おにゃのこが改造されるシーン 素体7人目at SFX
おにゃのこが改造されるシーン 素体7人目 - 暇つぶし2ch59:名無しより愛をこめて
07/05/24 00:39:59 n6SgpNjV0
ここは日本人皆殺しを企む「死ね死ね団」のアジト。
ボスのミスターKが、サイボーグ研究の第一人者、ドクターボーグの研究室を訪ねた。
日本軍に妻を殺されて復讐に燃えるドクターボーグは、全日本人の抹殺とレインボーマン打倒の
ために、死ね死ね団の女幹部たちを次々とサイボーグに改造し、戦場に送り込んできた。
だが改造された女幹部たちは、レインボーマンの前に次々と敗れ、改造する人材が底をついた。
そこでドクターボーグは、一般人を瞬間的にサイボーグ強化戦士に変えてしまう、特殊ナノマシン
の研究に着手したのだった。
「これが、人間を一瞬でサイボーグに変えてしまうという秘密兵器か。」
「はい。ボーグαと名付けました。このボーグαを仕込んだ銃弾に撃たれた者は、ナノマシン
によって細胞組織が強化され、同時に理性による抑圧が解除されて狂暴な戦士となります。
また脳に侵入したナノマシンをこのリモコンで遠隔操作し、自由に操ることも可能です。」
「面白そうだ。ぜひテストしてみよう。」
ボーグαを仕込んだ銃弾を拳銃に装填すると、ミスターKはドクターボーグを助手席に乗せ、
車で町に繰り出した。

「よし。あの男で試してみよう。」
ミスターKが、バイクを追い越しざまに、運転していた男の首筋に向けて銃弾を放った。
「うっ!」
バイクを運転していた男の首筋に、星形のアザが現われた。
男は一瞬ビクッと身体を震わせ、それから急に狂ったように猛スピードでバイクを走らせ、
通行人を次々とはね殺していった。それまで温厚そうだった男の表情は、恐ろしい悪鬼へと
豹変していた。
「いいぞ。もっと人通りの多いところを走れ!もっと、もっと日本人を殺すのだ!」
リモコンのマイクに向かって指令を発しながら、ミスターKは満足げな表情を浮かべた。

ミスターKはその後も、走る車の窓から無差別にボーグαを撃ち続けた。銃弾を受けた者
は例外なく狂暴になり、ミスターKの指令のままに暴力、殺人、破壊を行った。
「うむいいぞ。この調子でいずれは全日本人を奴隷サイボーグに変えてやるのだ。」

60:名無しより愛をこめて
07/05/24 00:40:55 n6SgpNjV0
「じゃあね。バイバイ。」
友人と別れて帰宅する最中のセーラー服の美少女。大通りを歩いていると、突然街路樹の
陰から現われた蜂が少女にまとわりついた。
「やだ!何よこの蜂!」
その時。ミスターKの構えた銃口が少女に狙いを定めた。
バスン!
「キャッ!」
ボーグαを撃ち込まれて、少女は街路樹のそばに倒れた。
だがどうしたことだろう。これまでとは異なり、少女はなかなか起き上がらない。
「む?様子がおかしい。」
ミスターKは急いで車を停め、状態を確認しようとドクターボーグと共に、倒れた少女の
方に駆け寄った。
セーラー服とスカートの間からのぞく、ボーグαを撃ち込まれた傷あとに、なんとさっきの
蜂の死体がこびりついているではないか。どうやら銃弾は偶然、蜂と少女を一緒に射貫いて
しまったらしい。そして蜂の死体は、みるみるうちに少女の傷口に吸収されてゆく。
「うっ!ああっ!あああっ!」
少女は身体を折り曲げて苦しみ始めた。そしてみるみるうちに、その身体に変化が現われた。
紺色のセーラー服が分解され、少女の身体に青い全身タイツとなってまとわりつく。
背中にしょったカバンが、ビニールの羽根となって少女の背中にぶらさがるように貼りつく。
そして少女の顔に、真っ赤な触角がついた、昆虫の複眼のようなマスクが現われる。
「これは一体どういうことだ!?」
「おそらく、蜂を取り込んだかたちで全身の細胞のサイボーグ化が起こっているのです。
蜂の遺伝子を組み込まれた細胞が、周囲の物体を利用して自らのまわりに、強化外骨格の
ようなものを組み上げているのでしょう。」

61:名無しより愛をこめて
07/05/24 00:42:03 n6SgpNjV0
少女は立ち上がった。セーラー服の代わりに青い全身タイツをまとい、黄色い腰布を巻き、
昆虫のようなマスクをかぶった奇妙な姿になって。足には白いブーツ。手は白い手袋。
そして全身タイツの胸には、蜂のような黄色と黒の渦巻き模様がふたつプリントされている。
「なぜ、全身タイツなのだ?」
「ボーグαは、理性に抑圧されていたものを解放する効果があります。おそらくこの娘が
抑圧してきた恥ずかしい性の衝動が、恥ずかしい衣裳のかたちを取って具現化したのでは
ないかと思われます。」
「ハチハチハチハチハチッ!」
さっきまで少女だったそいつは、奇妙な鳴き声を上げながらミスターKの方に近づいてきた。
「うむ。素晴らしい!実に素晴らしいサイボーグだ!」
蜂のような姿になった少女の姿をほれぼれと見つめながら、ミスターKは満足げに叫んだ。
「ドクターボーグ。こいつと同じようなサイボーグを量産できないか?」
「蜂のエキスを最初から銃弾に仕込んでおけば、容易なことです。」
「よし。いったん基地に戻って改良型の銃弾を完成させ、それを持って今度は女子校を
襲撃する。若い娘たちが相手では、さすがのレインボーマンも手が出せまい。」
ミスターKはドクターボーグと共に、急いで車に戻った。
「ハチ女、ついて来い!」
「ハチハチチチッ!」
ハチ女に生まれ変わった少女は、ミスターKの乗った車の後を走って追いかけた。
ビニールの羽根と黄色い腰布が風になびき、渦巻き模様がプリントされた全身タイツの胸が
ゆっさゆっさと大きく揺れた。

62:名無しより愛をこめて
07/05/24 11:46:05 33b4FjPN0
終わりなの?続くの?

63:名無しより愛をこめて
07/05/24 14:29:41 LlIKlgxj0
>>61
「車に乗せないの?」と言うのは置いて置いても
「どうして飛ばないの?」

64:名無しより愛をこめて
07/05/24 14:40:50 VKVbyjZX0
>>63
>>59-61の元ネタの「カマキリ男」を知ってたら理由はすぐにわかる
カマキリ男は緑色の全身タイツを着てお面をかぶり、画用紙で作った羽根を
背中につけて手にU字形の鎌を持ったただのオサーンなのだ
飛べるどころか特殊能力は何もない

65:名無しより愛をこめて
07/05/24 14:59:12 lgKFEdVC0
蜂女に元々飛行能力は無い

66:名無しより愛をこめて
07/05/24 23:22:06 dTn3i6ep0
「オーメン」のダミアンの娘みたいな、人間の姿をした悪魔を悪の組織が捕らえて改造するってシチュエーションに時々萌えることがある。
ただそうなると話の収拾がつかなくなさそうだが…。

67:名無しより愛をこめて
07/05/25 02:29:56 FsvXSr8h0
URLリンク(blog31.fc2.com)

68:名無しより愛をこめて
07/05/27 01:52:04 bgSyEHGm0
>>59-61氏
GJです。 是非続編をお願いします。

ところで、>>1 の3~5スレが読めなかったので手元のdatをhtml変換してみたです。
2、3スレが途中までしかなかったよ…
URLリンク(www.geocities.co.jp)

69:名無しより愛をこめて
07/05/29 06:00:33 KaeXtoum0
前スレDAT落ち。

それにしても、SSの投下がないとマジで過疎るのな、このスレw

70:てふてふちゃんぷるう
07/05/29 21:03:31 BKkKH7f50
皆さまお久しぶりです。
前スレの769で予告してあった、毒蝶女ギリーラのSSが仕上がりましたので、投下いたします。
とは言っても、自分の独自設定で押し通しましたので、もはやTVとはまったくの別物。
インスピレーションの元になった香山滋さんの「妖蝶記」とも、また違った印象の作品になってしまいました。
しかも今回は今までにない激エロエロ(*ノ∀ノ)。まあ、ストーリー上・設定上の必然性はあるんですけどね。
時代背景の設定とかは例によってできていません(">ω<")。2007年の話だと思って読んで下さい。
それでは、お楽しみいただければ幸いです。

(なお香山滋さんの「妖蝶記」は、子孫を残すために日本にやって来た中央アジアの幻の蝶が、人間の
美少女の姿となってある昆虫学者の温室にもぐり込み、学者を誘惑して夜な夜な交わるという話です。)

71:てふてふちゃんぷるう
07/05/29 21:03:54 BKkKH7f50
丈の高い異国の植物がうっそうと生い茂る中を、草を踏み分けて一人の男がゆっくりと歩んでいる。
淡く輝く春のおぼろ月が、頭上に格子模様のシルエットを浮かび上がらせる。どうやら広い温室の中らしい。
時折り、バサバサバサ、と何かの翼が羽ばたく音が沈黙を破る。だが男は気にもかけずに歩を進め、巨大な
葉むらをかき分けて開けた場所に出て、そこで立ち止まった。
男の年齢は40前後。やせ型で、彫りの深い端正な顔立ちは外国の某映画スターを思わせるが、インテリめいた
神経質そうなそぶりが、どこか近寄りがたい雰囲気を漂わせている。
男はふと優しげなまなざしになって、自分の前方にある、あるものをじっと見つめた。それは、熱帯性の巨大な
樹のあいだに立つ、玉虫色に輝く美しい蝶の羽根を広げた、等身大の女の彫刻であった。
前かがみになって、羽根を大きく広げたその女は、両腕で自分の肩を抱きかかえ、身体をよじって苦悶の表情を
少し浮かべている。身体は人間ばなれした、金属光沢を持った美しい緑色で彩られ、淡い赤紫色の縞が肌の上を
左右対称のケルト文様のように走っている。頭部だけは人間と同じ肌色だ。そして下半身は、無数の白い糸の
ようなものにすっかりからめ取られており、脚は見えない。
滝のように流れ落ちる美しい金髪。ギリシア彫刻のように整った絶世の美貌の、息を飲むほどに見事な女体像。
だがよく見ると、それはただの彫刻ではなかった。
同心円模様で昆虫の腹部のように彩られた女の乳房は、脈打つようにゆっくりと、蛇腹状に動いていた。
女の脇の下から太股にかけて一列に並んだ、昆虫の気門のような小さな穴も、乳房の動きに合わせてパクパクと
開いたり閉じたりを繰り返していた。
「・・クロエ!・・とうとう見つかったよ!・・・きみを、きみをついに、生き返らせる時がやってきたんだ!」
男はそう呼びかけながら、奇妙な女の彫刻に近寄った。そして、両の手のひらで女の顔をはさむようにして、
彼女の真っ赤な唇に、自分の口をそっと重ねた。

72:てふてふちゃんぷるう
07/05/29 21:04:11 BKkKH7f50
「はいッ、みわ! 兄貴の研究室でもらってきた、今日の内覧会の招待状よ。恩にきるんだな。」
「やたッ!! あーんもうッ嬉しいッ!! なっちんったら愛してるッ♪♪」
「こら抱きつくんじゃねえ、人前で。暑苦しいじゃないの。」
学園通りのファーストフードショップ。この春、城南大学に入学したばかりの女子大生が二人、一枚の招待券を
囲んで楽しく騒いでいる。
券を持って来たのはファッションサングラスをかけた、バギーパンツのスポーティーな少女。70年代テイストの
装いが、目のパッチリしたコケティッシュな顔立ちによく似合っている。身長は158cmとやや小柄だが、
スラリと伸びた脚、抜群のスタイルのせいで、実際よりもかなり長身に見える。
もう一人は、ブラウスにシフォンスカートのお嬢様風のいでたち。ロングスカーフからタイツ、靴にいたるまで
淡い緑系でセンスよくコーディネートしている。前髪を一直線に切り揃えた、ボブカット風のストレートロング
ヘアーが古風なお嬢様然とした印象を与えるが、コロコロとよく変わる表情、すぐに手を顔の前に持ってゆく
子供っぽいしぐさが、少女めいた愛らしい印象を強めている。身長164cmとやや長身のやせ型だが、あどけない
顔に似合わぬ豊満な胸は、大人の魅力をじゅうぶんに備えている。
タイプは違えど、二人とも街行く人の目を引く美貌の持ち主であった。
「じゃ、あたしはこれからバイトに行くから。明日また会おうね。 それにしても変わってるよねぇ、あんた。
明日になれば一般公開されるっていうのに、わざわざ内覧会に行きたがるなんてさ。」
「うん。どうしても今日行きたいんだ。ありがとね、なっちん。」
「いいっていいって。はあぁん。さては男が目当てだな?」
親友の言葉に、ストレートヘアーの少女は思わず顔を赤らめた。
「やっぱ図星か。ま、頑張んなさいね。ここはあんたのおごりだよ。」
バギーパンツの少女、桧山奈月(ひやま・なつき)はそう言い捨てて、店から駆け出すように出て行った。
「もぉう、なっちんめ余計なことを言うから、意識しちゃったじゃない!」
残された少女はふくれっ面で、シェイクのストローをパクリとくわえ込み、ブクブクと息を吹き入れた。

73:てふてふちゃんぷるう
07/05/29 21:04:45 BKkKH7f50
城南大学は、城北大、城西大、東都義塾大と並ぶ、東都4大学の一角をなす名門私立大である。文学部から
医学部まで11の学部を持つマンモス大学で、機械による生体制御の画期的研究でノーベル賞候補にも挙げられた
緑川弘教授が、理学部の生体工学研究室に在籍していたことでも名高い。
昨年9月、教養部の新たな施設として「城南大学ミュージアム」が創設された。文学部の博物館過程の実習施設
としてだけでなく、創立100年近いこの名門大が所有するさまざまな標本、史料、文献、実験成果物などを一般に
広く公開することを目的として建てられた施設であり、オープン以来、美術・歴史・自然科学・工学分野などの
さまざまな展覧会が催されて、多くの入場者を集めている。
そして、この4月からは新たに、農学部昆虫学研究室の九条鱗太郎教授が個人的に所有する、貴重な「蝶の標本」
の展覧会が開かれることになったのだ。
九条教授は39歳という若さながら、チョウやガなどの鱗翅目昆虫の研究では世界トップレベルの俊英である。
九条家は旧華族に連なる名門の資産家であり、代々名医を輩出した医者の家系でもある。九条教授の曽祖父に
あたる九条究太郎は、皇室の主治医を永きに渡って務めた傑物として知られている。
九条教授の蝶のコレクションは、教授自身が世界各地を回って直に蒐集したもので、中には標本が世界に数頭
しか存在しない、国宝級の貴重なものも数多く含まれている。中でも南米アマゾンで蒐集した特殊な生態を持つ
蝶の数々は、日本では唯一無二のコレクションとして全国の蝶愛好家の垂涎の的となっていた。
展覧会の一般公開は明日からであるが、それに先立つかたちで今日の午後、プレスや同業の蝶研究者など
関係者を対象とした、「内覧会」が開かれることになっていた。先ほどのファーストフードショップで少女が
手に入れたのは、この内覧会の招待状であった。

