おにゃのこが改造されるシーン素体10人目at SFX
おにゃのこが改造されるシーン素体10人目 - 暇つぶし2ch250:蟻蜂フリーク ◆/sIh2XqTo2
08/05/13 20:53:16 E9yOh4oE0
再度、連続カキコ、すいません・・・・

ヘイルちゃんの詳細忘れてましたね・・・・^^;
マリオンヘイルはアOレちゃんとフランス人形を合成した小学校4,5年生ぐらいの
少女。そんなイメージで書いてます。

幹部といえば幹部・・・・最終兵器といえば最終兵器・・・・
無邪気に組織内で身分など気にせず振舞っています。






251:ダイレン
08/05/13 20:56:37 vTKWqvo5O
>蟻蜂フリークさん
僕は蟻蜂フリークさんの劇中に出てきた都市以外は破壊されてないですよ
一応蟻蜂フリークさんの作品の未来なわけですし(逆に言えば、蟻蜂フリークさんが都市破壊をするほどディセイバー・ユミの世界も滅茶滅茶に)
ノートにクラス全員の名前を考えて起きました。僕もノリで書く方ですから……(講義の間もこればかり考えてました)

蟻蜂フリークさんの時間軸は由美ちゃんはウイングマリオンになってるんですか?それとも、まだ収容所ですか?

252:蟻蜂フリーク ◆/sIh2XqTo2
08/05/13 21:04:00 E9yOh4oE0
>ダイレンさん
ええとですね~ 今のSSはダイレンさんの救出シーンにつながるしくみに
してるんですよね。実は(笑)

講義はしっかり聴いてね(笑)
私のようなアホな大人になりますので・・・・・

253:ダイレン
08/05/13 23:02:22 vTKWqvo5O
>>蟻蜂フリークさん
ヘイルの詳細ありがとうございます。SSも繋げてくれるなんて嬉しいです
「あの日」を紗希視点で見た感じですかね



第3話過ぎたら多分急ぎ展開になるやもしれません

254:maledict ◆sOlCVh8kZw
08/05/14 01:54:35 LINvr1Lc0
>蟻蜂様
>>241>>222>>224の間違いでした。同じ蟻蜂様ですが。
>>246
ヘルマリオンの話、すぐに書く予定はなさそうなんですが、書くならば
ローズマリオンが出てくる「第二話」と、あとは、これはずっと後でしょうが、
やっぱり「最終回」ですかね。あとは、単発もののアイデアとして、
かなり凶悪なワンシーンものを思いついたんですが、そっちはどうなるか…。

そういえば蟻蜂様、文章の「勢い」から、きっと二十代だと思ってました。わからないものですね。
ちなみに自分もオサーンですが(>>245蜂女スレ206様)、まあ、トシの話は言わぬが花ということで…

>ダイレン様
>>248 いやいや、自分も「最後までいった」とは思ってません。
ただ、胸が出ていた以上、途中までは行ったのかなと。
(「微睡む」がそういう婉曲表現だということ自体、実は認識してませんでした。
なんか恍惚として抱き合い、とろんとしているだけの状態を思い浮かべてました)

紗希のキャラが、自分のイメージにかなり近いのがちょっと驚きました
多分自分はここまできつくは書かないにしても、由美ちゃんみたいなキャラが
出たらこんな感じだろうなというのは納得です。
自分も書いておいてなんなんですが、紗希ちゃんはヒロインの筈なのに、
脇役か、(ヘルマリオン視点の話の)敵役か、ダイレン様の話のように「憎まれ役」か、
あるいはたまに主役になってもひどい目にばかり遭うなど(拙作「砕かれた思い出」)、
なんだか気の毒です………が、なぜか紗希ちゃんがひどい目に遭う話は考えやすいです。
ヘルマリオンとの長い戦いが終わり、由美ちゃんがRHRの力を自分自身に使った後で
「あ、うっかり紗希さんを人間に戻すのを忘れていた!」とか(涙

255:名無しより愛をこめて
08/05/14 23:17:23 f1zq8UBa0
別に宣伝する気はないんだが、面白いのを見つけたので貼っておく
GIGAやギャロップなどのレーベルで陵辱系ヒロピン特撮AVを撮ってる坂田徹監督のブログだが、
昨年秋に「ただ今改造手術をテーマにAVを撮ってる」とカキコがあったとたん、次のようなコメントが
書き込まれていてワロタ。この中にゼッタイ、このスレの住人おるやろ!

URLリンク(blog.livedoor.jp)
> 改造人間というテーマであれば当然、改造手術が行われますよね? でも、開腹手術は色気がなさすぎます。
> 今回のギャロップの作風に合うかどうかはしれませんが、
> 「月室」にカテーテルやマニピュレーターを挿入して改造手術を行うなんてどうですか?
> そして、キャラはスーパージャスティオンを希望。
> 戦闘シーンやピンチシーンもふんだんに入れて欲しいとお願いします。
> Posted by ヘン隊員. at 2007年09月15日 23:43
>
> やはり改造手術シーンの充実を望みます。
> ほとんどの時間をこれに費やしていただきたいくらいです。
> 以前リリースの「改造人間」では股間に布をかけて
> いましたが、そうではなく股間の改造シーンこそをよりエロティックに見せていただきたいです。
>
> 抵抗するヒロインをパンティ1枚にして手術台に大股開きで固定。白いパンティに穴を開け(大きすぎない程度に)
> そこに改造用のノズルを無理矢理挿入。
> オペの苦痛と快楽にもがくヒロイン…
> 白いパンティは注入された液体と愛液とでシミが出来ていく…(液体は透明なローション系で)
> ”穴パン”状態ならモザイクの必要なく楽しめるかと思います。
>
> そして改造手術後は股間が妖しく発光し、淫乱モードになったヒロインはたまらずパンティの穴越しに自分の指や
> バイブを突っ込みオナニーを始める…
> そしてアクメに達すると警報音が鳴るようになってしまうなんてどうでしょう?
> Posted by でへでへ at 2007年09月16日 05:00

256:名無しより愛をこめて
08/05/14 23:17:59 f1zq8UBa0
URLリンク(blog.livedoor.jp)
> ギャロップの改造人間同様、ギガでの改造ヒロイン楽しみにしています。
> 改造やサイボーグというのは、特撮の中でこれから一番発展見込み(改造シーンなど)のある確立されたジャンル
> だと思います。これからも色んな形での改造シーンを期待します。
> 一つ提案です。改造シーンは、布をかけず大の字でCGを駆使して改造するのはいかがでしょうか?
> 嫌がるヒロインを、手術台に固定するシーンも見てみたいです。
> Posted by 海田 at 2007年09月18日 12:27
>
> いいですね。嫌がるヒロインを手術台に固定するシーン。
> 改造と言ってもメカ改造だけじゃない卑猥なのも同人には多いし、ネットを検索したら一杯出てくるので
> 参考になるシチュエーションは多いと思います。
> Posted by もこらー at 2007年09月20日 11:06

257:名無しより愛をこめて
08/05/14 23:44:56 bYvrZjfV0
>>256
>改造と言ってもメカ改造だけじゃない卑猥なのも同人には多いし

わかります。BeeFさんのことですねw

258:ダイレン
08/05/15 00:02:35 kNzvwtFXO
第3話95%出来上がってます。近い内に投下できると思うんですが……

すっかりダイレンジャーでの2人を無視しだダイレン流由美ちゃん&健一゙ですね……
脳内では先述の通り、漫画やアニメで再生されちゃってます……(ここ一応特撮板なんですけどね)
声優に詳しい方がいたら聞きだいんですけど、これではどんな人が合いますかね?
イベント行くような追っかけではないんですが、オタっていうか声フェチなもんですかね……僕は

259:名無しより愛をこめて
08/05/15 00:36:08 SJ2olYK60
>>255-257
一連のおにゃのこ改造スレからは多くのSS職人さんが生まれたけれど、
BeeFさんの改造ノズルのような、セックスまがいの改造法を採用してる職人さんは
関連スレを入れても実はそんなに多くないんだよね。後はわりかし正統派が多い。

はっきり「改造ノズル」と銘打って書かれてるのは、BeeFさん、ちゃんぷるうさん、
あと蜂女スレの230さんと295さんくらいだし、
(アダルト板の東京ドームさんと大阪ドームさん、あと舞方雅人さんとこのブログで
 ショッカーゆうさんという方も「改造ノズル」と名指しで書かれてるかど)
セックスイコール改造のかたちになっているのも、九条蘭子さんと、舞方雅人さんの作品を
自サイトで改変された沙弥香さんくらいだと思う。
女性器の改造をメインに据え、性的な快感を伴う改造シーンを描写されているのも、
maledictさんと蟻蜂フリークさん、アンヌ改造しまくり計画さんくらいじゃないのかな?

って、あれ? こうやって見るとやっぱりけっこう多いのか?www

260:名無しより愛をこめて
08/05/15 00:48:58 2k7xEsx70
改造手段よりも、改造されていく変質していく身心の描写をこだわって欲しい。
シチュにこだわる人は多いけど、創造力をかき立てる記述が弱い。

261:ダイレン
08/05/15 02:04:57 OIlA8RsNO
「道の行き先」


赤いランドセルに由美は教科書を入れていく。久々の登校である。臨時学級と言うべきか、義務教育である以上登校は避けれない。
「由美、もっと休んでていいのよ?」
「大丈夫。あたし、もう2週間以上学校行ってないから、楽しみだし」
「でも……」
愛情ゆえに母は自分を止めているのだろう。しかし、電話したら真紀や美由紀も来るらしいので行くことに決めたのだ。
「せめてお母さんも……」
一緒に行くと言おうとしたら、父親である猛(タケル)が部屋に入ってきた。
「猛さん……」
「翔子、俺が途中まで一緒に行くから」
警視庁に勤めていて、柔道をしている父にはその言葉に自信を持っているようだった。


翔子は心配そうに2人を見つめて送り出す。由美は父と2人でこうして歩くのが久々なので、少し緊張してしまっている。
いつもなら車で出勤するのに、今日は近くに部下を呼んでそのまま出勤するらしい。
「……由美……」
「え?」
「お前が帰ってきた夜……俺は立ち会ってやれなかった……ごめんな」
「いいよ……お父さん、忙かったんでしょ?」
きっと自分達の事件の事についてだろうし、現在対応に追われてるのは間違いないだろう。
「俺は今、この事件の捜査に関わってる」
「!!?」
同じ関与であっても、捜査本部の一員だったとは思わなかった。由美は父に秘密している事の重大さを急に感じ始めた。
もし、父がヘルマリオンに近づきすぎたら?捜査の段階で襲われたら?
「………お父さん、あの……あのね……」
「心配するな」
頭をポンと叩かれ、久々にその大きい手の平で撫でられる。
「お前の友達はきっと、お父さんが助け出すから。……あとは1人で行けるな」
由美はそう言って歩いていく猛を心配そうに見つめていた。無事を祈りながら、学校へと足を進める。

262:ダイレン
08/05/15 02:06:12 OIlA8RsNO
猛はそのまま部下の迎えで警視庁へと向かう。車の中で、部下の持ってきた資料を目を凝らして見る。
「娘さんはどうですか?」
「今のところ問題ない。だが、相当怖い思いをしたのは間違いないんだ」
彼の見ている資料には骸教授の3年前の写真やわかっている部分のヘルマリオンについての最新情報について記されている。
「俺には信じられません………ソルジャードールなどという改造人間が人を襲うなんて……」
「38年前のショッカーから始まり、クライシス帝国というのが日本に襲来した事がある……いずれも仮面ライダーが解決したがな」
かつて世界を震撼させ、人知れず戦った仮面ライダーに壊滅させられた組織。その脅威を沸騰させるヘルマリオンという組織。
「これは感なんだが………とんでもない事が起きる気がする。俺達は、それに立ち向かわざるを得なくなるだろう」
「はぁ………」
「(……由美……)。公安の長田さんに連絡を取れ。あの人ならもっと情報を持ってるはずだからな」



学校の校門には少数ながらマスコミが押し寄せてきた。その中心には真紀と修一がいて、先生達が必死に校内にいれようとしている。
由美は足を止めたが、すぐ2人に会いたいと思って戸惑ってしまう。すると、由美に気づいたマスコミが押し掛けてきた。
「君、5年3組の子だよね?」
「いったい何があったのかな?」
四方から質問が飛び交う。由美は突破口をどうにか見つけて校門に辿り着く。
そこには由美より少し短いショートカットの髪型の真紀と、学級委員の修一が待っていた。
「おはよう」
「由美ちゃん……おはよう」

263:規制入ったらすいません
08/05/15 02:07:25 OIlA8RsNO
美由紀は電話で来るとは言っていたが、やはり家から出る勇気がなかったらしい。
教室には既に涼太など数人がいたが、美由紀も含めて5人は
「それにしても、何だったのかな?」
不合格組になったのは胸がないからだろうか。真紀は結構可愛い部類に入り、男子からの人気もあるほうなのだが。
「僕らを何かの実験に使おうとしてたんだろ。しかも、勝は化け物にされちまったし」
「そうそう。あたしと涼太君は食べられちゃったのよね」
一見明るく振る舞っているが、ここにいる全員が思っている。゙何かが足りない゙と。
それが何なのかはわかっている。全員が揃っていないからである。クラスの集合写真を見て、愛美がボソッと吐く。
「他のみんな……無事……かな……」
一同に暗くなる。修一が手放さなかったカメラから、色々な写真が出来上がっている。
そこには仲良いクラスだとわかる笑顔が収められていた。由美も行きのバス、パーキング、動物公園、襲われる直前の帰りのバスと写っているのが多い。
「みんな無事だよ………きっとまた……」
由美は渚によって無理矢理密着させられて撮った健一とのツーショット写真を見つめた。
2人とも恥ずかしがっている様子がわかる。でも、自分はこの時点では健一への気持ちに気づいているわけじゃなかった。
(健一君……)


そこには中途半端に溶解しているスーツが数枚落ちていた。小便のように液体をかけ、触れたものを溶かすヒグラシマリオン。
由美達の遠足のバスガイドである女が改造された姿である。ヒグラシマリオンは肩を押さえながら人気の無い裏道を逃げていく。
彼女の羽は既に破かれていて、体中の至る所には針が刺さっている。
「………ハッ!」
上空からはサキが針を最大限に伸ばして、槍状にしている。これをしたら邪魔ばかり入っていたが、今回はないだろう。

264:ダイレン
08/05/15 02:08:50 OIlA8RsNO
「待っ……」
「今日は逃がさないわよ。ビースティンガー……゙ポーションズジャベリン゙!!」
針先は紫色に変色し、サキの手から放れていく。ヒグラシマリオン伸ばして胸を貫き、動きを静止させた。
毒が全身に回り、カタカタと震えるヒグラシマリオンは身をそのまま溶かしてしまった。
元の姿に戻り、路地裏から紗希は出てくる。しかし、自問自答を繰り返しているせいか苦い表情をしていた。

