おにゃのこが改造されるシーン素体10人目at SFX
おにゃのこが改造されるシーン素体10人目 - 暇つぶし2ch300:蟻蜂フリーク ◆/sIh2XqTo2
08/05/16 00:52:04 KLVD3aCR0
【アジト】
「ビースティンガー!」
『バス遠足児童大量拉致事件』の被害者と思われる子供たちを救出した後も順調にプペロイドを倒していく。
「プペロイドたち・・・・妙に弱すぎる気が・・・・・・」
サキが不審に思ったのも束の間、
緑色の鎌のようなモノが不意に左胸を掠った。
「・・!!」
「フフフフ、うまくかわしたわね・・・・ビーマリオン」
カマキリの姿をしたソルジャードールが行く手に立ちふさがった。
「私の名はマンティスマリオン!あなたをバラバラに切り刻んであげるわ・・・・・・・」
「やれるものならやってごらんなさい!行くわよ、マンティスマリオン!  ビースラッシャー!」
「こしゃくな!マンティスブレイド!」
刃が二つ交差した・・・



301:蟻蜂フリーク ◆/sIh2XqTo2
08/05/16 00:52:59 KLVD3aCR0
【アジト  通路】
ダダダダダダ・・・!
対プペロイド用の特殊な弾丸が自動小銃M4A1から発射されプペロイドが吹っ飛ぶ。
「ヘイ、ロバート。こいつは予想以上に効くなぁ。」
デルタフォースの隊員の1人が同僚に言った。
日本の警視庁公安部がヘルマリオン内部に獲得した協力者『F』によってもたらされたプペロイドの情報は在日米軍やCIAによりアメリカ本国
にも渡っていた。また、CIAも独自の『協力者』をヘルマリオン内部に獲得しており、完全体のプペロイドを何体か入手し、エリア51と呼ばれる
施設内でさまざまなテストを行っていた。
その結果、作られた武器の一つが対プペロイド制圧用の弾丸だった。ソルジャードールに対してもある程度効果があるとされている。
それはヘルマリオンの拠点へ突入した日米の特殊部隊員たち全員に支給されていた。そして爆薬をセットする他の特殊部隊員の邪魔にな
る対象すべての排除を任務として割り当てられたデルタフォース所属のノリス少佐以下3名のチームはすでに何体ものプペロイドを撃破して
いた。
「ギギ!」
プペロイドが物陰からまた姿を現す。
「ファック!お前らなんかどれだけいても相手にならねえんだよ!ロスとボルチモアのお返しだ!クソッタレ!」
フルオート射撃でプペロイドを粉砕する。
「フゥ~。絶好調だな。どんどんスクラップにして地獄に送ってやるぜ!」
「それなら、私が相手してあげましょうか?」
ノリスたちの目の前に、蜂のような姿をしたソルジャードールが現れた。
「出やがったな、ソルジャードール!俺たちデルタが相手だ、覚悟しやがれ!」
デルタフォースの隊員達はフルオートで弾丸をこの『蜂女』にぶち込んだ。



302:蟻蜂フリーク ◆/sIh2XqTo2
08/05/16 00:56:05 KLVD3aCR0
【マリオンラーヴァ】
「こちら、キクスイ01、セット完了しました。これより撤収します!」
真菜が指揮所に時限爆弾の設置に成功したことを報告する。
「あら、女の人もいるのね・・・・自衛隊の特殊部隊って・・・フフフ」
天井から声がした。上を見ると張りの部分にクモのような姿をしたソルジャードールが腰掛けていた。
「ようこそ。ヘルマリオンヘ。私はスパイダーマリオン。自衛隊のみなさん歓迎するわ。フフフ」
「こちらキクスイ01、敵ソルジャードールと遭遇!交戦する!」
自動小銃を撃ち、同僚が報告する。
真菜もスパイダーマリオンを銃撃するが、効果がないようだ。
「バカね。そんなもの効かないわ。死になさい!」
スパイダーマリオンが両手を自分たちのほうに向けて広げると、傍にいた同僚たちの様子がおかしくなった。
そして、こともあろうか同士討ちを始めた。
「丹羽二尉!岸本一曹!風間!」
おかしくなった3人はお互いに撃ち合って死んでしまった。
「あら、意外にもろいのね・・・・・」
クスクスと笑いながら言った。


303:蟻蜂フリーク ◆/sIh2XqTo2
08/05/16 00:56:45 KLVD3aCR0
「私ねえ、下等動物を指先から出る見えない糸で操ることができるの。あなたの仲間を操ったんだけど、弱いわね・・・・・」
「くそ・・・・!」
再びスパイダーマリオンに自動小銃M4A1カービンの銃口を向け撃とうとしたが・・・・
(くっ・・・・・・・・・・弾切れ)
「アハハ、弾がなくなっちゃったみたいね。」
「殺せるなら、殺してみろ!化け物!」
真菜はアーミーナイフで格闘戦を試みようとした。
「殺すわけないじゃない。あなたみたいな素敵な素体。フフフ」
今度は口から糸を吐き、真菜をグルグル巻きにしてしまった。
「ヘルマリオンヘようこそ。心から歓迎するわ。フフ」
「私をどうする気だ!」
「仲間になってもらうだけ・・・・」
ただそう答えて、福井を連れ去った。



304:蟻蜂フリーク ◆/sIh2XqTo2
08/05/16 00:58:23 KLVD3aCR0
【アジト 通路】
「お、おのれ・・・・・ビーマリオン・・・・・」
マンティスマリオンが黄色い血を噴出しながら倒れる・・・・・
「ヘルマリオン!万歳・・・・・・・」
マンティスマリオンは、そういい残すと体が溶解して消えた。
(マンティスマリオンか・・・・なかなか手強かったわね・・・・)
ゴン!ゴロゴロゴロ・・・・・
西洋人と思われる男の生首が4つ、サキの目の前に転がってきた。
「久しぶりね・・・・紗希、いや、ビーマリオン・・・・・」
ホーネットマリオンが目の前に現れた。
「紗耶・・・・・・」
「あなたもそいつらみたいにしてやろうかしら・・・デルタフォースだっけ?大したことなかったわね。弱すぎるわ。」
「もう、ヘルマリオンは終わりよ!目を覚まして!もとの紗耶に戻って・・・・おねがい!」
「あなたもおめでたいわね。下等動物ごときにこのヘルマリオンがやられると思ってるわけ?」
「!!・・・・どういうこと!」


305:蟻蜂フリーク ◆/sIh2XqTo2
08/05/16 00:58:55 KLVD3aCR0
「姉妹のよしみで教えてあげるわ。私達は、アジトを別のところに移すことにしたの。いろいろ知られすぎちゃったしね。
下等動物の情報機関とかに。で、あなたたちにやられたフリして、引っ越すの。引越しついでに欠陥品のプペロイドとか邪念獣とか
引越しゴミも始末してもらって、最後はあなたたちがこのアジトを爆破して、お掃除完了。」
「なんですって!」
「ちなみに、あなたは私に倒されて組織に復帰する。いやならこの場で殺しちゃうけど?あはははは」
「紗耶!やはり私はあなたを倒なければならないようね!人類の為に!」
「あら?そんなことできるの?相変わらず、しょうがない妹ね・・・・じゃあ覚悟はいいかしら?喰らえ!ホーネットスティンガー!」
ホーネットマリオンは乳房を刺激し、針を発射した。
「なんの!ビースラッシャー!」
さっと身をかわし、サキは反撃する。
姉妹の骨肉の争いが始まった!



306:蟻蜂フリーク ◆/sIh2XqTo2
08/05/16 01:00:25 KLVD3aCR0
【新アジト】
「う~ん、今度の場所は海が見えて気持ちいいのぉ・・・・・・・」
新アジトの立地に骸教授は満足しているようである。
「さて、マリオンラーヴァの配置も無事に終わったことじゃし、早速、始めるとするかの。」
迷彩服に身を包んだ福井真菜がプペロイドに引きずられている。
「ほほう、女の自衛隊員か。なかなかいい素材じゃ。楽しみじゃわい!」
「やめろ!離せ!このクソロボット!」
抵抗し続けるが、真菜は全裸にされてしまった。
「それはクソロボットではなくプペロイドというのじゃよ、お嬢さん。ホッホッホ。さあ、改造開始じゃ!」
手術台に全裸で拘束された真菜はマリオンラーヴァに飲み込まれていった。



307:蟻蜂フリーク ◆/sIh2XqTo2
08/05/16 01:01:10 KLVD3aCR0
【マリオンラーヴァ内部】
「な、なに・・・・・水?の中なのに苦しくない・・・・・・」
ウネウネと触手が体に絡みつき、体中の穴をふさぐ・・・・
「いや・・・・やめて・・・・・・・・」
触手の先端が吸盤状に変わり体にペタペタと張り付く
そして体内に何かが流れ込んできた。
その『何か』には催眠物質が含まれているのであろうか・・・・
今まで感じたことのない暖かさに包まれ、夢を見ているような状態になった。



308:蟻蜂フリーク ◆/sIh2XqTo2
08/05/16 01:04:35 KLVD3aCR0
背中に虫のような羽が生えて空を自由に飛びまわる自分・・・・・・
(・・・・・なんて気分がいいんだろう)
『巣』に戻ってくる。多くの仲間?がいる。人?蜂?
(・・・・・怪物!)
(そうだ、こいつらを制圧しに来たんだ・・・私・・・M4A1カービンがない・・・・あれ・・・)
プペロイドが突如現れ、群れを成して私に迫る・・・・
(くそ・・・ヘルマリオンめ・・・・・・・)
現れたばかりのプペロイドがすぐに目の前でバラバラになる・・・・・
(・・・!)
プペロイドが消えたかと思うと不快な羽音とともにスズメバチの群れが現れ体に張り付く・・・・
(うわ・・・ちょっと・・・・何これ・・・)
振り払おうとするが次々と沸いてきては体に張り付く
そして耳元のスズメバチが囁く。
「オマエハ何者ダ?オマエハ何者ダ?」
「福井真菜だ・・・・陸上自衛隊、特殊作戦群・・・・所属・・・・お前らこそなんだ・・・」
「オマエハ何者ダ?オマエハ何者ダ?」
「うるさい!」
ハチまみれの右手で耳元のハチを振り払う・・・・
二の腕のハチが一瞬、離れる。そして、黒く変色した腕・・・・黒の長手袋をしてるような腕・・・・
(・・・・!!)


309:蟻蜂フリーク ◆/sIh2XqTo2
08/05/16 01:05:08 KLVD3aCR0
再びハチの群れで埋る・・・・・
体中のハチを振り払おうとする・・・・
胸が黒と黄色の・・・・ハチの腹のような模様になっていた・・・乳首は異様に赤かった・・・・
「オマエハ何者ダ?」
「またか!うるさい・・わたしは・・・・・・あれ?・・・わたしは福井・・・・・・真菜?・・・・」
(・・・しつこい!・・・・・!!!な、何これ・・・・)
ハチの群れを払いよけながら逃げてるうちに鏡張りの空間に迷い込んでいた・・・そこの鏡に映った自分の姿をみて驚いた・・・
黄色い体に黒いブーツと長手袋をした腕と足・・・・ハチの腹部のような胸・・・・・背中の羽・・・・・・側頭部の複眼に額の触角
顔は人のままだが悪役レスラーのようなメイクしたみたいになっている・・・・・
(・・・これが・・・・私?・・・・・)
「我々ト一体化スルノダ。我々ト一体化スルノダ。」
耳元のハチの囁きが不思議と心地よく思えてきた。
(そう・・・・ハチにならなきゃ・・・ハッ・・・・なに考えてるの私・・・・私は人間・・・・人間よ!)
葛藤し始める。
「我々ハへるまりおんトトモニ歩ム!我々ハへるまりおんトトモニ歩ム!・・・・・・」
(そう、ヘルマリオンこそ、私のすべて・・・・・ちがう!ヘルマリオンは敵!・・敵・・・・敵?・・敵なの?・・・・なんで?・・・)
「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ~~~~~~~~~~~~~」
真菜は耳を塞いでうずくまる。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
意識を失う真菜
「オマエ何者ダ?」
体に張り付いていた無数のハチが消え、いつの間にか、うつ伏せに倒れていた真菜の耳元に1匹のスズメバチが止まって囁いた。
「私はヘルマリオンのソルジャードール。なにを分かりきったことを聞いてるの?」
「オマエハ福井真菜トイウ人間デハナカッタノカ?」
グシャ!
耳元のハチを潰す。
「今はそんな名前の下等動物じゃないわ・・・・・私は選ばれたの!」



310:蟻蜂フリーク ◆/sIh2XqTo2
08/05/16 01:05:49 KLVD3aCR0
【アジト マリオンラーヴァ】
目を覚ますと真菜は手術台の上に横たわっていた。マリオンラーヴァから排出されたらしい。起き上がって周りを見回した。
「ホッホッホ。スズメバチか。貴様はべスパマリオンと名乗るがよかろう・・・・・・」
骸教授が真菜に新しい名前を授ける。
「ありがとうございます!骸教授様。ヘルマリオンに私のすべてを捧げます!」
「ホッホッホ。これは頼もしい。期待しておるぞ。 おい、スパイダーマリオン!毎回で悪いが、こいつを連れてアジトの中を案内してやれ。」
「かしこまりました。骸教授様! べスパマリオン、うれしいわ。また、素敵な仲間が増えて。さあ、行きましょう。」
べスパマリオンはスパイダーマリオンに連れられていった。



311:蟻蜂フリーク ◆/sIh2XqTo2
08/05/16 01:06:29 KLVD3aCR0
【アジト 研究室】
「なに?相打ちじゃと・・・・ホーネットマリオンは・・・そうか・・・・・」
スタグビートルマリオンが骸教授に報告している。
「てっきり死んだものだと思ったがのぉ・・・・・・・う~む。生命力は想像以上じゃ。」
「はい。ビーマリオンも瀕死の重傷となりながらも戦闘時の記憶を一時的に失ったようです。あの日、あれから自衛隊に救助されたらしく、
今、防衛医大病院に収容されてるようです。」
「そうか・・・・・また次の手を考えるとするか・・・」
バターン!
ドアが勢いよく開いた。
「じいちゃん、あーそぼ!」
マリオンヘイルが入ってきた。
スタグビートルマリオンが一礼して退出していく。
「これこれ、もっと行儀よくするのじゃ。」
「うん! てへへへ」
「そうじゃ、マリオンヘイル。この前、ロスは破壊したけど、ニューヨークを破壊し忘れたじゃろ?」
「あ、そっかー。いっけねー。忘れちった。」
「まあ、よいのじゃが。さっき、ロシアとやらが我々の軍門に下るのを拒否してきおった。奴らは最近、石油とやらで景気がいいようじゃ。
そこで西シベリアのサモトロール油田とやらの採掘設備やパイプラインを壊してくるのじゃ。それは来週でいいがな。」
「はーい!」