74:てふてふちゃんぷるう
07/05/29 21:05:14 BKkKH7f50
城南大学ミュージアムの入り口ロビー。着飾った男女が次々と門をくぐり、芳名録に記帳しては関係者どうしの
談笑に花を咲かせている。テープカットの儀式も終わって展示室は既に開場されており、ガラスケース内に
うやうやしうく展示された貴重な標本の数々に、食い入るように見入っている研究者も多い。
ここの大学院に在籍する友人の兄を介して招待状を手に入れた先程の少女もまた、やはり目を皿のようにして
華麗な標本の数々を、うっとりとした表情で眺めていた。
博物館の中は空調が行き届き、標本にダメージを与えないように温湿度はコンピュータで適正に管理されている。
だが空調ダクトを通して、微細な金色の粉末が博物館の中をくまなく漂っていたことに気がついた者は、ただの
一人もいなかった。
金色の粉のひとつが、重力に引かれてゆっくりと落下し、先程の少女の頬の上に止まった。すると金色の粉は、
人間の目では捉えきれないような微妙な周波数の光を、ゆっくりと放ち始めた。
「・・・いたか。」
全館に仕掛けられた防犯カメラを集中管理している監視室の中、奇妙なゴーグルを着けた壮年の男が、突然
弾かれたように椅子から立ち上がって、ゴーグルを外し、展示室の方に急いで駆けて行った。
第三展示室の中では、先程の少女が西アジアのシロチョウの標本に熱心に見入っていた。展示室につかつかと
入ってきた男は、足音を忍ばせて少女の後ろに立ち、それから一呼吸おいて、そっと彼女に声をかけた。
「チョウがお好きなんですね。若いのに関心なことだ。」
「えッ!?」少女は驚いて後ろを振り返った。そして自分のすぐ後ろにいた男の顔を見るなりビクッ!と飛び上がり、
あわてたそぶりで周囲を見渡し、手をあたふたと動かしながら、しどろもどろに声をあげた。
「・・・あ・・・あ・・・あたし・・・あの・・・その!・・・あのォ!」

75:てふてふちゃんぷるう
07/05/29 21:05:40 BKkKH7f50
そのようすに男は一瞬驚いた表情を浮かべたが、すぐにニッコリと微笑んだ。欧米人のような彫りの深い顔立ち。
かなりの美形である。スーツの袖口に覗くカフスボタンや、ネクタイピンにさりげなく使われている宝石を見ても、
相当な資産家らしいことがわかる。
「驚かして申し訳ない。ただ、あなたがあまりに熱心に標本を見ておられたもので。見たところ、あなたは
研究者ではありませんね。どなたのお身内の方ですか?」
少女は真っ赤になって、手のひらで胸をポンポンポンと叩き、やっとのことで言葉を胸から絞り出した。
「・・・え?・・・え?・・・違います! 違います!・・・わたしは、ここの学生です!」
少女はトートバッグの中から学生証を取り出し、両手で男にハイ、と差し出した。
「ほう、学生さんですか。・・・ヒラカワ・・・ミウ、さんでいいのかな?」
「い、いえ、《みわ》と読みます。文学部1回生、平河美羽(ひらかわ・みわ)です! ・・・あ、あなたは、
九条鱗太郎・・・先生でいらっしゃいますよね!?」
「いかにも。私が九条鱗太郎です。」
少女は思わず、目を細めてヤッタッ!というポーズを取った。
「せんせいッ! お会いできて光栄です! わたし、中学の時からずうぅぅっと、先生の本のファンでした!!
『6000キロを旅する蝶』や『砂漠に眠る古代蝶』、『アマゾンの黄金蝶』。みんなみんな、わたしの宝物です!
ま、まさか、本当にお会いできるなんて・・・ああッ、夢のようです! 思い切って、内覧会に来て良かったァ!」
少女のハイテンションな身振りに、九条鱗太郎はあっけに取られたが、すぐに笑顔に戻り、みわに優しく答えた。
「それは光栄ですね。こんな美しいお嬢さんのファンがいるなんて、フッ、今まで考えたこともなかったな。」

76:てふてふちゃんぷるう
07/05/29 21:06:00 BKkKH7f50
それから鱗太郎は、みわの学生証を何度も眺めながら、歌うようにこうつぶやいた。
「・・・みわ・・・美しい羽根か。うむ、いい名前だ。まるでクジャクチョウの羽根のような可憐な響きだ。
それに名字も。・・・ひらかわ・・・かわひらこ・・・蝶の古い呼び名そのままだ。そう、きみは本当は
ぼくのためにやって来た、蝶の妖精なのかも知れない。ほら。きみのブローチも、蝶の形をしている。」
その言葉に、みわの顔はカーッと真っ赤になった。
「・・・そ、そんな・・・言い過ぎです先生。わたしは、ただの先生の一ファンに過ぎません。確かにわたし、
子どもの頃から蝶が大好きで、いつも蝶のアクセサリーをしたり、蝶の柄の服を買ったりしてますけどぉ。
・・・あ、でも、『かわひらこ』って、蝶の古い名前なんですか? わたしの名字が、蝶につながってたなんて
ちょっと意外です。わたしは今までずっと、シルクロードの平原を流れる河みたいなのを想像してました。」
「・・・シルクロード。そう、中央アジアにも蝶はいるよ。花の咲く短い季節を求めて旅をする可憐な蝶や
生きた化石と呼ばれるガラス細工のような羽根のウスバシロチョウ。そして、恐竜化石の谷として知られる
ネメゲトウの妖艶な蝶、メソパノルパ! ぼくも昔、モンゴルの平原で蝶を追ったことがある。遊牧民のパオに
お世話になり、何千キロも旅をしながら・・・」
夢見るような表情で滔々と語り続ける鱗太郎の顔を、みわは目を細めて、優しい表情で見つめ続けた。
「知ってるかい。ヨーロッパでは毎年同じ時期になると現われる蝶を、永遠の命のシンボルと見なしていた。
また古代エジプトではサナギから蝶への変態を、死から生への再生と考えて、やはり永遠の命の象徴として
捉えていたんだ。そう。蝶は不死のシンボルなんだ。人が蝶に魅せられるのは、そのせいかも知れない。
・・・おや?」
鱗太郎が、みわの薄緑色のスカーフに気がついた。淡い黄緑色をした光沢のある薄い生地だ。
「そういえば、きみのこのスカーフ、天蚕(てんさん)だね?」

77:てふてふちゃんぷるう
07/05/29 21:06:27 BKkKH7f50
「え? あ、これですか。そうです。野生のカイコの糸で編んだものです。」
「ああ、きみは知っているかな? カイコの仲間だけじゃなく、蝶の中にも糸を吐くものがいるよ。いや、
アゲハチョウやモンシロチョウの幼虫も、糸を吐いてサナギを木の枝に固定するわけだから、ほとんどの蝶が
糸を吐くと言っても間違いはないんだ。そう、カイコに負けないくらい美しく、丈夫な糸を。」
スカーフを手にした鱗太郎の手は、そのまま自然にみわの華奢な手を取り、両手で固く握り締めた。
「平河くん。きみのように心から蝶を愛してくれているファンに出会えて、ぼくはとても嬉しい。もしも
きみさえよければ、今度はぼくの研究室を訪ねて来てくれたまえ。ここにはない、もっと素晴らしい標本を
きみだけに見せてあげるよ。」
「え? え? ・・・本当ですか!? ・・・そ、そんなァ・・・夢みたいな・・・」
「ぼくの研究室は農学部A棟の3階にある。まずはここに電話をくれたまえ。」
鱗太郎はみわの手に自分の名刺を握らせ、深々と会釈をして、呆然とした表情で立ち尽くす彼女の元を離れた。
展示室の廊下をツカツカと歩く鱗太郎の顔に、やがて冷たい笑いが浮かんだ。
「・・・クロエ。とうとう見つけたよ。ぼくは幸運だ。展覧会という餌を撒いてはみたが、まさか初日から
見つかるなんて思ってもいなかった。これで“人間蝶”の、残された最後の実験ができる。・・・もうすぐだ。
もうすぐきみを、生き返らせてみせるよ!」

   ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

「ヨッ! どうだったみわ、昨日の首尾の方は?」
「なっちィ~。ふええええ~ん!」
「な、何よいったい!? どうだったの!? こ、こら! 涙でシミが付くじゃない! いったいどうなったのよ!?」

   ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

78:てふてふちゃんぷるう
07/05/29 21:07:19 BKkKH7f50
そして数日後。農学部の九条研究室の扉の前で、平河みわは手鏡を片手に身だしなみをチェックしていた。
今日の装いはモノトーンのシルクの巻きスカート。そこにも、蝶のシルエットが無数にプリントされている。
コンコン。はやる心を抑えつつ、扉をノックする。
「入りたまえ。」
「失礼します。」みわは肩をすくめ、目をキョロキョロさせながら研究室の中を見渡した。
センスのよい鱗太郎にふさわしく、小奇麗にまとまった室内であった。資料はすべて整然と並べられ、机の上
には訪れた各国で集めたものらしい、小粋な置物が幾つも置かれている。
「やあ。待っていたよ。ふむ。今日は蝶のスカートなんだね。とても似合っているよ。」
みわは顔を赤らめながら、鱗太郎にバスケットをおずおずと差し出した。
「先生。今日はサンドイッチを作ってきました。美味しくないかも知れないけど、ぜひ召し上がって下さい!」
「ありがとう。気が利くね。後で一緒に食べよう。」
鱗太郎の笑顔に、みわは天にも昇らんばかりの気分であった。
「さて、せっかく訪ねて来てくれたんだ。きみに、とっておきの標本を見せることにしよう。」
鱗太郎は立ち上がり、木製の標本箱を次々と取り出しては、みわに熱弁をふるった。鱗太郎はふだんは物静かな
研究者だが、人に蝶の話をする時だけは子どものように目を輝かせ、嬉々として話を続けるのだった。
「これは、モルフォチョウですね?」
金属光沢のある青緑色の羽根を持った、美しい蝶を指差してみわが尋ねる。
「そう。南米の宝石だよ。だがね、一般にはまだほとんど知られていないが、この仲間にはもっと驚くべきものが
存在するんだ。モルフォチョウ科のギリラ属と呼ばれる一群の蝶は、実に驚くべき生態を持っているんだよ。」
鱗太郎はそう言って、ひときわ厳重に梱包された標本を取り出してきた。
「まず、見た目に驚かされると思う。いいかい、開けるよ。」

79:てふてふちゃんぷるう
07/05/29 21:08:02 BKkKH7f50
標本箱のふたを、そっと鱗太郎が持ち上げる。そこに現われた蝶の翅を見て、みわは息を飲んだ。
「・・・すごい・・・人間の目みたい・・・」
標本箱にとめられていた、翅の差し渡し10cmほどの蝶は、モルフォチョウ特有の金属光沢を持った美しい
青緑色の翅を持っていた。それは今までに見たどのモルフォチョウよりも鮮やかな、孔雀石(マラカイト)にも似た、
目のさめるような色であった。しかも通常のモルフォチョウとは異なり、この蝶の翅にはアゲハチョウのような
長い尾状突起がある。およそ蝶が持つ美しい翅をすべて組み合わせて生まれたかのような、華やかな翅であった。
だがそれよりもみわが驚かされたのは、この蝶の後翅に浮かび上がった、ジャノメチョウのような眼状紋であった。
それもただの同心円状の模様ではない。その蝶の眼状紋は、奇怪なまでに人間の女の眼に酷似していた。
まつ毛や二重まぶた、アイシャドウまで備わった、驚くほどに精緻で、蠱惑的な眼。
その文様をひと目見るなり、みわはもう、標本から目を離すことができなくなっていた。
「あまり長時間見つめない方がいい。人間にも効果を及ぼすと言われているからね。これは死んだ標本だから
特に問題はないだろうが、生体の蝶だと危険なこともある。」
鱗太郎の不穏な言葉に、あわてて標本にふたをしたみわが、一息ついて尋ねた。
「・・・あの先生? どうして、この蝶にはこんな眼のような模様があるんですか?」
「モルフォチョウ科はジャノメチョウ科やフクロウチョウ科に近縁だから、眼状紋を持つ種類があることは
実はそれほど不思議なことじゃない。だがこの眼状紋は、天敵である鳥を脅かすのではなく、まったく別の目的を
持つものなんだ。それがあまりに特異なので、学者の中にはこの蝶の一群をモルフォチョウ科から分離して、
ギリラチョウ科を創設すべきだと主張する者も多い。ぼくも同じ意見だ。」
「どう、特異なんですか?」
「この蝶はね、脊椎動物に寄生する、寄生蝶なんだよ。」
「・・・まあ!」
“寄生”という不穏な言葉に、みわはさすがにショックを受けたようだった。今日はこれ以上驚かさない方がいい。
そう判断した鱗太郎は標本の披露を切り上げ、ポットを持ち出してハーブティーの用意を整えた。もちろん、
みわが持ってきたサンドイッチを一緒に食べるためである。

80:てふてふちゃんぷるう
07/05/29 21:08:24 BKkKH7f50
鱗太郎がサンドイッチを持つ手に目をとめて、みわが言いにくそうに、おずおずと疑問を発した。
「あのぅ、先生? ちょっと失礼なことをお聞きしてもいいですか?」
「うん? 何かね。」
「あの・・・そのぅ・・・左手の薬指の・・・ゆ、指輪は?」
「ああ、習慣みたいになっていてね。妻が死んでもうずいぶん経つんだが、これが無いと落ち付かないんだ。」
「奥様、亡くなられてもう2年になるんですよね。」
「ああ。でもぼくには、まだクロエが死んだという実感が無いんだよ。いつか、ひょっこりぼくの前に元気な
姿で現われるんじゃないかって、今もそう思えてならない。」
「・・・そう、そうなんですか・・・。」
みわは明らかに意気消沈した様子になり、サンドイッチをパクついていた手をおろした。食欲を無くしたようだ。
「・・・奥様、美しい方でしたものね。」
「きみが気に病んでくれることはないよ。ぼくはいたって平静だ。むしろ、きみを悲しませてしまったことの
方が残念だよ。何とか埋め合わせをしたい。・・・そうだ! きみをうちの晩餐に招待しよう。悲しませて
しまった、せめてものお詫びだ。ぜひ来て欲しい。・・・来てくれるよね?」
思ってもみなかった突然の誘いに、みわは仰天してサンドイッチを落としそうになった。
「・・・え? ・・・え? ・・・晩餐ですか!? ・・・そんな・・・そんな・・・嬉しいです!」
真っ赤な顔でそれだけ言うのが精一杯だった。
「じゃあ決まりだ。明日の夜は空いているかな? うん。じゃあ来てくれたまえ。うちの場所はこちらだ。」
みわはもう、天にも昇る気持ちであった。鱗太郎がその後で何を言ったかも、はっきり覚えていない。九条邱の
住所を書いたメモを片手に、みわはスキップしながら九条研究室を後にした。だから、鱗太郎がみわの飲み残した
カップの縁から彼女の唾液をこっそり採取していたことなど、知るよしもなかった。
「・・・よし。これで免疫細胞が培養できる。融合細胞核をあらかじめ作っておかないとね。フフフ。」

