おにゃのこが改造されるシーン素体9人目at SFX
おにゃのこが改造されるシーン素体9人目 - 暇つぶし2ch22:ショッカー代理人 ◆cVfFrJRnOU
08/01/30 18:36:30 o6/GgM980
昨日予告したとおり「ギラーコオロギ」のSSを投下いたします。
よければ読んでください。

こぽこぽとビーカーの中の赤い液体が音を立てている。
まるで沸騰しているかのようにビーカーの表面には泡が立ち、白い煙が湧き出ている。
ひんやりとした暗い室内に、白衣の人影が動き回っている。
見たところ、どこかの大学か企業の実験室のような趣だ。
だが、ここには窓もなく、うろついているのは頭からすっぽりと白いマスクをかぶった男ばかり。
マスクからは目鼻口が出せるようになっており、額の部分にはかつてのナチスが用いたようなワシが翼を広げたマークが入っている。
男たちはいずれも無言で実験器具の間を動き回り、一心に作業を進めているようだった。

突然ビーカーの液体から、先ほどとはうって変わった赤い煙が噴き出してくる。
白いマスクの男たちの動きがあわただしくなり、何か異常事態が起こったことを知らしめる。
やがて、室内はおろか周囲一帯に聞こえるほどの音量で警報が鳴り響き、室内から出る唯一の扉がロックされた。
「イーッ! た、助けてくれ!」
「か、過剰反応だ! イーッ! 出してくれぇ!」
白いマスクの男たちはわれ先にと扉に駆け寄るが、鋼鉄製と思われる扉は彼らの力ではびくともしない。
「が、がぁぁぁ・・・」
「ぐわぁぁぁ・・・」
やがて白いマスクの男たちは次々と喉をかきむしるようにして倒れていく。
室内に何か毒性の物が充満したことは間違いない。
一人、また一人と白いマスクの男たちが倒れ、そして室内に動く者は誰もいなくなった。

23:ショッカー代理人 ◆cVfFrJRnOU
08/01/30 18:37:18 o6/GgM980
「むむむむむ・・・何たるざまだ!」
「イーッ!」
ピシーンという音とともに、全身黒尽くめでありながら胸から腹部にかけて白い骨の絵が描かれた姿の男がもんどりうって倒れていく。
実験室の様子をモニターで見ていた異形の男の手にしたムチが、黒尽くめの男を打ち据えたのだ。
その姿はまさに異形。
頭部は巨大な三角形をしており、額の部分からは二本の触角と思えるものが伸びている。
三角形の中心には目つきの鋭い人間の顔があるものの、まるで何かの甲殻類の頭部のようだ。
首から下は全体的には人間の形を保っている。
だが、その体も蛇腹状の分厚い皮で覆われており、左手には鋭い鉤爪が付いていた。
背中には黒いマントを羽織り、腰には先ほどの男たちと同じようにワシのマークの付いたベルトが付けられている。
右手に持ったムチを、部下である黒尽くめの男に容赦なく振り下ろした彼こそ、世界征服をたくらむ組織ショッカーが自信を持って送り出した大幹部、“地獄大使”その人であった。

「地獄大使、やはり今のままでは殺人ビールスの培養は不可能です」
全身黒尽くめの男、ショッカーの戦闘員が恐る恐る進言する。
すでに科学者チームが二つ、実験失敗によって失われたのだ。
これ以上の損失はショッカー日本支部の評価をさらに貶めてしまうことになるだろう。
それは地獄大使にしても看過できることではない。
「わかっておる! すでに手は打った。お前たち、この女を連れてくるのだ!」
地獄大使が指し示すモニターに一人の女性が映し出される。
ショートにした黒髪と知的なメガネが地味ながら美しさをにじませている女性だ。
全体的に清楚さもかもし出している。
「左脇美津恵(さわき みづえ)。年齢三十四歳。阪東(はんどう)医科大学で微生物学の教授をやっている女だ。この女ならば殺人ビールスの培養に適任だろう。行けっ!」
「「イーッ!」」
戦闘員たちはいっせいに右手を上げて敬礼した。

