07/05/02 20:55:55 7xBfdisX0
ここはどこだ。
何も見えない。真っ暗だ。
声だけが聞こえる。何か、暗くて、闇の中から響くような声だけが。
ーヒルカワ、聞こえるか。
あんたは誰だ。
ー私は、お前だ。
ふざけるな。俺は俺だ。お前なんかじゃない。
ーそうだ。私はお前だが、お前は私ではない。
わけのわからないこと言いやがって。早く俺をここから出せ!
ー君に危害を加えるつもりはない。ただ、もう私はお前であることをやめようと思う。
ーお前をこの世界に生み出したのは、絆の力を憎む私の心だ。だがもういいだろう。
ーこの世界の絆を憎んだところで、私がまた力を得られるわけでもない。
ーお前が今まで人と人との信頼を崩そうとしてきたのは、私のせいでもある。
ーだから、私がお前でなくなったら、お前は、ただお前として生きろ。もう絆を憎む必要はない。
ーただの一人の人間として、まっとうに生きろ。
…声が止むと同時に、俺の視界は開けた。
なんだったんだアレは。最後まで訳がわからなかった。
…でも。
生きてみるか。あいつが言っていたように。
人と人との絆を信じて。