312:蟻蜂フリーク ◆/sIh2XqTo2
08/05/16 01:06:59 KLVD3aCR0
「失礼します。お呼びでしょうか?骸教授様。」
センチピードマリオンが入ってくきた。
「うむ。センチピードマリオンよ、下等動物のガキどもの管理に加えて、新たな任務を与えてやろう。このマリオンヘイルの教育・世話係じゃ。
よろしく頼むんだぞ。ホッホッホ」
「まぁ!マリオンヘイル様の・・・・。光栄でございます!喜んでお引き受けいたします。骸教授様。」
センチピードマリオンは、その命令に感激したらしく喜んでいた。
「きゃはははは ムカデちゃん、よろしくね~」
マリオンヘイルは無邪気に笑う。
「ワシはちょいとまだお仕事があるのでのぉ・・・・フンコロガシマリオンとでも遊んでおいで・・・」
「は~い、そんじゃ、行こう!ムカデちゃん。」
「はい。マリオンヘイル様、参りましょう。」
2体は部屋を出て行った。
骸教授はマリオンヘイルたちが去った後、カナブンマリオンを呼び寄せ、指示を出した。
「おい、カナブンマリオン。原油の価格がこれからもっと高騰するはずじゃ。うまいことやっておけ。」
「かしこまりました。早速、仕込みに入ります。」
カナブンマリオンはディーリングルームへと走っていった。
「これからの悪の組織には経済も大切じゃ。むやみやたらに暴力を使うばかりが能ではないのじゃよ。ホッホッホ。」
骸教授は夕凪の海を見ながらつぶやいた。

<完>


313:蟻蜂フリーク ◆/sIh2XqTo2
08/05/16 01:08:42 KLVD3aCR0
以上です。

予想以上に長い文章になってしまいました・・・・・・^^;



314:ダイレン
08/05/16 02:40:13 Qp9cSpneO
乙です。すっかりヘイル大量殺人鬼ですね。シリーズ通せば200万人くらいは殺してるんじゃ……
短時間で作成したので完成度は高くありませんが、第0話です

「日常」


これは悪夢の前……


一緒に行動する班は8人4組という構成だった。男女4人ずつ。誰が誰を好きかわかるなんて思春期の彼らにはよくある会話だった。
前日なのでルートの事前確認。とは言っても、子供達は雑談で満ちていた。
「はいはいはーい。みんな、ちゃんと相談してくれないと明日連れてけないわよ」
担任の木下がその場を落ち着かせる。その中で、ひっそりと班長の健一は点呼の練習を小声でしている。
「……大輔……隆太……綾ちゃん……渚……真央ちゃん……純……由美ちゃん……」
「おいおい、今から心配してるのかよ」
大輔が健一の肩にのしかかってきた。ガキ大将的存在の彼はクラスで最も力が強い。
「健一は今忙しいんだよ。少しくらい静かにしなさいよ」
唯一対抗できる気迫と肉体の持ち主である渚。体育ではすっかり名物となったこの2人の対決は皆が楽しみにしている。
「あーあ……渚、お前の器量もその胸みたいにデカけりゃいいんだけどな」
「んだとコラァッ!」
また始まったよ、とばかりに一度視線を向けるが、すぐに作業に戻る。


由美は行く場所のチェックをしていた。蛍光ペンで印をつけて、紙に書き出していた。
そこで印をつけていた地図が宙に浮いた。
「そんなの、健一の持ってるでやったろ?」
「純君……」
風間 純。学年でも随一のイケメンで他クラスからの人気も高い。ややクールな部分も理由の1つだろう。
また、由美とは幼稚園からずっと一緒だった。付き合いはクラスの中でも長い方である。
「こうやっておけば自分でも見れるし、なくしちゃっても代わりになるし……」
「………そう……」
地図を由美に返すと席に座って同じように印を付け始めた。由美は横目でそれを見ながらも、話しかけてきた綾と話していた。

315:ダイレン
08/05/16 02:41:32 Qp9cSpneO
「由美ちゃんは明日何買うの?」
興味津々に聞いてくる綾。彼女は由美の親友と言うべき人物である。セミロングの髪が可愛さをより引き立てている。
由美はクッキーなどの他にぬいぐるみを挙げていく。やはり残るものも欲しい。
真央も話に参加して盛り上がった形となった。綾がゴリラのぬいぐるみが欲しいと言ったのは予想だにしなかったが。



「遠足の前だ……楽しい気分で行きたいからさっきの決着つけようぜ」
「あたしも同じこと思ってたよ……大輔」
放課後。決着を着けるべく大輔と渚は対峙した。種目は野球である。現在は4年生の時から数えて38戦。大輔が2回多く勝っている。
大輔は大きく振りかぶり、その一球に力をいれた。渚は迫ってくるボールを見定め、バットが振られた。
しかし手応えを感じたのはキャッチャーである健一だった。結構球威があったらしく、少し手首を振っていた。
「大輔、もうちっと手加減しろよ!」
「いや、全力で来いよ!あんたの鼻を叩き割ったるわ!!」
バットで校舎を指す。ホームランをしようというのか。大輔は望む所と言った感じにもう一度振りかぶる。
「うおりゃあああ!!」
一本足打法によって繰り出されたフルスウィングは真針で捉え、ボールを彼方まで飛ばした。
「っっしゃああ!あたしの勝ちいィィッ!」
飛んでいったボールは純によってキャッチされ、今回の2人の勝負に幕が降りた。
「くそ……怪力ブス……」
「誰がブスだああァァッッ!!」
結局の所、2人の対決はこれからも続いていくのだろう。観覧していた由美達もそれは感じていた。

健一と純は器具を体育倉庫まで運んできた。2人が言い争いながら先に帰ったので運び手がいないのだ。
「でも、大輔も渚もお互い好きなくせにさ……喧嘩する程仲良いって事かな?」
笑いながら健一は話しかけてくる。純は微笑すると、ふいに口走った。
「どうせなら、俺達も由美を賭けて試合するか?」
「え?」
「………冗談だよ」

明日をどう迎えるか。今はまだ知らない。

316:ショッカー代理人 ◆cVfFrJRnOU
08/05/16 17:52:30 SObA84lr0
え~と、ダイレン様のSSはここで終わりなのでしょうか?
それともこの先この第0話がまだ続くのでしょうか?
続くのであれば、こちらの作品投下はまだ控えますのでお教えくださいませ。

317:蟻蜂フリーク ◆/sIh2XqTo2
08/05/16 18:06:44 KLVD3aCR0
>>ダイレンさん
乙です・・・・・でいいのかな? 終わり?

ヘイルちゃんは大量殺人鬼じゃありません、大量虐殺者ですw
私個人が感じるニュアンスの違いしかないですけど(笑)

殺人鬼だとチマチマと時間を掛けて、多くても1回当たり多くても2~3人しか
殺してない気がするのに対し、虐殺者だと比較的短期に1回当たり少なくても数十人以上は
殺している気がします・・・まあ、勝手に私がそう感じただけです(笑)


今度はスパイダーマリオン主役で話のツマとしてロシアを盛り込む感じでSS
作成はじめました。完成するかどうか怪しいですがw

318:ダイレン
08/05/16 19:38:49 Qp9cSpneO
>蟻蜂フリークさん
一応本編とは関係ない第0話ですんで短めに………平和な日々ってだけですので

そういや表現としては虐殺のが向いてますね。圧倒的戦闘力で弱い人類を殺してるわけですからね~

ソルジャードールの中でも異端者や戦闘用はずばり属性があるのが強いと思うんですよ(ユミは光、サキは毒みたいに)
ネタバレになりますが、個人的にヘイルは重力と考えてます。これはヘイルがユミと対をなす闇であることを意識したいからです。

2人の初対決は5話で書きたいと思います。そう考えると予定話数より多くなるかもしれませんが

319:ダイレン
08/05/16 19:45:45 Qp9cSpneO
>ショッカー代理人さん
レス出来なくてすいません。一応短めですのでこれで終わりです……

320:蟻蜂フリーク ◆/sIh2XqTo2
08/05/16 19:56:31 KLVD3aCR0
>>ダイレンさん
第0話、せめて何か事件やっておこうよ~^^;
チャレンジャーだわ~^^;

史上初の改造人間出番ナシ・・・って斬新といえば斬新、冒険といえば冒険だな^^;



321:羽生翔子 ◆jRE575HKcc
08/05/16 20:06:04 R9WNOFb50
お久しぶりです!初めましての人は初めまして。

ヘルマリオン祭、見させてもらってます。私は受験の為参加は出来ないんですが・・・

結構みなさん年は大台に乗ってるんですか?私は上で受験といった通り、
まだ十代のひよっこです・・・

最近受験勉強で思い出したのですが、細胞の染色体って本数が減ると別の生き物
になるんですよね。なので次回作を書くとしたら、そこを利用しようと思います。
なんか、染色体の本数変化の光を照射するとか・・・

とりあえずROMってはいるのでヘルマリオン祭、楽しみますね~☆

322:羽生 翔子 ◆W19fssdkys
08/05/16 20:08:09 R9WNOFb50
ありゃ?トリップの番号忘れちゃった・・・とりあえず私は本物です!!!

323:名無しより愛をこめて
08/05/16 20:09:41 I7Nl4sTi0
減らすな、増やせ!

324:羽生 翔子 ◆W19fssdkys
08/05/16 20:14:08 R9WNOFb50
>>323
そうでした(><;)染色体は数が変わるとでした・・・(><;)

325:蟻蜂フリーク ◆/sIh2XqTo2
08/05/16 20:26:43 KLVD3aCR0
>>羽生さん
お久しぶりです^^

基本中の基本を間違えるようでは、ヘルマリオンに3人もOB・在学者がいるT大合格は遠いですぞ(笑)

羽生さん、骸教授でいうところの改造適齢期ですが、チョイ役でSS出てみる?w




326:羽生 翔子 ◆W19fssdkys
08/05/16 20:30:25 R9WNOFb50
>>蟻蜂フリークさん
お久しぶりです~!

そうですね、T大合格目指します(笑)

あ~、SS出てみたいです!!元々改造されたくて、SSを書いて
主人公を自分に重ねあわせるってことをしていたので、めっちゃくちゃ嬉しいです!

327:ダイレン
08/05/16 21:10:39 Qp9cSpneO
>蟻蜂フリークさん
第4話平行して書いてるので、本当にキャラ紹介のつもりで書いてました。
ご期待していただてるのにすいません。その分4話以降に力をいれます

>羽生 翔子さん
お初でしたっけ?僕も大学生でまだ十代ですよ
T大目指すなんてすごいすね。お身体に気をつけてください

失礼は承知なんですが、あなたの名前を見てるとひぐらしのなく頃にのキャラを思い出します……ごめんなさい

328:羽生 翔子 ◆mbgYXFTjj6
08/05/16 21:33:15 R9WNOFb50
本当のトリップ思い出しました。多分コレです。

>>ダイレンさん
多分初めてだと思います。十代ですか~・・・十代はこれからッ!っていう時期
なので、お互いがんばりましょう!学力は自分の学校があんまりレベルの高くない
ところで、その中で5,6番ってところです。だからT大は無理かもしれませんね~;
体はただいまダイエット中・・・

ひぐらしは名前だけ知ってます。たしか、雛見沢がなんとか・・・とかいう話だったような;
うろ覚えですみません・・・

ダイレンさんもヘルマリオンの第4話、がんばって書いてくださいね~!

あ、さっき年齢しか書いてなかったけど、私は♀です。
みなさんは性別とかどっちなんでしょうか?

329:ダイレン
08/05/16 22:02:43 Qp9cSpneO
>羽生 翔子さん
よろしくお願いします。僕は男っすよ。SSの主役対象はロリっすけど、普段は同年代の女の子好きっす(若気の至りってやつです(笑))
受験は大変だと思いますが論文などの推薦もありますし、諦めなければ大丈夫っすよ

余談ですがひぐらしは雛見沢という村で起こる怪死事件に子供達が挑む話です
その中で羽生はオヤシロ様という神様の名前で、怪死事件はこの祟りと言われています(本当はそれに見せかけた殺人で、敵対する人間の仕業)
羽生は10歳ほどの少女の姿で、最終的に主人公に味方するんですよ。
グロが苦手ならあまりオススメはしません

330:蟻蜂フリーク ◆/sIh2XqTo2
08/05/16 23:28:52 KLVD3aCR0
ヒグラシ使わなきゃよかったですね・・・・・(ボソ)

羽生さんを何マリオンにしようかな・・・・(笑)

ダイレンさんもSS出る?(笑) ダイレンさんが自ら作った12人衆の1人あたりでw

そういや12人衆で骸教授に対等の立場みたいに振舞う奴がいたけど、知らないぞぉ
どうなっちゃっても(笑) 敵に回すと・・・・・・ホッホッホってところかなw



331:ダイレン
08/05/16 23:53:48 Qp9cSpneO
>蟻蜂フリークさん
羽生さんを出すとしたら、蟻蜂フリークさんの処遇にお任せいたします。12大幹部とは発想がありませんでしたが、確かに行けそうですね

骸教授って12大幹部の中では戦闘力は低い(のかわからない)代わりに、頭脳明晰なんだと思います
改造を任されてる点で実質的に幹部では位は高い方だと思いますが、作られたロボットって設定でしたし、幹部も承知なので対等に話せると思います
幹部はユミ……というか由美ちゃん同様に人間としての自我が動物の力を支配している高等改造人間と思ってます

でも、ヘイルには個人的に何かしらの能力で最強クラスになる力を持ってると考えております(十分強いんですけどね)

332:蟻蜂フリーク ◆/sIh2XqTo2
08/05/17 00:09:17 VOAzaOp00
基本設定のベースに人形ってのがあるので、幹部はすべて骸教授と同様、首領が作った機械人形と
考えた方がベターだと思います。『人形』が『人間遊び』するって感じが何かいいんですよね(笑)
私的にはw

マリオネットは操り人形だし、プペロイドの「プペ」ってのもドイツ語かなんかで、「人形」って意味かなんかじゃなかったかな・・・・
無機物に支配される生物・・・・w

魂のあるものは幹部にしちゃいけないと感じるんですよ・・・・・ヘルマリオンってw



333:ダイレン
08/05/17 00:18:01 IkhfFdEQO
あ~なるほど~。なんか皮肉っぽくて確かにいいですね
それを聞いて、自分達は高等生物だと思っていたら倒された時にロボットと知る……に路線変更します

個人的にヘイル及び重要人物(秘密です)はロボット以上に悲しい存在として描きたいんですよ
そして、由美ちゃんはそれをどう解決するかってのもセットで

僕は劇中には出ないほうが………どうも自分がいるイメージなくて

334:名無しより愛をこめて
08/05/17 00:37:22 RKJkaVzR0
ところで>>316でショッカー代理人さんがSSの投下タイミングを逃して困ってるようなんだけど・・・?

