オリジナル戦隊俺ンジャーat SFX
オリジナル戦隊俺ンジャー - 暇つぶし2ch2:名無しより愛をこめて
07/04/26 22:27:32 QPMv/Ny8O
また堕ちるよ

3:名無しより愛をこめて
07/04/26 23:37:47 Di4GjlaHO
>>1乙。

4:名無しより愛をこめて
07/04/27 21:51:14 tNWU1LtFO
>>1

5:名無しより愛をこめて
07/04/28 10:53:51 1O3aODYIO
良いアイディアが出来たら書こうかな…それまで保守

6:名無しより愛をこめて
07/04/28 14:27:34 Wm8tIJOb0
よし、俺もなんとかやってみる。

7:名無しより愛をこめて
07/04/28 19:50:25 VfBIl287O
一桁阻止

8:名無しより愛をこめて
07/04/29 23:12:35 hhd3UpVEO
あれ?落ちたんだ?

9:名無しより愛をこめて
07/04/29 23:36:04 e25+bSxM0
韓国特撮の歴史(2008年~)

2008年
ウルトラマンのパクリ「ウリナラマン」がヒット。

2009年
「ウリナラ戦隊 パクリマン」が日本のネチズンに大人気。

2010年
「強姦戦隊 レイプマン」が男子中高生から大人に人気。日本人女性をレイプするレッドに人気が集中。

2015年 
日本に強硬な政策を行い人気を博した韓国の大統領李承晩(イ・スンマン)をモデルにした 「大韓戦隊 李承晩」が
発表される。李承晩大統領没後50周年記念作品。





10:名無しより愛をこめて
07/04/30 22:44:42 DYFa37lC0
>>1
乙です。しぶとく続けます。


 五色守備隊・イロセプター 3 奇跡・ゴーグルの涙!?


「ズロロロロロロロロロロ」
 暗い大広間に、重苦しく異様な唸りが響く。
 広間にはステージのような一段高い場所があり、そこに立っているものから唸りは発されている。
 巨体の人型。暗くてディテールはよく判らないが、体のあちこちに鋭角的な突起、そして頭部の顔の
中心には、明滅する大きな一つ目。
 明らかに怪物然としたこの存在。その名は、魔人・ジャデラー。
 半年ほど前に突如宇宙から飛来し、地球を支配して人類に恐怖と絶望を与えると大々的に宣言し、
実際に自分の配下を使い、人々に迷惑をかける悪事(主に散発的な破壊活動)を行い、IROとの攻防を
続けている。何故地球を支配したいのかと問うても、自分が全宇宙において絶対にして強大な邪悪で
あるからだとかそんな感じでしか答えない。とにかく不条理な存在だ。
 今回もその行動原則に則り、彼は眼下に控える自分の配下に次の悪事の指令を下していた。
「モズンガァァァーーーーーッ!!」
 体を左右に激しく揺さぶって訳の判らない叫びを上げるその配下。ジャデラーもさっきから一緒に
ズロロロロと唸り続けており、傍から冷静に見ると非常に頭の悪い光景である。
 さて、ジャデラーの配下、怪人隊長・モズンガー。こいつも異形の姿で、電子回路や配線などの細かい
メカで全身を覆った、邪教の御神体のような姿をしている。手と足にだけ黒い手袋とブーツをつけているのが
更にアンバランスな印象。手には妙なレリーフのついた長い杖を携えている。
 二人は一通り唸ったり叫んだりしてすっきりしたところで打ち合わせを始める。
「モズンガーよ。貴様の計画はどうなっておる」
「ははっ。地球人共の都市を破壊するための新型兵器の建造は、例の地点にて着々と進んでおります」
「うむ。一刻も早く完成させ、地球人類に、そして五色守備隊の奴らに目に物見せてやるのだ。ズロロロロロロ」
「お任せ下さい、モズンガァァァーーー!!」

