仮面ライダーバトルロワイヤル THE NEXT Version.7at SFX
仮面ライダーバトルロワイヤル THE NEXT Version.7 - 暇つぶし2ch475:名無しより愛をこめて
08/07/26 00:28:34 g/+HSQUN0
>>474 見た目のインパクトはあるし、契約モンスター(名前わすれた)の能力で奇襲仕掛けられるし、スペックは蟹の倍はあると思う

476:名無しより愛をこめて
08/07/26 00:53:40 v3WKFbGe0
>>475
モンスターの名前はバイオグリーザだよ!
忘れないであげてwww

477:名無しより愛をこめて
08/07/26 12:42:28 ErZ+dba8O
東幹久

478:名無しより愛をこめて
08/07/26 12:43:27 ErZ+dba8O
スライムナイトが仲間にならない

479: ◆KaixaRMBIU
08/07/26 14:24:45 kVycOanm0
死神博士、影山瞬 、風間大介、城戸真司投下します

480: ◆KaixaRMBIU
08/07/26 14:25:25 kVycOanm0

「死神博士、少しお話が……」
 影山の声が死神にかかる。白髪の老人に、黒いマントを羽織る死神博士は用意した紅茶を一口飲んで、影山に振り返った。
 病院の一室、受付ロビーの並んでいるプラスチック製の椅子は座り心地がいいとはいえないが、それでも疲れを取るには充分である。
 死神はここに合流する予定のヒビキを始め、風間らの仲間なる人物をロビーで影山と共に待つ。
 襲撃者がいれば、ご丁寧に入り口から進入するとも思えないが、合流する連中はここを必ず通る。
 だからこそ、ここは見張りに最適な場所なのだ。死神の目的、ヒビキたちとの接点を作る、という一点において。
 彼らと交代で仮眠をとることに決め、こうして影山といる。
 城戸たちとの情報を整理しようとしていた死神の思考を中断する結果となったが、影山の表情を見るに何か重大なことを気づいた様子が伺えた。
 影山自身にはあまり期待でいないが、ZECTなる組織の技術には興味がある。
 ZECTの技術についての情報か期待をして、影山を促した。
「いってみろ」
「はい。風間に支給されたハイパーゼクターについてです」
「ふむ……」
 影山の幼い印象を抱いてしまう顔を見つめ、期待していた答えが返ってきたことに内心ほくそ笑む。
 黒い高級そうなスーツとは不釣合いの印象を持つ影山の器にふさわしく、表情は緊張していた。
「はい。風間が持っているハイパーゼクターは、我らZECTの開発した新たなゼクターです。
機密のために詳しくは聞かされなかったのですが……何でもその力は時間を超越するとか」
「ほう、時間を」
 機密保持のために聞かされていないということは、影山が信用できないのか、聞かされる地位にないのか。
 仮面ライダーとしての力があるため、前者、あるいは両方である可能性が高い。
 それはさておき、時間を超越する力、ということに聞き覚えがある。
 牙王から聞かされた、『時の列車』である。
「ふむ、ご苦労だった。何か他に気づいたことがあるなら、また報告するがいい」
「はい! もちろんですよ!! 任せてください!!」
 適当に相槌を打ちつつ、死神は調子に乗りやすい影山を醒めた目つきで見つめる。

481: ◆KaixaRMBIU
08/07/26 14:26:05 kVycOanm0
 機嫌よく離れていく影山を思考の隅に追いやり、改めてハイパーゼクターと牙王のいう『時の列車』について考える。
 時間軸……周りとは自分の常識が大きくかけ離れていることはもちろん気づいている。
 牙王のコンビニや、さまざまな機能を持つ小型電話。
 明らかに自分たちがいた時代にない機能だ。影山、牙王、城戸、風間と話をしたところ、それぞれ2000年代出身という情報を聞き出した。
 もっとも、牙王から聞いた『時の列車』の存在を考えれば自分たちをさまざまな時代から集めることが可能だろう。


 そして、影山よりたった今入った情報、『ハイパーゼクター』について思考をまわす。
 影山の情報は『時を超越』することが可能だということだ。そのようなアイテムが簡単に支給されたことに疑問を持つ。
 もっとも、『時を超越』する能力は自分達の身体能力、変身能力に課せられたと同じように制限によって使えないのだろう。
 これらを使い物にするには、まず制限を解除しなければならない。
 制限自体は、改造されてリミッターがつけられた事実があれば死神は即見破っている。
 そして、人間である影山のように制限がかかっているものもいた。
 変身アイテムに手を加えた、と考えるにはその手のアイテムが多すぎる。
 影山や影山と最初に組んでいた男、自分に支給されたカードデッキや牙王のマスターパス、技術も出自も違うそれらのアイテムに手を加えるのに、どれほどの時と手間が必要か科学者の死神は理解している。
 何より、それらに手を加えて弱体化するより、手駒にして使った方が効率がいい。
 となれば、一括で参加者に制限を加えるもの。
(首輪か……)
 身体を灰化するだけでなく、身体能力を制限する。
 重要な機能を目に入るところに置くスマートブレインに死神は呆れるが、同時に解除の道が極めて困難だと知る。
 参加者に本郷や自分がいる。ショッカーの科学者やIQ600を越える天才を参加しても解除されないという自信。
 その自信があるからこそ、自分たちを参加者と選んだのだろう。

 首輪を解除しかねない自分たちが参加させら手理由は何通りか考えられる。
 たとえばスマートブレインが自分たちを侮っているか。

482: ◆KaixaRMBIU
08/07/26 14:26:42 kVycOanm0
(いや、それはない)
 この殺し合いに参加させる際に、人選は厳選するはずだ。少なくとも、自分が主催者ならそうした。
 それに、『侮ってくれている』に期待するなど、宝くじに当選することを視野に入れて高級マンションを購入するようなものだ。
 科学者である自分がするべきことではない。

(なら、この首輪が解析不可能なのか……)
 すべての機能を通常ではありえない技術を積み込み、並みの科学者では理解ができない構造という可能性を考慮してみる。
 この世界に来てさまざまな未知の技術に出会った今では、ありえなくもないと唸る。
 だが、解除となると話は別だ。首輪を外すなら、現物を手に入れて分解すればある程度道は開ける。
 何も首輪に詰め込まれた技術を100%理解する必要はない。
 外れない首輪を作るなど、死神を前にしては無理としか言いようがなかった。
 死神はショッカーの誇る科学者だ。未知の技術だろうが、そんなものは無視して『外す』ことに一点集中して首輪の構造を理解することはできる。
(考えるに、首輪の解除は可能……)
 そう、首輪を外すだけなら、決して不可能ではないだろう。
 つまり、この制限と離れることもできるのだ。

 そこで、先ほどの疑問が蘇る。
 なぜ、ハイパーゼクターを支給したのかということ。
 制限が解け、条件がそろうのなら一人でノーリスクで脱出する参加者がいないとも限らない。
 参加者を逃がすなど、企画者であるスマートブレインからすれば痛手だ。
 そういう事態を避ける方法は三つ。

 一つは逃げた参加者を追撃する手段をスマートブレイン側が保持しているということだ。
 ハイパーゼクターを解析し、時を超える能力を持っているゆえに、ハイパーゼクターを用なしと判断して純粋に殺し合いの道具として支給した。

483:名無しより愛をこめて
08/07/26 14:26:57 LJhNZQfE0


484:名無しより愛をこめて
08/07/26 14:27:34 LJhNZQfE0


485: ◆KaixaRMBIU
08/07/26 14:27:46 kVycOanm0
 どの道、ハイパーゼクターを手に入れて『時を超越』する能力を使える条件を整えてもスマートブレインを倒さねば参加者に安息の時は来ない。
 つまり、スマートブレインはハイパーゼクターを手に入れた参加者が向かってくることを計算に入れている。
 この線は妥当だろう。

 二つ目は時を越えることが、この島に限り『時を超越』する能力を行えない可能性。
 自空間を移動する門のような存在があるなら― 事実、時の列車はパスと列車を通してしか時間移動できないと聞いた ―その門たる存在をスマートブレインが握っている。
 ハイパーゼクターも能力を行使するなら、その門を通る必要があり、抑えるのはそこだけでいい。
 もっとも、時の門などの仮説に意味はない。単純に時間移動の手段をすべてスマートブレインに握られている。
 その可能性の考慮だ。

 そして三つ目は、制限が決して解けないものだという可能性だ。
 首輪を外すことは、先ほどの思考で確認したとおり、可能だと死神は推察している。
 つまり、その上で制限が解けないということは、
(首輪を外すこと自体が罠)
 という可能性が高くなる。最悪の結論が死神に訪れた。
 首輪が外れないようにスマートブレインは厳重に警戒をしているはずだ。
 首輪を外せば死体が灰化する、も首輪を解析させないための一手にすぎない。
 幾重にも首輪を分解できないようにする手を仕掛けて、それでも解除した結果残ったのが罠という絶望を突きつける。
 たとえば、首輪を解除した瞬間、バトルロワイアルのルールを無視して、スマートブレインが大部隊を投入してこないとも限らない。
 あるいは、首輪を解除した参加者を確認した瞬間、ミサイルの雨をこの島に撃ち込みかねない。
 あるいは、首輪が外れた瞬間、上空から強力な毒ガスをばら撒くのかもしれない。

(つまり、スマートブレインの目的を探り、大人数の首輪を同時に解除できる状況にならない限り、首輪を外すのはむしろ自殺行為というわけか)
 辿り着いた結論に、死神は忌々しげに顔をしかめる。
 スマートブレインがどれほどの規模の組織を持っているかは知らないが、もしショッカー並みの組織力を持つなら厄介だ。

486:名無しより愛をこめて
08/07/26 14:28:22 LJhNZQfE0


487: ◆KaixaRMBIU
08/07/26 14:29:57 kVycOanm0
 首輪を解除した瞬間、殺し合いを放棄して上にあげた手段をもってして現メンバーを全滅、同じバトルロワイアルを他のメンバーで繰り返すであろう。
 つまり、死神は首輪の解析を進めると同時に、スマートブレインの目的を探り、集団を結成し、叩き潰さねばならない。
 そのためには必要な手がある。
(本郷猛、そして一文字隼人と同盟を組まねばならまい)
 きりきりと胃が痛むが、死神はどうにか堪える。思考するだけで泥を吐きそうな気分になるのに、実際目の前にすればこれ以上の苦痛が生まれるだろう。
 だが、そう贅沢は言っていられない。
 実際、両名にあったことがある城戸や風間がいる。
 容姿の説明をしようとした二人を遮り、見張りを買って出たのはダブルライダーとの同盟を持ち込むためでもある。
 現状では正直、死神に戦力が足りない。
 制限が厄介な現状、たとえ宿敵でも力を借りたい。何より、一番戦力を把握でいるのはダブルライダーだ。そうなると、連携を組みやすいのはゾル大佐かダブルライダーかである。
 何より、二人……特に本郷猛の持つ『カリスマ』を死神は期待した。
 スマートブレインとの決着は集団を結成できなければ厳しい。
 その点、本郷なら立花藤兵衛や多くの協力者を得て、アンチショッカー同盟に見込まれ、ショッカーを裏切ってから僅か数ヶ月で日本だけでなく、世界にも仮面ライダーの名を轟かせたほどのカリスマがある。
 結成した大集団が烏合の衆では困るのだ。仮面ライダーに力を持たせるのはなるべく避けたいが、贅沢は言っていられない。
 それに、奇妙な話だが同盟を確約した時、こちらの約束を守る確信があるのはダブルライダーなのだ。
 他のライダーおよび人間はバトルロワイヤルの恐怖にいつ気が触れるか信用が置けない。
 いつ約束を反故にして襲い掛かるか気が気ではない。
 精神の強固さと、誠実さ両方に信頼が置けるのはよりにもよって宿敵のダブルライダーだ。
 たとえ一時的であっても、手を組まざるを得ない。
(いずれ本郷猛と組む日に備えて、影山のような戦力を増やしていかねばな。そう、この死神が指揮するショッカーライダー部隊を!!)
 大きな組織を待つのは派閥による争い。

488:名無しより愛をこめて
08/07/26 14:30:23 LJhNZQfE0


489: ◆KaixaRMBIU
08/07/26 14:30:50 kVycOanm0
 ショッカーとて例外ではない。死神にとっては未来の話だが、ショッカーがゲルショッカーへと代変わりした際、旧ショッカーの怪人および戦闘員は始末している。
 これはショッカーを一枚岩にするための、手段である。もっとも、乱暴な手段であるが。
 それはともかく、死神が本郷と組むにあたってしなければならないのは己の味方を増やすこと。
 影山は既に丸め込んでいる。残り二人、風間と真司に本郷は警戒を呼びかけるだろう。
(それだけは避けなくてはな)
 本郷の声をも退ける『信頼』が彼らとの間に必要だと、死神は悟った。


(そして、牙王の言っていた時の列車。あやつはどこかに時の列車……神の列車といっていたな。
それがあると考えていたが……ないだろう)
 もし時の列車があるとしても、スマートブレインの手元以外には考えられない。
 時の列車は殺し合いを破綻させることができる最大の武器だ。
 牙王から聞いた限り、ハイパーゼクター以上に都合のいい性能を持つ時の列車を奴らが放っておくとは考えにくい。
 時の列車の行方は、スマートブレインが奪ったのか、もしくは……
(破壊だな。持ち主ごと。牙王によれば、神の列車を持つ牙王とゼロライナーと呼ばれる列車の持ち主はここにいる。
時の列車の持ち主が三人の内二人がそろっているのに、たった一人仲間外れになるのはおかしい。
だが、現実にデンライナーと呼ばれる列車の持ち主は呼ばれていない。
ならば、答えは一つ。デンライナーの持ち主、そやつは殺されている)
 死神の冷酷な思考がそう結論付ける。
 他にも根拠はあった。風間と真司の仲間ハナの存在である。
 ハナなる人物はデンライナーの乗員であった。彼女と同じく、モモタロスという第一回放送前に死んだ男もそうだ。
 つまり、スマートブレインは『時を超越できる列車』からその乗員を『いつの間にか』連れ出したのである。
 時の列車の干渉を上回る干渉能力を持つ組織が、時の列車を見逃しておくと見るのは難しい。
 おそらく時の列車は破壊、およびスマートブレインの手駒として保管のどちらかだろう。
 そして、この殺し合いに参加者としてもれたということなら、最初の見せしめの二人のライダーと同じく、始末された。
 そう見るのが自然だ。

