08/07/17 19:09:34 /7AviAog0
251:名無しより愛をこめて
08/07/17 19:10:25 /7AviAog0
252:名無しより愛をこめて
08/07/17 19:10:36 S2tR5tbf0
253:名無しより愛をこめて
08/07/17 19:11:21 /7AviAog0
254:希望と絶望と偽りの顔 ◆deggScNisI
08/07/17 19:11:40 4cCxMV/x0
「やってみせる!」
決意を言葉に出し、意識をハッキリとさせ、グレイブバックルを取り出す。
「「変身っ!!」」
降り注ぐ小雨から現れた虚像が手塚の身体に重なり、その姿を赤紫の鎧に包まれた戦士へと変える。
グレイブバックルにカードをラウズさせ、電子音声が鳴り響くと同時に黄金色に輝く光の板が志村の眼前に現れ、その身体を通過していく。
その身体は王者の気品さえ漂う金色。黄金の騎士と赤紫の戦士が並び立つ。
変身を見届けると、ダグバはゆっくりと歩き出す。それに立ち向かうように黄金の騎士、グレイブがグレイブラウザーを振り上げ、走り出す。
赤紫の戦士、ライアはカードを一枚取り出し、エビルバイザーへと差し込む。
虚空から何かの尻尾を模したような鞭が現れ、それを手にグレイブの後に続く。
二人にワンテンポ遅れたヒビキは懐から音角を取り出し、近くの木を軽く叩く。
キィンと心地よい音が広がるのを見届けると自らの額へとかざす。身体に鬼の力が漲っていく。
「ハァーー……ッ」
ヒビキの身体を炎が螺旋を描いて包み込む。衣服が無くなりその身体が異形な姿へと変わっていく。
「ハッ!!!」
炎を払い。変化した事を確認する。ごつごつとした体。見る者によって赤くも紫にも黒にも…様々な色に見える不思議な色をした姿。
清めの音を叩き鳴らす鬼、仮面ライダー響鬼。
「…なんであの時変身できなかったんだ?」
首を傾げつつ「ま、いっか」と呟き、腰に装着された音撃棒・烈火を両手に持ち、くるりと回す。
「いくぜ白童子!」
グレイブとライアを追い越さんとする勢いで鬼が走り出した。
* * *
255:名無しより愛をこめて
08/07/17 19:12:08 S2tR5tbf0
256:名無しより愛をこめて
08/07/17 19:13:12 /7AviAog0
257:希望と絶望と偽りの顔 ◆deggScNisI
08/07/17 19:13:43 4cCxMV/x0
「エヤァッ!」
「タァッ!」
グレイブの黄金の剣が正面から、少し横からライアの鞭がダグバに向かってくる。
「…」
ダグバは左手でまるで摘むかのように斬撃を受け止め、右手で虫と同じように鞭を払いのける。
「クッ…」
ギリギリとグレイブが力を込める。その力に押されて少しずつ剣先がダグバの眼前へと迫っていく。
(片手でこれか…!だが、やれないことはない!)
グレイブは内心ホッとしている。もしも自分の予想に反してダグバが弱かった場合『白い怪物』として暴れられるかどうか不安だったのだ。
だがこの力なら大丈夫のはず。あとはいかにして逃がすかだが…
ドスッと鈍い音がして、よろよろとグレイブがダグバから離れる。暇になったダグバの右腕がグレイブの腹に拳を打ち込んだのだ。
強いが、耐えられないわけではない。なんとか上手く誘導を…グレイブは再び剣を掲げる。
「ハァッ!」
響鬼がダグバとグレイブの間に割り込み、音撃棒の連打をダグバの胸へと叩き込む。
ダグバがその威力に押され、後ろに下がる。響鬼は仮面の下で眉をひそめた。
(おかしい、手ごたえがないぞ)
響鬼は追撃はせずに構えたまま、ダグバと距離を開ける。
258:名無しより愛をこめて
08/07/17 19:14:40 /7AviAog0
259:名無しより愛をこめて
08/07/17 19:15:17 S2tR5tbf0
260:希望と絶望と偽りの顔 ◆deggScNisI
08/07/17 19:15:45 4cCxMV/x0
「何してるんです!一気に畳み掛けないと!」
グレイブがダグバへと突っ込んでいく。その時、響鬼はダグバの眼が光ったような気がして、走るグレイブを咄嗟に弾き飛ばした。
弾き飛ばしたのとほぼ同時に、紅蓮の炎が響鬼の胸を焼き、吹き飛ばした。
「「ヒビキさん!」」
グレイブとライアが叫ぶ。響鬼は音撃棒を軽く振り、無事をアピールした。
無事を確認するとグレイブは再びダグバへと突っ込んでいく。
「借りるぞ!」
ライアがそう叫び、カードを先ほどと同じようにエビルバイザーへと差し込む。
―COPY VENT―
グレイブラウザーが電子音声と共にぶれだし、浮かび上がった虚像がライアの手に移ると実体となり、もう一つのグレイブラウザーが現れた。
ライアは新しく生まれ出でたグレイブラウザーを振り上げ、グレイブと同時にダグバへと切り込む。
ガキィと鈍い音がした。
ダグバが左手でグレイブの剣を、右手でライアの剣を受け止めたのだ。
「このまま押し込むぞ、志村!」
「…っ、えぇ!」
グレイブとしてはこの状況はまずい。ライアは手加減などする訳もなく、間違いなくダグバを仕留めてくるだろう。
なんとかしてダグバと自分が一対一の状況にしなければ…
(…悪く思うなよ、手塚)
* * *
261:希望と絶望と偽りの顔 ◆deggScNisI
08/07/17 19:17:47 4cCxMV/x0
両手で二つの剣を受け止めつつダグバは内心ガッカリとしていた。
(つまんないな…これじゃ僕を笑顔になんて到底無理だね)
そろそろ終らせようかな、そう思い始めた時に感じた違和感。
(どういうつもり?)
グレイブの剣が自分から見て右側…要するにライアの方へと動かそうとしているのだ。
それは見た目にはわからない、実際に受け止めていないとわからない僅かな変化。気付いているのはダグバだけ。
まるで受け流してくださいと言っている様なものだ。どこか、嘗められているような気がした。
* * *
262:名無しより愛をこめて
08/07/17 19:18:05 /7AviAog0
263:名無しより愛をこめて
08/07/17 19:19:38 /7AviAog0
264:希望と絶望と偽りの顔 ◆deggScNisI
08/07/17 19:20:07 4cCxMV/x0
(なんか、やばくねぇか?)
ようやく立ち上がった響鬼はそう感じた。何か、雰囲気が変わったような感覚を。
(いい加減気付け!こうしてるのも楽じゃないんだ!)
グレイブはいつまでも自分の意図に気付かないダグバに内心苛立っていた。
だがようやくその意図を感じ取ったのかダグバはグレイブの剣を力に従うように、ライアの方へと払った。
「ぬぅっ!」
「手塚ぁっ!」
ライアの身体をグレイブの意図的な誤爆の剣が切り裂き、予想外の出来事に響鬼が叫ぶ。
その勢いに不意をつかれたのも相まって、ライアは吹き飛ばされながら変身が解除されていった。
手塚が右腕を抑えて呻く。上腕から溢れるように赤い血液が流れ始めていた。
グレイブは自分の策が上手くいった事と同時に不安を感じた。異様に力が強かったのだ、ダグバの力が。
「…馬鹿にしてるね、君」
吹き飛ばされた手塚を呆けたように見つめるグレイブに冷たく、重い声が突き刺さる。
―違う―
そう感じた。あまりにも違いすぎるプレッシャー。自分はこんな怪物と対峙していたのかという事実を肌で感じ取る。
265:名無しより愛をこめて
08/07/17 19:21:11 /7AviAog0
266:希望と絶望と偽りの顔 ◆deggScNisI
08/07/17 19:22:14 4cCxMV/x0
「うぅわぁっ!」
半ば狂乱気味にグレイブラウザーを振り下ろす。狙いが定まってはいないが、力だけは込められた斬撃を。
簡単に受け止められた。先ほどと同じ展開。だが明らかに違う。
ミシリ、と音がなる。ダグバの左腕で受け止められたグレイブラウザーにヒビが入り悲鳴を上げ始めているのだ。
「…ばけもの…」
「そうだね、ばけものだね。そんなばけもの相手に…リントが手を抜くっていうのは駄目だと思うよ」
静かに、添えるようにダグバの右腕がグレイブへの腹部へと触れる。
グレイブが悲鳴を上げる間もなく、先ほど響鬼に向けた物とは明らかにケタの違う炎が、零距離でグレイブを襲った。
声とも分からぬ声をあげ、グレイブ…いや志村が宙を舞い、落ちた。グレイブバックルも今の衝撃でどこかに弾き飛ばされたようだ。
一部始終を見ていた響鬼は、自分が震えていることに気付く。
「とんでもないのを相手にしてるわけだ…ハハ…」
自分の見立てでは3人で掛かってようやく拮抗か少し有利、そう考えていた。
違っていた。甘すぎた。
死ぬ気で、気力を尽くし、今ここで燃え尽きる。言うなれば死ぬ直前の火事場の馬鹿力の3人で、ようやく五分か…
「ふぅー…」
息を一つ吐き、響鬼は覚悟を決めた。鬼になったからにはいつかはこういう日がくるという事は理解していたからだろうか…
覚悟を決めたと思うと不思議と震えは止まり、体中に熱い力が漲ってきた。それでいて心は水のように穏やかな。
未だ降り続ける小雨では決してこの熱い力を冷ます事はできず、また、心の水に波紋を起こすことも決して無い。
「よっしゃぁ!」
再び響鬼は走り出す。その勢いが衰える事は決して無いだろう。
267:名無しより愛をこめて
08/07/17 19:23:11 /7AviAog0
268:希望と絶望と偽りの顔 ◆deggScNisI
08/07/17 19:24:14 4cCxMV/x0
ゆっくりとダグバは瀕死の志村へと近づいていく。志村はまだうめき声を上げ、震えている。
近づいて、気付いた。志村の口から流れる緑色の液体。それは小雨に流され、志村自身に拭われ、誰も気付く事はなかったはずのもの。
今こうして、冷静に観察できるダグバだからこそ気付けた。緑色の液体。
(だから…?)
この男がリントじゃないから、自分を嘗めていいという理由にはならない。
自分よりも遥かに劣る存在である癖に、まるで自分の方が上位と思い込んでいたこの男は…
「駄目なんだよ…そういう事は」
ゆっくりと右手をかざす。志村はその動きに恐怖したのか、ダグバから離れようと必死にもがいている。
こんな情けない奴に怒りを覚えたのか?とダグバはふと思ってしまった。
切っ掛けがあれば途端に感情は冷めていく。だが冷めた所で、やる事に変わりはない。
「じゃあね…」
そう呟いて右手に力を―
力を放つ直前に何かに縛られる。というよりも、右半身に何か張り付いている。
何か模様の描かれた丸い物。なんだこれは?と疑問に思うダグバの視界に入るのは振りかぶる、鬼。
269:名無しより愛をこめて
08/07/17 19:24:47 /7AviAog0
270:希望と絶望と偽りの顔 ◆deggScNisI
08/07/17 19:26:31 4cCxMV/x0
「音撃打・猛火怒涛の型!!」
―ドドン!―
「はぁ~っ!」
―ドン!ドン!ドン!―
音撃棒を不規則に叩き込み、連続して清めの音を叩き込んでいく。
清めの音が奏でられるたびに、ダグバの身体が震える。清めの音は多少なりにもダグバに対して効果的であるらしい。
だが響鬼には関係無い。ただ無心に、清めの音を叩き込む、それだけ。
「はぁ~っ、だぁっ!」
―ドドン!―
両手の音撃棒、阿吽を同時に叩き込み、トドメの一撃が鳴り響く。
その衝撃でダグバは火炎鼓の拘束を振り切り吹き飛ばされていく―
271:名無しより愛をこめて
08/07/17 19:26:51 /7AviAog0
272:希望と絶望と偽りの顔 ◆deggScNisI
08/07/17 19:28:36 4cCxMV/x0
戦線を離脱していた手塚は傷の痛みに呻きつつ、自らのデイパックの元へと歩く。
そして中からマシンガンブレード取り出し、構えていた。いつでも響鬼の援護できるように。
だがその必要も無い事を見届けると構えていたマシンガンブレードを地に下ろした。
ずるずると木に背中を預け座り込む。仇を自分の手で取れなかったことが少しだけ悔しいが、それでも構わない。
再び顔をあげる。恐らく響鬼が志村を介抱しているか、或いはこちらに向けて喜びの意を表しているかもしれない、そう思い顔をあげる。
響鬼はただじっ、とダグバが吹き飛ばされた方を見ていた。その姿に油断はない。
何故だろう。ダグバは倒したはずなのに。何故?
響鬼が見つめる先に、ダグバがゆっくりと立ち上がっていた。
「すごいね…右肩にひび…君、面白いよ」
手塚は目の前の光景を信じられず、マシンガンブレードを構える事すらできない。
何かを拾い上げたダグバと、無言の響鬼をただ眺めていた。
「君なら、僕を笑顔にしてくれるのかな?」
「…さぁな」
響鬼の視線はダグバにではない、ダグバが握る物に注がれていた。
「…あぁ、これ?ちょっと試してみようかなって…リントの力を、ね」
ダグバは青年の姿に戻ると手にしたそれを腰に当て、カードを差し込んだ。
金色の光の板がダグバの身体を通り抜ける。少し前にも見た光景。
違うのはその光に、金色の鎧に包まれていく中身だけ。
響鬼も、地に伏せたままの志村も、少し離れ眺める事しかできない手塚もその光景を眼にしていた。
「…ふぅーん、なんか妙な感じだね」
273:希望と絶望と偽りの顔 ◆deggScNisI
08/07/17 19:30:43 4cCxMV/x0
自分の身体を眺めながらダグバ…いや、グレイブは呟く。
「これは…別の力?そっか、借りて戦ってるんだ……あぁ、そういえば青い仮面ライダーと似てるかも」
グレイブがどこに仕舞っていたか、何枚かカードを取り出し一枚を残して腰横のケースに仕舞いこんだ。
瀕死の志村の眼が見開かれる。
(ラウズカード…っ!あいつがなんで持ってるんだ!)
