鬼のような形相でファイズの仮面を睨みつける。
 下半身の岩に生える十面の人の顔。うち一つは潰され、九つとなった顔面から炎が吹き出た。
「ぐっ、あちちち、熱っちー」
「そのまま焼け死ねい!!」
 殴った反動で地面に落ちていくファイズに向けて、ゴルゴスは炎を浴びせ続けた。

 ― FULL CHARGE ―

 電子音と共にゴルゴスの巨体を閃光が貫く。
 光の矢を撃ち放った緑のライダーは落ちるファイズを受け止め、ゴルゴスの正面に立った。
「私を忘れてもらっては困りますね」
 黄金の列車のレールを模したラインを持つ緑のライダー、仮面ライダーゼロノスとして香川は立ち向かう。

731:名無しより愛をこめて
08/08/09 11:37:47 4mJVuqhe0




732: ◆KaixaRMBIU
08/08/09 11:37:55 BuLvkZDW0
 彼の信念を持って、侑斗を生かすために。


「触んじゃねー」
 ファイズは乱暴にゼロノスの腕を跳ね除け、しっかりと地面を踏みしめる。
 明らかな拒絶の態度に、ゼロノスは仮面の下で怪訝な表情を浮かべた。
「あなたは木場くんの知人ではないのですか? 彼と私たちは協力体制にあります。
戦う際に力をあわせるのは妥当だと判断しますが」
「うるせー! てめーは仮面ライダーなんだろ? 俺は仮面ライダーを認めねえ!!」
 ファイズはゼロノスに背を向けたまま、ゴルゴスへと駆けていく。
 ゼロノスは冷静に思考しながら、ファイズ……いや、海堂の仮面ライダーへの嫌悪の原因を探る。
 ゼロガッシャー・ボウガンモードでゴルゴスを牽制し、神崎が引き起こしたライダーバトルを思い起こした。
 あの時ライダーバトルを遂行する意思を持っていたライダーは十一人。
 当時集めた情報によれば、手塚や城戸といった例外を除けばそれぞれ己がエゴでライダーバトルに乗ったのだ。
 悲しいことに、教え子の東條も含めて。
 もしも海堂が今まで出会ったのが神崎の選んだ仮面ライダーのような相手なら、彼の不信感も理解できる。
(つまり、彼を盾として扱うには、仮面ライダーへの不信を拭い去るのが先ということですね)
 ゼロガッシャーを組みかえて大剣とし、剣先をゴルゴスへと向ける。
 まずはゼロノスの力がゴルゴスにどの程度通じるか計る必要があった。
(場合によっては、桜井くんが使ったゼロフォームになる必要もありますからね)
 ゼロノスは再度ゴルゴスに攻撃を仕掛けようとするファイズに合わせて、斬りつけるべく街灯を蹴って跳躍の距離を稼いだ。
 ファイズに集中していたゴルゴスは、ゼロノスの接近に対する反応に遅れている。
 距離が後数メートルの時点で気づいたが、もう遅い。
「はあぁっ!!」
 ゼロノスはゼロガッシャーを横凪に振るう。ゴルゴスの下半身の岩に横一文字の傷が走った。
 傷の浅さにゴルゴスの頑強さを確かめ、続けて迫る火炎弾をゼロノスは両腕を交差して身体を庇う。

733: ◆KaixaRMBIU
08/08/09 11:38:46 BuLvkZDW0
 身体の炎を冷静に消し止め、ゴルゴスの力が並でないことを悟る。
(やはり、使うべきですね)
 視線を一瞬ゴルゴスに向けると、ファイズのほうを相手にしているのが見える。
 圧倒的力に翻弄されているファイズを冷静に観察しながら、ベルトのゼロノスカードを取り出し裏返す。
 侑斗がそうしたようにまた、ゼロノスとなった香川も赤い面が表になったゼロノスカードをベルトに差し込む。

 ― CHARGE AND UP ―

 雪のごとく淡く赤い光がゼロノスの身体を赤く染め上げていく。
 仮面ライダーゼロノス・ゼロフォームとなった香川は、ゆっくりと銃口をゴルゴスへと向けた。


「こざかしい!!」
 ゴルゴスは自身の身体を焼く光線を睨みつけて、忌々しげに吐く。
 先ほどは緑だった仮面ライダーは赤と変わっていた。地を走るファイズともども、倒せばいい。
 ゴルゴスの力は、自他とも認めるほど強い。押し切る。以前、ファイズとは戦っている。
 別のライダーが傍にいるとはいえ、二人の仮面ライダー程度相手にできることは既に経験済みだ。
 ゴルゴスはそのまま身体を浮かせた。
 巨体を活かした突撃で吹き飛ばす。ゴルゴスが猛スピードでゼロノスへと向かってきた。
「む……」
「死ねぇぇぇぇい!」
 轟音が響き、空気が震えた。ゼロノスはゴルゴスの突進に、
「なにぃ!!」
「何とか、受け止めることができたようですね」
 吹き飛ばされず、純粋な腕力で止めた。一瞬ゴルゴスは焦るが、すぐに余裕を取り戻す。

734:名無しより愛をこめて
08/08/09 11:39:18 4mJVuqhe0



735: ◆KaixaRMBIU
08/08/09 11:39:33 BuLvkZDW0
 なぜなら、身動きが取れないのは相手も同じ。ゴルゴスは嘲るように高笑いを続ける。
「ぐわっはっはっは! だが、キサマも身動きが取れない!」
「ええ、一人なら愚策だったでしょう。一人なら……ね」
 ゼロノスの瞳が怪しく輝く。ゴルゴスはゼロノスの言葉の意味を悟り、首を回した。

 ― EXCEED CHAGE ―

 ゴルゴスの本能に怖気が走る。反応が遅かったことに気づいたのだ。
 赤い光がゴルゴスの視界に入る。三角錐の赤いクリスタルのようなエネルギーがゴルゴスの身体を縛り付けた。
 顔の一つが潰されたあの技が迫る。ゴルゴスはどうにか身を捻り、クリムゾンスマッシュの打点をずらした。

「らぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 ドリル状のエネルギーをまとい、ファイズが赤い閃光となってゴルゴスの岩と化した下半身を貫いた。
 φのギリシャ文字が空中に浮かび、ゴルゴスの身体を炎が纏う。
 それでも、ゴルゴスの瞳は死んでいない。
「ぬうぁぁぁぁぁぁ!」
 咆哮と共に炎とφのギリシャ文字を砕き、ゴルゴスは眼下のファイズとゼロノスを睨みつけた。
 鬼のような形相が憤怒によって、さらに赤く染まる。
「キサマら……覚悟はいいな。血を一滴も残さず、殺してくれる……!!」
 ゴルゴスの岩に宿る九人の顔から砲撃が始まる。
 爆発に翻弄される二人の仮面ライダーを見下ろしながら、ゴルゴスは怒りに任せたままただ破壊を続けた。