81:てふてふちゃんぷるう
07/05/29 21:09:13 BKkKH7f50
旧子爵家である九条邱は、白金台の閑静な高級住宅地から少し離れた、小高い丘の上にあった。こんもりした森に
つつまれたその場所は、そこが個人の邸宅であるとは思えないほどの、厳粛な静寂に包まれていた。
みわは手鏡を取り出して、いつもにも増して入念に身だしなみをチェックした。それから胸をポンポンと叩き、
呼吸を整えてから、正門のインターホンを押した。
みわの今日のいでたちは、薄紫のワンピースドレスに黄緑色の春物のショール。大学1年の彼女としては
これが精一杯のおめかしである。スカートにはいつものように艶やかな蝶の模様が大きくプリントされ、
ショールも蝶の形の大きなブローチでとめられている。
インターホンに出た執事らしい男に用件を告げると、巨大な門が電動でゆっくりと開いた。
短い春の日はもう暮れかかっている。薄暗くなった庭の中を、みわはちょっぴり不安な気持ちで歩んだ。
なんだか鱗太郎の住んでいる世界が自分とは違い過ぎて、周囲のすべてに現実感が伴わないのだ。
目の前には、2階建ての巨大な洋館がそびえ立っている。昭和初期の建築らしい重厚な作りだ。その左手前に
見えているガラス張りの大きな建物は、どうやら温室であろうか?
黒塗りのがっしりした扉のドアノブを叩くと、ギィーッ、という耳ざわりな音を立てて、扉が開いた。
「ようこそいらっしゃいませ。平河みわさんですね?」
「はじめまして。お待ちいたしておりました。」
みわの目の前に現われたのは執事ではなく、なんと、双子らしい二人の外人の美少女だった。
「・・・あ、はい。・・・は、は、はじめまして!」
身長はみわよりも少し低い、155cmくらい。年の頃は12、3歳だろうか。一人は白いフリルがいっぱいついた
クラシックな黒のドレスに、夜を連想させるストレートのつややかな銀髪と青い瞳。そしてもう一人は、やはり
フリルのついた白のドレスに、柔らかな日差しのような軽いウェーブのかかった金髪。そして緑の瞳。
対照的な容姿でありながら、いや対照的であるがゆえに、人工的な創造物めいたムードを漂わせる双子だった。
彼女たちの頭には、蝶の模様のサークレットがおそろいで輝いている。

82:てふてふちゃんぷるう
07/05/29 21:09:30 BKkKH7f50
予想もしていなかった歓迎にみわは驚いたが、この二人こそ鱗太郎と、2年前に自殺した前妻・クロエの間に
生まれた子供であるに違いないと確信した。子供がいることは知っていたけど、でも、こんなに大きい、
しかも双子の女の子だったなんて! 鱗太郎とクロエが結婚したのは15年前だから、確かに計算は合うけど・・・。
九条鱗太郎の父、九条穣太郎はフランス人の妻をめとったため、鱗太郎はハーフである。そして鱗太郎の妻
クロエはルーマニアの生まれなので、この双子は日本国籍を持ってはいても、3/4は西欧人ということになる。
表情に乏しい整った美貌に、色つやのよいピンクの唇が、年に似合わぬ色っぽさをかもし出している。みわは
この双子を、どことなく「恋月姫」という人形作家が作る、色っぽい少女人形のようだと感じた。
双子は手袋に覆われた手をつないだまま、前をスタスタと歩んでゆく。遅れないよう急いで後を追ったみわが
ダイニングルームに入ると、執事らしい40代の男がようやく現われて、みわのショールとポーチを受け取った。
「パパ。みわさんを連れて来たわ。」双子が同時に同じセリフを喋った。
九条鱗太郎は既にダイニングテーブルについていたが、みわを見ると立ち上がり、両手をあげて彼女を歓迎した。
「やあ、みわさん。よく来てくれたね。この二人はぼくの娘たち。こちらが“たては”で、こちらが“あげは”。
もう挨拶は済ませたのかな?」
双子があらためて、みわに無言で深く会釈した。銀髪が長女の九条たては、金髪が次女の九条あげは、という
名前らしい。挨拶が終わると、そのまま双子はどこかに立ち去った。
「蓼沢(たでさわ)。料理はすぐにできますか。」
「申し訳ございません旦那さま。今日に限って食材の配達が遅れておりまして、あと30分ほどお待ちを。」
執事が申し訳なさそうに鱗太郎に告げた。みわはあわてて手を横に振った。
「わ、わたしならまだお腹すいてません。まだまだ大丈夫です。」
「そうか。なら、準備ができるまでの間、ぼくのとっておきをお見せすることにしよう。さあ!」
鱗太郎はみわの手を取って、再び玄関の方へと促した。

83:てふてふちゃんぷるう
07/05/29 21:10:21 BKkKH7f50
温室の中は、ムッとするような熱気と強烈な草いきれで充満していた。
「すごいですね。こんな広い温室・・・植物園にあるのだって、こんなに立派じゃないわ。」
背の高い熱帯性植物の間を歩みながら、みわは驚きの叫びを上げた。九条鱗太郎が屋敷のそばに建てた温室は
幅20m、奥行き80m。屋根の高さ8.5mという、鉄骨造りの本格的なものであったからだ。
「趣味と実益を兼ねたものだ。最近は“熱帯蝶の生態”をライフワークにしていてね。」
「まあ、じゃあここは、蝶を飼うための温室なんですか?・・・・・あ痛ッ!」
支柱に何気なく手を当てたみわは、鋭い痛みを指に感じて手を引っ込めた。
「どうしました!? ・・・あッ。こんなところに有刺鋲がまだ! すまない。すっかり取り払ったつもりだったん
だが。工事作業員が忘れていったようだな。」
鱗太郎はあわててハンカチを取り出して、指先から出血したみわの右手を包んだ。
「確か除菌ティッシュがまだあるはずだ。これで消毒しておこう。」
「・・・い、いえ。たいしたことはありません。お構いなく・・・ああッ!?」
鱗太郎がみわの血を止めようと、指先に唇を当ててそっと血を吸った。みわは思わずドギマギして、反射的に
あたりを見渡した。誰かにこの姿を見られてはいないかと気にするように。
温室の中には水銀灯がたくさん灯っているが、春の黄昏が迫って外がすっかり暗くなっているため、背の高い
植物が夕焼けの名残りの空に黒いシルエットのように浮かび上がって、幻想的なムードを漂わせている。
時折、バサササッ!という奇妙な音が響くほかは、ヒーターが発するジーーーンという音しか聞こえない。
自分の指を吸う鱗太郎の呼吸を間近に感じて、みわは、鼓動がいたたまれないほどに狂おしく高まるのを感じた。
「さあ、これでいいだろう。」
除菌ティッシュを器用にみわの指に巻き、軽く縛ると、鱗太郎は彼女のそばを離れた。みわの手が無意識に、
鱗太郎の背中を残念そうに追う。鱗太郎は振り替えると、まだ熱に浮かされたように呆然となっているみわを
促して、目の細かい金網で仕切られた一角へと導いた。2m角ほどの間隔を空けて、金網で区切られた立方体の
スペースが幾つも並んでいる。
「ほら、みわさん。ここが、あなたにぜひともお見せしたかった、ぼくの宝物のコーナーだ。」

84:てふてふちゃんぷるう
07/05/29 21:10:59 BKkKH7f50
子供のような悪戯っぽい笑みを浮かべて、鱗太郎はみわの視線を金網の向こうに誘導した。
「ほら、あのシダの葉の陰に。」
「・・・まあ!!」
みわは思わず息を飲んだ。昨日、鱗太郎の研究室で標本を見せてもらった、眼状紋を持ったモルフォチョウの
生きた現物が、そこにいたからだ。
「照明を落としてあるから大丈夫だろうが、極力、翅をじっと見つめないようになさい。人間ですら、油断すると
幻惑されてしまうことがあるからね。」
巨大なシダの向こう側、熱帯性の木の幹にとまったその艶やかな蝶は、じっと動かないため最初はただの標本で
あるかのように思えたが、よく見ると時折、翅を動かすのが確認できる。明らかに生きている標本なのだ。
その後翅には、まぶたやまつ毛を備えた、人間の女性の眼に酷似した眼状紋がはっきりと見てとれる。
しかも驚いたことにその眼状紋は、本物の人間の眼のように、時折“まばたき”をしているではないか。
そのまばたきを見ているうちに、みわは、フッと魂が抜かれていくかのような奇妙な感覚を覚えた。自分が
今いる場所を忘れて、いずことも知れぬ場所にいざなわれてゆくような、甘美な恐怖感と陶酔感を。
鱗太郎が、手のひらでみわの視線をさえぎった。
「大丈夫かね?気分がすぐれないようなら、また今度にしようか?」
「・・・いえ大丈夫です。これからは気をつけます!」
みわはハッと正気を取り戻し、あわてて鱗太郎を制止した。
「この蝶の仲間は、脊椎動物に寄生するという特異な生態を持っている。この眼状紋は、そのために進化した
特殊な器官なんだ。」
「・・・寄生、ですか?」

85:てふてふちゃんぷるう
07/05/29 21:12:03 BKkKH7f50
「君は寄生バチというのを知っているかね。麻酔針で芋虫やセミを麻痺させて巣の中に引きずり込み、卵を
産みつける蜂の仲間だ。卵から孵った幼虫は麻痺した獲物を殺さないように、少しずつ食べて成長するんだ。
昆虫の中で最も進化したグループである、蜂や蟻などの膜翅目と、蝶や蛾などの鱗翅目には、このように
他の昆虫に寄生するものがいる。例えば蛾の仲間には、セミに寄生するヤドリガという種類があるね。
だがこの蝶は、それらとは少し違う。昆虫ではなく、ネズミのような小型の脊椎動物に寄生するんだ。
この眼状紋で獲物を幻惑し、麻痺効果のある鱗粉で獲物の神経を麻痺させて、その体内に卵を産みつけるんだ。
卵を産みつけられたネズミは麻痺が解けると、そのまま何もなかったかのように生活を続けるが、その体内では
幼虫が宿主の体液を吸って少しずつ育っている。そしてある日突然、宿主の身体を食い破って羽化するのさ。」
「・・・怖い。」みわは、少し寒気を感じて肩をすくめた。
「この蝶のいちばん驚くべき点は、寄生中の幼虫が宿主を弱らせるどころか、その身体を守るために宿主の体を
強化するという事実にある。寄生されることで、宿主は寄生されていない個体に比べて、格段に強靱な体を得る
ことになるんだ。その方が、寄生体が生き残るのに都合がいいからだろうね。」
鱗太郎は、話をしながらみわの顔をチラリ、チラリと覗き見る。
「もちろん、寄生体が宿主を守るために様々な化学物質を分泌するというケースは一般にもよく知られている。
寄生虫が体内にいる人は、花粉症やアトピーなどのアレルギー症状を起こさないと言われるのもそのひとつだ。
だがこの蝶の幼虫はね、そのレベルが一段違うのさ。例えばほら、こちらの蝶を見てごらん?」
鱗太郎がみわを導いたスペースの中には、やはり眼状紋を持つ別種のモルフォ蝶がいた。

86:てふてふちゃんぷるう
07/05/29 21:12:32 BKkKH7f50
「これはギリラ・ムタティアギガンタムと呼ばれる種類だ。学名は“巨人に変えてしまう”という意味で、
この蝶の幼虫に寄生された個体は、通常の個体の数十倍の体重に巨大化することが知られている。寄生体が、
宿主の脳下垂体ホルモンの分泌異常を引き起こしているのさ。記録によれば、体重20グラムのマウスに
この蝶の幼虫を寄生させたところ、800グラムにまで巨大化したとの報告がある。もはやバケモノさ。
もちろん人間には寄生しないが、もしもこいつが人間を襲うようなことがあったら、身長十数mの巨人にでも
なってしまうかも知れないね。」
鱗太郎は、顔面蒼白になったみわの顔を、悪戯小僧のような笑みを浮かべて覗き込んだ。明らかに、みわの
反応を見て楽しんでいるのだ。
「そしてみわくん! これがぼくが先日アマゾンから持ち帰った、ぼくの最大の宝物だ。いいかい。絶対、直接に
目を合わせちゃいけないよ。指のすき間から、そっと見るだけにした方がいい。さあ、こちらのスペースだ!」
鱗太郎がみわを導いたそのスペースには、今までの蝶よりもふた回りほど大きい、翅の差し渡し20cmほどの
巨大なモルフォ蝶がいた。水銀灯の冷たい光に照らされて、玉虫色に輝くその翅は、もはや青や緑などといった
人間の言葉では形容できないほどの、幻想的でこの世のものならぬ輝きを放っている。そして蠱惑的な秋波を
周囲に向かって投げかけている後翅の眼状紋も、それまでの蝶に比べてひときわ大きく、目立つものであった。
それはまさに、人間の美女のまなざしそのものであった。
「この蝶は、ギリラ・ハルキオゲネスプテラ。ギリラ属の最大種だ。幻覚を引き起こす翅、という意味で、
その死骸の翅だけでも人間に対して強烈な幻覚作用を引き起こし、また鱗粉が一種の麻酔作用を持つために、
現地のシャーマンたちが宗教的な儀式に使用しているという特異な蝶さ。だがこいつの生きた標本はこれまでに、
まだ一例も報告が無い。きみの目の前のこの一頭が、世界でたったひとつの貴重な生態標本なんだ。」
鱗太郎はそう自慢しながら晴れやかに笑った。

87:てふてふちゃんぷるう
07/05/29 21:13:15 BKkKH7f50
「この蝶の幼虫に寄生されると、驚くべきことに宿主は“不死身”になる。不死身というのはちょっと大げさだが、
驚異的な体力と運動能力、そして肉体の再生能力を獲得するんだ。ぼくは現地で、この幼虫に寄生されている
ノネズミを捕らえ、メスで手足を八つ裂きに切り裂いても、元通りに再生するのを実際に見た。そのネズミは結局、
特殊合金製の檻を食い破って脱走したよ。宇宙船の材料にも使われる、チタン合金製の檻だったんだがね。
現地の人々は、この蝶の幼虫である寄生体を“バオー”と呼んで、不老不死の霊薬、死者をも蘇らせる力を
持った究極の霊薬として崇めている。彼らの神話には、寄生虫バオーを宿した人間が悪魔を打ち倒し、人間の
世界に光をもたらしたという物語がある。彼らが言うようにもしも人間に寄生するようなことがあれば、確かに
スーパーマンが生まれるだろう。だが本当に人間に寄生するようなことがあるのかどうかは、まだわからない。
何しろ文明世界の人間で、この蝶を見たことのある者はまだ一握りしかいない。日本人ではまだ、ぼくと、
きみの二人だけだ。さあ、怖がらずに見てごらん。」
みわは、鱗太郎の言葉におののきながらも、指のすき間からこわごわと蝶を見つめた。そして息が止まった。
「・・・・!」
その巨大な蝶の後翅の蠱惑的なまなざしと、目が合ってしまったのだ。

88:てふてふちゃんぷるう
07/05/29 21:13:30 BKkKH7f50
蝶の眼は、みわの視線を捉え、動けなくした。そして無数の眼の幻影が、いたるところからみわを目がけて
集まってきた。やがて眼の模様は溶けるように解体し、今度は赤や黄色の幾何学模様となってみわを中心に
渦巻き状にグルグルと回り始めた。みわの意識は、その渦巻きの底に向かってどんどん吸い込まれていった。
足元の床が崩れ、みわは突然何もない中空に投げ出された。今自分がどこにいるのか、何をしているのか、
何もわからなくなってきた。
やがて目の前の巨大なまなざしが、みわの意識に向かって静かに、だが威圧的に語りかけてきた。
《・・・アナタ・・・アナタハ・・・ウマレカワルワ・・・チョウニ・・・チョウニ ナルノヨ!》
一瞬。みわの脳裏に、目の前の蝶の翅を持った全裸の自分のイメージが、フラッシュのように激しく閃いた。
「危ない!」
膝が崩れて倒れそうになったみわを、思わず鱗太郎が支え起こした。意識を取り戻したみわが、荒く呼吸をする。
「大丈夫かい? 意識はなんともないかね? 何か変わったことはなかったかい?」
「・・・わたし・・・何かの声を聞きました。それに、不思議なイメージも。でも、もう、思い出せない。」
「・・・それは、未来のイメージかも知れない。現地のシャーマンたちはこの蝶の翅を使って未来予知をする
というからね。でも、未来のことなど知らないほうがいい。忘れてしまったのなら、その方がきっと幸せだ。」
みわは、鱗太郎に支えられてフラフラと立ち上がった。まだ足元がおぼつかない。
「もうそろそろ屋敷に戻ろう。食事の用意もできているはずだ。」

