08/05/12 23:31:23 PQBnbDAs0
あの人工衛星には、大きな鏡が仕掛けられていて、地上からのレーザー光線をそれに反射させ、
敵国の核ミサイルに当てて破壊するのだということ。
あの位置にあるのは、核ミサイルが大気圏を抜けて宇宙空間を飛んでいるときしか、
うち落とすチャンスがないためだということ。それはスターウォーズ計画といわれて、
世界じゅうが先手をとろうと争っているのだという事、
など説明したが……ふいにだまった。
彼女が何も聞いていないのがわかったからだ。
「あら、お話、続けて……。」
「いやだな、聞いてないんだから。」
「あなたの目の中に、私が映ってる……、あなたの中に私が入っている……。」
光太郎は、岩の上にひっくり返った。
(俺はばかだ、こんな時にこんな殺風景な話しかできない。)
人工衛星はまばたきもせずに光っていた。
(だけど、何を話したらいいんだ。おれがサイボーグだということか。
おれだってゴルゴムに作られたマシンだ。あの衛星とちっとも変わりゃあしない。)
光太郎は苦しげに目をつぶった。