335:蟻蜂フリーク ◆/sIh2XqTo2
08/05/17 00:39:47 VOAzaOp00
了解w 出演は強制しませんので(笑)

それと、ロボットはロボットだと思うんですが、BeeFさんがせっかく「自律機械」
という言葉で表現されてるので、そう言いましょうw 雰囲気が出ますのでw



336:蟻蜂フリーク ◆/sIh2XqTo2
08/05/17 00:46:27 VOAzaOp00
>>334
すいません つい、ヘルマリオン談義してしまいました・・・・

>>ショッカー代理人さん
遠慮なく、投下のほう宜しくお願いします^^
楽しみです^^

337:ダイレン
08/05/17 00:53:14 IkhfFdEQO
すいません、ショッカー代理人さん。配慮が及ばなかったのをお詫びいたします


>蟻蜂フリークさん
わかりました。では僕は書いてきます

338:ショッカー代理人 ◆cVfFrJRnOU
08/05/17 02:36:53 v5lXsla50
ダイレンさん、蟻蜂フリークさんお気になさらず。
どの道夜中の投下と思ってましたので。

羽生 翔子様初めまして。
よろしくお願いいたします。

私はショッカー代理人の名の通り初代仮面ライダーをリアルタイムで見ていたオサーンです。
年齢は推して知るべしと言うことで。(笑)

それでは投下させていただきます。
ばいばいさるさんが出ましたら、しばし間が開くと思いますので、ご了承くださいませ。

339:ショッカー代理人 ◆cVfFrJRnOU
08/05/17 02:38:15 v5lXsla50
「う・・・うう・・・」
一人の男が顔を青ざめさせて足元を見つめている。
その足元にはじわじわと青緑色の苔(コケ)のようなものが迫って来つつあった。
「た、助けてくれー!」
男は声を限りに叫ぶが、背後にある外へ通じるドアは固く閉じられていてまったくこじ開けることができない。
この部屋に放り込まれて十五分ほどしか経っていない。
最初は部屋の中央部のテーブルの上においてあったシャーレの一部にだけ広がっていた青緑色の物体は、このたった十五分の間にまるで男の存在を感知したかのように広がり始め、男の足元にまで広がってきていたのだ。
「だ、出してくれー! 助けてくれー!」
振り返ってドアをがんがんと叩く。
死に物狂いの形相は、その物体に対する極端な恐れを表していた。

やがて男の足にも青緑色の物体が広がっていく。
「ギャー!!」
ぐじゅぐじゅと足元が溶かされるような激痛に、男は思わず悲鳴を上げてしりもちをついてしまう。
だが、思わず床に手を着いたその手やお尻にも青緑の物体は付着して、たちまち男の体を溶かし始めた。
「ヒィー!」
青緑に染まった両手を見、全身を覆う激痛に気も狂わんばかりに悲鳴を上げ続ける。
両脚はみるみるうちに骨が覗き始め、両手も指先から肉が解け落ちるかのように骨だけになっていく。
やがて男は悲鳴も上げなくなり、その場に静かに倒れこむ。
あとには青緑色の物体が広がり、男の衣服だけが残っていた。

「クックックックック・・・」
黒いマントを羽織った初老の男がそのやせこけた顔に不気味な笑顔を張り付かせて笑う。
「殺人カビの実験は成功だ」
まるで西洋の吸血鬼とでもいえそうな容貌のこの男こそ、ショッカー日本支部の誇る天才科学者イワン・タワノビッチ、通称死神博士であった。
モニターで男の死に様を眺めていた死神博士は、新たにアオカビをベースに開発した人間を栄養分として繁殖する殺人カビの実験の成功に大いに満足していたのだ。


340:ショッカー代理人 ◆cVfFrJRnOU
08/05/17 02:40:23 v5lXsla50
『死神博士よ』
ホールの正面上部にある巨大な地球を掴み取るワシのレリーフ。
その腹部の緑のランプが輝き、重厚な声がホールに響く。
声だけでありながら圧倒的存在感を持ち、世界征服をたくらむ悪の秘密結社ショッカーのすべての構成員が畏怖と忠誠を捧げる存在である首領。
その首領の声が響いたのだ。
死神博士もそのそばに控えていた幾人かの戦闘員たちも一斉にレリーフを見上げ、一言一句を聞き逃すまいと集中する。
『直ちにこの殺人カビを使い、日本征服を進めるのだ』
「お任せくださいませ首領。この殺人カビをばら撒けば日本は大混乱に陥ります。そのときこそわがショッカーが日本を征服するとき」
死神博士が不気味な笑みを浮かべる。
『うむ、吉報を待っているぞ』
「ハハッ」
恭しく首領に一礼する死神博士。
ショッカーの日本征服のための悪魔の作戦が始めるのだった。

「「じゃんけんぽん」」
「「あいこでしょ」」
お寺の境内に子供たちの声が響く。
子供たちにとっては広いお寺の境内は格好の遊び場となっており、住職もそれを理解して墓場以外は自由に遊んでいいと伝えてあったのだ。
子供たちは今回この境内でかくれんぼをして遊ぶつもりだった。
「ケンちゃんの鬼だ」
「わーい」
子供たちが散っていく。
「ちぇっ」
一人の少年が舌打ちをしながらも、太い木に正面からもたれかかって数を数え始めた。


341:ショッカー代理人 ◆cVfFrJRnOU
08/05/17 02:42:34 v5lXsla50
「こっちよ、摩子(まこ)」
「うん」
双子なのか、白い洋服を着た瓜二つの顔の二人の少女が境内を抜けて墓場のほうに向かう。
墓場ならば隠れる場所には事欠かない。
最後まで隠れてケンちゃんを困らせてやるのだ。
「純子ちゃん、摩子ちゃん、お墓のほうに行ってはいけないのよ」
「そっち行っちゃだめだよ」
友人たちの声も二人の耳には入らない。
どこに隠れようかともうそればかり考えているのだ。
二人の少女はそのまま墓場の中に入っていった。

「このあたりに隠れましょ」
「うん」
二人の少女は墓石の影に身を隠す。
ふと見ると、近くのお墓に墓参りの男性が熱心にお祈りをしている。
邪魔してはいけない。
二人はそう思い、息を殺してケンちゃんが探しに来るのを待っていた。

「イーッ」
「イーッ」
突然どこから現れたのか、全身を黒いぴったりしたタイツ状の衣服に身を包み、すっぽりと目鼻口だけがでるマスクをかぶった男たちが現れる。
「キャッ」
思わず二人の少女は小さな悲鳴を上げるところだったが、必死に声を押し殺す。
ケンちゃんもそうだが、この人たちにも見つかってはいけない気がしたのだ。
「な、何だ君たちは」
墓参りに来た男性が黒尽くめの男たちに戸惑っている。
一体何をするつもりなのだろう。
二人は何もできずにただその様子を見ているしかできなかった。


342:ショッカー代理人 ◆cVfFrJRnOU
08/05/17 02:44:53 v5lXsla50
「そこの男。貴様にはショッカーの殺人カビの餌食になってもらう」
「な、何だって?」
黒尽くめの男に一人が缶に入っていた青緑色のものをぶちまける。
「うわぁーーー」
青緑色のものが男性に付着すると、男性は悲鳴を上げてみるみるうちに溶けて行く。
そしてあっという間に着ていた衣服だけが残された。

「キャー!」
二人はあまりのことに声を殺すことができなかった。
目の前で一人の男の人が溶けてしまったのだ。
恐ろしさにどうしようもなかったのだった。
「そこにいるのは誰だ!」
黒尽くめの男たちがすぐにやってくる。
二人の少女は必死に逃げ出そうとしたが、すぐに取り囲まれてしまい、逃げ出すことはできなくなった。
「お前たち、今のを見たな?」
「陽光の下での殺人カビの繁殖実験はショッカーの秘密」
「われわれショッカーの秘密を見たものは死ぬのだ」
「ああ・・・いやぁっ」
威圧するような黒尽くめの男たちに、二人の少女は恐ろしくてへたり込む。


343:ショッカー代理人 ◆cVfFrJRnOU
08/05/17 02:51:34 v5lXsla50
『待つのだ』
どこからとも鳴く声が響く。
「これは死神博士。一体どうして?」
黒尽くめの男たちの動きが止まる。
『その娘たちを連れてくるのだ。いい利用法を思いついた』
「ハハッ、直ちに」
その声にうなずく男たち。
「いやぁー」
「ママー」
たちまち二人の少女は黒尽くめの男たちに抱きかかえられてしまう。
そのまま彼らはいずこともなく姿を消したのだった。

                     ******

「えっ? 見つからない?」
郁子(いくこ)の目の前で悲しそうにうつむいている子供たち。
夕方になっても摩子と純子が帰ってこなかったので迎えに来たのだが、住職と子供たちが二人を探しているところに出会ったのだ。
「どうやらかくれんぼをしていて、二人はお墓のほうへ行ったようなんですが、いくら探しても見当たらんのです」
住職ほか寺の一同も探してくれたのだが、摩子と純子の姿は見当たらないと言うのだ。
「そんな・・・」
二人の母親である郁子にとって、二人は大事な双子の娘だ。
いなくなったなんて信じられない。
「摩子・・・純子・・・」
郁子は途方にくれてしまった。

                      ******


344:ショッカー代理人 ◆cVfFrJRnOU
08/05/17 02:52:50 v5lXsla50
「お願いです。私たちを帰して」
「何も言いません。お願いです」
二人の少女は半べそをかきながら必死にお願いする。
二人の前には黒いマントを羽織った初老の男がおり、見るからに不気味な笑みを浮かべていた。
『死神博士よ。この娘たちをどうするつもりなのだ』
男の背後の巨大なワシのレリーフが突然しゃべり始めたので、二人の少女は驚いた。
「首領、あの殺人カビを人目に付かずに撒き散らすには、戦闘員たちでは不都合。この娘たちを使えば、人間どもは油断して殺人カビを広めるにはうってつけなのです」
『なるほど。やってみるがいい』
「ハハッ」
ワシのレリーフに一礼し、再び二人の少女に向き直る死神博士。
「機械的洗脳を用いるまでもあるまい。わが得意の催眠術でこの娘たちの深層意識にショッカーへの忠誠心を植えつけてやろう」
死神博士はそういうと一本のロウソクを取り出し火をつける。

「さあ、二人とも。この火をよーく見るのだ」
つい促されるままに二人の少女は火を見つめてしまう。
それこそが死神博士の得意とする催眠術の手法だった。
「ほーら・・・ほーら・・・お前たちの心にはショッカーの偉大さが染み渡っていく。お前たちはショッカーの一員となったのだ」
とろんとした目で火を見つめる二人の少女。
死神博士の深層暗示が二人の心を捕らえていく。
「ショッカーの一員であることはとてもすばらしいことだ。ショッカーの命令に従うのだ」
「はい・・・私たちはショッカーの一員です・・・」
「ショッカーの命令に従います・・・」
うつろな眼で死神博士の言葉にうなずく二人の少女。
催眠術によって二人はショッカーの一員であると信じ込まされてしまったのだった。


345:ショッカー代理人 ◆cVfFrJRnOU
08/05/17 02:54:06 v5lXsla50
                     ******

「うっうっ・・・純子が・・・摩子が・・・」
夫の胸で泣き崩れる郁子。
夜になっても二人は帰ってこず、夫の信弘(のぶひろ)と一緒に再び墓場周辺を探してみたものの、二人の姿はまったく見えなかったのだ。
「大丈夫だよ。警察にも伝えたからね。きっとどこかで眠っちゃったんだ。明日になれば帰ってくるさ」
自分自身に半ば言い聞かせるようにそう言って妻を抱きしめる信弘。
若くして結ばれたために、双子の母となった今でも容色は衰えていない。
近所でも評判の美人の郁子だったが、憔悴した今は見る影もなかった。
それもそのはず、二人がいなくなった墓地ではここ数日の間に数人の人間が行方不明になっているほか、行方不明になった人の持ち物が奇妙なカビのようなものが生えた状態で発見されたりしているのだ。
二人に何かあったのかと気が気でない郁子にとって、憔悴させるには充分なものだった。

                     ******

「さあ、このカビをあの住宅街にばら撒いてくるのだ」
殺人カビのつまったケースを二人の少女に手渡す死神博士。
「「はい、死神博士」」
黒いレオタードを着せられた二人の少女はそれを受け取ると、戦闘員たちとともにアジトを出る。
やがて住宅街の一角で奇妙なカビによって住民たちが次々と死亡していった事がニュースで報じられた。


346:ショッカー代理人 ◆cVfFrJRnOU
08/05/17 02:55:36 v5lXsla50
「作戦は成功だ。この調子で日本中に殺人カビをばら撒くのだ」
帰還した二人の少女に目を細める死神博士。
少女たちは誰にも怪しまれずに殺人カビをばら撒くことに成功したのだ。
自分の予想通りの結果に死神博士は満足だった。
「しかし、死神博士。殺人カビの培養には限度があります。このままでは殺人カビが足りません」
白衣を着て白いマスクをかぶった科学班員が懸念を伝える。
確かに殺人カビは増殖は早いものの、アジト内での培養には限度がある。
それを何とかしなくてはならなかった。

ふと死神博士は少女たちを目に留める。
「そうだ・・・この娘たちは改造人間の適正がかなり高い。であれば両親のうちのどちらかがまさに改造人間にうってつけの人材だろう。殺人カビを体内で培養するカビの改造人間を作り出し、そいつに殺人カビをばら撒かせるのだ」
死神博士はそういうと二人の少女に命令する。
「お前たちの両親をこのアジトに連れてくるのだ」
「「はい、死神博士」」
二人のレオタード姿の少女たちは死神博士にうなずいた。

                      ******


347:ショッカー代理人 ◆cVfFrJRnOU
08/05/17 02:58:08 v5lXsla50
眠れぬ夜を過ごす郁子。
純子と摩子がいなくなってからもう二日が経っている。
先日は住宅街で原因不明の奇病で十数人が亡くなったというが、二人も何か病気にかかったりしているのではないだろうか・・・
とにかく二人のことが心配で眠ってなどいられないのだ。
となりのベッドでも夫が身じろぎするのがわかる。
彼も眠れないのだろう。
今までこんなことはなかったのに・・・
思わず涙がこみ上げてくる。
純子・・・摩子・・・
郁子の枕が涙に濡れた。

突然寝室のドアが開く。
「えっ?」
驚いて飛び起きる郁子と信弘。
二人の視線の先には無事の帰りを願ってやまなかった二人の少女の姿があった。
「純子、摩子!」
ベッドから飛び降りて娘たちに駆け寄る郁子。
二人の無事な姿にもう何も考えられない。
「純子、摩子、よかった・・・」
しゃがみこんで二人の体を抱きしめる郁子。
信弘も思わず二人に駆け寄ってくる。
「純子、摩子・・・」
だが、肝心の純子と摩子の表情は変わらない。
それどころか何かひどく冷酷ささえ感じさせるものだった。