「えーっと…これを…あれー、どこに入れるんだろう」
グレイブがグレイブラウザーをいじり、カードをラウズしようとしている。当然、響鬼がその隙を逃すわけがない。
「はぁーっ!」
「あっ、ここか」
響鬼が音撃棒を振り上げ、叩き付ける。その動作の間にカードはラウズされ、電子音声が響く。
―TACKLE―
光の固まりが自分を襲ったと、吹き飛ばされた響鬼は感じていた、だがグレイブの体勢と電子音声から体当たりだったのだと気付く。
(それにしたって…初期動作も何も無い所からいきなり…あれかぁ)
ふらふらと立ち上がりタックルを受けた箇所に触れると激痛に呻き声をあげる。
不意打ちという事もあったが、ダグバの手加減されていたとはいえ炎を直撃した箇所だ。痛まない方がおかしい。
…と、傷に触れて気付く。右手に何も握られていないのだ。握られているはずの音撃棒が。
どこだどこだと首を振り音撃棒を探す。しかし見当たらない。
274:名無しより愛をこめて
08/07/17 19:35:30 o+im4p8sO
支援
275:名無しより愛をこめて
08/07/17 19:36:25 XMcg4dzG0
276:希望と絶望と偽りの顔 ◇deggScNisI (代理)
08/07/17 19:40:58 4+ufrHvZP
その間にもグレイブは別のカードをラウズする。何が起こるかという期待感を募らせつつ…
―ABSORB―
ピピピとグレイブラウザーに表示された数字が増えたが、特に何も起きる様子はない。
「…ハズレかな」
音撃棒を探しまわる響鬼に向かおうとして…志村がうめき声をあげたのでグレイブはとりあえず先にそちらに近づく事にした。
グイと左手一本で志村の首を掴み持ち上げる。志村は抵抗のつもりかもがいているが、ただ芋虫のように蠢くだけだ。
「ねぇどんな気分?自分の武器でこうしてやられて、どんな気分?」
もしかしたらグレイブはこの時笑顔だったのかもしれない、だがその表情はすぐに曇る。
277:希望と絶望と偽りの顔 ◇deggScNisI (代理)
08/07/17 19:41:09 4+ufrHvZP
志村の口が動くのだ。声にはなっていないが、何を言いたいのかわかってしまった。
―ほんきを だせば―
ぶんと志村の身体を放り投げる。その時に志村の身体の一部が当たったのだろうか…
ホルダーに仕舞いこんでいたカードが志村と共に辺りに散らばった。
吹き飛ばされた志村はいやにギラギラした瞳をカッと見開き、大げさに四肢を広げ宙を舞い、地面にめり込んだ。
その全てが演技に見えて…グレイブはカードを回収を後回しにして大股で志村に近づき、グレイブラウザーを振り下ろす。
―ガキィン―
金属と金属がぶつかり合う音が辺りに響く。グレイブの剣は紫色の戦士の剣により、受け止められていた。その姿は―
「…誰?」
グレイブの剣は、予期せぬ剣士に受け止められていた。
* * *
278:希望と絶望と偽りの顔 ◇deggScNisI (代理)
08/07/17 19:41:29 4+ufrHvZP
音撃棒を探し回る響鬼。その間にグレイブはこちらへと近づき、途中でどういうわけか志村の元へと近づき、首を持ち上げながら絞めている。
手塚は自分にできることを咄嗟に考え、ライアのデッキを再び小雨へと振りかざす。
しかし何の反応も返さない。何度変身と叫んでも、変わらない。
他にできることといえば響鬼をサポートする事だ、と判断しデイパックの中に埋もれた剣を響鬼に手渡そうと掴む。
と、掴んだ手にまるで待っていたかのように小さな影が手塚の腕にしがみ付いてきた。
「なっ!?」
咄嗟に腕をぶんぶんと振るうが、その影は離れることなくしがみつき、右手に握られた剣へと近づいていく。
冷静に見てみればそれは機械で作られた…ザリガニ?と思ったが今こうして右手をつねっている所を考えるにサソリらしい。
今度は正解だったらしく機械の紫サソリは尻尾と両手のハサミを振り上げ、何かを手塚に伝えようとしている。
よくよく見れば今握り締めている紫の剣とこのサソリはどこか似たような作りに見える。もしかしたら…だが。
手塚は紫サソリ、いやサソードゼクターを掴み、剣の持ち手の収まりが良さそうな所に取り付けようとして…止まる。
「…いいのか?俺で」
279:希望と絶望と偽りの顔 ◇deggScNisI (代理)
08/07/17 19:41:47 4+ufrHvZP
左手でもがくサソードゼクターは何も答えない。だが逃げようとしない所を見て、肯定と受け取る。
「…すまん、力を借りる」
今この場で戦える力がまだある事を、手塚は素直に嬉しく思う。
「運命は、俺が守る!変身ッ!」
――HENSHIN――
ライアの変身とは違う、細かな粒子が重厚な鎧を作り出し、手塚の身体を覆っていく。
その様子に気付いた響鬼は素直に驚いていた、それと同時に、まだ自分達は戦えるという意思が燃え上がってくる。
「ヒビキさんはトドメを!足止めは俺がやります!」
「手塚…オッケー!任せろ!」
サソードは紫の鎧とオレンジ色に光るチューブをギシギシと軋ませながらグレイブの元へと駆けて行く。
いつのまにか志村は地面に倒れこんでおり、グレイブは黄金の剣を振り上げていた。
間に合え、間に合え…手塚は心で祈るように呟き、その呟きは声になる。
「間に合え!」
―ガキィン―
金属と金属がぶつかり合う音が辺りに響く―
* * *
280:希望と絶望と偽りの顔 ◇deggScNisI (代理)
08/07/17 19:42:08 4+ufrHvZP
ギリギリと、グレイブとサソードの鍔迫り合いは続く。
だがサソードは寝そべっており、体勢はあまりにも不利と言える。
あのまま普通に走れば間に合う事はできなかったろう。
サソードは咄嗟に野球のヘッドスライディングのように飛び込み、本当のギリギリでグレイブの剣を受け止めたのだ。
こうして志村も自分も無事な事を素直に喜ぶべきなのだが…
「そっか…君はあの鞭のライダーの方だね。つまんない奴かと思ってたけどそんな切り札があるなんてね」
グレイブはギリギリと力を増し、押し込んでくる。サソードは力でなら負けていない、或いは勝っていたかもしれないが…
体勢が不利な事、手塚が右腕に深い傷を追っている事等、悪い要素が重なり、少しずつではあるが確実に押されていた。
だがサソードにとって今重要なのはほんの少しでも長持ちさせることだ。ともかく時間を―
「手塚、待たせた!」
グレイブの右半身に再び巨大な火炎鼓が現れ、その身を拘束させる。
ようやく音撃棒を探し当てた響鬼が再び清めの音を叩き込まんとグレイブへと迫る。
グレイブが驚き、一瞬緩んだ隙にサソードは転がるように抜け出し、志村を抱えて少しでも遠くへと…歩き出す。
右腕から流れ出す血は決して無視できる度合いではなく、確実に手塚の体力を消耗させていた。
その消耗した状態でギリギリの鍔迫り合いを行い、手塚の身体は限界に間近。
それでも巻き込まれないよう、志村を抱え必死に歩く。
あとほんの数センチ…響鬼は手塚達が安全な距離まで離れるまで、時間にしてほんの数秒だけ、グレイブへの音撃が遅れた。
グレイブはその数秒の間にダメージを最小限に済ませる方法を探し出し、辺りに散らばったラウズカードを目だけで見やる。
(あれなら、あのカードならきっと…)
281:希望と絶望と偽りの顔 ◇deggScNisI (代理)
08/07/17 19:42:25 4+ufrHvZP
カードは裏になっていた物も当然あるが、目当てのカードは表になっておりすぐに見つけることができた。
グレイブは自由な左足を地面に叩き付け、その衝撃でラウズカードを宙に浮かせる。
「音撃打・爆裂強打の型ぁっ!!!」
同じく自由な左手で目当てのカードを掴み、すぐさまラウズさせる。身体を包み込むように広がる異質な感覚。
その感覚のさらに上から、強烈な清めの音が繰り出された―
ドォンッ!!
「っ!」
響鬼の両手に伝わる異質の感触。生身の身体相手にこのような手ごたえはありえない。
見ればグレイブはその衝撃に吹き飛ばされ…ていない。拘束された体勢のまま、1メートルほどずれたように動いただけだった。
金色の鎧は光沢を増したかのように輝き、明らかに何かが変わっている。
「青い仮面ライダーも…使ってたなぁ、このカード…ふふ」
グレイブがラウズしたカードは、スペードの7『トリロバイトメタル』。このカードでグレイブのボディを金属に変え硬度を上げた。
清めの音が金属に対して効果が薄いのかどうかはわからないが、結果としてグレイブはほとんどダメージを受けることなくこの場を凌ぎきったのだ。
「せっかくだから…これも使っちゃおう」
282:希望と絶望と偽りの顔 ◇deggScNisI (代理)
08/07/17 19:42:45 4+ufrHvZP
必殺の一撃を簡単に受け流され、呆然としている響鬼の前で、散らばったカードを悠々と拾い上げ、その中から3枚のカードをラウズする。
―KICK―
―THUNDER―
―MACH―
―Lightning Sonic―
3体のアンデッドの力がグレイブへと蓄えられ、その身体からは青い稲妻が放電している。
グレイブラウザーを地に刺し、右足を後ろに下げ、両手を広げながらゆっくりと腰を沈める。
「ふふ…ライダーキック」
響鬼へとグレイブは駆け出す。
そして勢いよく飛び上がり、蹴りこむ体勢は緑のリントと同じ構え。
自らに蹴りこんだ3人の仮面ライダーそれぞれのキックをグレイブなりに複合させた物を…響鬼に蹴りこむ。
逃げ切れないと悟った響鬼は咄嗟に両手に持った音撃棒を交差させ、少しでも防御しようとしたが…
折れた音さえ響く事はなく、あっけなく音撃棒は仲良く割れるように折れた。
遮る物が何も無くなったグレイブの右足は響鬼の胸に突き刺さり、衝撃や青い稲妻…全てを注ぎ込み、その身を吹き飛ばした―
先ほどまで手塚が座り込んでいた木の隣の木に、突き刺さるように響木は叩き込まれていた。
意識を失ったかのように前のめりにどしゃりと倒れこむ。泥が跳ね、未だ降り続ける小雨が響鬼を濡らす。
「…壊れちゃったかな?」
283:希望と絶望と偽りの顔 ◇deggScNisI (代理)
08/07/17 19:43:04 4+ufrHvZP
変身が解けていない所を見ると恐らくはまだ意識はあるのだろう。だがそれでも響鬼が立ち上がる事はない。
「…ま、今はそれよりも…」
グレイブは地面に突き刺したグレイブラウザーに手をかけ―
「こっちだね」
「っ!」
素早く引き抜き迫ってきていたサソードの刃を受け止める。
「遅いよ。疲れちゃったの?やっぱり君はつまらないね」
「くぅっ!」
事実、サソードは遅かった。体力は消費していたし、慣れない変身の姿というのもある。
だが何よりも鎧のようなものが無駄に重かった。これさえなければまだまともに動けるはずなのだが。
身を守るという意味では頼もしいが攻める事に関して言えば邪魔としか言えない。取れそうな所がまた憎らしい。
しかしそれでもサソードがやるしかなかった。自分しかいないのだから。
本当なら響鬼がやられる前にこうして妨害できればよかったのだろうが…
響鬼の劣勢に気付き、駆け出した時には既にグレイブはキックの体勢に入っていたのだった。
重い体が憎らしい。鎧が脱げれば、もっと早く動ければ…
そんな思いが目を曇らせたのだろうか?グレイブが新たなカードを取り出しラウズする事を見逃してしまったのは。
―MIGHTY―
黄金の光がグレイブラウザーに纏わりつき、発生した重力場の影響でサソードの力がガクンと抜ける。
抵抗の弱くなったサソードをグレイブが乱暴に斬りつける。胸に赤い一文字が描かれ、手塚はその場に前のめりに倒れこんだ。
変身が解除されサソードゼクターは手塚の周りをおろおろと動き回る。その間にも少しずつ、赤い水溜りが手塚を中心に広がっていく。
284:希望と絶望と偽りの顔 ◇deggScNisI (代理)
08/07/17 19:43:24 4+ufrHvZP
―サソードゼクターは震えた―
―鎧を脱ぎ去る事も誰よりも早く動く事も自分には可能だったのに―
―その方法を自らの主に伝える事ができず、良いようにやられる主の姿に―
―悔しさともどかしさから、サソードゼクターは人知れず震えた―
グレイブはふと空を見上げた。そろそろ止まないかなぁ、この雨。そんな事を考えて。
もはやこの場には自分に敗れた3人のライダーだけ。少し楽しめたが…本当に少しだ、楽しみ足りない。
どうするか考え…とりあえず自分を嘗めたリントではないライダーを殺そうとグレイブは動こうとして、止まる。
小雨は止み、ほんの少しだけ覗いた晴れ間が、彼を…仮面ライダー響鬼を照らしていた。
285:希望と絶望と偽りの顔 ◇deggScNisI (代理)
08/07/17 19:43:45 4+ufrHvZP
「しつこいね…そういうしつこさは嫌いだよ」
グレイブはグレイブラウザーを地面に刺し、杖のようにして両手を乗せる。
響鬼は何も答えず、荒い息を吐きながら短い不恰好な短剣を構えている。
「はぁ…もういいよ。君は結構楽しめたし。そこのライダーも見逃してあげるよ。殺すのは奥のちょっと焦げてるのだけ」
「させない…」
グレイブは大げさに空を見上げ、そしてため息と共に顔を伏せた。
「…じゃ、さようなら」
グレイブはグレイブラウザーを引き抜き、響鬼へと走る。
朦朧とした意識の中で、響鬼は夢を見た。ほんのつかの間の夢を。
* * *
286:希望と絶望と偽りの顔 ◇deggScNisI (代理)
08/07/17 19:44:01 4+ufrHvZP
「ヒビキさん」
夢の中で少年が自分の名を呼んでいる。見覚えはないはずなのに、どこかで引っかかる。
「君は…」
少年は答えず、ただ自分を見つめている。知らないはず名前が口からこぼれた。
「たけ…し…猛士…猛士!」
少年が微笑んだような気がした。
「それ、響鬼さんの為に…使ってくれますか?」
「あぁ、ありがたく使わせてもらう、サンキュー!猛士!」
「…はい!」
* * *
287:希望と絶望と偽りの顔 ◇deggScNisI (代理)
08/07/17 19:44:20 4+ufrHvZP
「へぇ…本当に…リントの戦士は面白いね」
グレイブの目の前で不思議な事が起こっている。見てくれの悪い短刀が光を発し、刀身が伸びているのだ。
見てくれも引き締まり、赤と銀で構成された刀は素直に美しいと言える。
「…アームド…セイバーだ…」
響鬼自身も驚いている。先ほどの夢が関係しているのだろうか?ただの短刀がこうしてアームドセイバーへと変化している。
超能力や催眠術でも掛けられてるのか、と一瞬疑いたくなるが、そんな次元の話じゃない。
猛士がくれた希望なのだ。猛士の事は知らない。だが、知っている。そんな矛盾。
しかしそれでも尚、繋いでくれた希望なら自分が引き継ぐしかない。
アームドセイバーを口元に寄せ、呟く。
「響鬼、装甲…っ!」
両手でアームドセイバーを構え、流れ出す力を直に感じる。
この場全てを清めるかのような音が鳴り響き、自分の身体を―
288:希望と絶望と偽りの顔 ◇deggScNisI (代理)
08/07/17 19:44:50 4+ufrHvZP
―バチッ―
場違いな音が小さく鳴った。
それが自分の首輪から鳴ったものだと響鬼が気付いたとき、アームドセイバーから流れ出す力が自分を弾き飛ばした。
以前にも似たような出来事はあった。初めてアームドセイバーに使おうとしたときに拒まれ、同じように弾き飛ばされた。
だが今の自分はあの時とは違い、更に鍛えられている。なのに、何故?響鬼は呆然と足元に転がるアームドセイバーを見つめている。
―参加者が知りえない首輪の制限に、上位フォームへの制限というものがある―
―クウガのライジングやアメイティへの変身、ギルスのエクシードへの変身等が主な対象だ―
―つまり道具を用いずにより強力な姿へと変身者への制限。それはつまり、響鬼の紅への変身も制限していた―
―響鬼の装甲響鬼への変身を塗装に例えるならば…響鬼という素材はあり、アームドセイバーというトップコートもある―
―だがベースとなるべく響鬼紅が制限され…素材に直接トップコートを施してもそれはすぐに剥がれ落ち、無意味に終るのだ―
―例え話なので剥がれ落ちるという表現を用いたが実際には変身すら行なえずに響鬼は弾き飛ばされた―
289:希望と絶望と偽りの顔 ◇deggScNisI (代理)
08/07/17 19:45:21 4+ufrHvZP
顔の変身が解け、身体に漲る鬼の力が弱まっていく事もヒビキは感じていた。
なんだこれは?希望と思い掴んでいった、手繰り寄せていったものは全て無意味に終る。
何から間違えたんだ、俺は?装甲響鬼に変身しようとしたから?あのタックルの時に、音撃棒を落としたから?