 ショッピングセンターを抜け、廃墟に隠れたファイズとゼロノス。

736:名無しより愛をこめて
08/08/09 11:40:19 4mJVuqhe0




737: ◆KaixaRMBIU
08/08/09 11:40:46 BuLvkZDW0
 ようやく二人きりになれたとゼロノスは物陰から牽制しながら、同じようにフォンブラスターで牽制するファイズに話しかける。
「そろそろ私たちに協力をする気になりましたか?」
「だから言っているだろ。俺は仮面ライダーが大嫌いだって!」
「あなたが仮面ライダーを嫌うということは、相応の人物に出会ったのだと推察します。
しかし、私たちもあなた方オルフェノクの中の危険人物と出会っております」
「おめー、なにがいいたいっちゅーんだよ!」
「あなた方オルフェノクの中に、人間の心を保っているように、我々仮面ライダーの中にも英雄的行為を志す者もおります。
いかがですか? 私たちとの共闘、そう悪い提案ではないはずですが?」
「うるせー! あいつは……あいつは…………」
 気落ちするファイズの様子を見て、ゼロノスはショックが大きいことを悟る。
 ゼロガッシャーの引き金を引きながら、ゼロノスはファイズに視線を一瞬だけ向けた。
「そうやって、駄々をこねるだけで、あなたは仮面ライダーに無念を晴らせると思っているのですか?」
「んだと!」
「私はスマートブレインを打倒し、多くの人たちを救い出します。私の命は、そのための捨石にすぎません」
 ゼロノスの言葉に、ファイズが顔を上げる。
 確かな覚悟を感じ取ったのか、ファイズが押し黙った。
「あなたはスマートブレインを倒したくはありませんか?」
 ゼロノスの言葉にファイズは沈黙したままだった。
 わざとらしく、ゼロノスはため息をついて、呆れている様子を演出する。
「そうですか……あなたの気持ちは、ここで駄々をこねる程度にしか過ぎないのでしょうね」
 ゼロノスが告げ終えた瞬間、胸倉が掴まれる。明らかに怒りを示すファイズの視線を、涼しげに受け流した。
「もういっぺん言ってみろ……」
「何度も言う必要など、ありません。そろそろ出ましょう。
もし、あなたがスマートブレインを打倒する、という気持ちが本気なら……戦うというのなら、私が囮として出て行きます。
その結果生まれる隙をつくのもいいでしょう」

738:名無しより愛をこめて
08/08/09 11:41:07 4mJVuqhe0




739:名無しより愛をこめて
08/08/09 11:41:08 LvW+GX570
 

740: ◆KaixaRMBIU
08/08/09 11:41:35 BuLvkZDW0
「俺が出なかったら、どうする気だ!」
「その時は……私が死ぬだけです。結局はその程度の器、ということなのでしょう」
「そういう問題かっちゅーの!」
「……とはいえ、私は死にたくはありません。期待していますよ?」
 ゼロノスはもう言うことはないと物陰から飛び出し、光弾でゴルゴスの身体を射抜く。
 別に、死ぬつもりはまったくない。ファイズこと海堂を試しているのだ。
 今後、侑斗を守り抜く盾として相応しいか。ここで怯むのなら、用はない。この場で文字通り、ゴルゴスの攻撃を受け止める盾として使う。
 だが、覚悟を示し、飛び出してくるのなら……今後必要な戦力とする。
 これはゼロノスの命をチップにした賭けではない。海堂の価値を計る瞬間なのだ。
 ゼロノスは後方のファイズの気配を気にする。できれば、後者のほう、必要な戦力がありがたい。
 前者の使い捨ての盾は一度しか使えないが、後者なら仲間意識を持たせれば何度でも盾として使えるからだ。
 冷徹ともいえる思考。それこそが香川の考える英雄の理論。
 凡人の倫理はそこにはない。ただスマートブレインを潰し、ライダーバトルと似たこの祭りを終わらせる。
 鉄のように硬く、氷のように冷たい覚悟があった。



「はあ、はあ、はあ……」
 あちこちに被害が広がるショッピング街を抜けて、侑斗は赤い空を浮かぶ怪人、ゴルゴスを見つけた。
 肩にかけたまま持ってきたライフルを向けて、スコープを覗き込む。
 一条は自分たちを守るために命を落とした。金居は自分が信用せずに命を落とした。
 二人分の命が重い。だからこそ、侑斗は覚悟を持ってライフルの銃口を向ける。
 下は攻撃を受けるゼロノスが入る。香川が赤のカードを使っていることを確認して、自分の記憶が消えることも覚悟する。
 香川には赤カードを使うことによって、誰かが侑斗に関しての記憶を失うことを知らない。
 単純に、戦力の底上げとしか認識していないからこそ、使ったのであろう。

741:名無しより愛をこめて
08/08/09 11:41:40 LvW+GX570
 

742: ◆KaixaRMBIU
08/08/09 11:42:38 BuLvkZDW0
 自分の記憶を誰かが忘れることに心が痛みを訴える。だが、仕方ないと侑斗は思う。
 このバトルロワイアルを潰し、誰かを救うためなのだ。
 だから、侑斗は引き金を引く。ゴルゴスの気を引いて、フルチャージの一撃を打ち込む隙を作るために。
 侑斗の全身に反動が響き、弾はゴルゴスを掠めた。
 ゆっくりと、赤い異形がこちらを向く。
「桜井くん! なぜこちらに来たのですか!?」
「今です! 香川さん!!」
 言い終えて、侑斗の地面が爆ぜる。この隙に攻撃してくれ。
 侑斗は祈るが、身体が突き飛ばされて砲撃の衝撃から免れた。

「うあああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 侑斗の視界に、吹飛んでいく木場が眼に入る。
 また誰か、自分のせいで犠牲になったのだろうか?
 侑斗は悔しげにうつむいて、自分に、ゴルゴスに向けて怒った。



 ファイズは遠のいていくゼロノスの背中を見届けて拳をギュッ、と握った。
(わかんねえ……わかんねえよ……モグラ……)
 子供のように純真な瞳を向けるモグラの姿を思い出す。
 海堂が最初に出会った仲間。仮面ライダーを正義の味方だと本当に思っていた姿。
 無残に、仮面ライダーに首を落とされたモグラの姿と、正義の仮面ライダーを語る姿を交互に思い出す。

『うわ~すごいんだな、かいどーは。俺、尊敬しちゃうよ~』

743:名無しより愛をこめて
08/08/09 11:42:46 LvW+GX570
 

744:名無しより愛をこめて
08/08/09 11:43:29 4mJVuqhe0




745:名無しより愛をこめて
08/08/09 11:43:56 LvW+GX570
 

746: ◆KaixaRMBIU
08/08/09 11:44:05 BuLvkZDW0
『困ってる人は絶対に見捨てないし、助けを求める人がいたらどこへだって飛んでいくんだ』