490:名無しより愛をこめて
08/07/26 14:31:00 LJhNZQfE0


491: ◆KaixaRMBIU
08/07/26 14:31:40 kVycOanm0
(デンライナーなる時の列車の運行人による手助けは期待できないな。まあ、我らショッカーの幹部は助けを求める柄ではないから、どうでもよいが)
 デンライナーを始め、時の列車を戦力としてみるのはおろかな行為だ。
 死神はそう結論つけて、立ち上がる。
「どこに行くんですか?」
「影山。ワシは風間と城戸に話がある。お前にはここの見張りの引継ぎを任ずる」
「あいつらのところにですか?」
「そう不快な顔をするでない。我々は生き残らねばならぬ。
そのためにハイパーゼクターの解析は必須。少し貸してもらうよう交渉してこよう」
「……そういうことなら」
 影山が少し不服そうに了承するが、死神は気づかない振りをして踵を返す。
 ハイパーゼクターもそうだが、風間や真司といった男たちがどの程度戦力になるのか、見極めるために。




「……まったく馬鹿げている」
 風間はベッドに腰をかけながら、いびきをたてて眠る真司を見つめ、ため息を吐いた。
 窓を見ると空はどこまでも青く、もし変身で空を飛ぶことができるのなら気持ちいいだろうなと感想をいだいた。
 首にかかる鉄の感触を感じ、風間はもう一度ため息を吐く。
 風間は真司の暢気さに呆れ、死神とか言う明らかに怪しい雰囲気の老人の言葉を信じる人のよさにさらに呆れていた。
 最初であった時からやかましく、お人好しだと感じていた相手だが、ここまでとは。
 結構厄介な相手と組んだものだと風間は思う。
 もともと風間は影山と組んでいる死神を前にして、別れることを提案するつもりだった。
 ゴンを人質にするような卑怯者と組む怪しげな老人を信用する気など、風間にはない。
 その風間の思惑を超えてとりあえず一緒になったのは目の前でいびきをかいている真司が大きい。
 曰く、『仲間は少しでも多いほうがいい』『俺たちがまず信頼を示さないで、仲間を増やせない』とか。
 お人好しにふさわしい多彩な意見で押し切られてしまった。流されている現状は非常にまずい。
 かといって真司を一人にして出て行くほど冷血漢ではない。

492:名無しより愛をこめて
08/07/26 14:32:21 LJhNZQfE0


493: ◆KaixaRMBIU
08/07/26 14:33:04 kVycOanm0
 何より、ハナはここに来る。
 影山のような奴と合流することになるのは仕方ないとしても、接触する機会は減らしてやりたい。
 影山は全女性の毒だ。ハナを近づけるわけにはいかない。
「いてっ!」
 そう思考している風間の前で、真司がベッドから転げ落ち、目を覚ます。
 どこまでも暢気な真司に対して、風間は毒気を抜かれた。


 コンコン、とドアからノック音が聞こえてくる。
 死神の入る許可を求める声を聞き、特に断る理由のない風間は承知する。
「どうしました? もう見張りの交代ですか?」
「いいや、少し二人に話があってな」
「どうぞ、死神さん。本郷さんの知り合いの方の話なら、大歓迎ですよ。あ、お茶入れましょうか?」
「先ほど紅茶を飲んできた。城戸くん、気を使わなくて結構だ」
「あ、そうっすか」
 和やかな会話をするごく普通の青年と怪しげな老人。シュールな組み合わせに風間は頭痛が起きる。
 少なくとも常識人を自負する自分としては、見ていてため息しか出ない。
「ところで、先ほどの情報交換の際に君たちの持ち物で興味をもってな」
「へえ、何にです?」
「銀色のカブトムシを模したアイテムがあっただろう。あれは影山曰く、ハイパーゼクターというアイテムらしい」
「ほう、影山がね。と、いうことはこれはZECTの開発したアイテムだということでしょうか?」
「そのようだ。その能力が特殊なのだ。そう、影山から伝えによると、時を超える能力を持つという」
「時を越える……クロックアップの応用でしょうか……?」
「分からない。しかし、その技術を調べることはワシにも君たちにも充分利益がある行為だと思うが?」
 いいながら、死神は首輪を指差した。風間はすぐに察しが付き、疑問符を頭に浮かばせている真司を突っついて耳打ちする。

494:名無しより愛をこめて
08/07/26 14:33:30 xY2B5UllO
支援

495: ◆KaixaRMBIU
08/07/26 14:34:09 kVycOanm0
 おそらく、死神は首輪の解析をするため、未知の技術を調べたいということなのだろうと。
 声に出さなかったのは、何らかの手段で監視されていることを示している。
 耳打ちを終えて、風間は死神を見つめる。果たして、信頼に足る人物かどうか?
 影山と一緒に行動しているところを見ると、信用できるとはいい難い。怪しげな風貌も不信に一役買っている。
 簡単にハイパーゼクターを渡していいのか?
 風間の答えはでなかった。


「いいっすよ。どんどん借りていってください」
「ちょっと、勝手に……」
「いいじゃないか。こいつを何とかするためだぜ。死神さんは本郷さんの知り合いだって言うんだから、信用できるって」
「あなたという人は……」
 風間は頭痛を抑えるような仕草をしながら、真司を見つめる。
 真司の瞳に自分が正しいと確信している人間の色があった。
 その態度に誰かを思い出す。騒がしい、天道の傍にいるあの男。
 風間は加賀美新を、真司に重ねた。この手の人間のあしらい方は心得ているはずだが、死神と出会ってからは真司のペースだ。
 自分の本領発揮できる相手、女性もいないことだとやや自棄になりながら、風間は死神にハイパーゼクターを差し出す。
「好きにしてください。ただし、私たちの手助けもしてもらいますよ」
「ふふふ、当然だ。我々は同志なのだからな」
 風間はこれ見よがしに首輪を指差した。
 死神が頷き返し、離れていくのを見つめ、盛大にため息をつく。
 その原因は……
「やっぱり死神さん、貫禄あるよな。年の功……なんてな」
 どこまでも能天気であった。



 真司と風間がいる一室から移動をし、死神は一人黙考する。

496:名無しより愛をこめて
08/07/26 14:34:46 LJhNZQfE0


497: ◆KaixaRMBIU
08/07/26 14:35:32 kVycOanm0
 容易にハイパーゼクターが手に入ったのはありがたいが、死神に逆に不安が訪れる。
(あやつ……城戸真司は期待できないな……)
 冷酷な評価を死神はくだす。風間はまあ、合格点だといってもいい。
 それほど頭がよさそうに見えないのは二人とも一緒だが、賢すぎると死神の障害となるゆえ、そこは構わない。
 むしろ影山や風間のような凡庸な人間の方が扱う側としてはありがたい。
 そこそこの思考が回り、それでいて腕が立つ。
 駒としてはちょうどいい。
 問題は、逆に考えが足りない真司のような人物だ
 真司は死神から見れば、おろかすぎる。風間や影山なら矮小な疑心を持って黙する場面でも盲目的に人を信じ、口にする。
 こちらの仕草で察せず、風間の耳打ちで目を輝かせた瞬間、死神は真司を切り捨てる覚悟を決めた。
 善良すぎる。こちらに引き込もうとも、周りを信じすぎるゆえ扱いにくい。
 真司はこちらの言葉を容易に信じるように、悪意を持って近づく者の言葉も信じるであろう。
 一人にさせるならのたれ死ねばいいが、集団として紛れ込んでいるとなると厄介だ。
 こちらの集団が崩壊する隙を作りかねない。
(戦いのドサクサにまぎれて殺し、首輪を確保する。その程度の使い道しか見えぬな)
 死神の冷徹な判断が降りる。
 何事もすぎたるは及ばざる如し。信頼は必要だか、だれかれ構わず信頼しすぎる奴は要らない。
 彼の行く道は常に、屍が築かれていた。




498:名無しより愛をこめて
08/07/26 14:36:16 xY2B5UllO



499: ◆KaixaRMBIU
08/07/26 14:36:17 kVycOanm0

【死神博士@仮面ライダー(初代)】
【1日目 現時刻:午前】
【現在地:G-4 病院】
【時間軸】:一号に勝利後。
【状態】:若干疲労、擦り傷程度の傷多数 
【装備】:鞭
【道具】:基本支給品一式、デスイマジンの鎌@仮面ライダー電王、ハイパーゼクター
【思考・状況】
基本行動方針:打倒本郷、及び一文字(保留)。この殺し合いをショッカーの実験場と化す。
1:ダブルライダーと一時休戦をする。
2:集団を結成し、スマートブレインに対抗する。
3:影山、風間を利用して戦いを有利に進める。
4:首輪を外す方法を研究する。その為にも研究施設へ向かう。首輪のサンプルが欲しい。
5:未知のライダーシステムおよびハイパーゼクターの技術を可能な限り把握する。
6:影山をショッカーライダーとして導く……?
7:利用できそうな人物を集める、障害となりうるのであらば排除。
8:真司はいずれ切り捨てる。
※一文字隼人(R)の事を一文字隼人(O)だとは信じていません。
また、第一回放送で呼ばれた一文字隼人(O)は一文字隼人(R)だと思っています。
※流れ星は一戦闘に六発まで使用可、威力はバイクがあれば割と余裕に回避できる程度。
 尚、キック殺しは問題なく使えます。
※変身解除の原因が、何らかの抑止力からではないかと推測しています。
※風間と城戸の所持品、カブト世界、 龍騎世界について把握しました。
※ハイパーゼクターはジョウント移動及び飛行が不可能になっています。マニュアルはありません。
【考察まとめ】
1.首輪の100%解析は不可だが、解除することは可能。
2.首輪を外せるのは罠で、タイミングが重要。
3.時空を超越して逃げても、追跡される。
4.会場に時の列車はない。あるとしてもスマートブレインの手の中。
5.ガオウから聞いた、デンライナーの持ち主は干渉を避けるために既に死んでいる可能性が高い。

500: ◆KaixaRMBIU
08/07/26 14:36:53 kVycOanm0


【影山瞬@仮面ライダーカブト】
【1日目 現時刻:午前】
【現在地:G-4 病院】
【時間軸:33話・天道司令官就任後】
【状態】:全身に若干の疲労。背中に軽い裂傷。
【装備】:ザビーゼクター、ブレス
【道具】:支給品一式×2、ラウズカード(◆J)、不明支給品0~2(確認済)
【思考・状況】
基本行動方針:生き残り、脱出する。
1:取り敢えず死神博士に協力する。
2:天道総司を倒した参加者、牙王は自分の手で倒す。
3:自分に使用可能な武器・変身ツールの確保。
4:木場とは出来れば会いたくない……。
5:仲間を集める。
※午前1時過ぎの時点でG-2のガソリンスタンドに乗り物はありませんでした。
※不明支給品は彼に戦力として見なされていません。
※風間と城戸の所持品、龍騎世界について把握しました。




501: ◆KaixaRMBIU
08/07/26 14:37:13 kVycOanm0

【風間大介@仮面ライダーカブト】
【1日目 現時刻:午前】
【現在地G-4 病院】
[時間軸]:ゴンと別れた後
[状態]:鼻痛(鼻血は止まっています)
[装備]:ドレイクグリップ、ドレイクゼクター
[道具]:支給品一式、オロナミンC2本(ぬるめ)
【思考・状況】
基本行動方針:戦いはなるべく回避し、できるだけ早く脱出する。
1:都市部の探索。仲間との合流。
2:協力者を集める(女性優先)
3:謎のゼクターについて調べる。
4:あすかがどうなったのか心配。
5:移動車両を探す。
6:影山瞬に気をつける
※変身制限に疑問を持っています。




502: ◆KaixaRMBIU
08/07/26 14:38:00 kVycOanm0

【城戸真司@仮面ライダー龍騎】
【1日目 現時刻:午前】
【現在地:G-4 病院】
[時間軸]:劇場版、レイドラグーンへの特攻直前
[状態]:全身に軽度の痛み、芝浦の死に悲しみ
[装備]:カードデッキ(龍騎)
[道具]:支給品一式
【思考・状況】
基本行動方針:早期に殺し合いを止めた上でのスマートブレイン打倒
1:仲間を集めて主催者打倒 。
2:金色の仮面ライダー(グレイブ)に注意する。茶髪の男?まさか…?
3:本郷ともできれば再度合流したい。
4:志村の後を追い、長田結花との合流を目指すついでに話を紐解く。
5:手塚に似てるなぁー。
[備考]
※不信感を多少持ちましたが、志村をまだ信用しています。
※名簿に手塚、芝浦、東條、香川の名前がある事から、スマートブレインが死者蘇生の技術を持っていると考えています。
※連続変身出来なかった事に疑問を感じています。
※志村について話していません。
※カブト世界について把握しました。



[共通備考]
※死神博士を除く三人は互いに所持品、行動方針、出身世界程度の情報交換をしました。


503:名無しより愛をこめて
08/07/26 14:39:04 LJhNZQfE0


504: ◆KaixaRMBIU
08/07/26 14:39:06 kVycOanm0
投下終了。
タイトルは 恐怖!死神ショッカーライダー大部隊結成作戦!! です。

指摘感想お待ちしております。

505:名無しより愛をこめて
08/07/26 14:47:35 LJhNZQfE0
投下乙です!

死神博士の頭脳が冴え渡るー!格好いいです!
首輪や時の列車に関する考察、流石としか言いようが無いですね。
しかしいやいやながら手を組むと決めたダブルライダーはもう……
それと真司がやばいw
風間・影山の二人もこれからどう絡んでいくか楽しみです!GJ!!

506:名無しより愛をこめて
08/07/26 14:52:13 FlhFVTYNO
投下乙です!
苦悩の末にダブルライダーとの共闘を決意した死神。
残念なことにそのダブルライダーは既になく……
早くも戦力外の烙印を押された真司、
ハイパーゼクターを手放した大介の今後にも不安が立ち込めてますね。

そして首輪に関する死神の考察が非常に緊迫感溢れるものでした。
確かにスマブレは普通に首輪外そうが島毎殲滅しそうで困るw


GJ!!

507:名無しより愛をこめて
08/07/26 14:54:48 kDhabpnb0
乙です。
死神博士、ダブルライダーはもういないよ!
そうなると何とかゾル大佐に会わなければ……
しかしそこにはへんな勘違いをした橘さんが。
なんだか不安になってきた……

508:名無しより愛をこめて
08/07/26 19:08:36 7VvItNkl0
投下乙!
死神博士の考察が凄いなぁ……思わず対主催者として一番期待出来てしまうw
確かに首輪を直ぐに外しても必ずしも解決にはならないよなぁ。
そしてすっかり子分になった影山と、即効で切られた城戸に笑ってしまったw
彼らが今後死神と決別するか、ショッカーライダーとなるかも気になるw
GJ!!

509:名無しより愛をこめて
08/07/26 23:15:04 kpaUpfPF0
投下乙です。
流石死神博士だと言いたいが、本郷は2人とも死んでる状態なんだよなー
橘さんがまたエライことしそうだ。
しかし良太郎やっぱ死んでるのかね?