さらに遡れば…手塚の占いを聞いて即座に動かなかったから?いや、そもそも俺の決断がもっと早ければ…
どうしてこうなるんだ…熱い力も冷めていき、心の水も津波が起こったかのようにゆらゆらと揺れている。
妙に寒いと思えば、小雨が身体を湿らせ体温を奪っていっていた。変身が解けて全裸になって、晴れたと思った小雨もいつの間にかまた降りだした、か。
ハハ…とヒビキは笑っていた。小雨のせいなのか絶望の涙なのかも判らない水で頬を濡らし、笑っていた。
グレイブ…いや、既にダグバは変身を解いていた…ダグバもまた、小雨に濡れながら笑う。
目の前のあまりにも惨めなリントの姿に、絶望に打ちひしがれ、おまけに全裸だ。笑わない方がおかしい。
その笑みはヒビキとは違い、嘲笑と呼べるが、ヒビキもダグバも気にしない。お互いただ笑っていた。
「ふふ…ねぇ、なんて名前なの?鬼のリント」
「リントぉ…?俺は…俺はヒビキって言うんだ…」
よろしく、と小声で呟き、右手を弱く敬礼のように振る。
「残りは…?志村と…」
「手塚、だ。もう好きにしろよ…」
ハハと笑いながら、ヒビキはちらりと視線を横にずらす。先ほどまで手塚が倒れこんだ近く。
開けっ放しのデイパックには何か銃のような瓢箪のような物が…その近くには赤いカードデッキが泥にまみれて濡れていた。
(あれも同じなんだろうなぁ…)
もしかしたらあれを使えばダグバを倒せるかもしれない、そんな希望。
だがその希望も掴んでしまえば無意味に終るのかもしれない。それならばいっそ…
『響鬼さん』
290:希望と絶望と偽りの顔 ◇deggScNisI (代理)
08/07/17 19:46:27 4+ufrHvZP
少年の、猛士の声が聞こえた気がした。ほんの少しだけ熱がこもり、心も落ち着きかける。
(ちょっとちょっとちょっと、どうしちゃったんだよ俺…俺は鬼なんだぞ!人を守るのが鬼の仕事だろ!
それなのにもう好きにしろだの…希望がすぐ絶望に変わるって…おかしいって絶対!
そりゃ…そうなるかもしれないけれど…それでもやらないよりかは!そうだ、仮に変身できなかったとしてもあの銃を使えば!
使い方?銃なら引き金があるはず、それを探し出せれば!)
ようやくヒビキの目に力が戻りはじめる。後はダグバの隙をつけたら、だが…
そのダグバは既に自分に背を向け、歩き始めていた。
「なっ…!?」
ヒビキは迷う。これはチャンスなのか、それとも罠なのか。
迷う間にもダグバは離れていき、手塚の側を何もせずに通過し、振り返る。
「ねぇヒビキ。クウガに伝えて。君の友達の青いライダーの力は僕が大事に使ってあげるって!」
「クウガ…!?」
聞きなれない名前。名簿にも載っていなかったと思う名前。再びヒビキは悩みだす。
再びダグバは背を向け歩き出す。ヒビキは声を上げようとするが、声が出ない。
もしかしたらこのまま全員見逃してくれるのかもしれない、そんな甘い考えのせいで。
今、この状況で変身できれば勝てるかもしれないのに、その希望も、自らの甘い考えへの僅かな執着心で無くなりつつある。
(今を見逃したら…次はない…)
なんとなくそう感じている。動け、動け。冷えた身体に命令し、立ち上がろうとして、再びダグバが振り返る。
「それと…志村が起きたら伝えて。次は本気でやれって。君もリントならね…リントなら…って。ふふ」
そう言い残してピクリとも動かない志村の側を通り過ぎ…いつしかダグバは見えなくなっていた。
291:希望と絶望と偽りの顔 ◇deggScNisI (代理)
08/07/17 19:47:05 4+ufrHvZP
ダグバが去ってしばらくの間、ヒビキは動けなかった。小雨がヒビキの身体をずぶ濡れにしていく。
ふと足に痛みを感じ、頭を動かす。紫色の機械のサソリが、脹脛を小さなハサミでつねっていた。
「そうだ!手塚、志村!」
全裸のまま走り出し、志村と手塚の二人を雨が凌げそうな場所まで担いでいく。
疲れきった身体は悲鳴をあげているが、それでも動くしかない。ヒビキはともかくがむしゃらに動いた。
手塚のデイパックの中に救急箱があったのは本当に幸いだった。自分の予備の服や水等を用いて、二人の傷を治療していく。
どこもかしこも不恰好で見た目は非情に悪いが効果は少なくともあるはずだ。
手塚の傷は酷い。応急処置を済ませたとはいえ、胸の横一文字の傷や右腕の傷からの出血が酷く、輸血が可能ならすぐにでもすべき状況だろう。
志村の傷もまた酷い。全身に無数の傷があり、首に残る手の形をした痣も痛々しい。何よりも酷いのが腹部の火傷だ。
もはや炭化しているのでは、とも思えるほど酷く…ダグバの本気での炎の火力を物語っている。
そんな中所々目に付いた鮮やかな緑はなんだろう、と思ったが草の仕業だろうと考え気にしない事にする。
そして最後に、右腕にしっかりと握り締められた何かが気になった。
ヒビキはどうにかこうにかその手を広げ、中身を確認する。グレイブが使っていたカードのようで、ハートのKと描かれていた。
「志村…すまない…すまない…っ」
ぎゅっ、とカードを握り締め、志村に謝罪する。
志村はあの状況になってもそれでも少しでも自分達を助ける為に脅威となるであろうこのカードを密かに奪っていたのだ。
仮に戦いに乗っていたとしたら、こんな行為はしない。ばれればすぐにでも殺されてしまう、危険な行為なのだから。
手塚だってそうだ。傷だらけになっても、それでも希望を信じ、不慣れな姿で戦った。
サソードゼクターがキシキシと動き、手塚の頬や耳をつねっているが、目覚める気配はない。
「俺は…何をしているんだ…」
292:希望と絶望と偽りの顔 ◇deggScNisI (代理)
08/07/17 19:47:44 4+ufrHvZP
本来なら守るべき者であるはずなのに、守られてばかりだ。
何のための鬼なのだろうか、自分はなんのために…
再び足元に痛みを感じる。サソードゼクターが足の小指をつねっていた。
「…そうだな、このままじっとしていた所でしょうがない。二人を病院に連れて行くのが俺のやるべき事なんだ。
悩むのはいつだってできる。…ありがとな、紫サソリ」
しゃがみ込んでサソードゼクターを撫でようとすると尻尾とハサミを振り上げ、威嚇された。
「ハハ…まぁ、そう嫌うなよ。お前がいなかったら俺やばかったかもしれないしな…」
よし、とヒビキは立ち上がり。ぱんぱんと頬を叩く。
いつのまにか小雨は再び止んでいた。相変わらず空には雲がいくつか健在でまた振り出すかもしれないが…
「二人は必ず俺が守る。いや、二人だけじゃない。皆、俺が…鬼が守ってみせる!」
ヒビキは決意を新たなに気を引き締める。右手には赤いカードデッキ。そして左手には―
「…移動の前に服着ようか」
―着替えの服。
293:希望と絶望と偽りの顔 ◇deggScNisI (代理)
08/07/17 19:48:04 4+ufrHvZP
【日高仁志(響鬼)@仮面ライダー響鬼】
【1日目 現時刻:お昼】
【現在地:D-5エリア北】
[時間軸]:最終回前
[状態]:全身に疲労、顔面に傷、腹部に中度の火傷、背中にダメージ、精神的に疲労、二時間変身不可(響鬼)
[装備]:変身音叉・音角、音撃増幅剣・装甲声刃、カードデッキライア
[道具]:基本支給品一式(着替え1着と元の服を含む)、野点篭(きびだんご1箱つき)、釘数本、不明支給品×1(確認済)折れた音撃棒×2
【思考・状況】
基本行動方針:出来るだけ多くの仲間を守って脱出
1:志村、手塚の治療の為、迂回しつつ急いで病院を目指す。
2:ダグバは放置できない。
3:真司と風間に対する心配。
4:もっと仲間を増やす。
5:あすか、どうしたのかな。
6:手塚と志村は信頼。志村を信頼したから一文字を疑うというわけでは無い。
7:猛士、紫サソリ、ありがとう。
※猛士の剣は音撃増幅剣・装甲声刃に変化しました。
※装甲響鬼に変身するには響鬼紅の制限が解除されないとできません(クウガ、ギルスと同じ制限)
※ン・ダグバ・ゼバを危険人物と認識しました。
※折れた音撃棒は木を使えば多少品質が落ちますが修理が可能です。
※変身制限に疑問を持っています
※志村から一文字(R)と志村に瓜二つな敵が闘っていたという話を聞きましたが信じていません。
294:希望と絶望と偽りの顔 ◇deggScNisI (代理)
08/07/17 19:48:25 4+ufrHvZP
【手塚海之@仮面ライダー龍騎】
【一日目 現時刻:お昼】
【現在地:D-5エリア北】
[時間軸]:死亡直後
[状態]:胸に一文字の大きな傷。右上腕部に斬撃による傷。全身に疲労とダメージ。二時間変身不可(ライア、サソード)
[装備]:無し
[道具]:基本支給品、マシンガンブレード@仮面ライダーカブト、サソードヤイバー @仮面ライダーカブト、強化マスク
【思考・状況】
基本行動方針:運命を変えないように何としても城戸を守り抜く。
0:気絶中…
1:志村の力を借りて城戸の協力者のグループに参入し城戸の力となる。
2:自分にそっくりな男、一文字(R)への興味。出来れば本郷(R)の死を伝える。
[備考]
※城戸が自分と同じ時間軸から連れてこられたと思っています。
※その為、城戸が死ぬ事は運命を変えられなかったことに相当すると考えています。
※川は下流に向かって流れていきます。
※サソードゼクターに選ばれ、仮面ライダーサソードへと変身できます。
※仮面ライダーサソードのキャストオフ、クロックアップの方法を知りません。
※簡単な応急処置が施されていますが、ちゃんとした治療を行なわないと危険な状態です。
※本郷の言葉から一文字隼人、風見志郎、ハナ、志村純一、クウガ、ダグバの事を知りました。
※放送を聞き逃したため、スマートレディの言った参加者の蘇生に関しては知りません。
※携帯にデータがのこっていたため、死亡者と禁止エリアについては知っています。
※志村から一文字(R)と志村に瓜二つな敵が闘っていたという話を聞き、信じています。
295:希望と絶望と偽りの顔 ◇deggScNisI (代理)
08/07/17 19:48:45 4+ufrHvZP
【ン・ダグバ・ゼバ@仮面ライダークウガ】
【1日目 現時刻:お昼】
【現在地:D-5エリア北西】
[時間軸]:47話、クウガアメイジングマイティに勝利後。
[状態]:脇腹に刺し傷、胸部に蹴りによるダメージ、右肩に清めの音によるダメージ、二時間変身不可(戦闘体、グレイブ)
[装備]:グレイブバックル
[道具]:基本支給品×3 ラウズカード(スペードA~9、ハートQ)、サバイブ『疾風』
【思考・状況】
基本行動方針:究極の闇を齎す。
1: 究極の闇を齎す。
2:強くなったクウガ、龍騎、響鬼、ライア(サソード)と再戦 。
3:『仮面ライダー』と思われる一文字隼人、風見志郎、城戸真司と戦う。
4: 志村は次も本気で来ないのならば容赦しない。
※自身の戦闘能力に制限がかかっていることを何となく把握。
※志村が人間でない事を知りました。
※ハートのKが無くなっている事に気付いていません。
※どこへ向かうかは次の方にお任せします。
* * *
296:名無しより愛をこめて
08/07/17 19:49:34 pZBx6t0r0
297:名無しより愛をこめて
08/07/17 19:50:10 pZBx6t0r0
298:希望と絶望と偽りの顔 ◇deggScNisI (代理)
08/07/17 19:50:11 4+ufrHvZP
あの時、志村はダグバがラウズカードを使うのを見て、もしかしたら、と思ったのだ。
Kのカードがダグバの持つカードの中にあるかもしれない、無くても使えそうなカードを所持しているのは間違いないはず。
だが自分はまともに動けない身、とするならどうするか?不意を突く事も相手が相手なので難しい…
―ABSORB―
(Qのカード…っ!いや、Qならまだいい。だがKのカードがあるかもしれないんだ…今を逃す手はない!)
