仮面ライダーバトルロワイヤル Part5at SFX
仮面ライダーバトルロワイヤル Part5 - 暇つぶし2ch784:名無しより愛をこめて
07/07/22 16:58:34 DdVZ1YC40
>>781
いつもながらお疲れ様です!!
どんどん潤ってくまとめサイト…すげえぜ!

785:名無しより愛をこめて
07/07/22 17:37:18 XQc9X2L90
小沢 澄子、リュウガ、ジャーク将軍、上城 睦月、ガライ、ジェネラルシャドウ、影山 冴子
予約します。

786:名無しより愛をこめて
07/07/22 18:33:38 7hEr4QN40
ちょwww
リュウガの死亡シーンしか思い浮かばねえw

787:名無しより愛をこめて
07/07/22 18:35:48 msD9G2YQ0
>>785
とりあえずトリ忘れてますよ

788: ◆ooH1rChbak
07/07/22 18:37:52 XQc9X2L90
>>787
しまった、ホントだ。ありがとうございます。

789:名無しより愛をこめて
07/07/22 18:39:44 msD9G2YQ0
うっかりさんだなw 楽しみにしています。

790:名無しより愛をこめて
07/07/22 18:43:56 XoXrxOLc0
ここで一発、小沢姐さんが睦月に渇を入れてくれると嬉しい。

791:名無しより愛をこめて
07/07/22 21:13:20 Fqy3jnCA0
>>786
ひでえwww
でも俺もそうなんだがどうしようww

792: ◆vHOqGgdf1U
07/07/23 01:36:59 sTHWyugT0
>>782
ログありがとうございます。
まとめサイトの方に手を加えた上でアップさせていただきました。
番外編を記載されるなら、歓迎いたします。盛り上がることはいいことだ。

>>785
ジャーク将軍たちの行く末、楽しみにしております。

793:名無しより愛をこめて
07/07/23 14:32:40 oK/R1ZdH0
今動いている書き手ってどれ位居るのだろうか?
書き手別のところを見ると、最近の話を書いている書き手が少なくなっているような・・・・?

794:名無しより愛をこめて
07/07/23 17:25:36 N0mimTMmO
動きたいけどネタが……無いです。


795:名無しより愛をこめて
07/07/23 20:00:28 lFKxkLXe0
したらばに没ネタ投稿スレを立ててもよろしいでしょうか?

796: ◆TJ9qoWuqvA
07/07/23 21:13:53 YRj7ZZjN0
>>795
もちろんOKです。

進行状況報告。
七割できました。今回色々立て込んでましたが、何とか期限までに投下できそうです。

797:名無しより愛をこめて
07/07/23 22:10:11 N0mimTMmO
>>796
楽しみに待っています。

798:名無しより愛をこめて
07/07/23 23:24:51 lFKxkLXe0



>>796
したらばにスレを立ててきました。これからも新作を期待しています。

799: ◆vHOqGgdf1U
07/07/24 22:21:59 oKYjU1K/0
自己リレーになりますが、結城丈二とシャドームーンを予約します。
調子よければ今日、悪くても明日か明後日には投下できると思います。

800: ◆TJ9qoWuqvA
07/07/24 23:31:34 Cm/8V0ff0
>>799
楽しみにしています。

それでは、投下を開始します。

801:モンスター ◆TJ9qoWuqvA
07/07/24 23:32:16 Cm/8V0ff0
 放送が近付き、草加が気絶している面子を起こす。眠りの深い蓮以外は目を覚まし、天道の死を知った。
 浮かぶ無念の表情。零れ落ちる涙。紡がれる悲痛な叫び。支配する絶望の闇。
 夕日は落ちていき、仮面ライダーたちを闇に包ませていく。
 灰になった天道の身体。彼らはその前で、悲しみに満ちた顔をしていた。
 その中、動く者がいる。カリス、またの名を相川始。
「始!?」
 剣崎が驚き、彼を見る。だが、始は放置されていたバイクに跨り、脇目も振らずエンジンを起動させる。
「南光太郎。シャドームーンからの伝言だ。結城丈二を返して欲しければ、E5エリアのビルまで来いと言うことだ」
「なにっ! 信彦と会ったのか!?」
「お前に言うべきことはそれだけだ。さらばだ!」
「待つんだ、始! お前に言うことが……」
「剣崎、俺たちは会わないほうがいい。……もし再会するとなるなら、俺かお前、どちらかが優勝するときだ」
 言い残し、始はバイクで遠ざかる。その様子を剣崎は悔しげに見つめていた。
「なかなかやるじゃないか。その姿で煽って殺しあうことを促進させるなんて」
 告げたのは草加雅人。凍てつく眼差しで剣崎……いや、剣崎に擬態した神代を射抜いていた。
 だが、剣崎はその長髪を揺らしながら、草加へと向き直る。
「違う。今の俺は剣崎一真だ。……神代は俺の中で友達の死を悲しんでいる」
「どういうことだ?」
「神代は自分の中にいる俺を消さなかった。だから死んだ後でもああして始と再会できた。俺は神代に協力す……」
 剣崎の決意の言葉は、放送を告げるチャイムに邪魔される。
 もうそんな時間かと考え、剣崎は耳を澄ませた。神代は悲しみに沈んでいる。
 彼の純真な願いを叶えるため、心を鬼にして放送の内容をメモにとった。


 告げられる放送の内容。草加は天道の死を目の前で見た。ヒビキの死も秋山から聞いているし、死体も確認した。

802:モンスター ◆TJ9qoWuqvA
07/07/24 23:33:35 Cm/8V0ff0
 殺された人数は八人。真理を生き返らせるカウントダウンは順調といっていい。
 だが、放送で告げられるべき怪物の名がなかった。
「生きていたか! ドラスッ!!」
 草加はクシャッと名簿を握りつぶし、歯を鳴らして天を睨みつける。隣で水が崩れるような音がして、振り返ると姿を戻した神代がいた。
 白い燕尾服に乗る端正な顔には、怒りの表情が浮かんでいる。続けて彼は駆け出し、その場を離れていく。
 草加は一瞬どうするか迷ったが、放っておくことにした。目的は見当がついている。
 天道の死に涙していた氷川が、彼に声をかける
「どこに行くんですか? 神代さん!!」
「ドラスは生きていた。だが、逃がさん! 俺が殺して、この殺し合いで頂点に立ち、全てを無かったことにする!
……天道の死も、カ・ガーミンの死も、このふざけた殺し合いも、全て無かったことにする!
氷川、ドラスを倒したらお前の決闘を受けよう。俺は頂点に立つのをやめる気はない!」
「待ってください、神代さん!! 一人じゃ危険です!!」
 だが、彼の言葉は届かず、神代はその身体を瓦礫の山へと消していった。
 やはり、草加の予想通りドラスを殺しに向かってくれるようだ。どれほどドラスが傷ついているかは知らないが、変身に対する制限さえ解ければあいつ一人でもダメージを与えれるかもしれない。
 できれば相打ちして欲しいが、高望みが過ぎるだろう。
(それにしても、あれで生きていたとはな。だがな、ドラス。お前の苦しむ時間が増えただけである事を、その身に味あわせてやる。
覚悟しろよ。真理、君を汚した奴らは俺の手で始末するから、安心してくれ)
 草加の歪んだ決意は止まらない。その決意を叶えるため、面子を見回す。
 誰も彼も絶望に沈んでいた。天道が死に、ドラスが生きていたとなれば当然だろう。
 だが草加には知ったことじゃない。早く立ち直り、戦力になってもらわなければ困る。
 ドラスを殺すため、ジャーク将軍と名乗る軍団を潰すための駒が戦力にならないなど、洒落にならない。
 つかつかと矢車に詰め寄り、その顔を観察する。
 彼のエリート然とした端正な顔は打ちひしがれ、目の周りに隈ができ、消耗を露にしている。
 悔しさからか、身体を震わせていた。放送を聞いてから、いや、天道が死んでから彼は一言も発していない。

803:モンスター ◆TJ9qoWuqvA
07/07/24 23:34:40 Cm/8V0ff0
 それがいっそう彼の絶望の深さを示していた。面倒くさいなと内心呟き、怒りを混ぜて胸倉を掴む。
「なんだ、そのふぬけた顔は? お前は脱出を目指していたんだろ?
たかが一人死んだだけで、もうギブアップか? 完全調和、笑わせる」
「草加さんっ!」
 声を張り上げる氷川を無視して、腕に力を込めて矢車の頭を上げる。
 まだ瞳に光は灯っていない。
「そいつを殺した張本人、ドラスを殺そうともしない。たかだか一人死んだだけで脱出を諦める。
お前に率いられたのがこの集団の運の悪いところだ。お前のような、ふぬけたリーダーをもつところだったのがな」
「草加っ! もうやめろ!」
 巧が草加の腕を掴んでくる。矢車を投げ捨て、返す腕で巧の頬を殴りつけた。
 しかし、巧にも怒声を張り上げる気力はないようだ。その様子に更に苛立ちを募らせる。
 まるで、天道の死で真理の遺体を汚された事実を忘れたかのような、巧の姿に。
 一瞬、草加は我を忘れてしまった。
「どうした、乾!! お前もふぬけたか!? あのドラスって化け物が何をしたのか忘れたのか!?
真理の遺体を冴子と組んで灰にしたんだぞ! 埋葬すらできなくしたんだぞ!
お前にとって真理はその程度の存在だったてことか? ふざけるな!!」
「草加…………」
 呆然とした巧の顔が草加の怒りを頂点にたたせた。
 雨の中、真理に否定された日を思い出す。あの時自分の拳は受け止められたが、今はすんなりと入っている。
 人を殴る音が再度響く。草加が巧を殴るのを阻止しようと、南、氷川、木野が動こうとする。それよりも先に草加は言葉を紡いだ。
「真理はな、俺を救ってくれるかもしれない女なんだ! 俺の母親になってくれるかもしれない女なんだ!!
この俺の言葉、忘れたといわせないぞ! 乾!!」
 その言葉に貫かれたように、誰も動かない。否、一人だけ、反応した者がいた。
「そうですよ、今は落ち込んでいる場合じゃない!」
 いち早く瞳に熱い思いを復活させた男、光太郎が賛同してくる。
 草加は立ち直りの早い男だと呆れる程度には頭が冷えてきた。

804:名無しより愛をこめて
07/07/24 23:35:02 FXExVJWSO
>>799
楽しみにしてます!!
結城…光太郎が助けに行くまで頑張ってくれ…!

805:名無しより愛をこめて
07/07/24 23:36:43 L3/mycOcO
支援

806:モンスター ◆TJ9qoWuqvA
07/07/24 23:36:51 Cm/8V0ff0
 少し熱くなりすぎたようだが、結果的には成功だ。
「ドラスが生きていたのなら、何度でも倒す。それが、俺たち仮面ライダーの使命です!
みなさん、力を合わせて、天道さんの仇を討ちましょう! ドラス、許さん!!」
 力強く宣言する光太郎に呼応し、みんな瞳に力を取り戻していく。
 だが、矢車だけはいまだに憔悴したままだ。まあ、構わない。
 戦力が一人減った。ただそれだけだ。
 始の言っていた言葉を思い出す。シャドームーンと呼ばれた銀色のライダーの強さを草加は知っていた。
 南と相打ちさせておくことが得策かと考え、答えが決まっている質問をする。
「……それじゃ、南くん。シャドームーンとのことはどうするんだ?」
「草加さん、合流場所を決めてください。結城さんを助けた後、俺もそこに向かいます」
「分かった。それじゃあ合流場所は……」
「その合流場所について、提案があります」
 草加は声の主、木野へ向き直り先を促す。
「私たちはここに来る前、他の方とチームを組んでいました。彼らは戦えないメンバーが混ざっていたため、とある場所に待機してもらっています。
そこを合流場所と決めて、戦力を一箇所にまとめたいのですが、どうでしょうか?」
「悪くない提案だな。どこなんだ?」
「あそこに見える、一番高いビルの屋上、そこが合流場所です」
「E4エリアの中央か。そこへ向かうぞ。南もそこが合流場所でいいな」
「はいっ!」
 光太郎は勢いよく答え、シャドームーンの待つ決戦の場へと足を向けた。
 だが、その彼にかけられる声があった。
「待ってくれ、僕も行く」
 声の主、日下部ひよりに全員の視線が集中する。

807:名無しより愛をこめて
07/07/24 23:37:23 PH+9GYtX0


808:名無しより愛をこめて
07/07/24 23:38:02 L3/mycOcO
支援

809:モンスター ◆TJ9qoWuqvA
07/07/24 23:38:10 Cm/8V0ff0
 彼女はその視線を真っ向から返していた。


 時間は少しだけ遡る。
 天道だった灰は彼女の手から零れ落ちる。その行為で彼の『死』という運命は、止められないものだったような気がしてきた。
 最初会ったときは偉そうな、変な奴だと思った。チューリップを見るのを誘ったときはお節介で強引な奴だと思った。
 樹花を見て穏やかな顔をする彼を少し羨ましく思った。兄だと打ち明けた彼に、期待を寄せた。
 そして、ひよりは自分の身体に絶望する。彼の妹である資格は無いと。
 そんな時、彼女は見知らぬこの土地へと拉致された。
 目の前で人を殺され、恐怖する彼女。氷川、シャドームーン、リュウガ。彼らがいなければ、自分は天道に再会する前に死んでいただろう。
 同時に、先に天道が死ぬこともなかったのでは?という疑問が頭から離れない。
 最後に彼は自分と仲間を守るために、死を覚悟して変身した。
 守りたかったのに救えなかった。こんなに辛い思いをするなら、

 化け物の自分が、あの二人、天道と加賀美の代わりに死ねばよかったのに。

 二人が揃っている姿が好きだったが、もう見れない。
 天道が生きているときは実感できなかったのに、今は絶望という形でひよりに圧し掛かってくる。
 天道なら何とかしてくれる。そういった思いが、彼女にもまたあったからだ。
 涙が手の甲を濡らしていく。その彼女の耳に、知り合いの名が入る。
「南光太郎。シャドームーンからの伝言だ。結城丈二を返して欲しければ、E5エリアのビルまで来いと言うことだ」
 僅かの間、自分たちの傍にいた彼。
 彼はどうしているのだろうと、思っているとき天道の死が空より告げられた。
 その甘い言葉に切り裂かれる心。