510:名無しより愛をこめて
08/07/26 23:42:29 4hFnTfOQ0
ロワに参加してないキャラまで勝手に殺すのはやめてほしいなぁ。
なんか意味無いじゃん、そういうの。

511:名無しより愛をこめて
08/07/27 00:07:37 /iltYlDhO
ま、死神博士がそう考えてるってだけだからいんじゃね?
実際書かれる事もないだろうし。

512:名無しより愛をこめて
08/07/27 00:13:03 5OLDIWnRO
ちゅうかデンライナーの持ち主ってオーナーじゃね?

513:名無しより愛をこめて
08/07/27 00:15:23 vYUD3n+WO
一キャラの考察に何をw
侑斗ガオウに加えハナとモモがいるのに良太郎が参加してないのを
第三者が不信に感じるのは別段おかしくないし

514:名無しより愛をこめて
08/07/27 00:23:07 yBEbM1c90
安心しろよ、良太郎は今頃のんきに高校野球でもしてるさw

515:名無しより愛をこめて
08/07/27 00:33:11 /EUSYceR0
>>514
暢気じゃねえよ、ニコガクなめんな
…あんま台詞ないけどなw

516:名無しより愛をこめて
08/07/27 09:18:48 d73snhM00
良太郎ニコガクではあんまり目立たないんだよね・・・

517:名無しより愛をこめて
08/07/27 15:09:08 zDKkMm2MO
もはやメビウスのほうが

518:名無しより愛をこめて
08/07/27 15:54:03 G9OsoU3n0
お前らが王様のブランチを見たことはよくわかったからその辺にしとけ

519:名無しより愛をこめて
08/07/27 16:40:11 g7hC/e9j0
27時間テレビおもしろい

520: ◆yFvLIBbl9I
08/07/28 21:58:43 yJaJpkyp0
wikiの雑談掲示板内、仮投下スレの方に作品を仮投下させていただきました。
矛盾点、誤字脱字などありましたらご指摘の方お願いいたします。

521:名無しより愛をこめて
08/07/28 22:02:35 dhtTf3VC0
>>520
仮投下乙です。特に問題はないかと。
感想は本投下時に

522: ◆N4mOHcAfck
08/07/29 10:55:22 QZ+Yu6w30
仮投下を行わせていただきました。
指摘等ありましたらお願いします。

523:名無しより愛をこめて
08/07/29 17:56:25 AT4/M9MC0
はぐれメタルでねぇ

524:名無しより愛をこめて
08/07/29 19:46:55 lG/wTGM00
朝の11時に投下とかw
厨房は夏休み真っ盛りのようで羨ましいよw

525:名無しより愛をこめて
08/07/29 22:01:51 b4i5IcQh0
>>524
とりあえずsageようよ

526: ◆FMWmYHfUMY
08/07/30 00:35:06 RqERjnQO0
仮投下をさせて頂きました。
いろいろと緊張しまくりです。
指摘などありましたら、どうかよろしくお願いします。

527:名無しより愛をこめて
08/07/30 11:39:33 5LzGLknA0
>>526
投下乙です!
特に問題はないと思います。
感想は本投下時にさせていただきます。
楽しみにお待ちしております!

528:名無しより愛をこめて
08/07/30 21:34:26 Ggx0NY4f0
将軍に睨まれた書き手は帰ってこないな

529: ◆yFvLIBbl9I
08/07/30 22:57:43 qqqdkmNc0
香川英行、桜井侑斗、木場勇治、海堂直也、十面鬼ゴルゴス
投下いたします。

530:Weak and powerless ◆yFvLIBbl9I
08/07/30 22:58:36 qqqdkmNc0
パステルカラーで塗られたショッピングセンターの壁。
所々が抉れ、または焼け焦げて、今しがた刻まれたばかりの戦いのしるしも生々しい。
出入り口付近に嵌められた大きな窓ガラスは軒並み割れており、尖った先端を鋭く光らせて、荒廃した雰囲気を漂わせている。
その中の三人の人影。中年の男が一人。若い男が二人。皆一様に憔悴を顔に浮かべていた。

「……桜井君」

始めに口を開いたのは中年の男――香川だった。
おびただしい量の緑色の血液が、大理石風の床に不気味な模様を描いている。
侑斗は膝をつき、つい先ほどまでここに無残な姿を晒していたかつての仲間が封じ込められたカードを握り締めたまま、気遣う言葉にも答えようと

しない。
深い後悔と無力感に、俯いた顔は色をなくし、手はかすかに震えていた。
香川が侑斗の肩を軽く叩く。侑斗はきつく唇を噛み締めてから、ゆっくりと顔を上げる。

「はい……もう、大丈夫です」

言って立ち上がると、ぐいと香川を見返す。その様子を見て、香川も頷きを返した。

もう二度と、仲間を失いたくない。
自分達を庇い、自分達に想いを託して死んでいった――一条、金居。
その二人のためにも、仲間を守り、この殺し合いを止めると誓う。
侑斗の胸に灯る決意の炎は、より一層激しさを増した。

手の内のカードをもう一度見つめる。
金居の作意に気付く事が無かったのは、彼にとっては幸運であった。


531:Weak and powerless ◆yFvLIBbl9I
08/07/30 22:59:06 qqqdkmNc0
※※※


その様子を少し後ろで見ている青年――木場は、金居の死に戸惑い、二人と同じく悲しみを覚える。
しかし、それと同時に彼の心には暖かな感情が広がっていた。
硝子片やコンクリート片が散らばる床に広がる、明らかにヒトのものではない血溜まり。
金色の甲冑のようなその姿をしていた男の死を悼む二人。
死んだ金居という男は、彼らに受け入れられ、信頼されていたのだ。
おぞましい、殺し合いという舞台に放り込まれてなお、自分と同じように、困難に抗う人たちがいた。
自分の考えは間違っていなかった。
その事は、こちらへ来てから人間の悪意にばかり晒されていた木場の心に慰めをもたらした。

「……木場君、と言いましたね? 改めて聞かせてもらえませんか、貴方の事を」
「はい」

桜井と呼ばれた青年が落ち着くのを待って、香川と名乗った男がこちらへ歩み寄る。
木場は頷く。何から話すべきか少し迷ったが、自分がオルフェノクと呼ばれる存在であり、先ほどの姿がそうだと説明した。

「オルフェノクは……元々人間で、一度死ぬ事で覚醒したり、他のオルフェノクに蘇らされたりしてなるんです」

香川も侑斗も、木場の話を真剣に聞いている。
木場もそうだが、彼らが自分たちと同じ世界に属さない事を薄々理解していたのだろう。
そして、スマートブレイン。その単語を木場が口にした途端、二人に緊張が走るのが見て取れた。
木場はちらと、ファイズギアに印されたロゴを見る。

532:Weak and powerless ◆yFvLIBbl9I
08/07/30 23:00:30 qqqdkmNc0

「スマートブレインは、オルフェノクになったものを束ねている組織です。この殺し合いを仕組んだ理由は分からないけれど……」

木場はスマートブレインについて、知りうる事を全て話した。
反抗する自分達のようなオルフェノクを執拗に狙う事、そのために存在する三本のベルトの事。
そして、彼らの前に姿を現した、スマートブレイン社の社長――村上峡児の正体。

「なるほど……彼もオルフェノク、という事ですか」
「ええ」
「ならば、ここで戦っていた竜のような姿をした怪人、あれもオルフェノクなんですね?」

その姿から木場との相似性を見出した香川が問う。
北崎――ドラゴンオルフェノク。
スマートブレインの有するオルフェノクの中でも最高の強さを持つ、ラッキークローバーの一葉。
木場は彼と戦った事がある。ここに来る前と、来てから一度。
圧倒的な力。子供じみた振る舞いに滲む凶暴性。
厳しい表情をする香川と侑斗。

「でも、全てのオルフェノクが敵な訳じゃありません。オルフェノクでも、人間の心を持った者がいます。……あの」

533:名無しより愛をこめて
08/07/30 23:03:28 Zokxzu1h0
  

534:Weak and powerless ◆yFvLIBbl9I
08/07/30 23:03:48 qqqdkmNc0

香川は首を振る。自分達がやって来た時、北崎と戦っていたのはオルフェノクではなく別の人物だったと言う。
そして――その人物こそ、香川の探している東條悟であった。
木場は名前こそ知らないものの、香川の語る人物評や変身後の姿を聞いて、海岸で戦ったあの青年だと思い当たる。
その時の様子を伝えると、香川の表情はより一層険しいものになった。

「彼との決着は私が着けなければなりません。それが私の、指導者としての責任です」

重苦しく決意を口にする香川の様子に、木場はまた不安が心を満たして行くのを感じていた。
東條のような危険人物が、自分が気絶した後に乱入してきたのなら、海堂は無事なのだろうか?
青ざめた木場の顔を見て、今度は侑斗が香川に言う。

「香川さん、探しましょう。仲間になってくれると言うんなら、そうするべきです」

侑斗と香川は顔を見合わせて頷いた。
仲間が増えるというのなら、文句は無い。そういった様子だった。

「では、木場君。私たちと共に、殺し合いの阻止をしてくれますね?」
「……はい!」

香川の目を見つめ、不安を打ち消すように力強く応える。心に巣くっていた闇が、僅かに薄らいだような気がした。


535:Weak and powerless ◆yFvLIBbl9I
08/07/30 23:04:27 qqqdkmNc0
※※※


「香川さん、こっちです」

木場が最後に海堂を見たという店内に二人をいざなう。
めいめいがデイパックを抱えて歩きながら、香川は静かに思考を巡らせていた。
木場から得た情報に関してだ。

スマートブレイン社。木場が語るその姿は巨大複合企業に他ならない。
だが、衛星を利用した監視や、島一つバトルロワイアルの舞台にするなど、遥かにその範疇を超えた力を持っている。
香川はデイパックの中から首輪を取り出す。
銀を基調としたそれ。一部こびりついた煤に隠れているものの、スマートブレインの刻印がはっきりと見て取れた。
フレームには一体どういった金属が用いられているのか、大した重さは感じられない。
内部には相当のテクノロジーが詰まっているはずなのだが。
生きた人間を即座に灰化させる事など、その最たるものだ。香川の知るどんな方法を用いても、人体を一瞬で灰に変える事など不可能。
人智を超えた技術を有するスマートブレイン社――それを束ねている村上なる男の正体――オルフェノク。
一度死んだ状態から覚醒し蘇る、人類の進化系と呼ばれる存在。
香川は首輪にも、その力が使われているのではないかと推測する。依然、原理はわからないが。
だとしたら、放送で告げられた『死者の蘇生』についても、考えが変わってくる。
スマートブレイン社は死体の一部の欠損も無く、首輪を付けたままならば、死者をオルフェノクの力を使って蘇らせる事ができる。
おそらく、オルフェノクとして。
侑斗と並んで歩く木場を見やりながら思う。

536:名無しより愛をこめて
08/07/30 23:04:51 Zokxzu1h0
   

537:Weak and powerless ◆yFvLIBbl9I
08/07/30 23:05:50 qqqdkmNc0

(いずれ一度、オルフェノクについて、彼に詳しく聞かせてもらわなければならないでしょうね……)

そして木場と戦い、このショッピングセンターに姿を現したかつての教え子、東條。
香川の見た東條は、自分をその手に掛けようとした時と変わらず、暗黒を瞳に宿らせていた。
いびつな形に歪められた英雄願望。
東條の持つそれに薄々気付いていながら、止められなかった、正す事が出来なかった。
彼を導く立場にあった自分が今ここでなすべき事だと、香川は心に刻み付ける。

(東條君……あなたは私が止めます、今度こそ、必ず……)


※※※


海堂が目を覚ましたのは、三人がその場を離れた直後だった。
ガイのファイナルベントで少し離れたショッピングセンターの入り口付近まで跳ね飛ばされたため、三人から目視される事はなかったのだ。
バイクにもたれたまま、空を見上げた。若干雲が増えて来たように思えるものの、変わらず降り注ぐ輝く太陽の光に目を細める。
したたかに打ち付けた体がギシギシと痛むが、骨折などはないようだった。
眩しさと疲労感に瞼を閉じると、先ほどの戦いが脳裏に蘇る。
湧き上がる、仮面ライダーへの恐怖、それを凌駕する怒り。憎しみ。
狂ったような笑い声を上げながら突進してくる、犀を模した銀色のライダーと怪物。緑の血、断末魔。
竜のような姿をしたオルフェノクが変身した、黒と金の仮面ライダー。
――そういえば、変身の仕方がファイズに似ていたような気がする。

538:名無しより愛をこめて
08/07/30 23:06:24 Zokxzu1h0
    

539:Weak and powerless ◆yFvLIBbl9I
08/07/30 23:06:31 qqqdkmNc0

「ってそうだ、木場だよッ木場!!」

がばりと跳ね起き、立ち上がる。
気絶した後のことは定かでないが、たしか金のライダーはどこかへ運ばれて行き、銀のライダーは仲間を殺し――
その後、新たな獲物を探して店内に戻った者が、気絶したままの木場を発見したとしたら?
海堂の背中に冷たい汗が噴き出す。

「オイオイ、まさかやられっちまったんじゃねェだろうなぁ……」

もしそうなら、夢見が悪いとかそんなレベルじゃねーぞ!
慌てて踵を返し、ショッピングセンターへ向かう。
ふと、耳鳴りがしたような気がした。吹き飛ばされた際に頭でも打ったかと思ったが、構っていられない。

「生きてろよ……木場ぁ!」

バイクのミラーの中からこちらを伺う影に気付かず、海堂は駆け出した。


540:名無しより愛をこめて
08/07/30 23:07:12 Zokxzu1h0
     

541:Weak and powerless ◆yFvLIBbl9I
08/07/30 23:07:14 qqqdkmNc0
※※※


広大なショッピングセンターの中を、三人は歩く。
観葉植物の鉢植えは薙ぎ倒され、陳列されていた商品が床に撒かれている。
来店する客の購買意欲を誘うための明るさも、清潔感も、いまや見る影も無い。
普段何気なく過ごしている日常の風景に残された、戦いという名の非日常が見るものを陰鬱な気持ちにさせる。
隣を歩く侑斗とふと目が合い、木場は気分を紛らわすためにも何か話がしたいと思った。
ぎこちなくだが、柔らかい笑みを浮かべて礼を述べる。

「助けてくれて、ありがとうございます」
「別にいいさ」

ぶっきらぼうな侑斗の態度に、友人である乾巧が重なった。年のころも、同じぐらいだろうか?