11:名無しより愛をこめて
07/04/30 22:47:00 DYFa37lC0
 しかし、五色守備隊は既にジャデラー軍団が何やら怪しい動きをしているのを察し、調査を開始していた。
「これが、ユウコさんが先に潜入調査して探ってきた映像です」
 オペレーターの鈴木フタバが大モニターに映像を出す。
 奥多摩の採石場っぽい岩壁。そのあちこちに金属のゲートが見え隠れし、黒ずくめの戦闘員達が資材を搬送
しているのが判る。出来るだけこそこそしているようだが、余りにもあからさまである。
 ちなみにこの戦闘員達・ザコマンドは、第1話冒頭でレッドセプター・キョウタがセプターファイヤーで
一掃したのと同じ連中である。実はジャデラー軍団所属だった。
「この地点にジャデラー軍団が秘密のアジトを建造していたことは判ったのですが、意外に警戒が厳重で、
中で何をしているのかまでは突き止められませんでした」
 自ら説明する織田ユウコ。作戦室には他に穂積キョウタと一条ケンジ、倉形ザンテツ司令がおり、話を聞いている。
キョウタ「ジャデラー軍団のザコ共は大したことないんだから、ごり押しでやっつけて基地内を調べれば
よかったんじゃないのか?」
フタバ「基地内の戦力が判らないまま突入しては、思わぬ罠に引っかかる可能性があります」
キョウタ「あ、そうか」
ザンテツ「しかし、手をこまねいていてもジャデラー軍団の計画は着実に進行していくだろう。いずれにせよ
手を打たねばなるまい」
 ザンテツは改めて指令を出す。
「キョウタ君、ケンジ君、ユウコ君。次は君達三人で現地に向かい、敵の狙いを突き止めるのだ。放置していては
危険な作戦と判った場合は、その場で阻止行動に移ってくれ。必要であれば援軍を出す」
「了解!」
 キョウタとユウコは敬礼。ケンジも無言で無表情ではあるが指令は了承し、二人と一緒に出かける。

12:名無しより愛をこめて
07/04/30 22:48:38 DYFa37lC0
 ジャデラー軍団のアジト。
 岩壁の内部に作られた施設はかなり大きく、要塞といっても差し支えない。
「ふっふふふ」
 ザコマンド達が作業している格納庫で、モズンガーは建造中の新型兵器を見上げる。
 それは、巨大なモズンガー。
 正確には、姿も機能もモズンガーに似せて造られた巨大ロボット・モズンガーロボ。
「既にほぼ完成だ。出撃の暁には、俺様自らこのモズンガーロボに乗り込む。そして都市部に侵攻し、街を滅茶苦茶に
破壊してやるのだ。ふふふふふ・・・」
「そんなことはさせないわよ!」
「何?」
 声に驚いて振り返ると、三人のザコマンドが立っている。
「何だ貴様ら、何のつもりだ? 突っ立ってないで建造作業に戻らんか」
「まだ気づかないの?」
 先頭のザコマンドが顔の覆面を掴み、引き剥がす。すると、ユウコの顔が現れ、艶やかな黒髪が後ろに流れる。
「!? 貴様ら・・・五色守備隊!?」
 残り二人のザコマンドも覆面を取り、キョウタとケンジの正体を現す。
「どうやってこの要塞に!?」
「基本よ、基本」