810:名無しより愛をこめて
07/07/24 23:38:45 L3/mycOcO
支援

811:名無しより愛をこめて
07/07/24 23:39:27 L3/mycOcO
支援

812:モンスター ◆TJ9qoWuqvA
07/07/24 23:39:32 Cm/8V0ff0
 再び絶望する彼女に、天道の言葉が蘇る。

『ひより、俺はお前を最後まで守ることはできなかった。だが、リュウガや氷川はきっとお前を助けてくれる』

 だが、氷川は傷つき、リュウガは連れさらわれてしまった。
 拳を痛いほど握る。
(もう、守られるのはイヤだ)
 いつも、自分は守られてばかりだった。ジョーカーだったリュウガに最初襲われたときは、ギターを背負った男に助けられた。
 最初草加に襲われたときは氷川が助けてくれたのだろう。
 襲われる天道を目の前に戦おうとした自分を、ジョーカーをやめてまでリュウガは助けてくれた。
 そして、再度襲ってきた草加から、氷川と結城が守ってくれたと聞いた。
 なのに自分は誰にも報いてない。だから、天道に代わって戦おう。
 リュウガも助けに行きたい。
 ゆっくりと立ち上がり、光太郎の背中を見つめる。
「待ってくれ、僕も行く」
 まずは、少しの間だけ、守ってくれたシャドームーンに会いに行こう。
(天道、まずはお願いしに行くよ。シャドームーンに、仮面ライダーになってって)
 兄の想いを叶えるため、ひよりは前に進む事を選択する。
 たとえそれが、天道の望まぬ『戦い』への決意だとしても。


 ひよりの頼みを聞き、光太郎は断ろうとする。
 自分はただシャドームーンに会いに行くだけじゃない。彼と戦うかもしれないのだ。
 しかも、結城を救いにだ。もし彼がゴルゴム時代の記憶を取り戻すようなことがあれば、彼女は容赦なく殺されてしまう。
 そんな危険な場所に無力な彼女を連れて行くわけにはいかない。

813:名無しより愛をこめて
07/07/24 23:40:10 L3/mycOcO
支援

814:名無しより愛をこめて
07/07/24 23:40:57 L3/mycOcO
支援

815:モンスター ◆TJ9qoWuqvA
07/07/24 23:41:01 Cm/8V0ff0
 光太郎の判断はもっともだ。だが、ひよりは折れない。
「頼む、あいつに会って、話したいことがあるんだ」
「ですから、結城さんを人質にとり、俺と戦おうとしているシャドームーンの元へは一緒に行けません。みんなと俺と結城さんの帰りを待っていてください」
「駄目だ! 僕は誰にも傷ついて欲しくない。シャドームーンにも……だから一緒に行かせてくれ」
 さっきからこのやり取りを繰り返している。
 天道の妹なだけはあると、疲れたようにため息を吐く光太郎に、氷川が肩を叩く。
「南さん、僕も一緒行きます。ひよりさんを守るのは僕に任せてください」
「氷川くん!」
 氷川は驚く回りの視線を、決意を込めた表情で返している。
「僕がいれば、ひよりさんが危険な目にあいそうなときにフォローに入れます。
南さんは気にせずにシャドームーンと決着をつけて、結城さんを助けてください。
その後、彼を味方に引き込みましょう」
 まっすぐに信念を込めた視線に貫かれ、光太郎は一瞬動きが止まる。
 何を言っても彼は揺るがないだろう。
 数十秒沈黙の時が流れ、光太郎は観念したかのように長々とため息を吐いた。
「……氷川さんが一緒ということなら、了解しましょう」
「氷川、お前は小沢さんを助けに行きたいんじゃないのか?」
「ええ。ですが、小沢さんがいたなら、自分に構わず南さんと共にシャドームーンのところへ向かえといったはずです。
あの人なら大丈夫。小沢さんなら危険を切り抜いてくれますし、リュウガさんもいます。
二人を信頼して、僕はひよりさんと南さんと共にシャドームーンのところに行きます」
 もちろん、言葉とは裏腹にすぐに助けに向かいたいに違いない。
 それでも彼はひよりの願いを叶える事を優先し、仲間を信じる事を選択した。
 ならば、自分がそれに応えなければどうする。光太郎は、氷川という仮面ライダーと共に、シャドームーンと決着をつけに向かう事を決めた。
「ひよりさん、氷川さん、行きましょう。信彦のところへ!」

816:名無しより愛をこめて
07/07/24 23:41:49 oKYjU1K/0
 

817:モンスター ◆TJ9qoWuqvA
07/07/24 23:41:51 Cm/8V0ff0
 静かに頷く氷川を見つめ、その足で地面を力強く踏みしめた。


「木野さん、またお会いしましょう。気をつけて」
「君のほうこそ気をつけてください。相手が相手ですから」
「分かっています。津上さんによろしく言っていてください」
 そう告げて遠ざかる三人の男女の人影を、木野は見つめる。
 氷川誠はこの殺し合いにおいて仮面ライダーとなっていた。驚くのと同時に、それは当然だろうとも思う。
 彼は警察官としての義務だけではなく、氷川誠としての信念で無力な人を守っていた。
 決して逃げない彼に、仮面ライダーの力の源、ガタックゼクターが力を貸したのも当然だろう。
 彼ほど仮面ライダーに相応しい男はそうそういない。橘と同じく、彼は仮面ライダーであるべきだ。
 そして、自分はどうなのだろうか?
 橘を殺し、天道を救えず、睦月が更に闇に染まっていくのを止められなかった。
 津上からは仮面ライダーであり続ければいいと言われたが、自分では許せそうにない。
(雅人、俺に俺自身を許せる日は来るのだろうか?)
 自らの咎についての問いかけを死人にする。もちろん、答えは返らない。
 彼の罪悪感は大きくなるだけだった。


 三人の姿が消え、三十分ほど経つ。まだ変身はできない。
 草加は移動を開始するべきだと考え、振り返る。
「そろそろ移動をするとしよう。ドラスの拡声器で殺人鬼が向かってくる可能性があるしな。
今の俺たちで対抗できるかどうかは、見れば分かるだろう」
「ええ、特に私たちの仲間を殺した浅倉は駆けつけてくる可能性が高い」
「それに草加、あいつはデルタを使っていた。もしかしたら、北崎を殺したのも奴かもしれない」

818:名無しより愛をこめて
07/07/24 23:42:06 L3/mycOcO
支援

819:名無しより愛をこめて
07/07/24 23:43:00 L3/mycOcO
支援

820:モンスター ◆TJ9qoWuqvA
07/07/24 23:43:07 Cm/8V0ff0
 巧の言葉に少し疑問を浮かべるが、すぐに消え去る。
 草加の時間軸では三原が使っていたが、北崎及び巧の時間軸ではデルタのベルトは奴の手にあったのだろう。
 だとすれば、あの男を殺した相手は浅倉。確かに油断はできない。
 二人に肯定の意を伝え、準備をする。矢車の様子を伺うが、まだ沈んでいる。
 呆れ、まだ気絶している秋山を背負って、樹海を目指す。
 彼らの話では、浅倉は東に向かったということだ。
 なら西であるC5エリアは比較的安全のはずなので、そこを通ってE4エリアへと向かう。
 そこで別メンバーと合流し、ドラス、ジャークたちを殺して、最終的に優勝を目指す。
 今のパーティを支配する自分なら問題ないはずだ。
 誰も見ない、影になる位置で草加はほくそ笑む。
 だが、彼は忘れていた。最後の最後まで油断はできないのが、戦場であるということを。

 彼らが準備を整え、移動を開始しようとしたときだ。
 ダイナマイトが爆発したような轟音が轟く。
 草加たちが驚き、振り返ると車が宙を舞い、やがて地面へと叩きつけられて火柱を上げる。
 車があっただろう場所に、炎を背にして一人の魔人が佇んでいた。
 黒い強化スーツに白いライン。白のフォトンブラッドは脈のように全身に三本線走っているが、肩の辺りは鳥の羽を髣髴させている並びだ。
 額には三角を逆にした模様に、V字のアンテナが突き出ている。
 オレンジ色の瞳でこちらを両腕をぶら下げた、脱力した姿勢で見る。
 草加に怖気が走る。多くのオルフェノクを退治した彼でも悪寒を感じるほど、今のデルタは危険な雰囲気を漂わせていた。
 炎の爆ぜる音だけが響き、D6エリアの研究所跡に偽りの静寂が訪れた。
 突如デルタが天を仰ぎ、

「おおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!」

 空気を震わせ、地面を踏み砕く。

821:名無しより愛をこめて
07/07/24 23:43:49 L3/mycOcO
支援

822:名無しより愛をこめて
07/07/24 23:44:14 oKYjU1K/0
 

823:名無しより愛をこめて
07/07/24 23:44:27 L3/mycOcO
支援

824:モンスター ◆TJ9qoWuqvA
07/07/24 23:44:30 Cm/8V0ff0
 それで突き出た人の上半身ほどもある巨大な瓦礫を掴み、雄叫びながら投げてくる。
 草加は地面を蹴って、蓮を担ぎながらビルの陰まで走る。
「ファァァイィィアァァァッ!!」

 ― BURST MODE ―

 デルタの銃より放たれる光弾が、草加の足元を爆ぜさせる。
 頬に一発かすめながらも、ビルの陰へと逃れた。
 巧、木野、矢車も追いつき、隠れる。
「やはり来たか」
「……あいつっ!」
 怒りを露にする二人。矢車は無言。
 担いでいる秋山を降ろし、草加は思考する。
(撃ちながら近付いているな。死ぬわけにはいかない……しょうがない)
 ため息を深々と吐き、矢車から返してもらっていたカイザドライバーを巧に投げる。
「草加、これは……」
「おい! そのベルトは適合できないと死ぬんだぞ!」
「安心しろ。乾は適合者だ。乾、特別に貸してやる。奴を追っ払うぞ」
 狼狽する矢車に答え、巧に確認を取る。頷き返すのを確認して、草加は蓮の懐からナイトのカードデッキを取り出す。
 真司と組んでいたとき、彼らの持つ変身システムは誰でも変身できる事を確認している。
 蓮が寝ていたことに感謝する。起きていたとしても言いくるめられる自信はあるが、同時に時間も食う。
 よけいな手間が省けるのを安心して、窓ガラスにカードデッキを掲げようとする。
 その草加の右手が、木野に掴まれた。
「……どういうつもりだ?」
「そのカードデッキ、私に貸してくれませんか? 逃げるだけの時間を稼ぎますので」

825:モンスター ◆TJ9qoWuqvA
07/07/24 23:45:38 Cm/8V0ff0
「あんた、何言ってんだ!」
 驚く巧。その言葉を無視して、木野を睨む。
 白い光弾は建物の壁を削っている。こちらをなぶる気なのか、迫ってくる歩みの気配は遅い。
 もっとも、それも時間の問題だ。ゆっくりと木野の狙いを確かめる暇はない。
 続きを言えと顎で先を促す。
「乾くんを変身させて今離れると、ジャークたちのときや、今みたいに襲われる状況に完全に対応できません。
ここは私がそのカードデッキで浅倉をひきつけます。乾くんはみなさんを護衛してください」
「……死ぬ気か?」
「いいえ、生きて闇を切り裂き続けます。橘と北岡の分も。
草加さん、そのカードデッキを貸してください。私はあいつと因縁もありますので」
 まっすぐ貫く瞳に乾や氷川と似た、気に入らない色を宿している。
 だが、ここで一人残ってもらう方が自分の生き残る確率が上がると判断し、無言でカードデッキを渡す。
「ありがとう」
「D4エリアのレストランで三十分だけ待つ。それ以上時間がかかったら、死んだとみなす。いいな」
 確認をとると木野は頷いた。草加は蓮を担いで移動を開始する。
 巧は動かない。苛立たしげに彼を呼ぼうとしたとき、木野が巧に話しかける。
「行ってください、乾くん」
「けど…………」
「そんな顔をしないでください。私は生きて帰ります。だから、みなさんを頼みます」
 巧は悔しげに俯き、やがてこちらにやってきた。
 草加は思い出したかのように、すれ違いざまに木野の耳元へ囁きかける。
「デルタのベルトは誰でも変身できる。制限時間に倒せないようなら、それを利用することでも考えるんだな。覚えとけ」
 木野が頷くのを確認して踵を返す。
(これでもし、木野が奴を倒せたとしたらデルタのベルトを手に入れる機会もくるわけか。
首輪をしている限り変身アイテムは多ければ多いほど有利。木野、お前は利用させてもらうぞ。せいぜい頑張るんだな)

826:名無しより愛をこめて
07/07/24 23:47:03 oKYjU1K/0
 

827:モンスター ◆TJ9qoWuqvA
07/07/24 23:47:10 Cm/8V0ff0
 冷たい思考の下、木野の声が聞こえるのを待つ。
 木野の変身と同時に飛び出すと小声で起きているメンバーに告げ、移動の準備を始める。
「変身ッ!!」
 木野の声がどこか遠く聞こえた気がした。


「変身ッ!!」
 木野は窓ガラスにナイトのカードデッキを掲げ、銀のVバックルが装着されたのを確認する。
 両腕をクロスさせ、空いているベルトの中央へとカードデッキをセットする。
 幾重にも西洋騎士を模した鎧が現れ、木野に装着される。
 ベルトの蝙蝠の紋章と同じ形をしたバイザーの下、青い瞳を向こうにいるであろう浅倉に向ける。
 北岡が使っていたカードデッキと同じシステムの装備。なら使い方はある程度把握している。
 トリックベントなど、特殊能力はドラス戦で見ていた。それらをぶっつけ本番で使いこなせるかどうかは分からないが、最低でも仲間の逃げる時間は稼がなければならない。
 このライダーに不慣れな自分はスペックで押すしかないと、内心蓮に謝りながら『サバイブ』のカードを取り出した。
 バイザーが盾と剣が一体化したダークバイザー・ツバイへと進化する。
 カードをセットしたと同時に、更なる『変身』を告げる電子音が廃墟となった市街地へと響いた。

 ― SURVIVE ―

 銀の鎧と黒のカードデッキが青に染まり、鎧を縁取るように金のラインが形成される。
 背中より翻るマント。ナイトサバイブとなった木野はビルの陰から踊りだし、その速さを持ってデルタとの距離を詰めた。
「がぁぁぁぁっ!!」
 獣のような唸り声を発するデルタに弓へと姿を変えたダークバイザー・ツバイを向ける。