(わかんねえけどよ……)
 うなだれているファイズの耳に、銃声が聞こえ現場へと顔を向ける。
 若い茶髪の青年と、海堂もよく知る木場勇治が姿を見せた。ゼロノスが明らかに驚いた態度をとっている。
 と、言うことは彼等はこの危険な地域に駆けつけてきたのだ。
「あの……馬鹿!!」
 ファイズが怒声を上げて地面を蹴る。ゴルゴスが力をためて、岩石に刻まれた九つの顔がうごめいた。
「キサマらから殺してやる! 死ねえ!!」
 ゴルゴスの下半身の顔面岩が輝いたと思った瞬間、侑斗の周囲が爆発する。
 侑斗を庇った木場を見て、思わずファイズは駆けた。手を必死に伸ばすが、距離は圧倒的に開いている。
 そのまま木場が川へと落ちるのを、黙ってみていることしかできなかった。
 ボチャン、と派手な音がファイズの耳に入る。わなわなと震えた拳を握り、地面を跳躍した。

「俺様はここだ! ゲドンの獣人野郎!!」

 別に、ゴルゴスの容姿をモグラから聞いたわけではない。
 だが、モグラを苦しめ、仮面ライダーが戦う相手としての名を叫ぶ。
 それは、海堂直哉が始めて行う、仮面ライダーとしての戦いであった。


 ファイズの脚のポインターから三角錐の赤いエネルギーが降り注ぐ。
 ゴルゴスは両腕を交差して、受け止めた。身体が固定されるが、無理やりはじき返す。

747:名無しより愛をこめて
08/08/09 11:45:11 LvW+GX570
 

748:名無しより愛をこめて
08/08/09 11:45:18 4mJVuqhe0




749: ◆KaixaRMBIU
08/08/09 11:45:30 BuLvkZDW0
 そのつもりなのだろう。ファイズはそれを知りながら、エネルギーの内部へと右脚を向けながら飛び込む。

「おらあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「小癪な!!」

 クリムゾンスマッシュの衝撃と、ゴルゴスの怪力が拮抗する。
 押し込むように全身に力を入れるファイズは、この技が通ることを必死で祈った。
(なあ、モグラ……仮面ライダーって、ゲドンの獣人を倒すんだろ? 困っている奴を助けるんだろ?)
 ファイズは心の中で、既に死んでしまった仲間に声をかける。
 胸がじくじくと、できたばかりの傷口を抉り返すように痛む。
 されど、モグラの純真な願いに答えるように、ファイズの蹴りが少しずつ押し進む。
(だったらよ……俺がなってやるよ。俺が…………)
 ファイズが気合を込めた瞬間、クリムゾンスマッシュのドリル状のエネルギーが深く突き進む。
 ガリガリとゴルゴスの強固な皮膚が削れていった。

「俺が、仮面ライダーになってやる! モグラを殺した奴のような仮面ライダーじゃねえ!!
俺様は、困ってる人は絶対に見捨てないし、助けを求める人がいたらどこへだって飛んでいく。そんな仮面ライダーになってやる!!」

 ファイズの宣言と共に、身体が閃光と化してゴルゴムの身体にめり込む。
 その光は赤いゴルゴスを……
「ぬるいわ!!」
 貫かず。ファイズは天高く舞い上がった。
 ゴルゴスの高笑いが響く。余裕の表情。しかし、ファイズの右腕はファイズフォンのエンターキーを押し込んでいる。

 ― EXCEED CHARGE ―

 再び鳴る電子音。赤いエネルギーを引きつれて、再びファイズショットを構えた腕を振り上げる。

750:名無しより愛をこめて
08/08/09 11:46:31 LvW+GX570
 

751:名無しより愛をこめて
08/08/09 11:46:32 4mJVuqhe0



752: ◆KaixaRMBIU
08/08/09 11:47:10 BuLvkZDW0
 かつて、乾巧も取った戦術を、海堂は知らず選択する。目的は……

「落ちやがれぇぇぇぇぇぇ!!」
「ぬぅ……おおおおおぉぉぉぉぉ!!」

 クリムゾンスマッシュのダメージが残るゴルゴスに、グランインパクトの衝撃が炸裂した。
 ゴルゴスの全身が大きく震え、滞空していた巨体が力を失って地面へと落ちる。

 ― FULL CHARGE ―

「なに!」
「へへ……俺様の狙い通りだぜ……」
 電子音が轟いた位置には、ゼロノスがエネルギーを溜めている刃を構えていた。
 ダメージが残るゴルゴスはなすがままだ。
「よくやりました。私の計画通りです」
 ゼロノスは冷静に、エネルギーを宿す大剣を横凪に振るう。
 稲妻のごとくほとばしるエネルギーが横一文字に走り、ゴルゴスを貫いた。



「ぐぁぁぁぁぁぁ!!」
 ゴルゴスは気合を込めると同時に、再び天へと舞い上がる。
 ゼロノスとファイズがまだ余力のあるゴルゴスに驚愕の視線を送っているのを見届け、鬼のような形相を向けた。
「やるな……ここは一旦引いてやるが、次こそはキサマらの血を一滴も残さず飲み干してやる!!」
 胸に横一文字に走る、血が滴る傷口を押さえながら、ゴルゴスはすばやくその場を離れる。

753:名無しより愛をこめて
08/08/09 11:47:32 4mJVuqhe0



754: ◆KaixaRMBIU
08/08/09 11:48:01 BuLvkZDW0
 ファイズが反応しようとしているが、ゼロノスが押しとどめた。
 理由は分からないゴルゴスは、己の力に恐れたのだと考えながら突き進む。
 怒りの形相に、ガガの腕輪に一瞬視線を向けて、忌々しげに牙を剥く。
(クソッ……俺が生き残るには、ギギの腕輪が必要なようだな……。アマゾンを探し出して、殺してやる!)
 ゴルゴスの怒りは止まらない。
 空を駆け、復讐を胸に移動して行った。
 そしてゴルゴスは、己がデイバックを落としていったことに気づいていなかった。



「なんで止めたんだよ?」
 ゼロノスの斬撃で紐が千切れたデイバックを拾い、ファイズは疑問をぶつけた。
 ゼロノスが答える前に、答えがやってくる。ゼロノスの変身が解除され、白衣の中年、香川が姿を見せた。
「変身には制限がかっていて、私たちは十分しか戦えません。あなたは後二分強時間が残っていますが……深追いは禁物です」
「そーかい」
 ファイズは戦っている最中に変身が解けたことを思い出した。
 そういうことかと納得したまま、首を軽く鳴らす。
「一応、周囲の警戒を引き続きお願いします。桜井くん、怪我はありま……」
 香川の声を中断するように、周囲が再び爆発する。
 またもや、ゴルゴスが戻ったのかと考えるが、ファイズは十分の制限を思い出し、それはないと判断する。
 視線を向けた先には、緑のロボットのようなモンスター、マグナギガが砲身をファイズに向けていた。
「ここは一旦退きますよ」
「……いや、俺が残る」
「な、お前!」
 ファイズの言葉に侑斗が反応するが、ファイズは鬱陶し気に手を振った。