 通路の一角で、三人の見張りのザコマンドがのされて倒れ、五色守備隊の三人と摩り替わられていた。

13:名無しより愛をこめて
07/04/30 22:50:11 DYFa37lC0
「うぬぬぬぬ・・・」
 モズンガーは悔しがるが、直ぐ自らを奮い立たせ、
「ふふふ・・・だが、飛んで火にいる夏の虫とはこのことよ。俺様の計画を知られたからには生かしては帰さん!」
「何だ、この余りにも定番通りで手垢のこびりついたやり取りは」
 ケンジはうんざりしている。
「まあ、序盤は先ず基本を押さえた古典的な路線から入ろうってことなんだろうけど・・・」
 と言ったユウコは、視界の脇で、キョウタが何やら感極まって震えているのに気づいた。
「どうしたの、キョウタ?」
「くっくくくくく・・・どうしたもこうしたも」
 キョウタは射るような視線でモズンガーを睨み、びっと指を差して突きつけた。
「お前ーーーーーッ!」
「な・・・何だ?」
「俺が五色守備隊お抱えの巨大ロボ建造のための地盤を作るために日々地道に努力しているというのに、敵の、しかも
ぽっと出のお前みたいな単発怪人がいきなりロボを造って、それももう完成間近とはどういう了見だ!?」
「・・・は?」
 ポーズをびしっと決めて叫んだキョウタに、ユウコは又頭痛を覚える。
「・・・そういえば、基本から微妙にずれてるのが一人いたわね」
 そんな彼女に構わずキョウタは続ける。
「身の程を弁えないお前の暴挙、許せん!」
 腰だめに構え、左手首につけたセプターブレスに右手を掛け、
「セプター・チェンジ!!」
 スイッチを入れてセプタースーツを自らの体表に電送させ、瞬時にレッドセプターに変身。

14:名無しより愛をこめて
07/04/30 22:51:49 DYFa37lC0
「その巨大ロボ、頂戴する! そして新生セプターロボに改装し、正義と平和のために俺が存分に有効利用してやる!」
「待ちなさい、キョウタ!」
 ユウコの制止も聞かず、レッドセプター・キョウタはモズンガーロボに突進を開始した。
「ふざけるな、そんなことをさせてたまるか!」
 モズンガーは激してレッドを食い止めに入り、交戦となる。
「ちょっとキョウタ、勝手な真似を・・・!」
「いいんじゃねえのか」
「え?」
 ユウコに声を掛けるケンジ。
「経緯はどうあれ、あいつが怪人と戦ってるんならそれを牽制として、俺達は巨大ロボ建造の妨害なり破壊なりに
さっさと掛かったほうがいいだろ」
 前回と打って変わって冷静な判断。
 ケンジにとっての仇敵・ディスコミューンは今回の件に関わっていないというのもあるだろう。尚、
ディスコミューンは前回の戦いで滅んだわけではなく、大きな痛手を受けたので一端なりを潜めているだけである。
「でも、キョウタ一人に牽制を任せるの?」
「あいつならこの程度で苦戦しないだろ」
「・・・そうね」
 言ってる間に、ザコマンドが群がって包囲してくる。
「セプター・チェンジ!!」
 二人もセプターブレスを作動させて変身するが、
「・・・キョウタの奴に先越されたんで、なんか既に絵的に地味よね」
「おう」

15:名無しより愛をこめて
07/04/30 22:53:08 DYFa37lC0
 先ずは、周囲のザコマンドを突破せねばならない。
 ブルーセプター・ケンジはセプターブレードを取り出し、
「こいつらの相手は俺がやる。お前はその間に、ロボットの制御中枢を探し出して壊すなり策を講じろ」
「判ったわ!」
 示し合わせた後、ブルーはブレードに闘気を込め、
「闘気爆裂斬!!」
 揮ったブレードから青い色の闘気を放ち、ザコマンドの群れの一角を吹き飛ばす。
 その穴を突いて、イエローセプター・ユウコは素早く脱出。要塞内の、計器類のあるブロックを探す。
途上に散発的に現れるザコマンドをなぎ倒しながら。

「・・・あった!」
 モズンガーは自らモズンガーロボに乗り込むと言ったが、何かの万一の場合に備えて外部コントロール用の
システムもあるはずとユウコは推測し、コンソールのある部屋を当たっていった。そしてドンピシャで見つけた。

「モズンガー様!」
 レッドセプターとモズンガーが激しく戦っているところに、ザコマンドの一人が駆けつけた。
「何だ、今取り込み中だぞ!」
「イエローセプターに、モズンガーロボの外部制御システムのルームを占拠されました!」
「何!?」
 動揺するモズンガー。
「いかん、モズンガーロボの外部制御システムには・・・」
「余所見をしてる場合か!」
 そこへ、容赦なくレッドセプターがセプターガントレットを揮ってくる。咄嗟に避けるモズンガー。
「待て、こんなことをしてる場合ではないのだ!」
「問答無用!」
 レッドセプターは攻撃の手を止めない。