「海堂は素直じゃないけど、ずっと俺達の俺たちの味方でいてくれたんです。きっと力になってくれる。オルフェノクでも――」
「それこそ関係ない。……変な奴らと付き合うのは慣れてるし」
「変な奴ら?」

侑斗は一瞬決まりの悪そうな顔をしたが、ぽつぽつと話をしてくれた。
元いた世界では、イマジンという存在と戦っていて、その中には自分達に味方をしてくれる奴がいた、と。
そいつがまたお節介のお人好しで、自分を子供扱いばかりしていらない世話を焼いてくると来た。
話しているうちにその時の気持ちを思い出したのか、心底腹立たしげな様子の侑斗を見て木場はほほえましく思う。

542:Weak and powerless ◆yFvLIBbl9I
08/07/30 23:08:04 qqqdkmNc0
「その人も、ここに連れて来られているんですか?」
「ああ」
「早く会えるといいですね」
「別に心配してない。簡単にやられるような奴じゃないしな」
「そうですね、きっと無事ですよ」

またどっかで誰かに飴でも配ってるかもな。
そう言って肩を竦める侑斗と、まだ見ぬデネブという名の相棒に、木場は好感を持つ。
彼の話を聞いていると、自分の理想とする人間とオルフェノクの共存も決して夢などではない。そう思えた。
未だ眠り続ける悪意の種子を、自らの胸に抱えたまま。

「ところで、桜井君……でしたよね? 君は何歳ですか?」
「……19だけど」
「ああ、やっぱり。俺、同じ位の年頃の友人がいるんです。何だか似てるなーと思って」
「……木場、さんは、何歳なんですか?」
「21ですけど、あんまり気にしないでください」

年齢を意識した途端、敬語になった侑斗におかしみを覚え、笑いかける。今度はだいぶ自然な笑顔が出来た。
その時、木場の耳が一つの音を捉える。立ち止まり、辺りを見回すと、香川と侑斗も足を止めた。

「木場……おーい、木場ぁーーー!!」
「海堂!」

ショッピングセンターの入り口付近から聞こえてきた声。見れば、まっすぐ駆け寄ってくるのは探していた海堂その人である。
香川と侑斗にアイコンタクトを取り、木場自身も海堂に向かって走り出す。

543:名無しより愛をこめて
08/07/30 23:08:38 Zokxzu1h0
      

544:Weak and powerless ◆yFvLIBbl9I
08/07/30 23:09:26 qqqdkmNc0
そして再会を果たした二人の元に訪れたのは――
耳をつんざく爆音と、降り注ぐコンクリート片、ガラス。その熱量に弾き飛ばされる。
――乱入者による、破壊であった。


※※※


十面鬼ゴルゴスは牙王と別れた後、血を求めて市街地を彷徨っていた。
牙王がどうやら北上した様なのと、力を持たず協力者を求める弱者ならば、
市街地に潜んでいるだろうと考えての行動だったが、未だ一人の獲物も見つけられていない。
いい加減苛立ちも限界に達していたが、しばらくすると重かった体が軽くなったような気がして、ゴルゴスは制限が解けたことに気が付く。
これなら、次に遭遇した相手を叩き潰し、その血を啜る事が出来るだろう。

ゴルゴスがショッピングセンターで起こっていた戦闘に気が付いたのは、銃声のためだった。
すぐさま向かおうとしたが、これだけ派手な戦闘をしているならば、そこに居るのは忌々しい仮面ライダーに違いない。
そう思い直し、ゴルゴスは様子見を決め込む。
死神博士は自分たちに制限が掛かっている、と言った。
たとえ相手が誰であろうと、倒す自信はある。だが、今は血を得る事が先決だ。
狙うのは弱者。制限がかかって弱体化した所を襲えば、仮面ライダーであろうと恐れるに足りぬ。

「血さえ得ることが出来れば、俺は誰にも負けん! 待っておれ、牙王、死神、影山……アマゾン!!」

545:Weak and powerless ◆yFvLIBbl9I
08/07/30 23:10:00 qqqdkmNc0
ショッピングセンターから聞こえる戦闘音が収まるのを待って、ゴルゴスは目的地へ向かう。
そうして見つけたのが――四人の哀れな贄であった。
ゴルゴスはおもむろに体を宙に浮かせると、その体に以前のように力が漲るのを感じた。
久々の狩りに胸が躍る。
積もり積もった鬱憤を加虐の愉悦に変え、ゴルゴスの大岩が火を噴いた。


※※※


それは間違いなく、彼らが今まで目にした中で、最も『異形』であった。

見上げるほどの大岩は血塗られたように赤く、いくつもの人面が埋め込まれており、岩自体も憤怒の表情を形取っている。
その上に生えた人の上半身――同じく赤く染まった肌。
大きく歪んだ口元からは長く伸びた牙が覗き、まさに悪鬼そのものと言えるような顔を持つ。
そして信じがたいことに、その巨体を宙に浮かばせて、金色に輝く目で彼らを見下ろしているのだ。
『異形』は洞穴から響くような声で、低く笑った。

「ウハハハハハハ!! これはいい、生きの良さそうな餌がこんなに居るとはな!」

岩に埋め込まれた顔たちが一斉に笑い出す。あまりにも異様な、怖気のするような眺めである。
唯一、ゴルゴスと交戦した事のある木場が呟く。

546:名無しより愛をこめて
08/07/30 23:10:23 Zokxzu1h0
       

547:Weak and powerless ◆yFvLIBbl9I
08/07/30 23:10:40 qqqdkmNc0
※※※


「木場さんっ……!」
「桜井君、出てはいけません!」

香川と侑斗は、ひしゃげた防火扉の後ろで様子を伺っていた。轟音と共に遮られた視界に、侑斗が思わず身を乗り出す。
どうやらあの怪物は木場と因縁があるらしい。激昂した声、ターゲットを木場に絞った事から香川はそう判断する。
木場を失う事は出来れば避けたい、スマートブレイン社の情報を持つ彼は脱出の助けになるはずだ。
香川は今にも飛び出して行きそうな侑斗を見る。
桜井侑斗、脱出のための鍵になりうる『ゼロライナー』のオーナーであり、『ゼロノスベルト』の持ち主――
香川は一つの決断を下す。

「桜井君、私が囮になります。あの怪物を引き付けますから、木場君たちと逃げてください」
「!? 香川さん、何を言っているんです!」

驚いて香川を見返す侑斗。香川はしっかりと侑斗の目を見て告げた。
「あなたは制限のため変身する事が出来ない。戦うことは不可能です。
 それは木場君も同じ……あなたと彼はこの殺し合いを阻止するための鍵になる。逃げてください」
「駄目です! 戦えないのは香川さんも同じだ! そんな事――」
「いいえ、桜井君」

香川の、眼鏡の奥の瞳が侑斗の体の表面を伝う。その視線はやがて、握り締められたゼロノスベルトにたどり着く。

548:名無しより愛をこめて
08/07/30 23:11:36 Zokxzu1h0
        

549:名無しより愛をこめて
08/07/30 23:12:49 Zokxzu1h0
          

550:名無しより愛をこめて
08/07/30 23:14:07 e+KtLLkFP
 

551:名無しより愛をこめて
08/07/30 23:14:33 pmSh4xnq0


552:Weak and powerless ◇yFvLIBbl9I氏代理
08/07/30 23:17:50 Zokxzu1h0
ゴルゴスは宙に浮かび、半ば晴れかけた土煙の中にうず高く積みあがる瓦礫の中から木場の姿を探していた。
痺れを切らしたように、再び吼える。

「隠れても無駄だ!貴様ら残らず叩き潰して――ぐぅッ!?」

衝撃に呻く。一閃の光の矢がゴルゴスの背中を射抜いたのだ。
振り向くと、ボウガンのようなものを構えたシルエットが土煙に浮かぶ。
その時、ふいに割れた窓から一陣の風が吹き込み、視界を晴らした。
立っていたのは、輝く緑の装甲、牛を模した複眼、レールを思わせる金のラインが胸に走る。
仮面ライダーゼロノス。
時の列車、ゼロライナーを司る仮面ライダー。

「また仮面ライダーか……何人居ても同じだ! この十面鬼ゴルゴスの敵ではないわ!」

新たに標的を定めたゴルゴスが両腕を掲げる。再び大岩の口からエネルギー弾が発射された。
ゼロノスはゼロガッシャーを構え直すと、走りながら無数の光弾をゴルゴスに打ち込んだ。


※※※


「何……!?」

553:Weak and powerless ◇yFvLIBbl9I氏代理
08/07/30 23:18:30 Zokxzu1h0
飛び出してきたゼロノスの姿に、瓦礫の影に居た木場は驚きを隠せない。
まさかと思い、手元のファイズフォンを操作してみるが、やはり何も起きない。
では、あの姿は――

「木場さん!」
「桜井君!? じゃああれはやっぱり……」

現れた侑斗の姿を見て確信する。あれは香川が変身したものだ。ゼロノスのベルトは装着者を選ばないらしい。

「香川さんが怪物を引き付けているうちに木場さんたちと逃げろって」

そう言いながらも、侑斗は納得していない様子だ。目は忙しなくゼロノスの動きを追っている。
ゼロノスは巧くゴルゴスの攻撃を避けているものの、火力や攻撃範囲は圧倒的にあちらが優位。
長く持つとは思えない。
だからと言って、変身できない状態でその身を晒す事は出来ない、それこそ香川の計画を無に帰す事になる。
木場の心は揺れた。ここで言うがままに逃げ出すべきなのか?
自分を信頼し、共に戦おうと言ってくれた人を危険な状況に一人残して?
そして木場は思い当たる。傍らの、本当に信頼できる、自らの仲間の存在を。

「海堂!」

海堂は差し出されたファイズギアと木場の顔を交互に見て、たっぷり十秒は沈黙した後、ようやく口を開いた。

「何、だよ……これ」
「海堂、頼む。今は、今だけは、彼らに力を貸してくれ」

無論、海堂を危険な目に遭わせたくはない。だが、木場には他に思いつく方法などなかった。


554:名無しより愛をこめて
08/07/30 23:18:44 e+KtLLkFP
 

555:Weak and powerless ◇yFvLIBbl9I氏代理
08/07/30 23:19:12 Zokxzu1h0
※※※


囮になっていると言うあの仮面ライダーを助けるために戦って欲しい。
そう言いたいに違いないのだ、このお人よしは。それなりに長い付き合いだ、木場の思考なんか分かりきっている。
だが、こっちにも都合と言うものがあるのだ。海堂は手をかざし、詰め寄る木場を遮る。

「ちょちょちょちょいまち。いいか、俺様はな、ついさっき仮面ライダーへの復讐を誓ったばっかなんだよ!」
「話は後だ! 今変身できるのは君だけだ、変身してくれ!」

必死に言い募る木場の手に握られているファイズギア。
自分たちのような、裏切り者のオルフェノクを始末するため、スマートブレインに作られたもの。
バトルロワイアルにおいては、参加者を屠るためのツールに他ならない。
それらを用いて変身するのが――仮面ライダー。

仮面ライダーは、モグラ獣人を殺した。あんなに仮面ライダーを信じていたのに。

仮面ライダーは、スマートブレインの刺客。何人もの仮面ライダーが自分達を襲ってきた。

仮面ライダーは、………正義の、ヒーロー。


 『アマゾンは……仮面ライダーなんだ!』


556:名無しより愛をこめて
08/07/30 23:19:37 e+KtLLkFP
 

557:Weak and powerless ◇yFvLIBbl9I氏代理
08/07/30 23:19:45 Zokxzu1h0
木場の必死な眼差しに、希望に満ちたモグラのつぶらな瞳がオーバーラップする。

 『仮面ライダーってのは何てったってそりゃあ凄いんだ。ゲドンがどんな卑怯な作戦を使ったって絶対に阻止しちまうんだぜ』
 『困ってる人は絶対に見捨てないし、助けを求める人がいたらどこへだって飛んでいくんだ』

違う。
その仮面ライダーが、お前を殺したんじゃないか。
仮面ライダーの力で、殺しを楽しんでいる奴らがここにはうようよしてるじゃないか。
怒りと憎しみが海堂の中で膨れ上がる、だがその視線がファイズギアから剥がれる事はない。
それが何故かは海堂には分からない。様々な感情がない交ぜになり、答えを探すが見つけることが出来ない。

再び大きな音がした。思わず目をやると、緑色をした仮面ライダーが間一髪で圧死を免れている所だった。
ギリ、と奥歯を噛み締める。木場が、侑斗が海堂をじっと見つめている。さながら、祈るような眼差しで。

ああ、そうか。
――こいつらも、仮面ライダーなのか。

「……ッちくしょォ!」

目の前のファイズギアを乱暴に掴み取ると、素早く腰に巻き付ける。
ファイズフォンを開き、コードを入力。5・5・5、enter。


558:Weak and powerless ◇yFvLIBbl9I氏代理
08/07/30 23:20:03 Zokxzu1h0
 ---Standing by---

鳴り響く電子音。それは幸い戦闘の音に紛れて、敵に感づかれる可能性はない。

 ---Complete---

(仮面ライダーっちゅーのは……一体何なんだよッ!!)

ギアから現れた眩く輝く赤の光線が体を駆け巡るのを感じながら、海堂――ファイズは、ゴルゴスに向かって駆け出した。


※※※


自分がゼロノスに変身できるかどうかは一種の賭けであった。

木場の持つファイズギアは、カードデッキとは違い、限られた人物しか装着資格を得られない。
ならば、ゼロノスベルトは?
侑斗は自分以外が使用した事はないと言った。
以前からその可能性は考えてはいたものの、ゼロノスベルト自体の原理は不明。
回数が限られていると言う事もあり、気軽に試してみるという考えにはなれなかった。
――もし試すとしても、こんなギリギリの状況では御免被りたかったが。

559:Weak and powerless ◇yFvLIBbl9I氏代理
08/07/30 23:20:54 Zokxzu1h0
高らかにゼロノスの死を宣言するゴルゴス。
ゼロノスもゼロガッシャーを構え直す。こうなっては、多少危険でも真っ向から戦わざるを得ない。
その時目の前を横切った影――黄色い双眸、赤い光。

「ッラァァアアアアア!!!」

掛け声と共にゼロノスへ急降下するゴルゴスを蹴り飛ばす。僅かに軌道が逸れ、大岩は床を砕くに留まった。
その姿に木場の持っていたファイズギアを認めると、ゼロノス、香川の脳裏に一つの可能性が閃く。

(木場君の仲間……たしか彼もオルフェノクだと言っていましたね……)

傍らに立ち、ファイティングポーズを取るファイズを見る。自分を助けるために、木場が彼にベルトを託したのだろう。
怨嗟の声を上げながら再び浮上を始めるゴルゴスから距離を取る。

(ならば一緒に戦ってもらいましょう……いざとなれば、“盾”にも出来る)