89:てふてふちゃんぷるう
07/05/29 21:13:50 BKkKH7f50
鱗太郎は顔面蒼白のみわの身体を支えながら、熱気のこもった温室を離れ、入り口前のベンチにみわを座らせて
ゆっくりとひと息つかせた。熱気に包まれた温室を出たこともあって、春のひんやりとした空気が、みわの
乱れた意識を徐々に落ち着かせていった。
「・・・すみません、先生。」
「こちらこそ悪かった。初めての人には、ちょっと刺激が強すぎたようだね。」
呼吸を整えながらも、みわはさっき見た蝶の翅の眼状紋のイメージが、脳裏にはっきりとこびり付いているのを
自覚していた。一度あれを見てしまった以上、もう後戻りはできないのだということも。


九条家のディナーは、舌平目をメインにした豪華なフランス料理であった。みわと鱗太郎は、ダイニングルームの
大きなテーブルの両端に座って、ボーイが給仕する料理を無言のままに食べた。料理は素晴らしい味だったが、
二人とも、話すべき言葉がなかなか見つからなかったのだ。それに夕食だというのに、なぜか双子が姿を見せない。
「・・・あのぉ、先生? たてはさんと、あげはさんは、一緒に食事をされないんですか?」
「ああ。あの二人はぼくのことが嫌いでね。食事はいつも別々にとるんだ。」
「嫌い・・なんですか? ・・・親子なのに?」
「嫌いと言うより、憎んでいると言うべきかな。二人は妻の自殺を、ぼくのせいだと思っているんだ。ぼくが、
研究に没頭するあまり妻のことをかまってやらなかったせいで、淋しさのあまり自殺したんだと。」
みわはまずいことを聞いてしまったと思い、食事の手を止めた。鱗太郎がそれに気付いて優しい口調で諭す。
「きみは気にしなくてもいいんだよ。妻はぼくのことを愛していたし、ぼくも妻のことを今も愛している。
あの子たちも、いつかはそれをわかってくれるはずだ。それまでは、気長に待つしかない。」
その言葉に、みわはさらに意気消沈してしまった。みわは無言のまま、ナイフとフォークを皿の上に置いた。

90:てふてふちゃんぷるう
07/05/29 21:14:19 BKkKH7f50
   ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

「はいもしもし。桧山です。」
「・・・なっちん! なっちんッ!」
「なんなの、みわ? 何? 何があったの?」
「わたし・・・わたし・・・わたし・・・ウッウッ・・・ウワァアアーーッ!!」
「なによ、泣いてばかりじゃわからないわ。落ち着いて、ねえ。落ち着いて、最初からちゃんと話して。
いったい何があったの? こらあ、泣いてたらわからないでしょ? いいから落ち着きなさい。ほら!」

「・・・ふうん。そんなことを言ったんだ、教授。」
「・・・わたしね。わたしね。亡くなった奥様の代わりになれるかもだなんて、そんなこと考えもしなかったよ。
ただね。わたしにできることで、先生を少しでも慰めてあげることができたらなって、ただそれだけだったの。」
「それで、そんな隙き間すら教授の心には無いとわかって、落ち込んでるわけか。」
「ごめんね。ごめんね、なっちん。」
「でもね、みわ。教授はあんたがやって来て、喜んでたんでしょ? あんたに、とっておきのコレクションを
見せてくれるほど、歓迎してたんでしょ? なら、今はそれで充分じゃない。今のあんたの存在は、教授に
とって決してマイナスじゃあない。むしろプラスなのよ。そこから少しずつ、教授の中にあなたの居場所を
作ってゆけるよう、努力していけばいいのよ。」
「うん。そうだね。その通りだよ。ありがとう、なっちん。いつも相談に乗ってくれて、ありがと。」
「よしてよ、水くさい。・・・でもあんたがオジサマ趣味だったなんて、兄貴が聞いたらショックだろうなぁ。
あいつ、ホントはあんたのこと狙ってたのよ。ま、こちらはからかうネタが増えて面白いんだけどさ。」

91:てふてふちゃんぷるう
07/05/29 21:15:20 BKkKH7f50
   ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

「・・・蓼沢。先ほど採取したあの娘の血液だが、分析は終わったかね?」
「もちろんでございます。旦那さまが目星をつけられた通り、素体適合率は80%以上という高い数値です。」
「よろしい。計画は全て順調に運んでいるな。では明日、いよいよ決行するとしよう。」
「かしこまりました。既に改造手術室の方も準備が整っております。」

92:てふてふちゃんぷるう
07/05/29 21:15:47 BKkKH7f50
   ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

翌日。その日の講義をすべて済ませて帰宅しようとしたみわを、奇妙な客が出迎えた。
第2講義棟の入り口に、ちょっとした人だかりができている。何だろうと思ったみわが近づいてみると、そこに
いたのはゆうべの、双子の美少女だった。
銀髪と金髪のうりふたつの顔立ち。ほんのりゴシック調で19世紀風のクラシックなドレスを着た、人形のような
見た目外人の美少女。レースの手袋をした手をお互いにしっかりとつなぎ、無言のまま講義棟の入り口に立つ
その姿が、人目を引かないわけがない。やじ馬が周囲を取り巻いてワイワイ騒ぐのをまったく意に介さず、
双子はみわの姿を見つけると人ごみをかき分けて堂々と近づいて来た。
「こんにちわ、みわさん。」「ゆうべは別れの挨拶もせずに、ごめんなさい。」
二人でタイミングよく、息の合った喋り方をするので、みわはやっぱりこの二人は人形みたいだと感じた。
「どうしたの? わざわざこんなところまで?」
「みわさん。今日は忠告に来たの。」「とても大切なこと。今の自分の生活が大事なら、必ず守って。」
「忠告? どういうこと?」
「今日、パパがあなたを家に呼んでも、絶対に行っちゃあ駄目。」「行けば、もう元の暮らしには戻れなくなるわ。」
「どういうこと? どうして行っちゃ駄目なの? ちゃんと理由を説明して!」
「理由は言えないの。でも、あなたが今の暮らしをずっと続けたいと思っているのならば。」
「ひとりの人間としての幸せをずっと噛み締めたいと思っているのならば、来ちゃあ駄目。」
「・・・わからない。どうして駄目なの? 抽象的な言い方はしないで! はっきり理由を言ってよ!」
みわはイラついたように声を荒げた。双子はクルッ、ときびすを返すと、手をつないだままスタスタと歩み去った。
そして再びみわの方を振り向き、もう一度念を押すように言った。
「とりあえず、忠告はしたわ。それを守るかどうかはあなた次第。」
「いい? あなたが人間のままでいたいのなら、絶対にパパの誘いに乗っちゃあ駄目よ。」
そして双子は手をつないだまま、やじ馬をかき分けてタタタタ・・・と走り去って行った。

93:てふてふちゃんぷるう
07/05/29 21:16:04 BKkKH7f50
『まったく・・・何なのかしら、あの双子。ひょっとして、パパを取られると思ってわたしにやきもちを
妬いているのかな。でも、そんなふうにも見えなかったけどなぁ。』
そんなことを考えながらみわが大通りに出たとたん、黒塗りの車がスーッ、と近づいてきてみわの横に停まった。
運転席から出てきたのは、九条家の執事、蓼沢であった。
「平河みわ様、旦那さまからの伝言です。“今すぐに見せたいものがある。この車に乗ってうちに来てくれ”
とのことですが、いかがいたしますか?」
思いもかけぬ誘いだった。ゆうべ意気消沈したまま帰ってしまったことを、みわは鱗太郎に対し申し訳なく
思っていた。だからすぐにでも、お詫びに行きたかった。みわは今日の自分の服装をあわててチェックした。
ピンクのロングカーディガンに蝶のレースのハーフパンツ。よそ行き着とは言えないが、まあいい。
だが、さっきの双子の言葉を思い出し、みわは少しばかり躊躇した。
元の生活に戻れなくなるって何? 人間のままでいたいのならって、一体どういうこと?
だがみわは、得体の知れない不安を首を振って追い払った。鱗太郎に会いたい。その思いが全てに打ち勝った。
「はい。喜んでお邪魔いたします。」

94:てふてふちゃんぷるう
07/05/29 21:16:50 BKkKH7f50
「やあ。こんにちわ、みわくん。今日はきみに、ぜひ会わせたい人がいるんだ。」
「え?? ひと・・・ですか?」
鱗太郎の口から出た予想外の言葉に、みわはおおいに戸惑った。そして、ついて来たことを少し後悔し始めた。
だが鱗太郎がみわを導いたのは、なんと昨夜訪れた、温室の中だった。
「先生? ねえ先生!? こんなところに、会わせたい人がいるんですか?」
「さあ、こっちだ。その仕切りを開けて、入っておいで。」
鱗太郎がみわを案内したのは、温室のいちばん奥まったところにある広場だった。そこには、蝶の翅を持った
等身大の女の彫刻が置かれていた。長い金髪を垂らした、絶世の美女だ。身体は金属光沢を持った美しい緑色で
彩られ、サイケデリックな淡い赤紫色の縞が幾つも肌の上を走っている。いったい何の素材でできているのか、
判別し難い不思議な彫刻だ。みわはふと、この美女の面ざしが九条家の双子に酷似していることに気付いた。
「みわくん。紹介するよ。こちらがぼくの妻、クロエ・アミシェニク・九条だ。」
みわは、鱗太郎がてっきりふざけているのだと思った。鱗太郎の妻のクロエが2年前に自殺で世を去ったことは、
みわもよく知っている。おそらく鱗太郎は、妻を象ったこの彫刻をわたしに見せたかったのだ。それがちょっぴり
照れ臭いので、こんな馬鹿げた紹介の仕方をしているのだと。
だが、彫刻に近づいたみわは、得体の知れない違和感を感じた。彫刻の乳房をじっと見つめてみる。気のせいか?
いや間違いない。動いている。この彫刻は、呼吸するように動いている!
「せ、先生? こ、この彫刻は・・・ひょ・・・ひょっとして・・・?」
「そう。これは彫刻じゃない。正真正銘、ぼくの妻のクロエだ。・・・不思議に思っているんだろう?
2年前に死んだはずのクロエが、どうしてこんな姿になって生きているのかって?」

95:てふてふちゃんぷるう
07/05/29 21:17:11 BKkKH7f50
鱗太郎はみわのおびえた顔を覗き込み、微笑んだ。だがその目は、少しも笑ってはいなかった。
「2年前の妻の死は、ぼくを打ちのめした。クロエのいない世界なんて、ぼくには考えられなかった。ぼくは
決して納得しなかった。妻の死を、決して納得しなかったんだ。ぼくはクロエの遺体を、密かに冷凍保存した。
棺は空のままで埋葬したよ。そして、クロエを生き返らせる方法を求めて、アマゾンに渡った。ぼくには
心当たりがあったんだ。そう。ゆうべきみに見せた、あの蝶だよ。死者すら生き返らせる力を持った蝶!
あの蝶を使って、ぼくはクロエを生き返らせようと2年のあいだ奔走したんだ!」
死者を生き返らせる!? みわは強いショックを受けて、思わず後ずさった。背中が熱帯植物の幹に当たった。
「・・・じゃ・・・じゃあ・・・あれは、本当に、奥様!? ・・・でも、なんで蝶の翅が、生えているの!?」
「簡単なことだよ。あの蝶を捕えて幼虫をクロエの死体に植えつけたら、おそらくクロエは生き返るかも
知れない。でも、それは幼虫が羽化するまでのことだ。幼虫が蝶になったら、クロエは身体を食い破られて
再び死んでしまう。それを避けるにはどうすればいいか。・・・そう。クロエ自身が不死身の蝶になれば
いいんだ。クロエの肉体を蝶と合体させれば、クロエは永遠の命を持って甦ってくれる。」
「・・・お、奥様を、蝶に!?」
「そうだ。ぼくはクロエを蝶と合体させた。クロエは生き返ったよ。“人間蝶”となってね。」
「・・・そ、そんな・・・そんな・・・」
みわは身体の震えを、止めることができなくなっていた。人間を蝶と合体させる!? まさか鱗太郎が、自分の
敬愛する鱗太郎が、神をも畏れぬそんな恐ろしい実験をしていたなんて。
「不思議に思ってるんだろう? どうして一介の昆虫学者に、そんなことができるのかって。でもぼくは、
医者でもある。九条家は代々、医者の家系なんだ。そしてぼくには、人間を蝶と合体させる方法に心当たりが
あったのさ。」

96:てふてふちゃんぷるう
07/05/29 21:17:27 BKkKH7f50
鱗太郎は、遠い目で記憶をひもとくように語り始めた。
「6年前のアマゾン遠征で、ぼくはセスナの事故に遭って瀕死の重傷を負った。そのぼくを助けてくれたのは、
古代インカの神官の血をひくという老人だった。その長老、確かバゴーとかいう名前だったが、彼は不思議な
秘術で傷ついた人の治療を行っていたんだ。インカの霊石を使って、人間に一時だけ野生動物の生命力を注入し、
人が元々持っている自然治癒力を高めるというものだ。ぼくも一度だけ、儀式を見せてもらったよ。傷ついた
若者にマダラオオトカゲの生命力を注入するという儀式だったが、確かに一瞬だけ、若者の姿はトカゲと合体した
異形の姿に変貌した。治癒の儀式が終わると、再び元の人間に戻ったけどね。ぼくはその光景が忘れられず、
クロエの死後再びアマゾンに渡り、その老人の行方を追った。その時は例の蝶を捕まえることはできなかったが、
老人の元から3つの霊石のうちの、ひとつを強奪してくることに成功したんだ。日本に帰ったぼくは、以前から
懇意にしていた理学部の緑川弘教授に、霊石の分析を依頼した。霊石は古代インカの科学で作られた制御装置で、
遺伝子の発現をコントロールするものだったよ。そしてぼくは緑川教授から、遺伝子組み替えウィルスと
ナノマシンを用いた、人間と他生物の合成技術の可能性についての話を聞いた。あくまでも噂だが、なんでも
タワノビッチとかいうロシアの学者が、その合成実験に初めて成功したらしい。ぼくはその噂の元を追い続けて、
ついにある組織と接触することに成功したんだ。その組織の技術供与を受けて、半年前、ぼくはとうとう、
人間を蝶と合体させる技術の開発に成功した。」
みわは、もはや話を聞いてはいなかった。恐ろしい現実を否定しようとするかのように、必死に首を振った。
「・・・いや! ・・・いや! ・・・もうやめて!」