                          ******


24:ショッカー代理人 ◆cVfFrJRnOU
08/01/30 18:39:12 o6/GgM980
「左脇先生、また爪のお手入れですか?」
白衣を着た若い女の助手たちがにこやかに話しかける。
左脇教授は学生や院生には人気が高い。
知的で清楚な美人であるが、飾らない人柄が愛されているのだ。
「ええ、そうよ。爪は大事にしなくちゃね」
いすに腰掛けて脚を組み、やすりで丁寧に爪を整える左脇美津恵。
やすりが終われば赤いマニキュアでコーティングも忘れない。
マニキュアが剥げかけるなどあってはならないことなのだ。
「でも、どうして先生はいつもそんなに爪の手入れをなさるんですか?」
テーブルの上にコーヒーを置く助手が、かねてからの疑問だったことを聞いてみる。
確かに研究にそれほど支障はないのかもしれないが、真っ赤な爪をいつも手入れしているというのはあまり褒められることではないのではないだろうか。
「うふふ・・・娘がね。まだ小学生なんだけど、お母さんの爪ってとってもきれいで大好きだって言ってくれるのよ。だから娘のためにもいつもきれいな赤い爪にしていたいの」
「そうなんですか。娘さんが」
うんうんとうなづいて納得する助手。
やっぱり褒められて悪い気のする者はいない。
前々から自分でも自慢できる爪だと思っていた美津恵は、娘に褒められたことですっかり気をよくしていたのだった。


25:ショッカー代理人 ◆cVfFrJRnOU
08/01/30 18:40:42 o6/GgM980
「な、何?」
「いやぁ・・・停電?」
いきなりのことにざわめく実験室内。
何が突然、昼間だというのに室内が暗くなる。
起こったというのか、みな不安そうに周囲を見回している。
「みんな落ち着いて。培養機や冷蔵庫を確認して。ここにあるのはみんな危険性のないものだけど、外に漏れたりしないようにね」
「はい、先生」
助手たちが確認作業に入ろうとしたとき、入り口の扉が突然開く。
「えっ?」
どかどかといきなり入ってくる黒尽くめの男たち。
ショッカーの戦闘員たちだ。
「イーッ! おとなしくしろ」
「イーッ! 抵抗しても無駄だ」
「キャーッ」
助手たちが悲鳴を上げ、戦闘員たちが次々と助手たちに襲い掛かり気を失わせていく。
何が起こっているのかわからないうちに、美津恵だけが取り残された。
「な、何です、あなたたちは」
「左脇美津恵だな。一緒に来てもらおう」
黒いマスクをかぶった戦闘員は一言そういうと、美津恵の腹部に当て身を食らわせる。
「うっ・・・」
意識を失い倒れこむ美津恵。
戦闘員たちはそれを確認すると、美津恵をはじめとして助手たちも全て担ぎ出していった。

                           ******


26:ショッカー代理人 ◆cVfFrJRnOU
08/01/30 18:41:32 o6/GgM980
「ここはどこなんですか?」
「私たちをどうするつもりなんですか?」
「学校に帰してください」
牢に閉じ込められた女性たちが必死に懇願する。
いきなりわけのわからない連中に連れてこられたのだ。
恐怖でパニックになるのは仕方がないだろう。
「ええい、うるさい!」
パシーンと地獄大使のムチが床に打ち付けられ、女性たちは身をすくみあがらせた。
「お前たちはショッカーのアジトに連れてこられた奴隷なのだ。おとなしく言うことを聞けば帰してやる」
「本当ですか? 本当に家に帰してくれるんですか?」
美津恵は連れてこられた女性たちの代表として、地獄大使に確認する。
せめて助手たちだけでも無事に帰さねば・・・
美津恵はそのためなら多少の妥協はやむをえないと覚悟していた。
おそらくこの奇妙な連中は産業スパイかテロリストだろう。
美津恵の微生物学の知識と技術を奪いに来たに違いない。
警察が助けに来てくれるまで時間を稼ぐことも必要だ。
「この地獄大使が約束しよう」
地獄大使の顔が不気味な笑みを浮かべていた。

美津恵たちに命じられたのは、やはりビールスの培養だった。
ある特殊なビールスを培養して欲しいというのだ。
データを見せてもらった美津恵だったが、データを見る限りにおいては問題のあるようなビールスではなく、単に培養のしづらいタイプのものであるらしい。
一刻も早く家に戻りたい、また助手たちも戻してやりたいと願う美津恵は、このビールスを培養することを承諾した。