可能性を守るための決意。一見非情ではあるものの、狂った教え子との差異は明確。
それは“盾”としての役割を、等しく自分自身にも課しているという事だった。


560:名無しより愛をこめて
08/07/30 23:21:34 e+KtLLkFP
  

561:Weak and powerless ◇yFvLIBbl9I氏代理
08/07/30 23:21:55 Zokxzu1h0
【香川英行@仮面ライダー龍騎】
【1日目 現時刻:午前】
【現在地:G-6・ショッピングセンター内】
【時間軸】:東條悟に殺害される直前
【状態】:深い後悔、強い決意。全身に中程度のダメージ、中程度の疲労。ゼロノスに変身中。
【装備】:ゼロノスベルト
【道具】:なし
【思考・状況】
基本行動方針:殺し合いの阻止
1:侑斗と木場を逃がすために目の前の怪人と戦う。二人を生かすためならファイズを盾にする事も厭わない。
2:東條は必ず自分が止める。
3:ガドル(名前は知らない)、北崎を警戒
4:五代雄介に一条薫の死を伝える。
5:侑斗を生存させるため、盾となるべく変身アイテム、盾となる参加者を引き入れる。
【備考】
※変身制限に気づきました。大体の間隔なども把握しています。
※剣世界の事についておおまかな知識を得ましたが、仮面ライダーやBOARDの事など金居が伏せた部分があります。
※木場からオルフェノク・スマートブレイン社についての情報を得ました。
※死者の蘇生に対する制限について、オルフェノク化させる事で蘇生が可能なのではと思いはじめました。

562:Weak and powerless ◇yFvLIBbl9I氏代理
08/07/30 23:22:13 Zokxzu1h0
【海堂直也@仮面ライダー555】
【1日目 現時刻:午前】
【現在地:G-6・ショッピングセンター内】
【時間軸】:34話前後
【状態】 :体の各部に中程度の打撲。激しい怒りと戸惑い、ファイズに変身中。二時間変身不可(スネークオルフェノク)
【装備】:ファイズギア
【道具】:なし
【思考・状況】
基本行動方針:「仮面ライダー」を許さない。
1:目の前の怪人を倒す。
2:ライダー(アマゾン、歌舞鬼、オーガ、ガイ)の危険性を伝える。
3:「仮面ライダー」ってのは一体何なんだよ!
4:まだ対主催。
【備考】
※ 澤田の顔はわかりますが名前は知りません。また、真魚の顔は見ていません。
※ モグラ獣人の墓にはガーベラの種が植えられています。
※ 第一回放送は知っている名前がモグラのみ、ということしか頭に入っていません。
※ 変身制限について知りました。
※ゾルダのカードデッキは破壊されました。ミラーモンスターの扱いについては、後続の書き手さんにおまかせします。



563:Weak and powerless ◇yFvLIBbl9I氏代理
08/07/30 23:22:42 Zokxzu1h0
【十面鬼ゴルゴス@仮面ライダーアマゾン】
【1日目 現時刻:午前】
【現在地:G-6・ショッピングセンター内】
【時間軸】:本編13話前後
【状態】:全身に軽い疲労、軽微なダメージ。能力発揮中
【装備】:ガガの腕輪
【道具】:基本支給品一式、ランダム支給品1~3(未確認)
【思考・状況】
基本行動方針:打倒仮面ライダーアマゾン、主催者への報復
1:目の前の仮面ライダー(ゼロノス・ファイズ)を殺し、血を吸う。
2:アマゾンを見つけ次第殺す。腕輪を奪う。
3:牙王、死神博士、影山は最終的に殺し、血を吸う。
【備考】
※岩石の9つある顔のうち一つが潰されました。
※能力制限について思い当たりました。


※※※


轟音を背に受けて、木場と侑斗が振り返った。
言うとおりにその場を離れたものの、香川と海堂、お互いの大切な仲間を残していては足も鈍る。
二人共、すぐにでも助けに戻りたいのだ。

564:Weak and powerless ◇yFvLIBbl9I氏代理
08/07/30 23:23:19 Zokxzu1h0
だが、今の自分たちに変身能力は無い――二人の心は、強い無力感に苛まれていた。
ショッピングセンターからほんの十数メートルばかり離れた場所、煉瓦で舗装された歩道に立ちつくす。

「桜井君」

背後を睨みつけている侑斗の拳はきつく握り締められ、心のうちを表しているようだ。

「心配なのはわかる。だけど、香川さんを信じて待とう。俺たちに今出来るのはそれだけだ」

木場が言って肩を叩くと、侑斗は小さく頷いた。
説得する木場の表情も硬い。本当に、自分に出来る事はないのだろうか。
そんな木場の迷いを察したのか、侑斗は一瞬のためらいの後、預けられた香川のデイパックからライフルを掴み出した。
まさか、と木場が顔を上げる。

「桜井君!?」
「すみません、木場さん。やっぱり俺は戻ります!」

侑斗は、金居に後を任せてあの場を去った事を今でも悔やんでいた。
いけ好かない奴ではあったが、無残な最期の姿を思うと胸が塞がれる思いがする。
もう二度と、誰かを失いたくない。
強い決意が、侑斗を突き動かした。


565:名無しより愛をこめて
08/07/30 23:24:00 e+KtLLkFP
 

566:Weak and powerless ◇yFvLIBbl9I氏代理
08/07/30 23:24:16 Zokxzu1h0
「待つんだ、桜井君!」

駆け出した侑斗の後を慌てて木場が追う。
その拍子に、持っていたデイパックを取り落とし、中身が地面に散乱した。
アルミ製のコーヒーカップが、がらんがらん、と音を立てて転がる。
人の気配の無い、うつろな街に響く音の大きさに、荷物を無視して追跡を続けようとした木場の足が一瞬止まる。
足元にひらりと、掌を広げたほどのサイズの紙――写真が舞い落ちた。
一体何が写っているのか。それを見止めた木場に衝撃が走る。思わずそれを拾い上げ、まじまじと見つめてしまう。
俯瞰から撮影された、銃を構える男。周囲が薄暗いにも関わらず、フラッシュも焚かずに撮影したのか、その姿は不明瞭だ。
写っている男が香川であるという事はすぐに分かった。
何故銃を構えているのかはわからない、相手は写真に写っていない。おそらく敵だろう。
木場にはそんな事はどうでもよかった。

――彼らは、信頼し合い、共に現状の打開を目指し戦っていたのではなかったのか?

どうしてデイパックの中にこのような写真が入っているのか、その目的は何か。
考えたくない、分かりたくもない。
一度信じると口にしたのだから、そうするべきだ。
それなのに、一度走り出した思考は留まることを知らず、木場の心を黒く染めていく。
残された悪意が芽を吹き出す。

胸騒ぎに、手にした写真を握り締め、木場は侑斗を追うべく再び走り出した――。


567:Weak and powerless ◇yFvLIBbl9I氏代理
08/07/30 23:24:41 Zokxzu1h0
【桜井侑斗@仮面ライダー電王】
【1日目 現時刻:午前】
【現在地:G-6・ショッピングセンター周辺】
【時間軸】:最終回直後
【状態】:深い後悔、強い決意。全身に中程度のダメージ、中程度の疲労。一時間半変身不能(ゼロノス)
【装備】:神経断裂弾(2発)、シグザウアー SSG-3000
【道具】:基本支給品×2、ゼロノスカード五枚(内一枚赤カード)、ラウズカード三枚(ダイヤK・ブランク二枚)
     ショッカー戦闘員スーツ×2@仮面ライダー、ディスクアニマル(ニビイロヘビ)、戦国時代のディスクアニマル(イワベニシシ)
     煤けた首輪、双眼鏡
【思考・状況】
基本行動方針:殺し合いの阻止
1:香川を助けるべくショッピングセンターへ戻る。
2:香川、木場と行動しつつ仲間との合流を目指す。
3:自分と同じ顔をした少年(桐矢)への疑問。保護が必要ならそうする。
4:ガドル、風のエル(名前は知らない)、北崎を倒す。
5:五代雄介に一条薫の死を伝える。
6:金居の死に後悔。
【備考】
※変身制限に気づきました。大体の間隔なども把握しています。
※首輪の損傷具合は不明です。
※剣世界の事についておおまかな知識を得ましたが、仮面ライダーやBOARDの事など金居が伏せた部分があります。
※木場からオルフェノク・スマートブレイン社についての情報を得ました。


568:Weak and powerless ◇yFvLIBbl9I氏代理
08/07/30 23:25:16 Zokxzu1h0
【木場勇治@仮面ライダー555】
【1日目 現時刻:午前】
【現在地:G-6・ショッピングセンター周辺】
【時間軸】:39話・巧捜索前
【状態】:全身に中程度の打撲。他人への僅かな不信感。全身に疲労大、背中等に軽い火傷。一時間半変身不可(ファイズ、ホースオルフェ)
【装備】:なし
【道具】:基本支給品×2、コーヒーセット、デジタル一眼レフ(CFカード)、望遠レンズ
     Lサイズの写真(香川の発砲シーン)
【思考・状況】
基本行動方針:主催者及びスマートブレインの打倒、脱出
1:侑斗を信頼。追って止める。
2:写真に動揺。
3:海堂、香川を心配。
4:死神博士、ゴルゴス、牙王、風のエル(名前は知らない)、東條を警戒 。影山はできれば助けたい。
5:事情を知らない者の前ではできるだけオルフェノク化を使いたくない。
【備考】
※香川から東條との確執を知り、侑斗から電王世界のおおまかな知識を得ました。
 また、第一回放送の内容も二人から知りました。


569:名無しより愛をこめて
08/07/30 23:25:34 e+KtLLkFP
 

570:名無しより愛をこめて
08/07/30 23:25:57 Zokxzu1h0
602 名前:Weak and powerless ◆yFvLIBbl9I[sage] 投稿日:2008/07/30(水) 23:22:10 ID:???
規制によりこちらに投下させていただきました。
以上で投下終了です。支援&代理投下してくださった方ありがとうございました!
ご指摘・ご感想お待ちしております。

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代理投下終了。

571:名無しより愛をこめて
08/07/30 23:33:46 Zokxzu1h0
読了

投下乙。
教授の蘇生についての考察がお見事。
海堂を盾として使うことを決めたのが黒いですが、赤カードが不吉ですね。
侑斗の支援がどう動くか。
GJ!

572: ◆FMWmYHfUMY
08/07/31 00:02:26 RqERjnQO0
投下お疲れ様です!
予測できなかった展開で、楽しみながら読めました。
合理的な正義と狂った正義の対比が個人的に気に入りました。
木場さん…また流されて誤解を深めていくのかな…w
GJです!

自分も投下準備が整いましたが、前投下とのタイムラグはどれくらいあった方がいいですかね?

573:名無しより愛をこめて
08/07/31 00:05:09 tPuLL2kq0
>>572
三十分あればいいかと
今なら問題はないのでは?

574: ◆FMWmYHfUMY
08/07/31 00:26:15 uw5zPNsh0
>>573
教えていただいて有難うございます。
それでは橘朔也、ゾル大佐、牙王。
投下します。

575: ◆FMWmYHfUMY
08/07/31 00:26:49 uw5zPNsh0
「まずまず…といったところか」
F-4北部、整地された道とは離れた野原で、体の調子を確かめながら一人の男が呟いた。
辺りの景色は所々が焦土と化しており、図らずとも戦闘の跡を匂わせる。
他の場所と比べて僅かに窪んで見えるのは、相当な衝撃がその地に舞い降りた証拠だろう。
その中心部で、無骨な顔立ちをした男―牙王は、休息を取っていた。

激しい動きをしたせいで腹が減ったという理由もあるが、何よりは体のダメージが決して無視できないレベルであったからである。
それに加えて、今はカードデッキもベルトも使えない状態。
下手に動き回ろうものなら、戦闘になったときに圧倒的に不利だ。
以上の事を鑑み、まずは体力の回復と制限解除を待つことにした。
それがどれほど退屈であるか、わかっていながら。

「ふん、そろそろいいだろう」
太陽が先ほどよりかなり上に昇っている。
再変身にどれほどの時間が必要かはわからないが、これだけ時間がたっているならいけるだろう。
そう踏んで、牙王は腰を上げた。
食い散らかした食料を足で跳ね除け、辺りを見回しつつ思考する。
―どこへ向かうべきか。

先ほど自分と戦闘した男、あれくらいの獲物をみすみす逃したくはない。
純粋な力の競り合いで負けるなど、考えもしなかったことだ。
あのまま全力で続けていたら、恐らく久しぶりに楽しめる、いい勝負になっただろう。無論、負けるつもりは毛頭無いが。
しかし、と考える。
妙なモンスターに連れられ、高速で戦線を離脱したヤツを探し出す方法はあるのだろうか。
ただでさえ制限を気にし、体力の回復にもかなりの「時間」を使った跡である。

576: ◆FMWmYHfUMY
08/07/31 00:27:25 uw5zPNsh0
「誰でもいい…とっとと喰らわんと気が済まん」
自分にとって、もっとも嫌う暇を持て余したのだ。
相手を選んでいる余裕など、今の自分にはない。
となると―あの男との戦闘前に見えた、あの二人を追ってみるとしよう。
そう考え、二人が逃げたであろう方角に歩を進める。
あれから相当経ってはいるが、他にあてはない。
言葉通り、獲物を求めた獣のように、牙王は歩き始めた。


   ###############




少し白みがかっていた空は青みを帯び、澄んだ色に満ちていた。
上で威勢を放つ太陽も、心なしかいつもより輝いて見える。
足で草を踏みしめるたび、青臭い匂いが鼻を刺激する。
目の前の川は、周りの状況などまるで関係なく、穏やかに流れ続けた。
橘とゾル大佐は、そんな風景の中で休憩していた。

「少し休まないか?このまま当ても無く進む訳にもいかないし…何より疲れた」

きっかけは、橘がそう提案したからである。
制限のかかった状況でよく言えたものだと、呆れ半ばで少し関心し、ゾル大佐はそれを受け入れた。
確かに先ほど襲われたばかりであったが、同胞の援護もあり、追撃の様子はない。
ならば敵に遭遇する危険を冒して動き回るのは、せめて制限が解けてからの方がいいだろう。
少しづつ回復してはいるが、砲撃による痛みも相当なものだ。
今は休んだほうがいい。
そう考えた上での結論である。

577: ◆FMWmYHfUMY
08/07/31 00:28:00 uw5zPNsh0
(しかし…制限は変身におるものだけではないようだな。忌々しい)
改造人間である自分なら、この程度の負傷なら問題ないはずだ。
にも関わらず、いつもより治癒が遅い。これでは一般人と大して変わらないだろう。
他にどのような落とし穴があるかわからない。
状況は思ったより深刻だ。やはりもっとよく考えて、動くほうがいいだろう。
「橘、これからの基本的な方針だが――」
隣でもの難しい顔をしている橘に声をかける。
この男、人間にしては相当頭が切れる方のようだ。
自分一人で考えるより、二人で話し合った方がより良い結論を導き出せるだろう。
そう思ったのだが…
「橘?」
横に座る男は、相変わらず難しい顔で考え事をしている。
ゾル大佐の言葉も耳に入らず、聞き流しているようだ。
(この男…)
橘の態度に、ゾル大佐は思わず眉を顰める。
先ほど市街地から離れる折にも、このような態度を取っていた。
周りが見えぬ程大事なことを考えているのかも知れないが、それにしても酷い。
目の前の状況がまったく理解できていないと言えるほど、上の空なのだ。

