07/06/04 16:45:59 RoiIXU4I0
日に日に講堂に募っていく人々。彼らは教祖に言われた通り、武器を運びこんでいる。
しかし、その目立つ行動が周りの人々の目にとまらぬはずはない。
教団本部のそばの人々の通報を受け、警察官が隊列を組んで教団本部にやってきた。
「君たちが武器を持って立てこもっているとの通報があった!
直ちに武器を放棄して出てきなさい!」
警官たちの説得も虚しく、中から人々が出てくる様子はない。
「仕方ない。突入!!」
一斉に教団本部内へ突入していく警官たち。彼らの前に立っていたのは一人の男、いまだ。
「破滅教団の教祖だな!抵抗しないで武器を放棄しなさい。」
「まあ、待ちなさい…争いからは決して何も生まれない。さあ…私の目を見て…」
いまだの目が青白く光輝く。
数時間後、突入した警官隊からの連絡もなく、誰一人として中から出てこなかったため、
事態を重く捉えた警察上層部の判断によりチームナイトの出撃要請が下った。
教団本部前に待機し、指令室からの指示を待つナイトメンバーたち。
「相手は民間人だ。たとえ麻酔弾でもみだりに攻撃はするな。」
「チーフ、了解しました。これより突入します!」
「よっしゃあ、いくぜ!!」
森は扉を勢いよく蹴破り、走り込む。
「待て、森!隊列を崩すな!内藤、お前はここで待機して本部との連絡を頼む!」
鬼塚はそういうと他のメンバーたちと中へ駆けていく。
70:まとめサイト主
07/06/04 16:46:40 RoiIXU4I0
灯りがついてなく、静まり返った本部内。森と、追いついた残りのメンバーたちは辺りを注意しながら奥へ進んでいく。
そのとき、彼らの背後に物音がした。
「誰だ!」
振り向いたメンバーの目の前にいたのは先ほど突入した警官隊。
「なんだ…無事だったんですか…」
一同がほっとした瞬間、鬼塚リーダーが叫んだ。
「…!総員回避!」
そう叫ぶや否や警官たちは銃を乱射し始める。
「あぶねぇ!」
慌てて物陰に隠れるメンバーたち。
「何で…警官が…?」
混乱する一同の耳に今や聞き慣れたあのお題目が飛び込んでくる。
「こんげんはめーつ!」
「囲まれたか…」
鬼塚の顔に焦りが浮かぶ。
「多勢に無勢か…一端退却する。皆走れ!!」
ナイトメンバーたちが一斉に走り出したのを見ると、団員たちの背後に隠れていたいまだが指示を出す。
「大いなる神に逆らう者たちを捕らえ、生け贄とするのだ。追え!!」
麻酔弾で牽制しつつ走り続けるメンバーたち。しかしーあまりに多い団員の妨害で、一人、また一人とはぐれていく。
無事出口へたどり着いたのは鬼塚リーダーのみだった。
「くそ…皆…無事でいてくれ…!」
内藤から連絡を受けた指令室。あまりの非常事態に緊張に包まれる。
「これよりチームナイトの救出を行う。チームファイター、出動準備!」
「了解!」
71:まとめサイト主
07/06/04 16:47:26 RoiIXU4I0
自室で出撃準備を行うスバル。ふと窓の外に目をやると光輝く人が宙に浮かんでいる。その光は部屋の中に入ってきた。
「誰だお前は!」
「そうだな…キリエル人の預言者とでも言っておこうか…」
「キリエル人…!?」
スバルの脳裏をよぎるのは幼いころの記憶。自らが信じるティガの光を悪魔と言い放ったキリエル信仰。
「キリエル人…今回の破滅教団もお前たちの仕業なのか!」
スバルの問いかけに対し、男は感情をあらわにさせて答える。
「勘違いするな!キリエルの神々はもはや人間に興味などない。かつて地球が古代の闇に包まれたとき、キリエルの神々はこの星を見捨てたのだ!」
再びスバルの頭に記憶が蘇る。世界がガタノゾーアの闇に包まれたときのことを。
「でも…闇は打ち消された。僕たちの光で!」
「確かに。あのときは人間の奇跡の力の強さを認めざるを得なかった。
だが、今、根源破滅教団として活動しているのもまた人間。
光の者よ。根源破滅の信徒と化した愚かで弱い人間達を救う価値などあるのか?キリエルの神々がしてきたように、そんな人間など見捨ててしまってもよいのではないか?」
「何…?」
「よく考えてみることだ…」
男は再び光に包まれると、どこへやら消えてしまった。
72:まとめサイト主
07/06/04 16:48:07 RoiIXU4I0
教団本部前に集結するチームファイター。内藤は負傷した鬼塚リーダーの手当てをしているため、ファイターだけで突入することになった。
付近の人々の避難は完了していたため、辺りは不気味なほど静まり返っている。
「助けて…」
辺りに人はいないはずなのに、スバルの耳に小さな声が届く。声のした方向を向くと泣きじゃくる子供たちが座り込んでいた。
「君たちは!」
スバルが彼らのそばに寄ろうとしたとき、
「スバル!何してる?突入するぞ!」
「あ、リーダー。分かりました…」