348:ショッカー代理人 ◆cVfFrJRnOU
08/05/17 03:00:13 v5lXsla50
「純子、摩子、どうしたの?」
郁子も思わず二人の顔を見る。
そういえば、お気に入りの白い服を着て出かけたはずの二人なのに、今着ているのは黒い服。
しかもレオタードではないか。
さらにはブーツまで履いたままだ。
「二人ともいったい・・・その格好はどうしたの?」
「純子、摩子、いったい何があったんだい?」
郁子も信弘も顔を見合わせる。
二人にいったい何があったというのだろう。

「パパ、ママ、迎えに来たわ」
「さあ、私たちと一緒にショッカーのアジトに来るのよ」
無表情のまま二人は口を開く。
それは何か不気味でさえあった。
「純子、摩子、いったいどうしたの?」
「純子、摩子、ショッカーってのは何なんだい?」
娘たちの変化に戸惑いを隠せない郁子と信弘。
「ショッカーは世界を支配する組織」
「私たちはショッカーの一員なの」
「ショッカーの一員?」
「どういうこと?」
顔を見合わせた郁子と信弘の前にさらに数人の人影が現れる。


349:ショッカー代理人 ◆cVfFrJRnOU
08/05/17 03:01:25 v5lXsla50
「イーッ!」
「イーッ!」
「な、何者だ、お前たちは!」
全身黒尽くめの男たちの出現に、思わず信弘は妻と娘をかばおうとする。
だが、一般の人間がショッカーの戦闘員に敵うはずはない。
信弘は腹部に一撃を食らい、気を失う。
「あ、あなた! うっ・・・」
郁子も戦闘員に首筋を一撃されて意識が遠くなる。
「よし、連れて行け」
赤戦闘員の指示の下、郁子と信弘を担ぎ出す戦闘員たち。
その後ろには二人の少女が付き従っていた。

                       ******

「うう・・・こ、ここは?」
目を覚ます信弘。
となりには妻の郁子が寝かされていた。
「郁子、郁子!」
「う、うう・・・ん」
信弘が揺さぶると、郁子も意識が戻る。
二人はお互いの無事を確認しあうと、周囲を確かめた。
どうやらどこかの地下か何かのようで、二人の周囲は鉄格子に囲まれている。
とりあえず信弘は鉄格子を揺すってみたが、どうにかなるようなものではなさそうだった。
「あなた・・・」
「くそっ、奴ら何者なんだ。俺たちをどうするつもりなんだ?」
郁子の肩を抱いて寄り添う信弘。
たった数日だと言うのに、自分たちに何がおきたというのだろうか。


350:ショッカー代理人 ◆cVfFrJRnOU
08/05/17 03:03:20 v5lXsla50
「目が覚めたようだな」
広くなった奥のほう、円形のテーブルの向こうから一人の男が近づいてくる。
すらっとした長身に黒いマントを羽織り、やせこけた顔には不気味な笑みを浮かべていた。
「な、何だお前は」
「私たちをどうするつもりですか? 純子と摩子はどこへやったんですか?」
二人は鉄格子を握り締め、目の前の男をにらみつける。
「私はショッカーの死神博士。子供たちならここにいる」
死神博士がマントのすそを広げると、黒いレオタード姿の二人の少女が姿を現した。
「純子、摩子」
「貴様、娘に何をした!」
「クックックックック・・・」
「何が可笑しい!」
信弘は鉄格子をがしゃがしゃと揺らして、何とか脱出しようと試みる。
「この娘たちにはわが催眠術でショッカーの思考を受け付けた。今のこの娘たちはショッカーの忠実なしもべなのだ。そうだな?」
「何だって?」
「純子、摩子」
郁子が鉄格子の間から手を伸ばす。
「はい。私たちはショッカーの忠実なしもべです」
「ショッカーの命令を聞きます」
無表情で立ち尽くす二人の少女。
郁子が手を伸ばしてもまったく反応がない。
「ひどい・・・二人を元に戻して」
郁子はキッと死神博士をにらみつけた。


351:ショッカー代理人 ◆cVfFrJRnOU
08/05/17 03:04:38 v5lXsla50
「ククククク・・・気を失っている間にお前たちの躰を調べさせてもらった。男のほうは戦闘員にもなれぬくずだが、女、お前は改造人間の適正が充分にある」
郁美に杖を向ける死神博士。
「改造人間? 何だそれは!」
「くずだなんてひどい。信弘さんはくずなんかじゃないわ!」
「黙るのだ。これよりお前はわがショッカーの改造手術を受け、カビの改造人間となってカビ作戦を指揮するのだ」
「カビ? 妻には手を出すな! 俺が許さん!」
信弘が郁子をかばうように背に隠す。
「その女を引きずり出せ」
「イーッ!」
「イーッ!」
いつの間にか現れた戦闘員たちが鉄格子をあけて入り込む。
「くそっ」
必死に郁子を守ろうとする信弘だったが、やはり戦闘員には敵わない。
両腕をねじり上げられ、信弘はあっという間に押さえつけられる。
「いやぁっ」
「郁子ぉっ」
信弘が取り押さえられている間に郁子は連れ出されてしまうのだった。

「いやぁ、いやぁっ」
テーブルと思われていた台に載せられる郁子。
着ている服はすべて剥ぎ取られ、下着すら取り去られてしまっている。
「郁子ぉ! 畜生、お前ら、郁子に手を出すなぁ!!」
牢獄に取り残された信弘が必死に叫ぶ。
「うるさい。そこでお前の妻が生まれ変わる様をたっぷりと見るがいい」
両手両足を拘束された郁子の白い肌を死神博士の杖がなぞる。
「いやぁっ! 助けてぇっ! いやよぉっ!」
手足をばたつかせて逃れようとする郁子だったが、拘束された手足はまったく自由にならなかった。
「怖がることはないわ、ママ」
「ママはこれから改造手術を受けるのよ」
二人の少女が笑みを浮かべる。


352:ショッカー代理人 ◆cVfFrJRnOU
08/05/17 03:06:14 v5lXsla50
ショッカーの思考を刷り込まれてしまった少女たちは、自分たちの母親が改造されることを喜んでしまうのだ。
「ああ・・・純子、摩子、お願い見ないでぇ」
娘たちに自分が裸を見せてしまっていることに言いようのない恥ずかしさを感じる一方、二人の娘たちのあまりの変わりように絶望感も募ってくる。
「郁子、郁子ぉ」
「あなたぁ」
お互いに絆を確かめ合うかのように手を伸ばしあう二人。
だが、そんなことにはお構い無しに死神博士が命じる。
「改造手術を始める」
「イーッ」
白マスクと白衣の科学班員たちが機器類をセットする。
「いやぁっ!」
郁子に対する改造手術が始まった。

ショッカーの改造手術は基本的には遺伝子変化による動植物との融合と各種薬剤による組織や骨格の強化、それに付随しての機械埋め込みというものである。
つまり、あくまでも生命体としての融合強化が主であり、機械埋め込みはあくまでも補助強化に過ぎないのだ。
郁子の体にはさまざまな色の光が当てられ、体内の遺伝子を変化しやすくさせて行く。
毒々しい色の液体が注射器から流し込まれ、構造の変化を受け入れるべく体内の準備をする。
麻酔をかけられて意識を失った郁子の体に殺人カビの遺伝子を取り込んだ緑色の液体が流し込まれ、彼女の赤い血が排出されていく。
「い、郁子ぉー!」
信弘の目の前で郁子は徐々に人間ではない存在に変化していくのだった。


353:ショッカー代理人 ◆cVfFrJRnOU
08/05/17 03:08:54 v5lXsla50
抜けるような郁子の白い肌。
それは信弘にとっても郁子にとっても自慢の肌だったが、血液の交換によって青緑色に染まっていく。
それどころか青緑を越えてどす黒く変化していくのだ。
体表に生えていた毛はすべて抜け落ち、黒く染まった皮膚はやがてなめし皮のように強靭な皮膚へと変わっていく。
両手の指先は爪が伸びて鋭くなり、両脚のつま先は指が癒合して無くなると同時に固く鋭いつま先へと変化する。
かかとも細く伸びてまるでハイヒールのブーツでも履いているかのような変化を見せ、人間の素足とは思えないものとなる。
郁美の全身はどす黒い皮膚に覆われ、黒く染まった頭部からは頭髪もすべて抜け落ちていたが、やがて彼女の上半身の皮膚がぼこぼこと膨らんでくる。
それは見る間に青緑色のカビへと変化していき、形のよい胸や首、肩、そして頭部全体が青緑色のカビで覆い尽くされた。

遺伝子の変化による肉体の変化が終わると、死神博士はおもむろにメスを持つ。
ここから先は彼の一番充実した楽しい時間となるのだ。
白衣の科学班員が用意した補助器官を変化した郁子に埋め込んで行く。
その手さばきはまさに神業。
メスが光り異形の肉体が切り開かれたかと思うと、次の瞬間にはもう補助器官が埋め込まれ、表皮が接着されているのだ。
わずかな時間で郁子の体にはいくつもの補助器官が埋め込まれ、新たな体を強化する。
「これでよい。後は脳改造を行うのみだ」
額の汗をぬぐう死神博士。
その表情は晴れやかだった。

354:ショッカー代理人 ◆cVfFrJRnOU
08/05/17 03:10:12 v5lXsla50
「ああ・・・郁子・・・郁子ぉ・・・」
目の前で異形の存在になってしまった自分の妻に愕然とする信弘。
あの自慢の美しかった妻が、今は上半身にカビを生やした化け物になってしまったのだ。
深い絶望と悲しみが信弘を襲っていた。

「う・・・う・・・ん・・・」
ゆっくりと目を開ける郁子。
頭部全体を青緑色のカビに覆われてしまった郁子だが、それでも整った目鼻立ちはフォルムとしては残っており、奇妙な美しささえ感じさせる。
「目が覚めたようだな、カビビンガよ」
死神博士の声がうっすらと目を覚ました郁子の意識を覚醒させる。
「えっ? ええっ?」
両手両足の拘束はいまだはずされておらず、郁子は首を曲げてあたりを確認するしかない。
なに・・・これ?
目に入ってきたのは円形の台に載せられた自分の体・・・のはずだったが、そこには青緑色の奇妙なカビに覆われた二つの胸のふくらみがあるだけだった。
「クククク・・・生まれ変わったお前の姿を見るがいい」
死神博士の顔にサディスティックな笑みが浮かぶ。
わざわざ天井の無影灯の脇に用意した鏡を使い、カビビンガと化した郁子の体を見せ付ける。
この瞬間の絶望と、脳改造後の誇りに満ちた表情とのギャップこそ、彼が人間を改造する最大の楽しみの一つなのだ。


355:ショッカー代理人 ◆cVfFrJRnOU
08/05/17 03:11:56 v5lXsla50
郁子は最初何がなんだかわからなかった。
天井に自分と同じように台に拘束された化け物がぶら下がっている。
そう思えたのだ。
だが、自分が首を動かしたりすると、まったく同じように首を動かしたりするその姿に、郁子はあれが鏡なんだと気が付かされる。
「いやぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
あまりのことに悲鳴を上げる郁子。
その化け物は黒いなめし皮のような皮膚の下半身と、青緑色のカビを全体に生やした上半身を持つまさにカビの化け物であり、その姿こそが現在の自分の姿であると思い知らされたのだ。
「郁子・・・郁子ぉ・・・」
その声にふと郁子はそちらを見る。
そこには牢獄にとらわれた夫が、愕然とした表情で彼女を見ていたのだ。
「いやぁっ、見ないで、見ないでぇっ!!」
思わず顔をそらす郁子。
「ママ、おめでとう」
「えっ?」
夫と逆のほうを向いた郁子の前には二人の少女が笑みを浮かべて立っていた。
「これでママはショッカーの改造人間よ。とても素敵だわ」
「これからはママじゃなくカビビンガ様ね」
「ああ・・・あああ・・・いや・・・いやぁっ!!」
いっそのこと気が狂いたかった。
狂えればどんなに楽なことか・・・
郁子は泣きたかった。
だが、涙は流れてはくれなかった。


356:ショッカー代理人 ◆cVfFrJRnOU
08/05/17 03:13:09 v5lXsla50
「嘆き悲しむことはない。これよりお前の脳を改造し、ショッカーの改造人間にふさわしい思考をするように変えてやる。そうなればお前は改造されたことを喜び、誇りに思うようになるだろう」
死神博士の手にメスが光る。
「ああ・・・いや、いやです。もう私の体をいじらないで。お願いだからやめてぇ」
首を振っていやいやをする郁子。
そのつど頭部のカビから胞子がこぼれ落ちていく。
「やめよ。このアジトを殺人カビでいっぱいにする気か?」
すぐにエアクリーナーが働き、郁子が散らした胞子をすべて吸い込んでいった。
「お願いです。やめてください」
「やめろぉっ! 郁子ぉっ!!」
「これより脳改造を始める」
二人の願いもむなしく、郁子への脳改造が始められた。

ショッカーの脳改造は洗脳と機械的コントロールチップ埋め込みの混合である。
死神博士は科学班員に埋め込み用のチップを持ってこさせ、その間にリング状の装置を郁子の頭の周囲に設置する。
郁子は麻酔をかけられることもなく頭部をメスで切り開かれ、むき出しになった脳にコントロールチップが埋め込まれた。
そして表皮が接着されると、死神博士は洗脳装置のスイッチを入れる。
リング状の装置からパルスが照射され、郁子の脳に埋め込まれたチップと共同で郁子にショッカーの思考を入力し始める。
頭蓋を切り裂かれた激痛に耐えていた郁子だったが、激痛はすぐに治まり、代わりに温かい心地よさが広がってくるのを感じていた。


357:ショッカー代理人 ◆cVfFrJRnOU
08/05/17 03:14:06 v5lXsla50
なに・・・これ?
郁子は心が落ち着いていくことに戸惑いを感じる。
改造などと言う恐ろしい目にあったのだが、そのことが恐ろしく感じなくなっていた。
むしろ改造されたことはすばらしいことだと感じ、新たな肉体になったことが少しうれしくなっていく。
ああ・・・どうしちゃったの、私?
改造なんてされたのに・・・いいえ、改造していただいたのに・・・
ああ・・・変よ・・・変だわ・・・
人間を超えた存在・・・
私は人間を越えたんだわ・・・
ショッカーは世界を支配する・・・
ショッカーによって世界は管理されるのよ。
そうだわ、世界はショッカーのものなのよ。
ああ・・・なんて素敵なのかしら・・・
私はショッカーに選ばれたのよ。
改造人間になったのよ。
なんてすばらしいことなのかしら。
郁子の思考は瞬く間にショッカーの改造人間としての思考に書き換えられてしまうのだった。