゙手段がないからって……簡単に人を殺せるなんてひどいわ゙

゙あたしは、友達を……゙

胸が痛む。自分が手に掛けてきたリン、結。その他、既にソルジャードールを30体は倒しているのだ。
倒す?いや、違う。殺したんだ。確かに自分に人に戻す力はない。だが、何か別の方法があったのではないだろうか?
この手で奪ったのは彼女達の未来だけじゃない。自分自身の未来も……。紗希は由美に対して抱いているのは嫉妬なのだ。
「私は……………間違ってないわ………」
そうでもしなければ自分が保てない。それしか出来ないんだと。そうすることが彼女達のためと。
「先日の女の子も殺しておけば……」


真央の見舞いに来た由美はクラスとクラス外の友達からの手紙を渡しに来た。
他の子はこの際過保護とは言わないくらいに親と登下校なのでこれない。
「ありがとね……あたし、さっき目を覚ましたばかりだから何も用意できないけど」
3日経ってやっと目が覚めた真央。それだけダメージが多かったのだろう。
「大丈夫だよ。テレビでも観ようか……」
リモコンの電源を入れる由美。ちょうどニュース番組がやっており、大学生の大量殺人事件についてやっていた。
それ事態はすぐに報道されていたが、これは謎の事件の総集編といった内容だった。
急いでテレビを消した由美。恐る恐る後ろを向くと、真央がガタガタ震えていた。

265:ダイレン
08/05/15 02:11:39 OIlA8RsNO
彼女の脳裏には思い出したあの夜がフラッシュバックしているのだろう。
「……あたしがやったんだよね?。あたしが………殺し……」
「違うよ……真央ちゃんは悪くないよ!」
消えない記憶。確かに洗脳されていたとはいえ、彼女がやったに変わりはない、
「あたしが、あたしがヘルマリオンを倒すから……みんなを助けるから……だから、心配しないで」
多くは聞かないし、言わない。由美も真央も互いにわかっているからだ。それぞれの成すべき事も、すべきことも。


ヘルマリオンのアジトでは次なるソルジャードールを生み出すために素体が選ばれていた。
「高月 渚………ずいぶんと熟した体をしとるのう」
スポーツ万能で11歳にしてB77の巨乳の渚。男勝りで喧嘩っ早く、敵意を剥き出しにしている。
「ジジイ……真央は、真央はどうなったんだよ!」
「さあ?自分の目で確かめるんじゃのう……」
ボーイッシュな髪型にプペロイドの手がギシギシと入り込んでくる。ヘリオンラーヴァに収容される直前、渚は骸の顔をギリッと睨んだ。
「待ってろよ……絶対にお前らをボコボコにしてやるからな……」
閉じられると渚の体が触手に巻かれて振動しはじめた。思ったよりも痛みを生じ、自分に流れ込んでくる熱いものを感じざるをえない。
「あ……あああああアアアアア……」
今回はより戦闘用にするため、動物の遺伝子の他に炎や水などの特性をさらに引き出すために促進剤を投与している。
しばらくすると、マリオンラーヴァが開封され、赤毛の猿らしい姿をした少女が現れる。
「モンキー………いや、エイプマリオンといったところかの?」
「はい。あたしはエイプマリオン………骸様に頂いたこの力でウイングマリオンを血祭りにして差し上げます」
「うむ」
あの威勢の良かった渚はここにはいなかった。エイプマリオンはすぐさま地上へ向かい、由美を探す。

266:ダイレン
08/05/15 02:16:50 OIlA8RsNO
「さて……どうやって見つけるか……。そんな必要ないか……」
既に目の前には由美が立っていた。人間状態でないまま地上に現れたため、すぐに見つかったのである。
「渚ちゃんなのね……」
猿を擬人化したような彼女は、西遊記の孫悟空の女版と言えるような容姿だった。
また、猿という人間に近い動物のせいか面影が色濃く出ている。
由美は静かに翼を広げ、白き羽毛に包まれる。スワンサーベルを構えると、エイプマリオンも
「ウイングマリオン……さあ、このエイプマリオンと殺り合おう!」
炎が現れたかと思えば、それは長い棒状の武器に変わる。それはまるでユミと同じように。
恐らく前回の戦いを監視させて、データを収集したのだろう。ユミが羽という形に具現化しだ光゙とは別に、゙炎゙を具現化させる能力。
「ワクワクするなぁ~!!」
野球の時も、サッカーの時も、体を動かすことが好きな渚は決して男子に劣らなかった。
そして、それを純粋に楽しんでいた。この口癖は渚に相違ないのだ。
「あたしが……助ける……」
最初に動いたのはユミだった。スワンサーベルの切っ先がエイプロッド……もとい如意棒とぶつかって音を響かせる。
力で勝るエイプマリオンは押し返し、機動力で勝るユミは滑空して上空から斬りかかる。
バチィィィンという激しい音が鳴り、両者はお互いに距離を取る。
「流石……だけど!!」
炎の玉を左手作り出し、まるで野球のように如意棒で打つ。ユミもピジョンバレットで相殺しようと撃ち返すが、エネルギーの密度の差が大きいために消しきれない。
やがて玉はユミに当たり、物凄い高熱と痛みが体中を走る。
「きゃあ!!。……熱い…… 」
今までは自分の力が大きかったから無傷でいられたが、実力が拮抗した戦いは初めてである。
その痛みは感じたことがない。ユミは改めて戦いの厳しさを痛感する。

267:ダイレン
08/05/15 02:19:22 OIlA8RsNO
「どう?あたしの豪炎球は」
敵に打撃を与えて嬉しいのだろう。勝負とは頭で理解しているが、ユミもやはり渚が相手と思うと力が出し切れなかった。
「でも……」
力を出さなければ勝てない。勝たなければ元には戻せない。もし勝てなければ渚は紗希に殺されてしまうのだ。
「後で謝るから……今はごめんね!」
翼を羽ばたかせ、羽を放出する。腕で目を隠したエイプマリオンが視界を開いた時にはユミの姿はなかった。
「目眩ましか……姑息な真似を!」
如意棒を振り回して羽を払いのけようとしても、無数の羽は中々消えない。イライラしてきたエイプマリオンは炎を巻き起こし、火柱を上げる。
午後の日差しの中でビルの上では火柱が上がっていることを不思議に思う人は大勢いるだろう。
「ええーい!どこだ!?」
「ここよ!」
「!!?」
火柱の中心を通って真上からピジョンバレットを撃っていく。それはまるで台風の目を狙うが如く。
「う!……う!……猪口才な!!」
あれだけ燃え上がっていた炎を左の掌に集中させ、ユミに向ける。
「くらいな!!あたしの……紅蓮一式・烈火掌!! 」
集約された炎は高温のあまり発光現象を起こし、まるでビームのようにユミに向かっていく。
避けはしたが、その紅い光がユミの手にあるピジョンバレットをドロドロに溶かした。
「………なんて威力……」
「もういっちょ!」
如意棒を持ち替え、右手の烈火掌もユミに向けて放つ。
ユミもスワンサーベルに光を集中させ、迫り来る熱線を狙う。
「シャイニングハーケン!!」
光の斬撃が熱線とぶつかり、しばらくの鍔迫り合いの後に烈火掌が裂けていく。
「ク………なら………紅蓮二式・重焔(かさねほむら)!!」
両手でかめはめ波のように構え、烈火掌を重ね合う。熱線は太くなり、シャイニングハーケンも動きを止めた。

268:ダイレン
08/05/15 02:23:07 OIlA8RsNO
互いに譲らぬまま技は相殺され、衝撃波が2人を襲った。
「キャアア!!」
「うわああぁ!!」
エイプマリオンは地上に落とされ、勢い良く激突する。ユミも隣のビルに激突して落下していく。
「……このままじゃ……」
翼は痛めてしまい、しばらくは飛べない。だが、ユミの脳裏には伝わってくるものがある。
゙絶対に落ちない゙。そんな思いを理解していた。すると、ユミの体はウイングマリオンとは異なる形態へと変化した。
上手い具合に着地したユミの姿は猫のような姿をしていた。確かに猫なら着地の仕方をその身で知っている。
「渚ちゃん……大丈夫?」
心配して近づいていく。声をかけられたエイプマリオンは情けをかけられ、バカにされているような気がして腹が立った。
コンクリートの破片をどかし、如意棒を構える。
「今度はキャットマリオン……ってこと?こんな風に変化するなんて便利じゃない」
突き出した如意棒を左に弾き、拳でど突く。人を殴った事などないユミに取って慣れないが、初めてとは思えない高速パンチを連続で出している。
「くそ!」
如意棒を地面に突き立て、エイプマリオンはそれで回転する。遠心力で威力増した蹴りは、防御したユミをガードの上から弾く。
すかさず如意棒を振るが、宙返りをして難を避ける。
「やるな……でも、そろそろ決着を着けようじゃない!」
如意棒で円を描き、その弧の軌道に豪炎球が停滞し、紅蓮を構成する超熱球に変化していく。1周するまでには8個もの超熱球が生まれている。
「待って!ここで使ったら、たくさんの人が!!」
「知るか!紅蓮八式・滅閃光!!」
超熱球が光り出し、それぞれがその熱を放出して爆発波を生み出す。それが起きたら大惨事だ。

269:ダイレン
08/05/15 02:24:48 OIlA8RsNO
゙あたしが……やったんだよね?゙

真央の苦しみを渚にも味あわすわけには行かない。ユミはエイプマリオンのように掌にエネルギーを凝縮させ、肉球のように現れる。
「ラピッドジャンプ!」
猫でありながらウサギの瞬発力を用いて超熱球を飛び越えてエイプマリオンの懐に入る。
「グラムボール!」
零距離で手に集めた高エネルギーを打ち込む。避けようがない技をくらい、エイプマリオンは後方へと吹き飛ばされた。
「うわああああ!!」
ドサッと倒れたエイプマリオン。ユミも息を切らしているが、何かされる前に渚を元に戻すために気を強く持たなくてはならない。
ウイングマリオンに形態を変え、ペイアマリオンに近づいていく。
「………ユミ……待って……」
「渚ちゃん?正気に戻れたんだね。今、元に戻すから」
「違う!元に戻すな!!」
起き上がったペイアマリオンの目は左目だけ渚の目に戻っていた。恐らく、洗脳が完全に解けていないのだろう。
「ユミ……あんたはあたしを元に戻せるの?」
「う、うん」
「だったら……その半分くらいにして……」
「え!?」
如意棒を使ってキチンと立てるくらいまでダメージを負わせてしまった。ユミの中ではすぐにでも手当てをしてあげたい。
「あたしも……戦いたいんだ………。あいつらを全部倒したいんだよ……」
「でも……」
「ユミだって、仲間がいれば楽だろ?。あたしに は…………みんなを戻す力がないかもしれないけど、あんたの力には……なれるんだよ」
ユミは少し迷ったが言葉を聞き入れ、一本の大きい羽をペイアマリオンの胸に触れさせる。
するとそれが体内に入っていき、ナギサの洗脳を解く。両目もしっかりとナギサのものとなっている。
「へへ……これであたしも一緒に戦える」
「……渚ちゃんが一緒なら心強いよ」
2人は久しぶりに人間として、友達としての会話をしている。そして、強い絆はより一層深まったのだ。

つづく

270:名無しより愛をこめて
08/05/15 05:48:46 lcHYdK9W0
>>260
改造萌えの人には、肉体変容萌えの人と、洗脳を含めた精神変容萌えの人がいるからね
前者の人は脳改造なしでも、改造された身体に嘆くだけのシチュでも萌えられるし
後者の人は洗脳さえあれば、肉体変容まったく無しでも「改造された」という表現だけで十分みたい
そして、両者ともかなり濃いので、要求する水準も高い
両者を十分に満足させるだけの力量が職人さんにあればいいけれど、なかなか難しいよな

271:ダイレン
08/05/15 16:49:17 OIlA8RsNO
途中からエイプマリオンがペイアマリオンになってました。誤字が多くてすいません
エイプとは小猿や類人猿って意味ですね。一文字間違うと危ないのでヒヤッとしました

272:蟻蜂フリーク ◆/sIh2XqTo2
08/05/15 19:57:09 mOKZuYga0
>>ダイレンさん
乙です。ヒーローモノまっしぐらですな・・・・すげえ

>公安の長田さんに連絡を取れ。あの人ならもっと情報を持ってるはずだからな

書いてもらって申し訳ないのですが、長田は情報を絶対渡さないと思います(笑)
公安部は刑事部門には、そう簡単に情報を渡しません。「踊る大捜査線」等を見ていただいたら
分かるかと思います。実際、公安にとって刑事部門(この場合、公安以外のすべての警察官)の
警官さえ場合によっては監視対象となります。
この部下さんはおそらく門前払いされるでしょう・・・・・(涙)

偉そうなことは言えた立場ではないのですが、SSを書くに当たって、一見無関係と思える様々な
分野の知識を深めてみてはいかがかと思ったりします。


>>270
そんな力量あったら、2ちゃんでSS職人やってないです(笑)
表現技術向上はは心がけますけどね

まあ、特定の個人に合せててもキリがないので、結局、書きたいものを
投下している次第です。でも、>>260みたいな方の発言も参考意見として
目安にはなりますけどね^^


273:maledict ◆sOlCVh8kZw
08/05/15 20:32:44 u7EC8orS0
>>261-269ダイレン様
燃え路線まっしぐらですね。いつもとは別の部分が興奮しました。
欲を言うと強気の渚ちゃんが抵抗しつつも洗脳に負ける様子を
ちょっとだけでも見たかった気もします。

>>272蟻蜂様
左翼活動家がアパートで爆弾作ってる、とかとは規模が違うので
ひょっとすると例外的な協力体制ができている可能性もあるかも。
…まあ、自分もよくは知らないですが(汗

>>255-256様
住人、いそうですね(w
>>259
やはりBeeF様のアイデアが偉大な先駆けだったのだと思います。
自分はまんま借りちゃうのはちょっと気が引けて、「充電器」にしたりとか
微妙に変えますが、基本となるアイデアはやっぱりBeeF様の「改造ノズル」です
>>260様 >>270様への直接のレスになるかどうかはわかりませんが
自分は「自分が脳改造される」ことへの激しい恐怖心と萌えとが結びついているので
(去勢愛好と似ているのだと思います。シリーズ前半、本郷が何度も脳改造されかける
シーンがトラウマのようです)、「性的快感を感じると洗脳が完了してしまう」という設定を
よく使います。肉体の改変も必須なんだけど細部はこだわらない方で、比較的おざなりです。

274:maledict ◆sOlCVh8kZw
08/05/15 21:03:12 u7EC8orS0
そういえば>ダイレン様、「ディセイバー」ってどういう言葉なんでしょう。
「セイバー」=「救う者」、というのでオーケーですか?