自分にできる事は見っとも無く這いずる様に動くか、呻き声をあげることそれだけだ。
これでダグバの注意が引けなければそれでお終いだが…幸か不幸かダグバはその動きに気づき、締め上げるように自分を持ち上げてきた。
この体勢は正直願ってもいない体勢だ。あがくふりをしながらグレイブの腰に掛けられたカードホルダーを蹴り上げ、散らばるようにする。
ここまでは問題ないが、ここから先が難しい。まずダグバが自分を投げ飛ばしてくれるか、これが難しい。
そのためにはダグバを怒らせる必要があるが、いい加減呼吸も苦しくなり考えもまとまらない。
299:希望と絶望と偽りの顔 ◇deggScNisI (代理)
08/07/17 19:50:28 4+ufrHvZP
いっそジョーカーへと変身してしまおうか…そんな考えがよぎり、口が自然と動いた。
それがどう動いたのか、自分がどんな言葉を紡ぎ出そうとしたのかは知らないがダグバは自分を投げ飛ばそうとしているらしい。
力を振り絞り、右足でカードホルダーを蹴飛ばし、投げ飛ばされるのと同時にラウズカードも宙に浮かせる。
最後の最後。普通の人間では不可能な、アンデッドだから、ジョーカーだからこその動体視力で宙を舞うカードの絵柄を一枚一枚確認する。
(スペードの2…いらない。スペードの8…悪くは無いが却下。なんだこのカードは?パス。
スペードの9…もう時間がない、ここらで妥協か?あれは…ハートの…!)
多少不自然だろうと疑われようと構いはしない。
志村は両手を広げ、ハートのKへと手を伸ばす。手首を倒し、丁度ダグバの死角になった手の内でKを掴む。
掴んだ。後は地面に転がり込むだけ。指を倒し、Kを決して離さないようにして衝撃に備える。
鈍い衝撃が身体を揺さぶり、意識が朦朧とする。それでも手の内にはカードの…Kの感触。
誰かが近づいてくる気がしたがそれがダグバだとしてもどうしようもない。手塚やヒビキがなんとかしてくれると『信じて』やろう…
志村は新たなKが手に入った喜びで笑顔を浮かべた後に…意識を失った。
300:希望と絶望と偽りの顔 ◇deggScNisI (代理)
08/07/17 19:50:51 4+ufrHvZP
【志村純一@仮面ライダー剣・Missing Ace】
【1日目 現時刻:お昼】
【現在地:D-5エリア北】
[時間軸]:剣崎たちに出会う前
[状態]:腹部に重度の火傷、首に絞められた跡、全身に疲労とダメージ、二時間戦闘不可(グレイブ)
[装備]:無し
[道具]:支給品一式、ラウズカード(クラブのK、ハートのK)@仮面ライダー剣、蓮華のワイヤー内蔵型指輪@仮面ライダーカブト
【思考・状況】
基本行動方針:人間を装い優勝する。
0:気絶中…
1:移動して集団に紛れ込む。(市街地に拘らない)
2:橘チーフに合流。
3:『白い怪物と剣崎一真は共に殺し合いに乗り、尚且つ組んでいる』『桜井侑斗は危険人物』という情報を流す。
4:ヒビキ、手塚を利用する。一文字とは合流させたくない。
4:誰にも悟られず、かつ安全な状況でならジョーカー化して参加者を殺害。
5:他の参加者の戦力を見極めて利用する。自分の身が危なくなれば彼らを見捨てる。
6:『14』の力復活のために、カテゴリーKのラウズカードを集める。
[備考]
※デネブの放送について(長田が聞いた範囲で)知りました。 また桜井侑斗は危険人物(?)、デネブは生きていると考えています。
※志村は橘から『仮面ライダーブレイド』の存在は聞いていますが、ライダーシステム資格者が『剣崎一真』という事は知りません。
ですが、志村は此処に連れてこられる前に独自に調査を行い、剣崎一真がブレイドであるいう事、彼の顔なども知っています。
※城戸、本郷(R)に『白い怪物と剣崎一真は共に殺し合いに乗り、尚且つ組んでいる』『桜井侑斗は危険人物』と話しました。
※『自分の協力者、長田結花が東方の人間に協力を求めるために行った』と城戸と本郷に話してあります。
※長田結花は市街地の方へ向かったと思っています。
※手塚に一文字(R)と闘っていたのは自分ではなく自分に瓜二つな男だと話しました。
※簡単な応急処置が施されていますが、ちゃんとした治療を行なわないと危険な状態です。
301:希望と絶望と偽りの顔 ◇deggScNisI (代理)
08/07/17 19:51:38 4+ufrHvZP
以上です。ご指摘よろしくお願いします。
支援してくださった方、代理投下して下さっている方、本当にありがとうございました
----
以上で代理投下終了です。
302:名無しより愛をこめて
08/07/17 19:51:45 pZBx6t0r0
303:名無しより愛をこめて
08/07/17 22:01:12 09y6OTKO0
「希望と絶望と偽りの顔」並びに「枯れぬ策謀」の修正を要求します。
リレー前の話「枯れぬ策謀」において、志村は手塚に一文字やその他の人々に
自分の偽物と一文字が戦っていたという話をさせようとしており、今回投下された話の展開と食い違っています。
これは志村が言っていた話の内容を勘違いしているためだと思われます。
志村を襲ったのは勘違いしていた一文字ではなく、逃げてきた偽物の志村であるということを分かりやすくし、
それを踏まえた修正をすべきです。
304:名無しより愛をこめて
08/07/17 23:19:24 oAZBzRG2O
TV基準ならギルスは制限以前に時間軸の都合でエクシードになれないのでは?
馬の激情なんかも
305:名無しより愛をこめて
08/07/17 23:49:25 /7AviAog0
投下乙です
RID氏
まさかの金居脱落w狡猾そうなだけにもっと生き延びると思ったのに。
そして侑斗に赤カードとはw今後が楽しみだ。
deg氏
相変わらずダグバTUEEE、そしてサソードキタw
勝てる人いるのかw惚れ惚れする強さだダグバw
306: ◆N4mOHcAfck
08/07/17 23:54:51 xVH6So/v0
前投下とそれなりに時間も空いたので、投下したいと思います。
307:名無しより愛をこめて
08/07/17 23:55:13 /7AviAog0
308: ◆N4mOHcAfck
08/07/17 23:55:48 xVH6So/v0
D-8エリアに佇む薬局は、一言で表せば寂れていた。
南の都市部や、東のジャンクション駅周辺の並びとでも比べてみれば、人気の無さは一目瞭然と言うやつだ。
わざわざこの様な場所を訪れて薬を買っていく人間は多くないだろう。
都市部にてその存在を誇示している病院の周りには、顧客を取り合う複数の薬局が存在しているのだから。
ガラス張りの自動ドアによって外部と隔てられた店内には、山と積まれた市販の薬品や、テレビのコマーシャルで一日一度は目にする様なメーカーの栄養ドリンクが並ぶ。
この店は経営者宅も兼ねていたらしい。店の裏側には一般世帯の住む住宅に見られる基本的な玄関が存在した。
更にその上部を見上げればベランダが存在し、衣服から下着、バスタオルに至るまで洗濯物が干されたままだ。
それらから察すると、経営者には妻―経営者が女性ならば、夫―がいたらしい。
子供も暮らしていた様だ。ワンポイントで飾られた純白の靴下が何組か干されている。
小学生か、中学生か。参加者へ配られた地図にそれらの通うべき建物の名は明記されていないが。
都市部に存在こそするものの小規模故記載されていないだけか、あるいは殺し合いの行われている範囲の外に存在しているのか―
―主を失った薬局の居住区で看病を続けていた緑川あすかと、その看病によって再起した葦原涼には、関係のないことではあった。
309:名無しより愛をこめて
08/07/17 23:55:53 4a/hTks/0
310: ◆N4mOHcAfck
08/07/17 23:56:28 xVH6So/v0
◆
時は数十分前に遡る。
不完全である「ギルス」の力を行使した代償で、涼は深い苦しみへと意識を落とした。
それをデルタへの変身で得た力によって担いだのがあすかだ。
デルタは涼を担いだまま店内に入り、営業スペースを越えて居住区へ入る。
直後に目に入った階段を見据え、上り始めると、程なくして二階へと到達した。
階段が軋んだのに僅かな動揺を覚えながらも、テレビの前に設置されたソファを見つけ、涼を横たわらせる。
変身を解除すると、土足のままであることに気付き、急いで靴を脱ぐ。
目に付いた箪笥を手前に引いてタオルを取り出し、涼の額に浮かぶ汗を拭う。
呼吸の落ち着きを確認すると、必要最低限の処置を行った上でキッチンへと向かった。
ガラスのコップを取り出し、濯いだ上で改めて水を注ぐ。
すぐに歩を返すのだが、既に涼はソファに腰を掛け直していた。
「涼、もう大丈夫なの?」
「ああ、何とか……な。 ……すまない、俺が不甲斐ないばっかりに」
視線をあすかから己の右手へと落とした涼。
その姿を見るのが辛くて、あすかもまたコップを置いたテーブルに視線を滑らせた。
「涼……謝るのは私の方よ。 ……私の為なんかにこんな風に苦しんで……」
「言ったろ、すぐに収まるって」
あすかには、涼が見せた笑顔の半分以上が、本心からのものでは無い様に思えるのだ。
無理をしている。こちらに無理をさせまいと。顔色だって悪いままだ。
それを受け入れようとあすかは決意した。そうさせることでこれ以上の無理を彼にさせずに済むのであれば。
「そうだ……お腹、空いてない? ……私は大丈夫だけど、涼は戦ったりしてるし」
涼の顔から笑みが一度失せ、改めて作られた微笑から返答が帰ってくる。
311: ◆N4mOHcAfck
08/07/17 23:57:26 xVH6So/v0
「ここに連れて来られてから、一度食事は取ったんだ。 ……とびきり旨い、カレーをな」
「そう……なら良いんだけど、カレーなんて誰が……あっ」
純粋な好奇心から、あすかはカレーを作ったのが誰かということを聞こうと思った。
聞き始めたところで、疑問が一つ発生。こんな場所でカレーを振舞う様な間柄の人が、何故涼に同行していないのか。
一度言葉を詰まらせて、ようやくその人物がこの場にいない理由を推測することができた。
思い出を振り返る様な、涼のその微笑の意味も。
「あの人が……立花って人が作ってくれた。 だが、立花さんは奴に……殺された……」
微笑すらも吹き飛ばして、涼は拳を握り締める。
その様子を目の当たりにして、あすかは自分を恨めしく思った。
大切な人を奪われた悲しみは、誰よりも分かっていたつもりだったというのに。
言葉を掛ける間もあすかに与えず、涼が立ち上がる。
「俺は、仇を取りに行く。立花さんの様な被害者を、増やさない為にも……」
アンノウン・風のエルの様な巨悪を討つことが、罪の無い一般人を守ることへと昇華されていく。
心に溜めていた決意を言葉として形作る。今度は間が生まれた筈なのに、あすかは涼の眼差しを前に口を開けない。
涼は階段を駆け下りて、出口となる玄関を探す。二、三度辺りを見渡してそれを見つけると、音も気にせず外へと出る。
店前のカブトエクステンダーに座り込み、グリップに引っ掛けられたヘルメットを手に取る。
アクセルを開き、走らせようとするが、エクステンダーに誰かの手が乗せられる。
その重さに振り向くと、今にもあすかが後ろへ乗ろうというところであった。
もはや会話をする必要もなく、お互いを沈黙という形で気遣う二人を乗せてカブトエクステンダーが再び疾走を開始した。
312:名無しより愛をこめて
08/07/17 23:57:39 4a/hTks/0
313:名無しより愛をこめて
08/07/17 23:58:05 +6m2t0WC0
314: ◆N4mOHcAfck
08/07/17 23:59:04 xVH6So/v0
◆
汚れの無い瞳が見渡したこの空間は、澄み切っていた。
たった数秒、「見渡す」という行為の最中だけを切り取れば、風谷真魚はこの場に存在し続けていたいとすら思ったかも知れない。勿論、ただの強がりなのだが。
当然、この場に至るまでの過程が省かれることは無く、彼女が目に、心に焼き付けたいくつかの事実が消え去ることもまた無いだろう。
それらを考慮した途端、「この場にいても良い」などという考えは朽ち果てた。
結局のところ、真魚の存在していたい、いたくないという意思に関わらず、空間は彼女に滞在を強要するのだ。
強要に耐え切れず、「この場から消え去りたい」という思考に走ってもみた。
結果的に現状考えついた「消え去る」方法が命を絶つ、という以外に存在せず、より心苦しい思いをしただけだったのだが。
結局のところ、「死」という選択肢を回避した場合、強がらなくては、押し潰されてしまうと気付いた。
真魚は木にもたれ掛かる男に目を向ける。彼が自分を守ってくれた理由は未だに分からない。
殺し合いを行っているこの場で、何の戦力にもならない存在の面倒を見る―どこにメリットがあるのだろうか。
もしかしたら、それもこの状況に抗う為の彼なりの人間としての強がりかも知れない、と僅かな希望を寄せる。
そしてこう考えた。本当にそうだとしたならば、自分も彼を、彼の場所を守ろう。自らと同様強がっているだけの存在を。
―それもまた、澤田が悪意を秘めているという可能性を否定する為だけの強がりだということに、真魚はまだ気付いていないのだが。
真魚が再び澤田の顔を覗き込む。何度目になるのか本人も意識していない行為だ。
そろそろ声を掛けてみようかと息を一際多く吸ったところで、閉じられていた瞳が素早く見開かれた。
「もう、移動しても大丈夫?」
315: ◆N4mOHcAfck
08/07/17 23:59:41 xVH6So/v0
元々疲弊していたのは澤田の方で、真魚はここまで運んでもらった側だ。拒む理由などありはしない。
真魚が頷いたのを確認すると同時に澤田は背を木から離し、傍らのデイパックに手を引っ掛ける。
設定時間を知らせる目覚まし時計のベルの如き音を振り撒きながら、飛来したダークカブトゼクターが二人の間を飛び回る。
ほんの少しその軌跡を追った後、膝を伸ばして立ち上がると、彼は取り出したカイザドライバーを腰に巻き出した。