828:名無しより愛をこめて
07/07/24 23:47:34 PH+9GYtX0


829:モンスター ◆TJ9qoWuqvA
07/07/24 23:48:20 Cm/8V0ff0
 ダークアローより発射される光弾で牽制し、滑るように懐にもぐりこみ、
「むぅん!」
 続けて横一文字にダークブレードを振るう。
 しかし、デルタはとっさに瓦礫を持ち上げガードする。
 バターのように瓦礫を切り裂いたのはいいが、デルタへの当たりは浅く、拳を頬に打ち込まれる。
 脳を揺さぶられながらも、自身も左拳でデルタの腹を貫いた。
 しかし、攻撃を受けながらのため拳は軽く、さほどダメージは与えていない。デルタが構わず連撃を開始する。
 それでもナイトサバイブは仮面の下で、ニヤリとほくそ笑んだ。
 左腕のダークアローから光弾が発射され、デルタの腹を焼く。
 爆ぜる反動で離れるデルタを見つめ、自分の作戦が上手くいった事を確認した。
 もしこれが木野と会ったときの浅倉なら成功していたか分からない。今の彼はなぜかは知らないが冷静さを欠いているのが見え、そこをついたのだ。
 そこにつけ込み時間を稼ぐことには成功した。もう草加たちの気配は感じない。
 なぜこの男が狡猾さを失い、暴れているのか疑問は持つ。
 だが容赦するつもりはない。この男は北岡を殺した。城茂の先輩、風見志郎も殺したらしい。
 なら自分がすることは一つ。仮面ライダーとして悪を倒す。
 想いを新たに、ダークブレードを上段から振り下ろす。
 だが、甲高い音が響き、デルタが持つ剣で防がれたのを知る。
 その剣はドラスの使っていた怪魔稲妻剣。天道の死に動揺して回収するのを失念していた。
 三合ほど斬り結ぶ。デルタは剣を無茶苦茶に振るうだけだが、ナイトサバイブとなった木野も剣術には疎い。
 ナイトサバイブはデルタの力強い剣の衝撃を辛うじて捌きながら、脇腹を斬りつける。
 しかし、デルタは痛みに構わず斬りつける。
「ぐぅ!」
 ナイトサバイブの胸部アーマーに袈裟懸けに傷が走り、血が吹き出る。
 敵は痛みに呻く様子がない。いや、奴は前から痛みに関しては求めている節があった。

830:モンスター ◆TJ9qoWuqvA
07/07/24 23:50:11 Cm/8V0ff0
 この程度の痛みでは動きを止めることすら叶わない。そこまでナイトサバイブは思考して、トリックベントのカードをバイザーへと収める。

 ― TRICKVENT ―

 ナイトサバイブは分裂した分身に紛れながら、デルタを貫く隙を狙う。
「おわぁぁぁぁぁぁあああぁぁっ!!!」
 一人切り裂かれるが、腕に携えた弓を放ちデルタを焼く。貫かれている痛みにも構わず、暴れ続ける敵を見つめ続ける。
 デルタは出鱈目に剣を振るい、銃弾を放ってあっという間に分身を全て砕く。
「イライラするんだよぉぉぉ!!」
 やっと人の言葉を放ったと思えば、すぐ獣の唸り声をあげ続ける。
 デルタは貫くダークアローの矢を無視して迫り、こちらの首を掴んだ。
 ナイトサバイブは脱出しようと斬りつけるが、意にも介されず壁へ叩きつけられる。
「ぐ……」
 腕に対し矢を放つが、握力は弱まらない。二度、三度続けてデルタは自分を壁に叩きつける。
 血を仮面の中へ吐き出し、瓦礫の山へ向かって投げ出された。
「う……くは……」
 怪我の様子をチェックする。アバラが折れたが、多少激しい動きをしても肺に刺さることはないだろう。
 内蔵の破裂の心配をしたが、吐き出した血の量からそれはないと判断する。
 もちろん、ダメージは深刻だ。本来なら戦える状態か怪しい。
 だが、それは敵も同じ。見ていると、北岡との激闘が尾を引いているらしい。
 それでも普段以上の戦闘力なのは、彼の心が狂気に支配されているからだろう。
 精神が肉体の限界を超越する。医者である彼が何度か見た奇跡を、浅倉は醜悪な形で顕在させていた。

 その浅倉の姿が、医者として、人として余計に許せない。

 ナイトサバイブは跳ね上がり、地面を蹴ってデルタに当身を仕掛ける。

831:名無しより愛をこめて
07/07/24 23:51:15 oKYjU1K/0
 

832:モンスター ◆TJ9qoWuqvA
07/07/24 23:52:17 Cm/8V0ff0
 転がっていきながらもこちらを睨んでいるデルタを確認し、カードをバイザーに収める。

 ― BLASTVENT ―

 デルタの喪った左目側より、竜巻が発生し、吹き飛ばす。
 ナイトサバイブは続けて切り札を切る。

 ― FINALVENT ―

 ダークレイダーの背にナイトサバイブは飛び乗り、バイクに変形したそれに跨る。
 バイクの先端よりデルタを拘束する光が放たれる。
「がぁっっ!!」
 しかし、デルタは跳んでそれを回避し、デルタムーバーをこちらに向ける。

「チェェェェェッッックゥゥゥゥ!!」

 ― EXCEED CHARGE ―

 放たれるポイントマーカー光が三角錐のエネルギー体を展開し、デルタの蹴りが迫る。
 だが、エネルギーを貼り付けたままバイクが走る。
 悪魔の蹴りと仮面ライダーのバイクの衝突が廃墟の空気を震わせる。
 何度目か分からない爆発音が響いた。

「ぐ……かっ……」
 傷だらけの身体に力を入れて、木野は立ち上がる。

833:名無しより愛をこめて
07/07/24 23:52:33 oKYjU1K/0
 

834:名無しより愛をこめて
07/07/24 23:53:37 oKYjU1K/0
 

835:モンスター ◆TJ9qoWuqvA
07/07/24 23:53:57 Cm/8V0ff0
 制限時間がきたわけでなく、ダメージを受けすぎたため変身が解除されたのだ。
 浅倉も同じらしく生身の姿になっていた。
 だが敵はデイバックから黒いカードデッキを取り出し、ガラスに向かって構える。
「変身!!」
 戦わずにはいられないといわんばかりに、瞬時に身体をオルタナティブ・ゼロに変える浅倉。
 その姿は北岡を殺した姿。木野の心が燃え上がり、右前方五メートルほどにあるデルタのベルトに向かって地面を蹴る。
 オルタナティブ・ゼロが迫る中、木野はデルタドライバーを腰に巻いてデルタフォンを口元へと運ぶ。
「変身!!」

 ― Standing by ―

 デルタフォンをそのまま降ろして、腰のデルタムーバーへと接続する。

 ― Complete ―

 音声入力を確認したデルタドライバーが白いラインを走らせ、黒い強化スーツを精製する。
 先ほどは敵として対峙した身体。しかし、今は木野の力となって存在していた。
 だが、それは同時に毒へと耐える試練でもある。
「がぁぁぁっ!!」
 オルタナティブ・ゼロが武器を取るのも面倒だといわんばかりに拳をぶつける。
 その連打を捌き、膝蹴りを腹に当てる。空気を吐きながら後退するオルタナティブ・ゼロの顔を跳ね上げる。
 続けてデルタは胸へと拳を四発当て、よろめく隙に首を掴んで投げ飛ばす。
 瓦礫に埋もれていくオルタナティブ・ゼロを見つめながら、デルタは必死に闘争本能を抑えている。
(これは……!)
 デモンズスレートは木野の意識を侵略して、凶暴化しようとする。

836:モンスター ◆TJ9qoWuqvA
07/07/24 23:55:02 Cm/8V0ff0
 このままデルタの毒に身を任せて暴れれば、どんなに楽になるだろうかと考える。
 力を振るって、だれかれ構わず殺しまわりたいという思考が押し寄せてくる。
 しかし木野は必死にその欲求に抗っていた。
 アギトの能力もあるが、何よりも木野は仮面ライダーになりたい一心でデモンズスレートを押さえつけていた。
 自分の目を覚ました橘。目の前の男に殺された北岡。今まで出会った仮面ライダーに憧れ、自身もそうなりたいと願っている。
 デルタの毒に負けた瞬間、自分は二度と仮面ライダーになれなくなる。
 それだけは、イヤだった。必死に両脚で地面を踏みしめ、橘の『仲間だ』という言葉を糧に正義の炎を心に燃やさせる。
 瓦礫を跳ね除け、オルタナティブ・ゼロが迫る。
 カウンター気味に振るう拳はオルタナティブ・ゼロの腹を捉える。しかし、敵も黙って殴られるだけではなく、同時にこちらの方を打ち抜いた。
 衝撃を感じながらも、毒に抗いながら拳を振るい続ける。
 人を殴る鈍い音が、廃墟に断続的に響く。
 どれくらい殴り続けたか分からなくなったとき、身体がよろめいて三メートルほど後退する。
 敵の攻撃に備えて構えるが、敵も同じくよろめいて後退していた。
 お互いの荒い息遣いしか聞こえてこない。なぜなら、一歩も動かないのだ。オルタナティブ・ゼロが自分と同じく一撃をかける隙を狙っているのには気づいている。
 どちらかの攻撃が先に当たれば、それで決着がつく。先制をとるため、敵の呼吸から攻撃の瞬間を見逃さないよう注意する。
 風が吹き、瓦礫が軽く崩れる。その音を合図に、二人はそれぞれの得物を敵へと向けた。
「チェック!」
「うあぁぁぁああぁ!!」

 ― EXCEED CHARGE ―
 ― FINALVENT ―

 鏡よりミラーモンスター・サイコローグがバイクに変形しながら飛び出す。
 オルタナティブ・ゼロは飛び乗り、こちらへとスピンしながら襲ってくる。
 デルタが向けた銃身より、ポインターエネルギーが飛び出し、三角錐の白いエネルギーを展開する。

837:名無しより愛をこめて
07/07/24 23:55:23 oKYjU1K/0
 

838:名無しより愛をこめて
07/07/24 23:55:56 yMaQqEEK0



839:モンスター ◆TJ9qoWuqvA
07/07/24 23:56:34 Cm/8V0ff0
 エネルギーを引き連れながら迫るオルタナティブ・ゼロ。
 それは奇しくも、先ほどのナイトサバイブとデルタの激突の展開を逆にしたような形だった。
 悪と正義を入れ替え、ファイナルベントとルシファーズハンマーがお互いしのぎを削る。

「ぬぅぅぅぅおぉぉぉぉぉぅっ!!」
「うがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

 戦士と獣の咆哮が廃墟で轟く。
 莫大なエネルギーは破壊の力を持って、二人の視界を白に染め上げていく。
 ミサイルが激突したような爆発が上がり、廃墟を更に崩壊させていった。



 相川始は放送について思考する。
 知り合いが呼ばれていたが、彼の心配の種はそれではない。
 もちろん、橘が死んだのは悲しいが、いつかは殺さなければならないと覚悟していた。
 だが、剣崎は違うだろう。彼は橘を慕っていた。
 自殺するような真似はしないだろうが、ショックを受けてその隙を狙われないだろうか心配をする。
(杞憂だな。新たな仲間が何とかしてくれるだろう)
 彼は仲間を作っていた。当然だろう。
 剣崎は自分とは違う。怪物ではなく、人々を守る仮面ライダー。
 この殺し合いでも希望を持ち、各仮面ライダーと協力をしているに違いない。
 そこが彼の美点であり、欠点でもある。
 だから彼を優勝するため、自分が泥をかぶればいい。
 始はバイクを黙って進める。

840:名無しより愛をこめて
07/07/24 23:57:36 PH+9GYtX0
 

841:名無しより愛をこめて
07/07/24 23:57:37 oKYjU1K/0
 

842:名無しより愛をこめて
07/07/24 23:58:02 yMaQqEEK0



843:モンスター ◆TJ9qoWuqvA
07/07/24 23:58:18 Cm/8V0ff0
 殺戮者として、死神として、進むために。



 神代剣はドラスを探しに森を掻き分ける。
 もちろん、姿は無い。
 しかし、この付近にいるはずだと瓦礫を排除し、押し進む。
 ふと、足元に携帯電話が落ちているのを発見した。
 不思議に思いながら拾うと、そこには橘が少年へ銃を突きつけている画像があった。
「なんということだ……」
 剣崎の記憶では橘は多少頼りないが、心強い仲間である。
 そして、正義感に満ちていた。橘の死に剣崎が悲しむほどである。
 幸い、剣崎の意識は感じられない。
 神代は携帯電話をデイバックにしまり、このことを胸に収める。
 剣崎を悲しませるのは、彼の本意でないから。
 この森もやがて禁止エリアになる。そうなる前にと、丘の麓を回り、隣のエリアへと侵入する。



「そろそろ三十分だ。例の場所に向かうぞ」
「待ってくれ、草加。あと十分だけ待ってやれないか?」
「最初に宣言したはずだ。三十分経ってもこない場合は死んだとみなすとな」
「だけどよ……」
「君はまたこのメンバーを危険に晒してもいいというのかな? 全滅すれば真理の仇も討てないんだぞ?」
「でもよ、後十分。それだけなら待ってもいいじゃねえか! あいつは俺たちを助けるために逃がしたんだぞ!」

844:名無しより愛をこめて
07/07/24 23:59:39 oKYjU1K/0
 

845:モンスター ◇TJ9qoWuqvAの代理
07/07/25 00:02:21 gZ4NllMe0
「だからこうして、無傷で君の言う他メンバーと合流しようとしているじゃないか。
君のいうとおりに行動して、全滅することこそ、木野の想いを無駄にしているんじゃないのかな?」
 心にもない事を言い、巧を言いくるめる。
 反論がないのを確認し、移動をしようとしたとき、レストランの自動ドアが開くのを確認する。
 無言で巧と視線を合わせると、彼は前へ出てカイザドライバーを構える。
 草加はいつでも逃げ出せるように構える。だが、それは要らぬ心配だったようだ。
 現れた人物は、全身に怪我を負った木野だったからだ。
「おい、あんたっ! 何とか切り抜けてきたのか」
 巧が嬉しそうに近寄ると、木野は弱々しげに笑う。
 その様子を見つめ、草加は冷静に彼の状態に気づく。
「すまない。デルタのベルトは一時奪ったが、また奪い返されてしまった。
だが、ナイトのカードデッキだけは死守した。秋山くんが起きたら返してやってくれ」
「あんたの手で返せばいいじゃないのか?」
「乾、それは無理だ」
「草加、どういうことだよ」
 矢車が何かに気づいたように駆け寄り、木野の様子を見る。
 力のない彼の顔が、更に絶望を宿して陰りを見せている。
「お前、なんて顔をしてんだよ! いったい……」
「いいんだ、乾くん。私は……俺はもう長くはない……」
「何言ってんだよ! あきらめんな!!」
「俺は医者だ……。助かる傷かどうかくらい、判断できる。
すまない、浅倉を……倒せ……なかっ…………た」
 木野の息が荒くなり、血を吐く。
 草加は悲痛な表情を浮かべる二人を冷ややかに見ながら、木野を使えない奴だと内心吐き捨てた。
 倒すのが無理なら、デルタのベルトくらい回収して欲しかった。


846:モンスター ◇TJ9qoWuqvA氏の代理
07/07/25 00:03:07 gZ4NllMe0
 無理なものはしょうがないかと、三文芝居のような三人のやり取りを見つめる。
(早く終わらないかな。敵に襲われると厄介なのに)
 太陽は完全に沈み、夜の闇が迫っていた。