「ディソルバー」の方は、BeeF様が「解き放つ者」と言い換えていたので
そういうものなんだろうと思い、特に調べていなかったのですが、
改めて辞書を引いて読んでみたら、変なことに気づいた…というか変な妄想が湧きました。
多分dissolve(r)と綴ると思うのですが(desorb(er)という単語も見つけましたが多分
そっちではないでしょう。またsは濁るのが普通らしいですが濁らない発音もあるようです)、
この語にはたしかに「解き放つ」(「(呪いを)解く」のような)という意味もあり、
「人類の洗脳による支配を企む秘密結社ヘルマリオン」から人類を解放するという
ことなのだろうと思うのですが(実際、設定を見るとヘルマリオンの作戦には洗脳ものが多い)、
他に、事件等を「解決する」という意味と、硫酸などがものを「溶かす」という意味がありました。

で、それを読んでから設定資料を読み返すと、ひょっとすると「デイソルバー」には
「元文芸部で重度のミステリマニアだった過去を活かし、ヘルマリオンによる
怪事件が起こると調査に乗り出し…」
という部分と、
「サキに倒されたソルジャードールたちは一瞬、過去の自我を取り戻すが、
証拠を残さぬよう身体が溶けて消滅する」
という部分も入っているのではないか…という妄想が浮かびました。つまり、
1)「(ヘルマリオンの操りの糸から人類を)解き放つ者」という以外に、
2)「(怪事件を)解決する者」と、3)「(友人を)溶かす者」という
トリプルミーニングなのではないかと。
1)2)まではともかく、3)はかなりイヤな含意です。でもBeeF様ならやりかねないな、
という気もします(だとしても、作中で紗希自身は3)の意味には気づいていない、
という設定になるのだろうと思いますが)。
…勘ぐりすぎの可能性もありますが、改めて設定資料を読み直すとそんな気もするのです。

275:ダイレン
08/05/15 21:20:01 OIlA8RsNO
>>260
そこまでの文才と技量ないです……すいません

>蟻蜂フリークさん
法律学科でありながら、考えないで書いてしまいました………。授業のも兼ねて勉強いたします
maledictさんの言うように非常事態なんで警察全体が協力して動くのかな……って
一応長田さんと猛は先輩後輩の関係です。顔出し程度なので、少しだけ拝借をお許しいただきたいです


>maledictさん
ディセイバーは確かに救済者って意味でつけました。単にディソルバーもじっただけですけど
ご指摘の通り、最初に書いたときは洗脳への抵抗を考えたんですが「絶対服従」と思い直し、終始支配下に置かせてもらいました
洗脳への抵抗は別の人物に任せましたのでご心配なさらず

中心となるキャラ紹介も含めて短めな第0話(動物公園へ行く前日)も考えてるんですが蛇足ですかね?

276:名無しより愛をこめて
08/05/15 21:20:44 1hWQVxUq0
>>221
亀だが、いったいどっちの手袋が黄色いんだ?
紗希と紗耶では紗耶の方が先に改造されたんだから、紗希が紗耶を元にしたニセモノになるんだよな。
だったら紗希の手袋が黄色で、紗耶は・・・黒い手袋でもしてるのかな?

>>274
関係ないかも知れないが、ウルトラマンGの必殺技にそんなのがあったな。
原子破壊光線ディソルバー!

277:蟻蜂フリーク ◆/sIh2XqTo2
08/05/15 21:43:24 mOKZuYga0
>>maledictさん ダイレンさん
自分も異例の協力体制を考えましたが、矛先は防衛省に向いてしまいました。
でも元々、協力体制があるみたいですね(笑)

まあ、長田も相手が相手だけに組織のセクショナリズムの壁を越えなきゃいかん
という思いもあるようなので、非公式に情報を流してくれるかもね(笑)
それも自分にトバッチリが来ないようにかなり遠回しなやり方とかでw

SS仕上がって、微調整中です。24:00ぐらいに投下できそうです。
15,000字弱ぐらいでしょうか?






278:maledict ◆sOlCVh8kZw
08/05/15 21:59:39 u7EC8orS0
>>276
考え出すと悩みます。一応、紗耶の手袋に関しては下記の描写があります:

「手首と足先だけが、ロングブーツと長手袋をはめたかのような白い色で、
青い部分との境界には、黄色と黒の細い縞模様があった。」

この白い部分が黄色くなるとして、黄色い部分が…うーん
…映像ではなく文章なわけですから、「最後まで一切言及なし」ってのもありかも…

>>277蟻蜂様
精力的ですね!

279:ショッカー代理人 ◆cVfFrJRnOU
08/05/15 23:34:45 lyaGL9MX0
Beef様のまいた種が大きく目を出してきたというところでしょうか。
私も楽しませていただいているヘルマリオンマツリが華々しい中ですが、
私は相も変らぬショッカー怪人ものを書いておりますです。
数日中には形になると思いますので、よかったらお待ちくださいませ。

280:名無しより愛をこめて
08/05/15 23:45:55 eFhvAJwO0
おお! ショッカー代理人さんだ
ショカ代さんは名前の通り、ショッカー怪人もので貫き通して下さい
新作楽しみにしています。でもよかったら、何の怪人なのかだけ先に教えて下さい

281:ショッカー代理人 ◆cVfFrJRnOU
08/05/16 00:01:41 SObA84lr0
>>280
それを知ったら楽しみがーってことで秘密です。(笑)
まあ死神博士が単独で指揮した怪人のひとつと言うことで。

282:蟻蜂フリーク ◆/sIh2XqTo2
08/05/16 00:16:50 KLVD3aCR0
>>ショッカー代理人さん
お久しぶりでございます。新作楽しみにしてます^^

一足先に投下いたします。ダイレンさんの影響か、燃えが多いですw

283:蟻蜂フリーク ◆/sIh2XqTo2
08/05/16 00:17:34 KLVD3aCR0
「謀略教授 SSヘルマリオンⅡ」
【アジト 訓練場】
「さあ、お前たち! あいつを捕まえるまで餌抜きよ。餌が欲しけりゃ、とっとと捕まえなさい。フフフ」
センチピードマリオンが『地獄の選別』の合格者達に教育を施していた。
少年少女たちはどこかの特撮番組の戦闘員のような黒づくめの格好をしている。男子は全身タイツ、女子はレオタードに網タイツ。腰に赤い
サッシュを巻いていた。
「おい、フンコロガシマリオン、ガキどもに捕まったら、パンチとキック10発ずつだからね」
「ヒ、ヒィ・・・・・パンチ、キックいやです~・・・・・・」
かつて、いじめっ子人生を歩んできた元T大生の男は、自分がいじめ続けてきた相手であったスタグビートルマリオンに拉致・改造され、
ここでは改造前とは全く逆の生活を送らされていた。まさに因果応報である。
「嫌なら、捕まらないことね。さあ、お逃げなさい!」
センチピードマリオンに蹴られて、フンコロガシマリオンが汚物を転がしながら猛スピードで走り出す。
当然ではあるが改造されていない子供たちには追いつけるわけがない。わざと子供たちをしごいて楽しんでいた。
センチピードマリオンは改造前とは180度性格が変わってしまった。
息が上がっている子供には容赦なく彼女のムチが飛んだ。
「遅い!佐竹!勉強できても、ドン臭いわね。開栄中学は合格確実でも、ソルジャーマリオンへの道のりは遠いわね!アハハハハ」
邪悪な笑顔が浮かぶ。


284:蟻蜂フリーク ◆/sIh2XqTo2
08/05/16 00:18:30 KLVD3aCR0
「きゃははは でね~ 兵隊さんがいっぱい来たけど、ドカーンって吹っ飛ばしてやったんだよ~  この前のフランスは楽しかったなぁ。」
「左様でございましたか。骸教授様も喜んでおられたことでしょうね。」
「うん!」
マリオンヘイルとホーネットマリオンが話しながら訓練場へ入ってきた。
「センチピードマリオン、どきなさい。マリオンヘイル様がフンコロガシで遊びたがっていらっしゃるわ。」
ホーネットマリオンが命令口調で言う。
「骸教授様により、私はガキどもの教育を命令されてます。その際、施設内の設備やフンコロガシマリオンの利用は私の裁量でいつでも
使っていいことになってるんですけれどもねぇ。」
ホーネットマリオンの横柄な態度が少し気に障ったらしい。
「あなた、新入りでしょう。少しは気を使いなさいよ。」
「あら、そんなの関係あるの?ソルジャードールはみな平等なはずよ。骸教授もおっしゃっていらしたわ。」
ホーネットマリオンは言い返されてムッとしていた。


285:蟻蜂フリーク ◆/sIh2XqTo2
08/05/16 00:19:19 KLVD3aCR0
「ねぇねぇ、ムカデちゃん、だめぇ?」
マリオンヘイルが悲しげな表情でセンチピードマリオンを見つめる。
「いいえ。そんなことございませんわ。マリオンヘイル様。どうぞ、遊んでください。ガキどもには訓練用小型プペロイドと格闘訓練をさせます
ので。」
にっこりとマリオンヘイルに優しい笑顔を見せて言った。その笑顔は彼女が改造前に子供たちに見せてた優しいものだった。
「おまえたち、さっさと移動しなさい!マリオンヘイル様の邪魔になるでしょうが!」
そして彼女は振り向き鬼の形相でムチを振るって、子供たちを追い立てた。
センチピードマリオンは場所を移動する際、すれ違いざまに耳元でささやいた。
「あんな身内がいるくせに、よく組織の中で、堂々と振舞えるわね。恥ずかしくないの?あなたの身内おかげでどれだけみんな迷惑してるか
知ってるの」
ホーネットマリオンはセンチピードマリオンの後姿を憎悪に近い感情で睨みつけていた。



286:蟻蜂フリーク ◆/sIh2XqTo2
08/05/16 00:21:19 KLVD3aCR0
【東京近郊 閑静な住宅街】
「・・・・・・・さ、仕事です!」
警視庁公安部の田中が紗希の背中をポンと軽く叩いて、ワゴン車から部下をつれて飛び出していった。
紗希も空中に舞い上がりながらビーマリオン、ディソルバー・サキに変身する。
そして、「山口」と表札のかかっている大きな家の2階のある部屋の窓ところまで飛んでいく。
玄関や庭から田中たちやそれ以外にもヘルメットに黒っぽい出で立ちの男たちがこの家の中に侵入していく。
彼らの手にはピストルやサブマシンガンが握られていた。



287:蟻蜂フリーク ◆/sIh2XqTo2
08/05/16 00:22:41 KLVD3aCR0
【東京近郊 山口家】
「どうだ?恵美、体のほうは大丈夫か?」
内閣総理大臣・山口忠一が愛しい孫娘の見舞いに長男宅を訪れていた。解放直後に会いたかったのだが、
総理大臣という多忙な立場であるためそれは叶わず、国家公安委員長より報告を受けただけにとどまっていた。
「うん。おじいちゃん、ごめんなさい。心配かけて・・・・。」
「謝ることなんか何にもありゃせんよ。とにかくよかった・・・お前が無事に戻ってきて。」
「ほかのみんなが今、どうなってるのか心配・・・・・。」
「友達のことか?任せておきなさい。おじいちゃんが自衛隊を使って助け出してあげるから。心配しなくても大丈夫だよ。」
「おじいちゃん・・・・・なんで私だけ助けたの!みんなといっしょがよかったのに!」
「仕方なかったんだ・・・・・いろいろな事情があってね・・・・でも近いうちにみんな助け出すから・・・・・」
「近いうち?・・・・それはいつなの?・・・・・・」
「みんなで話し合って決めてるところなんだ。」
「まだじゃあ、決まってないんだ・・・・・」
「そ、そうだけど・・・・・すぐ決まるよ。そんなものは」
「・・・・いよ・・もう・・・フフフフ」
恵美がうつむいて、ブツブツしゃべりだした。


288:蟻蜂フリーク ◆/sIh2XqTo2
08/05/16 00:24:53 KLVD3aCR0
「恵美、どうしたんだい?・・・恵美?」
孫娘がいつもと違う様子であるのに気づいた。
「遅いよ・・・・もう手遅れだわ。アハハハハ」
バリバリ・・・恵美の着ていた服が敗れ、孫娘はタマムシのような化け物に変わった。
「う、うわぁ・・・・・・・か、か、怪物~~うわぁ~~~」
慌てて孫娘の部屋を飛び出そうとするが、腰が抜けてしまい、立てない。
「怪物とはあんまりだわ。今の私にはジュウェルビートルマリオンって立派な名前があるのよ。おじいちゃん。いや、内閣総理大臣、山口忠一。
お前たちが馬鹿面さらして私達を探し回ってる間に、お友達はみんな、とっくに生まれ変わっちゃったわ。」
「め、恵美・・・・・・そんな・・・・」
「恵美だなんて汚らわしい。下等動物のときの名で呼ばないでよ!私はお前が来るのを待ってたんだ・・・・・お前を操り人形として
使うためにね・・・そういうわけだからヘルマリオンに協力してね。おじいちゃん♪私の体がきらめくのをじっと眺めなさい!ホラ・・・」
「よ、よしなさい!恵美!」
「その名を二度と口に出すな!ジジイ!」
ジュウェルビートルマリオンの体が幻想的な光を放ち始める。2、3分ほど凝視してしまえばその煌きの催眠効果により、人間は「操り人形」と
化してしまう。


289:蟻蜂フリーク ◆/sIh2XqTo2
08/05/16 00:30:26 KLVD3aCR0
バターン! 
大きな音とともに部屋のドアが開いた。そして拳銃やサブマシンガンを構えた男たちがなだれ込んできた。
「総理、ご無事ですか?警視庁です!」
SPと田中の部下が、総理の身体を確保し、安全な場所へと立ち去る。
拳銃を構えたスーツ姿の田中の背後にはSATの隊員がサブマシンガンを構えていた。ヘルマリオン内部の協力者『F』に疑念を抱いた警視
庁公安部は裏取引で解放された山口恵美の行動を24時間体制で監視しており、山口家には盗聴器が仕掛けられていた。今日の山口総理
にはSP以外に公安部外事3課の長田の配下の監視実行部隊「田中班」のメンバーと警視庁のSAT2チームが総理に悟られることなく極秘に
「もしもの事態」に備えて同行していた。そして、その「もしもの事態」は発生し、当局の悪い予感は的中してしまった。
また、解放直後、帰宅した恵美に「操り人形」にされていた母親は突入開始と同時に拘束され、同じ目にあっていた経産省の幹部職員であ
る父親は役所に出勤するため玄関を出た直後、送迎の公用車の中に乗っていた公安部の人間に拘束されていた。
「くそ・・・・あと少しのところで・・・・・・お前ら、私の邪魔をした代償は高くつくよ・・・・・・」
ジュウェルビートルマリオンが公安部の警察官やSATを血祭りに上げようとしたそのとき、
「それまでよ!ソルジャードール!無駄な抵抗はやめるのね!」
窓の外から声がした。そこにはディソルバー・サキが浮かんでいた。
「お前が、ビーマリオンか・・・・・・フン、裏切り者の未完成体が!」
口から溶解液を吐き出したが、ディソルバー・サキはひらりとかわす。