「橘!!貴様いい加減にせんか!!」
怒号が響き渡る。それでも、周りに気を使った声量だったのだが。
突然真横から届いた叱咤の声で、橘はびくりと身を竦める。
そして我に返ったような顔で、ゾル大佐を見返した。
「あ、あぁ…すまない大佐。ちょっと考え事をしててな…」
「ほう…考え事と申すか」

578: ◆FMWmYHfUMY
08/07/31 00:28:40 uw5zPNsh0
橘の言葉を復唱し、ゾル大佐は立ち上がる。
腕を組みつつ、橘を見下ろす形で言葉を紡いだ。
「私の言葉を無視できるほど、大事な考え事なのだな?話してみろ」

体勢もあり、かなりの威圧感がゾル大佐にはあった。
そのため、橘も少し萎縮する。
これは明らかに怒っている。
確かに、自分の態度はまずかった。大佐が怒るのも当然だろう。
橘は、失敗した、と思う。
擬似人格とはいえ、対策を考えられない間は普通に接するべきだった。
しかも、自分に対する質問も急所を突かれた形である。
(どうする?下手に隠すのもまずいな…)
橘は、自分があまり嘘をつくのが得意ではない事をわかっていた。
普通の人よりは上手いのかも知れないが、目の前の男には恐らく通じないだろう。
普段も隠し事がばれたりしたが、まさかこんな状況でもやってしまうとは。
橘は、心の中で苦笑いをする。

「どうした。答えられぬか」
ゾル大佐は、黙ったままの橘に返事を促す。
未だ俯いて一言も発さないということは、迷っているのだろう。
それだけ重要な考え事だったのだと、ゾル大佐は確信する。
(内容はどうあれ、聞いておくべきだな)
このままうやむやにしても、橘はまた同じミスを繰り返すかも知れない。
いや、そもそも隠し事を抱えたままの男と共に行動すること自体、危険だ。
自分を討つ計画を立てているかも知れない、と考えさせられたこともあるのだ。
こんな挙動不審では足手まといにしかならないというのもあるが。
(もし話さないようなら…始末するしかないな)
戦力を削がれるのは惜しいが、自分が死んでしまっては元も子もない。
そう思い、気取られないよう、いつでも殺せるように体勢を整える。
と、その時。

579:名無しより愛をこめて
08/07/31 00:29:18 ZIVAt3fkP
 

580: ◆FMWmYHfUMY
08/07/31 00:29:55 uw5zPNsh0
「実は…この殺し合いの場に対する、一つの考えが浮かんだんだ」
だんまりだった橘がようやく口を開いた。
そのため、ゾル大佐も構えを解く。
思ったよりも実になる情報かも知れない。
内容にほんの少し興味を抱き、質問する。
「どういうことだ?」
「この、主催者が用意したフィールド…仮想空間のものじゃないのかと思うんだ」
肝心の部分である、ここだけを敢えて話す。
それを前提にした、ゾル大佐という存在への推測、フェイクである参加者の数などは隠したまま。
橘にとっては、一種の賭けだった。
内通者であるゾル大佐にこれを話せば、もしかしたら殺されるかも知れない。
真実に気づいたものに対して、何らかの処遇があると考えるのは当たり前のことだ。
しかし、話さなければどのみち殺されていただろう。
この男――擬似人格は、恐らくそういう性格…いや、設定だ。
腹を括り、少し曖昧に状況を把握しかけてる、ということにする。
後はこれが吉と出るか凶と出るかだが…

当のゾル大佐は、突然出てきた余りに突飛な話に首を傾げていた。
「仮想空間…?夢の中のようなもの、と言いたいのか?」
「あぁ、そうだ」
自分の疑問に、まるで当然だとも言いたげな返答が来る。
余計に訳が分からなくなってきた。なぜ、この男はこれほどの自信を持って言えるのだろうか。
何か確信に足る判断材料があったとしか思えないが…
今まで殆ど共に行動してきたが、そのようなものは無かったはずである。
少なくとも、自分の視点では。

581: ◆FMWmYHfUMY
08/07/31 00:30:53 uw5zPNsh0
「橘、なぜそう思う?」
未来から来たこの男には、違うのかも知れない。
容易に確信出来るというのなら、それなりの理由があるのだろう。
だが、返って来た答えは、あまりに稚拙すぎた。

「でなければ、説明がつかない。少なくとも、現実には不可能としか思えない技術が使われているしな」
半分は嘘だった。もう少し噛み砕いて説明すれば、ゾル大佐が内通者だと言わざるを得ない。
だから、今は敢えてこういう言い方を選ぶ。
橘はそうする事で、自分のゾル大佐に関する推測を隠そうとした。
しかし…

「橘…失望したぞ。もう少し使える奴だと思ったのだがな…」
「な、何!?」
諦観さえ漂う顔で、ゾル大佐は橘を見下していた。
橘は、どういう事か図りかねていた。
なぜ、こんな反応を取るのか?何か説明にまずい部分があったのか?
焦りを感じ、橘は立ち上がる。
「どういう意味だ」
なるべく冷静を装いながら、ゾル大佐に問いかけた。
呆れた顔のまま、ゾル大佐は答えた。
「自分の理に合わぬ出来事は全て、夢の世界のもの、か…。便利な脳みそをしているな、貴様は」
顔色一つ変えずに言われ、橘は腹が立った。
先ほどの説明ではそう思われても仕方がないのだが、頭に血が上った状態でそれが分かる筈もない。
「馬鹿にするな!他にもちゃんと考えた上で、出した結論だ!!」

582:名無しより愛をこめて
08/07/31 00:30:57 ZIVAt3fkP
  

583:名無しより愛をこめて
08/07/31 00:31:18 ZIVAt3fkP
 

584:◇FMWmYHfUMY(代理)
08/07/31 00:33:40 ZIVAt3fkP
「他に考察があるのだな?」
橘は、その言葉で一瞬にして頭が冷えた。
と同時に、血の気が引く思いをした。
(この男…俺が何か隠しているのを知っていて…!?)
やられた、と思った。
大佐という階級は伊達ではなかった。この男、人の上に立つものとしての洞察力は、確かなもののようだ。
主導権を完全に握られた。
(俺では、適わない…)
そう思い、顔を伏せて橘は地面を見つめる。
話すか話さないか。恐らく、もう選択肢はないだろう。
だが、もし殺されるとしてもただでやられはしない。
そう覚悟を決めて、目の前の男を内通者だと暴いてやろうとした時だった。

     ―full charge―

一つの電子音声が、そう遠くない場所から聞こえた気がした。


   ###############

585:◇FMWmYHfUMY(代理)
08/07/31 00:34:00 ZIVAt3fkP
「橘、伏せろ!!」
突然、ゾル大佐がそう叫びながら覆いかぶさって来た。
何事か、と思考する前に、金色の光が真上を通り過ぎた。
ソレはそのまま高速で右から左に滑り、空中に浮かび上がると、何かに合体する形で収まった。
ゾル大佐が上から退き、急いで立ち上がった橘が目にしたものは、一度自分達を襲った男だった。

鰐のような仮面に、胸と両肩の牙が特徴的な外見を象っている。
銅を基調とした輝くような装甲は、太陽の光を受けて少し白く見えた。
先ほど飛ばした金色の物体――剣の切っ先は、しっかり固定されているらしく、それで肩をぽんぽんと叩いていた。

「よう…また会ったな」

何気ない言葉が、自分達を威嚇しているようにも聞こえた。
得体の知れない悪寒が、全身に走る。
体中から滲み出ている雰囲気は、只それだけでもプレッシャーを与えていた。
橘は、さながら、蛇に睨まれた蛙のような気分になった。

「貴様…我々を追ってきたのか?」
「さぁな」
ゾル大佐の言葉を、さらりと牙王が受け流す。
その態度が示すものは、こちらと話すつもりは一切ないということ。
それは、ゾル大佐のみならず、橘でさえも認識できるものである。
恐らく、先ほどの攻撃も牽制などという生易しいものではないのだろう。
相手は戦闘意欲に呑まれた獣。交渉は不可。そう判断すると同時に、ゾル大佐は戦闘態勢を取る。



586:◇FMWmYHfUMY(代理)
08/07/31 00:34:29 ZIVAt3fkP
すると、牙王が急に動きを止める。
別に阻止してもよかったのだが、どうせ殺すなら少しでも楽しませてもらいたい。
牙王は、そう考えて敢えて猶予を与えたのだ。
(なめられたものよ!)
心中、相手を毒づき、ゾル大佐は吠えた。

「うぉぉぉぉぉオオオオオン!!」

空気を震わすような声が辺りに響き渡り、ゾル大佐の体が変化していく。
流れるような黄金の毛が全身を多い、牙と爪が雄雄しく伸びる。
腰に自らの信仰する組織の紋章の付いたベルトを纏い、黄金狼男は現れた。

二本の足でしっかりと大地を掴み、黄金狼男は相手を睨みつける。
仮面の下で、牙王もまた、品定めをするかのように、黄金狼男を見据えていた。


     ###############

そんな状況のなかで、橘は一人立ち尽くしていた。
今起こった状況に、まだ頭が追いついていなかったのだ。
(どういう事だ?まさかあいつもゾル大佐の呼び寄せた始末者か?)
多分、そうなのだろう。ここの会場の仕組みに気づいた者が出た以上、その者を放っておくはずがない。

だが、まだ不可解な点がある。
なぜ、直接自分を始末しないのだろうか。



587:◇FMWmYHfUMY(代理)
08/07/31 00:34:49 ZIVAt3fkP
(なぜわざわざ大佐と対峙する?これも演技か?いや…)
どうせ殺すのなら、今更自分の前で演技をする必要性があるとは思えなかった。
では、周りにいるかも知れない参加者への配慮?
それも違う。呼び寄せる事が出来るのなら、周りの状況の把握ぐらいは容易いはずだ。
つまり、誰も見ていないタイミングで行動に移す。それがもっとも手っ取り早いはずである。
それでなくとも、大佐の追求は完璧なものだった。
襲撃が偶発的でない限り、あのような絶妙な中断は主催にとって不利でしかない。
(…何がいったいどうなっている…!)
自分の立てた仮説に、絡めとられる。
状況を把握できない焦りから、思考がますます深くなる。

――何か重大なことを見落としている気がする――

そんな違和感が体中を駆け抜けるが、答えにはたどり着けなかった。
(くそ!何か変だ…まるで…根本的なところが…)
橘のなかで、今までの自分を見直すために、重要な事に考えが辿り着きそうな時、
「橘!何をぼさっとしている!!」
ゾル大佐の大声で思考が中断する。
我に返り、前を向くと、少し離れた位置で黄金狼男が叫んでいた。
どうやらまた、彼の呼びかけを無視してしまっていたらしい。
慌ててバックルを取り出し、変身しようとして――

「がはっ!」

――蹴り飛ばされた。

588:◇FMWmYHfUMY(代理)
08/07/31 00:35:11 ZIVAt3fkP
    #######################


睨み合いの均衡を破り、二人が互いの距離を一気に詰めた時、牙王が飛び込んだのは橘の方向だった。
こちらを狙ってくるとばかり思っていた黄金狼男は、大きく体勢を崩す。
(殺しやすい方から討つつもりか!?)
それが正解かどうかは分からないが、そんなことはどうでもいい。
ともかく、橘の逃げる隙を作らねばならない。
相当接近されたにも関わらず、あの男は何故か微動だにしないのだ。

激しい憤りを感じつつ、指から弾丸を発射する。
飛び道具があるとは予測出来なかった牙王は、背中に幾つか直撃を受け、少々もたつく。
その際に注意を促したのだが、余りにも遅かった。
橘が行動に移るよりも早く、牙王の飛び蹴りが炸裂する。
無理な体勢からの攻撃であるが故に大した威力はないだろうが、それで十分だったようだ。
まともに受けた橘は、大きく吹き飛び、木に背中をしたたか打ちつけた。
そのまま下に落ち、頭を落として黙り込んだ。

「うつけ者が!一体なにをやっているのだ!」
思わず口に出し、吹き飛ばされた橘に駆け寄ろうとする。
今は戦力が少しでも欲しい状況だ。叩き起こしてでも役には立ってもらうつもりだった。
しかし牙王が振り返り、こちらに対して始めて構えらしいものを見せた。
黄金狼男は急ブレーキをかけ、バックステップを踏む。
直後、最後に踏み込んだ位置に鋭い斬撃が走る。
牙王が剣を降り抜いた瞬間、顎に向かって拳を放つ。
が、空いてるほうの手で力任せに弾かれる。

589:◇FMWmYHfUMY(代理)
08/07/31 00:35:50 ZIVAt3fkP
「何っ!」
黄金狼男は意表を突かれ、声を上げる。
しっかりと腰を入れたはずの拳が、剣を振った直後の相手に防がれたのだ。
驚きを隠せるはずもない。
そのまま牙王は、弾いた手を引き、同時に静止していた剣を薙ぐ。
合わせて黄金狼男も身を引くが、リーチも相まって間に合わない。
「くっ!」
一閃。火花を散らしつつ、剣が通り過ぎる。
胸元を掠り、痛みが走った。
が、黄金狼男もただで引くには至らない。
弾かれた腕を、下がると同時に引き、牙王の側面を引き裂いた。
「チッ…!」
横っ腹に入り、牙王も声を漏らす。
致命傷には程遠いが、いい当たりなのは間違い無い。
同時に距離を取り、出方を伺う。

「まだだ…お預けをされた分、もっと楽しませてもらわないとなぁ」
囁くようでいて、ハッキリと耳に届く声で牙王が言う。
待たされた分、漸くありつけた戦闘という食事は、相当の快感を牙王にもたらせた。
更に、手ごたえのある相手に会い、徐々に高まってきたテンションにより、牙王のコンディションは最高と言えるものに近くなっていた。
「ふん、思ったよりはやるな。だがここまでだ」
傷の深さを確かめつつ、黄金狼男が呟く。
この程度の傷なら問題ない。だが別の部分で不安があった。
敵が眼前にいる以上、虚勢を張るより他はないのだが、体調は万全とは言えなかった。
直前までの橘との化かし合い、さらに橘の不手際による戦力の低下は、精神を大いに消耗させた。
ストレスにより、動きに粗が目立つ。
戦闘にも、いつもの集中力が働かない。
自覚出来ているからこそ、余計に焦り始めた。