スバルは再び子供たちの方を向いたが、もうその姿は見えなかった。
「よし、突入!!」
一斉に中へ駆け込むファイターメンバー。しかし、これまでのように襲いかかってくる警官や団員たちはいない。
皆、あちらこちらに倒れこんでしまっている。
「どういうことだ…?」
倒れている人々に目をやるとナイトのメンバーたちも一緒に倒れていた。
「バレンタインさん!大丈夫ですか!?」
「森!目を覚ませ!」
皆、気を失ってしまっている。
そのとき、本部の奥から不気味な声が聞こえてきた。
「こんげんはめーつ!」
声は次第に大きさを増していく。
「スバル、私と一緒に調査に向かうぞ。他の皆はここにいる人たちを避難させてくれ!」
「了解!」
73:まとめサイト主
07/06/04 16:50:23 RoiIXU4I0
声は広い講堂から聞こえていた。講堂に置かれた神像の前で座禅を組んでいるいまだは唸り続けている。
「こんげんはめーつ!」
そこに駆けつけるスバルとオマエザキ。
「来たな…神に刃向かう者たちめ!」
「根源破滅教団の教祖だな。何が目的だ!」
「大いなる神の意思を実行に移すため、私は力を授かった。そして神の使いを操り、信者を集めた。信者たちの心の力を集め、私は更なる力を得る。大いなる神のために!」
そういうといまだの体は青白い光に包まれ、巨大化していく。
筋肉が隆々とし、黒く大きな翼を持ち、頭からはたくましい角が生えている。
悪魔のような黒い巨人イーマは巨大化を続け、講堂の天井を破っていく。
その瓦礫によってスバルとオマエザキは分断されてしまう。
一方、イーマは翼を広げ、宙を舞っている。
「愚かな人類に破滅を!」
瓦礫の山を抜け、外へ出たスバルはその様子を見てボトルプリズムを取り出す。
しかし、頭によぎる言葉。
「愚かで弱い人間達を救う価値などあるのか?」
スバルはじっとボトルプリズムを眺める。
「僕だって…愚かで弱い一人のちっぽけな人間だ!クライーン!!」
74:まとめサイト主
07/06/04 16:51:34 RoiIXU4I0
イーマは悠然と翼をしならせ、クラインを宙で待ちうける。
空中で行われる激しい戦い。両者は超音速で飛び回る。
クラインはハンドスライサーを放つが、イーマはそれを避け、口から火炎弾を放つ。
それに直撃したクラインは地へ落ちていくが、途中で体勢を立て直し再び急上昇する。
待ち構えていたイーマに向かってハンドスライサーを放つが再びかわされてしまった。
イーマも再び口から火炎弾を撃つがクラインもそれをかわした。
するとイーマは雲の中に逃げ込み、それを追ってクラインも雲の中へ飛び込んでいく。
雲を抜けると太陽を背にしてイーマが浮遊していた。
「偽りの光よ…消えるがいい!」
イーマがそう唱えると辺り一面にイーマの分身が飛び交う。
それらが一斉に火炎弾を放ってきたため、クラインは懸命にかわし続ける。
(くそ…諦めてたまるかぁ!!)
クラインの体が激しく発光し、辺りは眩い光に包まれる。その光に触れると分身は消えていき、イーマが一人宙に残った。
「な…何!?」
クラインは白き光に包まれタイガーモードにチェンジし、イーマとの間合いを詰める。
それを見たイーマもクラインへ殴りかかる。
「光よ…破滅せよ!」
(負けてたまるかぁ!!)
空中でクロスカウンターが炸裂する両者。その衝撃を受けると、イーマは体から青白い光を放ち消えていった。
75:まとめサイト主
07/06/04 16:52:27 RoiIXU4I0
崩れ落ちた教団本部、講堂。人間に戻ったいまだは神像の前に倒れこみ叫ぶ。
「神よ…大いなる根源的破滅招来神よ!我を救いたまえ…我を導きたまえ!!」
叫ぶいまだの前に眩い光が走り、先程スバルと対話したキリエルの預言者が現れた。
「あなたは…神なのですか…?」
それを聞くと預言者はキリエロイドへと姿を変える。
「…残念だがお前の望む神ではない…」
「え…」
「お前は大きな罪を犯した。キリエルの神々に反する偽りの幻神を崇め、愚かな偶像崇拝を行ったお前に罰を与える!」
キリエロイドはそう言うといまだへ向けて拳を飛ばした。
76:まとめサイト主
07/06/04 16:53:26 RoiIXU4I0
チームファイターに救助された信者たちはやっと意識を取り戻した。
オマエザキリーダーは彼らに事情を説明する。
「なんだ…結局インチキ宗教か…」
「初めから胡散臭いと思ってたんだよな!」
一人、また一人と信者たちは祭具を捨てて帰っていった。
誰もいなくなった廃墟。瓦礫の上にイーマの黒い羽が散っている。
それを拾い集める数人の人々。彼らは互いに顔を見合わせると、お題目を
唱え街から去っていった。
「こんげんはめーつ!!こんげんはめーつ……」
以上21話でした
77: ◆phKGr/4M5s
07/06/04 17:31:03 dGHDrEak0
仕事速いですね!