 木野は悲痛な表情を浮かべる矢車と巧を見つめる。
 しかし、その視界も次第にぼやけていく。腕に力が入らない。
「津上に……俺の代わりに……闇を切り裂いてくれと……いってくれ。
結局俺は……仮面ライダーとして生きていけなかったな」
「そんなことねえよ! お前はちゃんと仮面ライダーとして浅倉と戦ったじゃないか!
誰にも、お前を仮面ライダーじゃないなんて言わせねえ!」
「そうだ。何も天道に続いて、あなたまで……」
「……ありがとう。橘……雅人……今……俺もそこに……」
 木野の身体が崩れ落ち、カードデッキが落ちて乾いた音をたてた。
 最早身体は動かない。
 矢車と巧の慟哭がレストランに木霊する。

 吹雪く山に木野はいる。
 隣に眠りかける弟を担ぎ上げ、声を張り上げる。
「雅人! しっかりしろ!!」
 頷く弟ともに、木野は生きるための道を行く。
 やがて闇は切り裂かれ、二人の兄弟に光がもたらされた。



 夕方と夜の境目の紫色の空の下、高くつまった瓦礫が崩れ落ちる。

847:モンスター ◇TJ9qoWuqvA氏の代理
07/07/25 00:03:49 oKYjU1K/0
 頂点に血だらけの手がかけられ、やがて持ち主が全身を見せた。
 血だらけの身体に、怒りを乗せた彼は空を見上げる。

「あぁぁぁぁぁああぁあぁ!! イライラするんだよぉ!!!」

 吠えるのは人在らざる叫び。左手に持つデルタドライバーを強く握り締め、更に吠える。
 彼の胸中を支配するのは飢餓。木野という強敵を倒しても、彼の飢えは満たされない。
(なぜだ!? なぜイライラする!! あいつを、北岡殺せたのに! 仮面ライダーとかいう奴も殺せたのに!!)
 握る拳からデルタの念動力が発せられ、瓦礫が吹き飛ぶ。こんなんでは駄目だと、瓦礫を殴りつける。
 へこむコンクリートの壁。血だらけの拳を携え、浅倉は天に吠える。
 その姿、モンスターのごとく。


【木野薫 死亡】
残り26人


848:モンスター ◇TJ9qoWuqvA氏の代理
07/07/25 00:04:51 oKYjU1K/0
【相川 始@仮面ライダー剣】
【1日目 現時刻:夜】
【現在地:樹海C-5】
[時間軸]:本編後。
[状態]:胸部に抉れ。腹部に切傷。一時間変身不可(カリス)
[装備]:ラウズカード(ハートのA、2、5、6)、HONDA XR250
[道具]:サバイブ(烈火)。アドベントカード(ギガゼール)。首輪探知機(レーダー)
[思考・状況]
1:天音ちゃんを救う。
2:剣崎を優勝させる。
3:ジェネラルシャドウを含め、このバトルファイトに参加している全員を殺す。
[備考]
※1:相川始は制限に拠り、ハートのA、2以外のラウズカードでは変身出来ません。
※2:HONDA XR250は制限により、あらゆる能力で変化することが出来ません


849:モンスター ◇TJ9qoWuqvA氏の代理
07/07/25 00:05:35 gZ4NllMe0
【神代剣@仮面ライダーカブト】
【1日目 現時刻:夜】
【現在地:樹海C-7】
[時間軸]:スコルピオワームとして死んだ後。
[状態]:中程度の負傷。背中に斬撃による傷。始への憤り。剣崎に擬態中。
    一時間変身不可(スコルピオワーム&サソード&ブレイド)。
[装備]:サソードヤイバー。剣崎の装備一式。
[道具]:陰陽環(使い方は不明)。携帯電話。
    ラウズカード(スペードのA、2、3、5、6、9、10。ダイヤの7、9、J。クラブの8、9)
[思考・状況]
1:天道の死に悲しみ。
2:始と再会し、手を汚す前に自分の手で殺す。
3:この戦いに勝ち残り、ワームの存在を無かったことにすることで贖罪を行う。
4:さらに、自分以外が幸せになれる世界を創る。
5:秋山蓮といずれ決着をつける。
6:氷川の決闘の申し出を受ける。
7:橘は殺し合いに乗っていた?
[備考]神代は食パンを「パンに良く似た食べ物」だと思ってます。
※1:剣崎と神代剣両方の姿に切り替えることができます。剣崎の記憶にある人物と遭遇しそうなら、剣崎の姿に切り替えるつもりです。

[大集団全員の共通事項]
時間軸にずれがあること、異世界から連れてこられたことは情報として得ました。
仲間である人物と敵であろう人物の共通認識がされました。


850:モンスター ◇TJ9qoWuqvA氏の代理
07/07/25 00:06:16 oKYjU1K/0
【浅倉 威@仮面ライダー龍騎】
【1日目 現時刻:夜】
【現在地:市街地D-6】
[時間軸]:本編終盤辺り。
[状態]:抑えられない殺人衝動。左目負傷、全身に大程度の負傷(打撲、火傷など)、大程度の疲労。腹は満腹。
    二時間変身不可(オルタナティブ・ゼロ&デルタ)。
[装備]:デルタフォン、デルタドライバー。
    カードデッキ(オルタナティブ・ゼロ)。怪魔稲妻剣。
[道具]:ファイズブラスター。三人分のデイバック(風見、北崎、浅倉)。
    グランザイラスの破片。カードデッキ(ゾルダ)。
[思考・状況]
1:アギトもストロンガーもあきらも皆、殺す。
※音撃金棒・烈凍はC-5エリアの森に放置されています。

【秋山蓮@仮面ライダー龍騎】
【1日目 現時刻:夜】
【現在地:市街地D-4】
[時間軸]:34話龍騎サバイブ戦闘前後。
[状態]:中度の負傷。気絶中。一時間変身不可(ナイト)
[装備]:なし。
[道具]:配給品一式。
[思考・状況]
1:気絶中。以下は気絶前の思考。
2:戦いを続ける。
3:神代を逃がしはしない。
4:リュウガに話しがある。

[大集団全員の共通事項]
時間軸にずれがあること、異世界から連れてこられたことは情報として得ました。
仲間である人物と敵であろう人物の共通認識がされました。


851:モンスター ◇TJ9qoWuqvA氏の代理
07/07/25 00:07:06 oKYjU1K/0
【乾巧@仮面ライダー555】
【1日目 現時刻:夜】
【現在地:市街地D-4】
[時間軸]:中盤くらい
[状態]:全身に中度の負傷。疲労中。応急処置済み。一時間変身不可(ウルフ&ファイズ)。
[装備]:ファイズドライバー(ファイズポインター、ファイズショット、ファイズアクセル)
[道具]:ミネラルウォーター×2(一本は半分消費) カレーの缶詰 乾パンの缶詰 アイロンを掛けた白いシャツ。
[思考・状況]
1:放送の内容と天道の死と木野の死に絶望。
2:浅倉とドラスを倒す。
3:神崎をぶっ飛ばす。
4:城たちと合流する。

【草加雅人@仮面ライダー555】
【1日目 現時刻:夜】
【現在地:市街地D-4】
[時間軸]:ファイズ終盤。
[状態]:背中に切り傷。全身に強度の打撲。参加者全員への強い憎悪。ドラスに特に強い憎悪。
    一時間変身不可(カイザ&ファイズ)。
[装備]:カイザドライバー(カイザブレイガン、カイザポインター)。
[道具]:救急箱。精密ドライバー。バタル弾。配給品一式×4(北岡、木野、キング、草加)
    カードデッキ(ナイト)。サバイブ(疾風)
[思考・状況]
1:このメンバーを利用して、ドラス、冴子に復讐。
2:ゲームの参加者の皆殺し。
3:馬鹿を騙し、手駒にする。
4:デルタドライバーを手に入れたい。

[大集団全員の共通事項]
時間軸にずれがあること、異世界から連れてこられたことは情報として得ました。
仲間である人物と敵であろう人物の共通認識がされました。


852:モンスター ◇TJ9qoWuqvA氏の代理
07/07/25 00:07:50 gZ4NllMe0
【矢車想@仮面ライダーカブト】
【1日目 現時刻:夜】
【現在地:市街地D-4】
[時間軸]:8話 ザビー資格者
[状態]:疲労と悲しみと絶望と。一時間変身不可(キックホッパー)
[装備]:ライダーブレス(ザビーゼクター破壊)
[道具]:ホッパーゼクター&ホッパー用ZECTバックル。ゼクトマイザー。3人分のデイバック(佐伯、純子、矢車)
    トランシーバー(現在地から3エリア分まで相互通信可能)。
[思考・状況]
1:天道、木野の死、ドラスの生存に絶望。
2:仲間を集めてパーフェクトハーモニーで脱出!
3:戦闘力の確保。
4:リュウガに僅かに不信感。
[備考]
※1:クライシスと神崎士郎が利害の一致で手を組んでいる可能性が高いと考えています。
※2:ゼクトマイザーは制限により弾数に限りがあります。現在、弾切れです。

[大集団全員の共通事項]
時間軸にずれがあること、異世界から連れてこられたことは情報として得ました。
仲間である人物と敵であろう人物の共通認識がされました。


853:モンスター ◇TJ9qoWuqvA氏の代理
07/07/25 00:08:37 gZ4NllMe0
【南光太郎@仮面ライダーBLACK RX】
【1日目 現時刻:夜】
【現在地:市街地E-5】
[時間軸]:第1話、RXへのパワーアップ直後】
[状態]:全身に軽度のダメージ。一時間変身不可(RX)。
[装備]:リボルケイン
[道具]:カラオケマイク(電池切れ)。トランシーバー(現在地から3エリア分まで相互通信可能)。首輪(ドクトルG)。
[思考・状況]
1:打倒主催。その後、元の世界に戻ってクライシス帝国を倒す。
2:シャドームーンと決着をつけ、結城を助ける。
3:シャドームーンを仮面ライダーにしたい。
4:草加を始め、闇に落ちた仮面ライダーを救う。
[備考]
※1:黒幕はクライシス帝国、神崎はその手の者であると勝手に確信しています。
※2:ガタックゼクターへの誤解は解けました。
※3:ドラスをクライシスの怪人だと思っています。

[大集団全員の共通事項]
時間軸にずれがあること、異世界から連れてこられたことは情報として得ました。
仲間である人物と敵であろう人物の共通認識がされました。


854:モンスター ◇TJ9qoWuqvA氏の代理
07/07/25 00:09:19 gZ4NllMe0
【氷川誠@仮面ライダーアギト】
【1日目 現時刻:夜】
【現在地:市街地E-5】
[時間軸]:最終話近辺
[状態]:中程度の負傷。胸に大火傷。気絶中。一時間変身不可(ガタック)。
[装備]:拳銃(弾一つ消費)。手錠等の警察装備一式(但し無線は使えず、手錠はF-4のビル内に放置)。
    ガタックゼクター&ベルト。GX-05ケルベロス(但し、GX弾、通常弾は全て消費)
[道具]:但し書きが書かれた名簿。デザートイーグル.357Magnum(4/9+1) 。
    デイバック五人分(氷川、ひより、リュウガ、岬、明日夢) 。
[思考・状況]
1:光太郎とともにシャドームーンのところに行く。
2:リュウガを信頼。
3:小沢、リュウガの救出。
4:津上翔一、との合流。
5:此処から脱出する。
6:神代と決闘。

[大集団全員の共通事項]
時間軸にずれがあること、異世界から連れてこられたことは情報として得ました。
仲間である人物と敵であろう人物の共通認識がされました。


855:モンスター ◆TJ9qoWuqvA
07/07/25 00:18:33 5c/Ke82w0
【日下部ひより@仮面ライダーカブト】
【1日目 現時刻:夜】
【現在地:市街地E-5】
[時間軸]:本編中盤 シシーラワーム覚醒後。
[状態]:右肩に重傷(応急処置済み)。わずかの打撲。一時間変身不可(シシーラワーム)
[装備]:なし
[道具]:なし
[思考・状況]
1:天道と加賀美の死に深い悲しみ。
2:シャドームーンを仮面ライダーにしたい。

[大集団全員の共通事項]
時間軸にずれがあること、異世界から連れてこられたことは情報として得ました。
仲間である人物と敵であろう人物の共通認識がされました。

[その他共通事項]
GM-01改4式(弾切れ)、拡声器はD6エリアに放置されてます。

856: ◆TJ9qoWuqvA
07/07/25 00:19:25 5c/Ke82w0
最後でさるさん規制が解除されたみたいですね。

投下終了。
誤字脱字、矛盾などの指摘をお願いします。

857:名無しより愛をこめて
07/07/25 00:20:35 1rk8w5kF0
投下乙です。
しかし木野さん、よく頑張った。黙祷。
光太郎が前向きに仲間を励ますシーンは良かったです。
まさに太陽の子だ。

858:名無しより愛をこめて
07/07/25 00:38:37 FDK/XSziO
投下乙です!


まさか木野がナイトとデルタに変身するとは意外(特に後者)でした。


859:名無しより愛をこめて
07/07/25 00:39:10 +sDCli4TO
GJです!!!
木野さん…あんたは立派な仮面ライダーだったよ。。
そしてますます因縁が強まる浅倉と巧。木野さんと北岡の敵をとるのはお前しかいない!頑張れたっくん!!

860:名無しより愛をこめて
07/07/25 05:26:15 Jh25FFC10
純粋に面白かった

ただ、剣はもう剣じゃなくて厨性能のオリキャラだよね
黒明日夢みたいに性格・行動が変わるのはまだバトロワ仕様で割り切れるけど
剣はなんでもかんでも擬態を乱用しすぎ
それもカブトの劇中でワームが誰もやっていない、むしろ意図的にやらなかった
もしくは理由があってできなかったのかもしれないような使い方を次々やらかしてる

ほとんどのキャラが能力押さえ込まれてる中で
こうやって原作にないような能力与えてたらパロロワの意味がないと思った

861:名無しより愛をこめて
07/07/25 06:41:17 UtZjFO0I0
>>860
そういう文句は前回の◆vHOqGgdf1U 氏の時に言っておけよ…

後、>>849

※2:神代剣は結城丈二への擬態能力を得ました。但し、変身は出来ません。
※3:神代剣は首輪の解除方法を得ました。但し、実勢に首輪を解除できるかは不明です。

この前回追加された備考をいれておく事希望。

862:名無しより愛をこめて
07/07/25 06:58:18 Jh25FFC10
>>861
いや、カブト本編でやってないことをやってるのはかなり前からだ
パロロワ補正で剣の行動が原作と変わった(これは問題ないと思う)延長で
擬態能力まで原作と違う方向にどんどん応用されつつあるのが気になった

この先の書き手さんには、できればここまでと矛盾しない程度に
擬態の乱用を控えるようお願いできないだろうか
つじつまが合わなくなってしまう場合は仕方ないけども
少なくとも今以上の応用はなし、にしてほしい
剣が最後のマーダーになったらラスボス補正で暴走させるのもありだけど

で、次回を始める前に能力の制限をもっとはっきりさせるという方向で


個人的には、剣がひっかかる(あくまで引っかかる、程度)以外は
誰が何しても好きキャラがぼこぼこ死んでも面白いし燃えるから全然腹立たない
今回もくっそ浅倉やりやがったな、貴様も死ねぇ!って思いながら読んでたよ
(快楽マーダーの描写にこう感じたってのは褒め言葉だよな)

863:名無しより愛をこめて
07/07/25 09:08:13 J9bm9dVM0
TJ9qoWuqvA氏、いつもながらGJ!!