590:◇FMWmYHfUMY(代理)
08/07/31 00:36:13 ZIVAt3fkP
(このままだとジリ貧だな。やはりあやつをどうにかして加担させねば…)
ちら、と横目で橘を見やる。
先ほどの体勢のまま、動いていないようだ。
脳震盪でも起こしたのかも知れない。
しかし、起こすのは容易なはずだ。
一連の出来事をみる限り、あの程度では深く失神するはずはないと、黄金狼男は断定していた。
勘の要素も含むが、修羅場を潜り抜けて来た自分の判断を信じてそう考えた。
放っておいてもじき目覚めるだろう。
それほど、奴の眠りは浅い。
だが…
(通してはくれんだろうな、恐らく)
相手はどうにも掴みづらい男だったが、敵が増えるのをただで見逃しはしないだろう。
それどころか、隙を突いて橘を殺しにかかる可能性もある。
今橘に死なれては困る。そう黄金狼男は考える。
何か隠しているのは確実だが、あの男にはまだまだ利用価値がある。
それに―今だけとはいえ―自分の部下をみすみす殺されるのは、軍人としての誇りが許さない。
(まったく、世話のやける男よ…!)
とにかく、目を覚ますまで時間を稼ぐしかないだろう。
そう決めて、黄金狼男は目線を牙王に戻す。
牙王はゆっくりと間合いを詰めてきており、もうニ・三歩も歩けば互いの射程に入るだろう。
そこで牙王は足を止め、無言で剣を構える。
黄金狼男もゆっくりと、ファイティングポーズを取る。
数秒の後――互いに足の力を入れ、地面が爆ぜた。
 
   #####################

591:名無しより愛をこめて
08/07/31 00:36:18 FWaH7/0W0



592:◇FMWmYHfUMY(代理)
08/07/31 00:36:49 ZIVAt3fkP
「……うっ……」
腹と背中に鈍痛を感じつつ、橘は目を覚ます。
少し霞む頭で、たった今起こした自分の失態を理解する。
(失神していたのか?俺は…)
突き飛ばされた後、視界が真っ白になったところまでは覚えている。
だが、気づいたら自分は座り込んでいた。
この場面転換では、そうとしか考えられない。
未だぼんやりした意識に喝を入れるため、頭を振る。
顔を上げると、目の前に金色の体毛が映った。
驚き、視線を上にやると、自分に背中を向けて、牙王と対峙する黄金狼男が見えた。
「た、大佐!?」
橘が、驚愕した声を上げる。
黄金狼男は、その声に反応し、僅かに後ろを振り向く。
「ようやく目を覚ましたか…この大うつけが…」
息を荒げて、黄金狼男は答えた。
体のあちこちには切り傷が目立ち、ベルトも中心部が砕けていた。
左腕で抑えている右肩からは、とめどなく血が流れ出している。
まさに満身創痍といった風体で、立っているのもやっとだろう。
橘が立ち上がり、向こう側を見ると、牙王が黙ってこちらを見ていた。
どうやら、自分が気絶してから、少なくとも何分かは経っているらしい。
橘はそう考え、浮かび上がった疑問を、堪えきれず黄金狼男にぶつける。

「大佐…もしかして、俺を庇って…?」
「とっとと変身せんか!来るぞ!」

593:◇FMWmYHfUMY(代理)
08/07/31 00:37:20 ZIVAt3fkP
返事らしい返事は来ず、またもや叱咤を受ける。
橘は黄金狼男から視線を牙王に移す。
牙王は、パスのようなものを指先だけで、頭上に構えていた。
危険を感じ、橘はポケットからカテゴリーエースのカードとバックルを取り出すが――
「遅い」

     ―full charge―

牙王がパスをこぼれ落とす。
パスがベルトを通過した瞬間、フリーエネルギーがチャージされ、剣先に伝わる。
剣―ガオウガッシャーの先端が回転し、金色の軌跡を残しながら分離した。
残った柄を横なぎに振ると、それに合わせて剣先も螺旋を描きながら、高速で移動した。
目の前の獲物を全て喰らい尽くすために。

(オリハルコンゲートで…だめだ!間に合わない!)
迫り来る剣先を前に、橘は考える。
相手の言葉どおり、全てが遅かったようだ。
だが、と橘は思う。
これは仮想空間なのだから、脱落するだけなのではないか。
これでここから抜けれらるのなら、そのあと現実から連れてこられているであろう参加者たちを、救い出すほうが建設的だろう。
少しも抵抗出来なかったのは残念だが、借りは現実で返してやる。
そう結論づけ、回避を諦めた次の瞬間だった。

「うお!?」



594:◇FMWmYHfUMY(代理)
08/07/31 00:37:38 ZIVAt3fkP
何かに突き飛ばされ、地面を転がる。
ひじを突いて自分の立っていた場所をみると、そこに黄金狼男がいた。
黄金狼男は自分の無事を確認すると、どこかやり遂げた顔をしているように見えた。
そして、そのまま―胴体を、閃光に貫ぬかれた。

 ####################


オーラソードは黄金狼男を切り裂いた後、一度上空に舞い上がり、急降下を始めるべく一瞬動きを止めた。
狙いは、たった今難を逃れたばかりの男、橘。
牙王は一撃で決めるべく、思い切り柄を振り下ろした。
「ぬぅ、おおおおおお!!」
だが、突然の銃撃により、狙いは大きく外れる。
まだ動けたらしい、黄金狼男によるものだった。
剣先は軌道を大きく逸らし、水しぶきを上げながら川に突き刺さる。
胸に受けた集中射撃により、牙王が膝を突くと同時に、ガオウガッシャーに剣先が戻る。
そして、黄金狼男も、ゆっくりと地面に倒れ伏した。

「お、おい!しっかりしろ!!」
その光景をみた橘が、黄金狼男に駆け寄る。
上体を抱き起こし、傷を確認する。
胴体の中心部には見事に風穴が空き、血と火花が辺りに激しく飛び散っていた。
最早演技も何もあったものではない。明らかに致命傷だ。
「大佐、なぜ俺を庇ったんだ!なぜだ!!」
橘は悲痛な顔で、虫の息と化している黄金狼男に呼びかける。



595:◇FMWmYHfUMY(代理)
08/07/31 00:37:57 ZIVAt3fkP
誰かが自分を助け、その代わりとして死のうとしてしまっている。
例え相手が擬似人格でも、その事実は橘には重く圧し掛かっていた。
「自分の部下も守れずに…何が、軍人か…」
息も絶え絶えに、黄金狼男が応える。

その言葉を聞き、橘は自分の愚かさを理解した。
(この男は、作られた命なんかじゃない!むしろ、俺なんかよりずっと立派な…)
軍人だった。目の前の男は、紛れも無い生身の軍人。
根拠など存在しない。ただ、自分がそう信じたいだけかも知れない。
それでも、橘は確信する。
そう、考えてみれば簡単なことだったのだ。
コンビニや携帯電話を知らないという振る舞い。
過去からやってきたという、改造人間。
怪しすぎるのだ。普通、こういう事はばれないようにしなければ意味が無い。
こんな人物と共に行動すれば、疑わない方がむしろおかしいだろう。
もしここが確かに仮想空間なら、そんな人物を見張りにやっても何のメリットも無いはずである。
(なぜ、こんな事に気づかなかったのだろうか…)

――自分の理に合わぬ出来事は全て、夢の世界のもの、か…――

ほんの少し前に言われた言葉が、フラッシュバックする。
そして、自分がいかにこの状況に大して真剣に応対してなかったのか、思い知らされた。
(…すべて、俺の現実逃避だったのか…)
自分の愚考が、目の前の男を死に追いやっている。
そう気づいた途端、橘は自己嫌悪でどうしようもなくなった。

596:◇FMWmYHfUMY(代理)
08/07/31 00:38:28 ZIVAt3fkP
「大佐…俺は、馬鹿だ…!俺は…現実逃避をしていただけでなく、あんたを疑って…!」
震える声で橘が呟く。
体力の低下で変身が解け、元の姿に戻ったゾル大佐が、橘を見据えて、口を動かした。
「逆…だな」
「え?」
言葉の意味がわからず、橘は思わず聞き返す。

「貴様は…優秀すぎるのだ。もう、少し…馬鹿になったほうがよい」

橘は、衝撃に目を見開く。
脳裏に、いつかの光景が鮮明に映し出された。
自分の先輩であり、嫉妬から自分を襲った男。

元BARDO隊員・桐生 豪。

真剣勝負の後、アンデッドにより命を落とした彼が、自分を責める橘に向けた遺言。
奇しくも、ゾル大佐の言葉は、その遺言に酷似していた。

ふと、後ろで物音がした。
ゾル大佐が振り返ると、牙王がゆっくりと立ち上がるところだった。
少し、肩で息をしているが、目立った外傷は無いようだ。
「効いたぜ…今の弾はな」
胸をはたき、牙王が囁いた。
杖代わりにしていた剣を一度振り、二人に歩み寄る。
「橘…ここは退け…!」

597:◇FMWmYHfUMY(代理)
08/07/31 00:38:45 ZIVAt3fkP
ゾル大佐が、視線を下に向けている橘に声をかける。
おそらく、迷いのあるこやつでは、自分と同じ轍を踏むだろう。
ならせっかく拾ってやった命、無駄されては困る。
ここは逃げ延びてもらわねばならん。そう思ったのだ。

しかし、橘は首を振る。
ゾル大佐が怒声を上げる暇も無く、勢いよく立ち上がり、後ろを向く。
その瞳は、真っ直ぐに牙王を捕らえていた。
「俺の責任は…俺自身が取る!!」
大佐を見捨てて逃げるなど、今までの自分が生み出した責任を放棄するも同義。
そんな事をするくらいなら、死んだほうがましだ。
(この男を…倒す!)
決意を胸に秘め、チェンジスタッグのカードをバックルに押し込む。
バックルの横から無数のカードが流れ出て、橘の腰に巻きつく。
一週すると、一つ一つが完全に結合し、ベルトが出現した。
体を横に向け、腰に右手を当て、左腕を斜め上に突き上げる。

「変身!!」
― TURN UP ―

掛け声とともに、右腕を前方に回転させ、左腕はガッツポーズを取る。
回転させた右腕でバックルを引き、チェンジスタッグが反転すると、オリハルコンゲートが現れた。

「うぉぉぉぉぉぉおおお!」

叫び声と共に、ゲートを潜る。
紅い装甲が体を包み、右手に銃が現れる。
顔は、決して砕けはしない意思を表した、ダイヤとクワガタをモチーフとした仮面に覆われる。
全てを食らう牙を撃ち崩すために――仮面ライダーギャレンが、走り出した。

598:◇FMWmYHfUMY(代理)
08/07/31 00:39:11 ZIVAt3fkP
  #######################


降り注ぐような銃弾を、牙王が剣で弾く。
そのまま一気に距離をつめ、袈裟懸けに切り払う。
だが、剣先は空を切り、ギャレンは牙王の視界から消える。
避けた先を突き止める前に、上からの連続する射撃に居場所を悟らされる。
飛び上がり、牙王の真後ろに着地する前に、連射で牽制をされたのだ。
ギャレンが着地する。体勢を整えるより早く、牙王が振り向きざまに剣を振るった。
右肩の装甲に直撃し、いとも簡単に切り裂かれる。

(相当の馬鹿力だな…だが!)
斬られた反動で体を回転させ、連撃を避ける。
牙王の腹に蹴りを喰らわせ、ギャレンが後ろに下がった。
だがギャレンが退いた距離よりも深く踏み込み、牙王が真上から剣を振り下ろす。
派手な土煙を上げ、剣先が地面にめり込んだ。
牙王は、今の一撃で仕留めたと思った。
だが―

「がっ!」
避けずに懐に飛び込み、装甲の薄い部分にギャレンが銃を突き刺す。
そのままゼロ距離で連射を叩き込んだ。
激しい連打の音と共に、牙王の体が折れ曲がる。
そのままの体勢でラウズカードを取り出し、勝負を決めにかかる。
しかし、牙王の右足から繰り出された蹴りが横腹に入り、中断される。



599:◇FMWmYHfUMY(代理)
08/07/31 00:39:28 ZIVAt3fkP
「調子にのるなよ!」
側転で何とか転倒を免れたギャレンに、牙王が突撃してくる。
剣を片手に持ち替え、牙王は縦・横と剣を振るが、いずれも紙一重でかわされた。
だが、そこまでは予測済み。
ギャレンが避けた方向に自由な左手でアッパー気味の拳を打ち込む。
クリーンヒット。ギャレンは体を回転させながら、宙を舞う。
「終わりだ」
牙王は腰に力を入れ、落ちたところを真っ二つに叩き斬ろうと深く構えた。

    ―Bullet―

だが、妙な電子音声と共に、先ほどよりも威力の高い銃弾に襲われた。
ギャレンも飛ばされることを予測し、カードを抜いていたのだ。
先ほどまで両手で振っていた剣を、片手で扱った理由。
それを即座に理解するのは、ギャレンにとって容易なものだった。
ノーガードだった牙王はまともに銃弾を受け、体をよろつかせる。

着地したギャレンは、一瞬で距離を詰めた。
ラウザーを腰に収め、右拳を牙王の左頬に打ち込み、そのまま振りぬく。
続けて左拳で、右拳を打つ。
往復で揺さぶられ、牙王がたたらを踏む。
そのまま追撃を加えようとするが、ギャレンの腹に衝撃が来る。
見ると、牙王の膝が腹に突き刺さっていた。ギャレンも追撃叶わず後ろにふらつく。

600:◇FMWmYHfUMY(代理)
08/07/31 00:39:46 ZIVAt3fkP
「とっとと喰われちまえよ…楽になるぜ…!」
ギャレンの耳に牙王の声が届くと同時に、牙王の激しい連撃が来る。
右・上・斜め上・左・右・下。
型も何もなく、ただ力任せに、鋭く振り回される。
まるで一種の暴風のように、牙王はギャレンを押し込んでいた。
銃で受けるか避けるかを繰り返すギャレンを、牙王は容赦なく追い詰める。

「とどめだ!」
隙を見せたところに、牙王が渾身の力を込めて剣を振る。

  ―UPPER―

またもや、電子音声と同時に牙王は不意を喰らう。
防戦一方に見せかけ、大振りの一撃がくるのをギャレンは待っていた。
膝蹴りを受けた直後に抜いたカードを用意して。

顎にまともに入った一撃は、牙王を無様に吹き飛ばした。
空中で受身を取り、牙王は下を見やる。
     ―DROP―
一つ目のカードがスラッシュされる。
ギャレンはまだカードを用意している。牙王は、相手が勝負を決めるつもりだと悟る。
     ―FIRE―
二つ目のカードがスラッシュされる。
持っていたガオウガッシャーを投げ飛ばし妨害するが、いとも簡単に避けられる。
     ―GEMINI―
三つ目のカードがスラッシュされる。
牙王が着地し、先ほど投げたガオウガッシャーを拾うと同時に振りぬくが、ギャレンは後方に飛び去り、避けると同時に距離を取った。