移動を再開するにあたり、他の参加者と居合わせた際に先手を取ることができる状態を作るのは重要だ。装着が完了したところで、澤田は西に向けて歩き出す。
東のジャンクション駅周辺は自分達が引き起こした惨状を考えるに、滞在できる環境に無い。
列車の利用を始めた新たな参加者と合う可能性は勿論、先程戦った相手と再会してしまう可能性もある。
澤田には真魚を伴った状態で自分と同等以上の参加者を倒す自信もなければ、先程のライダーとの戦いの際と同様の手段で離脱できるとも思っていなかった。
既に確定した死者の数から、ゲームに乗っている参加者は決して少なくないと判断できる現状、今は無理をするタイミングとは違う。
真魚がいる以上、常に爆弾を抱えているのに等しいのだ。自ら進んで導火線に点火する愚を犯す訳にはいかない。
だからこそ澤田は人気の少ないであろう中央、現在地から西を選択した。
―仮に参加者と鉢合わせても、それは脅威と成り得る存在ではないという確信も持っていた。
第一回放送を終え、各々の参加者が殺し合いに参加させられているということを実感し、それぞれの方針を固めたであろう現状。
この会場―島から脱出しようとする参加者達。彼らはまず自らを縛り付ける枷である首輪を解かなければならない。
首輪の解析解除に必要なのは知能だけではないだろう。然る可き施設でなければ、知識も、技術も活きることはない。解析に取り掛かる者は、そのことを良く理解している筈だ。
そして彼らが選択するであろう施設は、中央に点在する民家や廃墟に非ず。
316:名無しより愛をこめて
08/07/17 23:59:44 +6m2t0WC0
317:名無しより愛をこめて
08/07/17 23:59:58 4a/hTks/0
318:名無しより愛をこめて
08/07/18 00:00:09 MXRS0XbCO
支援
319: ◆N4mOHcAfck
08/07/18 00:00:20 Q9OaIW440
闘争を望む者、主催者―スマートブレインに抗う者達は、何れも獲物、協力者に成り得る存在を得る為奔走しなければならない。
彼らの照準に定まるべき地点は参加者が現れる、或いは滞在している可能性が高い場所。
則ち―都市部、ジャンクション駅、北部施設……やはり中央には非ず。
結論として、これから向かう地域に参加者が存在する場合、それらは首輪を解析する知恵も、他者を全て滅ぼそうとする狂気も、主催に立ち向かう勇気も持たない……或いは持てない参加者達であろうと推測ができた。
そんな者達を脅威と判断する必要はない……いや、してはならないのだ。
その程度の参加者達を脅威と見なして、この先生き残れるか? 言うまでもなくNOだ。
―もう一度、心に刻め。自ら望んでゲームに参加したことを。
―更に、思い出せ。一人でも多くの敵を自らの手で討たねばならないことを。
―そして、証明しろ。人間の心という呪縛から解き放たれた完全なオルフェノクであることを。
(今は、その時じゃない……)
澤田が数メートル歩いたところで、真魚もまた歩を進め始めた。
真魚は無意識の内に握り締めていたライダーパスを、デイパックの中へ戻す。
マニュアルも付属しておらず、使用用途の一切が不明な物をいつまでも持っていてもどうしようもない。
澤田に見せることもしない。一々余計な考えを増やさせる訳にはいかない、という考えだろう。
真魚の考えを知ることもなく、心の底から這い出して来るかの様に語りかける「完全なオルフェノクである自分」を一蹴した澤田。
彼は気付かない。現状のままでは自分の進路がどの様な結果を向かえるかを。
感情を捨てたオルフェノクではなく、感情に振り回される人間だと証明してしまうことを。
320: ◆N4mOHcAfck
08/07/18 00:01:02 xVH6So/v0
◆
道路沿いに木造のベンチが設置されている。
全部で四つになるそれらは、同じく木造のテーブルを四方から囲み、上部からの過度の光を遮断する屋根と合わせ、一つの休憩所を形成していた。
道には二台のバイクが横に並んで停められており、再度の始動に備えつつも、それぞれ一つずつベンチを利用しながら会話をしている四人の主を見守る。
「青い薔薇って、一体何々ですかね……何に必要なんだろう」
「知るか。まあ、流れから言えば奴が外したがっている首輪に一枚噛んでいるのだろう」
四人共通の疑問点である「青い薔薇」に関して最初に口を開いたのは、五代雄介だった。
交戦時研究所に所在した参加者の中では最も首輪の解除に近かった北條透を得る為に、他の参加者をわざわざ見逃した乃木怜治。
一刻も早く首輪を解除しようという思惑が透けて見える。そんな彼が「放送」、「首輪」と並べて指示に組み入れた「青い薔薇」。
放送は地図に示された都市部の放送塔で行うことができる。首輪は既に命を落とした者から拝借するか、……最悪他の参加者から奪えば良い。
しかし薔薇、それも青となると話は別だろう。通常の薔薇ならば市街地で花屋を見つければ良い話だったのだが。
何れにせよ、わざわざ戻る時間を遅らせる可能性を高めてまで指定してきた以上、薔薇に乃木の目的である首輪解除との関わりを見出せずにはいられない城光だ。
「……ただ私達が、戻って来れない様にするつもりなのかも……」
長田結花は誰にも聞かれない様に呟いたつもりだったのだが、予想に反して周りの三人は一時一句零さず耳に入れてしまった。
敢えて三人とも何かを言ってくることはないが、結花は口を硬く閉じて足元を臨む。
マイナス思考を繰り返している自分が嫌になっているのが分かる。
きっと三人も自分に失望しているのだろう、などと抱え込むものだから、尚更手に負えない。
これ以上雰囲気を悪くする訳にはいかないという局面で、イブキが今度は口を開いた。
321:名無しより愛をこめて
08/07/18 00:01:34 +6m2t0WC0
322: ◆N4mOHcAfck
08/07/18 00:01:42 xVH6So/v0
「僕があいつを倒せてたら、こんなことにはならなかったんですけどね……」
口調こそ優しく、いつもの様にマイペースな雰囲気を漂わせての発言だが、僅かに違和感がある。
結花をこの状況に追い込んだ責任を背負い込んでいるのだ。
鬼として鍛えてきて、人を守る為の戦闘という面において自信が無いと言えば嘘になる。
それが二度に渡って視界の左に写っている一般人を守りきれず、正面の青年と右側の腕を組んだ女性に助けられることとなった。
本来は自分が行うべきその行動を、同じ様に守るべき人達に行われてしまっている事実に悔しさを滲ませる。
「そんなことありません。俺のせいです。 ……俺が、金の力を使えてたなら……」
「金の力?」
過去の敗北をいつまでも引き摺るつもりなど無い光にとって、前半の部分は必要ない。
気に掛けたのは、後半の部分。「金の力」の方だ。光が知り得る五代の変身した姿は、緑、赤、紫、青。
「敵の敵は味方」という理屈から共同戦線を張った僅かな間に、それらの特徴は掴んでいた。
(銃を使う緑。続く赤は、武器を持たないことからおそらくは肉弾戦仕様。事実飛び蹴りが決め技……
紫は剣を持ち、力に優れている。奴と長時間真っ向から渡り合っていた。青は棒を使い跳躍・瞬発力の強化。
赤、紫、青を踏まえれば緑に純粋な戦闘力は期待できない。武器からして管制能力か? しかし金となると……)
金と聞いて思い浮かんだイメージが、カテゴリーキングの力を使い擬似ジョーカーと化したブレイドの姿。
大剣で持ち、重厚な動きで場を制圧する。暴走したジョーカーを打ち倒す程の戦闘力。
これに及びこそしないが、五代は紫のクウガ―タイタンフォームで似た戦法をとっている。
故に光は五代の言う「金の力」がどの様なものか想像できないでいた。
323: ◆N4mOHcAfck
08/07/18 00:02:24 xVH6So/v0
「はい、少しの時間だけですけど、俺……クウガは電気が走ると今までの色に金が混ざって強くなるんです。でもここじゃ使えないみたいで」
「成る程、底上げと言う訳か。」
光は納得する。確かに五代―クウガは能力をそれぞれ特化させている様に見える割には、それぞれが圧倒的力を誇る、という風には見えなかったからだ。
それこそ前途のタイタンフォームが、ブレイドのキングフォームに劣ると感じた様に。
それぞれに「金の力」を使用した上位互換が存在しているのならば、通常状態の四色はあの能力でも十分だろう。
一つ解決されたところで続く疑問。「何故使用できないのか」。これの解決に関しては多くの時間は掛からなかった。
「……おそらくは、何らかの力で制限されているな」
「どうしてそんなことが分かるんですか?」
五代よりも早くイブキが返した。強化形態が本当に使えない。
もしそうならば、同じくこの島に連れて来られている鬼であるヒビキも苦戦を強いられていると想像ができてしまうからだ。
光は組んでいた腕を解いて、余ったベンチのスペースに置かれたデイパックに手を入れる。
硬質な二枚の、裏側が同じ柄をしたカードを取り出し、反転させて他の三人に表の絵柄を見せた。
「それは……」
「ブレイド……剣崎も本来これらのカードを使うことで、戦闘力を強化できた筈だからだ」
スペードのクイーン、アブソーブカプリコーン。同じくスペードのキング、エボリューションタランチュラ。
ブレイドがキングフォームへと成る為にはこれらのカードを必要とするのは光も承知している。
そして光の知る剣崎はこのカードを保有していた筈なのだ。だが、何故か所有していたのは結花であった。
このことに先程の五代の発言を絡め、戦闘時における強化形態を持つ参加者は、それを妨げられていると結論づける。
324:名無しより愛をこめて
08/07/18 00:02:26 4a/hTks/0
325:名無しより愛をこめて
08/07/18 00:02:42 +6m2t0WC0
326: ◆N4mOHcAfck
08/07/18 00:03:09 xVH6So/v0
「剣崎……」
「あの、少し話を聞いてもらえませんか」
結花の表情が一層険しくなったのを見て、五代が口を開く。
そして話した。葦原涼や城光にして見せた様に。剣崎について、彼の最期について。
―――――
「…………話した様に、剣崎さんは他人を襲ったりなんかしていません。一体誰がそんなことを言ったのか、俺に教えてください」
「すいません。名前、聞かなかったんです……」
嘘だ。結花は偽の情報を流した人物の名を知っていた。
志村純一。漆黒の闇が幅を利かす時間帯だった為にハッキリとした状態ではその姿を結花は見ていないが、彼は間違いなく苦しんでいた。
今は話す時じゃない。そう心に誓い、「志村純一」の名を奥に潜めておく。勿論逆の様な状況にこれからなったとしても、志村には五代の名を教えない。
二つの話を聞いただけでは、結花はどちらが正しくてどちらが間違っているか判断のしようがないから。
真に正しく、信頼できる一方が決した時点でその正しい方に話そう、と。
「それで、まずは何から始めますか? 放送、首輪、薔薇……」
「場所が確定している放送に向かうのが定石だろう。奴の様なことを考えた他の参加者とも接触できるかもしれん」
少し時期外れの冷たい風が、辺りを吹きぬけていった。四人が立ち上がり、バイクへと歩み出すのは、それから数十秒後のことだ。
327: ◆N4mOHcAfck
08/07/18 00:03:49 Q9OaIW440
◆
一時間程度歩いてみて、他の参加者との邂逅が一切なかったことは、澤田にとって幸運だったかも知れない。
進路を定めてすぐ、出鼻を挫かれるということだけは避けたかったからだ。
左耳に付けたイヤホンの線を辿る様にして、視線は右耳にその片割れを取り付けてい「た」真魚へと滑る。
ようやく音楽を一人で聴いていたことを実感する澤田。この状態が何分続いていたかは定かではない。
それでも特に反応を示さない辺り、もう真魚はある程度立ち直った様だ。そう、それで良いのだ。
真魚の精神面をケアする必要がなくなり、同行者としての最低限の立ち回りさえ習得すれば、澤田は目的へと大きく前進できる。
その過程・結果が何を起こすというのは別にして、だが。
更に数分後。
しばらくipodへと委ねられていた澤田の聴覚に、唐突だが転機が訪れた。
それまでのものと明らかに異なった様相を呈する楽曲が流れ始めたのだ。
前奏からある程度の予想がつき、歌声が響いてしばらくすると、その曲のジャンルがいわゆる「ヒーロー」の曲だと判断できた。
その曲は澤田に冷えついた心には一切届かないのだが、何故か彼は曲をしばらく止めようとしない。
一番が終わった辺りでようやく曲を止め、ipodをデイパックに戻す。
その様子に気付いた真魚が画面を目で追う。既に一部が隠れて読みきれなかったが、目を細めた結果辛うじて「BLACK」という文字が見て取れた。
曲名の一部だろうか。特に聞きたいとも思わないので、それ以上は何かをする訳ではない。
328: ◆N4mOHcAfck
08/07/18 00:04:30 xVH6So/v0
静かな羽音を立てながら、二人の後方をダークカブトゼクターが舞う。
参加者ではないが、ゼクターもまた主催者であるスマートブレインの被害者と呼んで良いのだろう。
ネイティブによって望まずしてワームへと変化し、マスクドライダーシステムの被験者となり、
ハイパーゼクターの実験を強制され、似た苦しみを背負った少女と共に時空の彼方へ去ったパートナーを、ダークカブトゼクター― 「彼」 は想う。
突然そのパートナーから時空を越えて引き離されて、彼を生み出したネイティブやZECTとは別の組織によって放り込まれたこの島。何の不幸か幸福か、彼が最初に目にしたのは一人の人間の死だった。
その男は偽りの仮面を纏わされた彼のパートナーと瓜二つで、恐らくは男もまた彼と同じ世界から来たのだろう。
驚くべきことに、男に使役されていた赤のゼクターは、彼の採用型―いわば、兄弟の様なものだったからだ。
実力も意思も覚悟も信念も勝っていた筈の男は、対峙した灰の異形の力を持つ青年が生み出した偶発的な罠によって敗れたのだ。