97:てふてふちゃんぷるう
07/05/29 21:17:46 BKkKH7f50
鱗太郎は、平然と話を続けた。
「死体であるクロエをいきなり改造するのは、ハードルが高すぎた。最初は、生きた人間を素体にプロトタイプを
造ることから始めたよ。ギリラ属ではない普通のモルフォチョウを使って、改造手術の実験を行った。2体の
人間蝶が無事に完成したよ。プロトタイプが成功したので、ぼくは再びアマゾンに渡り、くだんの蝶を追った。
そして2週間前、ぼくはついにギリラ・ハルキオゲネスプテラの成虫を一頭と、寄生体としての幼虫を一頭、
捕獲することに成功したんだ。生命力が強い幼虫の方を使って、ぼくはクロエの死体を人間蝶に改造した。
結果はご覧の通り。改造手術は成功し、冷たい死体だったクロエは、人間蝶となって確かに生き返った。
だが、どうしても目を醒ましてはくれない! 技術は完璧なのに、なぜかクロエは目覚めないんだ!
ぼくは自分の研究を見直した。蝶と人間の融合過程のどこかに、ミスがあったんだ。それを確かめるには、
もう一体の人間蝶を造る必要がある。その改造結果をフィードバックすれば、クロエの再改造は成功するはずだ。
だが、残った蝶は成虫が一頭のみ。成虫の寿命は4週間ほどしかない。残る時間は2週間。失敗は許されない。
蝶との融合に適合する因子を持った女性を一刻も早く見つけ出して、人間蝶に改造しなければいけないんだ。
そこでぼくは罠を張った。標本の展覧会を開き、やって来る客の素体適合性をチェックして、最適の素体を
見つけるという罠だ。・・・ぼくは運が良かったよ。展覧会の初日から、最高の素体が罠にかかってくれたんだ。
・・・そう、みわくん。きみのことだよ。」
鱗太郎は、冷たい微笑みを浮かべてみわの方に向き直った。その獲物を狙う蛇のようなまなざしは、もはや
みわの知っている九条鱗太郎のものではなかった。
「きみは今から、ぼくの手によって“人間蝶”に生まれ変わるんだ。」

98:てふてふちゃんぷるう
07/05/29 21:18:03 BKkKH7f50
「イヤッ! イヤ! イヤ! 嘘でしょ!先生! 嘘だって言って下さい! 嘘よ! 嘘! お願い! 嘘だって言って!」
必死で首を振りながら、みわは鱗太郎の伸ばした手から逃れるように震える足で後ずさった。
「心配はいらない。手術と言っても改造手術は痛くなんかないよ。身体を切りきざむことなく、至高の快楽を
味わいながら人間蝶に生まれ変わることができるんだ。さあ、こっちにおいで。」
「やだ! やだ! イヤだあぁーーッ!!」
角に追い詰められたみわは、とっさに鱗太郎の方に向かって全力で突進した。鱗太郎がよろけたかたわらを、
脱兎のごとく駆け抜け、必死で温室の入り口を目指した。早く、早く逃げなきゃ。逃げなきゃ改造されてしまう。
みわはもはや、何も考えることができなかった。ただ、身体が危険を感じて必死に退路を求めようとしていた。
温室の入り口まで来た時、ふたつの人影がみわの前途を遮った。長いケープを肩からはおった、双子の少女だ。
「助けて! 助けてお願い! そこを、そこを退いて!」
「あーあ。せっかく忠告してあげたのに、やっぱり来ちゃったのね。」
「仕方がないわ。この人、パパに夢中だったもの。」
「来ちゃった以上は仕方がないわ。もう、戻ることはできない。大人しく捕まりなさい。」
「そう、改造手術を受けて、わたしたちと同じ身体になるのよ。」
双子は同時に、はおっていた長いケープをはね除けた。二人の身体を見て、みわは息を飲んだ。

99:てふてふちゃんぷるう
07/05/29 21:18:20 BKkKH7f50
金属光沢を持った青緑色に輝く美しいボディ。だがそれは衣装ではなく、明らかに彼女達の皮膚であった。
胸には乳首がはっきりと浮かび上がり、毛の生えていない股間には、女のしるしの細いスリットが走っている。
だがその肉体は、人間と呼ぶにはほど遠いものだった。
少女らしい未発達の乳房は、まるで別の生き物のように奇妙に蠕動し、脇の下から太股にかけて一列に並んだ
昆虫の気門のような穴が、呼吸とともに開閉している。額からは長く伸びた、マッチ棒のような触角。そして
背中から生えているのは、玉虫色に輝く巨大なモルフォチョウの翅!
鱗太郎が言っていた、人間蝶のプロトタイプとは、この双子のことだったのだ。だがよりにもよって、血を分けた
自分の娘を改造するなんて! 鱗太郎の狂気を目の当たりにしたように感じて、みわの背筋に冷たいものが流れた。
双子は翅をはばたかせて、宙に浮きあがった。そして、クスクスと笑いながら、みわの周囲を飛び回った。
「ウフフ。みわさん。キレイでしょわたしたちのカラダ。」
「フフッ。みわさん。あなたももうすぐ、同じカラダになれるのよ。」
踊るように中空を舞う二人の翅から、白く輝く粉がみわの上に雪のように降り注いだ。
「・・・あ・・・あ・・・あ・・・」
その粉を吸い込むやいなや、みわの身体から力が抜けていった。意識が遠のき、何もわからなくなってゆく。
「アハハッ。おやすみ、みわさん。」「今度目覚めたら、あなたも蝶になっているのよ。アハハッ!」
双子の明るい笑い声が響く中、みわの意識は霧がかかったように次第に薄らいでゆき、やがて途切れた。

100:てふてふちゃんぷるう
07/05/29 21:18:40 BKkKH7f50
「・・・んん・・・ここは・・・どこ?・・・」
全身をじりじりと焦がすようなまぶしい光に照らされて、平河みわは意識を取り戻した。何もない、真っ白な
空間がまず目に飛び込んできた。
手首を繋がれて、両腕が真横に引っ張られているのを感じる。大きく広げられた両脚も、どうやら足首を
固定されているようだ。みわは真っ白な空間の中に、身体を大の字に引っ張られたまま、直立した姿勢で
立たされているのだ。やがてみわは、自分の衣服がすべて剥ぎ取られ、全裸にされていることに気がついた。
「キャッ!!」
「気がついたかね? みわくん。」
スピーカー越しらしい鱗太郎の声が聞こえて、みわは周囲をうかがった。目が慣れてくると、自分の置かれた
立場が少しずつ飲み込めてきた。ここは強烈な光で照らされた、真っ白な大きなカプセルの中なのだ。その
カプセルの中にみわは全裸にされて、両手両脚を大の字に引っ張られた姿勢で立たされている。目の前の壁は
全面が鏡になっていて、汚れなき18歳の乙女の、花のように咲き誇る白く柔らかな肉体が映し出されている。
84ー52ー82の見事なプロポーション。身をよじるたびに、豊満な乳房がぷるんぷるんと震える。
やがてみわは、鏡だと思った前方の壁が実際にはガラスで、うっすらと向こうの暗い景色が透けて見えることに
気がついた。みわの真正面には笑いながら立っているのは、白衣を着た九条鱗太郎。その両側には、蝶の翅を
大きく広げた人間蝶の姿の双子。そして奇怪な機械の前に座って装置を操作しているのは、執事の蓼沢であった。

101:てふてふちゃんぷるう
07/05/29 21:18:56 BKkKH7f50
「そこは完全な無菌状態に保たれた、改造手術カプセルの中だよ。素晴らしい出来だろう? うちは代々医者の
家系でね。屋敷の中にあった外科手術室を改装して、改造手術のための特別のスペースを作ったんだ。
この蓼沢も元は優秀な技術者でね。わたしのリクエストに応じて、インカの霊石をコンピュータでさらに
制御して、短時間で人間の肉体を遺伝子改造できるシステムを見事にしつらえてくれた。どこの大学病院にも
これだけの設備はないよ。きみをこのまま、眠っている間に改造しても良かったんだが、せっかくだから
きみにも、自分が人間蝶に改造されてゆくところをじっくり味わってもらおうと思ってね。わざわざ意識を
取り戻してもらったんだ。さあ、今からきみはこのカプセルの中で、人間蝶に生まれ変わるんだ。」
その説明に、改めてみわは自分の置かれた立場を思い知らされ、愕然となった。
「先生! やめて下さい先生! 先生は、先生は、もっと優しい人だったはずです。こんな恐ろしいこと、もう
やめて下さい!! わたしの知っている、あの優しい先生に戻って下さい!!」
「戻る? 何を言っているのかね。今のわたしが本当の九条鱗太郎だよ。きみに近づいたのも、きみにかけた
ねぎらいの言葉もすべて、きみをこの改造手術カプセルの中に導くための罠だったのさ。」
みわは目の前が真っ暗になった。ああっ。それではすべて、計画されていたと言うの? わたしにかけてくれた
あの言葉はみんな嘘で、わたしの心を知っていて、もて遊んでいたと言うの? みわの瞳から、大粒の涙が幾つも
こぼれて床の上にポタポタとこぼれた。
「時間がない。そろそろ始めるとしよう。蓼沢。まずは消化物の完全除去からだ。」
「かしこまりました。」

102:てふてふちゃんぷるう
07/05/29 21:19:12 BKkKH7f50
執事の蓼沢が機械のスイッチを入れた。とたんに、みわは肛門に不快な違和感を感じた。気を失っている間に、
みわの肛門にはノズルのようなものが挿入されていた。そのノズルがズブズブと動きだし、みわの消化管の中に
残った消化物を吸引しようとし始めたのだ。
「・・・あッ!・・・あ・・・あ・・・嫌ッ!・・・あ・・・あ・・・」
凄まじい不快感は耐えられないほどに高まり、腰から力が抜けてみわは床に倒れそうになった。だが両腕を拘束
されているため、膝をつくことすらできない。ガクガクと脚は震え、身体を支えることすら困難だ。
みわは身を必死によじって、拘束から逃れようとした。少しの遊びはあるものの、両手両脚はしっかり固定されて
まったく逃れることはできなかった。
消化物をすべて吸引し終えたのか、肛門のノズルが活動を止めた。ズルズルとノズルが引き抜かれて、自分の
肛門からブスッ、と受け落ちたのを感じ、みわは思わずホッとした。
「よし。次は細胞融合ガスの投与と、遺伝子活性化光線の照射だ。」
みわが息をつく暇もなく、カプセルの隅から、白いガスがシュウシュウと吹き出してきた。ガスはたちまち
みわの全身を包み込み、呼吸器の中へと無理やり入り込んでくる。
「・・・い、嫌ッ・・・やめて・・・・ああッ!・・・ムッ・・・ムムッ!・・・ウッ・・・アウウッ!」
ツーンとくる刺激臭がみわの呼吸器の中を満たした。肺の中を熱いものが暴れ回り、内臓をこねくり回される
ような奇妙な感覚がみわの全身を襲った。そして間髪を置かず、強烈な光が360度あらゆる方向から、みわの
白い肉体を照らし出した。
「・・・あ・・・熱いッ!・・・・あ・・・あ・・・」

103:てふてふちゃんぷるう
07/05/29 21:19:30 BKkKH7f50
強烈な光にじりじりと全身を焼かれ、汗がドッと吹き出した。カーーーッ!と体温が高まり、みわの呼吸が
自然に荒くなる。
「この光線を浴びたら最後、もうきみは人間には後戻りできなくなる。次にきみの肉体に取り込まれた生物と
融合して、新しい生命体に生まれ変わることになるんだ。」
全身が、内臓の隅々にいたるまで、じりじりと焼き焦がされるような感覚。みわは強烈な光から逃れようと、
長い黒髪を振り乱して無意識に激しく身をよじった。だがどんなにしても、光から逃れることはできなかった。
永遠に続くように思えた光の拷問が終わり、ようやくライトが消えた時、みわは疲労困憊して気を失いかけた。
「さあ、いよいよ始めようか。蓼澤、改造ノズルの準備だ。」
改造カプセル内の、みわが立っているちょうど真下に小さな窓が開き、中から鎌首をもたげた蛇のような
パイプがせり上がってきた。太さは5cmほど。パイプの表面はリング状の襞でくまなく覆われている。
蓼澤がスイッチをひねると、ぐいんぐいんという音を立てて、パイプの表面の襞が激しい蠕動を開始した。
みわは、蛇の鎌首のように思えたその先端が、実は男性器を模して作られていることに気付いた。パイプの
先端には小さな穴が開き、何かの液体がじわりとしみ出ている。その形状を見て、みわは本能的な恐怖を感じた。
「・・・な、何? ・・・何なのこれ?・・・」
「それはある組織からの技術供与で作った、“改造ノズル”だよ。これがあれば素体の身体をメスで
切り刻まなくても、改造手術が可能になる。残念ながら改造対象は女性限定だがね。今からこの改造ノズルを
きみの胎内に挿入し、遺伝子改造ウィルスとナノマシンを子宮を介して全身に送り込む。30分もあれば、
きみは立派な人間蝶に生まれ変わるはずだ。」
「・・・いや・・・いやッ! ・・・やめて! お願い! やめて下さい! やめてッ! いやあああッ!」

104:てふてふちゃんぷるう
07/05/29 21:19:49 BKkKH7f50
みわの背中側からマニュピレータが現れて、みわの腰を背後から締めつけるように固定した。ノズルが現れた窓の
両隣からピンセット状の別のマニュピレータが2本現れ、みわの股間に向かって伸びた。マニュピレータは
みわの恥ずかしい個所をまさぐり、陰唇をつまみ上げて両側に押し広げた。そして露わになった肉の孔の中央
めがけて、男根を模した改造ノズルの鎌首が迫ってきた。
これから何が起ころうとしているのか、みわにもはっきりと理解できた。みわは大声で叫び、身体を大きく
よじって必死に抵抗した。
「やだ! やだ! 嫌だぁッ! お願い!やめて! そこだけはイヤ! そこだけはダメなの! やだ!ヤダぁああッ!」
ノズルの先端がみわの膣孔にそっと触れた。ぐいんぐいんという振動が、みわの大事な部分に伝わってきた。
「あああッ!」
ノズルの中間部分からピンセットのような小さな突起が現れて、みわの秘裂をまさぐった。そして小豆大の
ピンク色をしたクリトリスをさぐり当て、両側からつまむようにしてはさみ込んだ。ノズルの振動が直接伝わり、
みわの大切な部分にじんじんと電撃のようなショックが走った。
「・・・あうッ!・・・あッ! ・・・ああッ!」
みわは顔を紅潮させながら首を激しく振った。必死に腰を引こうとするが、背後から腰を固定されているので
どうすることもできない。涙があふれ出て止まらなくなった。やがて、振動するノズルの先端が触れている
みわの恥ずかしい孔が、自ら分泌する液体で少しずつ潤い始めた。
「やめて・・・やめて・・・お願いッ!」
力なく訴えかけるみわの股間の、もっとも神聖な部分をめがけて、悪魔のような改造ノズルの先端がいま、
ズブリズブリと侵入を開始した。
「・・・あッ! 痛いッ!・・・痛い痛いッ!・・・やめて!・・・アアッ!・・・アアッ!」