GJ!
他にどこか空いてる話はありますか?
あれば僕が担当しますが。
何か、こう、「救いの無い話」が描きたいです。
78:名無しより愛をこめて
07/06/04 19:09:10 dvBwFfKe0
>>66
>昭和が本編に出るのは平成総括なのにおかしいし、
その理屈で言うなら、メビウスも平成にいれてやってくれ。
79:名無しより愛をこめて
07/06/04 21:02:53 07f2NloU0
GJ!
即興でこれだけの作品が書けるなんてすごいですね!
80:名無しより愛をこめて
07/06/04 21:10:53 sn75eO9s0
まとめ主様本当にありがとうございました。
21話の原案を考えたものです。
破滅教団のおぞましさ、それに頼ってしまう人間の愚かさ
キリエル人すら見捨てたくなる根源破滅の邪悪さが出ていて読んでいて
背筋が寒くなる感じでした。特に最後の信者達がお題目を唱えながら
街を去っていくシーンはホラー映画そのものでした。
でも人間を見捨てないスバル達の光の強さがこれでさらに輝きを
増したように感じます。
本当ここまで素晴らしい作品に仕上げてくださりありがとうございます
24話も期待しています!!
81: ◆y8iIjqTf7I
07/06/04 21:20:57 fwxlR5tA0
>>78
メビウスは放送されたのこそ平成ですが世界観は昭和継いでるじゃないですか
そのメビウスを入れる事は昭和も再総括してしまう事になります
そしたらメビウスを除く事以上に「平成ウルトラマンを総括」じゃなくなります
昭和ウルトラマンの客演はアリだとは思いますが、>>65-66の言う様に番外編が良いかと。
本編終了後に何らかの原因で再び宇宙統合が起こり、今度は昭和宇宙も
融合されてしまい、それを元に戻す為初代~クラインが奮闘みたいなのはどうですか?
もしくはキャラクターだけ共通している全く別の「クライン」を特別編で作るとか…
とりあえず本編に登場させるのは絶対反対です
82: ◆y8iIjqTf7I
07/06/04 21:34:25 fwxlR5tA0
>>77
22話防衛軍LOVE氏
23話前スレでコメディ書くって言った人or◆68nHv.MDYQ氏
24話まとめ主氏
25・26話は一応自分が予約してます(希望あれば分担or委任します)
27~32話で客演回ですが…客演人数5人なのに6話あるんですよね
それはネクサス変身者変えて二度客演させる為なのか
単純ミスなのか分かりませんな
(後者ならば◆68nHv.MDYQ氏さんのグレゴリーか空番となるか)
連続客演させずに1話ずつ間おいてそこに再び書き手独自回や
グレゴリーの決意なんか入れてくのが良いと自分は思いますが
83: ◆y8iIjqTf7I
07/06/04 21:35:43 fwxlR5tA0
×◆68nHv.MDYQ氏さんのグレゴリー
○◆68nHv.MDYQ氏さんのグレゴール人回
なに間違ってんだ…
84:名無しより愛をこめて
07/06/05 00:49:14 l+9mChAR0
本編は駄目で、番外編なら良いってよく分からんなぁ。
85:名無しより愛をこめて
07/06/05 01:42:28 BxFl6E6v0
>>84
番外編はお遊びだから基本的に自由ってことだろ。
本編はあくまで「平成ウルトラマン」を総括するもの、昭和を客演させる必要性は無い。
86:名無しより愛をこめて
07/06/05 01:55:43 BZhZ0r/90
>>85
番外編がお遊びって、どういうこと?
この企画自体、お祭りじゃないの?
87:名無しより愛をこめて
07/06/05 02:07:50 AZzocDkwO
てかね、本編にやたら昭和系出したがる人ってなんなの?
クラインはあくまで「平成総括」のウルトラマン。そこに昭和が入ると
やっぱりただのウルトラマン全員集合じゃん。本来ならマックスが
出てるから旧怪獣登場ぐらいが限界だと思うけど。何でもありにしたら
平成総括の意味が無くなるし
88:名無しより愛をこめて
07/06/05 08:08:42 k52D7VgRO
昭和の客演について、誰もなんでもありで出せなんて書いてないのでは?
ニヤリ程度も無しでいくのかな。
89:名無しより愛をこめて
07/06/05 09:35:35 HYHz7sJ50
前の方のレスには最終決戦にウルトラ兄弟を出したいみたいな意見があったけどね。
昭和客演は話数にゆとりがあったら1話遊びであってもいいかなくらいでは?
それより、昨日からこの作品を読み始めたんですが、
結局クラインはどこ出身のウルトラマン何ですか?
1話に出てきた人間態のモデルは誰ですか?