「脳改造は終了した。起きるのだ。カビビンガよ」
死神博士がカビビンガの手足の拘束を解く。
ゆっくりと起き上がるカビビンガ。
上半身に青緑色のカビが密生したその姿はまさに異形だが、流れるようなラインは女性らしさを保っており、胸のふくらみやお尻のラインなど妙に美しさも感じさせるものだった。
「自分が何者か言ってみるがいい」
ショッカーのワシのレリーフが刻まれたベルトを手渡してやる死神博士。
そのベルトを腰に巻きつけながら、郁子はきっぱりと宣言した。
「はい、死神博士。私は偉大なるショッカーによって改造された改造人間カビビンガです。これよりは永遠にショッカーに忠誠を誓いますわ」
口元に笑みが浮かぶカビビンガ。
その様子に死神博士は満足した。


358:ショッカー代理人 ◆cVfFrJRnOU
08/05/17 03:20:36 v5lXsla50
「郁子、郁子っ!」
がしゃがしゃと鉄格子を鳴らす信弘。
目の前で起こったことが信じられないのだ。
妻が化け物にされてしまったなど信じられるはずもない。
「郁子っ! 畜生、郁子を元に戻せ!」
「うるさい男ね」
カビビンガが信弘を一括する。
「元に戻せ? 冗談じゃないわ。私は改造されたことを感謝しているのよ。私はショッカーのおかげでこうして改造人間カビビンガになれたのですもの」
「郁子・・・お前・・・」
信弘の力が抜ける。
もうあの優しい妻の郁子はそこにはいなかったのだ。
「くすっ。やはり戦闘員にもなれぬくずはものわかりが悪いようね。私を郁子などと言う名前で呼ぶのはやめて欲しいわ。私はカビビンガよ。カビビンガ様とお呼びなさい」
口元に手を当てて笑うカビビンガ。
その仕草がかつての郁子を思わせて、信弘はつらかった。

「カビビンガよ。あの男は使い物にならぬ男だ。お前の力を試す実験材料にするがいい」
「ありがとうございます、死神博士。早速そうさせていただきますわ」
笑みを浮かべたまま牢獄に近づくカビビンガ。
「ふふふ・・・お前のような男と一度でも夫婦だったなんてぞっとするわ。くずはくずらしく、私の殺人カビでくたばりなさい」
すっと右手で自分の胸の辺りに生えているカビをちぎり取るカビビンガ。
そしてそのままそれを信弘に投げつける。
「ぐ、ぐわぁぁぁぁぁぁ」
断末魔の悲鳴を上げて信弘は床に倒れこむ。
その体にはみるみるうちに殺人カビが繁殖し、信弘の体を溶かしてしまう。
あとには彼が身につけていたものだけが残されるのだった。


359:ショッカー代理人 ◆cVfFrJRnOU
08/05/17 03:22:28 v5lXsla50
「おほほほほ・・・お前のようなくずでも私の可愛い殺人カビの養分ぐらいにはなれて幸せね。感謝しなさい」
高笑いするカビビンガ。
「すばらしいです、カビビンガ様」
「カビビンガ様、どうか私たちを自由にお使いくださいませ」
純子と摩子の二人も眼を輝かせている。
「うふふふふ・・・二人とも今日からは私の手足となって働くのよ。そうだわ、死神博士、お願いがございます」
「何を考えているのだ、カビビンガよ」
お願いなどと意外なことを言い出すカビビンガに死神博士は一瞬戸惑った。
「はい。この二人を私専用のカビ少女に改造してはいただけませんでしょうか?」
「カビ少女だと?」
「はい。少女の姿はそのままに私の殺人カビをそのまま扱える能力を与えるのです。そうすればいちいち私の可愛い殺人カビをケースに入れて持ち運ぶ必要がなくなりますわ」
手の甲を口元に当ててくすりと笑うカビビンガ。
自らの娘を改造して欲しいと願い出るまでに思考が変化したことに、死神博士は大いに満足を覚えていた。
「なるほど、それはいい。よかろう。この娘たちをカビ少女に改造する」
すぐに改造の準備を指示する死神博士。
「うふふふ・・・よかったわねぇお前たち。これでお前たちもショッカーの改造人間の仲間入りよ」
「ありがとうございます、カビビンガ様」
「光栄です、カビビンガ様」
二人の少女はうれしそうに微笑んで、カビビンガを見上げていた。

やがて、都内各所に殺人カビが猛威を振るうようになり、そこにはカビの改造人間カビビンガと、それに付き従う青緑色のアイシャドウと口紅をつけ青緑色のレオタードに身を包んだ二人の少女の姿が目撃されるようになる。
ショッカーの「カビ作戦」が始まったのだった。

360:ショッカー代理人 ◆cVfFrJRnOU
08/05/17 03:24:20 v5lXsla50
以上です。
タイトルは「カビビンガ」です。
お目汚し失礼いたしました。

何らかの感想など聞かせていただけるとうれしいです。
それではまたしばらくROMに戻りますね。
ではでは

361:名無しより愛をこめて
08/05/17 03:43:21 p8IgnbmI0
改造シーンの自作絵とかここに貼ってもいいんだろうか

半角二次元板とかのほうが適確な気もするけど・・・

362:蟻蜂フリーク ◆/sIh2XqTo2
08/05/17 04:48:53 VOAzaOp00
>>ショッカー代理人さん
乙です!カビの季節を先取りしたネタ、いいですね~
カビ少女に萌えさせていただきました^^

それにしても「仮面ライダー」っていいですよね~
「バッタの改造人間に滅ぼされた無念、ワシが晴らして差し上げましょうw」
という骸教授のセリフが浮かびました・・・・

約40年後に出現した「悪の組織の後輩」の活躍を描くため、またROMに戻りますw


363:名無しより愛をこめて
08/05/17 05:59:41 cMpV7Dsr0
>>360
超乙。ふたりの娘の改造シーンを詳細に読みたかったぞ
というかそちらをメインに次回はぜひw

>>361
maledictさんのサイトの画像掲示板に貼った上で
そのURLをここで晒すのが、いちばん喜ばれると思うよ
URLリンク(maledict.4.bbs.fc2.com)

364:名無しより愛をこめて
08/05/17 06:20:43 BGKlRryC0
スゴい画像を見つけてしまった
とってもキュートな子が手術台の上に大の字に寝かされ
両手両脚を縛られて改造手術を受けている写真だ
一糸まとわぬ全裸だよ。股間おっぴろげだよ。意識があるよ、こっち見てるよ
URLリンク(skmwin.net)

365:名無しより愛をこめて
08/05/17 08:14:42 C/4m74ao0
>>364
なんつーエロさだ!

366:名無しより愛をこめて
08/05/17 08:34:42 6aejslkyO
>>364
ハァハァ(´Д`;)思わずチンコ勃った

367:maledict ◆sOlCVh8kZw
08/05/17 15:53:50 ZllEgY5Q0
なんか急に用事がたて込んで、火曜あたりまでちゃんと見られないかもしれません。
ダイレン様の短いやつだけ見させて頂きました。2レスだし、こういうのもいいのかも
蟻蜂様とショッカー代理人様のSSはちゃんと読んでから感想書かせて頂きます。
うっかりショッカー代理人様のネタバレを読んでしまってちょっと寂しいです

>>364
こ、これはマジでやばいですね。完全無修正だし…


368:蟻蜂フリーク ◆/sIh2XqTo2
08/05/17 17:17:43 VOAzaOp00
>>maledictさん
相変わらずお粗末な文章で申し訳ございませんが、
隠れテーマ「要素下等動物の意地見せてやりましょう」(『踊る・・・』の青島刑事調でw)
を堪能してください(笑)

369:蟻蜂フリーク ◆/sIh2XqTo2
08/05/17 17:19:03 VOAzaOp00
「要素」は入力ミスです^^;すいません^^;

370:ダイレン
08/05/18 01:37:15 vvYAkJMXO
>ショッカー代理人さん
乙です。なんか久々にヘルマリオンワールドじゃないのも不思議な感じですね
やっぱり定番のショッカーものは読んでると安心感を抱きます。

>蟻蜂フリークさん
羽生さんを12大幹部にするのは構想しましたが、由美ちゃんのお母さん「翔子」なんですよね……(3話1ページ参照)


特撮・エロパロも含め、どの世界でも由美ちゃんの親友ポジはら綾ちゃんや渚ちゃんで決定になってますね
第0話では新キャラ・純が登場してますが、彼は今までの作品にあった健一の○○の独占地位を揺るがすつもりで出しました

371:蟻蜂フリーク ◆/sIh2XqTo2
08/05/18 02:06:56 n7GfL8yA0
>ダイレンさん
羽生さんは君ではなく私が改造するのだが・・・・^^;
しかも改造人間で・・・・なぜに自律機械に?^^;

張り切るのはいいけど、最低限のルールは守ろうぜ!(笑)

372:ダイレン
08/05/18 08:14:31 vvYAkJMXO
いえ……名前が被るのでどうしよ……って事です。誤解をさせてしまってすいません
コードネームが羽生ってだけなら大丈夫ですかね?それともお母さんの名前を変更すればいいんでしょうか?

そういや自律機械人形でしたね。英語にするとアンドロイドでしたっけ?

373:名無しより愛をこめて
08/05/18 08:32:24 xvibErV/O
自律機械人形:オートマトン

アンドロイドは人造人間

374:名無しより愛をこめて
08/05/18 12:54:11 +LYFlT440
蟻蜂フリークさん、羽生さんを何の改造人間にするのかもう決まった?

イメージ的に、蛾の系統の改造人間がいいな

375:名無しより愛をこめて
08/05/18 14:49:19 V/v69cif0
お目汚し失礼。改造シーンの自作絵描いてみた
自分が仮面ライダーZOの改造シーンが好きなもんでそれに近い画になってるけど・・・
URLリンク(bbs4.fc2.com)

376:名無しより愛をこめて
08/05/18 18:09:34 xvibErV/O
>>374
むしろ鳥系でよろ

>>375
ハァハァ(´Д`;)けしからん!もっと頼む

377:蟻蜂フリーク ◆/sIh2XqTo2
08/05/18 18:17:24 n7GfL8yA0
>>374
不発弾処理で避難命令が出たので、綺麗な海の見えるヘルマリオン拠点に行ったら
骸教授が紀伊国屋で買ったという昆虫図鑑を眺めてました。
蛾を希望している人がいるってことを伝えたら、頭抱えてしまいました(笑)

まあ、お楽しみということで。どうなるかはわかりませんが、蛾は出しましょうw
蛾になるのは羽生さんじゃないかも知れないけど、ご了承ください^^;



378:名無しより愛をこめて
08/05/18 18:46:48 3UJlZq8x0
>>375
け、けけけ、けしからーん。ので、もっとお願いしますm(_ _)m
このおねえさんが生まれ変わった所も是非。

379:名無しより愛をこめて
08/05/18 23:53:55 VOEg1MAu0
URLリンク(monfac.sakura.ne.jp)
URLリンク(monfac.sakura.ne.jp)
URLリンク(monfac.sakura.ne.jp)

URLリンク(monfac.sakura.ne.jp)

380:名無しより愛をこめて
08/05/19 00:37:26 9LUDJf1b0
ショッカー代理人さん
乙です。個人的には双子(でいいですよね?)の少女のレオタード姿にハアハアしました。
黒レオタードと青緑レオタード姿の二人のイラストでもあればなあと思ってしまいます。
自分も>>363さん同様、双子の少女の改造シーンが見たいです。番外編で書いていただけたら嬉しいのですが。

381:ダイレン
08/05/19 01:29:31 tBxd6j7ZO
エピソード4:「愛を伝えに」


廃工場で轟音が鳴り響く。一般的知識を持つ者ならば、機材が倒れたか不良が何かしているのだと認知するだろう。
それは今回の件は通じない。そこでは異形の者達が、常識では考えられない戦闘を繰り広げているからだ。
「環!あんた、いい加減にしなよ!」
俊敏な動きにナギサは翻弄されていた。元は運動音痴だった環が、鹿のDNAが混ざったガゼルマリオンと化している。
飛びかかって蹴りを繰り出し、再び距離を取って蹴りを繰り出す。ヒットアンドアウェイによって決定的ダメージを与えられていない。
「裏切り者のエイプマリオン、貴様もここで死ね!」
角を象った槍を取り出し、ナギサへ向ける。勢いに任せて突き出してくる。
矛先がナギサの体を貫いた。しかし、ナギサが炎へと変わって槍を伝ってガゼルマリオンに燃え移っていく。
「嘘………何なのこれ……」
炎がガゼルマリオンを飲み込み、やがて戦闘不能になるまで燃えていた。
ガゼルマリオンが倒れたのを確認すると、ナギサは天井から降りてきた。もちろん、刺された形跡などはない。
「炎の幻、これが紅蓮三式・空蝉よ」
高熱で蜃気楼を生み出し、あたかもそこにいるかのように見せかける技。
威力こそ一式にも劣るが、戦略性・応用性に長けている技と言えるだろう。
「さて、ユミじゃないと戻せないから、あたしはここまでね」

廃工場から少し離れてる河原。ここでは蟹型のシザースマリオンに改造された秀斗がユミに襲いかかっていた。
「このハサミで貴様の翼を切り刻んでやる!」
ここで起きた釣り人の切断死体事件はこいつの仕業なのだ。自我が封じられてるとはいえ、友達を殺人者となっているのはユミの胸を痛ませる。

382:ダイレン
08/05/19 01:30:57 tBxd6j7ZO
スワンサーベルと腕となる鋏の生体武器・シザースパンツァーが刃を擦り合わせる。
火花が散り、両者はその切り結びを何度も繰り返す。位置を変えている内に川の中へと戦地を変える。
シザースマリオンは川に潜り、姿を消した。ユミは周辺を見渡すが本体は愚か気配がない。
「………どこに………!!?」
後ろから水しぶきが上がり、慌ててスワンサーベルで斬る。しかし、手応えは感じられない。
急に気配を感じたが、その時には遅かった。シザースマリオンはその直後に後ろからユミを川へと引きずり込んだ。
「いや……翼が……がばば……」
翼は濡れ、水を飲んでしまってユミは窮地に追い込まれた。シザースパンツァーで胴体わ鋏まれ、キリキリと食い込んでいく。
改造人間としての肉体の強靱さは人間の武器に対しては強力だが、同じ改造人間としては少し硬い皮膚程度。
(このままじゃ真っ二つだわ………)
ユミば泳ぐ゙イメージをして、その形状を変えていく。イルカのような姿に変わり、尾でシザースマリオンを叩いて抜け出した。
「……形態を変えた?そんなのありかよ………」
溶解液を泡に変換したをシザースバブルを吐いてユミを狙うが、イルカの泳ぎを会得した彼女は難なく避ける。
それは超音波によって相手の位置と行動を察知、次いでは予見することで触れられずに泳げるからだ。
「秀斗君、少し痛いけど……」
腕を前に固定し、超音波を一点に凝縮する。それをシザースマリオンに向け、誘導するための光を同時に作り出した。
「オーシャンズパルス!」
放たれた光線はシザースバブルを突き破ってシザースマリオンを川から地上まで運んだ。
「うわあああああ!!」
地面に叩きつけられたシザースマリオンは行動を停止し、ウイングモードへと変わったユミによって秀斗へと戻された。