                           ******


27:ショッカー代理人 ◆cVfFrJRnOU
08/01/30 18:42:22 o6/GgM980
いつものように爪の手入れをする美津恵。
連れ去られたときもやすりはポケットに入っていたのだ。
すでに基本的なことは全て終えてあり、後はビールスが順調に培養されるのを確認するだけ。
ビーカーの中の赤い液体がこぽこぽと音を立て泡立っているのは順調な証拠。
美津恵は満足して爪の手入れを行っているのだった。

「ほほう、爪の手入れなどしているようだが、培養は問題ないのだろうな」
実験室に姿を現す地獄大使。
その異形の姿はいつ見ても驚かされる。
「培養は順調よ。何の問題もないわ。爪の手入れぐらいかまわないはずよ」
美津恵はふっと息を吹きかけて爪の汚れを吹き飛ばす。
真っ赤にマニキュアを塗られた爪が輝き、美津恵の顔を映し出していた。
「お前はよほど爪が気に入っているようだな」
「ええ、私はこのきれいな爪が大好きよ。娘にもきれいだって言われるしね」
形の整った爪を眺める美津恵。
この爪の手入れをしている時間が、美津恵にとっては落ち着ける時間なのだった。

                            ******

一週間後、美津恵たちは地獄大使の前に集められる。
この一週間で美津恵たちの作業はほぼ終了し、ビールスの培養も問題なく行われたのだ。
美津恵はこれで娘に会えるとホッとしていた。
美津恵の娘春花(はるか)は父親が事故で死んでしまったために、普段は美津恵の両親が面倒を見てくれている。
大学に篭りっきりになることが多い美津恵にとって、娘と会うことは何よりの楽しいことだった。


28:ショッカー代理人 ◆cVfFrJRnOU
08/01/30 18:43:49 o6/GgM980
「お前たち。今日までご苦労だった。これでわがショッカーの殺人ビールスは完成した」
地獄大使の顔に会心の笑みが浮かぶ。
「さ、殺人ビールスですって?」
美津恵は驚いた。
データに現れた特長にはそんなことは微塵も触れられていなかったのだ。
「ふふふふふ・・・お前たちに見せたデータは偽物だ。お前たちは何も知らずに殺人ビールスを培養していたのだ」
「ひ、ひどい。私たちをだましたのね」
「そんなのひどいわ」
美津恵も助手たちも唇をかみ締める。
だまされたとはいえ殺人ビールスを作ってしまうなんて・・・
「ええい、黙れ!」
またしても地獄大使のムチがうなる。
「こいつらを牢に閉じ込めろ。左脇美津恵、お前にはまだもう一つやってもらうことがある。連れて行け!」
「「イーッ!」」
美津恵たちの背後に控えていた戦闘員たちが無理やり美津恵たちを押さえつける。
「は、離して」
「いやぁっ」
美津恵も助手たちも必死で抵抗するものの、戦闘員たちは強い力で美津恵たちを引きずるように連れて行く。
「むはははは・・・これからが楽しみだわい」
あとには地獄大使の笑い声だけが残っていた。

                           ******


29:ショッカー代理人 ◆cVfFrJRnOU
08/01/30 18:45:08 o6/GgM980
冷たい円形の台座。
周囲にはさまざまな機器がすえつけられ、この台座が何かの目的のために作られたことがわかる。
それは人間の改造。
ショッカーに忠実な改造人間を作る手術台なのだ。
今、その円形の手術台の上に美津恵は寝かされていた。
両手と両足首は固定され、服も下着も剥ぎ取られ、白いシーツだけがかぶされている。
「いやぁっ! 私をどうするつもり? 放して! 放してぇ!」
手足をばたつかせ泣き喚く美津恵。
これから何が行われるかわからないが、恐ろしい運命が待ち構えていることだけはわかっていた。
「ええい、うるさい! お前はこれからわがショッカーの誇る改造手術によって、改造人間として生まれ変わるのだ」
ムチを丸めて美津恵のあごを持ち上げ、いやらしい笑みを浮かべている地獄大使。
「か、改造人間? そんなのはいやです!」
「黙れ! お前には培養した殺人ビールスを広める仕事をしてもらう。殺人ビールスと殺人音波を操るコオロギの怪人ギラーコオロギとなるのだ」
「ギラーコオロギ? そんなのはいやぁっ」
美津恵は必死にもがくが、手足を固定したベルトはまったく外れようとはしない。
「むはははは・・・心配はいらん。お前の大切にしている赤い爪。その赤い爪に殺人ビールスを仕込んでやろう。どうだ、うれしかろう。むはははは」
楽しそうに高笑いをする地獄大使。
その異形の姿が美津恵を絶望に追い込んで行く。
ああ・・・誰か・・・助けて・・・あなた・・・
美津恵の目から涙があふれた。