755:名無しより愛をこめて
08/08/09 11:48:31 LvW+GX570
 

756: ◆KaixaRMBIU
08/08/09 11:49:07 BuLvkZDW0
 とっとと行け、と言外に告げて、マグナギガの正面に立つ。まだ、モグラに誓った仮面ライダーの仕事は終えていない。
「木場を頼むわ。あいつ、俺様がいないと何にもできない奴だからな。
せめて、俺様と合流するまで頼む。な?」
「そんなふざけた頼み、聞けるか! そのベルトを貸せ! 俺があいつを倒……」
「それは無理です。桜井くん、このベルトをつけるには、条件があるのですから」
 香川の言葉に、侑斗はうつむいて歯を食いしばる。ファイズはその様子を邪魔そうに見つめながら、二人を守るように立つ。
 その背中に、確かな覚悟があった。
「安心しろ。俺様は、正義の味方…………」
 それはある未来の話だ。照夫という少年がいた。
 海堂が助けた少年だ。施設に預けられて少年はいじめられ、偶然それを目撃した未来の海堂が助けることとなる。
 その時と同じく、ファイズは右腕を左方向にまっすぐ伸ばし、天を介して反対方向へと向ける。
 腰に止めていた左腕と交代するように右腕を引き、左腕を右方向へとまっすぐ伸ばした。
 そのポーズは、偶然にも『仮面ライダー1号』の変身ポーズと酷似していた。

「『仮面ライダー』だからな!」

 ファイズの、海堂の宣言が響く。満身創痍なその身でも、決して戦いの意志を曲げない。
 いや、本当は逃げ出したかった。いつものようにお調子者らしく、去りたかった。
 それでも、胸に宿る重さが逃げることを許さない。
(これいいんだよな? モグラ……)
 海堂の祈りが、天に眠るモグラへと向けて呟かれた。


「……海堂さん、でしたよね?」
「ああ? 早く行けっちゅーに」

757:名無しより愛をこめて
08/08/09 11:50:00 LvW+GX570
 

758: ◆KaixaRMBIU
08/08/09 11:50:08 BuLvkZDW0
「……私たちは木場くんを探して、北へと向かいます。その後動物園と向かいますので、そこでお会いしましょう」
「へいへい。覚えておくよ」
 ファイズは言い捨てて、マグナギガへと向かった。香川はその場にある、デイバックをすべて持つ。
 ゴルゴスと木場が落とした物も、もっていく。何が役に立つかは、分からないからだ。
 香川は後ろ髪を引かれるような思いをしているであろう、侑斗を無理やり引っ張って地面を蹴る。
 それにしても、ファイズ及び海堂は仲間に欲しい逸材だ。
 戦い慣れしたその動き。ファイズとしての力。仲間を守る正義感。
 いずれも侑斗を守る盾として申し分ない。
(ここは生き延びてくださいよ。我々が、スマートブレインを打倒するために……)
 香川のメガネの縁が光る。
 その肩に、ライフルを担いで。それもすべて、侑斗を、ゼロライナーの道を守るために。



 川から上がった木場は、どうにか身体を起こして近くの木へと背を向ける。
 大きくため息をついたと同時に、重くなったまぶたを閉じる。
 傷ついた身体は休憩を欲していた。
 木場勇治に睡魔が訪れる。
(海堂……無事かな……? 桜井くん……)
 どこか、乾巧を髣髴させる、出会ったばかりの青年を思い、木場の意識が闇へと落ちる。
 やがて沈黙が訪れた。
 風が穏やかに木場の髪をなで、静かに揺らす。
 その一時だけ、凄惨な戦いから隔離されたような空間が形成された。



「らあぁぁぁぁぁぁぁ!!」

759:名無しより愛をこめて
08/08/09 11:51:41 ifmpWTMG0
 

760: ◆KaixaRMBIU
08/08/09 11:51:58 BuLvkZDW0
 ファイズは気合一閃。猛打をマグナギガの胸部へと繰り出す。
 ミラーモンスターでも特に装甲の厚いマグナギガを相手では、拳を痛めるだけだった。
「いってぇ~」
 ひりひり痛む手を振りながら、ファイズは正面で胸部の装甲を展開するマグナギガを目撃する。
 ミサイルが並んだ火薬庫を前に、背筋に悪寒が走った。
「ちぃっ!」
 ファイズがジグザクに走り、迫るミサイルをどうにか避ける。
 爆風と衝撃が届くが、ひたすら無視してファイズは怪我で痛む身体に鞭を打って進む。

 ― EXCEED CHARGE ―

 エネルギーを携えた拳をマグナギガの頭を殴打する。
 たたらを踏んで後退するマグナギガの、閉じそうになる火薬庫に向けてすばやくファイズフォンの106キーを押した。

 ― Burst Mode ―

 赤い光弾の三連射を火薬庫に撃ち込む。
 盛大な爆発と共に、要塞のような強固な雰囲気を持つマグナギガが、初めて揺らいだ。
(しゃっあ! 決めるぜ!)
 ファイズの変身時間は残り少ない。おまけに、マグナギガの身体に粒子があがり、鏡へと向かおうとしている。
 逃がしてたまるか。そう思考するファイズに、マグナギガは後退しながら右腕の砲口を向けてきた。
 あれを食らえばまずい。ファイズはとっさに判断して、地面を蹴って跳躍する。
 マグナギガの砲弾が放たれた。同時に、ファイズフォンのエンターキーを押し終える。

 ― EXCEED CHARGE ―

 向けた右足から放たれる赤い光が、ギガランチャーの砲弾とぶつかり、迫り勝つ。

761:名無しより愛をこめて
08/08/09 11:52:29 LvW+GX570
 

762:名無しより愛をこめて
08/08/09 11:52:53 ifmpWTMG0
 

763:名無しより愛をこめて
08/08/09 11:53:15 4mJVuqhe0



764: ◆KaixaRMBIU
08/08/09 11:53:25 BuLvkZDW0
 鏡の世界へと逃げようとしたマグナギガを、赤い光が三角錐の形を展開して押しとどめる。

「おぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!」

 ファイズのクリムゾンスマッシュが、焼け焦げた胸部を後方の割れたショーウィンドウごと貫いた。
 息も荒く膝と右手を地面につけるファイズの背中で、マグナギガがφの一文字と共に、青い炎を吹き上げて灰となる。
 その灰もやがては粒子となり、消えていった。
「どうだ……ちくしょう! モグラ、俺は……勝ったぞー!!」
 ファイズの変身が解けた海堂は、勝利の雄たけびをあげる。
 ただ単純に勝った事実に酔い、死んだ仲間を思う。ある意味、お調子者の彼らしかった。
 同時に仲間思いの、見捨てようとして見捨てきれない、彼らしくもあった。
「……へ……。木場、今俺様が駆けつけて……やる…………って、あれ……?」
 歩みを進めようとした海堂が、ふらりと膝を崩した。
 疲労がたまりすぎて、一歩も動けないらしい。立ち上がろうとする意思とは反対に、海堂はそのまま倒れ伏す。
 やがて、海堂から寝息が聞こえてきた。
 風が爽やかに吹き、勝利の美酒に酔いしれる戦士へを祝福するように、髪を優しく撫でた。