290:蟻蜂フリーク ◆/sIh2XqTo2
08/05/16 00:31:36 KLVD3aCR0
「ビースティンガー!」
乳房を刺激し、発射する。
ジュウェルビートルマリオンの素早く避ける。
2体は空中で激しく火花を散らす。
お互いパンチやキックを繰り出すが、なかなか相手に致命的な打撃を与えられない。
「なかなかやるじゃない・・・・・でも、あなたはまだ動きに隙がある!」
ディソルバー・サキは大技を繰り出す。
「ビースラッシャー!」
「!!!」
ジュウェルビートルマリオンの右脇腹が裂け、緑色の血が吹き出す・・・
「ぐぅ・・・・・・」
ジュウェルビートルマリオンの顔が苦痛で歪む。
「ごめん・・・・・あなたを殺したくはないけど、こうするしかないの・・・・・・」
とどめを刺すため2発目のビースラッシャーを食らわそうとしたそのとき・・・・・
「スワローテイルストーム!」
右の方から聞こえた声とともにディソルバー・サキの視界が黄色くなり、標的のジュウェルビートルマリオンの姿が歪んで見えはじめた。
「助けに来たわ!ジュウェルビートルマリオン」
アゲハマリオンが現れた。


291:蟻蜂フリーク ◆/sIh2XqTo2
08/05/16 00:32:16 KLVD3aCR0
「さすが親友ね・・・アゲハマリオン、恩に着るわ・・・・」
苦境に立たされていた状態のジュエルビートルマリオンの口元が笑っていた。
「久しぶりね。ビーマリオン。あなた、ホーネットマリオンの妹なんだってね。出来損ないの身内がいるのって苦労させられるのよね・・・・・・・
まあ、私の兄、フンコロガシマリオンは組織を裏切ったりはしてない分、マシだけど。フフ。」
「うう・・・・・目がくらむ・・・どうしたの私・・・・・・」
頭を抱えて苦しむディソルバー・サキ
「本当はあなたを殺すなり捕虜にするなりできるんだけど、あるお方の命令だから今日はこの辺にしておいてあげるわ。フフフ」
余裕を見せるアゲハマリオン
「ビーマリオン!今度、会うときはタダじゃすまさないわよ・・・・・・・この傷のお返しキッチリさせてもらうわ・・・・・」
アゲハマリオンに抱えられたジュウェルビートルマリオンがリベンジを誓う。
「ジュウェルフラッシュ!」
ジュウェルビートルマリオンが叫ぶとともに2体は強烈な閃光に包まれた。
「き、消えた・・・・・・でも、なぜ私にとどめを刺さなかったの・・・・・・・」
スワローテイルストームをまともに喰らったダメージの影響でなぜなのか考える余裕など全くなかった。ふらふらと公園の林の中に舞い降り、
仰向けに倒れた。
約3時間後、ディソルバー・サキは当局に無事発見され救助された。



292:蟻蜂フリーク ◆/sIh2XqTo2
08/05/16 00:37:15 KLVD3aCR0
【警察病院】
人間態になった紗希はベッドで、新聞を読んでいた。新聞の社会面には総理大臣の長男の経産省官僚宅に空き巣が入ったという記事が
隅っこに載ってた。ちなみに事件の目撃者は全員、公安部によって口止めされていた。
「もう、新聞が読めるようになったんですか。すごい回復能力ですね。」
ベッドの横に見知らぬ男が立っていた。
「警察の人・・・ですか?」
「いいえ。私は陸上自衛隊中央情報隊の者です。根岸と申します。」
「自衛隊・・・・ですか?」
陸上自衛隊中央情報隊は防衛大臣直轄の部隊である。おそらく、根岸はその中でも「現地情報隊」といわれるヒューミント(対人情報収集)
を行う部隊に所属するのだろう。本来の活躍の場は自衛隊がPKOで派遣される地域であり、そこで情報収集や対人工作活動を行うことを任
務としているが、今回は事態の重大さにより、ヘルマリオン対策に投入されたのであろう。全国の警察の公安部門、公安調査庁、自衛隊・・
さまざまな組織が動いていると思われる。
「はい。あなたに是非、協力していただきたいと思いましてね。野々村紗希さん。
我々はヘルマリオンの拠点を発見しました。N県の山中にね。現在、政府上層部では攻撃作戦を立案中です。今回の作戦は米軍も積極的
に参加するようです。ご存知でしょう?先日、ボルチモアが攻撃されて、太平洋上に展開中の第7艦隊が襲撃されて、壊滅したのを。」
「はい・・・・テレビのニュースで見ました。私も出来るならアメリカに飛んで行って助けてあげたかったです・・・・」
紗希が唇を噛みしめながら言った。


293:蟻蜂フリーク ◆/sIh2XqTo2
08/05/16 00:38:00 KLVD3aCR0
「そのアメリカでは9・11のときなど比較にならないぐらい大統領をはじめ国民がみな怒りに燃えています。極東地域の投入可能な戦力は
すべて使われるでしょうし、本土からも精鋭部隊が派遣されるようです。」
「そんなすごいことに・・・・・・・・」
紗希は驚く。
「あなたは明日、退院の予定です。警察とは話がついています。明日から朝霞駐屯地など我々の施設で共同訓練していただくとともに
隊員達にヘルマリオンのソルジャードールやプペロイドについての紙の上の情報では分からない点などについてにレクチャーをお願いした
いのです。」
「わかりました。こんな私でよろしければ・・・・・・ただ、私、探偵の仕事が・・・・・・」
「それなら心配無用です。そちらは私達がなんとかしておきますので。」
「そうですか・・・・どうも・・・・」

「臨時ニュースです。カリフォルニア州ロサンゼルスが正体不明の敵に攻撃を受けました。ロサンゼルスは在留邦人も多く、その安否が
心配されています。繰り返します。日本時間午前・・・」
何気なくついていたテレビの画面に流れていた主婦向け情報番組が中断され、男性アナウンサーが深刻な表情でニュース速報の原稿を
読み上げていた。紗希と根岸はテレビの画面に釘付けとなった。



294:蟻蜂フリーク ◆/sIh2XqTo2
08/05/16 00:41:07 KLVD3aCR0
【ロサンゼルス】
中心部のダウンタウンが焼き払われていく・・・シティー・ホールが跡形もなく崩壊し、チャイニーズ・シアターも炎に包まれ、サンセット通りに
沿うようにハリウッド方面へ破壊の嵐が吹き進み、世界一の映画の発信地は地球上から消滅した。ビバリーヒルズも焼き尽くされた。
「およ?遊園地見っけ!ガッぢゃん、あそぼ。きゃはははははは」
破壊の最中に見つけたユニバーサルスタジオで遊び始めた。
「ターゲット『D』及び『E』、ユニーバーサルスタジオ内に確認・・・・・」
無人偵察機RQ-1プレデターがアトラクションで遊ぶ、少女のような姿の『D』と邪悪な天使のような姿をした生物『E』を捉えた。
「ボルチモアのときのようにはいかんぞ。怪物め。」
討伐部隊の総司令官、陸軍大将リンゼイは作戦指揮所でモニターを見てつぶやいた。
奇襲で混乱したアメリカ軍だったが、態勢を立て直し、ユニバーサルスタジオを付近に進撃した。
M1A2エイブラムス戦車、MLRS(多連装ロケットシステム)M270、M109自走榴弾砲などを装備した機甲部隊がユニバーサルスタジオを
有効射程に収める範囲で包囲するようにいくつかの陣地を展開する。
機甲部隊が包囲網を作り上げたころ、上空にヘリのローターの重低音が重々しく響いてきた。
米軍の反撃の先陣としてAH-64Dアパッチ・ロングボウ攻撃ヘリの編隊がユニバーサルスタジオ上空にさしかかる。
攻撃ヘリ部隊は遊園地の敷地内を走り回る2体の姿を確認し、そのうちの1機が30㎜機関砲を浴びせる。
土埃りが舞い上がり、2体は土煙の中に消えた。


295:蟻蜂フリーク ◆/sIh2XqTo2
08/05/16 00:42:22 KLVD3aCR0
(殺ったか?)
ヘリのパイロットがそう思った瞬間・・・・
「きゃははははは 戦争ゴッコだ、うわ~い!」
埃まみれになりながらも大笑いしている少女の姿が確認されるとともに、後続の友軍機が分裂した無数のガッジーラに取り付かれているの
が分かった。
「う、うわ~~~~!」
コクピットの正面に少女が無邪気な笑みを浮かべ張り付いていた。
「ほい、お返し!」
パンチがコクピットの防弾ガラスを貫き、前席の副パイロット兼射撃手を直撃し、後部席のパイロットにはガッジーラの1匹が牙を向いて左側
から襲いかかってきた。乗員が即死し、コントロールを失った攻撃ヘリはキリモミしながら地上に落下し、爆発した。
「やっつけたぞ~! ガッぢゃん、やったね!きゃはははははは」
一方、機甲部隊の各陣地はガッジーラの群れに襲われ、阿鼻叫喚の地獄絵図になっていた。ガッジーラの襲来に対し、勇猛果敢に反撃す
る兵士の自動小銃の射撃音が陣地のいたるところで聞こえたが、やがてそれはすべて沈黙した。
「ガッぢゃん、この町の近くのアナハイムってところに遊園地がもう1つあるんだって。遊びに行ってこよ。きゃははははは」
分裂したガッジーラは次々と集合し、再び一つなろうと合体し始めていた。その様子はまるで分身の術を解く忍者であるかのように見えた。
どこかもう1箇所で「遊ぶ」ように祖父から言われていた気がしたが、アナハイムの大きな遊園地で遊んでいるうちに忘れてしまっていた。



296:蟻蜂フリーク ◆/sIh2XqTo2
08/05/16 00:44:04 KLVD3aCR0
【ワシントンDC ホワイトハウス 国家安全保障会議】
「現地の司令部からの連絡が途絶えました。あらゆる方法で連絡を試させましたが、駄目です。総司令官のリンゼイ大将の消息は不明。
 おそらく戦死したものと・・・・・」
国防長官のマクファーソンが蒼ざめた顔をして合衆国大統領、フォレストに報告した。
モニターを通じて現地司令部と連絡を取っていたが、背中に羽の生えた幼児のような姿の生物が無数に飛来したかと思うと、そこで映像は
途絶えた。
フォレストは苦虫を潰したような表情で押し黙っていた。
「大統領・・・・日本での作戦ですが、大丈夫なのでしょうか・・・・再検討なさってみては・・・・・・・」
国務長官のグラントが実行の日が刻々と迫るヘルマリオン拠点攻撃作戦に不安をいだき、提案する。
「マクファーソン、例の武器の開発情況はどうなんだね?」
フォレストは重い口を開いた。
「はい、誠に残念ながら今回のロスの襲撃には間に合いませんでしたが、作戦開始日には何とかなりそうだと報告をうけております。」
「そうか・・・・」
フォレストの表情が少し明るくなった。
「グラント、作戦プランはあのままで行くよ。やつらに目にものを見せてやる。それに『極東の友達』も強力な切り札を持ってるしね。」
「なるほど・・・・・日本には『彼女』がいるのでしたね。そういえば・・・・」
グラントも納得したかの表情に変わった。



297:蟻蜂フリーク ◆/sIh2XqTo2
08/05/16 00:45:28 KLVD3aCR0
【日本国内某所 自衛隊施設】
自衛隊の特殊作戦群の隊員とデルタフォースヤグリーンベレーといった米軍の特殊部隊の隊員が共同訓練を行っていた。
そして彼女も・・・・・・
「ビースティンガー!」
プペロイドを模した標的を正確に打ち抜いていく。
その後に続いて、特殊部隊員たちが、仮想ヘルマリオン拠点に突入する。
そして、マリオンラーヴァに強力な特殊爆弾をセットする。
ディソルバー・サキが制圧したところを特殊部隊員が囚われの身になっている人々を救出していく。
彼らは毎日、このような実戦訓練を繰り返していた。

実戦形式の訓練終了後、人間態になった紗希が自衛隊から支給された迷彩服姿で、特殊部隊員たちに講義する。
そして夕食の時間となり、紗希は他の隊員達とともに食堂へと向かうことがいつもの日課となっていた。
「紗希ちゃん、いよいよね・・・・・・」
「あ、福井二曹・・・・・・」
紗希は訓練生活の中で、婦人自衛官で特殊部隊員の福井真菜と仲良くなった。
ごつい男性ばかりの中で女同士。必然的に仲良くなった。年も22歳で、17歳の紗希と近く、紗希は姉のように慕っていた。
顔はモデルのように綺麗で、自衛隊員にはとても見えなかった。



298:蟻蜂フリーク ◆/sIh2XqTo2
08/05/16 00:47:24 KLVD3aCR0
「そう・・・・・お姉さんも改造されて・・・・・・」
「はい。私をかばって、ホーネットマリオンに改造されました・・・・・・」
紗希は自分が改造された経緯について話していた。
「なんて卑劣な奴らなの。ますます倒し甲斐のあるわね。」
真菜はヘルマリオンに強い憎しみを感じた。
「福井二曹はなんで特殊部隊を希望したんですか?」
「もう、訓練時間外は真菜さんでいいって言ってるのに。あはははは」
「あ、なかなかクセが抜けなくて・・・・・」
「あははは。そうねぇ・・・ヒーローに憧れたからかな・・・・・私、3人兄妹の末っ子で兄が2人いるの。その環境のせいかなぁ・・・・・男勝りな
性格になっちゃって、お人形遊びよりも外で駆け回って男子とヒーローごっことかして遊ぶのが好きだったのよねぇ・・・・・」
「へぇ・・・そうなんですか・・・・」
「うん。身近な人や好きな人を守りたいって言うのかな・・・・それで自衛隊に入っちゃった。で、やるからには最強になりたいじゃない?
レンジャー資格も取って、念願かなって、今じゃ、特殊作戦群の隊員!」
このような彼女のキャラクターはそのモデルのような外見からは全く想像できなかった。