ベルトを得た青年に、赤の兄弟が手を貸すことは無かった。当然だろう、絶対的信頼を寄せていた主の命を奪ったのだから。
しかし彼は兄弟とは違った。青年へと興味を持ち、その様子をしばらくの間探る。
彼は知る由も無かったが、青年―澤田亜希が異形の力を手にした経歴も、彼のパートナーに近かったのだ。
そうして彼は、澤田が接触した一人の少女を手に掛けなかったのを見終わると同時に決意した。
―この男の行く末を見てみよう、と。
同胞―ガタックゼクターの主が、真魚を庇う澤田の姿に男の影を見ず、そのまま攻撃を行おうとしたならば、おそらく彼はその時点で力を貸していただろう。
結果的に多少遅くはなったものの、彼は澤田へと力を貸すことになった。
後悔はない。彼…ダークカブトゼクターは、前方を歩く二人の男女の生き様から、帰りを待つパートナー達の行くべき道を垣間見るのみだ。
二人と一機の視界がやや開けた。その百メートル程先に、小屋の姿が認められた。
329:名無しより愛をこめて
08/07/18 00:04:56 b+fSFRkt0
330: ◆N4mOHcAfck
08/07/18 00:05:20 Q9OaIW440
◆
澤田達が目にした小屋の出入り口は、彼ら見える面の反対側に存在していた。
故に、玄関前へ停められたカブトエクステンダーの存在には気付かない。
そしてエクステンダーの存在は、小屋の中に彼らとは異なった男女が内在していることを示していた。
葦原涼と緑川あすか。改めて二人でエクステンダーに乗り込み、風のエルを打倒する為疾走していた彼らもまた、この小屋を見つけたのだ。
涼からすれば、放送の前に「未確認生命体と戦っている」と話した五代雄介が彼を看病してくれた場所でもある。
だからこそ涼は一度足を止め、この小屋に立ち寄ったのだ。勿論既に五代はこの場を後にしている。
―五代は無事だろうか? 涼は自問するが、すぐに良答を自分へと行う。
(人間でもアンノウンを追い払って、俺を助けてくれた程の男だ、死ぬ筈が無い……)
自分でも安心したことで、意識が遠のいていくのを感じる。
気絶などとは違う、純粋な疲れを鎮める為の、戦士の休息。
「涼!? ……そうね、戦ってれば、どんな強くっても疲れちゃうわよね……」
あすかは涼を起こそうとはしない。それが自分にできる最高の協力だと思ったから。
ほんの少しだけ、嵐の前の安らぎを。これから、どんな戦いが待ち受けているのかは分からないのだから。
邪魔をしない様別の部屋に移り、窓の外を見る。視界に写らない太陽が存在を主張すべく、あすかの瞳に広がる景色を照らしている。
その範囲内に、識別できないものが存在しなくなる程に―だからこそ、彼女は気付いてしまった。
331: ◆N4mOHcAfck
08/07/18 00:06:17 Q9OaIW440
「あれは………………っ!!」
横に並び、ゆっくりとこの小屋へと向かってくる一組の男女。
この殺し合いの中で、何とかここまで生き抜いてきた二人の若年者。
涼の理想通り、彼らのようなか弱い存在は守ろう―本来ならあすかはそう思考していた筈だ。
それは叶わない。帽子を深く被った青年が腰に巻いていてしまったから。
あすかの持つそれに良く似た、機械的なそのベルトを。
否応無しにあすかの中で燻っていた毒が滲み出る。瞳は狂気に染まり、腕は放置されていたデルタドライバーへ迷わず伸びた。
本来あの二人組の様な形で克彦の横にいる筈だった。何故自分はそうしていないのか。
どうして克彦を殺した男や偽者が生きているのか。再燃したそれらの怒りを、受け皿と化したギアは吸い取る。
デルタギアを意識したが故に、涼を守りたいという純粋な気持ちすら狂心へ転化させられた。
あすかは迷わず小屋の外へと出る。それを止めるべき男は、彼女の気遣いに甘えたまま目を覚まさない。
直後。狂戦士へと墜ち掛けている女は、小屋の間近に迫っていた二人と相対することとなった。
332:名無しより愛をこめて
08/07/18 00:06:20 b+fSFRkt0
333: ◆N4mOHcAfck
08/07/18 00:07:31 Q9OaIW440
◆
「……」
澤田が警戒態勢をとる。おそらくは眼前の小屋、彼からは臨むことのできない百八十度反対に配置されているであろう出入口から出現したと思われる女に対して。
顔を見遣る。その両目は、間違いなく自分を狙っているのだと判断できる程に狂気へと染まっていた。
原因は何か―腰に取り付けられた、ベルトの形状をした凶器の存在一つで、澤田は全ての説明を行うことが可能だと気付く。
デルタギア。オルフェノクの王を守る為に生み出された最初のベルトだ。使用ウエポンや拡張性においては後続のカイザ、ファイズに劣るが、単純スペックならば上記の二つを凌駕している。
人間には使用自体不可能のファイズギア、使用は可能だが変身解除後、灰化によって身を滅ぼさせるカイザギア。
これらと違い、デルタギアは人間でも使用可能に加え、使用に伴い死に至る副作用が埋伏している訳でもない。
日頃から戦っているとは到底思えぬ、澤田達からも一般人の様にしか見えない女性が使用していたとしても違和感はないのだ。
腰に巻き付けたデルタドライバーを起動させる為、狂気に己を染めた女性―緑川あすかはデルタフォンを右手に握り締める。
そのベルトに翻弄され命を落とした過去の同胞達―流星塾生の何人かの顔を思い出しながら、澤田もまたカイザフォンを迷わず取り出した。反対の手では真魚を後ろに下がらせる。
例え女だろうがただの人間だろうが、先に戦闘態勢を見せたのはあすかの方だ。澤田に容赦の必要は―もっとも、相手に戦意が無くても参加者である以上行動は変わらないが―何一つない。
右手で押さえたリボルバー式の携帯を左手で回転させ、コード入力の為のボタン群を出現させる。
続けざまにコードを叩き込もうとしたところで、一瞬澤田がたじろぐ。ほんの一瞬、右手首から先が感覚を失った為だ。
続けてカイザフォンが弾き飛ばされる。これらの現象の原因が、あすかの左手から放たれた赤い電撃だと気付く。デルタの力に溺れた者が得る特典だ。
表立つ痛覚こそ無いが、澤田は文字通り威嚇された形となった。
334:名無しより愛をこめて
08/07/18 00:08:41 b+fSFRkt0
335:感情 ◆N4mOHcAfck
08/07/18 00:08:56 Q9OaIW440
「大人しくしてちょうだい……貴方達は危険。ここで死んでもらうわ」
澤田は、自分達が標的になった訳を理解した。
勿論、表面的な理由は既に分かっている。ベルトが与えし力に潜む毒―デモンズ・スレートに犯されているのだと。
問題はその先にある。
今まで幾人もの塾生―デルタに溺れし者達を葬ってきた澤田。その彼が見た限りでは、あすかの毒され方はかなりのものだ。
だがこの島に到着して半日と経っていない。二時間の変身制限を踏まえた場合、仮にデルタギアが初期支給だったとしても、変身回数は最大でも片手で数える程度。
しかし他者との遭遇回数が少なかったり、途中でギアを入手した可能性を考えれば、実際の使用回数はそれ以下とも見積もれる。
つまりは直接的な変身以外で、デルタの毒を広げた何かが別に存在している。
そしてそれが、自分と真魚が同行している現状だと澤田は判断したのだ。
あすかの狂気に見え隠れする瞳の奥の何かには、間違いなく澤田や真魚を純粋に羨む気持ちが間違いなく顕在した。
毒に濡れた今となっては、もはや嫉妬の念を引き立てるスパイスとしてしか機能しないのだが。
しかし狂った理由を推測したことと、止めることはイコールではない。それこそ口にした殺害を達成しなければ、あすかは落ち着かないだろう。
澤田は唇を噛み締めた。カイザフォンは既に弾かれ、ダークカブトのベルトはデイパックの中、残りの支給品も扱えるものでなく。かと言ってここでオルフェノク化する訳にもいかないのだ。
頼りは真魚の持つ銃だが、澤田がそれを要求するより早くあすかは握り締めたデルタフォンを口元へと添える。
336:名無しより愛をこめて
08/07/18 00:09:22 xs0wtaR00
337:名無しより愛をこめて
08/07/18 00:09:56 b+fSFRkt0
338:名無しより愛をこめて
08/07/18 00:12:22 xs0wtaR00
規制にかかったとのことです
339:◇N4mOHcAfck氏代理
08/07/18 00:27:52 b+fSFRkt0
「変身……………………………………どういうこと?」
「真魚ちゃん、銃を貸して」
あすかが慌てふためき始めた瞬間、澤田が対象を指定して静かに呟いた。
真魚がデイパックへと白く細い腕を突っ込み、あすかが澤田の意図を理解する。
「変身!! ……何で、何でなのよ!」
同一人物の連続変身へと設けられた二時間の制限時間。
本来そのシステムによって利を得ることが可能だった筈の一般人だったあすかが、このルールに縛られるのは皮肉だ。
後数分、この局面へ移行するのが遅れていれば話は違った方向へ進んでいただろう。
真魚がコルト・パイソンを取り出す。現在の装弾数は最大値の六発である。
あすかもこれを黙って見ている訳にはいかない。変身を諦め、電撃を再び放つ体勢に入る。狙いは「女から銃を受け取った後の男」だ。
澤田もまた相手の狙いを読むが、対処法が無い。撃つ為には受け取らねばならないのだ。真魚へと手を動かしながら必死に思案するが――
発砲音と共に、二つの思考が停止する。一つは思考継続が不可能となった為。もう一つは思考継続の必要が無くなった為。
男の真正面に位置していた一人の女は、向かって右、左の胸を撃ち抜かれ、その場に仰向けで倒れこんだ。
男の左側に位置したもう一人の女は、右人差し指を引鉄に添えていた。
数十メートル離れた場所で安らぎに身を任せていた男は、未だ目覚めない。
情事の結果を把握し終えた男は、冷ややかに呟いてみせた。
(ただの人間の癖に、行き過ぎた力を持つからこうなるんだよ……)
「克…………彦……の……………為………に……も……ほん…ご……う………と……に…せ……ものを…………り……ょ…………う……」
緑川あすかが意識をブラックアウトさせる寸前、最後にどの人物の顔を見たのかは、誰にも分からない。
340:◇N4mOHcAfck氏代理
08/07/18 00:28:20 b+fSFRkt0
◆
五代がバイクを止めたのは、前方を疾走していた竜巻の、後部座席に乗り込んでいた結花が頭を突然抱え、それに合わせてイブキが停車を行ったのに合わせての好意だ。
素早くバイクを降り、光と共に竜巻へと駆け寄る。
「どうしたんですか!?」
「銃声…………が……」
他の三人が聞き取れなかった銃声を結花が捉えたのは、五感が高まったオルフェノクだと言うのに加え、彼女がここに来る前の状況から発砲を心底恐れていたから。
今にも泣き出しそうな結花をイブキが必死で宥め、直後光が片膝を付きながら結花に顔を近づけて尋ねた。
「方角は?」
「………………あっち……です」
俯いたまま結花が指刺す方向へ一同が向き直る。五代がハッとした表情で口を開く。
「このすぐ近くにある小屋は、あの方向でした」
「何故そんなことを知っている?」
「研究所に行く前、俺はそこで傷ついた人を看病していたんです」
「本当なら、誰かがいてもおかしくは無いですよね」
イブキの言葉を聞いて、結花の言葉を信じる方向で話が固まる。
光は五代からファムのデッキを受け取ると、結花に向かって差し出した。
「そこへ行けば戦闘になる可能性もある。持っておけ」
「………………」
341:◇N4mOHcAfck氏代理
08/07/18 00:28:56 b+fSFRkt0
首を横に振る訳でも、言葉で拒否している訳でも無いが、その姿にはハッキリと拒絶の意思が示されていた。
光は説得を続けようともせず、すぐに立ち上がる。態度が癇に障ったのだ。
「イブキ、結花を頼む」
「光さん?」
思わず五代が光に詰め寄る。この状況でチームを分けるのは、余りにも危険すぎると感じている。
光は険しい表情を歪めることなく返した。
「そいつは誰が見ても連れて行ける状況ではない。かといって銃声を放置するか? それはお前が一番嫌う展開だろう」
五代は返さない。確かに放置する訳にはいかない上、この状態で結花を戦闘に成り得る場所へと連れて行くのは危険すぎる。
意を決して光の背を追いバイクへと向かい、シートに跨る。
笑顔をイブキと結花に向け、サムズアップしながら話しかけた。
「必ず……戻りますから。何かあったら、連絡してください」
始動したバイクを見守りながら、イブキは考える。今はただ、結花を落ち着かせることが自分のするべきことだと。
342:◇N4mOHcAfck氏代理
08/07/18 00:29:40 b+fSFRkt0
◆
屋外故に充満はしないが、それでも血の、鉄の匂いは真魚を追い詰めるのに十分な威力を誇っていた。
声にもならない状態でしゃがんで泣き続ける。ぽろぽろと流れ落ちた涙は、死人の服を濡らしても血を薄くはしない。
澤田はただ真魚の背中を擦り、落ち着かせようと試みる。
未だに小屋の中で眠り続ける涼と、その存在に気付かない澤田の姿は、きっとこの島における神である主催者からすれば、さぞ滑稽に映ることだろう。
それでも、複数の強烈な音を絡みつかせているバイクの接近には、澤田も十分気付くことができた。
この惨状を拝まれることだけは阻止する。辺りに落ちていたカイザフォンを拾い上げるが、すぐにドライバーと共にそこへ落とした。
その物音に反応した真魚が見守る中で、澤田は血塗られたデルタドライバーを引き剥がし、腰に巻きつける。
次いで握り締められたままのデルタフォンも奪い取り、真魚に動かないよう伝えた上でバイクの接近方向へと向かう。
出入り口の方面だったことが幸いし、真魚達は死角となる。
到着したバイクから五代と光が降りるのと同時に、デルタフォンへ音声入力。
「変身」
―Standing by―
そして二人が口を開くよりも早く、右腰のムーバーと連結させる。
――Complete――
343:◇N4mOHcAfck氏代理
08/07/18 00:30:10 b+fSFRkt0
高出力の白銀が体を覆い、澤田を変化させる。