30:ショッカー代理人 ◆cVfFrJRnOU
08/01/30 18:45:57 o6/GgM980
「改造を開始しろ」
ムチをふって指示を下す地獄大使。
「イーッ!」
白いマスクをかぶった科学班の戦闘員たちが美津恵の顔に呼吸用マスクをつける。
そこから麻酔ガスを放出し、美津恵の意識を失わせる。
かけられていたシーツが取り去られ、円形の手術台のあちこちからチューブが伸び、美津恵の白い肌に突き刺さっていく。
薬液が注入され、遺伝子レベルから細胞を変化させていくのだ。
さらにさまざまな色とりどりの光線が浴びせられ、肉体の変化を促進して行く。
みるみるうちに美津恵の美しい肉体は茶と紫の入り混じったような色をしたコオロギの外骨格へと変貌しはじめた。
胸のふくらみは保持されたまま、同心円状の節が覆うコオロギの腹部のように変化して行き、つま先は足の指がなくなって一体化し、かかとは高く尖ってハイヒール状に変化する。
背中からは薄い翅が伸び、それが硬くなってぎざぎざのやすり状になっていく。
両腕は硬い外骨格が覆い、白く滑らかだった指先は赤い爪がかぎ爪のように鋭く尖って行く。
そして美津恵の頭部は巨大なヘルメット状の外骨格に覆われて行き、巨大な複眼と触角が形成される。
口元には鋭い牙と左右に割れる強靭なあごが作られた。
先ほどまで美人女教授として名の通っていた美津恵は、人間の面影を残した巨大なコオロギと化していったのだった。


31:ショッカー代理人 ◆cVfFrJRnOU
08/01/30 18:46:49 o6/GgM980
肉体の変化が一段落すると、こんどは補助機関が埋め込まれる。
心臓の強化や肺機能の強化など強靭な肉体にするための機器と、殺人音波発生器や爪に殺人ビールスを送るための小型ポンプなどが装着される。
あれほど自慢だった美津恵の赤い爪は、いまや殺人ビールスを注入するための器官となったのだ。

そして、最後に行われるのがショッカーに忠実に従うよう思考を変える脳改造である。
コントロールチップの埋め込みと、洗脳波による洗脳の併用で美津恵の意識を変容させ、ショッカーに忠実な改造人間であることの喜びを感じるように変えてしまうのだ。
麻酔を受け意識を失っている美津恵は、その意識をまったく自覚することなく変えられてしまうのだった。

やがて、改造を終えコオロギ怪人となった美津恵の体がぴくぴくと覚醒し始める。
すでに両手両足のベルトは取り外され、いつでも自由に起き上がることができるようになっていた。
頭の左右に付いた巨大な複眼が輝きを取り戻し、赤い尖った爪の付いた指先が動き始めてくる。
「ギィーーーラァーーー」
やがてかつて美津恵だったコオロギ怪人は、うなり声を上げて上半身をゆっくりと起こした。
「うむ、目覚めたようだな。ギラーコオロギよ」
地獄大使が生まれ変わった美津恵を満足そうに見つめている。
「おほほほほ・・・私はショッカーの改造人間ギラーコオロギ。地獄大使。何なりとご命令を」
手術台から降り立つと、ギラーコオロギは地獄大使に一礼する。
もはや美津恵の意識は変容し、ショッカーの怪人ギラーコオロギとしての思考に変わってしまっているのだった。