 木場を探して侑斗は走る。香川は念を入れて、周囲を警戒するように何度か呼びかけていたが、聞いている余裕はなかった。
 侑斗の必死な態度に呆れたのだろうか。
 香川はライフルを構えながら、周囲を警戒して進んでいる。侑斗は香川には何度感謝してもし足りないと思いながら、川原を走り続けた。
 侑斗は今まで出会った人たちのことを思う。
 一条薫、金居。いずれも自分のせいで死んでしまった人たちだ。
 ゼロノスの力をうまく使っていれば、死ぬことはなかったはずだ。

765:名無しより愛をこめて
08/08/09 11:53:41 LvW+GX570
 

766: ◆KaixaRMBIU
08/08/09 11:54:17 BuLvkZDW0
 侑斗の脳裏に浮かぶのは、戦うことを楽しそうに語る北崎や、ギリギリでしか食いつけなかったガドル、そしてゼロフォームでようやく撃退した鳥の怪人。
 いずれも侑斗は名を知らない。ただ殺人者を取り逃がした。その意識がある。
 負け続け、人を犠牲にし続けたのは、侑斗自身が弱いせいだ。少なくとも、彼自身はそう思っている。
 そして、自分たちを助けるためにあの場に残ったファイズと化した男。
 彼の願い、木場勇治を救うために侑斗は駆ける。最も……
(俺のことは覚えちゃいないだろうがな)
 香川より返された、ゼロノスベルトを見つめる。仕方のないことだとは言え、香川は赤カードを使った。
 しかし、香川も海堂も、侑斗のことを忘れた形跡がない。と、なると木場が侑斗の記憶を失った。
 そう考えるのが自然だ。
「見つからない……」
 かれこれ、一時間以上は探している。ゼロノスの制限も解けているかどうか、ギリギリの時間だ。
 新たに増えた荷物を抱えて、侑斗はひたすら前を見て歩く。
 やがて、気を背にこちらを見つめている人影を見つけた。
 木場勇治。
 立ち上がってこちらを見つめている。侑斗は無事を喜び、駆け寄ろうとした。
「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
 木場の顔にホースオルフェノクの顔が影となって浮かぶ。
 水が崩れるような音と共に、木場の身体が揺らいでホースオルフェノクへとなる。
 突然のことで驚いた侑斗が反応する間もなく、ホースオルフェノクは侑斗の傍を通り抜けた。
 侑斗が振り返ると、ライフルを真っ二つに斬られ、衝撃で川へと落ちる香川が見える。
 侑斗はあまりに不可解な展開に、呆気にとられた。


 時は木場が目覚めたころ、五分ほど前に遡る。
 仲間と合流しなければ、と考えた木場の胸元から、一枚の写真がひらりと落ちた。

767:名無しより愛をこめて
08/08/09 11:54:23 4mJVuqhe0




768: ◆KaixaRMBIU
08/08/09 11:55:18 BuLvkZDW0
 香川がライフルを構えている姿。
 無謀な侑斗を止める時に、目撃した一枚の写真だ。
 そんな木場に、侑斗が視界に入る。赤カードの影響を受けた彼は、胸に宿る感情のままにホースオルフェノクへと変えた。
(あのままでは、桜井くんが撃たれる!)
 『彼ら』の不幸は四つ。

 一つ目は、香川が赤カードの弊害を知らなかったこと。
 赤いカードは記憶をさび付かせた、代償を持って始めて使える力だ。
 誰も傷つけない、何も失わせない、その覚悟持った侑斗が得た力だった。

 二つ目は、侑斗が己の記憶が失う、と思い込んでいたこと。
 ゼロノスベルトは侑斗以外が使う機会がなかった。
 ゆえに、赤いカードは侑斗の記憶しか奪わない。他の者が変身した際に、侑斗でなく変身者が記憶が消える、ということを経験していなかった。

 三つ目は、金居の遺産。
 もともと彼が疑心をばら撒き、不要になった香川と侑斗を労力を少なく始末するための手段。
 持ち主を失った罠が、香川の記憶を失った木場へと渡ってしまった。

 四つ目は、香川が周囲を警戒していたゆえ、携えていたライフルが、偶然銃口を侑斗に向けてしまい、それを木場が目撃してしまったこと。
 香川は木場と会話を果たしている。彼が味方であるゆえ、ライフルの銃口の向きなど気にしていなかった。
 とはいえ、さすがに味方に長時間向ける気はない。数秒、銃口が侑斗に向かっていた。その事実が、香川の記憶を失った木場を突き動かした。
 そう、侑斗を守るために。


「よかった……無事で」

769:名無しより愛をこめて
08/08/09 11:56:18 4mJVuqhe0



770: ◆KaixaRMBIU
08/08/09 11:56:28 BuLvkZDW0
 変身をとき、安堵した表情で木場は侑斗に振り返る。
 その瞬間、頬が強打され尻餅をついた。いきなりのことで、木場は驚愕に満ちた視線を侑斗へと向ける。
「何が……無事でだよ! 香川さんにいきなり斬りかかってきやがって……おかしくなったのかよ!」
「俺は、君を守ろうとしたんだ! 君が撃たれないように……」
 木場は状況を説明するが、侑斗の表情はますます険しくなっていく。
 説明すれば分かってもらえる。そう考えて次々と言葉を重ねるが、届いていないことを実感する。
 焦る木場は、胸元から例の写真を取り出した。これを見れば理解してもらえる。
 希望に縋るように侑斗へと突きつけた。
「これを見てくれ! あの人はライフルを発砲したことがあるんだ。今回君に銃口が向きそうになっていた。
きっと君を撃とうと狙っていたんだ……信じてくれ! 桜井くん……!!」
 木場が思いを吐き出しきった刹那、再度侑斗の拳が木場の身体を吹き飛ばした。
 信じてもらえない。絶望が木場に訪れる。
「…………行けよ……」
「……俺は、人を守るために……この力を……」
「うるさい! お前の声なんて、化け物の声なんて聞きたくない! 行け!!」
 侑斗はこいつはくれてやる、とデイバックを一つ投げつけて、背を向ける。
 香川を、ライフルを向けた男を捜すと告げられて、木場は弱々しくデイバックを取った。
 侑斗が信じてくれない。自分を化け物だと見ている。
 ハンマーで殴られたようなショックを受けて、木場はふらふらとその場をあとにした。