383:ダイレン
08/05/19 01:32:29 tBxd6j7ZO
直に環も光の羽毛に包まれて元の姿へと戻る。由美と渚も人間の姿へ戻り、2人の救助のために通報した。
数十分後に2人は警察に保護され、その様子を陰から確認した由美達はこっそりと帰路に就いた。
ソルジャードールだった時の記憶は継承されるが、口止めをしといたので大丈夫だとは思えるが。
「しっかし、2人同時なんて……よっぽどあたし達を倒したいんだね」
「そうだね。環ちゃんも秀斗君も無事で何よりだったけど……」
渚から六本木ヒルズに新しい研究所があるのを聞いたが、戦力的にまだまだ不足しているので強行突入は出来ない。
改造された友達を治していくか、仲間にして纏めて救出するか。どちらも難しいことに変わりはないのだが。
「じゃあ、あたし帰るね。また明日」
それぞれが家の方向へ歩み出し、戦士は少女へと変わる。時間は20時36分。前なら風呂に入っていた時間だっただろう。


「ただいま………」
「由美!!。こんなに遅くまでどこ行ってたの!?」
家に入った途端、翔子は入り口まで駆けつけてきた。由美は驚きはしたが、相談していたパターン1を使うこととした。
「連絡網来てないかな?友達がまた2人見つかったんだよ!。警察署に入れないのはわかってたけど、渚ちゃんと話しがはずんちゃって……」
苦し紛れとはいえ、正直に話して母親を気絶させるよりはマシだろう。由美は靴を脱いで上がろうとする。
すると、翔子は由美を抱擁して頭を撫でてくる。とても優しく、温かい手で。
「由美………友達が心配なのはわかるわ……。でも、あなたがまたどこかへ行ってしまうと思ったら……辛いのよ」
うっすらと涙を浮かべている母親を見て、とても申し訳ない気持ちになった。
「ごめんなさい………」

384:ダイレン
08/05/19 01:33:49 tBxd6j7ZO
「由美、疲れたでしょ?お風呂に早く入りなさい。5月はまだ冷えるから、湯冷めしないようにね」
祖母がリビングから出てきて、優しい口調で入浴を勧める。由美も同意して手洗いとうがいをしたらすぐに向かう。

下着を脱ぎ、風呂場へと歩を進める。シャワーで体を少し温めると、ゆっくりと浴槽に浸かっていく。
湯気が立ち上る湯船の中で考えさせられる。当たり前と思っていた家族の自分への愛情の深さを思い知らされる。
(みんな……そうなんだよね。まだ捕まってるみんなだって……)
それぞれに家族がいて、それぞれの温かさがそこにはある。何より安心感が自然に持てるのだ。
(待っててね……あたしが必ず……)


゙バンッ!!゙

拳を壁に突き立てる。紗希はシャワーを浴びながら、今日殺したハリネズミマリオンを思い出していた。
彼女は菱木 雅。中学生の時に自分を慕ってくれていた後輩なのだ。彼女は純真で、ショートヘアーが似合う活発的な子だった。
そう、由美に似ている。雰囲気が似ているのだ。死ぬ間際に言い放った台詞、

゙先輩……どうし………゙

何もわからなかったんだと思う。何も知らなかったんだと思う。そんな子を自分は殺した。それは、助ける気持ちなんて全くない。
紗希は自分の中で葛藤をしている。ディソルバーとしての゙サギ、彼女らの友達としての゙紗希゙。
いくら探しても答えは出ない。紗希はバスルームから出ると窓を開けて涼んだ。
「私………間違ってないよね?」
彼女はしばらくして窓を閉めようとすると気配を感じた。それほど遠くではない。
さっきの戦いが終わってからそれほど経ってはいないが、゙ディソルバー゙として放っておけない。
「そうよ……私は目の前の敵を倒すだけ…………。変身!」
羽が生え始め、体もミツバチを形状へと変わり始める。窓から飛び立ち、住宅地から少し離れた森の中へ急行する。

385:ダイレン
08/05/19 01:35:10 tBxd6j7ZO
森を上空から見下ろしたサキは唖然とした。半径200mに雪………いや、氷が張っていたのだ。
降り立ち、見渡すとそれがわかる。プペロイドが20体程氷漬けにされていたのだ。中には身体を寸断されて凍っている奴も少なくない。
「いったい………何があったの?」
これほどの力を要しているということは戦闘特化タイプだろう。氷の溶解度から時間はそれほど経ってはいないだろう。まだ近くにいるかもしれない。

゙ガルル……゙


「!!?」
野犬か何かの鳴き声と共にサキは体を真横へ移動させた。案の定、今いた場所には白い光線が飛んできて、着弾したらその場は凍ってしまっていた。
「冷気?しかもこんな強力……ハッ!」
見上げると、月に重なって狼のような生き物が飛びかかってきていた。サキはビースティンガーを撃つが、冷気を浴びて崩壊してしまう。
さらに、鋭利な爪を剥き出しにした狼型のソルジャードールと思われる者はサキを狙った。
ソルジャードールは正確にこちらを狙ってくる。月が出てるとは言っても森の中である。光も僅かであるのに位置を捉えるとは手強い。
「………追っ手か?」
「??。何を言っているの?あなたこそ、私を狙って来たんじゃないの?」
男ではあるが、まだまだ太い声の女性に近いくらいに声質が幼い。由美のクラスメートだろうか?
それならば自分が目的ではないだろうが、積極的に攻めて来てもいいはずである。
「俺は会わなくちゃならない子がいるんだ………今、やられるわけには行かない……」
「まさか……洗脳を受けてないで……………!!?」
プペロイドが30体ほど近づいてきている。サキと狼のソルジャードールはお互いに敵意がないのを察したので素早くその場を後にした。

386:ダイレン
08/05/19 01:37:06 tBxd6j7ZO
日曜日となり、由美は渚の家を訪れていた。一刻も早く全員の救出を果たすための作戦会議をするためである。
「一番は、あいつらの基地がわかってるからアジトに殴り込みすることね」
「でも、あたし達だけじゃ勝てないし……」
「由美の言ってた、洗脳されてない蜂のソルジャードールの力を借りるとかは?」
それは考えたが、どうもそういう気にはなれない。もしかしたら、誰か殺してしまうかもしれない。
「……駄目だと思う」
真央の救出以来会ってないが、出来れば説得して協力してもらいたい。とはいえ、彼女は冷えきった心を持っている。
今は1人ずつ救うしかないが、真央や秀斗のように人を殺めてしまう可能性も決して低くない。
「てか、あいつらの目的って何なんだろ?。改造人間なんて生み出して、洗脳までして……」
「アメリカの艦隊を壊滅させたみたいだし、人類を滅ぼす気かな?」
どちらも答えが見つからない中、由美と渚は家を出た。何でも、こんな時だからこそ外でアイスでも食べたいらしい。


商店街に買いに行くと、向かってる方向からフラフラめいた歩き方をしている少年を見つける。
彼は自分達と同年代と思われた。だが、それはやがて確信へと変わった。
「じゅ……純……」
先に気がついたのは渚だった。肩を押さえながら歩いていた風間 純は先に脱出した少女達を見て急いで駆け寄った。
なぜここにいるかよりも、今こうして会えたことを喜んだ。
「純君、大丈夫?」
「由美………渚……良かった……」


純は渚にジュースを奢って貰い、一気に飲み干した。よほど喉が渇いていたのだろう。
家族への連絡は自分がなぜここにいるかの説明をしてからだと、純は頑なに言った。

387:ダイレン
08/05/19 01:38:18 tBxd6j7ZO
―16時間前―


骸はイラついていた。中々ユミとサキ、加えてナギサを倒せないことに。業を煮やした骸は戦闘特化タイプを主流にすることに決めた。
「風間 純、出ろ」
ギロッと睨んだ瞳は決意に満ちている。絶対に思い通りにはならないと。女子の檻からは鈴木 奈々が選ばれていた。
純を見て駆け寄ろうとしたようだったが、プペロイドに止められて骸の下へ連行されていく。
「貴様らをこれから改造する……」
「いや……あたし、あんな化け物になりたくない……助けて!助けて!」
誰もが同じ反応をする。奈々はショートボブの髪が揺れるほどに首を動かして抵抗する。
純はそれを見て辛かったが、我慢するしかない。少なくとも゙その時゙までは。
「やるんじゃ」
マリオンラーヴァが起動し、鋼鉄の触手が奈々の服を裂いて絡め捕る。
「いやアアアァァッッーーーーー!!」
取り込まれた奈々は内部で体を動かそうとするが、強い力に逆らえずになされるがままに体を揺らす。
小さい乳房がピクピクと震え、熱い何かが体を駆け巡り、意識を飛ばされる。
触手が解かれ、マリオンラーヴァが開封されると蔦を生やした少女が現れた。
「ふむ………蔦か……プラントマリオンと名付けよう」
「ありがとうございます。ヘルマリオンのために力を存分に働かせたいと思います」
変わり果てた友人を見て純はビクッとした。これが奈々か、と。かつて4年生の時に告白されたが、断った事がある。
とはいえ、合格組に選ばれるだけあって可愛い部類だ。
「小僧、次は貴様じゃ」
黙ってマリオンラーヴァの前に立つ純。取り込まれたらすぐに口に仕込ませていた石の欠片を吐き出した。


「それで異物があると判断したマリオンラーヴァは、俺を洗脳の前に除外したんだよ」
ということは改造はされてると言うことだろう。なんととんでもない賭けをするものだと思ってしまう。

388:ダイレン
08/05/19 01:40:58 tBxd6j7ZO
「それで……あんたは何に改造されたわけ?」
「俺は………!?。来たぞ……」
商店街の真ん中なので、由美達以外は逃げ出している。プラントマリオンは蔦を伸ばして、3人を狙い、避けると座っていたベンチが破壊された。
「奈々ちゃん?」
「かっ!そんなカスじゃないわ!あたしはプラントマリオン!」
鞭のように振り回す蔦を渚は変身して如意棒に絡ませる。すると、由美と純も力を解放し始める。
「変身!」
「………変身……」
翼を展開するユミと、毛皮を纏ったジュン。ナギサは狼という頼もしい仲間を得て嬉しい気持ちになった。
「ナギサ……そのまま抑えてろよ……ウルフクロー」
爪を引き出し、プラントマリオンを一度引っ掻く。火花が散り、冷気を口に溜める。
「フリーズモーメント!!」
瞬間凍結の名の通り、脚を全て凍らせる。そこへユミがスワンサーベルに光を宿して切りかかってきた。
「シャイニングハーケン!!」
直接斬りつけ、光る斬撃はプラントマリオンを後方まで吹き飛ばした。もちろん、殺さない程度ではある。
苦しそうな表情をしているが、ユミはすぐにRHR能力を使って奈々に戻した。
「……にしても、氷とは便利だな~」
ナギサはウルフマリオンからの変身を解いた純に羨ましいような感じで話しかけてきた。
「お前ら、早く変身を解けよ。人が来るぞ」
そう言われて慌てて元の姿へと戻る。由美と渚は離れた場所へ行き、警察へ通報した。
警察が到着すると、2人は保護された。警官の中には猛もいて、純を確認すると近づいた。
「純君、無事でよかった」
「おじさん……奈々は大丈夫ですか?」
「ああ。病院に搬送したが、身体的に問題はないようだ」
この時お互いに思っていたことは同じだった。奈々は裸体で倒れ、所々に傷を負いながらも布のような服とはいえ着ていた純。
両者の違いはどこから来たか……。一方はそれを疑い、一方はそれを誤魔化そうと模索している。

389:ダイレン
08/05/19 01:44:14 tBxd6j7ZO
「(いや………今は……)お母さんが今来るよ」
ヘルマリオンの事はすでに警察内に知れ渡っているようなので、聴取はすぐに終わったので楽だった。


翌日、詳しい検査をするという奈々は来なかったが純は言った通り登校してきた。
休み時間に彼はクラスのメンバーに今の状況を話した。ここにいるメンバーは無闇に口外はしないし、しようとする者はいない。
とにかく決して絶望的でないこと、希望があるということ、自分達が戦っていくということ。
放課後には3人で作戦会議をする。戦う時はなるべく2人以上で戦うことや、それぞれの特性の活かし方などを語った。
「純君は凄いな……何でもわかってるみたい……」
それはとても説得力に満ちていて、由美も渚も納得以外にない。渚と別れた後、由美は疑問に思っていたことを聞くことにした。
「そういえば、なんで改造を許したの?」
「あそこで脱走するには改造される必要があった。じゃなきゃ捕まるだけだしな……それに、自分の力で護りたかったんだ……」
「え?」
振り向いた純は由美と真っ直ぐに向き合った。夕陽に照らされた彼の顔は格好良く見える。
「お前を俺の力で護りたかったんだよ……」
「あたしを………どうして?」
夕陽のせいか顔が赤く見える。だが、それは本当だと知ることとなる。
「……だから……」
「え?」
「俺は……お前が好きだから……。幼稚園の頃からずっと……」


戦闘シーンを何回もリプレイして視聴しているヘイル。舐めていた飴は既に溶けてなくなっている。
落ち着かない彼女は何となく腕を振り、その風圧で近くにある機材を破壊してしまった。が、特に気にしてはいない。
「光る刀……白い翼……やっぱおもすろい……遊んでみたいなぁ」

つづく

390:蟻蜂フリーク ◆/sIh2XqTo2
08/05/19 02:01:17 eQpF+YsP0
>>ダイレンさん 
乙です。いや~なかなかテンポ良くて、いい感じですね~^^


>>374他「羽生さん」の改造が気になる皆様、羽生さん
おまたせしておりますSS内でオペ始まりました(笑)




391:蟻蜂フリーク ◆/sIh2XqTo2
08/05/19 02:53:26 eQpF+YsP0
>>374他「羽生さん」の改造が気になる皆様、羽生さん
無事手術は成功したと骸教授よりお知らせがありました(笑)

392:名無しより愛をこめて
08/05/19 07:25:05 vy6lAsps0
女性を改造する手術台にはやっぱり、この分娩台のような
開脚ギミックがついてると意味なく嬉しいと思いませんか?
URLリンク(p.pita.st)

393:名無しより愛をこめて
08/05/19 09:56:45 apmGuSb60
井口昇監督による、改造女子高生が忍者ヤクザと戦う
グロスプラッタバカ映画「片腕マシンガール」予告編
テンプラハンドとドリルブラが素敵すぐる
URLリンク(www.youtube.com)

公式サイト
URLリンク(www.spopro.net)

394:名無しより愛をこめて
08/05/19 15:24:39 WSS3ORhI0
>グロスプラッタバカ映画
すげぇジャンルだな
バタリアンみたいな感じ?