雅人登場で木野がまたとち狂うかと思ったが…よくがんばった。合掌。
そして今回ほど思ったことはない。草加…頼りになるなあww
TVシリーズでも澤田裏切り、真理死亡、巧の正体バレで全員ショック受けてる時
一人三原を叱り飛ばして飯ガツガツ喰ってたのを思い出す。

864:名無しより愛をこめて
07/07/25 09:57:03 BKAMkk9c0
>>862
なら具体的に指摘してください。
どこが原作にないような能力なのか具体的に。
さもなくば今以上の応用はなしにする根拠がありません。

865:名無しより愛をこめて
07/07/25 12:31:27 +sDCli4TO
擬態の乱用って騒ぐ程使ってないと思うが?
そりゃ剣がいろんな奴に擬態しまくって大虐殺を行ったら問題だけど彼の性格上有り得ない。

866:名無しより愛をこめて
07/07/25 17:54:15 lBwXNY6x0
今のところ原作にない(と思われる)能力って
擬態した人格が本来の人格とは別の存在のように表現されてて
擬態っつーより多重人格者っぽくなってるところらへんかな?
能力的には原作とかけ離れてるとは思わないけど・・・

867:名無しより愛をこめて
07/07/25 18:53:25 cxy7FkZ5O
多重人格っぽいのはカブト原作のウカ姉さんこと間宮麗奈の話にもあったけどね。


荒れるんだから最初に毒吐きでやってからがよかったな。

868:名無しより愛をこめて
07/07/25 19:04:57 Jh25FFC10
>>867
俺もそう思ったんだけど、なんかしたらばに書き込めないんだよ
つか、この程度で「荒れる」というか?
もっとフルボッコを覚悟してたんだがw

すでにやってしまったことは仕方ないし
最終的には面白ければ何でもありがパロロワ
実際今の時点では明らかに面白さが上回っているので
割と「あれ、なんか変……ま、いっか」的な感じなんだけど
やっぱこれ以上やり過ぎないように配慮してもらえると嬉しいかなあ、ぐらいのつぶやきなのよ
書き手さんに注文つけたいまでは行かなくて、軽く希望するぐらいの感じ
その程度という前提で、俺が違和感感じたとこね
俺は本編しか見てなくてムックとか全くカバーしてないから
そっちでこの辺に関する情報が出てたならわかる人に訂正してほしい

バトロワとしてありなもの
・剣のマーダー化
・剣があれだけ嫌悪していたワーム能力を(人前でも)がんがんつかう
この辺は、初期のSSが投下された時点で言われてたよね
確かに違和感はあるけど、バトロワだし、で俺はスルーできた
・記憶の継承=魂がどうのみたいな言い方、人格の完全維持
カブト本編では多重人格的なものになる可能性があること(ウカのケース)は臭わされているけど、
魂・人格の完全継承維持みたいな非科学的でロマンチックなものかどうかは不明
特にカブトって割とSFっぽさを前に押し出した世界観だから魂とかはなさそう
でも書き手の解釈としてそういう扱いはありだと思う

869:名無しより愛をこめて
07/07/25 19:06:12 Jh25FFC10
これはどうよと感じたもの
・複数人格の自由な切り替え
カブト本編でA→B→Cと複数の人間に順番に擬態することはあったが
一度BやCになった後Aに戻ったことはなかったと記憶している
実際、過去ログか避難所で3話で実例があったというから確かめたが
あくまで擬態を「乗り換え」ただけであって「切り替え(以前の擬態に戻る)」はしていなかった
主人格をスコルピオではなく剣として、剣にはいつでも戻れるとするまでは
一応ありだと思うが(個人的にはそれすら微妙だが、書き手の解釈の範囲)

・殺すつもりのない人間への擬態
ワームの擬態は「殺してその人間と入れ替わる」ための能力
その時点で人前で擬態能力を見せびらかすのも変なのだがそこまではバトロワ補正として、
戦術としてなりすます「だけ」が目的で殺す気も入れ替わる気もない相手に気軽に擬態し
その後擬態相手に本能的な殺意すら抱かないのはあまりに不自然
擬態を「姿と技能を継承する便利能力」としてしか捉えていないよね

さらに各SSでいまだに剣崎の「人格」が強く維持されているのと比較して考えると
結城を擬態したことに関しては精神的な影響が言及されてないから統一性がない
これも余計に「ご都合主義で不自然」と感じる由縁かな
この先、結城に会った剣が本能を押さえきれず優先的に殺害に走る、というフラグにするなら
結果としてありなんだろうけど
SSの中ではっきりとそういうフラグを立ててあったわけじゃないわけだ


870:名無しより愛をこめて
07/07/25 19:08:10 Jh25FFC10
「殺す気もないのに擬態した」と原作にある「擬態した後殺そうとして殺せなかった」は全く別物で
後者の場合擬態したワームはかならずオリジナルの人間を殺しに来る習性があり
それがキモになったエピソードも多い
「擬態=本人の死」と「擬態ワーム=記憶(人格)の継承」をどう解釈するかは
カブトの多くのキャラ(特に加賀美、剣、天道の選択)の行動原理、
ひいてはシリーズ全体の流れを決定づけてさえいる
「殺す気はないけど擬態」はそういうものを全部吹っ飛ばしちゃう
他作品で言えば、例えば剣崎が「強くなれるし俺ジョーカーになっていーじゃん
始とか世界の滅亡とか関係なしで」って言い出す位の、原作のキモ吹っ飛ばしだと思う

最初に擬態能力の拡大解釈を始めた人が
カブトを良く知らなかったんだと思うけど(複数への擬態はありか聞いてたよね)
だからこそ、「これはやっぱ違うんじゃね?」って感じた時は
注意喚起するのも必要じゃないかなと
極端な話、「剣は大集団と顔を合わせてるから
もう大集団全員擬態できることにしちゃえ」って言い出されたらどうよ
実際問題、天道が死んだ時に剣に天道を擬態させたら、って発言する人もいたわけで
この先、既に拡大解釈がされていることを盾に、死んだ人間を自由に出せる便利能力として
手軽に擬態を使おうとする書き手さんが出て来ないとは言い切れない
そうなる前に、それはやめといたほうがよくねって言っておくのも大事だろうと
(だいたい死人がほぼ無制限によみがえる手段なんてバトロワとしても興ざめだ)

別に「これは原作と違うから全部書き換えろ」と要求したいわけじゃなくて
「そっか、そういうもんだったんだ。ちょっとセーブすっか」って
書き手さんに軽く意識してもらえたらいいな、と思っただけ
特定の書き手さんを非難するつもりはないし
ましてや今回のSSに不満はない


871:名無しより愛をこめて
07/07/25 19:25:33 UtZjFO0I0
不満がないならはじめから余計な事を書くな。
結局は文句タラタラじゃねぇか。

自分の言った事について謝罪もしないし
お前は烏丸所長か。

872:名無しより愛をこめて
07/07/25 19:31:40 ZuQD9FTG0
>確かに違和感はあるけど、バトロワだし、で俺はスルーできた
初期の話でマーダーになった理由もワームとしての能力を使うのを躊躇わない理由も描写されてる。
違和感があると言うならその理由の方について指摘すべき。

>魂・人格の完全継承維持
神代剣の人格=スコルピオワームが受け継いだ剣の人格ですが?
「もともとはもっと別の人格だったんだよ!」とか言いませんよね?

>・複数人格の自由な切り替え
出来るとは確定していないけど出来ないとする確たる根拠も無い。

>・殺すつもりのない人間への擬態
これについては確かに要補完。つーか、それで済む。

言ってることは分かるんだが、言い方があまりに最悪。(剣は厨性能~etc)
何の為に毒吐きがあると思ってるんだ?
本スレで指摘するのは100%確実に要修正であるポイントだけをまとめてからにしろ。

873:名無しより愛をこめて
07/07/25 19:34:30 Jh25FFC10
作品に不満(疑問)があるかどうかと、いまの状況に不満(疑問)があるかどうかは別
俺はいまの状況に疑問があるから、それを提示した
その疑問を具体的に説明しろと言われたから長々と説明しただけ

疑問の内容が間違っていると明確に提示されたら、その時、間違いについては謝るよ
だが疑問を持ったことに関しては謝らないし、そもそも謝ることじゃないだろ


874:名無しより愛をこめて
07/07/25 19:48:17 cxy7FkZ5O
その疑問を長文で張り付けられるのが迷惑。
毒吐きならともかく、本スレなのに。
あんたが正しいからって話的に面白くなるわけじゃないし。

書きやすい、読みやすい状態を崩したことにみんな怒っているだけだろ。

875:名無しより愛をこめて
07/07/25 19:50:56 IueV7ur40
ストーップ。
これ以上はスレを無駄に消費するだけ。
したらばに書き込めないんだったら、避難所や総合のほうに行ったらどう?

876:名無しより愛をこめて
07/07/25 20:14:34 Jh25FFC10
取りあえずしたらばはだめだが避難所は書き込めるようなので
誘導された通り、あとの細かいことはそっちに書くな

とりあえずこれだけ
>>872
>(殺すつもりのない人間への擬態)については確かに要補完。つーか、それで済む。
いずれ補完してもらえるなら、言い出しっぺ冥利に尽きる

877: ◆TJ9qoWuqvA
07/07/25 21:40:16 5c/Ke82w0
流れぶった切り。

状態表、>>854

>[状態]:中程度の負傷。胸に大火傷。気絶中。一時間変身不可(ガタック)。

>[状態]:中程度の負傷。胸に大火傷。一時間変身不可(ガタック)。

に変えてください。

>>861にある指摘どおり、神城の状態表に

※2:神代剣は結城丈二への擬態能力を得ました。但し、変身は出来ません。
※3:神代剣は首輪の解除方法を得ました。但し、実勢に首輪を解除できるかは不明です。

を追加してください。見落とした。

878: ◆vHOqGgdf1U
07/07/25 23:04:35 gZ4NllMe0
遅ればせながらGJです。
それぞれがそれぞれの行動指針を持って、次なる戦いへと向っていく様は上手いなと思いました。
特にひより。今まで守られていたお姫様がこれからどう絡んでいくのかが楽しみでなりません。

修正箇所は追加して置きます。でも、『実勢』……誤字脱字には気をつけますorz


それでは投下いたします。。。

879:月はどっちに向いている ◆vHOqGgdf1U
07/07/25 23:05:26 gZ4NllMe0
 整地された土地に建つ、いくつかの遊具。
 すべり台、ブランコ、ジャングルジム。
 どれも建てられてからそれなりの年代が経っているのだろう。塗装は剥がれ、金属部分には錆が見られる。
 だが、それを使う子供たちには些細なことだ。
 きっと、太陽が天に輝く時ともなれば、遊具に群がり、思い思いの方法で遊ぶことだろう。

―この世界が戦いの場となっていなければ。

 カチャ、カチャという足音と共に、男を肩に担いだ銀色の怪人が公園に現れた。
 銀と黒とに彩られた身体に、エメラルドの輝きを持ち、昆虫を思わされる複眼。
 銀色の怪人の名はシャドームーン。
 ブラックサンと共にゴルゴムの世紀王として、生まれ、次期創生王となるべく、ブラックサンと戦う運命にある男。
 ただ、今のシャドームーンには記憶はない。あるのはブラックサンである仮面ライダーBLACKRX―南光太郎への復讐心のみ。
 今、彼はRXとの決着を着けるための餌として利用することに決めた男を担いでいた。
 シャドームーンに担がれた男は右腕がなく、右腕の付け根と腹からは血がポタポタと垂れている。
 公園の地面に落ちていく赤色の血。それはたちまち地面へと吸い取られ、血の匂いを染み込ませていった。
 片腕の男の名は結城丈二。
 元デストロンの科学者ながらも、その命がけの行動により、仮面ライダー4号の名を持つ男。
 だが、彼は自らの意思で、シャドームーンに敗れ、瀕死の重傷を負っていた。
 二人が向かう先は公園の隣に位置する雑居ビル。RXを誘い出す場所に指定した建物。


880:月はどっちに向いている ◆vHOqGgdf1U
07/07/25 23:06:09 gZ4NllMe0
 ここでシャドームーンは自分の宿敵が現れるのを待つ。

 雑居ビルに入ると、シャドームーンは適当な場所へと、結城を放り投げる。
 ドサッと音がすると、結城の口からわずかに呻き声が漏れた。
 だが、シャドームーンは特に気にせず、柱に身体を預け、座り込む。
 それから何も起こらず、何もせず、30分程の時が流れた。
 突如として、静寂に包まれる空間を破る声が響き渡る。3回目の放送だ。

―北岡秀一さん、城戸真司さん、グランザイラスさん、橘朔也さん、天道総司さん、ドクトルGさん、日高仁志さん、水のエルさん。
  以上、八人死んじゃって、残り二十七人となりました~―

 シャドームーンにとって、誰が死んだかなどどうでもいいことだが、今回の放送にシャドームーンは安堵する。
 南光太郎の名が呼ばれなかったことではない。もとより南光太郎はそう簡単に死ぬ男ではなく、心配などしていなかった。
 シャドームーンが確認したかった名前は相川始。彼がメッセンジャーを頼んだ男だ。
 傷を癒す間だけ、わずかな期間の同盟関係。そのはずだったが、南光太郎と同じ場所に向かうと言う彼に伝言を託した。
 自分が結城丈二を人質にとり、ここで待っていることを。
 死んでいないのなら、伝言は伝わったのだろう。安心して待てるというものだ。
「て、てんどう……」
 声のした方を向くと、結城が口をパクパクさせていた。どうやら意識を取り戻したようだ。
「起きたか、結城丈二」
「シャドームーン……俺を殺さなかったのか?」
 かすれた声でシャドームーンに訪ねる結城。どうやら傷は深いらしい。
 だが、シャドームーンはそんな結城の様子にもまったく意に介さない。淡々と質問に答える。
「勘違いするな。お前は南光太郎を誘き寄せるための人質だ。今度は俺がお前を利用してやる」
「……そういうことか」