299:蟻蜂フリーク ◆/sIh2XqTo2
08/05/16 00:48:41 KLVD3aCR0
【作戦当日 アジト 研究室】
「ほっほっほ。ついに攻めてきおったか。待ちわびたぞい。早く新しいアジトに引っ越したかったしのぉ。」
モニターに突入してくる米軍や自衛隊の特殊部隊の姿が映る。
「いろいろと組織の内情も掴まれたようじゃし、いったんリセットじゃ。奴らにやられたフリをしてやるわい。ほっほっほ。
ワシもたまにはバカンスとやらを楽しみたいしのぉ。その為に新アジトとは別に六本木ヒルズの地下にも研究所を極秘に作っておいたのじゃ。
私的な研究をさせてもらうわい。そうそう、カナブンマリオン、資金調達ごくろうじゃったの。マネーゲームの腕前は相変わらずじゃな。ホホ」
カナブンマリオンは骸教授に一礼した。そしてプペロイドたちが重要書類を搬出するのを指示していた。
彼は世間を騒がせた元IT企業社長・江森文隆の成れの果てで、今はヘルマリオンの金庫番をしている。
彼は自分を時代の寵児とさんざん持ち上げておきながら、社会の慣習に少しでも合わないことをした途端に手のひら返したようにバッシング
し、挙句の果てに犯罪者にまで貶めた世の中に大きな恨みを持っていた。そんな折、六本木ヒルズで骸教授と知り合い、自らヘルマリオン
入りを志願したのである。そして改造後は、スタグビートルマリオンやヘラクレスマリオンと同様、骸教授の腹心となっていた。

骸教授は次に参謀格のスタグビートルマリオンを呼び出し、指示を与える。
「おい、スタグビートルマリオン、出来の悪いプペロイドの処分をよろしくたのむ。あと、『不良品の蜂』の処分もな。ククク・・・・・・」
「はい。かしこまりました。それで骸教授様、お願いなのですが・・・スパイダーマリオンとマンティスマリオンをここに残してください。」
「うむ、いいじゃろ。正規のプペロイドも30体ほど付けてやろう。」
「ありがとうございます」



300:蟻蜂フリーク ◆/sIh2XqTo2
08/05/16 00:52:04 KLVD3aCR0
【アジト】
「ビースティンガー!」
『バス遠足児童大量拉致事件』の被害者と思われる子供たちを救出した後も順調にプペロイドを倒していく。
「プペロイドたち・・・・妙に弱すぎる気が・・・・・・」
サキが不審に思ったのも束の間、
緑色の鎌のようなモノが不意に左胸を掠った。
「・・!!」
「フフフフ、うまくかわしたわね・・・・ビーマリオン」
カマキリの姿をしたソルジャードールが行く手に立ちふさがった。
「私の名はマンティスマリオン!あなたをバラバラに切り刻んであげるわ・・・・・・・」
「やれるものならやってごらんなさい!行くわよ、マンティスマリオン!  ビースラッシャー!」
「こしゃくな!マンティスブレイド!」
刃が二つ交差した・・・



301:蟻蜂フリーク ◆/sIh2XqTo2
08/05/16 00:52:59 KLVD3aCR0
【アジト  通路】
ダダダダダダ・・・!
対プペロイド用の特殊な弾丸が自動小銃M4A1から発射されプペロイドが吹っ飛ぶ。
「ヘイ、ロバート。こいつは予想以上に効くなぁ。」
デルタフォースの隊員の1人が同僚に言った。
日本の警視庁公安部がヘルマリオン内部に獲得した協力者『F』によってもたらされたプペロイドの情報は在日米軍やCIAによりアメリカ本国
にも渡っていた。また、CIAも独自の『協力者』をヘルマリオン内部に獲得しており、完全体のプペロイドを何体か入手し、エリア51と呼ばれる
施設内でさまざまなテストを行っていた。
その結果、作られた武器の一つが対プペロイド制圧用の弾丸だった。ソルジャードールに対してもある程度効果があるとされている。
それはヘルマリオンの拠点へ突入した日米の特殊部隊員たち全員に支給されていた。そして爆薬をセットする他の特殊部隊員の邪魔にな
る対象すべての排除を任務として割り当てられたデルタフォース所属のノリス少佐以下3名のチームはすでに何体ものプペロイドを撃破して
いた。
「ギギ!」
プペロイドが物陰からまた姿を現す。
「ファック!お前らなんかどれだけいても相手にならねえんだよ!ロスとボルチモアのお返しだ!クソッタレ!」
フルオート射撃でプペロイドを粉砕する。
「フゥ~。絶好調だな。どんどんスクラップにして地獄に送ってやるぜ!」
「それなら、私が相手してあげましょうか?」
ノリスたちの目の前に、蜂のような姿をしたソルジャードールが現れた。
「出やがったな、ソルジャードール!俺たちデルタが相手だ、覚悟しやがれ!」
デルタフォースの隊員達はフルオートで弾丸をこの『蜂女』にぶち込んだ。



302:蟻蜂フリーク ◆/sIh2XqTo2
08/05/16 00:56:05 KLVD3aCR0
【マリオンラーヴァ】
「こちら、キクスイ01、セット完了しました。これより撤収します!」
真菜が指揮所に時限爆弾の設置に成功したことを報告する。
「あら、女の人もいるのね・・・・自衛隊の特殊部隊って・・・フフフ」
天井から声がした。上を見ると張りの部分にクモのような姿をしたソルジャードールが腰掛けていた。
「ようこそ。ヘルマリオンヘ。私はスパイダーマリオン。自衛隊のみなさん歓迎するわ。フフフ」
「こちらキクスイ01、敵ソルジャードールと遭遇!交戦する!」
自動小銃を撃ち、同僚が報告する。
真菜もスパイダーマリオンを銃撃するが、効果がないようだ。
「バカね。そんなもの効かないわ。死になさい!」
スパイダーマリオンが両手を自分たちのほうに向けて広げると、傍にいた同僚たちの様子がおかしくなった。
そして、こともあろうか同士討ちを始めた。
「丹羽二尉!岸本一曹!風間!」
おかしくなった3人はお互いに撃ち合って死んでしまった。
「あら、意外にもろいのね・・・・・」
クスクスと笑いながら言った。


303:蟻蜂フリーク ◆/sIh2XqTo2
08/05/16 00:56:45 KLVD3aCR0
「私ねえ、下等動物を指先から出る見えない糸で操ることができるの。あなたの仲間を操ったんだけど、弱いわね・・・・・」
「くそ・・・・!」
再びスパイダーマリオンに自動小銃M4A1カービンの銃口を向け撃とうとしたが・・・・
(くっ・・・・・・・・・・弾切れ)
「アハハ、弾がなくなっちゃったみたいね。」
「殺せるなら、殺してみろ!化け物!」
真菜はアーミーナイフで格闘戦を試みようとした。
「殺すわけないじゃない。あなたみたいな素敵な素体。フフフ」
今度は口から糸を吐き、真菜をグルグル巻きにしてしまった。
「ヘルマリオンヘようこそ。心から歓迎するわ。フフ」
「私をどうする気だ!」
「仲間になってもらうだけ・・・・」
ただそう答えて、福井を連れ去った。



304:蟻蜂フリーク ◆/sIh2XqTo2
08/05/16 00:58:23 KLVD3aCR0
【アジト 通路】
「お、おのれ・・・・・ビーマリオン・・・・・」
マンティスマリオンが黄色い血を噴出しながら倒れる・・・・・
「ヘルマリオン!万歳・・・・・・・」
マンティスマリオンは、そういい残すと体が溶解して消えた。
(マンティスマリオンか・・・・なかなか手強かったわね・・・・)
ゴン!ゴロゴロゴロ・・・・・
西洋人と思われる男の生首が4つ、サキの目の前に転がってきた。
「久しぶりね・・・・紗希、いや、ビーマリオン・・・・・」
ホーネットマリオンが目の前に現れた。
「紗耶・・・・・・」
「あなたもそいつらみたいにしてやろうかしら・・・デルタフォースだっけ?大したことなかったわね。弱すぎるわ。」
「もう、ヘルマリオンは終わりよ!目を覚まして!もとの紗耶に戻って・・・・おねがい!」
「あなたもおめでたいわね。下等動物ごときにこのヘルマリオンがやられると思ってるわけ?」
「!!・・・・どういうこと!」


305:蟻蜂フリーク ◆/sIh2XqTo2
08/05/16 00:58:55 KLVD3aCR0
「姉妹のよしみで教えてあげるわ。私達は、アジトを別のところに移すことにしたの。いろいろ知られすぎちゃったしね。
下等動物の情報機関とかに。で、あなたたちにやられたフリして、引っ越すの。引越しついでに欠陥品のプペロイドとか邪念獣とか
引越しゴミも始末してもらって、最後はあなたたちがこのアジトを爆破して、お掃除完了。」
「なんですって!」
「ちなみに、あなたは私に倒されて組織に復帰する。いやならこの場で殺しちゃうけど?あはははは」
「紗耶!やはり私はあなたを倒なければならないようね!人類の為に!」
「あら?そんなことできるの?相変わらず、しょうがない妹ね・・・・じゃあ覚悟はいいかしら?喰らえ!ホーネットスティンガー!」
ホーネットマリオンは乳房を刺激し、針を発射した。
「なんの!ビースラッシャー!」
さっと身をかわし、サキは反撃する。
姉妹の骨肉の争いが始まった!



306:蟻蜂フリーク ◆/sIh2XqTo2
08/05/16 01:00:25 KLVD3aCR0
【新アジト】
「う~ん、今度の場所は海が見えて気持ちいいのぉ・・・・・・・」
新アジトの立地に骸教授は満足しているようである。
「さて、マリオンラーヴァの配置も無事に終わったことじゃし、早速、始めるとするかの。」
迷彩服に身を包んだ福井真菜がプペロイドに引きずられている。
「ほほう、女の自衛隊員か。なかなかいい素材じゃ。楽しみじゃわい!」
「やめろ!離せ!このクソロボット!」
抵抗し続けるが、真菜は全裸にされてしまった。
「それはクソロボットではなくプペロイドというのじゃよ、お嬢さん。ホッホッホ。さあ、改造開始じゃ!」
手術台に全裸で拘束された真菜はマリオンラーヴァに飲み込まれていった。



307:蟻蜂フリーク ◆/sIh2XqTo2
08/05/16 01:01:10 KLVD3aCR0
【マリオンラーヴァ内部】
「な、なに・・・・・水?の中なのに苦しくない・・・・・・」
ウネウネと触手が体に絡みつき、体中の穴をふさぐ・・・・
「いや・・・・やめて・・・・・・・・」
触手の先端が吸盤状に変わり体にペタペタと張り付く
そして体内に何かが流れ込んできた。
その『何か』には催眠物質が含まれているのであろうか・・・・
今まで感じたことのない暖かさに包まれ、夢を見ているような状態になった。



308:蟻蜂フリーク ◆/sIh2XqTo2
08/05/16 01:04:35 KLVD3aCR0
背中に虫のような羽が生えて空を自由に飛びまわる自分・・・・・・
(・・・・・なんて気分がいいんだろう)
『巣』に戻ってくる。多くの仲間?がいる。人?蜂?
(・・・・・怪物!)
(そうだ、こいつらを制圧しに来たんだ・・・私・・・M4A1カービンがない・・・・あれ・・・)
プペロイドが突如現れ、群れを成して私に迫る・・・・
(くそ・・・ヘルマリオンめ・・・・・・・)
現れたばかりのプペロイドがすぐに目の前でバラバラになる・・・・・
(・・・!)
プペロイドが消えたかと思うと不快な羽音とともにスズメバチの群れが現れ体に張り付く・・・・
(うわ・・・ちょっと・・・・何これ・・・)
振り払おうとするが次々と沸いてきては体に張り付く
そして耳元のスズメバチが囁く。
「オマエハ何者ダ?オマエハ何者ダ?」
「福井真菜だ・・・・陸上自衛隊、特殊作戦群・・・・所属・・・・お前らこそなんだ・・・」
「オマエハ何者ダ?オマエハ何者ダ?」
「うるさい!」
ハチまみれの右手で耳元のハチを振り払う・・・・
二の腕のハチが一瞬、離れる。そして、黒く変色した腕・・・・黒の長手袋をしてるような腕・・・・
(・・・・!!)


309:蟻蜂フリーク ◆/sIh2XqTo2
08/05/16 01:05:08 KLVD3aCR0
再びハチの群れで埋る・・・・・
体中のハチを振り払おうとする・・・・
胸が黒と黄色の・・・・ハチの腹のような模様になっていた・・・乳首は異様に赤かった・・・・
「オマエハ何者ダ?」
「またか!うるさい・・わたしは・・・・・・あれ?・・・わたしは福井・・・・・・真菜?・・・・」
(・・・しつこい!・・・・・!!!な、何これ・・・・)
ハチの群れを払いよけながら逃げてるうちに鏡張りの空間に迷い込んでいた・・・そこの鏡に映った自分の姿をみて驚いた・・・
黄色い体に黒いブーツと長手袋をした腕と足・・・・ハチの腹部のような胸・・・・・背中の羽・・・・・・側頭部の複眼に額の触角
顔は人のままだが悪役レスラーのようなメイクしたみたいになっている・・・・・
(・・・これが・・・・私?・・・・・)
「我々ト一体化スルノダ。我々ト一体化スルノダ。」
耳元のハチの囁きが不思議と心地よく思えてきた。
(そう・・・・ハチにならなきゃ・・・ハッ・・・・なに考えてるの私・・・・私は人間・・・・人間よ!)
葛藤し始める。
「我々ハへるまりおんトトモニ歩ム!我々ハへるまりおんトトモニ歩ム!・・・・・・」
(そう、ヘルマリオンこそ、私のすべて・・・・・ちがう!ヘルマリオンは敵!・・敵・・・・敵?・・敵なの?・・・・なんで?・・・)
「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ~~~~~~~~~~~~~」
真菜は耳を塞いでうずくまる。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
意識を失う真菜
「オマエ何者ダ?」
体に張り付いていた無数のハチが消え、いつの間にか、うつ伏せに倒れていた真菜の耳元に1匹のスズメバチが止まって囁いた。
「私はヘルマリオンのソルジャードール。なにを分かりきったことを聞いてるの?」
「オマエハ福井真菜トイウ人間デハナカッタノカ?」
グシャ!
耳元のハチを潰す。
「今はそんな名前の下等動物じゃないわ・・・・・私は選ばれたの!」



310:蟻蜂フリーク ◆/sIh2XqTo2
08/05/16 01:05:49 KLVD3aCR0
【アジト マリオンラーヴァ】
目を覚ますと真菜は手術台の上に横たわっていた。マリオンラーヴァから排出されたらしい。起き上がって周りを見回した。
「ホッホッホ。スズメバチか。貴様はべスパマリオンと名乗るがよかろう・・・・・・」
骸教授が真菜に新しい名前を授ける。
「ありがとうございます!骸教授様。ヘルマリオンに私のすべてを捧げます!」
「ホッホッホ。これは頼もしい。期待しておるぞ。 おい、スパイダーマリオン!毎回で悪いが、こいつを連れてアジトの中を案内してやれ。」
「かしこまりました。骸教授様! べスパマリオン、うれしいわ。また、素敵な仲間が増えて。さあ、行きましょう。」
べスパマリオンはスパイダーマリオンに連れられていった。