16:名無しより愛をこめて
07/04/30 22:56:58 DYFa37lC0
 制御室でコンソールのキーを操作し、モズンガーロボの機能停止プログラムを高速で検索していくイエロー。
「見つけた・・・これね!」
 もたもたしているとザコマンド達に踏み込まれて邪魔をされる。イエローはためらいなくプログラム作動
キーをエンター。
 途端に、モニターの画面が赤く明滅し、要塞全体に警報が響く。
「え・・・?」
 イエローは、プログラム作動後に出てきたメッセージを読み、息を呑んだ。
 プログラムを作動させることで、確かにモズンガーロボは起動不可能になる。
 周囲100kmを巻き込んでの自爆で。

モズンガー「言わんこっちゃない! もう直ぐ爆発するぞ!」
 パニックになる格納庫の一同。特にレッドセプター・キョウタは、
「そ、そんな・・・折角完成間近のロボが見付かったってのに・・・自爆!?」
 ・・・爆発による大被害の危機でなく、ロボが失われることに動揺した。通信を送る。
「どうにかならないのか、イエロー!?」
「爆発を止めることは無理みたい・・・けど・・・そうだわ!」
 素早くプログラムに手を加えるイエロー。
「ここでの爆発を防ぐことなら・・・出来る!」

 イエローの外部操作により、格納庫の上部ゲートが開く。同時に、モズンガーロボが足の裏から
ロケットを噴射し始める。
 激しい気流に踏ん張るレッドとブルー、モズンガー。ザコマンド達は景気付けに吹き飛ばされる。

17:名無しより愛をこめて
07/04/30 22:58:25 DYFa37lC0
「イエロー、何を!?」
「モズンガーロボを大気圏外まで離脱させ、上空で爆発させる! 地上の被害を避けるためには
これしかないわ!」
「な、何ぃーーーーーッ!?」
 憤るレッド。
「やめろ! やめてくれ! そんなことをしたら折角のロボが!」
 そういう間にも目の前で、モズンガーロボは次第に上昇していく。
「ロボ! ロボ! 帰ってくるんだロボ!」
 レッドセプターはセプターブレスに向かって叫び続けるが、別にブレスにコントローラーが
付いているわけではないのでどうにもならない。
 忽ち小さくなっていったモズンガーロボは、空の彼方で爆発し、天空に眩しい閃光と轟音が響き渡った。
「ロボぉぉぉぉぉーーーーー!!!!!」
 レッドセプターは空を向いて号泣し、ゴーグルの目元から涙が滝のように噴き出した。
 レッドセプター・キョウタはイロセプターとしての超潜在能力で、ヘルメットをつけたまま外に涙を
流すことが出来るのだ!!
「貴様等・・・よくも俺様の計画をーーーーー!!」
 モズンガーロボを破壊された怪人モズンガーが怒り狂いながら杖を振り回して迫ってくるが、
「うるさい!! ファイヤーナックル!!」
 それよりも激しい怒りと悲しみに満たされたレッドには届かない。
 超能力の劫火を拳に纏い、レッドセプターは背を向けたままアッパーでモズンガーを宙高く殴り飛ばし、
モズンガーは悲鳴を上げながら炎に巻かれ、格納庫の中空で大爆発。
 ジャデラー軍団の企みは打ち砕かれたのであった。

18:名無しより愛をこめて
07/04/30 22:59:35 DYFa37lC0
 五色守備隊本部に帰った三人。
ユウコ「申し訳ありません、司令。あの場の咄嗟の判断では、あの対応が精一杯でした・・・」
ザンテツ「いや、悔いることはない、ユウコ君。君はよくやってくれた。それよりも」

 ロボへの強すぎる執着によって現場でのチームの統制を乱したキョウタにペナルティが与えられ、
新生セプターロボ建造の為に蓄積していた実績点数が、大きく減点されたのであった。
「ロボぉぉぉぉぉーーーーー!!!!!」
 キョウタはレッドセプターにチェンジしてゴーグルから涙を流しながら絶叫した。

19:名無しより愛をこめて
07/04/30 23:36:49 BwWxT3+M0
いいねぇ~。この調子で頑張ってください。
俺も何か創ってみようかな…?