 侑斗は怒りに燃えるまま、香川を探すために川を辿っていった。
 まるで木場が香川のことを綺麗さっぱり忘れたような態度に怒り、所詮は北崎と同じ化け物だと心の中で罵る。
(……香川さんを、忘れたような……?)
 そういえば、侑斗自身を木場は忘れていなかった。ゼロフォームへとなった香川を思い出し、不可解だった一つの事実が侑斗の中でつながる。

771: ◆KaixaRMBIU
08/08/09 11:57:15 BuLvkZDW0
 赤いカードによって引き起こされた悲劇だと気づいた時、侑斗は木場がいた地点へと走っていった。
 辿り着いた現場で、息も荒く周囲を探すが、木場の姿は見えない。
(俺のせいじゃないか……)
 赤カードの弊害を香川に伝えていれば、こんなことは起きなかった。
 ゼロノスベルトを香川に貸さなければ、こうはならなかった。
 自分が香川の記憶を、木場が失うことをに気づいていれば、こうはならなかった。
『うるさい! お前の声なんて、化け物の声なんて聞きたくない! 行け!!』
 蘇るのは、自分が言った拒絶の言葉。人の心を抉る罵倒。
 侑斗の胸に後悔が押し寄せる。
「全部……俺のせいじゃないか…………。う……く……」
 侑斗は今度は声に出して呻く。涙は流さない。
 ただ、己の過ちを無限に悔い続けた。



(私としたことが、見誤りましたか……)
 香川は川より上がり、疲労した全身を引きずって目の前に見えるホテルへと向かう。
 身体を休めるのに相応しい場所へとやってこれたのは幸いだ。
(誠実な青年だと思っていたのですが、よもやこのバトルロワイアルで人を殺すことを決意していたとは。
桜井くんには、ゼロノスベルトを返していたのであの場は何とかなるでしょう)
 赤カードの弊害を知らない香川にとって、木場は突如襲ってきた殺人者としか判断しようがなかった。
 殺人者としては不可解な点も見えたが、不意打ちを狙っていたと考えれば納得できないこともない。
(やはり、オルフェノクは敵と見るのが正しいのでしょうね。あの、海堂という青年を除いて)
 同じオルフェノク、という餌に釣られ、木場に騙されているのだろう。
 香川はそう結論付けて、目を細める。静かな決意がそこにはあった。

772:名無しより愛をこめて
08/08/09 11:58:09 4mJVuqhe0



773: ◆KaixaRMBIU
08/08/09 11:58:35 BuLvkZDW0
(彼ら、海堂くんと桜井くんに再会する前に、済ませておかねばならないことができましたね。
そう、木場勇治なる青年の抹殺。騙す人間が消えれば、騙された人間は害を受けない。
変身道具も武器も今はありませんが、私にはこの知能がある。木場勇治、覚悟してください。あなたは私が始末します)
 このバトルロワイアルを潰すために。
 香川は口の中で呟いて、ホテルへと入っていった。



「つう……俺様、ひょっとして寝ていたのか……?」
 海堂が呟いて、身体を見下ろした。節々が痛み各所に傷がある。
 痛みに顔をしかめながらも、海堂の顔は晴々としている。
「なあ…………モグラ。俺は出会った仮面ライダーたちは最悪だと思う。復讐を誓うのも、しょうがないだろ? けど、俺様は決めたぜ」
 海堂は拳を振り上げて、太陽と固めた拳を重ね合わせる。
 死んだ仲間に示すように。
「正しい仮面ライダーになってやる! 間違っている仮面ライダーをちぎっては投げ、ちぎっては投げて、マシな仮面ライダーとして戦ってやるぜ!」
 だから見ていてくれ。心の中で呟いて、海堂は立ち上がる。
 そういえばと、香川が言っていた合流場所を思い出した。
(しょうがねえな。あいつらは俺様がいないとなーんにも出来ねえんだからな。俺様が何とかしてやるぜ。待っていな!)
 満面の笑顔を浮かべた海堂は、傍から見ると仲間と合流でいるのが嬉しくてしょうがないように見えた。
 たとえ、その内面が否定していても。
 彼が向かう先に仲間はいない。それでも、海堂は希望を胸に進み続けた。
 新たな決意、仮面ライダーとなることを決めて。


「うう……俺は……」

774:名無しより愛をこめて
08/08/09 11:59:19 4mJVuqhe0



775: ◆KaixaRMBIU
08/08/09 11:59:24 BuLvkZDW0
 木場は力なく歩き続け、当てもなく彷徨い続ける。
 海堂と合流することも考えたが、彼が現在どこにいたのかは知らない。
 それに、侑斗に『化け物』と呼ばれたことが悲しくてたまらなかった。
 両親を、恋人を、すべてを失ったあの日を思い出す。
 木場は人を憎しみで殺してしまった。だからこそ、人を殺すことをやめさせたいと決意した。
 けれども、誰も彼も『人間』は木場を、オルフェノクを拒む。
 またも、闇がささやいた。オルフェノクとなった日に、木場の中で蠢く憎しみが蘇る。
 人を殺すことこそが、オルフェノクになった者の運命という声を、木場自身の心が生み出した。
 木場の持つデイバックの中身が少し覗く。
 それは、侑斗が間違えて渡したゴルゴスのデイバック。
 支給品は人間の形をしておらず、オルフェノクでもないゴルゴスには無用の長物だったもの。
 天のベルト、サイガドライバーとトンファーエッジが、木場を闇に誘うように、妖しく蠢いた。


 木場勇治と海堂直哉。
 彼らは未来にて、互いに真反対の道を歩みことになる。
 二人がそれぞれの未来において、バトルロワイアルでも同じ結末をたどるのか、ファイズとサイガのベルトしか知らなかった。



776:名無しより愛をこめて
08/08/09 11:59:56 LvW+GX570
 

777: ◆KaixaRMBIU
08/08/09 12:00:18 BuLvkZDW0


【十面鬼ゴルゴス@仮面ライダーアマゾン】
【1日目 現時刻:昼】
【現在地:G-6・駐車場】
【時間軸】:本編13話前後
【状態】:胸に一文字の傷。全身打撲。ダメージ大。疲労大。三十分戦闘不可。
【装備】:ガガの腕輪
【道具】:なし
【思考・状況】
基本行動方針:打倒仮面ライダーアマゾン、主催者への報復
1:いずれ仮面ライダー(ゼロノス・ファイズ)を殺し、血を吸う。
2:アマゾンを見つけ次第殺す。腕輪を奪う。
3:牙王、死神博士、影山は最終的に殺し、血を吸う。
【備考】
※岩石の9つある顔のうち一つが潰されました。
※能力制限について思い当たりました。