311:蟻蜂フリーク ◆/sIh2XqTo2
08/05/16 01:06:29 KLVD3aCR0
【アジト 研究室】
「なに?相打ちじゃと・・・・ホーネットマリオンは・・・そうか・・・・・」
スタグビートルマリオンが骸教授に報告している。
「てっきり死んだものだと思ったがのぉ・・・・・・・う~む。生命力は想像以上じゃ。」
「はい。ビーマリオンも瀕死の重傷となりながらも戦闘時の記憶を一時的に失ったようです。あの日、あれから自衛隊に救助されたらしく、
今、防衛医大病院に収容されてるようです。」
「そうか・・・・・また次の手を考えるとするか・・・」
バターン!
ドアが勢いよく開いた。
「じいちゃん、あーそぼ!」
マリオンヘイルが入ってきた。
スタグビートルマリオンが一礼して退出していく。
「これこれ、もっと行儀よくするのじゃ。」
「うん! てへへへ」
「そうじゃ、マリオンヘイル。この前、ロスは破壊したけど、ニューヨークを破壊し忘れたじゃろ?」
「あ、そっかー。いっけねー。忘れちった。」
「まあ、よいのじゃが。さっき、ロシアとやらが我々の軍門に下るのを拒否してきおった。奴らは最近、石油とやらで景気がいいようじゃ。
そこで西シベリアのサモトロール油田とやらの採掘設備やパイプラインを壊してくるのじゃ。それは来週でいいがな。」
「はーい!」


312:蟻蜂フリーク ◆/sIh2XqTo2
08/05/16 01:06:59 KLVD3aCR0
「失礼します。お呼びでしょうか?骸教授様。」
センチピードマリオンが入ってくきた。
「うむ。センチピードマリオンよ、下等動物のガキどもの管理に加えて、新たな任務を与えてやろう。このマリオンヘイルの教育・世話係じゃ。
よろしく頼むんだぞ。ホッホッホ」
「まぁ!マリオンヘイル様の・・・・。光栄でございます!喜んでお引き受けいたします。骸教授様。」
センチピードマリオンは、その命令に感激したらしく喜んでいた。
「きゃはははは ムカデちゃん、よろしくね~」
マリオンヘイルは無邪気に笑う。
「ワシはちょいとまだお仕事があるのでのぉ・・・・フンコロガシマリオンとでも遊んでおいで・・・」
「は~い、そんじゃ、行こう!ムカデちゃん。」
「はい。マリオンヘイル様、参りましょう。」
2体は部屋を出て行った。
骸教授はマリオンヘイルたちが去った後、カナブンマリオンを呼び寄せ、指示を出した。
「おい、カナブンマリオン。原油の価格がこれからもっと高騰するはずじゃ。うまいことやっておけ。」
「かしこまりました。早速、仕込みに入ります。」
カナブンマリオンはディーリングルームへと走っていった。
「これからの悪の組織には経済も大切じゃ。むやみやたらに暴力を使うばかりが能ではないのじゃよ。ホッホッホ。」
骸教授は夕凪の海を見ながらつぶやいた。

<完>


313:蟻蜂フリーク ◆/sIh2XqTo2
08/05/16 01:08:42 KLVD3aCR0
以上です。

予想以上に長い文章になってしまいました・・・・・・^^;



314:ダイレン
08/05/16 02:40:13 Qp9cSpneO
乙です。すっかりヘイル大量殺人鬼ですね。シリーズ通せば200万人くらいは殺してるんじゃ……
短時間で作成したので完成度は高くありませんが、第0話です

「日常」


これは悪夢の前……


一緒に行動する班は8人4組という構成だった。男女4人ずつ。誰が誰を好きかわかるなんて思春期の彼らにはよくある会話だった。
前日なのでルートの事前確認。とは言っても、子供達は雑談で満ちていた。
「はいはいはーい。みんな、ちゃんと相談してくれないと明日連れてけないわよ」
担任の木下がその場を落ち着かせる。その中で、ひっそりと班長の健一は点呼の練習を小声でしている。
「……大輔……隆太……綾ちゃん……渚……真央ちゃん……純……由美ちゃん……」
「おいおい、今から心配してるのかよ」
大輔が健一の肩にのしかかってきた。ガキ大将的存在の彼はクラスで最も力が強い。
「健一は今忙しいんだよ。少しくらい静かにしなさいよ」
唯一対抗できる気迫と肉体の持ち主である渚。体育ではすっかり名物となったこの2人の対決は皆が楽しみにしている。
「あーあ……渚、お前の器量もその胸みたいにデカけりゃいいんだけどな」
「んだとコラァッ!」
また始まったよ、とばかりに一度視線を向けるが、すぐに作業に戻る。


由美は行く場所のチェックをしていた。蛍光ペンで印をつけて、紙に書き出していた。
そこで印をつけていた地図が宙に浮いた。
「そんなの、健一の持ってるでやったろ?」
「純君……」
風間 純。学年でも随一のイケメンで他クラスからの人気も高い。ややクールな部分も理由の1つだろう。
また、由美とは幼稚園からずっと一緒だった。付き合いはクラスの中でも長い方である。
「こうやっておけば自分でも見れるし、なくしちゃっても代わりになるし……」
「………そう……」
地図を由美に返すと席に座って同じように印を付け始めた。由美は横目でそれを見ながらも、話しかけてきた綾と話していた。

315:ダイレン
08/05/16 02:41:32 Qp9cSpneO
「由美ちゃんは明日何買うの?」
興味津々に聞いてくる綾。彼女は由美の親友と言うべき人物である。セミロングの髪が可愛さをより引き立てている。
由美はクッキーなどの他にぬいぐるみを挙げていく。やはり残るものも欲しい。
真央も話に参加して盛り上がった形となった。綾がゴリラのぬいぐるみが欲しいと言ったのは予想だにしなかったが。



「遠足の前だ……楽しい気分で行きたいからさっきの決着つけようぜ」
「あたしも同じこと思ってたよ……大輔」
放課後。決着を着けるべく大輔と渚は対峙した。種目は野球である。現在は4年生の時から数えて38戦。大輔が2回多く勝っている。
大輔は大きく振りかぶり、その一球に力をいれた。渚は迫ってくるボールを見定め、バットが振られた。
しかし手応えを感じたのはキャッチャーである健一だった。結構球威があったらしく、少し手首を振っていた。
「大輔、もうちっと手加減しろよ!」
「いや、全力で来いよ!あんたの鼻を叩き割ったるわ!!」
バットで校舎を指す。ホームランをしようというのか。大輔は望む所と言った感じにもう一度振りかぶる。
「うおりゃあああ!!」
一本足打法によって繰り出されたフルスウィングは真針で捉え、ボールを彼方まで飛ばした。
「っっしゃああ!あたしの勝ちいィィッ!」
飛んでいったボールは純によってキャッチされ、今回の2人の勝負に幕が降りた。
「くそ……怪力ブス……」
「誰がブスだああァァッッ!!」
結局の所、2人の対決はこれからも続いていくのだろう。観覧していた由美達もそれは感じていた。

健一と純は器具を体育倉庫まで運んできた。2人が言い争いながら先に帰ったので運び手がいないのだ。
「でも、大輔も渚もお互い好きなくせにさ……喧嘩する程仲良いって事かな?」
笑いながら健一は話しかけてくる。純は微笑すると、ふいに口走った。
「どうせなら、俺達も由美を賭けて試合するか?」
「え?」
「………冗談だよ」

明日をどう迎えるか。今はまだ知らない。

316:ショッカー代理人 ◆cVfFrJRnOU
08/05/16 17:52:30 SObA84lr0
え~と、ダイレン様のSSはここで終わりなのでしょうか?
それともこの先この第0話がまだ続くのでしょうか?
続くのであれば、こちらの作品投下はまだ控えますのでお教えくださいませ。

317:蟻蜂フリーク ◆/sIh2XqTo2
08/05/16 18:06:44 KLVD3aCR0
>>ダイレンさん
乙です・・・・・でいいのかな? 終わり?

ヘイルちゃんは大量殺人鬼じゃありません、大量虐殺者ですw
私個人が感じるニュアンスの違いしかないですけど(笑)

殺人鬼だとチマチマと時間を掛けて、多くても1回当たり多くても2~3人しか
殺してない気がするのに対し、虐殺者だと比較的短期に1回当たり少なくても数十人以上は
殺している気がします・・・まあ、勝手に私がそう感じただけです(笑)


今度はスパイダーマリオン主役で話のツマとしてロシアを盛り込む感じでSS
作成はじめました。完成するかどうか怪しいですがw

318:ダイレン
08/05/16 19:38:49 Qp9cSpneO
>蟻蜂フリークさん
一応本編とは関係ない第0話ですんで短めに………平和な日々ってだけですので

そういや表現としては虐殺のが向いてますね。圧倒的戦闘力で弱い人類を殺してるわけですからね~

ソルジャードールの中でも異端者や戦闘用はずばり属性があるのが強いと思うんですよ(ユミは光、サキは毒みたいに)
ネタバレになりますが、個人的にヘイルは重力と考えてます。これはヘイルがユミと対をなす闇であることを意識したいからです。

2人の初対決は5話で書きたいと思います。そう考えると予定話数より多くなるかもしれませんが

319:ダイレン
08/05/16 19:45:45 Qp9cSpneO
>ショッカー代理人さん
レス出来なくてすいません。一応短めですのでこれで終わりです……

320:蟻蜂フリーク ◆/sIh2XqTo2
08/05/16 19:56:31 KLVD3aCR0
>>ダイレンさん
第0話、せめて何か事件やっておこうよ~^^;
チャレンジャーだわ~^^;

史上初の改造人間出番ナシ・・・って斬新といえば斬新、冒険といえば冒険だな^^;



321:羽生翔子 ◆jRE575HKcc
08/05/16 20:06:04 R9WNOFb50
お久しぶりです!初めましての人は初めまして。

ヘルマリオン祭、見させてもらってます。私は受験の為参加は出来ないんですが・・・

結構みなさん年は大台に乗ってるんですか?私は上で受験といった通り、
まだ十代のひよっこです・・・

最近受験勉強で思い出したのですが、細胞の染色体って本数が減ると別の生き物
になるんですよね。なので次回作を書くとしたら、そこを利用しようと思います。
なんか、染色体の本数変化の光を照射するとか・・・

とりあえずROMってはいるのでヘルマリオン祭、楽しみますね~☆

322:羽生 翔子 ◆W19fssdkys
08/05/16 20:08:09 R9WNOFb50
ありゃ?トリップの番号忘れちゃった・・・とりあえず私は本物です!!!

323:名無しより愛をこめて
08/05/16 20:09:41 I7Nl4sTi0
減らすな、増やせ!

324:羽生 翔子 ◆W19fssdkys
08/05/16 20:14:08 R9WNOFb50
>>323
そうでした(><;)染色体は数が変わるとでした・・・(><;)

325:蟻蜂フリーク ◆/sIh2XqTo2
08/05/16 20:26:43 KLVD3aCR0
>>羽生さん
お久しぶりです^^

基本中の基本を間違えるようでは、ヘルマリオンに3人もOB・在学者がいるT大合格は遠いですぞ(笑)

羽生さん、骸教授でいうところの改造適齢期ですが、チョイ役でSS出てみる?w




326:羽生 翔子 ◆W19fssdkys
08/05/16 20:30:25 R9WNOFb50
>>蟻蜂フリークさん
お久しぶりです~!

そうですね、T大合格目指します(笑)

あ~、SS出てみたいです!!元々改造されたくて、SSを書いて
主人公を自分に重ねあわせるってことをしていたので、めっちゃくちゃ嬉しいです!

327:ダイレン
08/05/16 21:10:39 Qp9cSpneO
>蟻蜂フリークさん
第4話平行して書いてるので、本当にキャラ紹介のつもりで書いてました。
ご期待していただてるのにすいません。その分4話以降に力をいれます

>羽生 翔子さん
お初でしたっけ?僕も大学生でまだ十代ですよ
T大目指すなんてすごいすね。お身体に気をつけてください

失礼は承知なんですが、あなたの名前を見てるとひぐらしのなく頃にのキャラを思い出します……ごめんなさい

328:羽生 翔子 ◆mbgYXFTjj6
08/05/16 21:33:15 R9WNOFb50
本当のトリップ思い出しました。多分コレです。

>>ダイレンさん
多分初めてだと思います。十代ですか~・・・十代はこれからッ!っていう時期
なので、お互いがんばりましょう!学力は自分の学校があんまりレベルの高くない
ところで、その中で5,6番ってところです。だからT大は無理かもしれませんね~;
体はただいまダイエット中・・・

ひぐらしは名前だけ知ってます。たしか、雛見沢がなんとか・・・とかいう話だったような;
うろ覚えですみません・・・

ダイレンさんもヘルマリオンの第4話、がんばって書いてくださいね~!

あ、さっき年齢しか書いてなかったけど、私は♀です。
みなさんは性別とかどっちなんでしょうか?

329:ダイレン
08/05/16 22:02:43 Qp9cSpneO
>羽生 翔子さん
よろしくお願いします。僕は男っすよ。SSの主役対象はロリっすけど、普段は同年代の女の子好きっす(若気の至りってやつです(笑))
受験は大変だと思いますが論文などの推薦もありますし、諦めなければ大丈夫っすよ

余談ですがひぐらしは雛見沢という村で起こる怪死事件に子供達が挑む話です
その中で羽生はオヤシロ様という神様の名前で、怪死事件はこの祟りと言われています(本当はそれに見せかけた殺人で、敵対する人間の仕業)
羽生は10歳ほどの少女の姿で、最終的に主人公に味方するんですよ。
グロが苦手ならあまりオススメはしません

330:蟻蜂フリーク ◆/sIh2XqTo2
08/05/16 23:28:52 KLVD3aCR0
ヒグラシ使わなきゃよかったですね・・・・・(ボソ)

羽生さんを何マリオンにしようかな・・・・(笑)

ダイレンさんもSS出る?(笑) ダイレンさんが自ら作った12人衆の1人あたりでw

そういや12人衆で骸教授に対等の立場みたいに振舞う奴がいたけど、知らないぞぉ
どうなっちゃっても(笑) 敵に回すと・・・・・・ホッホッホってところかなw



331:ダイレン
08/05/16 23:53:48 Qp9cSpneO
>蟻蜂フリークさん
羽生さんを出すとしたら、蟻蜂フリークさんの処遇にお任せいたします。12大幹部とは発想がありませんでしたが、確かに行けそうですね

骸教授って12大幹部の中では戦闘力は低い(のかわからない)代わりに、頭脳明晰なんだと思います
改造を任されてる点で実質的に幹部では位は高い方だと思いますが、作られたロボットって設定でしたし、幹部も承知なので対等に話せると思います
幹部はユミ……というか由美ちゃん同様に人間としての自我が動物の力を支配している高等改造人間と思ってます

でも、ヘイルには個人的に何かしらの能力で最強クラスになる力を持ってると考えております(十分強いんですけどね)

332:蟻蜂フリーク ◆/sIh2XqTo2
08/05/17 00:09:17 VOAzaOp00
基本設定のベースに人形ってのがあるので、幹部はすべて骸教授と同様、首領が作った機械人形と
考えた方がベターだと思います。『人形』が『人間遊び』するって感じが何かいいんですよね(笑)
私的にはw

マリオネットは操り人形だし、プペロイドの「プペ」ってのもドイツ語かなんかで、「人形」って意味かなんかじゃなかったかな・・・・
無機物に支配される生物・・・・w

魂のあるものは幹部にしちゃいけないと感じるんですよ・・・・・ヘルマリオンってw



333:ダイレン
08/05/17 00:18:01 IkhfFdEQO
あ~なるほど~。なんか皮肉っぽくて確かにいいですね
それを聞いて、自分達は高等生物だと思っていたら倒された時にロボットと知る……に路線変更します

個人的にヘイル及び重要人物(秘密です)はロボット以上に悲しい存在として描きたいんですよ
そして、由美ちゃんはそれをどう解決するかってのもセットで

僕は劇中には出ないほうが………どうも自分がいるイメージなくて

334:名無しより愛をこめて
08/05/17 00:37:22 RKJkaVzR0
ところで>>316でショッカー代理人さんがSSの投下タイミングを逃して困ってるようなんだけど・・・?