881:名無しより愛をこめて
07/07/25 23:06:36 5c/Ke82w0
  

882:月はどっちに向いている ◆vHOqGgdf1U
07/07/25 23:06:58 gZ4NllMe0
 シャドームーンの発言に結城は苦い顔をした。
 あの時、結城は死を覚悟していた。にも関わらず、生きているということはシャドームーンが止めを刺さなかったということだ。
 その事実にわずかな希望を見出したのだが、どうやら勘違いだったようだ。
(南、奴を仮面ライダーにするのは中々難しいぞ。それにしても……)
 結城は先程の放送内容を思い出す。
 告げられた天道という名前。告げられなかったドラスという名前。
 一体、ドラスとの戦いで何が起こったのか。まだ戦闘中なのか、それともドラスに逃げられたのか。
 本当ならすぐにでも研究所に駆けつけたかった。しかし、それは出来ない。
 シャドームーンの人質になっているというのもあるが、一番の理由は自分の身体だ。
 右腕は肩からばっさりと斬られ、もうそこにはなく、腹は貫かれ、今でも血を垂らせていた。
 身体からは冷たい汗が吹き出ており、咽喉はひどく渇いている。
 いくら改造人間といえども、このまま放っておけば、死は免れない。
 自分の状態の分析を終えると、結城は来ていた南光太郎のジャンバーを脱ぎ、破る作業に入った。
 左腕で服を掴み、歯の力で破っていく。服から布となっていくジャンバー。
 それを時には紐に、時には当て布に、時には包帯として、自分の身体に応急処置を施していく。 
 傷口は持っていたペットボトルの水で洗った。そして、残った水で咽喉の渇きも癒した。
(とりあえずこれで処置は完了だ。完璧とはいえないが、死ぬことはあるまい)
 応急処置を終えた結城は改めて、シャドームーンを見る。
 シャドームーンは柱を背に、休息をとっているようだ。
「シャドームーン」
「なんだ」

883:名無しより愛をこめて
07/07/25 23:07:21 5c/Ke82w0
  

884:月はどっちに向いている ◆vHOqGgdf1U
07/07/25 23:07:40 gZ4NllMe0
 結城にはいくつか確認しておかなければならないことがあった。
「さっき、南光太郎を誘き寄せると言ったが、どうやってやるつもりだ?南は俺とお前がここにいるということを知っているのか?」
「そんなことか。それなら研究所に行くという奴に伝言を頼んだ。お前を返して欲しければ、ここに来いとな」
「それは首輪探知機の持ち主か?」
「そうだ」
 なるほどと、結城は思う。シャドームーンは最初に会ったときから、今まで、ディパックを持っている様子がない。
 おそらくシャドームーンにとって、支給品や食料など、どうでもいいものなのだろう。
 だが、そうなると首輪探知機を持っていた説明がつかない。ならば、答えは簡単だ。襲撃を掛けた時、もう一人誰かがいたのだ。
「そいつの名前は?」
「そんなことまで言う必要はない」
(さすがに相手は明かさないか。だが、首輪を探知する装置を持っている参加者がいるというのは重要な情報だ。
 持っている候補者としては、相川始、ガライ、キング、ジェネラルシャドウあたりが有力か?)
 残る参加者は半分。考えれば、ある程度の予測はつく。少なくとも敵側が持っていることは頭に留めておいた方がいいだろう。
 結城が考えをまとめるため、しゃべるのを辞めると、シャドームーンも黙る。
 そのことから結城は、本当にシャドームーンはRXを倒すことしか考えていないのだなと思う。
 記憶を失っているせいもあるのだろうが、シャドームーンには自分というものがないのだ。
 RXを倒すという復讐心のみが唯一の拠り所。
(だが、もしそれが満たされたときには、きっとこいつは壊れる)
 結城はもう一度ある決意をする。それはシャドームーンと先程戦う前にもした決意。命を賭けた決意。
「シャドームーン、おそらく南はしばらくは来ない」
「何?」
「今の放送では俺たちが倒そうとしていたドラスの名前は呼ばれなかった。まだ戦っているのか、それとも逃げられたのか。
 どちらにせよ、ドラスを倒すまでは俺よりそちらを優先するはずだ。それに戦えない皆を守るという使命もある。俺に人質としての価値はない」
 シャドームーンをまっすぐに見つめる結城。シャドームーンもその眼をまっすぐに見つめ返す。

885:名無しより愛をこめて
07/07/25 23:07:56 5c/Ke82w0
     

886:月はどっちに向いている ◆vHOqGgdf1U
07/07/25 23:08:23 gZ4NllMe0
「だから、その間に考えておいて欲しいことがある。もう一度、改めて問いたい。南を倒した後、お前はどうするつもりだ?」
「また、その質問か」
「お前が答えを出すまで、何度でもするさ。俺にはお前を暴走させた責任があるからな。
 このままだとお前は南を倒した後、存在意義をなくし、自滅の道を歩むことになる。そんなことはさせたくない!」
 突如、シャドームーンは立ち上がり、無言のまま、結城に近寄る。そして、首へと手をかけた。
「貴様、今度は何を企んでいる」
「何も企んではいないさ。ただ、お前が勝つにしても、南が勝つにしても、その死を無駄にはしたくない。もっとも……」
 結城は一拍の間をおき、覚悟の言葉を紡いだ。
「今のお前では南には勝てない。空っぽの心のお前に、南が負けるはずはない」
 シャドームーンの手に力が込められる。たちまち、絞まっていく首。身体から頭へと伝達される血液は止まり、結城の顔は赤くなっていく。
「お前に人質としての価値がないなら、ここで殺しても同じことだな。それにもし、お前が死ねば、RXは復讐の念に駆られ、俺と戦うことを優先するかも知れない」
 益々込められるシャドームーンの力。赤くなっていた顔が、今度は青白くなっていく。
 だが、それでも結城はシャドームーンから眼を逸らさない。シャドームーンの心までを見るように真っ直ぐにシャドームーンを見据える。
「……っ」
 結城が限界を迎える一歩手前で、シャドームーンの手は離された。
 空気を取り込むため、結城は口を大きく開け、呼吸を始める。
「何か思惑があるようだが、その手には乗らん。お前はそう簡単に死なせない。俺が受けた屈辱を味あわせるまではな」
 そう言い放つと、シャドームーンは休んでいた柱へと戻っていった。


「ハァハァハァハァハァ……」
(し、失敗か?)

887:名無しより愛をこめて
07/07/25 23:08:47 5c/Ke82w0
   

888:月はどっちに向いている ◆vHOqGgdf1U
07/07/25 23:09:05 gZ4NllMe0
 呼吸を整えながら、結城は思う。
 シャドームーンにまず必要なのは、何より考えることだ。
 自分が何のためにRXと戦うのか?
 迷いは新たな道を生み出し、答えはその道を進む力となる。
 だが、それは両刃の剣であることも結城は理解していた。
 もし、彼の考えが負の方向に及び、世紀王としての心を取り戻してしまったら、シャドームーンは恐るべき強敵として、自分達の前に立ちはだかるだろう。
(右腕が無くても、戦える方法を考えないとな)
 シャドームーンが暴走したら、止めるのも自分の役割だ。結城は最期までシャドームーンに付き合うことを決意した。


 シャドームーンは虚空を見て、思いを馳せる。
 結城に諭されたからではないが、自分が何のために戦うかを考えていた。
 だが、いくら考えても答えは出ない。RXを倒す。それだけしか。
(いや、今の俺にはもうひとつ目的がある)
 突如、シャドームーンの脳裏に浮かぶ一筋の光明。それはサタンサーベル。
 自分が持つべき剣。自分が使うべき剣。俺の剣。
(俺はそれを手に入れなければならない)
 RXを倒すことと同じく、何故手に入れなければいけないのか、それはわからない。
 しかし、手に入れることができれば、何かがわかる気がした。

 シャドームーンの腹が疼く。傷は塞がり、完全に回復しているというのに。


889:月はどっちに向いている ◆vHOqGgdf1U
07/07/25 23:10:02 gZ4NllMe0
【シャドームーン@仮面ライダーBLACK RX】
【1日目 現時刻:夜】
【現在地:市街地F-5】
[時間軸]:RX27話以降。
[状態]:完全回復。30分間戦闘不能。
[装備]:シャドーセイバー
[道具]:なし
[思考・状況]
1:何のために戦うのか?サタンサーベルを探し出し、手に入れればわかる?
2:結城丈二を人質に、RXを待つ。
3:相川始に借りを返す。
[備考]
※第二回放送を聞き逃しています。


【結城丈二@仮面ライダーV3】
【1日目 現時刻:夜】
【現在地:市街地F-5】
[時間軸]:仮面ライダーBLACLRX終了後。
[状態]:中度の負傷。貧血気味。右腕切断、腹に刺し傷(応急処置済)。ドクトルGに罪悪感。30分間変身不能。
[装備]:なし
[道具]:名簿を除くディパックの中身一式
[思考・状況]
1:シャドームーンを仮面ライダーにしたい。
2:右腕なしで戦う方法を考える。
3:ドラスを倒す。
4:首輪の解析。首輪の解析のための施設を探す。
5:死んだらドクトルGに謝りたい。
[備考]
※1:カセットアームと右腕はE5エリアに放置されています。
※2:時間軸にずれがあること、異世界から連れてこられたことは情報として得ました。
※3:仲間である人物と敵であろう人物の共通認識がされました。

890:名無しより愛をこめて
07/07/25 23:10:34 5c/Ke82w0
      

891:月はどっちに向いている ◆vHOqGgdf1U
07/07/25 23:11:21 gZ4NllMe0
投下終了。
誤字、脱字、指摘事項、感想があればお願いします。。。

892:名無しより愛をこめて
07/07/25 23:17:26 J9bm9dVM0
支援

893:名無しより愛をこめて
07/07/25 23:24:59 5c/Ke82w0
GJ!
結城のシャドームーンへの問いかけはデストロンにいた彼だからやっているんでしょうね。
それに対してシャドームーンの光太郎への執着心もよく描写されていいと思います。
光太郎VSシャドームーンが楽しみなる作品でした。

894:名無しより愛をこめて
07/07/25 23:28:05 J9bm9dVM0
G

895:名無しより愛をこめて
07/07/25 23:30:25 J9bm9dVM0
すまんミスったww
vHOqGgdf1U氏GJ!!
ラストの余韻がたまらねえ!!

896:名無しより愛をこめて
07/07/26 00:13:10 7+3NWIXK0
こうなったらシャドームーンには正義の仮面ライダーとして(ry
とにかくGJ!!

897:名無しより愛をこめて
07/07/26 01:15:16 pQbWFKb3O
実はサタンサーベルよりシャドーセイバーの方が剣としての機能は上だからもし手に入れたら負けフラグ?

898: ◆vHOqGgdf1U
07/07/26 02:54:20 vbHAZ1LB0
まとめサイト更新しました。
コメント欄は後々。。。

>>877
状態表ですが、道具にいくつか抜けがあったので、勝手ながら追加しておきました。
と、いうか以前私が書いた時からスレ上では抜けてまして、まとめサイトで修正していたのですが、連絡が行き届かず、申し訳ありません。
具体的にはGA-04、ディスカリバー、ラウズアブゾーバ、草加が持つ配給品一式です。。。

899:名無しより愛をこめて
07/07/26 18:07:25 h2eZIFX+0
まとめ更新いつもお疲れさまです!!

900: ◆TJ9qoWuqvA
07/07/26 22:21:18 8BIAq+S50
天美あきら、安達明日夢、津上翔一、霞のジョー、城茂予約します。

901:名無しより愛をこめて
07/07/26 23:00:42 vCyJd6zZO
>>897
記憶復活フラグになるんじゃない?
タイトル通りどっちに向くか期待だな

>>900
予約ktkr
頑張って下さい

>>898
更新乙です

902:名無しより愛をこめて
07/07/27 01:15:05 DA4n6SJnO
>>900
楽しみにしています!
そろそろステルスマーダーが動き出す時か!?

903: ◆HzobymzaB2
07/07/27 02:09:08 diUsMZ1oO
くっ……!王蛇明日夢あきらで予約しようとしたのに……次予約!!

904: ◆xPMnle.P6A
07/07/27 02:11:04 diUsMZ1oO
鳥ッ腐変え。 こっちで

905:名無しより愛をこめて
07/07/27 06:51:44 7KkJp8vs0
>>903
キャンセルしろ。
お前がそんなの予約したら◆TJ9qoWuqvA 氏の書く話の幅がかなり制限されるじゃないか。
お前は首輪じゃないんだぞ。

906:名無しより愛をこめて
07/07/27 10:01:56 fIY0u36WO
次ならいいんじゃない?
書き手も少ないんだし歓迎しようよ。

907:名無しより愛をこめて
07/07/27 10:31:00 xnNkOvCGO
いや、ダメでしょ?
あきら明日夢浅倉は絶対死なないってなっちゃうじゃん

908:名無しより愛をこめて
07/07/27 10:33:37 7KkJp8vs0
大体もう王蛇に変身できないのに浅倉を王蛇と呼ぶなよ…

909:名無しより愛をこめて
07/07/27 10:49:11 30spLf5x0
>>907
しかも現状のチームから分かれさせなきゃならないしな

910:名無しより愛をこめて
07/07/27 11:00:53 fIY0u36WO
そうだね、スマソ。
とりあえず、>>903の書き手さんは一度予約を白紙にして今予約してる人が投下後にまた予約し直すって風にしたほうがいいな。

911:名無しより愛をこめて
07/07/27 11:06:07 SWAzVfW+0
だからといって、浅倉を他の奴らと絡ませたい場合は遠慮なく予約して欲しいな。
>ALL

912:名無しより愛をこめて
07/07/27 22:12:01 +qHiGQfj0
>897
むしろ世紀王シャドームーンが復活して、最強マーダーになる可能性もある。
下手したらシャドーセイバー+サタンサーベル+記憶復活で今より強敵になるような。

913: ◆vHOqGgdf1U
07/07/27 22:25:42 FwBqb+a20
空気読まずに
一部自己リレーになりますが、
ドラス、キング、神代剣、浅倉威を予約します。

914:名無しより愛をこめて
07/07/27 22:32:25 LsmRkLUU0
>>913
誰がここでリタイヤとなるのか、全く想像が付かない組み合わせ!
凄い楽しみです。頑張って下さい。


915:名無しより愛をこめて
07/07/27 23:13:29 F5nrvab10
>>912
それに加えてキングストーンフラッシュまで使い出したら
まさに手に負えんな。キングストーンに関しては制限必須だろうが。

916:名無しより愛をこめて
07/07/27 23:24:33 /AP2DcrwO
>>913
浅倉ゾルダ来るか!

917:名無しより愛をこめて
07/07/28 00:04:14 nVXe0s2A0
ふと思ったんだが、浅倉補正利きすぎてない?
疲労や痛みはハイになってるから無視できるとしても、片目見えないって相当なハンデだろ?