778:名無しより愛をこめて
08/08/09 12:00:59 4mJVuqhe0



779: ◆KaixaRMBIU
08/08/09 12:01:16 BuLvkZDW0

【香川英行@仮面ライダー龍騎】
【1日目 現時刻:昼】
【現在地:E-6・中部ホテル前】
【時間軸】:東條悟に殺害される直前
【状態】:深い後悔、強い決意。全身に中程度のダメージ、中程度の疲労。三十分変身不可(ゼロノス)
【装備】:なし
【道具】:なし
【思考・状況】
基本行動方針:殺し合いの阻止
1:木場勇治の抹殺。そのために身体を休め、英気を養う。
2:木場勇治を抹殺後、海堂及び侑斗と合流。
3:東條は必ず自分が止める。
4:ガドル(名前は知らない)、北崎を警戒
5:五代雄介に一条薫の死を伝える。
6:侑斗を生存させるため、盾となるべく変身アイテム、盾となる参加者を引き入れる。
【備考】
※変身制限に気づきました。大体の間隔なども把握しています。
※剣世界の事についておおまかな知識を得ましたが、仮面ライダーやBOARDの事など金居が伏せた部分があります。
※木場からオルフェノク・スマートブレイン社についての情報を得ました。
※死者の蘇生に対する制限について、オルフェノク化させる事で蘇生が可能なのではと思いはじめました。



780:名無しより愛をこめて
08/08/09 12:02:09 4mJVuqhe0



781: ◆KaixaRMBIU
08/08/09 12:02:14 BuLvkZDW0
【海堂直也@仮面ライダー555】
【1日目 現時刻:昼】
【現在地:G-6・北部道路】
【時間軸】:34話前後
【状態】:身体の各部に大程度の打撲、怪我。疲労大。激しい怒りと決意。三十分変身不可(ファイズ、スネークオルフェノク)
【装備】:ファイズギア
【道具】:なし
【思考・状況】
基本行動方針:モグラのために「正義の仮面ライダー」となる。
1:木場たちと合流のため、動物園へ向かう。
2:ライダー(アマゾン、歌舞鬼、オーガ、ガイ)の危険性を伝える。
3:危険な仮面ライダーを倒す(殺さない)
【備考】
※ 澤田の顔はわかりますが名前は知りません。また、真魚の顔は見ていません。
※ モグラ獣人の墓にはガーベラの種が植えられています。
※ 第一回放送は知っている名前がモグラのみ、ということしか頭に入っていません。
※ 変身制限について知りました。
※ゾルダのカードデッキは破壊されました。マグナギガも倒されました。



782: ◆KaixaRMBIU
08/08/09 12:02:58 BuLvkZDW0

【桜井侑斗@仮面ライダー電王】
【1日目 現時刻:昼】
【現在地:F-6・北土手】
【時間軸】:最終回直後
【状態】:深い後悔、強い決意、激しい自己嫌悪。全身に中程度のダメージ、中程度の疲労。
【装備】:神経断裂弾(1発)、ゼロノスベルト
【道具】:基本支給品×2、ゼロノスカード五枚(内一枚赤カード)、ラウズカード三枚(ダイヤK・ブランク二枚)
     ショッカー戦闘員スーツ×2@仮面ライダー、ディスクアニマル(ニビイロヘビ)、戦国時代のディスクアニマル(イワベニシシ)
     煤けた首輪、双眼鏡、コーヒーセット、デジタル一眼レフ(CFカード)、望遠レンズ
【思考・状況】
基本行動方針:殺し合いの阻止
1:木場に謝りたい。
2:香川、木場、海堂との合流。
3:自分と同じ顔をした少年(桐矢)への疑問。保護が必要ならそうする。
4:ガドル、風のエル(名前は知らない)、北崎を倒す。
5:五代雄介に一条薫の死を伝える。
6:金居の死に後悔。
【備考】
※変身制限に気づきました。大体の間隔なども把握しています。
※首輪の損傷具合は不明です。
※剣世界の事についておおまかな知識を得ましたが、仮面ライダーやBOARDの事など金居が伏せた部分があります。
※木場からオルフェノク・スマートブレイン社についての情報を得ました。
※シグザウアー SSG-3000は破壊されました。



783:名無しより愛をこめて
08/08/09 12:03:08 LvW+GX570
 

784: ◆KaixaRMBIU
08/08/09 12:03:46 BuLvkZDW0

【木場勇治@仮面ライダー555】
【1日目 現時刻:昼】
【現在地:E-6・南部道路】
【時間軸】:39話・巧捜索前
【状態】:全身に中程度の打撲。他人への不信感。全身に疲労大、背中等に軽い火傷。二時間変身不可(ホースオルフェノク)
【装備】:なし
【道具】:基本支給品×1、Lサイズの写真(香川の発砲シーン)、サイガギア、トンファーエッジ
【思考・状況】
基本行動方針:???
1:侑斗に絶望。他人に不信感。
2:香川の危険を伝える。
3:海堂を心配。
4:死神博士、ゴルゴス、牙王、風のエル(名前は知らない)、東條を警戒。影山はできれば助けたい。
5:事情を知らない者の前ではできるだけオルフェノク化を使いたくない。
【備考】
※香川から東條との確執を知り、侑斗から電王世界のおおまかな知識を得ました。
 また、第一回放送の内容も二人から知りました。
※香川を赤カードの影響で忘れてしまいました。


785: ◆KaixaRMBIU
08/08/09 12:04:28 BuLvkZDW0
投下終了。
タイトルは「零れ落ちる闇」です。

指摘、感想お待ちしております。支援感謝します。

786: ◆KaixaRMBIU
08/08/09 12:09:42 BuLvkZDW0
自分で間違い発見。
>海堂直哉

直也にwiki収録された際に直して起きます。

787:名無しより愛をこめて
08/08/09 12:31:54 LvW+GX570
投下乙です。
木場……どこまで落ちれば気が済むんだ……
そして天のベルト・サイガ登場w高スペックだが木場がどうなるか。
誤解が絡み合って皆が予期せぬ方へ……波乱の予感。
唯一の救いは海堂が幾分前向きになった事か、GJでした。

788:名無しより愛をこめて
08/08/09 12:39:13 y5gfBv//0
投下乙です!
香川ゼロノスと海堂ファイズの共戦!教授のクールさと海堂の熱さがとても格好良かったです!
海堂の「正義の仮面ライダー」になるという決意にも燃えました!
そして赤カードの弊害が思わぬ所に……!木場は教授の事を忘れて誤解するし、
教授はオルフェノクを危険視しだすし、同じ志を持つにも関わらず対立してしまう
皆が切ないですが、サイガのベルトの登場がこれからの波乱を思わせて大変楽しみです!
GJでした!!

789:名無しより愛をこめて
08/08/09 16:09:46 5lvqKq330
投下乙です!
まさか木場さんが暴走(違)するとは…
赤カード恐るべしですね!
これからどう転がるか楽しみです!GJ!