                        ******

32:ショッカー代理人 ◆cVfFrJRnOU
08/01/30 18:47:42 o6/GgM980
「お願い、家に帰してー」
「いやぁっ、死にたくないよぅ」
「誰か助けてぇ」
牢に閉じ込められてしまっている四人の助手たち。
いずれもが左脇教授の研究室には欠かせない女性たちだ。
だからこそ美津恵は彼女たちだけでも解放してもらおうとしていたのだ。
「むっはっはっはっは・・・待たせたなお前たち」
その彼女たちの牢にあの異形の男、地獄大使が姿を見せる。
「お願いです、私たちを帰して」
「左脇先生はどうしたんですか?」
「ここのことは誰にも言いません」
牢の鉄格子をつかみ、口々に訴える女性たち。
みな大学や大学院を経て研究室に配属された若い女性たちばかりだ。
「ギィーーーラァーーー! お前たち、静かにしたらどう」
地獄大使の背後から、彼に勝るとも劣らない異形の存在が入ってくる。
巨大な頭には複眼と触角を持ち、昆虫の腹部のような胸を二つ誇らしげにさらしている。
背中には硬く薄い翅を持っており、両手の先には鋭い赤い爪が輝いていた。
「きゃぁっ」
助手たちはいっせいに鉄格子から離れ、牢の奥にあと退る。
「おほほほほ・・・お前たちにはこの私ギラーコオロギの実験材料になってもらうわ。この殺人ビールスを埋め込んだ赤い爪の実験材料にね。おほほほほ・・・」
口元に手をやって高らかに笑うギラーコオロギ。
彼女にとっては目の前の女たちなどモルモット同然なのだ。
「いやぁっ」
「助けてぇ」
牢のすみに固まる女性たち。
だが、ギラーコオロギは牢の鉄格子をたやすく捻じ曲げて中に入り、女性たちにじわじわと近づいた。


33:ショッカー代理人 ◆cVfFrJRnOU
08/01/30 18:48:32 o6/GgM980
「ギィーーーラァーーー! まずはお前よ」
一番外側に押し出されるような形になっていた女性を捕まえると、ギラーコオロギはその鋭く尖った赤い爪を彼女の首筋に埋め込んだ。
「きゃぁー」
叫び声を上げて白衣の女性は床に倒れこむ。
「ひぃっ」
他の三人の女性たちは真っ青になって声も出ない。
「おほほほほ・・・これでいいわ。あとは私は見ているだけね」
口元に手の甲を当てて高笑いすると、ギラーコオロギは牢の外へ出てしまう。
「ふふふふふ・・・ここからが楽しいのだ」
地獄大使の表情が醜い笑いに歪んでいた。

「亜希、亜希、大丈夫?」
「西原さん、西原さん」
恐る恐る倒れた女性の名を呼ぶ他の女性たち。
だが、近寄ろうとはまったくしない。
床に倒れた女性は最初苦しがっていたものの、やがてぐったりとなり、死んでしまったかのように見える。
だが、しばらくするとその体がぴくぴくと動き始めた。
そして倒れて床に投げ出されていた両手の指先が赤くなっていく。
倒れた女性の指先の爪が、まるで毒々しいマニキュアを塗ったみたいに真っ赤に染まって鋭く伸びてきたのだ。
やがて倒れていた女性はゆっくりと起き上がる。
青ざめた顔には歪んだ笑みが浮かび、目の周りにはアイシャドウでも塗ったかのように隈取りされていた。


34:ショッカー代理人 ◆cVfFrJRnOU
08/01/30 18:49:26 o6/GgM980
「「きゃぁーっ!」」
いっせいに悲鳴を上げる女性たち。
その彼女たちに向かって、起き上がった女が赤い爪をかざして襲い掛かる。
鋭く尖った赤い爪がまた一人の女ののどに突き立てられた。
「あがっ」
床に倒れる突き立てられた女性。
だがすぐに彼女もまた赤い爪をかざして立ち上がる。
見る間に四人の女性は全てが赤い爪で傷つけられ、自らも赤い爪を持つ保菌者として微笑んでいた。

「おほほほほ・・・私の赤い爪でビールスを植えつけられた者は、ビールスによって脳を犯されショッカーの言うがままに動くようになるわ。そして自らも赤い爪が生え、他の人間を襲うようになり、最後には死んでいくのよ。おほほほほほ」
口元に手の甲を当てて高笑いをするギラーコオロギ。
その姿にあの美津恵を見出すことはもはやできない。
「うむ。よくやったぞギラーコオロギ。実験は成功だ」
地獄大使は満足そうに歪んだ笑みを浮かべていた。