20:名無しより愛をこめて
07/05/02 13:37:05 axtbZB1+0
保守age

21:魔導戦隊作者
07/05/02 15:21:52 3iDQPuO60
ツマッタ・・・・・・orz

22:名無しより愛をこめて
07/05/02 16:01:47 HmEDBIpc0
みんな続きを待ってるんだ。早く書け

23:名無しより愛をこめて
07/05/02 18:19:49 nb+PX1eJO
ブイレイジャーってどうなったんでしょう…

24:名無しより愛をこめて
07/05/03 00:29:54 3us7INu8O
ブイレイジャーなんてあったっけ?
ブレイジャーなら前スレで見掛けたような気がするが。

25:機動戦隊作者
07/05/03 01:15:46 hQgPe/NR0
>>23
>>24氏も仰られているように、「ブレイジャー」が正式な名称です。
まぁ間違われそうな名前だな、とは思っているのですが。



という訳で、何とか生存しております。
リアルの方で忙殺されていてなかなか書く暇もありませんが、
一応二話以降も継続して執筆中です。
次回で残りの四人が登場する予定となっています。

GW明けにはAパートだけでもアップ出来る…かな?

26:名無しより愛をこめて
07/05/03 12:29:16 d2YlqkCZ0
25歳

三日間トップバリュ製品で過ごしたら食費が9000円も浮いた。
1週間でパンクしない自転車が買えるよ。
君もやってみなよ。

1日目 朝食 トップバリュヌードル 78円
     昼食 トップバリュヌードル 78円
     夕食 トップバリュヌードル 78円

2日目 朝食 トップバリュヌードル 78円
     昼食 トップバリュヌードル 78円
     夕食 トップバリュヌードル 78円

3日目 朝食 トップバリュヌードル 78円
     昼食 トップバリュヌードル 78円
     夕食 トップバリュヌードル 78円

飽きたら腐るほどある他のトップバリュ製品を買えばいいだけ。
バランスのよい食事でダイエットにもなる。
ジャスコお客様感謝デー マジでおすすめ。

URLリンク(www.r-jusco.co.jp)

27:特急・熾烈戦隊作者
07/05/03 22:17:23 VZtPS3jNO
以前、【特急戦隊 バトルライナーJ】という作品の設定や構想を書かせていただいたものです。
現在、【熾烈戦隊リベンジャー】という作品を執筆しており、初期案ではもう作品が完結している時期なのですが、当初予定していなかった事態が発生して、特急戦隊の執筆に至ることができない状況です。
予定していなかった事態とは、24話で完結させようとした作品に様々な要素(新幹部・追加キャラクター)やシナリオを追加したために、作品が書き終わらないということです。
しかし、完結の暁には必ず執筆したいと思っております、その際はよろしくお願いします。

URLリンク(ncode.syosetu.com)

この場を借りて【熾烈戦隊リベンジャー】を再び宣伝させて頂きます、すみませんでした。

28:名無しより愛をこめて
07/05/04 18:35:56 rd5+hdkF0
 五色守備隊・イロセプター 4 切り札は緑と桃


 暗雲の渦巻く異次元空間に浮かぶ、ジャデラー軍団の巨大な拠点。
「ズロロロロロロロロロロ!!」
 魔人ジャデラーは一つ目を明滅させて怒る。
 集められた三人の怪人隊長はおののく。
「いかがなされたのですか、魔人ジャデラー様!?」
「モズンガーが倒され、奴の進めていたモズンガーロボ建造計画が阻止された」
「何と!?」
「我が軍団にとっては大きな痛手。この上はやはり、五色守備隊の抹殺を本格的に考えねばなるまい。
そのためにお前達を呼んだのだ」
「ははっ。何なりとお申し付けを」
「うむ。では、これよりわしの伝える作戦に従い、五色守備隊の壊滅を現実のものとするのだ。ズロロロロロロ」