918:名無しより愛をこめて
07/07/28 00:14:05 DQhk8zvq0
確かに。元は生身の人間だし、そう思うのは仕方ないけどね。
ただ、木野戦でかなりのダメージを受けてそうだからそろそろ
限界は来ると思われ。

919:名無しより愛をこめて
07/07/28 00:21:50 ROfSyUbiO
>>917
蛇にはピット器官というものが(ry
眼が無くとも、バジリスクは音だけで(ry

マジレスすると、隻眼の死角はしっかり突かれてるのに勝ってるのが浅倉
てか、無差別マーダーならこの程度の補正は欲しい

「天美あきらは未熟!」
「木野薫は満身創痍!」

920:名無しより愛をこめて
07/07/28 00:33:36 DQhk8zvq0
それでも技をぶつけあってるんだし、血まみれなんだから多少は
怪我してるんじゃない?まぁ浅倉は血だらけでも笑いながら戦ってそうだけど。

921:名無しより愛をこめて
07/07/28 00:37:31 2IDWhvMX0
浅倉クラスのマーダーであの補正、他ロワでは珍しくもなんともない。

922:名無しより愛をこめて
07/07/28 07:54:23 lUuu96ml0
草加もピンピンして秋山担いだりしてるけど
本当はかなり疲れてるし怪我もしてるよな。
治療なり休憩なりさせないと普通ならもたねえと思う…んだが
ヤツは他人の前で無防備にはならなさそうだしどうしたもんか。
誰かがムリヤリおせっかいを焼くしか…?

923:名無しより愛をこめて
07/07/28 08:06:06 wk+wkHVt0
電王も参加してほしいものだな

924:名無しより愛をこめて
07/07/28 08:22:36 xIW/OrxOO
まるでどうでもいいけど
>>913←カイザ ですね
 


925:名無しより愛をこめて
07/07/28 09:38:00 i7bYxoAjO
>>923
とりあえず放送終わるまでは出ないかと。
というかあんまり作品のカラー的に向いてないと思う>電王

926:名無しより愛をこめて
07/07/28 09:45:34 MeP3BQOT0
デンライナーの時点で反則だしな。

927:名無しより愛をこめて
07/07/28 13:07:27 kzehrr4OO
生存者もついに半分になりましたね。
>>788
>>900
>>913
楽しみにしております!

928:名無しより愛をこめて
07/07/28 14:04:16 bsZB7NTSO
もし次回作で電王が参戦するとしたら。
良太郎、ハナ、優斗、4タロス、デネブ、
これくらいと思う。(今の状況では)

929:名無しより愛をこめて
07/07/28 16:38:16 0OHfAeSu0
電王とクウガはロワに出したら(五代以外)すぐ犠牲になりそう…
それか今回のあきら明日夢ひよりみたいに他の連中に庇ってもらえて
逆にしぶとく生き残るかのどっちかのような気がする。

930:名無しより愛をこめて
07/07/28 17:14:43 8IL+wHnS0
良太郎はああ見えて芯が強いから…なんか拡声器使用するような気がしてきたww
電王での問題は四タロスの憑依についてとかだな
制限決めるの面倒くさそうだ…

931:名無しより愛をこめて
07/07/28 17:27:08 QVHvUq5Z0
侑斗はそこそこ行けるんじゃないの
生身でイマジン殴りつけたりしてるし単体でも馮依電王並みに戦えるようだし
デネブ馮依状態で参戦できれば戦力的には中の上位いくだろう
性格的にもPKKとか率先してやりそうな予感
で、中盤で誰かを庇って立ち往生、とw

良太郎は微妙だな
素だと一般人以下で事実上馮依頼りだけど馮依には制限かかるだろうから
庇われるかギャグ補正次第か

932:名無しより愛をこめて
07/07/28 20:05:10 MeP3BQOT0
やっぱ電王はロワ向かないって。
そんなのより劇場版orシリーズ終盤の木場とか
G4とかマーダーになりそうなのがいい。

933:名無しより愛をこめて
07/07/28 20:57:18 hi4jglzgO
ほのぼの系なヒビキさんや翔一なんかは騙されまくったり空気になったり大変

934:名無しより愛をこめて
07/07/28 21:18:30 i7bYxoAjO
五代はバトロワに対する最大のアンチテーゼキャラになるかもな。
ダグバとの殴り合いは凄かった。カタルシスのない暴力を仮面ライダーで見せられたのはあれが初めてだったし。

935:名無しより愛をこめて
07/07/28 22:02:23 lUuu96ml0
一条さんとG3ユニットの連中は気が合いそうだww

電王の連中は北岡やら草加やら性質の悪い奴らにかかれば
タロス共々あっさり騙されて脱落しそう。
そんなかわいそうな目にあう電王キャラはみたくないのでロワには出ないといい…

936:名無しより愛をこめて
07/07/28 22:05:28 2IDWhvMX0
誰が当選するかなんて所詮は投票だからね。
当選したときにでも電王勢は考えればいいんじゃないか?
今参戦してない連中の末路はあんまり興味ないかな。

937:名無しより愛をこめて
07/07/28 22:09:06 8IL+wHnS0
ウラタロスがいれば騙されるのはなさそうだけどな

>>936
そのとおりだな、自重しよう

938:名無しさん@そうだ選挙に行こう
07/07/29 02:43:43 F6WArKUX0
仮面ライダーシリーズ サントラの1つです。
URLリンク(up.spawn.jp)

939:名無しより愛をこめて
07/07/29 21:17:35 dOs9QA8w0
期間延長させてもらいます。
・・・・・・最近伸ばしっぱなしだなぁ。

940:名無しより愛をこめて
07/07/29 22:00:18 /AXdqFHf0
>>939
志村ー! トリップ! トリップゥー!

941: ◆ooH1rChbak
07/07/29 22:20:07 dOs9QA8w0
しまった、まただorz

942:名無しより愛をこめて
07/07/29 22:21:11 /AXdqFHf0
>>941
了解っす。
楽しみにしてます。

943: ◆vHOqGgdf1U
07/07/31 00:44:01 d0C86MhE0
途中経過報告。
現在8割。何事もなければ明日には投下できると思います。

944:名無しより愛をこめて
07/07/31 00:46:42 VoS/w+FJ0
>>943
ご苦労様です。
期待して待たせて頂きます。

945:名無しより愛をこめて
07/07/31 17:28:48 jEl7iZ+j0
現時点での人物リストです。

【555】3/5
○乾巧/○草加雅人/●園田真理/○影山冴子/●北崎
【カブト】3/5
●天道総司/●加賀美新/○日下部ひより/○矢車想/○神代剣
【ブレイド】2/5
●剣崎一真/●橘朔也/○上条睦月/○キング/●伊坂
【龍騎】2/5
●城戸真司/○秋山蓮/●北岡秀一/○浅倉威/●佐野満
【アギト】3/5
○津上翔一/○氷川誠/○小沢澄子/●木野薫/●水のエル
【RX】4/5
○南光太郎/○霞のジョー/○シャドームーン/●グランザイラス/○ジャーク将軍
【響鬼】2/5
●日高仁志/●佐伯栄/●財津原蔵王丸/○安達明日夢/○天美あきら
【ZO&J】2?/5
●麻生勝?/●瀬川耕司/●望月博士/○ガライ/○ドラス
【ストロンガー】2/5
○城茂/●岬ユリ子/●立花藤兵衛/○ジェネラルシャドウ/●マシーン大元帥
【V3】1/5
●風見志郎/○結城丈二/●珠純子/●ドクトルG/●ヨロイ元帥
【ジョーカー】
○相川始/○リュウガ

残り――26?名
そろそろ次スレの準備が必要と思われます。


946:名無しより愛をこめて
07/07/31 18:28:34 NsfLSw+mO
麻生さんを救えればかなりの戦力になると思う。

947: ◆vHOqGgdf1U
07/07/31 21:59:19 d0C86MhE0
投下します。

948:因果は巡る ◆vHOqGgdf1U
07/07/31 22:00:00 d0C86MhE0
 どこまでも続く鬱蒼とした木々の中、歩く影がひとり。
 金髪に染まった髪に、銀色のピアス。腕にはジャラジャラとアクセサリーをつけた年の頃、16、7ばかりに見える青年。
 その正体は何万年も前から存在している不死の生物、コーカサスビートルアンデッド。
 彼は人間に擬態することができ、その間は自らのことを王―キングと呼んでいた。
 キングは何事か呟きながら森の中を進んでいた。
「まあ、君が生きていることは気付かれていないだろうからさ。この先にある山小屋で時間になるまで休もうか」
 その言葉に答える人影はいない。しかし、キングは返事を受けたかのように会話を続ける。
「そうか。OKだね。じゃあ先を急ごうか」
 端から見ている分には彼が独り言を言っているようにしか見えないだろう。だが、彼の話し相手は彼の腕に存在していた。
 見た目はくすんだ鋼色をした奇妙な凹凸がある丸い玉。その玉はキングが何か話す度に不気味な伸縮を繰り返している。
 その玉こそ、10人の仮面ライダーとも互角の戦いを繰り広げることができる最強の生命体ドラス。
 激戦の末、敗れはしたが、キングの助けもあり、彼の心臓とも言える、この『核』の部分は残されていた。
 制限が解けるまでの2時間、ドラスが出来ることといえば伸縮するぐらいで自分ひとりの力では移動することは出来ない。
 移動するためにはキングの力を借りるしかないのだが、キングもドラスを助けるために、アンデッドとしての能力を使ってしまっていた。
 今の2人は制限が解けるまでの間、時間を稼ぐことを目的としていた。幸いにして、ドラスの死をごまかすことには成功している。
 満身創痍の仮面ライダーたちが追ってくることはないだろう。
 2人はそう考えていた。しかし、彼らはあることを忘れていた。

ピ~ン♪ポ~ン♪パ~ン♪ポ~ン♪

 定時になると鳴り響くチャイムの音。死亡者と禁止エリアを知らせる定時放送である。


949:因果は巡る ◆vHOqGgdf1U
07/07/31 22:00:42 d0C86MhE0
「あちゃ~、そうか放送があったんだっけ。これじゃあ死んでないのバレちゃうじゃん」
 この定時放送では6時間の間に死んだ参加者が知らされる。当然、死亡していないドラスの名前は告げられないだろう。
 そうならば、ドラスが生きていることが敵対するライダーたちにバレてしまう。
 キングはこれからの行動について、思考を巡らせ始めていた。
 キングにとっては誰が死んだかなど、どうでもいいことだった。そのために、放送を身を入れて聞くことなどしない。
 それよりも今後の対策を立てることが先だ。
 だが、最初に告げられた死亡者の名前を聞いたとき、キングの思考は中断した。
 
『北岡秀一さん』

「……はっ?」
 思わず、間の抜けた声が自然と漏れる。聞き返そうにも放送は一方的に告げられるもの。
 自分の耳を信じるしかない。
「なんだよ、北岡死んじゃったのかよ」
 キングがまず持った感情は失望。北岡と共にいたわずかな時間は本当に楽しいものだった。
 自分の企みに、自分が創造しえない面白い方法で対抗する北岡はキングにとって、好ましい存在となっていたのだ。
 だからこそ、またそのうち会えればと、再会を望んでいたのが、その望みは叶わないものとなった。
 そのことに、キングが次に持った感情は怒りだ。自分の楽しみを奪った者に対しての怒り。
「そういえばここら辺だったかな、最後に北岡と会ったの」
 キングは思い出す。最後に会ったとき、北岡は金棒を持った蛇のような男と戦おうとしていた。
「あいつにやられたのかな。それとも、別の奴に?」
 歩きながら、考えていると、森の中、急に開けた小さな荒地に出た。
 見ると、そこは木が切り倒されており、地面は爆発したかのように荒れていた。
 その様からここが人工的に造られた場所だとわかる。
「ここは」
 自分がファイズらと戦っていた場所とは違う。そうなると、ここは北岡が戦っていた場所ではないかと予想する。
 ドクンと、ドラスが大きく躍動した。

950:因果は巡る ◆vHOqGgdf1U
07/07/31 22:01:33 d0C86MhE0
「何か見つけたのか?」
 再び、ドラスはドクンと躍動する。キングは注意深く、辺りに視線を向ける。
「あれは」
 土の中からわずかに覗く肌色。それは誰かの手のようだった。
 キングは駆け寄ると、それを掘り起こす。
 徐々に露出していく肌色と紺色。それは人間の肌の色と、着ているスーツの色。
 程なくして、その人間の顔が露出される。それはキングが予想していた人間の顔だった。
「北岡だ」
 土に汚れ、すっかりと生気を失っていたが、紛れも無く、それは北岡の顔。
 放送を信用していなかったわけではないが、改めて死体を確認すると、なにやらムズムズしたものがキングの心に生まれた。
 怒りのようで、何かがちょっと違うもの。
 それはキングにはわからなかったが、それはキングの行動に影響を与えることになる。
「ドラス、予定変更。町に向かおう。ここら辺じゃあ、君を再生するための金属がなさそうだしね」
 キングが目的地を変更したのは、言葉通りの理由なのか。山小屋に行きたくない理由ができたのか。それとも、別の何かなのか。


 次第に日は暮れてきており、夜の帳が下りようとしている。
 そんな中、神代剣は懸命にドラスの捜索を続けていた。
 ドラスには2時間の能力制限が掛かっているはずで、恐らく『コア』の状態だと、神代は推測していた。
 ドラスの身体を構成しているのは金属物質だという情報は得ている。ならば、この木々の中で元の身体を取り戻すことはできず、移動も満足にはできないはずだ。
 そして、その状態で見つけることができれば、自分にも制限が掛かっているといっても、破壊することは容易。
 だが、問題もある。コアの状態であれば、ドラスの大きさは赤ん坊の頭蓋骨程度。
 ただでさえ、見つけにくい大きさだというのに、闇に包まれた後では時間内に見つけるのは絶望的といえる。
 神代の心には否が応でも、焦りが生まれていた。

951:因果は巡る ◆vHOqGgdf1U
07/07/31 22:02:15 d0C86MhE0
 定時放送から1時間が経ち、今まで捜索していたC6エリアが禁止エリアになったが、そこから爆音は聞こえてこなかった。
 それは即ち、ドラスがC6エリア内にはいなかったことを示す。
 そうなれば、爆発した位置から隣のC7エリアにいる可能性は高い。神代は眼を皿のようにして、ドラスの捜索を続けた。
 神代の推測はドラスに協力者がいないことが前提になっている。
 キングという協力者がいる以上、神代が時間内に見つける可能性はゼロに等しかった。
 しかし、結果的に神代とドラスは邂逅する。