335:蟻蜂フリーク ◆/sIh2XqTo2
08/05/17 00:39:47 VOAzaOp00
了解w 出演は強制しませんので(笑)

それと、ロボットはロボットだと思うんですが、BeeFさんがせっかく「自律機械」
という言葉で表現されてるので、そう言いましょうw 雰囲気が出ますのでw



336:蟻蜂フリーク ◆/sIh2XqTo2
08/05/17 00:46:27 VOAzaOp00
>>334
すいません つい、ヘルマリオン談義してしまいました・・・・

>>ショッカー代理人さん
遠慮なく、投下のほう宜しくお願いします^^
楽しみです^^

337:ダイレン
08/05/17 00:53:14 IkhfFdEQO
すいません、ショッカー代理人さん。配慮が及ばなかったのをお詫びいたします


>蟻蜂フリークさん
わかりました。では僕は書いてきます

338:ショッカー代理人 ◆cVfFrJRnOU
08/05/17 02:36:53 v5lXsla50
ダイレンさん、蟻蜂フリークさんお気になさらず。
どの道夜中の投下と思ってましたので。

羽生 翔子様初めまして。
よろしくお願いいたします。

私はショッカー代理人の名の通り初代仮面ライダーをリアルタイムで見ていたオサーンです。
年齢は推して知るべしと言うことで。(笑)

それでは投下させていただきます。
ばいばいさるさんが出ましたら、しばし間が開くと思いますので、ご了承くださいませ。

339:ショッカー代理人 ◆cVfFrJRnOU
08/05/17 02:38:15 v5lXsla50
「う・・・うう・・・」
一人の男が顔を青ざめさせて足元を見つめている。
その足元にはじわじわと青緑色の苔(コケ)のようなものが迫って来つつあった。
「た、助けてくれー!」
男は声を限りに叫ぶが、背後にある外へ通じるドアは固く閉じられていてまったくこじ開けることができない。
この部屋に放り込まれて十五分ほどしか経っていない。
最初は部屋の中央部のテーブルの上においてあったシャーレの一部にだけ広がっていた青緑色の物体は、このたった十五分の間にまるで男の存在を感知したかのように広がり始め、男の足元にまで広がってきていたのだ。
「だ、出してくれー! 助けてくれー!」
振り返ってドアをがんがんと叩く。
死に物狂いの形相は、その物体に対する極端な恐れを表していた。

やがて男の足にも青緑色の物体が広がっていく。
「ギャー!!」
ぐじゅぐじゅと足元が溶かされるような激痛に、男は思わず悲鳴を上げてしりもちをついてしまう。
だが、思わず床に手を着いたその手やお尻にも青緑の物体は付着して、たちまち男の体を溶かし始めた。
「ヒィー!」
青緑に染まった両手を見、全身を覆う激痛に気も狂わんばかりに悲鳴を上げ続ける。
両脚はみるみるうちに骨が覗き始め、両手も指先から肉が解け落ちるかのように骨だけになっていく。
やがて男は悲鳴も上げなくなり、その場に静かに倒れこむ。
あとには青緑色の物体が広がり、男の衣服だけが残っていた。

「クックックックック・・・」
黒いマントを羽織った初老の男がそのやせこけた顔に不気味な笑顔を張り付かせて笑う。
「殺人カビの実験は成功だ」
まるで西洋の吸血鬼とでもいえそうな容貌のこの男こそ、ショッカー日本支部の誇る天才科学者イワン・タワノビッチ、通称死神博士であった。
モニターで男の死に様を眺めていた死神博士は、新たにアオカビをベースに開発した人間を栄養分として繁殖する殺人カビの実験の成功に大いに満足していたのだ。


340:ショッカー代理人 ◆cVfFrJRnOU
08/05/17 02:40:23 v5lXsla50
『死神博士よ』
ホールの正面上部にある巨大な地球を掴み取るワシのレリーフ。
その腹部の緑のランプが輝き、重厚な声がホールに響く。
声だけでありながら圧倒的存在感を持ち、世界征服をたくらむ悪の秘密結社ショッカーのすべての構成員が畏怖と忠誠を捧げる存在である首領。
その首領の声が響いたのだ。
死神博士もそのそばに控えていた幾人かの戦闘員たちも一斉にレリーフを見上げ、一言一句を聞き逃すまいと集中する。
『直ちにこの殺人カビを使い、日本征服を進めるのだ』
「お任せくださいませ首領。この殺人カビをばら撒けば日本は大混乱に陥ります。そのときこそわがショッカーが日本を征服するとき」
死神博士が不気味な笑みを浮かべる。
『うむ、吉報を待っているぞ』
「ハハッ」
恭しく首領に一礼する死神博士。
ショッカーの日本征服のための悪魔の作戦が始めるのだった。

「「じゃんけんぽん」」
「「あいこでしょ」」
お寺の境内に子供たちの声が響く。
子供たちにとっては広いお寺の境内は格好の遊び場となっており、住職もそれを理解して墓場以外は自由に遊んでいいと伝えてあったのだ。
子供たちは今回この境内でかくれんぼをして遊ぶつもりだった。
「ケンちゃんの鬼だ」
「わーい」
子供たちが散っていく。
「ちぇっ」
一人の少年が舌打ちをしながらも、太い木に正面からもたれかかって数を数え始めた。


341:ショッカー代理人 ◆cVfFrJRnOU
08/05/17 02:42:34 v5lXsla50
「こっちよ、摩子(まこ)」
「うん」
双子なのか、白い洋服を着た瓜二つの顔の二人の少女が境内を抜けて墓場のほうに向かう。
墓場ならば隠れる場所には事欠かない。
最後まで隠れてケンちゃんを困らせてやるのだ。
「純子ちゃん、摩子ちゃん、お墓のほうに行ってはいけないのよ」
「そっち行っちゃだめだよ」
友人たちの声も二人の耳には入らない。
どこに隠れようかともうそればかり考えているのだ。
二人の少女はそのまま墓場の中に入っていった。

「このあたりに隠れましょ」
「うん」
二人の少女は墓石の影に身を隠す。
ふと見ると、近くのお墓に墓参りの男性が熱心にお祈りをしている。
邪魔してはいけない。
二人はそう思い、息を殺してケンちゃんが探しに来るのを待っていた。

「イーッ」
「イーッ」
突然どこから現れたのか、全身を黒いぴったりしたタイツ状の衣服に身を包み、すっぽりと目鼻口だけがでるマスクをかぶった男たちが現れる。
「キャッ」
思わず二人の少女は小さな悲鳴を上げるところだったが、必死に声を押し殺す。
ケンちゃんもそうだが、この人たちにも見つかってはいけない気がしたのだ。
「な、何だ君たちは」
墓参りに来た男性が黒尽くめの男たちに戸惑っている。
一体何をするつもりなのだろう。
二人は何もできずにただその様子を見ているしかできなかった。


342:ショッカー代理人 ◆cVfFrJRnOU
08/05/17 02:44:53 v5lXsla50
「そこの男。貴様にはショッカーの殺人カビの餌食になってもらう」
「な、何だって?」
黒尽くめの男に一人が缶に入っていた青緑色のものをぶちまける。
「うわぁーーー」
青緑色のものが男性に付着すると、男性は悲鳴を上げてみるみるうちに溶けて行く。
そしてあっという間に着ていた衣服だけが残された。

「キャー!」
二人はあまりのことに声を殺すことができなかった。
目の前で一人の男の人が溶けてしまったのだ。
恐ろしさにどうしようもなかったのだった。
「そこにいるのは誰だ!」
黒尽くめの男たちがすぐにやってくる。
二人の少女は必死に逃げ出そうとしたが、すぐに取り囲まれてしまい、逃げ出すことはできなくなった。
「お前たち、今のを見たな?」
「陽光の下での殺人カビの繁殖実験はショッカーの秘密」
「われわれショッカーの秘密を見たものは死ぬのだ」
「ああ・・・いやぁっ」
威圧するような黒尽くめの男たちに、二人の少女は恐ろしくてへたり込む。


343:ショッカー代理人 ◆cVfFrJRnOU
08/05/17 02:51:34 v5lXsla50
『待つのだ』
どこからとも鳴く声が響く。
「これは死神博士。一体どうして?」
黒尽くめの男たちの動きが止まる。
『その娘たちを連れてくるのだ。いい利用法を思いついた』
「ハハッ、直ちに」
その声にうなずく男たち。
「いやぁー」
「ママー」
たちまち二人の少女は黒尽くめの男たちに抱きかかえられてしまう。
そのまま彼らはいずこともなく姿を消したのだった。

                     ******

「えっ? 見つからない?」
郁子(いくこ)の目の前で悲しそうにうつむいている子供たち。
夕方になっても摩子と純子が帰ってこなかったので迎えに来たのだが、住職と子供たちが二人を探しているところに出会ったのだ。
「どうやらかくれんぼをしていて、二人はお墓のほうへ行ったようなんですが、いくら探しても見当たらんのです」
住職ほか寺の一同も探してくれたのだが、摩子と純子の姿は見当たらないと言うのだ。
「そんな・・・」
二人の母親である郁子にとって、二人は大事な双子の娘だ。
いなくなったなんて信じられない。
「摩子・・・純子・・・」
郁子は途方にくれてしまった。

                      ******


344:ショッカー代理人 ◆cVfFrJRnOU
08/05/17 02:52:50 v5lXsla50
「お願いです。私たちを帰して」
「何も言いません。お願いです」
二人の少女は半べそをかきながら必死にお願いする。
二人の前には黒いマントを羽織った初老の男がおり、見るからに不気味な笑みを浮かべていた。
『死神博士よ。この娘たちをどうするつもりなのだ』
男の背後の巨大なワシのレリーフが突然しゃべり始めたので、二人の少女は驚いた。
「首領、あの殺人カビを人目に付かずに撒き散らすには、戦闘員たちでは不都合。この娘たちを使えば、人間どもは油断して殺人カビを広めるにはうってつけなのです」
『なるほど。やってみるがいい』
「ハハッ」
ワシのレリーフに一礼し、再び二人の少女に向き直る死神博士。
「機械的洗脳を用いるまでもあるまい。わが得意の催眠術でこの娘たちの深層意識にショッカーへの忠誠心を植えつけてやろう」
死神博士はそういうと一本のロウソクを取り出し火をつける。

「さあ、二人とも。この火をよーく見るのだ」
つい促されるままに二人の少女は火を見つめてしまう。
それこそが死神博士の得意とする催眠術の手法だった。
「ほーら・・・ほーら・・・お前たちの心にはショッカーの偉大さが染み渡っていく。お前たちはショッカーの一員となったのだ」
とろんとした目で火を見つめる二人の少女。
死神博士の深層暗示が二人の心を捕らえていく。
「ショッカーの一員であることはとてもすばらしいことだ。ショッカーの命令に従うのだ」
「はい・・・私たちはショッカーの一員です・・・」
「ショッカーの命令に従います・・・」
うつろな眼で死神博士の言葉にうなずく二人の少女。
催眠術によって二人はショッカーの一員であると信じ込まされてしまったのだった。


345:ショッカー代理人 ◆cVfFrJRnOU
08/05/17 02:54:06 v5lXsla50
                     ******

「うっうっ・・・純子が・・・摩子が・・・」
夫の胸で泣き崩れる郁子。
夜になっても二人は帰ってこず、夫の信弘(のぶひろ)と一緒に再び墓場周辺を探してみたものの、二人の姿はまったく見えなかったのだ。
「大丈夫だよ。警察にも伝えたからね。きっとどこかで眠っちゃったんだ。明日になれば帰ってくるさ」
自分自身に半ば言い聞かせるようにそう言って妻を抱きしめる信弘。
若くして結ばれたために、双子の母となった今でも容色は衰えていない。
近所でも評判の美人の郁子だったが、憔悴した今は見る影もなかった。
それもそのはず、二人がいなくなった墓地ではここ数日の間に数人の人間が行方不明になっているほか、行方不明になった人の持ち物が奇妙なカビのようなものが生えた状態で発見されたりしているのだ。
二人に何かあったのかと気が気でない郁子にとって、憔悴させるには充分なものだった。

                     ******

「さあ、このカビをあの住宅街にばら撒いてくるのだ」
殺人カビのつまったケースを二人の少女に手渡す死神博士。
「「はい、死神博士」」
黒いレオタードを着せられた二人の少女はそれを受け取ると、戦闘員たちとともにアジトを出る。
やがて住宅街の一角で奇妙なカビによって住民たちが次々と死亡していった事がニュースで報じられた。


346:ショッカー代理人 ◆cVfFrJRnOU
08/05/17 02:55:36 v5lXsla50
「作戦は成功だ。この調子で日本中に殺人カビをばら撒くのだ」
帰還した二人の少女に目を細める死神博士。
少女たちは誰にも怪しまれずに殺人カビをばら撒くことに成功したのだ。
自分の予想通りの結果に死神博士は満足だった。
「しかし、死神博士。殺人カビの培養には限度があります。このままでは殺人カビが足りません」
白衣を着て白いマスクをかぶった科学班員が懸念を伝える。
確かに殺人カビは増殖は早いものの、アジト内での培養には限度がある。
それを何とかしなくてはならなかった。

ふと死神博士は少女たちを目に留める。
「そうだ・・・この娘たちは改造人間の適正がかなり高い。であれば両親のうちのどちらかがまさに改造人間にうってつけの人材だろう。殺人カビを体内で培養するカビの改造人間を作り出し、そいつに殺人カビをばら撒かせるのだ」
死神博士はそういうと二人の少女に命令する。
「お前たちの両親をこのアジトに連れてくるのだ」
「「はい、死神博士」」
二人のレオタード姿の少女たちは死神博士にうなずいた。