790:名無しより愛をこめて
08/08/12 11:27:29 rpaOGs5o0
保守

791:名無しより愛をこめて
08/08/12 15:29:24 8/1d+kb10
               __   .イl. , -- ミ 、       ,ィ
             / `く.  l/ , - 、: .` ==、___/ノ!
ヘ              , '   . : . \l //: : :、:、: . .__ : : ´/ィ
.∧          .イ: / /: :__!{ム___ヽ:、: : : :--‐: ´:/イ
 ∧         /. ヽ| { {/     ,.ィ l ,{   `\、: :‐--‐: : ! .ィ
V .∧      i、iゝ_j ヽヽ==彡' ノ i `=r 、_`===彡'′
.∨ .∧      丶三. //: ト:l _三.     r ィfヾ:.:.、ヽi: : : : :/
 V .∧    、z‐彡': :/ l|イ ゚ , ノ   | f:.l:.:.:.、:.ヽ:.\: :ニ=‐'′
  ∨ ∧    `¨Z イ ノ'  ‐彡'    | l:.:.、:.:.:.ヽ:.:ヽ:.V_,,
  ∨ ∧     ハ ヘ          , i〉ゝ:.:',:.:.:.:l:.:.:.l:.:|
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792:名無しより愛をこめて
08/08/12 20:47:45 oUo1dNrL0
悲惨すぐる・・・・これで城戸や加賀美みたいなお人よしにまで化け物呼ばわりされたらもう目も当てられないな>木場

793:名無しより愛をこめて
08/08/12 22:33:33 SGul/bCaO
やっぱりロワはこういうキャラが出てこないとな

794:名無しより愛をこめて
08/08/14 12:26:31 9KTN017i0


795:名無しより愛をこめて
08/08/14 19:28:31 B9JMydh8O
まとめサイトで作品を見ていてふと思ったんだが
ヒビキさんの服ってあとどれくらい残ってるんだろう
まあヒビキさんなら、いざとなったら葉っぱとか
デイパックを改造したものとかでも気にしなそうだけどさw

796:名無しより愛をこめて
08/08/14 21:34:54 YNT0Vu+ZO
状態表によれば後3回変身したら終了だなw
まあ民家やショッピングセンターから現地調達も可能だけどw

797:名無しより愛をこめて
08/08/14 21:38:02 sl8dJ+hGO
>>795
デイパック着てるヒビキさん想像して吹いたww
これからどんどん戦いがシビアになっていって服の確保とか
大変になるんだろうけど、葉っぱ一枚だけは勘弁してほしい。
ビジュアル的に。

798:名無しより愛をこめて
08/08/15 00:17:24 L2yBkBhn0
やはり変身する前に脱ぐのが一番経済的か・・・
敵の前でまず全裸になるヒーローってある意味最低だなwww

799:名無しより愛をこめて
08/08/15 11:36:28 u5y3XdvS0
葉隠覚悟っぽいなwww

800:名無しより愛をこめて
08/08/15 12:02:24 ivtu5tkM0
確かにwww


801: ◆N4mOHcAfck
08/08/15 15:16:02 u+ubuwFW0
諸事情で遅くなりましたが、これより投下します。

802:restart ◆N4mOHcAfck
08/08/15 15:16:43 u+ubuwFW0
 ―空を仰いだ双眼に飛び込んで来た日光の強さに、橘朔也はポケットから思わず黒光りするサングラスを再び取り出した。

 ゾル大佐との余りに辛い別れから一時間超。僅かな時間ながら彼と歩んで来た道程を橘が一心に引き返してきたのは、彼の「回れ右」から続く最後の号令を守ると共に、取り返しのつかない過ちを侵した自分と明確に袂を分かちたい、という願望があったからだ。
 G-4エリアの住宅街を通過しながら、G-3エリアの端にある住宅…いや、住宅跡を橘は臨む。
 橘が現空間を「仮想現実」と判断したこの地も、戦闘の痕を色濃く残しており、彼に一息つくことを許さない。
 それを感じ取ったからだろうか―瓦礫に向けられていた両目が、ふと西へ滑る。影が視界の外から、隅へ、やがては中央へ。過程を通して、視覚はそれを「塔」と呼ばれる、或いはそれに準ずる建造物と認識した。

「大佐……あなたが残してくれたこの命、俺は決して無駄にしない。絶対に生き抜いて、戦いを止めて見せる……」

 そう遠くは無いと判断し、「塔」へ向けて移動を開始。勿論、周囲への警戒も怠らない。変身に詳細不明の制限が掛けられている以上、戦闘は何としても回避しなければならないという考えだ。
 彼に犬死にすることは許されない。それを自覚している―させてもらったからには、戦い抜かなければならないのだから―

803:restart ◆N4mOHcAfck
08/08/15 15:20:12 u+ubuwFW0


「放送局…………か」

 言葉ではこう言い表したが、「塔」が放送局の一部であるという予想を俺は予めつけていた。G-3の一角から視界に捉えられる範囲で、塔が存在して違和感が無い施設は放送局をおいて他には存在していない。
 入口の向かい側にはご丁寧なことに駅が設置されている。てっきり水族館、ジャンクション、大学のみに駅が存在し、電車で繋いでいるものとばかり考えていただけに、嬉しい誤算だ。
 水族館とこの地点の距離を考慮する。早くも潰されたF-7―禁止エリアとの間にも駅が存在することは容易に推測できる。発着時間さえ把握しておけば、有事の際に役立つのは間違いない。
 俺は次の瞬間に、心做しか軽くなった両足を振り上げて、駅の時刻表を確認する為駆け出していた。目的の達成には二分も要さない。百秒も経った頃には余勢を駆り、放送局の入口へと向けられた爪先の姿があった。
 いつに無く自動ドアの開閉が遅く感じるのは―俺が平常時より速く動いているからか? ……だとすれば、それは何故なのだろうか? 疑問は短時間の間に連鎖し、俺の意識へと解答を求める。
 危うく両肩とデイパックを引っ掛けてしまうのではないかというタイミングでくぐり抜けると同時に、安堵が全身を駆け抜ける。……成る程、これか―

 この感覚を欲していたのだ、と俺はようやく自覚した。大佐との別れを終えてから、単独行動の危険性をより強く感じ始めている。 しかし……無意識とはいえ、安直に施設の内外を境界線として緊張を解いた自分に嫌気がさす。
 もしも他の参加者がこのロビーに居て、それが危険人物だったなら―。
 ……考えたくも無い結果が待っていたであろうことは想像に難くない。幸いにも気配は感じられず、今回ばかりは自分の運に感謝せざるを得ないだろう。
 一瞬の安息に別れを告げつつ、ギャレンバックルにカテゴリー・エースをセットする。バックルと自身の態度で、形だけでも臨戦態勢にあることを示しておく……気配を絶って潜伏している参加者の存在を否定不可能な現状、牽制にはなる。
 本当ならレバーを引きたいところだが、制限でオリハルコン・ゲートが出現しない様な事態に陥れば、本末転倒も良いところだ。丸腰です、と証明するに等しい。


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