395:ダイレン
08/05/19 22:13:37 tBxd6j7ZO
>蟻蜂フリークさん
羽生さん改造はかなり楽しみです。
次回はついにヘイル参戦になる予定なんです。圧倒的戦闘力をどう描くか試行錯誤してます

今はまだまだですが、最終的にはヘイルやヘルマリオンとの決着を描くつもりです。
ヘイルの出生の秘密など蟻蜂フリークさんの定める設定とかございましたらお申し付けください

また、大首領の正体などBeeFさんの残した設定にはないので悩んでるところです

396:名無しより愛をこめて
08/05/19 22:54:43 QjyyeVjt0
ヘルマリオンがマリオネットとギリシャ神話のピグマリオンを
かけたネーミングだというのだから
首領の正体は最強怪人、ピッグ(豚)マリオンでおk

397:蟻蜂フリーク ◆/sIh2XqTo2
08/05/19 23:21:04 eQpF+YsP0
>>ダイレンさん
決着はつけない方がいいと思うよ・・・・たぶん・・・・w
大首領も具体化しないほうがいいと思うよ・・・・・たぶん・・・・w

自分のオリジナルの話じゃないし、あくまでもBeeFさんの世界をお借りしてるわけなので
勝手にヘルマリオンとの決着とかは、さすがにやりすぎなんじゃないかと思います^^;

マリオンヘイルについて

ヘイルについては出生の秘密は書かないでください。
参戦については、勝敗をつけることを一切禁止します。

ヘイルはそうですね・・・・飛べます、そして手のヒラから、DBのカカロット並みに気孔波的なものを打てます。
名前は「ヘイル・レイン」としておきましょうw

口からは「ビグ・ザム」のメガ粒子砲並みの破壊力を持つ、「グリーティング・キャノン」を撃ちますw

そんなとこかな・・・・・w






398:ダイレン
08/05/19 23:35:36 tBxd6j7ZO
>>396
バックベアードみたいな目玉かと予想してました

>蟻蜂フリークさん
そうっすか?。マリオンヘイルについては了解いたしました
ディセイバーの戦いが終わる時=ヘルマリオンの壊滅の構想が初期からあったもんですから……
ヘイルの生死はあまり関係ない最終回を構想してますが、物語上の決着を描けないと辛い部分が………

399:蟻蜂フリーク ◆/sIh2XqTo2
08/05/20 00:00:13 eQpF+YsP0
>>ダイレンさん
そうっすよ(笑)

>物語上の決着を描けないと辛い部分が………

そこが腕の見せ所w 白黒はっきりしないけどスッキリする終わらせ方について
考えてみましょうw これを機会にね^^

>>396
いっしょにウンコ転がそうぜ!って、フンコロガシマリオンが言ってましたw





400:ショッカー代理人 ◆cVfFrJRnOU
08/05/20 00:11:11 Lw7xI2ys0
皆様、こんばんは。
拙い作品でしたが、感想をいただけてとてもうれしかったです。
ありがとうございました。
また何か思い浮かびましたら書いていきたいと思います。
今回の双子少女改造については・・・
気が向きましたらとだけ。

>>ダイレンさん
戦いはこれからだ!!
的な終わらせ方でもいいんじゃないでしょうか。
ヒーロー(ヒロイン)を書いてしまったから決着付けたいという気持ちはわからないでもないですが、
ヘルマリオンを壊滅させてしまったら、もしかしたらあとに続く方が続けなるじゃないですか。
ダイレンさんや蟻蜂フリークさんのように、自分もヘルマリオンネタで書きたいって人がいるかもしれません。
そういう方のためにもヘルマリオンは残しておいてあげるべきだと思います。

401:ショッカー代理人 ◆cVfFrJRnOU
08/05/20 00:12:48 Lw7xI2ys0
あとに続く方が続けなくなるでした。
文字抜けすみません。

402:名無しより愛をこめて
08/05/20 00:19:19 9OLUeRjJ0
ダイレンさん、蟻蜂フリークさん、maledictさん、ショッカー代理人さん
エロパロ板の大阪ドームさんが、皆さんのSSに対して感想を書かれているから
もしもまだ未チェックだったら見てあげてね

403:蟻蜂フリーク ◆/sIh2XqTo2
08/05/20 00:22:24 fOeDoDJM0
>>ショッカー代理人さん
私のダイレクトに言いたいことを言ってくれてあげて、ありがとうございます^^

これがダイレンさんの完全オリジナルならいいんですよ。あくまでも借り物ですから・・・

下宿を勝手に解体しちゃったらダメだって・・・・^^;
大家さんに怒られるよ?(笑)






404:蟻蜂フリーク ◆/sIh2XqTo2
08/05/20 00:28:05 fOeDoDJM0
>>402
そうなんですか?
わざわざ知らせてくれてありがとうございます・・・^^


405:蟻蜂フリーク ◆/sIh2XqTo2
08/05/20 03:48:41 fOeDoDJM0
SS仕上がりました。1万4000字ぐらいでしょうか・・・・

ロシアのシーンが出てくるかと思いますが、脳内BGMにロシア国歌がお勧めです(笑)
あと、読めば分かるかと思いますが、国道のシーンとかも・・・w

↓「ロシア国歌?知らねーよ!」っという方の為に^^;
URLリンク(jp.youtube.com)

>>羽生さん
新しい体の調子はどうですか?(笑) よろしければ感想をカキコしてください^^



406:蟻蜂フリーク ◆/sIh2XqTo2
08/05/20 03:49:56 fOeDoDJM0
「クモと教授  SSヘルマリオンⅢ」
【ロシア 西シベリア サモトロール油田】
「きゃははははは 真っ黒、真っ黒ぉ~~~」
マリオンヘイルにより採掘設備が破壊され、黒煙が上がる・・・・・。
パイプラインもあちこちで寸断させられ修復不可能なくらいの損傷を受けている。
ロシア軍はヘルマリオンの攻撃を事前に察知し、万全の警戒体制をとっていたが、マリオンヘイルの侵入と同時に空軍はSu27、Mig31等の
戦闘機で迎撃に当たるも易々と突破され、油田では陸軍が最新鋭の対空自走砲、2K22ツングースカなどを配備して防空陣地を作り、迎え
撃ったのだが、あっさりと撃破された。



407:蟻蜂フリーク ◆/sIh2XqTo2
08/05/20 03:50:45 fOeDoDJM0
【モスクワ クレムリン(ロシア大統領府)】
「大統領閣下、この攻撃により、我が国の経済は大打撃を受けました。ヘルマリオンに早速、報復してやりましょう。」
「当然だ。」
「アメリカと共同歩調を取りますか?」
「ヤンキーどもは信用できない。独自行動で行く。我がロシアの恐さを連中に見せてやるのだ。チェレンコフ。」
ロシア大統領、モストボイはヘルマリオンを叩き潰すことを心に誓った。
「対外情報庁(SVR)のキリバノフを呼べ。」
大統領府長官、チェレンコフに命じた。SVRはソ連崩壊後に作られた泣く子も黙るKGBの対外情報部門を受け継いだ組織である。
「それと・・・チェレンコフ。陸軍と空軍の油田現地の軍管区司令官を更迭する。すぐに辞令を出しておけ!」
「かしこまりました。閣下。」
「失礼します、閣下。キリバノフです!お呼びでしょうか。」
「よく来た、同志。早速なんだがな・・・・」
モストボイはSVR長官、キリバノフと対応について協議し始めた。



408:蟻蜂フリーク ◆/sIh2XqTo2
08/05/20 03:51:37 fOeDoDJM0
【アジト 研究室】
「ムハハハハハハ、笑いが止まらぬ。そうか、そんなに利益が出たか?カナブンマリオンよ!手柄じゃ。」
ディーリングルームのカナブンマリオンからテレビ電話で報告を受け、骸教授は大喜びしていた。
「ところで、スタグビートルマリオンよ!ロシアとやらの連中は動きそうか?」
自分の傍に控えているスタグビートルマリオンに興味深げに聞いた。
「はい。おそらくSVRが主体となって報復に出るでしょう。我々の流した情報の誘導に乗って・・・・・。」
「ホホホ。そうか。相変わらず陰湿な連中だわい。恐れ入るのぉ・・・・・・」
「スタグビートルマリオンよ、この調子で、しばらくロシアへの工作活動を継続してくれ。それにしても本当に知恵があるのぉ、お前は。」
「了解しました。骸教授様の足元には全く及ばぬ知恵ではございますが。ハハハハ」
スタグビートルマリオンは一礼して部屋を後にした。



409:蟻蜂フリーク ◆/sIh2XqTo2
08/05/20 03:53:53 fOeDoDJM0
【アジト 通路】
「お疲れ様。スタグビートルマリオン」
「やあ、スパイダーマリオン。今日も一段と残酷さがにじみ出てるよ」
「やだぁ・・・・お上手なんだから、スタグビートルマリオンは・・・・・」
スパイダーマリオンは顔を紅潮させた。
「なんだ?また赤くなって。エネルギーが欲しくなったのか?」
スパイダーマリオンはうなずいた。
俗にいう立ちバックで2体はドッキングした。
「ハァ・・ウゥゥゥゥ・・・・・・・・・」
スパイダーマリオンが喘ぎ声を漏らし始めた。
「キャハハハハ!およ?蜘蛛ちゃん、クワガタくん、合体中?」
2体は『補給中』にロシアから戻ったマリオンヘイルとバッタリ出会ってしまった。
「は・・はぁ・・・い・・・・・お疲れ様でございます・・・・・マリオン・・・・ヘイルさま・・・・・こんな体勢で・・・・ハァ・・・・申し訳ご・・・いませ・・ん」
「こ、これはマリオンヘイル様!失礼しました!このような体勢で・・・・・・」
スパイダーマリオンは悶えながら、そしてスタグビートルマリオンは慌ててモノを引き抜こうとしながら挨拶とした。
「およ?そのまんまでもいいよぉ・・・・・」
マリオンヘイルは大らかな性格のため体勢のことなど全く気にしていなかった。
「きゃはは、いつも仲良しさんだね。ちゃば~~い」
「ホホホ。本当、仲がよろしいですこと。スタグビートルマリオンさん、私もあとで補給してもらおうかしら。」
教育・世話係のセンチピードマリオンがマリオンヘイルの後に続く。
「アァァァ・・・・イクゥ~~~~」
スパイダーマリオンは口から大量の糸吐き、股間からは粘り気のある液体を漏らしながらイッた。



410:蟻蜂フリーク ◆/sIh2XqTo2
08/05/20 04:13:48 fOeDoDJM0
【アジト 訓練場】
「きゃはははははははははは、待て待て待てぇ!」
「ヒィ~~~~」
いつものごとく遠征からもどったマリオンヘイルはフンコロガシマリオンを追い回して体のバランスを調整する。
「フンコロガシ!今度、捕まったらムチ打ち30発よ。簡単に捕まったら、マリオンヘイル様の調整にならないでしょ!ねぇ、そういえば、
聞いたんだけど、改造前はT大の学生だったそうじゃない?同じT大でもスタグビートルマリオンさんとは大違いね・・・・・」
いかにも見下した顔でフンコロガシマリオンに言い放った。
「アヒィ~~~! ムチ打ちいやだぁ~~」
ビビって泣きながら汚物を高速で転がすフンコロガシマリオン。
「ほい、タッチ!捕まえたぁ~ きゃははははは」
「のわぁ~~~~~!お許しください、お許しください!」
フンコロガシマリオンは泣きながら許しを乞う。
「このクズが!妹は立派なのにね。どうして兄妹でこんなにも違うのかしら?」
容赦なくセンチピードマリオンはムチを浴びせた。さらに蹴りも入れる。
「マリオンヘイル様、『ドールビタンD』でございます・・・・先ほどは失礼いたしました。」
スパイダーマリオンが訓練場にやってきた。そして専用のエネルギー減が入った哺乳瓶を手渡す。
「わーい! ありがとう!クモちゃん」
「あ、センチピードマリオン、エネルギー補給に行くのなら今のうちですよ。スタグビートルマリオンはこの後、忙しくなるようですから。」
その間、マリオンヘイル様のご面倒は私が見てますので。」
「あら。よろしいの?ではお言葉に甘えて・・・・・」
センチピードマリオンはうれしそうに訓練場から出て行った。見送るスパイダーマリオンには少し嫉妬心が芽生えた。
(・・・・・できることならスタグビートルマリオンを独占したいなぁ・・・・)
「いってらっしゃーい!ムカデちゃん。きゃはは」
マリオンヘイルは無邪気な笑顔で送り出した。


411:蟻蜂フリーク ◆/sIh2XqTo2
08/05/20 04:15:14 fOeDoDJM0
「ねぇねぇ、クモちゃん。」
「はい、なんでしょうか?マリオンヘイル様」
「クモちゃんは下等動物のとき何してたの?」
「はい。高校生でした。手芸部にいたんですよ。」
「へぇ~。ねえねえ、高校って何?手芸部って何?」
スパイダーマリオンは質問攻めにも嫌な顔をせず、丁寧に説明した。
「ふ~ん。そっか~。で、クラゲちゃんに連れてきてもらったんだね」
「はい。その通りでございます。マリオンヘイル様。」
「80人連れてきていただいたうち、ジェリーマリオンを除くと、私が最初にソルジャードールにしていただいたんですよ。」
「へえ~ 確か、その後で逃げたミツバチちゃん、連れ戻しに行ったんだっけ?」
「はい・・・・あの時は酷い目に遭いました・・・・」
スパイダーマリオンはそのときの話を始めた。




412:蟻蜂フリーク ◆/sIh2XqTo2
08/05/20 04:16:28 fOeDoDJM0
【伊豆諸島M島 とある漁村】
「ビースラッシャー!」
ビーマリオンの放った刃が、腹部の左側を切り裂いた。
「・・・・うぅぅぅ」
即死は免れたが、スパイダーマリオンは行動不能となり、地面にバッタリ倒れこんだ。
裂けた腹部から大量の緑色の血が流れ出している。
「ごめんね・・・・小夜子・・・・・」
ビーマリオンは飛び去っていった。
(・・・待て・・・ビー・・・・・マリ・・・・・・・・オ・・・・・・・・・・・・・・ン・・・・・・)

「・・・!」「・・・・???」「・・・・」
スパイダーマリオンに操られていた漁村の人たちが正気に戻った。
「・・俺、なにしてたんだ?」
駐在所の警察官、山田巡査も正気に戻ると、その右手にはホルスターから抜かれたピストルが握られているのに気がついた。
「お~~い、みんなぁ~、こりゃ~なんだ!?」
砂浜で高校生ぐらいの女の子にも見える奇妙な生き物が倒れていると、島民が騒いでいた。
山田巡査は騒ぎに気づき、砂浜に駆けつけた。
「なんじゃこりゃ・・・・まるでクモ人間だ・・・」
山田巡査は驚いた。怪我をして意識を失っているようだ。血液と思われる緑色の液体が大量に裂けた左側の腹から出ている。
「こりゃぁ・・・・三宅島の本署に連絡した方が良さそうだな・・・・・・・」
島民たちに決して「蜘蛛人間」に触れないように言って、慌てて駐在所まで自転車をこいで行った。