                      ******


347:ショッカー代理人 ◆cVfFrJRnOU
08/05/17 02:58:08 v5lXsla50
眠れぬ夜を過ごす郁子。
純子と摩子がいなくなってからもう二日が経っている。
先日は住宅街で原因不明の奇病で十数人が亡くなったというが、二人も何か病気にかかったりしているのではないだろうか・・・
とにかく二人のことが心配で眠ってなどいられないのだ。
となりのベッドでも夫が身じろぎするのがわかる。
彼も眠れないのだろう。
今までこんなことはなかったのに・・・
思わず涙がこみ上げてくる。
純子・・・摩子・・・
郁子の枕が涙に濡れた。

突然寝室のドアが開く。
「えっ?」
驚いて飛び起きる郁子と信弘。
二人の視線の先には無事の帰りを願ってやまなかった二人の少女の姿があった。
「純子、摩子!」
ベッドから飛び降りて娘たちに駆け寄る郁子。
二人の無事な姿にもう何も考えられない。
「純子、摩子、よかった・・・」
しゃがみこんで二人の体を抱きしめる郁子。
信弘も思わず二人に駆け寄ってくる。
「純子、摩子・・・」
だが、肝心の純子と摩子の表情は変わらない。
それどころか何かひどく冷酷ささえ感じさせるものだった。


348:ショッカー代理人 ◆cVfFrJRnOU
08/05/17 03:00:13 v5lXsla50
「純子、摩子、どうしたの?」
郁子も思わず二人の顔を見る。
そういえば、お気に入りの白い服を着て出かけたはずの二人なのに、今着ているのは黒い服。
しかもレオタードではないか。
さらにはブーツまで履いたままだ。
「二人ともいったい・・・その格好はどうしたの?」
「純子、摩子、いったい何があったんだい?」
郁子も信弘も顔を見合わせる。
二人にいったい何があったというのだろう。

「パパ、ママ、迎えに来たわ」
「さあ、私たちと一緒にショッカーのアジトに来るのよ」
無表情のまま二人は口を開く。
それは何か不気味でさえあった。
「純子、摩子、いったいどうしたの?」
「純子、摩子、ショッカーってのは何なんだい?」
娘たちの変化に戸惑いを隠せない郁子と信弘。
「ショッカーは世界を支配する組織」
「私たちはショッカーの一員なの」
「ショッカーの一員?」
「どういうこと?」
顔を見合わせた郁子と信弘の前にさらに数人の人影が現れる。


349:ショッカー代理人 ◆cVfFrJRnOU
08/05/17 03:01:25 v5lXsla50
「イーッ!」
「イーッ!」
「な、何者だ、お前たちは!」
全身黒尽くめの男たちの出現に、思わず信弘は妻と娘をかばおうとする。
だが、一般の人間がショッカーの戦闘員に敵うはずはない。
信弘は腹部に一撃を食らい、気を失う。
「あ、あなた! うっ・・・」
郁子も戦闘員に首筋を一撃されて意識が遠くなる。
「よし、連れて行け」
赤戦闘員の指示の下、郁子と信弘を担ぎ出す戦闘員たち。
その後ろには二人の少女が付き従っていた。

                       ******

「うう・・・こ、ここは?」
目を覚ます信弘。
となりには妻の郁子が寝かされていた。
「郁子、郁子!」
「う、うう・・・ん」
信弘が揺さぶると、郁子も意識が戻る。
二人はお互いの無事を確認しあうと、周囲を確かめた。
どうやらどこかの地下か何かのようで、二人の周囲は鉄格子に囲まれている。
とりあえず信弘は鉄格子を揺すってみたが、どうにかなるようなものではなさそうだった。
「あなた・・・」
「くそっ、奴ら何者なんだ。俺たちをどうするつもりなんだ?」
郁子の肩を抱いて寄り添う信弘。
たった数日だと言うのに、自分たちに何がおきたというのだろうか。


350:ショッカー代理人 ◆cVfFrJRnOU
08/05/17 03:03:20 v5lXsla50
「目が覚めたようだな」
広くなった奥のほう、円形のテーブルの向こうから一人の男が近づいてくる。
すらっとした長身に黒いマントを羽織り、やせこけた顔には不気味な笑みを浮かべていた。
「な、何だお前は」
「私たちをどうするつもりですか? 純子と摩子はどこへやったんですか?」
二人は鉄格子を握り締め、目の前の男をにらみつける。
「私はショッカーの死神博士。子供たちならここにいる」
死神博士がマントのすそを広げると、黒いレオタード姿の二人の少女が姿を現した。
「純子、摩子」
「貴様、娘に何をした!」
「クックックックック・・・」
「何が可笑しい!」
信弘は鉄格子をがしゃがしゃと揺らして、何とか脱出しようと試みる。
「この娘たちにはわが催眠術でショッカーの思考を受け付けた。今のこの娘たちはショッカーの忠実なしもべなのだ。そうだな?」
「何だって?」
「純子、摩子」
郁子が鉄格子の間から手を伸ばす。
「はい。私たちはショッカーの忠実なしもべです」
「ショッカーの命令を聞きます」
無表情で立ち尽くす二人の少女。
郁子が手を伸ばしてもまったく反応がない。
「ひどい・・・二人を元に戻して」
郁子はキッと死神博士をにらみつけた。


351:ショッカー代理人 ◆cVfFrJRnOU
08/05/17 03:04:38 v5lXsla50
「ククククク・・・気を失っている間にお前たちの躰を調べさせてもらった。男のほうは戦闘員にもなれぬくずだが、女、お前は改造人間の適正が充分にある」
郁美に杖を向ける死神博士。
「改造人間? 何だそれは!」
「くずだなんてひどい。信弘さんはくずなんかじゃないわ!」
「黙るのだ。これよりお前はわがショッカーの改造手術を受け、カビの改造人間となってカビ作戦を指揮するのだ」
「カビ? 妻には手を出すな! 俺が許さん!」
信弘が郁子をかばうように背に隠す。
「その女を引きずり出せ」
「イーッ!」
「イーッ!」
いつの間にか現れた戦闘員たちが鉄格子をあけて入り込む。
「くそっ」
必死に郁子を守ろうとする信弘だったが、やはり戦闘員には敵わない。
両腕をねじり上げられ、信弘はあっという間に押さえつけられる。
「いやぁっ」
「郁子ぉっ」
信弘が取り押さえられている間に郁子は連れ出されてしまうのだった。

「いやぁ、いやぁっ」
テーブルと思われていた台に載せられる郁子。
着ている服はすべて剥ぎ取られ、下着すら取り去られてしまっている。
「郁子ぉ! 畜生、お前ら、郁子に手を出すなぁ!!」
牢獄に取り残された信弘が必死に叫ぶ。
「うるさい。そこでお前の妻が生まれ変わる様をたっぷりと見るがいい」
両手両足を拘束された郁子の白い肌を死神博士の杖がなぞる。
「いやぁっ! 助けてぇっ! いやよぉっ!」
手足をばたつかせて逃れようとする郁子だったが、拘束された手足はまったく自由にならなかった。
「怖がることはないわ、ママ」
「ママはこれから改造手術を受けるのよ」
二人の少女が笑みを浮かべる。


352:ショッカー代理人 ◆cVfFrJRnOU
08/05/17 03:06:14 v5lXsla50
ショッカーの思考を刷り込まれてしまった少女たちは、自分たちの母親が改造されることを喜んでしまうのだ。
「ああ・・・純子、摩子、お願い見ないでぇ」
娘たちに自分が裸を見せてしまっていることに言いようのない恥ずかしさを感じる一方、二人の娘たちのあまりの変わりように絶望感も募ってくる。
「郁子、郁子ぉ」
「あなたぁ」
お互いに絆を確かめ合うかのように手を伸ばしあう二人。
だが、そんなことにはお構い無しに死神博士が命じる。
「改造手術を始める」
「イーッ」
白マスクと白衣の科学班員たちが機器類をセットする。
「いやぁっ!」
郁子に対する改造手術が始まった。

ショッカーの改造手術は基本的には遺伝子変化による動植物との融合と各種薬剤による組織や骨格の強化、それに付随しての機械埋め込みというものである。
つまり、あくまでも生命体としての融合強化が主であり、機械埋め込みはあくまでも補助強化に過ぎないのだ。
郁子の体にはさまざまな色の光が当てられ、体内の遺伝子を変化しやすくさせて行く。
毒々しい色の液体が注射器から流し込まれ、構造の変化を受け入れるべく体内の準備をする。
麻酔をかけられて意識を失った郁子の体に殺人カビの遺伝子を取り込んだ緑色の液体が流し込まれ、彼女の赤い血が排出されていく。
「い、郁子ぉー!」
信弘の目の前で郁子は徐々に人間ではない存在に変化していくのだった。


353:ショッカー代理人 ◆cVfFrJRnOU
08/05/17 03:08:54 v5lXsla50
抜けるような郁子の白い肌。
それは信弘にとっても郁子にとっても自慢の肌だったが、血液の交換によって青緑色に染まっていく。
それどころか青緑を越えてどす黒く変化していくのだ。
体表に生えていた毛はすべて抜け落ち、黒く染まった皮膚はやがてなめし皮のように強靭な皮膚へと変わっていく。
両手の指先は爪が伸びて鋭くなり、両脚のつま先は指が癒合して無くなると同時に固く鋭いつま先へと変化する。
かかとも細く伸びてまるでハイヒールのブーツでも履いているかのような変化を見せ、人間の素足とは思えないものとなる。
郁美の全身はどす黒い皮膚に覆われ、黒く染まった頭部からは頭髪もすべて抜け落ちていたが、やがて彼女の上半身の皮膚がぼこぼこと膨らんでくる。
それは見る間に青緑色のカビへと変化していき、形のよい胸や首、肩、そして頭部全体が青緑色のカビで覆い尽くされた。

遺伝子の変化による肉体の変化が終わると、死神博士はおもむろにメスを持つ。
ここから先は彼の一番充実した楽しい時間となるのだ。
白衣の科学班員が用意した補助器官を変化した郁子に埋め込んで行く。
その手さばきはまさに神業。
メスが光り異形の肉体が切り開かれたかと思うと、次の瞬間にはもう補助器官が埋め込まれ、表皮が接着されているのだ。
わずかな時間で郁子の体にはいくつもの補助器官が埋め込まれ、新たな体を強化する。
「これでよい。後は脳改造を行うのみだ」
額の汗をぬぐう死神博士。
その表情は晴れやかだった。

354:ショッカー代理人 ◆cVfFrJRnOU
08/05/17 03:10:12 v5lXsla50
「ああ・・・郁子・・・郁子ぉ・・・」
目の前で異形の存在になってしまった自分の妻に愕然とする信弘。
あの自慢の美しかった妻が、今は上半身にカビを生やした化け物になってしまったのだ。
深い絶望と悲しみが信弘を襲っていた。

「う・・・う・・・ん・・・」
ゆっくりと目を開ける郁子。
頭部全体を青緑色のカビに覆われてしまった郁子だが、それでも整った目鼻立ちはフォルムとしては残っており、奇妙な美しささえ感じさせる。
「目が覚めたようだな、カビビンガよ」
死神博士の声がうっすらと目を覚ました郁子の意識を覚醒させる。
「えっ? ええっ?」
両手両足の拘束はいまだはずされておらず、郁子は首を曲げてあたりを確認するしかない。
なに・・・これ?
目に入ってきたのは円形の台に載せられた自分の体・・・のはずだったが、そこには青緑色の奇妙なカビに覆われた二つの胸のふくらみがあるだけだった。
「クククク・・・生まれ変わったお前の姿を見るがいい」
死神博士の顔にサディスティックな笑みが浮かぶ。
わざわざ天井の無影灯の脇に用意した鏡を使い、カビビンガと化した郁子の体を見せ付ける。
この瞬間の絶望と、脳改造後の誇りに満ちた表情とのギャップこそ、彼が人間を改造する最大の楽しみの一つなのだ。


355:ショッカー代理人 ◆cVfFrJRnOU
08/05/17 03:11:56 v5lXsla50
郁子は最初何がなんだかわからなかった。
天井に自分と同じように台に拘束された化け物がぶら下がっている。
そう思えたのだ。
だが、自分が首を動かしたりすると、まったく同じように首を動かしたりするその姿に、郁子はあれが鏡なんだと気が付かされる。
「いやぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
あまりのことに悲鳴を上げる郁子。
その化け物は黒いなめし皮のような皮膚の下半身と、青緑色のカビを全体に生やした上半身を持つまさにカビの化け物であり、その姿こそが現在の自分の姿であると思い知らされたのだ。
「郁子・・・郁子ぉ・・・」
その声にふと郁子はそちらを見る。
そこには牢獄にとらわれた夫が、愕然とした表情で彼女を見ていたのだ。
「いやぁっ、見ないで、見ないでぇっ!!」
思わず顔をそらす郁子。
「ママ、おめでとう」
「えっ?」
夫と逆のほうを向いた郁子の前には二人の少女が笑みを浮かべて立っていた。
「これでママはショッカーの改造人間よ。とても素敵だわ」
「これからはママじゃなくカビビンガ様ね」
「ああ・・・あああ・・・いや・・・いやぁっ!!」
いっそのこと気が狂いたかった。
狂えればどんなに楽なことか・・・
郁子は泣きたかった。
だが、涙は流れてはくれなかった。


356:ショッカー代理人 ◆cVfFrJRnOU
08/05/17 03:13:09 v5lXsla50
「嘆き悲しむことはない。これよりお前の脳を改造し、ショッカーの改造人間にふさわしい思考をするように変えてやる。そうなればお前は改造されたことを喜び、誇りに思うようになるだろう」
死神博士の手にメスが光る。
「ああ・・・いや、いやです。もう私の体をいじらないで。お願いだからやめてぇ」
首を振っていやいやをする郁子。
そのつど頭部のカビから胞子がこぼれ落ちていく。
「やめよ。このアジトを殺人カビでいっぱいにする気か?」
すぐにエアクリーナーが働き、郁子が散らした胞子をすべて吸い込んでいった。
「お願いです。やめてください」
「やめろぉっ! 郁子ぉっ!!」
「これより脳改造を始める」
二人の願いもむなしく、郁子への脳改造が始められた。

ショッカーの脳改造は洗脳と機械的コントロールチップ埋め込みの混合である。
死神博士は科学班員に埋め込み用のチップを持ってこさせ、その間にリング状の装置を郁子の頭の周囲に設置する。
郁子は麻酔をかけられることもなく頭部をメスで切り開かれ、むき出しになった脳にコントロールチップが埋め込まれた。
そして表皮が接着されると、死神博士は洗脳装置のスイッチを入れる。
リング状の装置からパルスが照射され、郁子の脳に埋め込まれたチップと共同で郁子にショッカーの思考を入力し始める。
頭蓋を切り裂かれた激痛に耐えていた郁子だったが、激痛はすぐに治まり、代わりに温かい心地よさが広がってくるのを感じていた。



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