601:◇FMWmYHfUMY(代理)
08/07/31 00:40:13 ZIVAt3fkP

     ―BURNING DIVIDE―

カードコンボ発生。
カードの紋章が背後に浮かび上がり、ギャレンに飛び込んでゆく。
同時に足のつま先に火がともり、ギャレンは跳躍する。
「おおおおおおおおおおおお!!」
牙王は太陽を背に、飛び込んでくるギャレンが、二人に増えたように見えた。
だが、錯覚ではなかった。ギャレンは、確かに分身していた。

「大佐ぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああ!!!」

自分の責任を、全て自分で負うという証。
心に再び灯った、消して過ちを繰り返さないという、志しを秘めた炎。
そして散り行く運命であろう者に贈る、魂の叫び。
全てを込めた全身全霊の蹴りは、牙王を遥か遠くに吹き飛ばした。

その、餞と呼ぶには余りにも荒々しい一連の所業は――

    「よくやった、橘…」

――確かに、伝わった。


   #################

602:◇FMWmYHfUMY(代理)
08/07/31 00:40:31 ZIVAt3fkP

変身を解き、まだ息のあるゾル大佐に、橘は駆け寄った。

「大佐…俺は…」
「もう、何も言うな」
ゾル大佐は、少しずつ血の気が無くなっていく顔で言った。
相当つらいはずだが、そんな素振りは一切見せない。
改めて、凄い男だと橘は思う。
もし自分があんな勘違いをしていなければ、こんなことにはならなかっただろう。
そう思うと、とても胸が痛い。
「橘よ…一つ、頼みがある…」
ゾル大佐が途切れ途切れで言葉を紡ぐ。
もう長くはないのだろう。橘は、必死に聞き届けようと、耳を傾ける。
「あぁ…なんだ、大佐」
「死神博士、という男に…伝言を、頼む」
そう言うと、ゾル大佐は深く息を吸い込む。
橘は、自分が酷い顔をしているのを自覚しつつ、懸命に大佐の一挙一動を見守る。

「ショッカーを…後を、任せた。そう伝えてくれ」

橘は、何度も頷く。嗚咽で声が出せそうにないため、そうするより他になかった。
それを見て、ゾル大佐は満足そうに微笑を漏らす。
そして、突然立ち上がる。

「大佐!無理はよせ!」
橘が静止するが、ゾル大佐は意に介さない。

603:◇FMWmYHfUMY(代理)
08/07/31 00:40:48 ZIVAt3fkP
最後の力を振り絞り、地面をしっかり踏みしめて歩く。
「このまま朽ちて死ぬのは御免であるからな…最後は、美事に散らせてくれ」
言葉の指す意味は理解出来なかったが、何か拘りがあるのだろう。
橘は溢れる涙をぬぐい、しっかりとゾル大佐を見つめる。
ゾル大佐もまた振り返り、橘を見つめ返す。

ゾル大佐は足を綺麗に揃え、両手をしっかり腰に当て、橘に向かって叫ぶ。
「橘!回れ、右!」
橘は突然の事に目を丸くするが、すぐに顔を引き締め、言われたとおり、後ろを向く。
「そのまま、進め!決して振り返るな!」
命令通り、歩き始める。道中、置きっぱなしだったデイパックを拾いながら。
その時、大佐の分が無かったと気付いたのは、後になってからだった。
無言で橘は、前だけを見て歩く。
後ろで、大佐が敬礼をしているのは、何故だか気づいていた。


橘が見えなくなった瞬間、ゾル大佐は崩れ落ちる。
足に力が入らない。体の力が抜けていき、死期を悟る。
(ふん…自分の誇りを守るためとはいえ、少々らしくなかったな…)
絶対に生き残るつもりだったのだが、部下を守るためとはいえ命を落としてしまうとは。
自分もどうやらその程度の男だったらしい。
だが、何故だかゾル大佐の心は充実感で溢れていた。
死ぬ直前にこんな思いが出来るのは、ある意味幸福なのかもしれない。
ゾル大佐は、膝をついたまま、両手を大きく空に広げた。

「ショッカー軍団、バンザァァァァイ!!」

叫ぶと同時に内部から火花が一際大きく散り、大爆発を引き起こした。
その轟音は青空に響き渡り、彼が命を捧げた、地獄の軍団まで届いたように思えた。

604:◇FMWmYHfUMY(代理)
08/07/31 00:41:07 ZIVAt3fkP

 #######################


橘は、ゾル大佐と来た道を、今までの自分を振り返りながら、進んでいた。
償いなんて言えないかも知れない。だが、大佐の分まで絶対に生き延びる。
そう心に決め、橘は歩き続ける。
後ろで何かが聞こえた気がしたが、決して振り返らなかった。




【ゾル大佐@仮面ライダー(初代) 死亡】

605:◇FMWmYHfUMY(代理)
08/07/31 00:41:23 ZIVAt3fkP
【橘朔也@仮面ライダー剣】
【1日目 現時刻:午前】
【現在地:E-4エリア南部から移動中】
【時間軸】:Missing Ace世界(スパイダーUD封印直後)
【状態】:悲しみ。顔・背中・腹部に打撲。 ギャレンに2時間変身不能。生きる決意
【装備】:ギャレンバックル
【道具】:基本支給品一式、ラウズカード(スペードJ、ダイヤ1~6、9)、レトルトカレー、特殊支給品×?
【思考・状況】
基本行動方針:主催者を打倒する為、勝ち残る。
1:とりあえず市街地から離れる?
2:ゾル大佐への責任を取る。
3:死神博士にゾル大佐の遺言を伝える。
備考
※自分の勘違いを見直しました。仮想現実と考えるのはやめることにしています。
※牙王の生死を確認していませんが、死んだものと考えてます。

606:◇FMWmYHfUMY(代理)
08/07/31 00:41:38 ZIVAt3fkP

   #####################



全身に感じる倦怠感を無視し、牙王は歩いていた。
何もないところでただ黙っているより、歩いているほうが気が紛れるからだ。
ただ黙って過ごすのは一度経験している。
あれではむしろ判断力が悪くなるだけだと判断し、牙王は痛む体に鞭を打ち進んでいた。

あの時、紅いライダーが放った蹴りをガオウガッシャーで防いだはいいが、衝撃に耐え切れず折れてしまっていた。
さらに、貫通してきた脚は胸の装甲に接触すると、見事にそこを砕き、ダメージを深刻なものとした。
剣も装甲もどうせ次変身するときには直っているのだからどうでもいい。
だが、あそこまでやられるとは予想外だった。
この様子だと、骨の一本や二本は持っていかれてるのかも知れない。
「あいつ、まさか…」

ゼロ距離で撃ったときも、空中から集中射撃を行ったときも、全て同じ部分に当たっていた。
最後の蹴りも、恐らくそこにぶち当たったのだろう。
狙ってやったとしたら、恐ろしい腕前だ。

607:◇FMWmYHfUMY(代理)
08/07/31 00:41:52 ZIVAt3fkP
「…面白い。次は必ず殺してやる…」
重い体を引きずり、牙王は呟く。
あの狼は恐らく仕留めたが、紅いヤツにはしてやられた。
橘と呼ばれていたその男の、顔と名前をしっかりと頭に刻み込む。
また機会があれば、今度こそ喰らうつもりでかかる。

二つ分の荷物を握り締める。
あの時、飛ばされた方向に、橘とゾル大佐が置いていたデイパックがあった。
装甲に持ち手が絡め取られ、その内の一つが偶然ついて来たのだ。
荷物が増えるのは億劫だが、中にある食料は大して消費されていない。
どうせだからと貰って行き、ただ思うままに牙王は進む。
行くあてもなく、それでいいとさえ思いつつ。

608:◇FMWmYHfUMY(代理)
08/07/31 00:42:10 ZIVAt3fkP

【牙王@仮面ライダー電王】
【1日目 現時刻: 朝】
【現在地:D-4エリア北部】
【時間軸】:最終決戦前。
【状態】:全身打撲、疲労、あばら一本骨折、ガオウに2時間変身不可。
【装備】:ガオウベルト
【道具】:マスターパス、基本支給品一式×2、ランダム支給品1~3(未確認)、リュウガのデッキ、コンビニから持ってきた大量の飲食料(少量消費)、特殊支給品×?
【思考・状況】
基本行動方針:全て喰らい尽くした上で優勝
1:適当に歩き回り、参加者を喰らう。最終的にゴルゴス、死神、影山も喰う。
2:一文字、ハナ、加賀美新、風間大介、天道総司を倒したと思われる参加者を喰らう
3:機会があれば煩わしい首輪を外す。
4:ガオウライナーを取り戻して村上も喰う。
5:紅いライダー(ギャレン)にまた会った時に借りを返す。
※会場のどこかに時の列車(予想ではガオウライナー)が隠されていると推測しています。
※何処へ向かうかは次の人にお任せします。
※木場の生存には未だ気づいていません
※ゾル大佐のデイパックを偶然奪いました。



※ゾル大佐の遺体は跡形も無くなりました。爆心地に首輪ぐらいは残っているかも知れません。



609:◇FMWmYHfUMY(代理)
08/07/31 00:42:55 ZIVAt3fkP
627 : ◆FMWmYHfUMY :sage :2008/07/31(木) 00:40:48 ID:???
長くなりましたが、これで投下終了です。
規制で書き込めなくなったので、こちらに投下させて頂きました。
支援・代理投下感謝します!お疲れ様でした!
感想や指摘、お待ちしております!

628 : ◆FMWmYHfUMY :sage :2008/07/31(木) 00:41:21 ID:???
あ、タイトル忘れてた…
「牙と軍人と輝く青年」でお願いしますorz

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以上で代理投下終了です。

610:名無しより愛をこめて
08/07/31 01:18:13 0wQ8Vl7gO
ゾルさん…死んでまったがね…

611:名無しより愛をこめて
08/07/31 10:32:31 Hj0Q7ul+0
あーん!ゾル様が死んだー!(ry

…不遇すぎる。あまりにも不遇すぎる。

612:名無しより愛をこめて
08/07/31 11:20:53 zsyGWj0m0
投下乙&GJ!
ゾル大佐のかっこよさに全俺が泣いた!!
橘さんも気付いてくれて安心…は、まだ出来ないけどw

613:名無しより愛をこめて
08/07/31 11:21:10 mRIaoCFT0
投下乙です!

橘さん覚醒キター!強敵牙王を撃退してかっこよかったです!
それと同じ位ゾル大佐もかっこよかった…軍人魂を見た!
橘さんはこれからどう動くのか、遺言通りに死神博士を探すのか?
牙王様もまだまだ元気ですし、気が抜けませんね。
燃えました、GJです!次の作品も楽しみにしてます!

614:名無しより愛をこめて
08/07/31 12:31:01 H3H8lGfU0
投下&仮投下乙です。
ゾル大佐の死に様に敬礼!
覚醒、バーニング、ショッカーへの忠誠を叫んで散り逝くゾル大佐、振り返らず進む橘さん、
全てが燃えました。かっこよかった。GJ!です。



615:名無しより愛をこめて
08/07/31 18:30:26 tPuLL2kq0
投下乙!
輝いている橘さんに見事な死に様のゾル大佐。
両者のキャラへの愛が溢れて、とても燃えました。
GJ!

616:小さなもの  ◆.dVdJr06fs
08/07/31 20:03:52 g4Pxov4Z0
初めてでよく分かりませんがここに投下していいんですよね?

「これは酷い・・・」
二人の目に映るのは荒れ果てた工場。闘いでも繰り広げられたのか見る影もない。
激しく損傷した作業機械は屑鉄と化していた。
「こんなところに本当に望む物があるのかね?」
乃木はつまらなさそうにそれら残骸を蹴散らして工場内を歩いている。
「まあ、もう少し見てみませんと」
よく見ると床には注射器などが所々に散乱している。この工場では医療用器具を製造していたのだろうか?
「・・・これは!」
北條は慌てて瓦礫を掻き分けて潰れたダンボール箱を引っ張り出した。
それは先ほども研究所で見たシリンジポンプのものだ。

617:小さなもの  ◆.dVdJr06fs
08/07/31 20:04:30 g4Pxov4Z0
中に残されていたのは一つの見慣れないとても小さな器具。
注射器が付いているようにも見えるがとにかくやたらと小さい。片手で隠すことさえ可能なほどだ。
「これが・・・そうですか・・・」
「何か分かったのか?」
「まだ推測の域を出ません。決め手に欠けますね・・・」
北條はダンボールを引っ掻き回して一冊のパンフレットを見つける。
「それは?」
「資料としては使えるかもしれませんね」
シリンジポンプについてのパンフレットを真剣に見つめて考察を進める北條。
乃木はその様子を差すような眼差しで見つめていた。

【乃木怜治@仮面ライダーカブト】
【1日目 昼】
【現在地:A-6 工場】
[時間軸]:43話・サソードに勝利後(カッシスワーム・グラディウス)
[状態]:健康。
[装備]:カードデッキ(王蛇)
[道具]: 携帯電話、その他基本支給品×3(乃木、イブキ、結花)、ゼクトマイザー、トランシーバーC
[思考・状況]
1:首輪解除のため、北條透と仲間の諸君をもう少し泳がせる。
2:ゲームの早期決着。
3:ZECTの諸君に関しては、早めに始末をつける。
【備考】
※ライア・ガイのデッキが健在の為、王蛇のデッキには未契約のカードが2枚存在します。
※ユナイトベントは本編3体の場合しか発動しません。
※変身にかけられた時間制限をほぼ正確に把握しました。
※天道について知っている訳では無いので、「カブトの資格者」が死んだことを知りません。


618:小さなもの  ◆.dVdJr06fs
08/07/31 20:05:53 g4Pxov4Z0
【北條透@仮面ライダーアギト】
【1日目 昼】
【現在地:A-6 工場】
[時間軸]:最終話
[状態]:精神的に疲労。 現状に関する若干の恐怖。 主催に対する多大な不安。
[装備]:なし。
[道具]:携帯電話、地図、マグライト、研究所のファイル、超小型シリンジポンプ
【思考・状況】
基本行動方針:無事に帰還し、スマートブレインを摘発する。
1:スマートブレインの危険性を懸念。
2:乃木をうまくだまくらかし、救出を待つ。
3:青い薔薇、実験道具、首輪の解析を進める。
4:長田結花を保護すべき民間人と認識。
5:友好的な参加者と合流、敵対的な参加者を警戒。
【備考】
※首輪の外見についてはほぼ正確に把握しました。ただし、肌に触れている部分を除きます。
※研究所の設備は基礎的な科学知識さえあれば扱える程度にマニュアル化されているようです。
 ただし、あくまで分析結果が自動で出るだけで所見はついてきません。
※ファイルにまとめられた実験資料には、ネズミの灰化実験に
 青いバラとケージに取り付けられた装置が関わっているという結論のみが明記されていました。
バラには灰化作用、装置にはその抑止力があるそうです。
※ファイルの内容の真偽は未確認ですが、北條はとりあえず真実であるという前提で行動しています。
※シリンジポンプが静脈注射に用いられる医療器具だと理解しました。



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