銃を連想させるフォルムを形成したデルタムーバーを取り外したところで、五代が状況を整理し終え、光の前へ立った。
デルタの右手が口元へ、五代の両手か腰へ、それぞれ向かい―
「ファイア」
「変身ッ!!」
―Burst Mode―
デルタムーバーからビームが連射され、左腰で両手を重ねた五代を襲う。
着弾音、小規模の爆発、散る火花。これらの事象が攻撃失敗をデルタに伝える結果となった。
生身の人間にビームを発射してこの様なことは発生しない。
案の定そこには、銀の鎧を紫のラインで縁取った戦士クウガが顕在していた。
「チッ…………」
「変身」
更に響く戦闘規模拡大を示す単語。城光が白のデッキをバイクのミラーに翳し、出現したバックルへとノーアクションで差し込んだ。
虚像が重なり、ファムへの変身が完了するのに合わせ、デルタは跳躍した。状況不利であろうと、ここで負ける訳にはいかないのだから。
クウガとファムがそれぞれの剣を構え、迎撃の構えをとり――
344:◇N4mOHcAfck氏代理
08/07/18 00:30:32 b+fSFRkt0
◆
涼が目を覚まして最初に気付いたのが、火花が散る際に発生したけたたましい着弾音。
これが自分を起こしたものなのだろう。続けて、辺りを見回す。
ようやく守ると決めた対象―あすかが、部屋にいないことに気付く。
小屋の中に居れば自分を起こす筈だと判断し、外にいると結論を出したので、すぐに起き上がり、他の部屋へは向かわずに出入り口へ向かう。
玄関を僅かに開けた涼の目に映った光景は、彼の怒りを爆発させるのに十分なものだった。
以前雑誌で何度も目にしていた紫の未確認生命体第四号と、それに協力する白い鎧を纏った存在が、あすかの変身した姿であるデルタと交戦していたのだ。
形勢は百人中百人がデルタの劣勢と評するだろう。涼の両拳が握り締められる。
「やはりお前も……アギトと同じなのか……変身!!」
ドアを蹴飛ばす音に反応し、三人のライダーが揃って小屋のドアへ視線を伸ばした。
現れた緑のライダーは、止まることを知らない勢いで戦場へと己を駆り出す。
正に「怒涛」とでも表現すれば良いだろうか。
ギルスは構えをとったデルタの横を通り過ぎ、ファムの振るうバイザーを片腕で弾く。
狙いはただ一人。亜紀を手に掛けた外道、アギトに良く似た顔つきをした紫の戦士。
「ウォォォォォォォ!!」
鈍重な動きのクウガ・タイタンフォームが袈裟掛けにタイタンソードを振るうよりも早く懐へ飛び込んで右拳で一撃。
怯まないと判断して左拳をボディへと叩き込み、両脚で踏ん張って後方へステップ。
斬撃が空振りしたのを見て間髪置かず、咆哮と共に伸長した両腕のギルスクロウが鎧に傷をつけた。
体勢を立て直したファムが再びバイザーで切り掛かるが、ギルスはクロウを交差させてガード。
345:◇N4mOHcAfck氏代理
08/07/18 00:31:03 b+fSFRkt0
「逃げろ! 早く!!」
デルタへの言葉だ。澤田としてみれば、自分がギルスに守られる理由がない。
しかしこの好意は甘んじて受けるべきだろう。このライダーは強い。
いくら不慣れとは言え、デルタに変身した彼を押していた二人のライダーを圧倒しているのだ。
デルタはミッションメモリーをムーバーにセット、音声認識無しで射撃を行いながら後退する。
「支援などせず早く退け」と言わんばかりの勢いでギルスが猛攻を開始。
クロウで二度、X字を描く様にファムへ仕掛けると、反撃が来るよりも早く押し蹴りを放つ。
入れ違いに再前進してきたクウガにも蹴りかかる。その勢いは正に天をも突き抜けるものだ。
ギルスの蹴りを受けて転げまわる中で、光はこの戦局に確かな違和感を感じた。
デルタの目的が読めないのだ。小屋を守る様に立ち塞がったかと思えば、飛び出てきたギルスに後を任せて、簡単に撤退する。
回転を止めて立ち上がったと同時に、ふとギルス出現時のデルタを光は思い浮かべる。
彼女自身や五代とそっくりだった挙動。想定外の存在に対する驚愕の反応だ。
(………………まさか……)
しばらく立ちすくみながら、ファムの仮面の下で仮定を巡らせる。
先程まではデルタの防衛目標はギルスであったと考えていた光だが、考えを改めた。
(奴の狙いは――)
「光さん!!」
ハッ、とした顔でクウガを見遣る。ギルスの猛攻は未だクウガのタイタンアーマーを切り刻んでいた。
346:名無しより愛をこめて
08/07/18 00:31:47 w3vyAwTM0
しえん
347:◇N4mOHcAfck氏代理
08/07/18 00:32:02 b+fSFRkt0
ハッ、とした顔でクウガを見遣る。ギルスの猛攻は未だクウガのタイタンアーマーを切り刻んでいた。
事前に確認したマニュアル通りに、カードをデッキから抜き取り、バイザーに差し込むことで読み込ませる。
―SWORD VENT―
飛来した薙刀をキャッチ、ファムがギルスに突撃する。クウガをキックで数メートル吹き飛ばした勢いをそのまま引き継いだギルスの右爪を一方の刃で受け止めた。
追撃が走るよりも早く反対の刃で思い切り斬り上げると、激しい火花と共にギルスが尻餅を着く形で転倒する。威嚇を継続しながら、首だけをクウガに向けて叫ぶ。
「あの白い奴を追え!! おそらく、本命がいる」
クウガが頷いたのを確認して、直ぐに視線を戻すが―直後の衝撃で、ギルスへと向けられたそれは歪むことになる。
僅か二、三秒目を離しただけで―光は己が油断を嘆きつつも、蹴り込まれた腹部を庇う様に薙刀を構え直した。
その一方で、小屋を見据えながら立ち上がったクウガの腰部、アークルが緑に輝く。
「超変身!!」
感覚能力が大幅に強化される緑のクウガ、ペガサスフォームへと姿を変え、精神統一へ行動を移行。
デルタが戦線を離脱してからまだ二、三分。そう遠くには逃げていないとの判断から、正確な場所を把握しようとする。
「………………ハッ! 光さん、小屋の裏に……クッ!!」
小屋の裏に人の気配を感じたことを伝え始めた次の瞬間には、地面を蹴ると同時にフォームをドラゴンへとクウガは変えていた。突如放たれた光弾が地面に突き刺さる。
跳躍の結果ファム達から離れることになり、ファムはギルスと、クウガは光弾を撃った張本人、十字架から伸びた光剣を構えたライダー―カイザとそれぞれ相対する。
348:名無しより愛をこめて
08/07/18 00:32:40 w3vyAwTM0
しえん
349:◇N4mOHcAfck氏代理
08/07/18 00:33:04 b+fSFRkt0
◆
ドラゴンロッドとカイザブレイガンが交錯し、火花が爆ぜた。しばらく二つの得物は拮抗していたが、やがてブレイガンがロッドを押し込み始める。
このまま正面から押し合えばクウガに勝ち目はない。通常時に加えパワーで劣るドラゴンフォームでは、ブレイガンの侵略を遅延させるので精一杯なのだ。
しかしそれは正面からのぶつかり合いに限った話。一度体勢を整えれば、単純な手数で勝るクウガにも勝機はある。
それを実践する為に、ブレイガンに押し込まれていたロッドを思い切って手前に引き込む。
カイザがバランスを崩した隙に、反動で前へ進んだロッドの柄が向かって左の腰を打つ。
そこから始まった蹴りを織り交ぜながらの連撃に対して、カイザは攻撃を受け流すことに徹している。
これこそ、澤田がデルタからカイザに変身を切り替えた理由だ。
デルタのまま交戦を継続して変身が解けた場合、おそらくはデルタの装着者を間違えているであろうギルスに牙を向かれるのは確実。
それを回避する為に真魚の元へ戻り、デルタギアを放置した上で澤田はカイザへと転身、別人として再度介入する。
後にギルスが拝むのはデルタギアと共に沈黙するあすかであり、防衛対象を失った怒りはデルタを攻撃したライダー達へ向くのだ。
またカイザへの転身によって澤田の変身時期はこの場の四人で最後となり、時間制限の恩恵を得ることができ、状況次第では残りのライダーを殲滅できるのだ。
クウガの残り時間は約五分。先程の紫に比べて一撃一撃が軽い青相手ならば決して時間を稼ぐのは難しくない。
350:◇N4mOHcAfck氏代理
08/07/18 00:33:46 b+fSFRkt0
一方のクウガは、現状を打破しようともタイタンフォームへ変身を行う訳にいかない。
タイタンではカイザの放った光弾が回避できないのだ。明らかに一撃必殺を狙った奇襲時の光弾を。
一撃の恐怖というものを、グロンギ達との戦いからクウガは誰よりも理解している。
故に疑う。博打を打つことができない。安全策を取る。ライジングフォームによる力押しが不可能という状況の生み出した弊害だろうか。
焦りが生んだ攻撃は、受ける側も防ぐのが容易に成り易い。
「おりやぁぁぁぁぁぁ!!!!」
明らかに手数で勝っていた筈なのに、単調な単発の突き攻撃への切り替え。
―EXCEED CHARGE―
カイザはブレイガンをチャージし、光剣を一層輝かせる。
突きを剣の腹で受け止めながら、剣先を滑らせて腹部へとエネルギーの余力を叩き込んだ。
351:名無しより愛をこめて
08/07/18 00:34:15 w3vyAwTM0
しえん age
352:◇N4mOHcAfck氏代理
08/07/18 00:34:23 b+fSFRkt0
◆
「五代!!」
クウガへの怒りを強く見せるギルスを懸命に足止めしていたファムの声が、今までで一番大きなものになる。
すぐにでも救援に行かねばならない。しかしギルスの気迫も、簡単に止められるものではないことだと戦闘の中で把握している。
悔しいが、ここは退くのがベターだと判断。温存していた一枚のカードを迷わずベントインする。
―FINAL VENT―
小屋の窓から出現したブランウイング。
ファムのファイナルベント「ミスティースラッシュ」は本来、ブランウイングが遠方から吹き飛ばした対象をウイングスラッシャーで切りつけるものだ。
しかしブランウイングの狙いは遠方のカイザではない。踵の爪を伸長し、今にもファムに襲い掛かろうとしていたギルスの方だった。
ギルスを突風で吹き飛ばさせ、すぐに鏡へ戻る様指示すると、バイクに跨って少し離れた位置のカイザへと突進する。
アクセルを全開にして突っ込んできたバイクの接近に、カイザが思わずクウガへの止めを取りやめる。
「これに乗って、急いでこの場から離れろ」
「離れろって、光さんはどうするんですか」
「何度も言わせるな。……私にも考えの一つ位ある……銃だけは借りるぞ。合流場所へ向かって走れ」
「逃がさない」
カイザが切り掛かろうとするのを、ウイングスラッシャーの鮮やかな一薙ぎで遮ると、その隙に変身を解いた五代がバイクで離脱。
―ADVENT―
再度出現したブランウイングの足を掴み飛翔。クウガの語った「小屋の裏」を上空から見下ろす。
そこで目にした光景に、光は息を呑んだ。そこにいたのは二人の女。
方や体育座りで俯きながら沈黙し、方や服を赤く染めて仰向けに倒れている。一考の余地すらない。
おそらく先程のライダーは沈黙している少女を守ろうとしていたのだろう。
353:名無しより愛をこめて
08/07/18 00:34:50 w3vyAwTM0
age になってなかった
354:◇N4mOHcAfck氏代理
08/07/18 00:35:12 b+fSFRkt0
「…………」
ファムがコルト・パイソンの引鉄を引く。銃弾が襲ったのは真魚から五メートル程離れた地点だ。
吹き飛ばされたギルスはファムの射撃の意図をそのタイミングで理解することはできず、カイザは全力で真魚の元へ走った。
カイザが真魚の傍らから上空を見上げた時、既にブランウイングは飛び去っていた。
グズグズしている訳にも行かない。緑のライダー―ギルスが現れるより早く離脱しなければならない。
「澤田君…………?」
「立って、真魚ちゃん。話は後で聞くから。 ……早く!」
デイパックと真魚を連れて、澤田は形振り構わず全力で場を離脱した。
【澤田亜希@仮面ライダー555】
【一日目 午前】
【現在地 D-7から移動中】
[時間軸]:34話・真理再生前
[状態]:大程度の疲労。体の各部に打撲。 うたた寝中。 カイザに二時間変身不能。
[装備]:カイザギア(全装備付属)
[道具]:基本支給品、通話発信可能な携帯電話、不明支給品×3(本人確認済み)
ライダーベルト+ダークカブトゼクター、ディスクアニマル(アカネタカ)
iPod(動画再生機能付き) ファイズアクセル
[思考・状況]
基本行動方針:参加者を皆殺しにして自分が完全なオルフェノクであることを証明する。
1:風谷真魚を守る。あくまで、最後に自分の手で殺すために。
2:他の参加者を殺す。
3:なるべくオルフェノク態で戦う事を避ける。そのために一つでも多く変身装備が欲しい。
4:一刻も早くこの場を離れる。
[備考]
※ダークカブトに資格者として認められました。ベルトはカブトのものを流用しています。
※能力制限等のルールについて、あらかじめ大まかに知らされています。
※澤田の携帯電話は特別仕様のため、通話の発信機能が生きています。
現在の所、通話可能な相手は主催者(村上社長・スマートレディ)のみです
355:名無しより愛をこめて
08/07/18 00:35:25 w3vyAwTM0
356:◇N4mOHcAfck氏代理
08/07/18 00:35:35 b+fSFRkt0
【風谷真魚@仮面ライダーアギト】
【一日目 午前】
【現在地 D-7から移動中】
[時間軸]:31話・サイコキネシス発現後
[状態]:健康。激しく動揺。強い自己嫌悪。
[装備]:コルトパイソンA@クウガ(装弾数5/6、マグナム用神経断裂弾)
[道具]:基本支給品一式x2(真魚・天道)
ライダーパス、首輪(天道)
特殊効果弾セット(マグナム用神経断裂弾54、ライフル用神経断裂弾20、
ランチャー用非殺傷ゴム弾5、ランチャー用催涙弾5、ランチャー用発煙弾5、ランチャー用対バリケード弾5)
[思考・状況]
1:澤田についていく。離れたくない。
2:人殺しをした自分が憎い。
3:自分の能力と支給品の銃を嫌悪。
4:怪物だらけのこの世界に対する恐怖。
5:帰りたい。でも、どこに帰ればいい……?