413:蟻蜂フリーク ◆/sIh2XqTo2
08/05/20 04:18:01 fOeDoDJM0
翌日に本署から応援が来るまで、島民たちは簡単な見張り小屋を建てて、スパイダーマリオンを交代で見張っていた。
「しょうがないわね・・・・スパイダーマリオンってば・・・パピオ・ヒプノウシス・・・」
救出に来たパピオパリオンが羽を静かに羽ばたかせ、催眠効果のある鱗粉を巻き散らす。
「・・・なんか・・・・眠い・・・ぞ・・・・」
バタバタと見張り小屋の島民が倒れ、深い眠りに就いてしまった。
ビーマリオンを捕獲するためM島に送り込まれたスパイダーマリオンであったが、逆に返り討ちに遭い瀕死の重傷を負ってしまった。
そして、あまりにも帰還が遅かったので骸教授が心配してパピオマリオンを偵察に遣したのであった。
「ビーマリオンは取り逃したみたいね・・・・とりあえずアジトに帰りましょう。スパイダーマリオン・・・・」
パピオマリオンはスパイダーマリオンを抱え、アジトへと飛び去った。

翌日、「蜘蛛人間」が逃走したと大騒ぎになったところに、三宅島の本署から係員が来たが、事件性も見受けられなかったので引き上げて
行った。しかし、数日後、島には本土から様々な人間がやってきた。本庁の公安の人間が島民からその一件について聴取したり、自衛隊の
中央特殊武器防護隊の人間が血液がぶちまけられていたあたりの砂を採取したりしていった。島の近くでは頻繁に海上自衛隊の哨戒機や
米軍機、もしくは艦艇が目撃されるようになった。
また、島の中学生がデジタルカメラで撮影した蜘蛛人間の画像がネット上で公開され、一部の人々の間で話題となっていた。



414:蟻蜂フリーク ◆/sIh2XqTo2
08/05/20 04:20:17 fOeDoDJM0
【アジト】
歩けるまでに回復したスパイダーマリオンが骸教授の前で跪く。
「申し訳ございません!骸教授様!ビーマリオンを取り逃してしまいました・・・・・・・」
「ホッホッホ、スパイダーマリオンよ、無事に戻って何よりじゃ。」
骸教授はスパイダーマリオンが任務に失敗したことを咎めるつもりは全くないようであった。
「スパイダーマリオンよ、お前には新しい任務を与えよう。下等動物の素材確保じゃ。16~25歳ぐらいのメスをターゲットに捕獲しろ。
とくに容姿が優れた者をじゃ。汚名返上に励むがよかろう。ホッホッホ。」
「ありがとうございます!骸教授様・・・・」
やがてスパイダーマリオンは素材の捕獲で名を上げ、骸教授の絶大な信頼を得るようになった。




415:蟻蜂フリーク ◆/sIh2XqTo2
08/05/20 04:36:46 fOeDoDJM0
スパイダーマリオンは話を終えると、ふとマリオンヘイルの方を向いた。
「ふ~ん、酷い目に遭ったんだね・・・クモちゃん、かわいそう・・・・・」
マリオンヘイルが泣きそうになっていた。彼女は泣き出すと超強力破壊音波を出す。
(た、大変・・・・せっかくの新アジトが崩壊してしまう・・・・・・・)
「マ、マリオンヘイル様、昔のことですので・・・・ほら、私はピンピンしてますよ・・・ほらこの通り・・・・」
口から糸を吐いて見せた。
「あ、糸、糸ぉ~~~きゃはは」
マリオンヘイルは機嫌がなおったらしく、小さい子供が父親の吐くタバコの煙で遊ぶかのように、糸を切ったり、手繰ったりして遊び出した。
(ふぅ・・・・・危ないところだった・・・・・)
スパイダーマリオンは笑顔を見せたが、どこか引きつっていた。
「すぱいだーまりおん様!骸教授様カラ出撃命令ガ出マシタ。」
スパイダーマリオン専属のプペロイド4体がスパイダーマリオンを呼びに来た。
「わかりました。ご苦労様。あ、そうだ、04号、センチピードマリオンをここへ呼び戻しなさい。スタグビートルマリオンにエネルギー補給を
受けてるところだと思うから。それと、ちゃんと私が骸教授様の出撃命令で彼女の代役が出来なくなったという旨も必ず伝えるように。
(誰かさんみたいに関係がこじれるの嫌だから・・・・・)」
「ハイ。カシコマリマシタ。すぱいだーまりおん様!」
スパイダーマリオンは他のソルジャードールとの関係には、人一倍気を使っていた。
「マリオンヘイル様、少しの間、お一人で、御辛抱してください。」
「うん、フンコロガシと遊んでる! クモちゃん、ちゃば~~い!」
「01号、任務を言いなさい!」
「ハイ。骸教授様カラノ命令ハ・・・・・・」
スパイダーマリオン部隊は01号のレクチャーを受けながら任務へと向かった。



416:蟻蜂フリーク ◆/sIh2XqTo2
08/05/20 04:39:06 fOeDoDJM0
【アジト 研究室】
骸教授は研究室から午後の海辺の景色を眺めていた。
が、空は生憎の曇天模様、やがて雨がポツポツと降り出してきた。
(ううむ・・・・なにやら不快な気分じゃ・・・・読書でもするか・・・・)
しかし、読書もイマイチ気分が乗らない・・・そして、最近の幹部会議の記憶が蘇ってきた。

「イレギュラーコード02をウイングマリオンとする。危険度AA、排除対象とする。これはDr.骸、あなたに任せます」
「ワシが?」
「あなたの指揮下で出たんですよ?ツケは取っていただけますよね?」
・・・・・取っていただけますよね?・・・・・取っていただけますよね?・・・・・取っていただけますよね?・・・・・取っていただけますよね?
(ぬぅあぁぁぁぁぁぁ~~~~~~~~)
思い出す度に腹が立つ。骸教授は手にしていた本を思わず放り投げてしまった。
骸教授は執念深かった。(ドールメイ・・・・・こしゃくなヤツだわい。)(あの慇懃無礼な態度・・・・許さん。殺す・・・・・)
(ワシは組織のナンバー2じゃぞ!たかが12人衆の末端幹部の分際で・・・・うぬぬぬぬ・・・・・・・)
骸教授の心の中に色々な思いが駆け巡った。「思い出し怒り」は最高潮に達していた。
(・・・そうじゃ。下等動物どもにやらせよう。コイツを油田攻撃の首謀者ということにして、ロシア人とかいう輩にのぉ・・・ホッホッホ)
骸教授はまた新たな謀略を考えついた。
「スタグビートルマリオンはおるか?・・・うむ。至急、研究室まで来るように言え!」
骸教授はテレビ電話で応対したプペロイドに命じた。
「お呼びでしょうか?骸教授様。」
呼びつけてから2分ほどで、スタグビートルマリオンが研究室にやってきた。
「うむ。早速じゃがな、スタグビートルマリオンよ・・・・」
密談が始まった。



417:蟻蜂フリーク ◆/sIh2XqTo2
08/05/20 04:40:54 fOeDoDJM0
【在日ロシア大使館】
「ドールメイさん。本日はありがとうございました。ロシア政府はヘルマリオンにどんな協力でもいたします。首領様によろしくお伝えください。」
ロシア大使館の主要メンバーがヘルマリオンの『12人衆』と呼ばれる幹部の1人と会食していた。
「ええ、わかりましたよ。貴国は賢い選択をしましたよ。我々にはもう1国、配下となった国あるのですが、どうも信用できないのです。あの国
は(筆者自粛)で(筆者自粛)ですしね。自国の少数民族を狩り放題にすることを認めるとか条件を提示してきて、向こうから、尻尾を振って
来たのです。全く、彼らは何を考えてるのか分からないですねぇ。人口の大多数を占める(筆者自粛)はきっと(筆者自粛)なのでしょうね。
「その点、貴国は信頼が置けます。世界征服の後も貴国には、ある程度の自治権と他の地域への優越権を認めて差し上げましょう。
私に任せて下さい。」
「それはありがたいですな。ぜひお願いしますよ。我が国自慢の酒、ウォッカです。どんどん召し上がってください。」
大使館員の1人がウォッカを勧める。

【東京近郊C県 国道XX号線】
ロシア大使館から出てきた黒いリムジンは東のアジトに向かっていた。中にはドールメイが何体かの護衛のプペロイドとともに乗っている。
リムジンの中で、ドールメイは得意満面の表情を浮かべていた。
(大収穫だ。早く首領様に報告しなくては。ロシアが屈服した。首領様もお喜びになることでしょう。ふふふ)

左側に小高い丘がある地点にさしかかった時だった。
ビクン、ビクン・・・・・・カタカタカタ・・・・・・
ドールメイは突如、自分の体が震え出し、おかしくなるのを感じた。
(おや?私は・・・・・・どう・・したんで・・・・・・しょ・・・う・・・・・)
(ワタ・・・ワタ・・ワ・・・・・・・・・・・・・・・タ・・・シ・・・・・・・・・ハ・・・・・)
ドールメイは機能を停止した。



418:蟻蜂フリーク ◆/sIh2XqTo2
08/05/20 04:42:25 fOeDoDJM0
ロシア大使館を監視していた警視庁公安部外事1課(監視対象;ロシアなど欧州の旧共産圏諸国の大使館等)の実働部隊の1つ、「工藤班」
が長田たち3課の応援に回され、ロシア大使館で密会したヘルマリオン幹部、ドールメイとロシアの関係についての情報分析と行動監視を
行っていた。工藤班とさらに応援に駆けつけたC県警警備部外事課の実働部隊がリムジンと距離を置いて尾行中、事件は起きた。
ボォーーーーーーン!
車内のドールメイが爆発し、リムジンは片側2車線の左側車線を走行していたライトバンや後方を走っていた乗用車や巻き込み、
木っ端微塵に吹っ飛んだ。
「油田の報復か・・・・・ロシアめ・・・・・やりやがったか・・・・・・」
尾行していた工藤班の班員が呟いた。

【アジト 研究室】
「うむ。わかったぞ。死んだのじゃな。スパイダーマリオン、帰還していいぞ。ご苦労じゃったな。」
スパイダーマリオンからの報告を聞いた後、骸教授の高笑いが部屋中に響いた。
「ハハハハハハ、こんなに見事に決まるものかの?愉快、愉快じゃ・・・・見事なプランじゃ。スタグビートルマリオンよ。褒めてつかわすぞ。」
「ありがたき幸せでございます。」
「液体爆弾とはよく考えたものじゃのぉ・・・・」
「はい。特殊な超音波に反応して爆発する仕掛けにございます。こちらの工作員を使ってロシア人どもに渡しておきました。SVRは見事に
やってくれましたよ。会食でウォッカあたりに液体爆弾を混ぜたのでしょうね。ちなみに彼らには『毒薬』と言ってあります。」
「ホッホッホ、まさに情報は使いようによっては有効な武器に変わるのぉ・・・・・」



419:蟻蜂フリーク ◆/sIh2XqTo2
08/05/20 04:43:17 fOeDoDJM0
【東京近郊C県  国道XX号線沿い某所】
スパイダーマリオン直属のプペロイドが国道を真下に見おろす小高い丘で、そこに設置した奇妙な装置から超音波を国道に向け発信した。
そして、そこを通りがかったターゲットのリムジンが爆発した。
「ロシアと通じていたとは、幹部なのに最低ね。許せない・・・死んで当然よ。」
スパイダーマリオンは骸教授に任務完了の報告をした。『裏切り者の抹殺』を命令されていたのだった。
「さあ、撤収するわよ。」
プペロイドたちに命令した直後のことだった。
「翔子・・・・・・」
「朋恵、逃げよう!」
2人は農道を引き返して逃げようとした。
運悪く、自転車に乗った学校帰りの女子高生が2人がスパイダーマリオンたちと遭遇してしまった。
「見られたからには仕方ないわね。フフフ、殺してあげようかと思ったけど、気が変わったわ。
予定外だけど、仲間にしてあげる。フフフ」
「きゃぁ~~~~~」
2人はスパイダーマリオンの吐き出した糸に絡め取られてしまった。
「お前たち、そいつらもアジトに連れて行きなさい。」
「ハイ すぱいだーまりおんサマ!」
プペロイドが身動きができなくなった2人を抱えた。
「助けてぇ~」
2人は大声を出して、助けを求めたが、無駄だった。
野菜畑の真ん中で、逃げ込めそうな近くの民家まで300mぐらいだったが、その距離はスパイダーマリオンから逃げ切るのには遠すぎた。
仮に逃げ切れたところで犠牲者が増えるだけだったであろう。
現場には、空しく自転車と鞄が残されていた。



420:蟻蜂フリーク ◆/sIh2XqTo2
08/05/20 04:55:40 fOeDoDJM0
【アジト マリオンラーヴァ】
「ホッホッホ。スパイダーマリオン、任務を完璧にこなした上に土産まで持ってくるとは、本当に働き者じゃのぉ。」
「ありがとうございます。骸教授様」
スパイダーマリオンが恐縮する。
「ねぇねぇ、名前はなんていうの?てへへ」
マリオンヘイルが檻の中の女子高生2人に名前を尋ねた。
「ひっ・・・・・」
恐くて2人とも話すことができなかった。
「この下等動物ども!マリオンヘイル様がお尋ねになってるのです!しっかり答えなさい!」
センチピードマリオンがムチで床を叩いて言った。
「え、江上・・・朋恵です・・・・・」
「羽生・・・翔子です・・・・」
2人は怯えながら、恐る恐る小さな声で名前を言った。
「キャハハハハ、変な名前!」
マリオンヘイルは無邪気に笑った。
「フン!いかにも下等動物って名前ね。声が小さくて聞こえにくかったけど、もしかして恥ずかしい名前って自覚があって堂々と名乗れない
のかしら? アハハハハハハハハ」
センチピードマリオン高笑いが響く。
「どちらにしようかのぉ・・・・・・。そこのプペロイド、適当に連れて来い。」
「了解シマシタ! 骸教授サマ・・・・」
「い、いやぁ~~何するの! いやだぁ!」
江上朋恵を先に改造するようだ。2体のプペロイドが朋恵を、彼女の制服や下着を剥ぎ取りながら引きずって、手術台に載せる。
「いや~~~助けて・・・・翔子ぉ~~~~!」
泣き叫びながらマリオンラーヴァに飲み込まれていった。
「あなた、羽生翔子さんとか言ったわね?よく見てなさい。お友達が先に『仲間』になるのを。フフフ」
スパイダーマリオンが檻の外から薄ら笑いを浮かべて言った。
翔子が怯えながら見つめる中で、朋恵は触手に巻きつかれながら、得体の知れない物体の溶液の中で昆虫人間のような姿に変わって
いった。
(朋恵・・・・・・)




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