                             ******


35:ショッカー代理人 ◆cVfFrJRnOU
08/01/30 18:50:17 o6/GgM980
「行ってきます」
ランドセルを背負った少女が元気に玄関から飛び出してくる。
「車に気をつけて行くんだよ」
初老に差し掛かった婦人が玄関先で少女を見送っている。
「ハーイ、わかってます、お祖母ちゃん」
後ろを振り返り、手を振ってはまた駆け出して行く。
別に遅刻しそうというのでもないのだろうが、元気がいっぱいなのと学校へ行くのが楽しみなんだろう。
だが、その足取りが急に重くなる。
「お母さん・・・」
夕べも母親が帰ってこなかったのだ。
時々研究のせいで帰らないことはあったが、これでもう十日近くも帰ってこない。
お祖父ちゃんもお祖母ちゃんも黙っているけど、お母さんがいなくなったのは間違いない。
この前はお巡りさんが家に来て、お祖父ちゃんとお祖母ちゃんに何か話していた。
お母さんはどうしちゃったんだろう・・・
会いたいよぉ・・・
「お母さん・・・春花は寂しいよ」
うつむいているとじわっと涙が出てきてしまう。
家ではお祖父ちゃんとお祖母ちゃんに心配をかけたくないから泣かないようにしているけど、家を出ると張り詰めていたものがなくなって、急に悲しくなってしまったのだった。
それでも春花はこぶしでぐいと涙を拭くと、また前を向いて歩き始めた。


36:ショッカー代理人 ◆cVfFrJRnOU
08/01/30 18:51:51 o6/GgM980
「春花」
突然道の脇から声がかけられる。
春花がふと見ると、空き地に女の人が立っていた。
「お、お母さん?」
ショートカットの髪に知的なメガネ。
それは紛れもなく春花の母、左脇美津恵だ。
「春花」
「お母さん。お母さーん」
春花はもう一も二もなく駆け寄って行く。
いなくなってしまった母親が目の前にいるのだ。
無理もなかった。
「お母さん」
抱きつくようにして母親にしがみつく春花。
そんな春花を抱きしめる美津恵の顔に歪んだ笑みが浮かぶ。
「うふふふふ・・・ギィーーーラァーーー!」
いきなり美津恵がそう叫んだかと思うと、春花を抱きしめていた腕がみるみる外骨格に覆われて行く。
「えっ? きゃぁーっ!」
目の前で母親が異形の存在に変わっていくのを見て春花は悲鳴を上げた。


37:ショッカー代理人 ◆cVfFrJRnOU
08/01/30 18:52:42 o6/GgM980
「おほほほほ・・・春花、私はショッカーによって改造されたのよ。今の私はショッカーの改造人間ギラーコオロギ。どう? 素敵でしょ?」
「い、いやぁっ! 離してぇ!」
必死に手足をばたつかせて逃げようとする春花。
だが、がっちりとつかまれてしまい逃げることができない。
「ギィーーーラァーーー! お前は私の赤い爪が大好きだったでしょ。今お前にも赤い爪を与えてあげるわ。おーっほほほほ・・・」
ギラーコオロギは高笑いすると、その爪を春花の皮膚に突き刺した。
「痛い! ああ・・・あああ・・・」
たちまち春花はぐったりとなって地面に倒れてしまう。
ギラーコオロギの殺人ビールスが体内に回ったのだ。
そして数分後・・・
目の周りをアイシャドウで塗ったような春花がゆっくりと立ち上がる。
その両手の爪は真っ赤に毒々しく輝き、先端からはビールスがにじみ出ているかのようだった。
「おほほほほ・・・これでお前も殺人ビールスの保菌者よ。学校へ行ってそのビールスを撒き散らしなさい」
「はい・・・ギラーコオロギ様」
無表情で春花はうなずく。
そしてくるっと振り向くと、何事もなかったかのように学校へ向かって歩き始めた。
「おほほほほ・・・学校が阿鼻叫喚の渦に包まれるのも間もなくね。おーっほほほほ・・・」
あとにはギラーコオロギの高笑いだけが響いていた。

38:ショッカー代理人 ◆cVfFrJRnOU
08/01/30 18:58:07 o6/GgM980
以上でした。

いやぁ・・・久しぶりに書いたものですからボロボロですね。
お目汚し失礼いたしました。

文中の描写は、極力「仮面ライダー」という特撮番組を意識しています。
昼間なのに暗くなって戦闘員が入ってきたりとか、ビーカーから煙が出ているとか
ウィルスではなくビールスと呼んだりとか・・・
当時の雰囲気を感じてくださればうれしいです。

またそのうち何か書きたいと思います。
感想とかもらえるとうれしいです。


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