105:てふてふちゃんぷるう
07/05/29 21:20:07 BKkKH7f50
みわの処女膜が破られ、白い改造カプセルの中にわずかに血のしぶきが散った。改造ノズルはグングンとうなりを
上げて、そのまま一直線にみわの汚れなき胎内に向かってねじ込まれてゆく。
みわはもう、頭の中が真っ白であった。敬愛する鱗太郎に裏切られたこと、双子の少女の人間ばなれした身体、
全裸にされ、改造カプセルに入れられての拷問、そして、不気味なノズルに大切な処女の花を散らされたこと。
すべての記憶がごっちゃになって、みわの脳裏をグルグルと回っていた。
何も考えることができず、恐怖と絶望にただ身をよじらせるだけのみわだったが、ノズルの先端が膣孔の最奥に
達し、表面の襞を激しく蠕動させながらグネグネとくねり始めると共に、股間から脳天に向けて今までとは
別種の感覚がはい上がってくるのを感じ始めた。
「・・・はあッ・・・はあッ・・・あふぅ・・・ああッ・・・ああッ・・・いやああッ・・・」
それは、快感であった。ノズルが動くたびに、背筋を貫いて電流のようなものが脳幹まで響き、全身が痙攣した。
奇怪な改造ノズルに処女を奪われ、無残に犯されながら、みわは女としての性の喜びに開眼したのだ。
膣の奥深く挿入されたノズルの先端からは、生暖かい液体がドクドクと注がれてゆく。液体はみわの子宮の中に
満ち、やがて子宮内壁を通って血流に乗り、みわの全身へと運ばれていった。改造ノズルから供給される液体は、
遺伝子改造ウィルスと、その発現をインカの聖石の支配下でコントロールする、特殊ナノマシンを含んでいたのだ。
みわの全身の細胞のひとつひとつに、改造ウィルスによってギリラチョウの遺伝子が組み込まれてゆく。そして
ナノマシンの発する微細な電磁波に誘導されて、遺伝子が発現してゆく。みわの肉体は少しずつ、人間ではない
ものへと変化していった。
そしてその変化は、はっきりと性的な快感を伴っていたのだ。
改造ウィルスに肉体を蝕まれ、人間ではないものに変えられてゆきながら、みわは烈しい快感にむせび泣いていた。
女の大切な場所の奥深くで、ノズルが暴れ狂うたびに、じんじんとした心地よい疼痛が全身を貫いて流れる。

106:てふてふちゃんぷるう
07/05/29 21:20:25 BKkKH7f50
「・・・だめぇ・・・とけちゃう・・・やめて・・・だめぇ・・・あうん・・・あうぅん・・・あううぅん・・・」
やがて、みわの白く美しい裸身に、はっきりとした変化が現れた。
処女の輝くような裸身のあちこちに、淡い赤紫色の縞模様が浮かび上がった。まるで古代のシャーマンが儀式の
ために入れる奇妙な刺青のような、奇怪な左右対称の模様だ。そして、みわの全身が淡く発光したかと思うと、
首から下の皮膚がすべて、金属光沢を持った青緑色へと変色した。見る角度によって微妙に色を変える、美しい
玉虫色だ。赤紫色の縞模様もそのまま、金属光沢を持った鮮やかなものに変わった。全身の毛はすべて抜け落ち、
皮膚はなめらかな樹脂のような質感に変化した。足の指は融合してひとつになり、足首もピンヒール状に変形した。
自分の肉体の変化を、みわは朦朧とした意識の中でぼんやり感じ取っていた。自分が人間ではなくなってゆくのが
自分でもはっきりと自覚できた。みわはふと目を開き、鏡状になった自分の前のガラス板の上に、もはや人間とは
言えない身体になってしまった自分の姿を見出して、悲しい気持ちに襲われた。
ああ、もう自分は人間ではなくなってしまった。もう二度と元の身体には戻れないのだ。悲しい。そして悔しい。
でも気持ちがいい。気持ちがよくてこのまま狂ってしまいそうだ。もう人間に戻れなくても構わない。この快感を、
もっともっと感じていたい。
みわの腰を固定していたマニュピレータは、とっくに外されていた。みわは自由になった腰を、改造ノズルの
動きに合わせて前後に揺すった。腰を振ると、快感はそれまでの何倍にも増大した。そうか、腰を振ればいいんだ。
みわは、自分の腰を夢中になって振った。かたちのよい、ひきしまったお尻を、夢中になって動かした。
「・・・ああん・・・あうぅん・・・・はうぅん・・・・あうッ!・・・あうッ!・・・はうッ!はうッ!」
みわは呼吸を荒げ、全身を貫く凄まじい快楽の嵐に身を任せた。夢中になって快楽にあえぎよがった。
一匹の牝となり、全身を這い上がってくる快感にもだえ狂った。女に生まれた喜びを、激しくむさぼり味わった。
「・・・はうン!・・はうン!・・・あうン!・・あうン!・・・あうッ!あうッ!あうッ!アッ!アッ!」

107:てふてふちゃんぷるう
07/05/29 21:20:44 BKkKH7f50
みわが人間蝶に改造されてゆく様子を見ながら、たてはとあげはの姉妹は、奇妙な気持ちに襲われていた。
「・・・みわさんが・・・改造されてく・・・」
「・・・わたしたちと・・・おなじ方法で・・・」
二人の脳裏に、自分が父親の手によって人間蝶に改造された時の思い出が、ありありと蘇ってきた。

最初に改造されたのは、姉の九条たてはだった。決して進んで改造されたわけではない。母親を生き返らせる
ためにどうしても必要なんだという父の言葉を信じて、嫌々ながら改造手術台の上に身を横たえたのだ。
「さあ、たては。いよいよ始めるよ。さあ、脚をもっと開いて!」
13歳の未成熟な裸身を手術台の上に晒し、たてはは手で顔を覆って泣きじゃくりながら、改造の時を待った。
毛の生えそろっていない恥丘の真ん中を縦に走る、ピンク色のスリットが父の指で押し拡げられ、太さ5cmの
巨大な改造ノズルが肉孔の中央めがけて押し込まれていった。
「・・・うう・・・い、痛いッ!・・・痛い痛い!・・・・あッ!・・・・いやッ!・・・あッ! あッ!」
股間深くに改造ノズルを飲み込んだまま、13歳の可憐な少女は生まれて初めての性の快楽にもだえよがり、
人間蝶の第1号として生まれ変わっていった。
その光景を思い出しながら、たてはは自分の改造された股間が、じんわり濡れてくるのを感じていた。

妹の九条あげはも、やはりみわの改造シーンを見ながら、股間がじんじん熱っぽくなるのを感じていた。
あげはは改造手術に対し、激しく抵抗した。人間蝶となったたてはの姿を見るなり、父親を激しくののしり、
逃げ出そうとした。だがたてはの麻痺鱗粉によって捕えられ、そのまま改造手術台の上に運ばれたのだ。
「・・・やめて! たてはちゃん、やめてよ! お願い! パパ! やめて! わたし、改造されるなんてイヤだァ!!」
手術台の上に両手両足を縛られ、露わになった性器の中心に開いた孔をめがけて、既に人間ではなくなった
姉のたてはが、蠕動する改造ノズルをズブリ、と突き入れた。
「・・・痛い痛い痛い!! ・・・やめて、たてはちゃん! やめて! ・・・あッ! ・・・あウッ! あウッ!」
痛みはすぐに凄まじい快楽に代わり、あげはは激しくあえぎのたうちながら、人間蝶第2号へと改造されていった。

108:てふてふちゃんぷるう
07/05/29 21:21:55 BKkKH7f50
たてはとあげはは、中腰になって股間を押え、キュウンとくる切なさにもじもじとしながら父親に訴えた。
「・・・パパ。お願い。我慢できないの。たてはを抱いて! 今すぐに可愛がって!」
「・・・ズルい。たてはちゃん! あげはもパパに抱かれたい! ねえパパ! 今すぐあげはを愛して! お願い!」
双子が両手で押えた股間から、紫色のトロリとした液体が流れ落ち、太股を伝って床にポトポトとこぼれた。
改造ノズルによって造られた女性改造人間は、副作用として人間だった時の数千倍に性欲が高められる。
たてはとあげはの姉妹も例外ではなく、改造直後から烈しい性欲に身を焦がし、切なくもだえる毎日が続いた。
鱗太郎は仕方なく、わが子と知りつつ双子と交わった。双子の改造強化された女性器は、凄まじい快感を
鱗太郎にもたらした。しかも双子は愛する妻のクロエに生き写しだ。鱗太郎は自分が父親であることも忘れて、
クロエの名を呼びながら双子の胎内に自らの怒張を突き入れ、改造された膣の中に煮えたぎる欲情のエキスを
ドクドクと注ぎ入れた。中学生の姉妹も、嬉々として父親の肉棒を受け入れ、歓喜のあまり泣きじゃくった。
今や双子は、毎晩かわるがわる実の父親と枕を共にし、肉体をむさぼり合うのが習慣になっていた。
「駄目だ。今大切なところなんだ。後にしなさい。」
さすがに、今日の鱗太郎は双子の誘惑には屈しなかった。
「いや! 我慢できないの! パパが欲しい! パパとひとつになりたい!」「早く! パパ! 抱いて! お願い!」
「いい加減にしなさい、二人とも。ゆうべもたっぷり可愛がってやったばかりじゃないか。この娘(こ)の
改造手術が終わるまで、そこで大人しくしてなさい。」

109:てふてふちゃんぷるう
07/05/29 21:22:22 BKkKH7f50
双子は仕方なく、父親から離れた場所に移って向かい合わせに立った。お互いの触角を伸ばしてからめ合い、
発達途上の乳房を両手で揉みながら、互いの乳首と乳首をひとつに重ね合った。乳首の先端にある、昆虫の
口器のような突起が互いの乳首に吸い付き、ひとつに繋がり合った。たてはとあげはは、お互いの股間に
手を伸ばし、床に拡げたケープの上に寝そべって、激しく転がりながらお互いを慰め合い、まぐわい合った。
「・・・あげは・・ちゃん・・・あン!・・・あン!・・・ああン!・・・あああうぅン!」
「・・・あン・・・たては・・ちゃん・・・はあうン・・・はうぅン・・・ああぅン・・・」


平河みわの改造手術は、いよいよ最終段階を迎えようとしていた。
改造ノズルを股間深く飲み込み、快楽に身を任せてよがり狂いながら、みわの肉体はどんどん変貌していった。
かたちの良い豊満な乳房に、昆虫の腹部のような同心円模様が現れた。同心円の模様はみわの呼吸に合わせて、
脈打つようにゆっくりと蛇腹状に動き始めた。まるで、別の生き物ででもあるかのように。そして、みわの広げた
両腕の脇の下から太股にかけて、体側にそって一列に昆虫の気門のような小さな穴が次々と開いた。気門はみわの
呼吸に合わせて、パクパクと開閉運動を繰り返した。
「・・・あうぅッ!・・あうぅッ!・・・はうぅッ! ・・はうぅッ! ・・あぁンッ!・・あぁンッ!」

110:てふてふちゃんぷるう
07/05/29 21:22:38 BKkKH7f50
やがてみわの額から、マッチ棒の先のような形の長い触角がスルスルと伸び、ピクリピクリと動き始めた。
そして最後にみわの背中から、ゆっくりと蝶の翅が生えてきた。最初それは、背中から生えた肉の芽だった。
やがて肉の芽は、つぼみが花開くようにゆっくりと大きく広がり、ついには差し渡し2メートルを超える巨大な
蝶の翅となって、みわの背中で誇らかに形を整えた。改造素材となったギリラ属のモルフォチョウと同じ、
金属光沢を持った青緑色の美しい翅だ。翅が完全に開くと、後翅にギリラ属のしるしである、眼状紋が現れた。
初めはギリシア文字のΘ(シータ)のかたちだった眼状紋が、パッチリと眼を見開いた。それは人間の女性の眼、
それも改造された平河みわの眼にそっくりであった。
「・・・あうッ!・・・あうッ!・・・あぅ! あぅ! ああぅッ! ああうぅぅうーーーんッッ!!」
みわが、ついに絶頂に達した。そしてそれとともに、ノズルが活動を停止し、改造手術が終了した。
手術開始から約1時間。蠕動を停止した改造ノズルが、気を失ったみわの股間からズルズルと引き抜かれ、
ジュポッ!という音と共に床に落下した。たった今までノズルを奥深くまで飲み込んでいた、ヒクヒクと蠢く
改造されたばかりの肉の孔から、紫色のトロリとした液体がにじみ出し、糸を引いて床に流れ落ちた。
改造手術カプセルの中に両手両脚を大の字に縛られたまま、宙ぶらりんに身体を固定されているのは、
もはや人間の美少女ではなかった。それは改造手術によって生まれ変わったばかりの、一体の人間蝶であった。

111:てふてふちゃんぷるう
07/05/29 21:22:55 BKkKH7f50
「成功したか!?」
「はい旦那さま。改造遺伝子の発現状況、素体の各種身体データ、いずれも正常値です。改造時の肉体変化に
関するデータの収集も完璧です。」
「よし。さっそくデータを分析し、クロエの再改造に必要な要素の抽出を行ってくれ。これであと一歩だ。
いよいよクロエ、きみを完全に生き返らせることができるぞ!」
蓼沢がデータを持って改造手術室を離れた。双子は隣室に移動し、まだお互いを慰め合っている。鱗太郎は
改造されたばかりのみわと二人きりになると、スイッチを押して改造手術カプセルの扉を開き、中に入った。
手足の拘束が解けると、みわはバッタリと床に崩れ落ち、ハァハァと大きく息をついた。
「さあ、みわくん。立ってごらん。自分の姿を、よーく見てごらん。生まれ変わった自分の姿を。」
カプセルの半ば鏡になったガラス面に、完全な人間蝶となったみわの姿が映し出されている。混乱していた
頭がだんだんすっきりしてくるとともに、みわは自分が人間ではなくなってしまったことをはっきり自覚した。
「いやあああああ!!!」
みわは、頭を押さえてその場にしゃがみ込んだ。首を激しく横に振り、受け入れ難い現実を否定しようとした。
「いやだ! いやだぁ! こんなにいやだぁ! お願いです先生! わたしを、わたしを人間に戻して下さい!!」
激しく泣きじゃくりながら、みわは鱗太郎に詰め寄って懇願した。こんな身体は嫌だ。こんな身体じゃ生きて
いけない。こんな身体で生きていくくらいなら、死んだほうがましだ。
激しく煩悶し慟哭するみわの肩を、鱗太郎は隣に腰を下ろしてやさしく抱きしめた。
「みわくん。悲しむ必要なんてないんだよ。今日、きみは蝶に生まれ変わった。今までのきみが芋虫なら、
今のきみこそ、きみのあるべき姿、本当の姿なんだ。ほら、みてごらん、この美しい身体。永遠の命を持つ
究極の美の女神。きみは今までの自分を忘れて、新しい自分として生きてゆけばいいんだ。」

112:てふてふちゃんぷるう
07/05/29 21:23:11 BKkKH7f50
みわは激しく首を振った。もはや彼女の口からこぼれるのは嗚咽ばかりで、言葉は出てこなかった。
「きみはぼくの恩人だ。きみのおかげで、ぼくはクロエを今度こそ、生き返らせることができそうだよ。
ありがとう。これからはきみも、この屋敷に住むといい。二度と人間には戻れないけれど、たてはやあげはと
一緒に、いつまでも仲良く暮らしていけるよ。」
みわはただ、泣きじゃくりながら首を振るばかりだ。鱗太郎は今はそっとしておこうと考え、立ち上がって
カプセルの外に出ようとした。その時だった。
泣きじゃくっていたみわが、不意に顔を上げた。後ろ姿の鱗太郎を見るなり、突然彼女は自分の股間を押さえ、
激しく煩悶し始めたのだ。「・・・あ・・・あ・・・あ・・・」
「ん? どうした?」
異変を感じて鱗太郎が振り返った。鱗太郎の顔が視界に入るや、みわの眼が急にらんらんと輝き始めた。
みわは、両手で自分の乳房を握った。乳を絞り出すようにギュウッ!と握ると、乳首からミルクのような白い
液体が霧状になって勢いよく噴き出した。シュパアアアッ!! 液体は空気に触れるとたちまち硬化し、頑丈な
白い糸となって鱗太郎の足元にからみついた。
「うわッ!」
足をすくわれて転んだ鱗太郎の方に、目を輝かせたみわがじりじりと這ってゆく。
「・・・先生・・・ねぇ先生・・・わたしに、どうかわたしに、情けをかけて!!」
予期していなかったみわの言葉に、鱗太郎は仰天した。みわの目は正気を失ったかのようにらんらんと輝き、
その口元には妖艶な笑みが浮かんでいる。さっきまでの清楚なみわからは、想像もできないような妖しい笑みだ。
「・・・先生。わたし、先生が好き。先生が欲しいの。先生と愛し合いたい。先生とひとつになりたいの。」