「うがるぁぁぁぁぁぁっ!!」
 浅倉は天に吠える。
 北岡という強敵を倒し、木野というライダーを倒し、食物で腹を満たしたというのに、彼の暴力に対する飢えは治まらない。
「イライラするぜぇぇ!誰か、誰か、俺と戦ぇぇぇぇぇっ!」
 怪魔稲妻剣を振り回し、左手に電撃をスパークさせながら、浅倉は獲物を求め、彷徨う。
 信じられないことに、彼の歩みは、まっすぐに彼のいう『獲物』がいる場所へと向かっていた。
 それは彼がもはや人ではなく、モンスターであることの証明。
 深く抉れた左眼の傷も、身体中にある矢に貫かれた痕も、度重なる戦いにより蓄積された疲れも、彼の暴走を止めるには至らない。
 彼は、自分の飢えを満たしてくれる『獲物』に出会うためだけに動いていた。


 いよいよ陽は沈み、辺りが闇へと包まれる。
 神代はディパックから時計を取り出すと、時間を確認する。
 正確には解らないが、そろそろワームへの変身制限が解ける時間だ。だが、それは同時にドラスの制限も解けることを意味していた。
 しかし、それでも捜索をやめるわけにはいかない。

952:因果は巡る ◆vHOqGgdf1U
07/07/31 22:03:10 d0C86MhE0
 正直、制限が解ける前に見つけたかったが、もし、制限が解除されたドラスと戦うことになったとしても、自分には3つの変身がある。
 優勝するために、自分の誇りを捧げてまで、使うことに決めたワームへと変身とブレイドへの擬態。
 天道という自分以外に、きっと皆を幸せに導ける男が死んでしまった以上、退くわけにはいかないのだ。
 ふと、神代は自分に近づいてくる足音を聞いた。神代は時計をディパックに収めると、代わりにサソードヤイバーを取り出し、肩にディパックを掛ける。
 ドラス打倒のため、一時的に手を結んだりもしたが、優勝を目指す神代にとって、参加者全てが敵。
 誰であろうと、斬らなければならない。
「そこにいるのは誰だ。出て来るがいい」
 神代の高貴なる精神はやはり正々堂々と戦うことを好む。
 威勢よく雄叫びを上げ、自分がここにいるということを鼓舞し、相手を威嚇する。
 例え、不意討ちを掛けてこようとも、対応できるよう前の相手に全神経を集中させる。
 しかし、敵は神代の予期していない場所から現れた。
 突然、神代が警戒していた方向の真逆から、草木を踏み分ける足音が聞こえる。
「はぁぁぁっ、見つけたぜ」
 闇に飲み込まれた木々の間から、嬉しそうな声を上げ、一人の男が現れた。
 紫外線により、色素の抜けた茶色の髪に、蛇のように鋭き眼。
 傷だらけだというのに、その男からは脆弱なものは一切感じ取れず、対峙しているだけで、生物としての本能が危険信号を鳴らす。
 クモ女やドラスから感じたものと似たような感覚に、思わず神代はひとつの疑問を投じた。
「貴様、人間ではないのか?」
 思わず口から出た質問に男はにぃっと笑って答えた。
「お前は、俺のイライラを治めてくれるかぁ!」
 開口一番、話すことなどないといわんばかりに、男―浅倉は怪魔稲妻剣を手に神代へと襲い掛かる。
 不意討ちではあったが、剣の勝負であれば、神代の腕は参加者の中で1、2を争うほど確かなものだ。
 サソードヤイバーで怪魔稲妻剣を受け流し、懐へと入る。
(もらった!)

953:因果は巡る ◆vHOqGgdf1U
07/07/31 22:04:14 d0C86MhE0
 完璧に自分の間合い。神代は逆袈裟に構え、一気に浅倉を切り裂こうとした。
 ところがそれより早く浅倉の左手から赤い光が煌く。
 たちまち、神代の身体に稲妻に打たれたような電流が走った。
 浅倉がデルタギアによって得た力。デルタギアの非適合者は変身はできるが、精神を侵され、赤の電撃を扱えるようになる。
「ぐわぁっ!」
 神代が怯んだ隙を突き、浅倉は頭突きで神代との間合いを離すと、怪魔稲妻剣を握りなおし、片手で横薙ぎに振るった。
 寸前、神代はバックステップで後ろに下がったが、しびれた体で完全に回避することは出来なかった。
 怪魔稲妻剣が、神代の胸を一文字に切り裂く。胸から吹き出た赤い血は、たちまち神代の白い服を赤く染めていった。
「ぐぅぅっ」
 膝を大地につき、崩れ落ちる神代。
「おいおい、もう終わりか?それじゃあイライラは治まらないぜぇぇぇ!」
「くっ!」
 振り下ろされた怪魔稲妻剣を、神代はなんとかサソードヤイバーで受け止める。
 鋼鉄の塊も切り裂く、怪魔稲妻剣ではあるが、サソードヤイバーも特殊な金属で作られた剣。
 火花が散るが、サソードヤイバーは砕けない。
「はぁぁっ!」
 だが、2度、3度と振り下ろされる怪魔稲妻剣に、次第にサソードヤイバーと神代自信の体力が削られていく。
 まだ、制限は解除されない。神代は一瞬のチャンスに賭けるしかなかった。
 

「すっげぇ、迫力」
 そんな浅倉と神代の戦いをキングは物陰から窺っていた。
 一見、浅倉が優勢のようだが、神代も大したものだ。
 最初の一撃以外、怪魔稲妻剣による攻撃を全て根元の部分にサソードヤイバーを合わせ、防いでいる。
 浅倉は気付いていない。あれなら、いくら叩いても武器を破壊することはできないだろう。
 神代が最初に気付いた足音はキングのものだった。
 気付かれたときはどうしたものかと考えたが、浅倉が乱入したおかげで事なきを得た。
「さてと、どうしようかな?」
 2人はお互いに相手のことに夢中で、キングには気付いていない。逃げるなら今がチャンスだった。
 今のキングには制限がかかり、まともな武器もない。

954:因果は巡る ◆vHOqGgdf1U
07/07/31 22:05:12 d0C86MhE0
 制限解除を待つことも出来るが、キングは神代が自分より早く制限が解けることも、サソードというもうひとつの変身があることも知っていた。
 ドラスと仮面ライダーたちとの戦いを伊達に眺めていたわけではないのだ。
 どちらが勝つかは判らないが、もし神代が勝った場合、優勝を目指す神代と戦うことは避けられない。その場合の勝算は五分五分といったところだろう。
「逃げた方が得策かな」
 見ると、ドラスもその考えを肯定するかのように、伸縮している。
 だが、キングは浅倉が気になっていた。
 浅倉は以前、自分とストロンガーとの対話を邪魔した男。北岡とあの場所で戦ったであろう男だ。
 そして、もしかしたら北岡を殺したかも知れない男。
 キングは考える。自分が何をしたいのかを。そして……
「面白そうじゃん」
 キングのやることは決まった。

 
 浅倉は何度も何度も打ち据えていた。だが、相手は一向に反撃をしてこない。
 それに浅倉のイライラは深まっていく。
「どうしたあぁぁぁ!」 
 浅倉は絶叫して、怪魔稲妻剣を一際大きく振り上げた。しかし、それは神代が待っていた好機。
 振り下ろされるまでのわずかな時間。その隙を狙って、浅倉の手首を断ち切るため、神代はサソードヤイバーを振るった。
 だが、神代の一撃が浅倉の腕に届くよりも早く、浅倉は地面へと突っ伏していた。当然、狙っていた一撃は空しく空を斬る。
 その突然の出来事に神代は呆気に取られる。
 浅倉の方を見ると、左側頭部からドクドクと血を流している。そして、横に転がるのは拳大の石。
 おそらく、この石が浅倉を強襲したのだろう。浅倉にとって、負傷して見えない左からの攻撃は完全に死角。
 防御することも、回避することも出来なかったはずだ。
 神代は誰が投げたのかと、石の投げられたであろう方向へと視線を向けた。
「甘いね」
 その視線とは逆方向から駆けて来るキング。
 キングは神代の虚を突くことに成功した。キングは木の上から石を投げると、木を渡り、逆方向へと回り込んだのだ。
 キングの目的は浅倉のディパックだ。神代の変身は自らの力による変身とサソードヤイバーによるもの。

955:因果は巡る ◆vHOqGgdf1U
07/07/31 22:05:53 d0C86MhE0
 汎用性のあるものではなく、件のサソードヤイバーは神代の手にしっかりと握られている。
 神代から道具を奪っても、あまり意味はない。
 だが、浅倉はどうだろうか。確信があるわけではないが、汎用性のある道具を持っているかも知れない。
 そして、それを取り上げることが出来れば、この戦いの中、死亡する可能性は増す。
 キングの元々の目的は戦いを長引かせるために支給品を取り上げること。
 浅倉を窮地に追い込み、元々の目的も果たす。それがキングの考えだった。
「いただき」
 キングの手が浅倉のディパックを握る。あとは逃走するだけだ。
 だが、キングの思惑通りに事は進まなかった。
「えっ?」
 ディパックは浅倉から離れない。
 ディパックを握っているのはキングの手と、そして、浅倉の手。
「なーにしてるのかな?」
「やっべ!」
 気絶したと思われた浅倉の眼が開く。
 その視線に、キングは威嚇されたかのように身を竦ませた。そのため、反応が遅れる。
「うだぁぁぁぁぁぁ!!」
 浅倉はどこにそんな力が宿っているというのか、ディパックを握っているキングごと、持ち上げ、放り投げた。
 浅倉もキングもディパックを握った手を離さなかったため、当然負荷はディパックに掛かり、浅倉のディパックは2つに裂ける。
 裂けたディパックから様々なものが散らばり、落ちていく。
 ペットボトルの水、携帯食、名簿、グランザイラスの腕。そして、緑色をした長方形のケース。
「あれは……」
 キングはそれを2度、眼にしたことがある。それは北岡が緑色の戦士に変身するために使っていた道具。
 ゾルダのカードデッキだった。
「いいもん見つけた」
 キングは素早く身を起こすと、ヘッドスライディングの要領で、カードデッキの元へと跳びこんだ。
 上手い具合に、キングの手にカードデッキが握られる。
「お前」
「へへっ、これがあれば変身できるんだろ?」
 キングは以前見た北岡の変身を思い出し、カードデッキを前に突き出した。
「変身!」
 左腕を構え、右腕を腰に。それは北岡の変身ポーズとまったく一緒の型。

956:因果は巡る ◆vHOqGgdf1U
07/07/31 22:06:43 d0C86MhE0
 だが、キングの身体に変化は見られない。
「あれ?へ、変身!」
 もう一度、同じポーズをとって叫ぶがカードデッキは何の反応も示さない。
「あれ?あれ?」
「はっ、それを返せ!」
 激昂する浅倉は怪魔稲妻剣を構え、キングに迫る。
「うわっ」
 キングは振り下ろされた怪魔稲妻剣を、身体を思いっきり反らすことでなんとか避ける。
 だが、無理な体勢を取った為、バランスを崩し、尻もちを付く形で大地へと座り込んだ。
 当然、その隙を浅倉は見逃さない。浅倉は怪魔稲妻剣を振り下ろした。
 ガチッと金属同士がぶつかり合う音が鳴る。
 キングは咄嗟に掴んだ物でその攻撃を防御していた。
 鋼鉄の塊も、豆腐のように切り裂く怪魔稲妻剣。ちょっとやそっとのものでは、それごと切り裂かれていたことだろう。
 しかし、キングが防御に使ったものはちょっとやそっとのものではなかった。
「なんだこれ?」
 それはグランザイラスの腕だった。キングは知る由もないが、浅倉に文字通り喰われたクライシス最強怪人の腕。
 生物部は浅倉に喰われはするが、その金属部はRX最強の剣リボルケインすら通さない最強の盾となる。
「イライラさせるぜ!」
 浅倉は怪魔稲妻剣を放り投げると、キングへと馬乗りになり、襲い掛かった。
 何度も防御される怪魔稲妻剣をもう必要ないものと判断したのだろう。
 キングはグランザイラスの腕で抵抗するが、制限の掛かった状態では腕力は浅倉の方が上だ。
 グランザイラスの腕をキングの手から離し、キングの首を絞める。
 両腕から電撃を発するおまけつきだ。
「っ、ぶばっ」
 身体中に駆け巡る強烈な電撃にキングは泡を吹く。
 意識が段々と遠ざかり始め、キングの脳裏にはここでの出来事が走馬灯のように駆け巡っていた。
(く……くそっ、なんで変身できないんだ。僕はまだ面白いものたくさん見たいのに。なんでだ……教えてくれよ、北岡……きたおか)
 その時、ずっと隙を窺っていた神代が動いた。サソードヤイバーを逆手に構えると浅倉の背中を貫く。
 そして、その刃は浅倉の身体を通り、キングの脇腹にも達した。
「2人とも、これで終わりだ」
 神代は自分の勝利を確信した。

957:因果は巡る ◆vHOqGgdf1U
07/07/31 22:07:40 d0C86MhE0
 神代は自分の勝利を確信した。
 城戸と秋山との戦いに割って入ったときと同じように、漁夫の利を得た格好ではあり、正直、不満はあった。
 だが、最低において頂点に立った自分が、優勝することよりも優先して守り続ける誇りなどないのだ。
 沈黙する浅倉とキング。神代はサソードヤイバーを抜こうと、今度は逆方向に力を込めた。
 ところが、サソードヤイバーは動かない。
「ははぁ、いいぜ、やっと、面白くなってきた」
「何!」
「ぐがぁぁぁぁっ!」
 浅倉は絶叫を発して思いっきり身体を起こすと、神代を跳ね飛ばす。
 立ち上がった浅倉の胸からはサソードヤイバーの刀身が姿を見せている。
 その傷は致命傷のはずだ。だが、浅倉の狂気は薄れるどころか、益々膨れ上がっていた。
「もっと俺を楽しませろ!俺のイライラをなんとかしろ!北岡を殺したときのようにな!」
 浅倉の両手の中で火花を散らせる赤い電撃。サソードヤイバーを奪われた今の神代に手はない。
 だが、時間さえ稼げれば、勝機はある。神代の変身制限が解けるまで、もう10分もない。
(いつまで経っても変身しないことから考えると、こいつが変身する可能性は薄い。
 手からの電撃にさえ気を付ければ、化け物とはいえ、なんとかなるはずだ)
 既に神代から浅倉は人外のものとして、認識を受けていた。
 人間ならばもはや死んで当然の傷を受けている。そう思うのも当然だった。
 浅倉はゾンビのごとく、ゆっくりと神代へと近づく。神代も覚悟を決めた。

―パン

 乾いた音が響き渡った。
 その音と同時に浅倉の右肩が弾ける。
「あぁ?」
 浅倉は何事かと思い、ゆっくりと後ろを振り返った。
 そこには浅倉がもう一度、殺したいと思っていた男の姿があった。
 緑色のスーツに銀色の戦車を模したような装甲。格子状のマスクからは赤のシグナルが右から左へと走る。
 それは紛れも無く、北岡が変身していたライダー。仮面ライダーゾルダ。
「きたおかぁぁぁぁ!」


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