[備考]
※制限もしくは心理的な理由で超能力が不完全にしか発揮できません。
現状では、サイコメトリーで読めるのは断片的なイメージだけです。
※以下のように事実を誤解しています。
サイコメトリーで見えた灰色のモンスターの正体は天道=カブト。
灰色の怪物(海堂)と赤い怪物(モグラ)は殺し合いに乗っている。
青いライダー(ガタック・ライダーフォーム)に変身して自分を守ったのは澤田。
加賀美(名前は知らない)は自分がサイコキネシスで殺した。
※澤田、真魚の移動先は次の書き手さんにお任せします
357:◇N4mOHcAfck氏代理
08/07/18 00:35:57 b+fSFRkt0
◆
疾走するバイクの上空へ、ブランウイングが到着したのはそれから間もなくのことだ。
五代がバイクを止めたところで、ブランウイングが突如姿を消す。
「何っ?」
突然の事象に対応が出きず、無様な体勢でファムが地面に落ち、次いで変身が解ける。
五代はバイクから降りるとうっすらと笑みを浮かべて、光に手を差し伸べる。
「本当に、無事で良かったです」
「ああ……結花達はどうした?」
本来ならばここで帰りを待っている筈だった男女一名ずつとバイク一台が姿を消している。
光は鬼気迫る勢いでデイパックからトランシーバーを取ると、連絡を入れる。この距離なら研究所と繋がることはないだろう。
「イブキ、今どこにいる?」
「ちょっと結花ちゃんを落ち着かせようと思って、竜巻で走ってます。すぐに戻りますから、安心してください」
「オイ、何を…………」
358:名無しより愛をこめて
08/07/18 00:36:38 w3vyAwTM0
しえん
359:◇N4mOHcAfck氏代理
08/07/18 00:36:49 b+fSFRkt0
【城光@仮面ライダー剣】
【1日目 午前】
【現在地:D-7 小屋から西の道路】
[時間軸]:40話、トライアルについて知った後
[状態]:膝などに軽い擦り傷。腹部に裂傷(中程度:応急手当済み)。ファムに二時間変身不能
[装備]:カードデッキ(ファム)
[道具]:基本支給品・トランシーバーA・ラウズカード(スペードQ/K)
[思考・状況]
基本行動方針:このゲームから脱出し、金居とは正統なバトルファイトで決着をつける。
1:北條奪還のため、まずは『青いバラ』『首輪』の入手、『放送』の指令を遂行。
2:他の参加者とは必要以上に関わる気はない。邪魔ならば排除するが基本的に放置。
3:イブキと結花を回収する
4:剣崎の死、北條の言葉、乃木との戦闘から首輪制限下における単独行動の危険性を認識。
5:五代の態度に苛立ちつつ、僅かに興味。
※以下の様に考えています
・青い薔薇は首輪と関係がある
・ライダーの強化フォームはなんらかの制限が掛かっている。
360:◇N4mOHcAfck氏代理
08/07/18 00:37:15 b+fSFRkt0
【五代雄介@仮面ライダークウガ】
【1日目 午前】
【現在地:D-7 小屋から西の道路】
[時間軸]:33話「連携」終了後
[状態]:全身打撲、負傷度大(応急手当済み)、疲労中程度。小程度の動揺。 クウガに二時間変身不能
[装備]:警棒@現実、コルトパイソン(残弾数6/6:マグナム用通常弾)、カードデッキ(ファム)
[道具]:警察手帳(一条薫)、ホンダ・XR250(バイク@現実)
[思考・状況]
基本行動方針:絶対に殺し合いを止め、みんなの笑顔を守る
1:北條を救出するために、乃木の命令を可能な限りで遂行する。
2:イブキ・結花の探索
3:白い未確認生命体(アルビノジョーカー)、ダグバを倒す。
4:金のクウガになれなかったことに疑問。
5:長田結花の剣崎への誤解を解き、彼女の笑顔も守りたい。
※第四回放送まで、ライジングフォームには変身不能
※ペガサスフォームの超感覚の効果エリアは1マス以内のみです。また、射撃範囲は数百メートル以内に限られます。
※ドラゴン、ペガサス、タイタンフォームには変身可能。ただし物質変換できるものは鉄の棒、拳銃など「現実に即したもの」のみで、サソードヤイバーやドレイクグリップなどは変換不能。
※葦原涼の「未確認生命体事件」の終結を聞き、時間軸のずれに疑問を持ちました。
※葦原涼の名前及びギルスの変身能力について知りません。
361:しえん
08/07/18 00:37:47 w3vyAwTM0
362:◇N4mOHcAfck氏代理
08/07/18 00:38:15 b+fSFRkt0
【和泉伊織(威吹鬼)@仮面ライダー響鬼】
【1日目 午前】
【現在地:D-6 道路】
[時間軸]:35話付近
[状態]:多数箇所に負傷、腹部に裂傷(小程度)。左肩を打撲。
[装備]:変身鬼笛・音笛、音撃管・烈風、陰陽環 、ディスクアニマル(アサギワシ)
[道具]:携帯電話、北條のデイパック(地図・マグライトを除く基本支給品)、「竜巻」(HONDA Shadow750)
[思考・状況]
基本行動方針:戦いを止める。
1:長田結花を庇護対象の未成年者と認識。安全を確保する。
2:結花に気分転換をさせる
3:北條を心配。でもいきなり指令って?
4:デネブって人、どこにいったんだ?
5:友好的な参加者と合流。
6:あの怪人(バダー)、バイク好きなんだな。
※備考
※陰陽環の式神(火の鳥)は使用者から数メートルの距離までしか飛べません。また殺傷性能が低く制限されています。
※なぜか変身しても服が消えません。
※乃木の言葉から、長田結花が何らかの秘密を抱えているかもしれないと考えています。
363:◇N4mOHcAfck氏代理
08/07/18 00:38:45 b+fSFRkt0
【長田結花@仮面ライダー555】
【1日目 午前】
【現在地:C-7 研究所南の交差点】
[時間軸]本編第41話終了直後(武装警官を一掃する直前)
[状態]小程度の負傷、人間への不信感(軽度)
[装備]無し
[道具]ライダーブレス(ケタロス:資格者不明)、トランシーバーB
[思考・状況]
基本行動方針:木場、海堂と合流する
1:「人間ではない」城光に若干の好意。「人間」の「警官」北條には強い警戒心。
2:イブキや他の人間に嫌われたくない。オルフェノクであることは極力隠す。
3:指令なんて、どうしたら……?
※イブキ・結花・城光・五代の間で、ある程度の共通見解が生まれました。
敵対的:風のエル、「白い怪物」、乃木怜治、橘朔也(優先的に排除)
友好的:風谷真魚、日高仁志、桐矢京介、木場勇治、海堂直也
要注意:金居、桜井侑斗、葦原涼(警戒)
ただし剣崎一真に関する認識には齟齬があり、友好的な相手に対する方針も統一されていません。
364:◇N4mOHcAfck氏代理
08/07/18 00:39:07 b+fSFRkt0
◆
ギルスの変身を解かれながらも、涼は小屋の裏へと走った。
突然上空へ逃げた白のライダーは何故あの様な場所を撃ったのか。
牽制ならば自分か割り込んできた黒のライダーを打つべきだった筈なのに。
今回は逃がしたが、涼にあすかを襲った白のライダーと四号を許すつもりはない。次こそは必ず倒す。
そこまで冷静になったところで、ようやく自分が戦ったのはあすかの為だったと思い出す。
その瞬間の直後、彼は小屋の裏へと到達した。
「あ………あ…………あ…ああ」
涼の目元には涙が浮かび、思わずその場に力なく座り込む。
あの白いライダーがこの場所を撃った理由。こういうことだったのか。
隠れていたあすかを撃つ為に。戦闘力を失った彼女に止めを刺す為に。
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」
その様子を草陰で眺めていたホッパーゼクターは確信する。この男は、相棒となるに相応しいだけの地獄を見たのではないか、と。
365:しえん
08/07/18 00:39:28 w3vyAwTM0
366:◇N4mOHcAfck氏代理
08/07/18 00:39:36 b+fSFRkt0
【葦原涼@仮面ライダーアギト】
【1日目 朝】
【現在地:D-7 小屋周辺】
[時間軸]:第27話 死亡後
[状態]: 全身負傷(中)、疲労(大)、2時間変身不可(ギルス)
腕部に小程度の裂傷、変身の後遺症、仇を討てなかった自分への苛立ち
[装備]:フルフェイスのヘルメット、カブトエクステンダー@仮面ライダーカブト(道路傍に放置)
[道具]:支給品一式、ホッパーゼクターのベルト、デルタギア
[思考・状況]
基本行動方針:殺し合いには加担しない。脱出方法を探る。
1:立花を殺した白い怪物(風のエル)、あすかを殺した白いライダー(ファム)未確認生命体4号(クウガ)に怒り。必ず探し出して倒す。
2:立花藤兵衛の最後の言葉どおり、風見の面倒を見る?
3:自分に再び与えられた命で、救える者を救う。戦おうとする参加者には容赦しない。
4:あの黒いライダー(カイザ)は一体……
6:五代雄介の話を聞き、異なる時間軸から連れて来られた可能性を知る。
白い怪物(ダグバ、ジョーカー)を倒す。
7:本郷(R)に対し、すこしすまなく思っている。
※五代の話を聞き、時間軸のずれを知りました(あくまで五代の仮説としての認識です)。
※剣崎一真の死、ダグバの存在、ジョーカーの存在などの情報を五代から得ました。
※ホッパーゼクターが涼を認めました。(資格者にはすぐにでも成り得ます)
※五代雄介=クウガという認識を持っていません。
※カブトエクステンダーはキャストオフできないため武装のほとんどを使えません。
今の所、『カブトの資格者』のみがキャストオフできます。
367:◇N4mOHcAfck氏代理
08/07/18 00:40:19 b+fSFRkt0
494 名前:感情 ◆N4mOHcAfck[sage] 投稿日:2008/07/18(金) 00:24:13 ID:???
さるさん規制につき後半はこちらへの投下となりました。
可能な方がいらしたら、お手数ですが代理投下をよろしくお願いいたします。
-----------------------------------------------------------------
代理投下終了
368:名無しより愛をこめて
08/07/18 00:42:36 w3vyAwTM0
>> ID:b+fSFRkt0
おつかれ~
369:名無しより愛をこめて
08/07/18 00:49:43 b+fSFRkt0
読了。
指摘が一つ。
五代と涼は会っており、五代が未確認生命体四号だと話を聞いているので、その辺のアクションがないのが不自然かと。
それはさておき、涼の不幸っぷり炸裂。
あすかを殺した相手を助けたとは夢にも思わない。
チーム五代に誤解を持った彼がどう動くか、楽しみです。
GJ!
370:名無しより愛をこめて
08/07/18 00:55:10 RRa7prcd0
乙です。
あすかまでも失うとは、さすが葦原さんだ、関わった女が死んでいく……
そして、ついに自分で人を殺してしまった真魚ちゃん。
アギトの面々はかなりやばいことになってしまった。
371: ◆N4mOHcAfck
08/07/18 00:58:25 kxOv8nVOO
>>369
完全に読み違いでした、申し訳ありません。
明日中にはその部分について修正を行います。
372:名無しより愛をこめて
08/07/18 01:05:11 oRLHXpIi0
投下乙です。ただ、涼の描写に違和感を覚えました。
涼は泣き叫ぶ描写などは本編でもなく、悲しみにじっと堪えるタイプ
に思えます。
少しキャラクターと剥離してるのではないか?と感じますのでその辺の描写を再考頂ければ
幸いです。
373:名無しより愛をこめて
08/07/18 02:22:00 o29elk4/0
>>323の
>スペードのクイーン、アブソーブカプリコーン。同じくスペードのキング、エボリューションタランチュラ。
スペードのキングはエボリューションコーカサスだったはずでは
374:名無しより愛をこめて
08/07/18 05:17:38 VKhnZllPO
まぁ何かしらの修正が出てくるのはいいんだけどさ
de氏はそろそろ現状を認識すべきだと思うんだ
感想の数でわかると思うけど正直つまらないんだよね。まぁどうせ後で同情の感想がつくんだろうけど
それに修正要求出てるのに今だに音沙汰無しだしさ
その間予約できないんだよ?他の書き手の方に迷惑だとは思いませんか?
拘束期間も他の書き手の方に比べて明らかに長いし、そろそろ退場すべきかと
375: ◆N4mOHcAfck
08/07/18 06:38:35 kxOv8nVOO
>>372->>373
本当に粗が目立つ……
そこも合わせて修正します
376: ◆cW9wr8uD4A
08/07/18 08:50:22 2IigBYfd0
>>303
確かに曖昧で分かりにくい台詞でしたね。すみません。
後程、志村が志村偽物に襲われたことがはっきりと伝わる言い回しに修正しておきます。
377: ◆deggScNisI
08/07/18 15:40:48 psw31nwm0
>>376
いや、私が完全に勘違いしておりました。申し訳ない…
該当部分を修正次第一時投下スレにあげさせてもらいます。申し訳ありませんでした
378:名無しより愛をこめて
08/07/18 16:05:12 VKhnZllPO
de氏の場合破棄なされたほうがよいかもしれませんよ
毒吐きの話をこちらに持ってきて申し訳ないがあなたの作品は住民に歓迎されてるとは言えません
破棄なされた以降参加しない、というのが一番かと
このスレには主力書き手と呼べる方が複数います。荒らしにも崩されることの無い方々ですがそんな人が崩されるとしたら駄作の話です
以前起きたチャット転載のせいでそういった駄作へのフラストレーションを発散できず内に溜め込むしかない、するとどうなるか
主力書き手が崩れ、残った駄作書き手が当然まとめられるわけもなくこのスレはおしまいです
そうなる前にどうか、de氏には手を引いてもらいたいのです。悪い稲は取りのぞかなければ邪魔になるだけなのですから
嫌がる気持ちはわかります。ですがde氏は複数投下していますしこのスレを愛してくださってるのは明白
だからこそ、手を引いてもらいたい。あなたならわかってくれると信じています
この意見がスレの総意とは言いません。ただ、少なくともこのような意見はある、そう認識してください
379:名無しより愛をこめて
08/07/18 17:07:45 /nLy944+0
うーん、おれは結構de氏の話結構好きなんだけどな。
なんか最近ケンカばかりで少しつまんないな・・・
380:名無しより愛をこめて
08/07/18 17:34:54 b+fSFRkt0
>>379
もともとこのスレには煽りがいるので、本気にする必要はないかと。
指摘部分の話を修正してもらえば、de氏の話は充分通しでしょう。
381: ◆N4mOHcAfck
08/07/18 18:19:06 Q9OaIW440
修正・一部差し替え案を仮投下スレに投下しました。
何か問題点等ありましたら議論スレにお願いします。
382:名無しより愛をこめて
08/07/18 18:24:57 b+fSFRkt0
>>381
修正乙です。特に問題はないかと。
383:名無しより愛をこめて
08/07/18 19:03:08 qqMSOahJO
>>378
お前、何様だよ。
書き手を装った荒らしだと思いたいが、もし書き手だったら、お前こそ二度と書き込むな。
384: ◆RIDERjbYCM
08/07/18 20:49:17 ipam8JUv0
先日自分が投下した「裏切りはすぐ傍に」ですが、いくつかの問題点と修正点が見つかったので修正したいと思います。
つきましては、該当キャラパートを少しの間凍結していただきたいのですが、よろしいでしょうか?