113:てふてふちゃんぷるう
07/05/29 21:23:28 BKkKH7f50
鱗太郎は理解した。改造ノズルによって造られた女性改造人間は、性欲が改造前の数千倍に高まる。今のみわも
改造されたことで、激しい性欲の発作に襲われているのだ。だが、あまりにも早すぎる。改造されてまだ
10分も経っていないというのに、正気を失うほど性欲に支配されるなんて、考えられないことだ!
みわの背中の翅が大きく開き、後翅の眼状紋がパチパチッ!とまばたいた。たちまち鱗太郎は強烈な幻覚に襲われ、
身体が満足に動かなくなった。息が荒くなる。鼓動が速くなる。そして股間の一物がギンギンに勃起し始める。
「や、やめろ! やめるんだ、みわくん!」
みわは鱗太郎のジャケットを脱がせ、ズボンのベルトを外し、トランクスを剥ぎ取って股間を露出させた、
そして、まだ男を一度も受け入れたことがないとは信じられないほどの手慣れたしぐさで、そそり立った鱗太郎の
巨物を舌でからめ取るように丁寧に舐めはじめた。刺激的な快感が、鱗太郎の背筋を電撃のように走った。
「うッ!・・・や、やめろォ! やめてくれェ!」
みわは、膝で立つと全裸の鱗太郎の上に馬乗りになり、二本の指で自分の陰唇をそっと開いてみせた。金属光沢を
持った青緑色の肉の襞が分かれて、紫色の愛液をトロトロと分泌し始めている、改造された膣孔が露わになった。
「やめろ! やめて・・・・ウッ! ・・・うわッ!」
みわが、秘裂を指で拡げたまま鱗太郎の陰茎にあてがった。濡れそぼった肉の孔が、いきり立った肉の棒を
そっと包み込む。そしてみわは、そのままゆっくりと、腰を下ろしていった。
まだ一度も男を受け入れたことがない、汚れ無き神聖な部分が、男の分身をズブズブと飲み込んでゆく。
「・・・あうン!・・・・あうッ!・・・あうッ!・・・アアウッ!・・・はうッ!・・・はうッ!」
陰茎を根元まで飲み込むと、みわはゆっくりと、腰を上下に動かし始めた。

114:てふてふちゃんぷるう
07/05/29 21:23:44 BKkKH7f50
今まで味わったことがない凄まじい官能と陶酔の嵐が、鱗太郎を飲み込んだ。改造された膣の内襞がチュパッ、
チュパッ、と陰茎に吸い付いては、絶妙の感触で肉の棒を締め付ける。気が遠くなりそうな快感が、断続的に
怒濤のように鱗太郎に押し寄せる。
「や・・・やめろ・・・みわくん!・・・やめ・・・ア・・・ア・・・アアア・・・アワワワ・・・」
改造ノズルによって人間蝶となったみわの女性器は、男が抱くことのできる最高の女体として調整されている。
同じ人間蝶のたてはとあげはも、凄まじい快感をもたらす、人間ばなれした女性器を持っていたが、なにぶん
13歳の未成熟の肉体であった。だが平河みわは、18歳の成熟した女性である。その大人の肉体が改造ノズルに
よって女に開花することで、どんな高級娼婦にも負けない、究極の女体として生まれ変わったのだ。
「・・・せんせい・・好きよ・・大好き!・・・わたしが・・悦ばせてあげる!・・・アウッ! ・・アウウッ!」
蝶の翅を持った異形の美少女が、男の上にまたがって愛をささやきながら、陶酔にあえぎよがっている。
やがて真っ白になった意識の中で、鱗太郎は絶頂を迎えた。「うぉッ! うぉッ! うううッ!! うぉッ!」
叫びとともに熱い粘液が、鱗太郎の肉茎の先端からドクドクと放たれ、みわの改造された膣内に満ちていった。
「あうッ! あうッ! アアアゥゥゥウウーーーーッ!!」
みわも同時に絶頂に達し、改造された膣壁で鱗太郎の陰茎を緊く締め上げ、精液を一滴残らず吸いつくそうとする。
「・・・はあッ・・・はあッ・・・はあッ・・・」
力の抜けたみわの肉体が、鱗太郎の上に重なった。豊満な乳房が、鱗太郎の胸板の上で押しつぶされる。
「・・・先生! ありがとう。とてもステキだったわ!・・・・・先生。お礼にいいものをあげる。」

115:てふてふちゃんぷるう
07/05/29 21:24:02 BKkKH7f50
みわは、鱗太郎の上に身体を重ねたまま、再び股間に神経を集中させた。真剣な表情で「ムン!」と唸ると、
鱗太郎はみわの子宮の奥から針金のようなものが伸びてきて、まだつながったままの陰茎の先の小さな穴に
チュルチュルと潜り込もうとするのを感じた。
その感覚に、鱗太郎は正気に返った。みわが何をしようとしているのか、はっきり理解できたからだ。
『いかん! ぼくの身体に卵を産みつけようとしているんだ!』
性交後の産卵は人間蝶の本能による行為だったが、あくまでみわは、妻クロエの再改造のためのデータ採取を
目的として改造されたものである。こんな行動までプログラミングした覚えは鱗太郎にはない。どこかで、
何かが狂ってきている!
針金のような管の中を、風邪薬のカプセル大のものが少しずつ移動してくる。これが精管を通って腹腔内に
産みつけられたら、もうおしまいだ。鱗太郎はあわてて、みわの身体を振りほどこうとした。だが改造された
みわの力は強く、腕をはね除けることすら容易ではない。
「ダメよ、先生。じっとしてなきゃ。」
みわの目は妖しい光に満ち、正気とは思えなかった。鱗太郎はあわてて、かたわらに脱ぎ捨てたジャケットを
たぐり寄せてそのポケットを漁った。スプレー缶のような容器が転がり出た。鱗太郎は夢中でスプレー缶の
中身を、みわの顔面めがけて吹きつけた。
「キャッ!」
缶は、昆虫忌避剤のディートだった。温室内でヤブ蚊が発生することがあるので、常備していたのだ。
完全に覚醒した人間蝶ならば、市販の昆虫忌避剤などものともしなかったろう。だがみわは、まだ人間蝶に
生まれ変わって間もない。鱗太郎を抱え込んだ身体から思わず力が抜け、鱗太郎は急いでみわを振り切って
全裸のまま駆け出した。鱗太郎の陰茎の先から白く細い針金のようなものがスルリと抜けて落ちた。

116:てふてふちゃんぷるう
07/05/29 21:24:18 BKkKH7f50
鱗太郎は床に落ちていた双子のケープを拾い上げ、それをまとうと廊下を必死に駆け、階段を駆け上がった。
地下から地上に出る踊り場で、一人の男が鱗太郎を待ちうけていた。
「おや、困りますなあ旦那さま。実験はまだ終わってはおりませんよ。」
「蓼沢! お前の仕業か! お前が改造手術時の、霊石の制御プログラムを書き換えたんだな!」
「左様でございます。人間蝶の最後の実験である、人体への産卵と寄生。ぜひデータを取っておきませんと。」
「馬鹿者! 誰がそんなことを命じた! あやうく命を落としかけるところだったぞ。いったい誰がお前の主人だと
思っているんだ!」
「・・・誰が主人か、ですかって?」
蓼沢はクツクツクツ、と奇妙な声で笑った。
「わたしのご主人様は、もう旦那さまではございません。気がつかれませんでしたか? 実はわたしも、既に
改造手術を受けているんですよ。」
蓼沢は、着ていたワイシャツを破り捨てた。骨の模様がプリントされた、黒い全身タイツが現われた。
「わたしは、旦那さまに改造技術を供与した秘密組織“ショッカー”の一員として選ばれたのです。人間蝶の
完成体が無事誕生したことで、わたしのここでの役目は終わりました。あとは旦那さまの研究の成果を組織に
持ち帰り、必要が無くなったものを証拠湮滅のために処分すること。それがわたしの残された使命なのです。
・・・必要のなくなったもの。そう、例えば旦那さまのような。」
この時鱗太郎の心に去来したのは、驚きや恐怖よりも、むしろ烈しい怒りだった。「どけい!!」
鱗太郎は蓼沢を力一杯突き飛ばして、その横を駆け抜けた。
「・・・おやおや。そんなにあわてても、もはやどこにも逃げられはしませんのに。」

117:てふてふちゃんぷるう
07/05/29 21:24:36 BKkKH7f50
ケープ一枚で屋敷の入り口を飛び出した鱗太郎が向かった先は、温室だった。
組織が自分を消そうとしている。早く逃げなければいけない。だが、クロエを置いてゆくわけにはいかない。
クロエを何としても、一緒に連れて行かなければ。
熱帯植物の群れをかき分けて、鱗太郎はクロエが立つ小さな広場の前に出た。クロエのそばに立っていたのは
人間蝶の姿になった、たてはとあげはの双子だった。
「パパ。やっぱり来ると思ってた。」「最後はやっぱり、ママと一緒なんだね、パパ。」
「お前たち! やはりお前たちも知っていたんだな、蓼沢の陰謀を!」
「うん。でもあんなやつ、どうだっていいの。」「この館は今日でおしまい。それが運命なの。」
双子の言葉に、鱗太郎は怒りとも悲しみとも悔恨ともつかない、不思議な感情をおぼえた。
「そうか。お前たちもとうの昔に、ぼくのことを裏切っていたんだな・・・」
「違うわ。パパ。」「わたしたちは今でも、パパのことが大好きよ。たとえ、こんな身体にされても。」
「この館がおしまいなのは、それは、ママがそう望んだから。」「ママが、すべてを終わらせたいって。」
鱗太郎はハッとなった。
「・・・何だって!? ・・・ママ? ・・・クロエが、そう望んだというのか!?」
「やっぱり、パパは知らなかったんだ。」「ママはとっくに目覚めているのよ。この触角でお話しできるの。」
「・・・そ、そんな!」
「ママは、パパのしたことをとても悲しんでるの。」「だから、パパといっしょにすべてを終わらせたいって。」
双子の言葉は、鱗太郎を打ちのめした。
「・・・ああ、何ということだ。クロエ・・・クロエ!」

118:てふてふちゃんぷるう
07/05/29 21:24:58 BKkKH7f50
鱗太郎は、クロエの前にふらふらと歩み寄った。苦悶の表情を浮かべていたクロエの顔に、心なしか微笑みが
浮かんだような気がした。
「・・・きみは、みんな気付いていたんだね。ぼくのしたことを。そうさ。ぼくが、ぼくが馬鹿だったんだ。
きみを失うまいとして、大変なことをしてしまった。たてはにも、あげはにも、そしてあの女の子にも、
とてもとてもひどいことをしてしまった。ぼくは、自分のすることだけに夢中で、きみの本当の気持ちなど
考えてもみなかったよ。・・・あの時もそうだった。ぼくは異国の地で不安をかかえているきみに、旧家の責任を、
子育ての苦労を、すべて押しつけて仕事に逃避してしまった。追い詰められたきみが自殺するまで、きみの心に
気がつかなかったんだ。・・・ごめんよ。ごめんよクロエ。ぼくが悪かったんだ。きみが生き返ったら、ただ
それだけを伝えたかったんだ。ごめんよ!」
その時、クロエの蝶の翅が大きく羽ばたき、驚く鱗太郎の身体をふわりと包み込んだ。
「・・・ク、クロエ?」
そして、黄色い鱗粉がきらめき、クロエの翅は炎に包まれた。
「・・う、うわあああああーーーーッ!」
クロエと鱗太郎はひとつになったまま、炎の柱と化した。どこからか、女の声が響いたような気がした。
『・・・ありがとう・・・そして、さよなら・・・あなた・・・』
涙をポロポロとこぼしながらその様子を見つめていた双子が、意を決したように翅を広げて飛び上がった。
「・・・発火鱗粉!」「・・・腐食鱗粉!」
双子の羽根から、黄色と赤の鱗粉がきらめきながら、温室の中にひらひらと舞い落ちてゆく。黄色の鱗粉が
かかったものは火を噴きだし、赤い鱗粉がかかったものは、鉄の柱でさえボロボロに崩れ落ちていった。
そして九条鱗太郎の夢のありかだった温室は、炎に包まれながら、すべてボロボロに崩れて消え去ってしまった。

119:てふてふちゃんぷるう
07/05/29 21:25:15 BKkKH7f50
消防車のサイレンが鳴り響く中、九条家の屋敷の地下室で、平河みわは床に伏したまま泣きじゃくっていた。
彼女のかたわらには、鱗太郎に産み付け損ねたまま毀れてしまった卵が、鈍い光を放っている。
卵を産んだことで、虫のような身体になった自分のあさましい現実を思い知らされ、みわは混乱していたのだ。
そんなみわを、蝶の翅を持った双子の姉妹がやさしく抱き起こした。
「ごめんなさい。あなたをこんな身体にしてしまって。」
「ほんとはあなたを、助けたかったの。だって、ママがそう望んだから。」
「でも、運命は変えられなかったわ。もうあなたは、人間の世界では生きられない。」
「わたしたちと一緒に、“ショッカー”に行きましょう。あそこには、改造人間の仲間がたくさんいるわ。」
双子は、自分たちの額に輝いているのと同じ、蝶を象ったサークレットを取り出して、みわの額にそっとはめた。
そのとたん、混乱していたみわの心が、澄んだ水鏡のように落ち着いたものへと一変した。
「・・・わたし・・・一体?」
「みわさん。おはよう。改造人間としてのあなたの、本当の目覚めね。」
「わかるでしょう? 自分が何者か。ショッカーにもらった、そのサークレットのおかげで。」
双子の言葉にみわはうなずき、ゆっくりと立ち上がった。そして、蝶の翅を広げながら妖しく笑った。
「わかるわ。わたしは、もう平河みわじゃない。わたしはもう人間じゃないの。そう、わたしはショッカーの
改造人間、人間蝶! フフフ。ウフフフフ。ウフフフフフッ!」

120:てふてふちゃんぷるう
07/05/29 21:25:36 BKkKH7f50
   ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

《昨夜夜半、世界的な蝶の研究家である九条鱗太郎氏(39)宅の温室から出火しました。温室は全焼し、焼け跡
から鱗太郎氏と思われる焼死体が発見されました。消防本部では失火とみて、詳しい原因を調べております。》

《4月15日に逝去された蝶の研究家、九条鱗太郎氏(39)の葬儀が、親族の手によってひそやかに執り行われ
ました。喪主は長女のたては(13)嬢。葬儀の場では、先日入籍したばかりの妻、美羽(18)さんの慟哭する姿が、
参列した人々の涙を誘っておりました。》

   ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

121:てふてふちゃんぷるう
07/05/29 21:25:56 BKkKH7f50
《地獄大使! 蝶研究家の九条教授を使い不死身の改造戦士を作るという貴様の計画、その後どうなったのだ?》
赤と黒の奇怪な色彩で彩られた、世界制覇を企む秘密結社ショッカーの地下アジト。巨大な鷲のエンブレムが
明滅し、地獄の底から聞こえてくるような威圧的な声が、アジト全体に響きわたった。
エジプトのファラオを摸したかのような、奇怪な衣裳の大男が不敵な笑みを浮かべながらそれに答えた。
「ご安心下さい首領! 計画は万事順調に運んでおります。まずは、こいつをご覧下さい。さあ人間蝶、入れ!」
地獄大使に呼ばれて、二体の改造人間がショッカー大首領のエンブレムの前に現われた。差し渡し2メートル
ほどの、巨大な蝶の翅を持つ女性の改造人間である。いずれも西欧人の女性を改造したと見え、異形のボディの
上に美女の頭部をそのまま持っている。一体は夜を連想させるストレートロングの銀髪に青い瞳。もう一体は
軽いウェーブのかかった太陽のような金髪に緑の瞳を持っているが、その容貌はうり二つであった。
「こいつらは九条教授の二人の娘を改造して造った、人間蝶の2号と3号です。現在作戦遂行中の人間蝶1号
よりも先に改造されたものですが、正式にショッカーの一員となる際、新たに不死身の蝶の遺伝子を取り込む
かたちで再改造いたしました。本来は13歳の小娘ですが、人間蝶としての能力を十分に発揮できるよう、
薬物を使って17歳前後の姿に成長させてあります。」
二体の人間蝶は、ファッションモデルのように自らの肉体を誇示しながらゆっくりと歩んだ。豊満な乳房が
ゆさゆさと揺れる。二体とも、スリーサイズは90-54-92くらいであろうか。素晴らしいスタイルである。
玉虫色に輝く美しいボディ。その股間には、女のしるしである細いスリットがくっきりと刻まれている。
そして彼女たちの後翅には、人間の女の眼にそっくりな眼状紋がはっきり現われていた。銀髪の人間蝶には
青い瞳の眼状紋が、金髪には緑の眼状紋が。いずれも、素体となった九条姉妹の眼とそっくりの形である。

122:てふてふちゃんぷるう
07/05/29 21:26:26 BKkKH7f50
「人間蝶は自らも、幻覚を引き起こし人間を操ることができる後翅の模様や、乳房から噴出する強靱な絹糸、
そして赤の腐食鱗粉、黄色の発火鱗粉、白の麻痺鱗粉、青の猛毒鱗粉という4種類の鱗粉を使った攻撃が可能な、
優秀な戦闘用改造人間です。しかしこいつらの真価は、無敵の不死身戦士を量産できるという点にあります。
さあ首領、この映像をご覧あれ。」
モニターに映し出されたのは、二体の人間蝶が、奇怪な姿の怪物とからまり合う姿だった。金髪の人間蝶が、
直立するヒョウのような姿の異形の怪人に後背位で犯されていた。豊満な乳房が、後ろから突かれるごとに
ゆさゆさと揺れる。その向こうでは銀髪の人間蝶が、巨大な白い目玉を持った海蛇のような怪物に後ろから
突き上げられて激しくあえいでいる。二体の後翅の眼状紋が、突かれるたびにパチパチと激しくまばたく。
「・・・あン!・・あン!・・あン!・・・ああン!・・・あああうぅン!・・・あああうううぅン!」
「・・・あン・・・はあうん・・・はうぅん・・・ああぅん・・・あうン・・・はうぅン・・・」
おぞましい姿の怪物に犯されながら、二体の人間蝶は性の快楽に酔いしれていた。顔にたれ下がる髪を指で
かき上げ、後ろを振り返っては妖しい笑みを浮かべつつ、怪物に行為をうながす余裕すら見せている。
「・・・あうッ!・・・あうッ!・・・あああうううぅーーーッ!!」
ヒョウのような怪人が絶頂に達し、金髪の人間蝶の胎内にドピュッドピャッ!と射精した。

123:てふてふちゃんぷるう
07/05/29 21:27:45 L6OFCKWq0
その直後、ヒョウの怪人は人間蝶の尻を抱えたままガクガクと震え始めた。ブクブクと口から泡を吹き、
痙攣する身体を人間蝶から離した。白い精液と、蝶女の紫色の愛液にまみれた巨大な陰茎が、人間蝶の膣から
引き抜かれると、陰茎の先端の孔から白い針金のようなものがスルリと飛び出し、人間蝶の女性器の中へ
シュルシュルと吸い込まれ消えてゆくのが見えた。人間蝶は髪を直しながらゆっくりと立ち上がり、
妖しい笑みを浮かべながらヒョウ怪人の肩に腕を回し、顎にキスをした。
続いて、銀髪の人間蝶を犯していた海蛇怪人が絶頂に達し、人間蝶の子宮いっぱいに精液を注ぎ込んだ。
射精後の海蛇怪人もやはり、ガクガクと激しい痙攣を起こした。蛇の鎌首のような緑色の陰茎が人間蝶の尻から
引き抜かれると、白い針金のようなものが陰茎の穴から飛び出し、人間蝶の股間へと吸い込まれていった。
「これは、再生ジャガーマンと再生海蛇男の二体が人間蝶との性交実験を行った際、人間蝶の卵を産みつけられる
シーンを記録したものです。ご覧のように人間蝶は性交を行うと、その相手、この場合は男性改造人間の腹腔内に
自分の卵を産みつけます。卵はすぐに孵化して宿主に寄生し、宿主を不死身の肉体へと変えてしまうのです。
その威力に関しては、この映像をご覧下さい。」
続いて現われた映像は、採石場のような戦闘訓練場だった。先程人間蝶の卵を産みつけられた、ジャガーマンと
海蛇男が立っている。そこをめがけて黒覆面の戦闘員たちが、四方八方からレーザービームの洗礼を施した。
ビームに射貫かれて、たちまち怪人たちのボディは穴だらけになるが、ビームが途切れるや否や、その傷口は
またたく間にふさがって見えなくなった。続いて戦闘員たちが怪人たち目がけて、今度はミサイルランチャーの
雨を降らせた。地面に仕掛けられた地雷が次々誘爆し、周囲は凄まじい爆発の煙に包まれて何も見えなくなった。
だがもうもうと立ちこめる煙が晴れると、2体の怪人は傷ひとつなくその場に平然と立っていた。

124:てふてふちゃんぷるう
07/05/29 21:28:00 L6OFCKWq0
「ご覧いただけましたかな? このように人間蝶の幼虫を宿している間、宿主となった改造人間はありとあらゆる
物理攻撃に対して瞬時に肉体を修復できる、不死身の肉体を得ることになるのです。寄生した幼虫が羽化するまで
4週間。その間、宿主は無敵の兵士としてショッカーのたのもしい戦力になってくれることでしょう。」
《すばらしい! 実にすばらしい! 確かに不死身兵士の名に恥じない性能だ。これなら憎っくき仮面ライダーも
敵ではないぞ。だが地獄大使よ。幼虫が羽化すればいったいどうなるのだ? それに、わずか3体の人間蝶を
フル稼働させたとしても、一日にいったいどれくらいの数の不死身兵士が量産できるというのだ?》
「首領の疑問はごもっともです。残念ながら人間蝶の体力には限界があるため、一日に卵はひとつしか産卵
できません。現時点では一日に3体しか、不死身兵士を量産することはできないのです。ですがご安心下さい。
ただ今人間蝶1号が、新たな実験のために出動いたしております。これが成功すれば、理論上は不死身兵士を
無限に量産できるようになるはずです。・・・フッフッフッフ。ワァッハッハッハ!!」
地獄大使は鞭を握り締めて、不敵に笑った。

125:てふてふちゃんぷるう
07/05/29 21:28:15 L6OFCKWq0
「・・・ブルルルルルルゥ!!」
「イヤーーッ! やめてェ! 助けてェッ! お願いッ!!」
深夜の閑静な住宅街。寝室の中をパジャマ姿で逃げ回っているのは、ショートカットにコケティッシュな顔立ちの
美しい女子大生。それを追っているのは、直立した巨大なゴキブリのようなおぞましい姿の怪物であった。
「やめて、みわッ! やめて! お願い! イヤぁああああッ!!」
その様子を、妖しい笑みを浮かべながら、人間蝶の姿の平河みわ、いや九条みわが見守っている。彼女の足元には
泡を吹き出してグズグズに崩れた肉塊が三つ。抵抗したので猛毒鱗粉で殺害した、女子大生の家族である。
「ウフフフッ! なっちん。いや桧山奈月さん。あなたはショッカーの光栄な実験台として選ばれたのよ。
ご両親のように殺したりはしないから、おとなしくなさい。すぐに、とても気持ちがよくなるわ。」
ゴキブリ男に追い詰められようとしているのは、みわの親友・なっちんこと桧山奈月であった。
奈月は激しく混乱していた。片思いの大学教授といつの間にか電撃入籍していたかと思ったら、あっと言う間に
未亡人となり、そして人知れず蒸発してから一月も経っていた親友のみわが、さっきいきなり訪ねて来たのだ。
だが彼女の身体はいつの間にか、人間ではない異形のものに改造されていた。しかも奈月の両親と兄を、
自分の目の前であっさり殺害してしまったのだ。
そして、みわの命令で巨大なゴキブリが今、自分に襲いかかろうとしている。ゴキブリ男の股間には、黒光りする
巨大な男根がそそり立って、先端から黒い汁をにじませていた。怪物が何をしようとしているかは明白だった。
「・・・・あ・・・あ・・・助けて! お願い!!」
「ブルルルルルルゥ!! ブルルルルルルゥ!!」

126:てふてふちゃんぷるう
07/05/29 21:28:30 L6OFCKWq0
奈月はゴキブリ男によって壁際に追い詰められた。強烈な悪臭が奈月の鼻を打つ。ゴキブリ男の口器と腹面から
生えた触腕がピクピクと蠢き、奈月のすぐそばに迫ってくる。ゴキブリ男は奈月のパジャマを乱暴に引き裂き、
ブラとショーツを剥ぎ取って全裸にしてしまった。小ぶりだが形の良い乳房が露わになり、プルプルと揺れた。
「いやぁああああ!!」
嫌だ嫌だ。こんなおぞましい怪物に犯されるなんて絶対に嫌だ。犯されるくらいなら死んだ方がマシだ。
奈月は激しく抵抗するが、両手を壁に押さえつけられて身動きが取れない。
ゴキブリ男の触腕が、奈月の乳房をまさぐった。無数の短い触腕がうごめくゴキブリ男の口器が、奈月の顔に
多い被さった。口の中に、触腕の群が侵入してモゾモゾと暴れ回る。
「・・・うン!・・・・む・・・・むぐぅ・・・・むーッ!・・・むーッ!!・・・」
ビンビンにいきり立ったゴキブリ男の怒張が、自分の秘部に触れるのを奈月は感じた。遊んでいるように見えて、
奈月はまだ処女だった。まだ何者の侵入も許したことがない神聖な場所に、おぞましい怪物の巨大な肉茎が
メリメリと音を立ててねじり込まれてくる。
「・・・んーーッ!!・・・んーーッ!!・・・んッ!・・んッ!・・・んぐゥーーーーッ!!!!」
処女膜が引き裂かれ、太さ7cmはありそうな巨大な肉棒が、まだ充分に濡れそぼっていない奈月の膣壁を
ズブズブと這い上がってくる。太股を伝って破瓜の血が床にしたたりお散る。凄まじい痛みと烈しい恐怖に、
奈月の意識は真っ白になっていた。
「なんだ奈月さん。まだ処女だったの。それじゃあ快楽を味わうのはまだ無理ね。さあ、これを見なさい!」

127:てふてふちゃんぷるう
07/05/29 21:28:51 L6OFCKWq0
みわの背中の翅の眼状紋が、パチパチパチ!と烈しくまばたいた。視界の片隅でそれを見たとたん、奈月の
意識に変化が現われた。目から恐怖の色が消え、代わりに陶酔の光が灯った。抵抗をやめて力が抜けた両腕は
いつしかゴキブリ男の背中に回った。ゴキブリ男の腕が、奈月の尻を持ち上げる。ゴキブリ男が陰茎を
突き入れるたびに、奈月は荒い息を吐き出し、艶っぽい嬌声を上げた。
「・・・あン・・・あン・・・ああン・・・はあッ・・・はあッ・・・はうぅッ・・・・はうッ・・・」
奈月は恍惚とした表情で、ゴキブリ男の顔面に頬ずりをする。より一層の快感を求めようと。腰を自分から
クイッ、クイッと動かす。その姿は、ついさっきまで処女だったとは思えないほど卑猥なものであった。
みわが、夢中で官能をむさぼっている奈月のもとに歩み寄り、耳元で尋ねた。
「どう、奈月? 気持ちいい?」
「・・・いいわ・・・いい!・・・最高よ!・・・ステキ!・・・ああッ!・・・ああッ!」
「ウフフッ! そのゴキブリ男はね、わたしが一月前に交わって卵を産みつけてあるの。わたしの可愛い幼虫が、
もうすぐ羽化しようとしているのよ。わたしたち人間蝶の幼虫はね、羽化する際に人間の姿を必要とするの。
人間の女とひとつになることで、ようやく人間蝶の成虫になれるのよ。だから、わたしの大好きな奈月、
今日はあなたに、最初の人間蝶になってもらいに来たのよ。」
「ブルルルルルルゥ!! ブルルルルルルゥーーーッッ!!」
「・・・ああッ!・・・ああッ!・・・あああああぁぁぁーーーッッ!!」
ゴキブリ男と奈月は、同時に絶頂に達した。ゴキブリ男の陰茎から、真っ黒な粘液がドパッ、ドパッと吹き出し、
奈月の汚れなき膣の中に注ぎ込まれてゆく。そしてその直後。ゴキブリ男の陰茎を伝わって、蠢く芋虫状のものが
奈月の子宮を目がけてモゾモゾと這い上がってきた。

128:てふてふちゃんぷるう
07/05/29 21:29:08 L6OFCKWq0
「ブルルルルルルゥ!! ブフォオオオーーーーッッ!!」
芋虫状のものを奈月の子宮内に放ったとたん、ゴキブリ男の肉体は烈しく痙攣し、シュウシュウと白い煙を上げて
あちこちがボコボコとへこみ始めた。奈月から離れたゴキブリ男の肉体は、煙を噴き上げながらどんどんと
崩れてゆき、ついにはショッカーベルトだけを残して白い塵になって消えてしまった。
「ああッ!あああッ!・・・うぐッ!・・・ああああーーーッ!」
奈月が床に倒れ、下腹部を押さえたまま身体をねじ曲げて苦しみ始めた。子宮内に入り込んだ人間蝶のサナギが
奈月とひとつになろうとしているのだ。
奈月の白い裸身に、変化が現われた。赤紫色の縞が浮かび上がり、全身が金属光沢を持った青緑色に変わってゆく。
足首はピンヒール状に変形し、額からマッチ棒の先のような触角がスルスルと伸びてくる。
やがて、奈月の背中から肉の芽がムクムクと盛り上がり、巨大な蝶の翅となって広がった。後翅には、奈月の目に
そっくりの眼状紋が現われ、バチバチとまばたいた。
「・・・はあっ・・・はあっ・・・はあっ・・・」
急激な身体の変化に体力を使い、息を切らしている奈月を、みわは優しく支え起こした。蝶を象ったサークレットを
奈月の額にはめる。たちまち、奈月の目にらんらんとした光が灯った。
「ねえ奈月? わかるでしょう。あなたが一体何者か。」
「ええ、みわ。よくわかるわ。わたしはもう人間じゃない。わたしは生まれ変わったの。わたしはショッカーの
改造人間、人間蝶! わたしの使命は、わたしと同じ身体の人間蝶の仲間を増やすこと!」
「そうよ奈月! これからはいつも一緒よ。さあ、今からショッカーの本部に戻りましょう。双子の可愛い妹や、
仲間たちがあなたの来るのを待っているわ!」
みわは部屋の窓を大きく開け放った。そして、みわと奈月は翅を大きく拡げ、新しい世界に向けて飛び立っていった。


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