 五色守備隊本部に緊急出動要請が入った。ジャデラー軍団の怪人隊長が戦闘員ザコマンドを引き連れ、首都圏の
街区で暴れているという。レッドセプター・キョウタ、イエローセプター・ユウコ、ブルーセプター・ケンジの
三人は、早速迎撃に向かう。
 駆けつけた目の前で街を壊して暴れているザコマンドの群れ、そしてそれを率いる怪人隊長・デビルマスク。
細身の体躯から見れば不恰好に見えるほどの巨大で異様な鋼の仮面をつけている。
「きおったな、イロセプター。だが貴様らなど、このデビルマスク様の敵ではないわ!」
「ほざけ! 一気に片付けてやるぜ!」
 前回の失点を取り返すべく、レッドは気負っている。
 レッドを筆頭にイロセプターは突撃し、戦いを開始した。
 ザコマンドの殲滅には然程手間取らず、直ぐにデビルマスクとの戦闘となる。

29:名無しより愛をこめて
07/05/04 18:37:39 rd5+hdkF0
「食らえぃっ!!」
 デビルマスクは仮面の中に大量の火器を仕込んでおり、顔の装甲を展開してミサイルや銃弾を連射してくる。
周囲で一斉に爆発が起こり、回避を続けるイロセプター三人。
ブルー「こりゃ、迂闊に近づけないぜ・・・」
イエロー「けど、いなせない攻撃じゃない・・・セプターアナライズ!!」
 イエローセプターはゴーグルに搭載された計測器を作動させ、デビルマスクの攻撃パターンを計算し始める。
「直ぐに攻撃の穴を見つけ出してみせるわ!」
 一方、デビルマスクは攻撃を続けながら、仮面の下でほくそ笑む。
(まんまと罠に掛かりおったな、イロセプター・・・ふふふふふ)

 同じ頃。東京某所の五色守備隊本部。
「ど・・・どういうことだ!?」
 正面入り口・・・そこに至るまで、多くのセキュリティで守られている・・・を警備していた一般兵士達は
愕然とした。
「何故こんなにあっさり侵入されたんだ!?」
「判らん・・・くそっ!」
 兵士の一人が、眼前の相手に向けて銃を掃射する。
 それを平然と胸で受け、何のダメージも受けない、全身強固な装甲で包まれた巨体の怪人隊長・カブトロイ。
「だ、駄目だ! 撤退! 倉形司令に連絡を!」
 兵士達は逃げ出すが、その背に、真空の刃が飛んだ。
 斬り裂かれ、多くの兵が犠牲になる。
 手にした巨大な剣を揮い、斬撃を飛ばしたのは、残る一人、スマートな鎧姿の怪人隊長・ヤイバーケン。
 彼ら二人は本戦力として待機し、デビルマスク迎撃のためにイロセプター三人が出撃した際の状況を
遠方から観測。五色守備隊本部基地への経路を割り出し、本部を一気に叩くために強襲を掛けて来たのだ。
強引な突入も、それを行えるだけの力があるという自負があってこそだが。

30:名無しより愛をこめて
07/05/04 18:39:43 rd5+hdkF0
イエロー「何ですって、本部が!?」
 デビルマスクの攻撃パターンを漸く割り出したとき、イロセプター三人は、五色守備隊本部が攻撃
されているという通信を受けた。
ブルー「くそ・・・こいつの攻撃は囮だったのかよ!」
デビルマスク「今頃気付いても遅いわ!」
 デビルマスクは三人をロックオンし、顔から無数の誘導ミサイルを撃って来た。
デビルマスク「貴様らもこの場でくたばるがいい!」
 三人は各々の武器と技でミサイルを回避し、いなし続けるが、
イエロー「手間を取ってはいられない! レッド、ブルー、例のフォーメーションでさっさとケリを
つけるわよ!」
レッド、ブルー「おう!」
 イエローの計測したデータが、残り二人のゴーグルに流れてくる。それを元に、ミサイルを避けながら
敵に接近するルートをレッドは直感も含めて割り出し、ミサイルが周囲に着弾する爆発の炎の中を
走りぬけ、デビルマスクに忽ち接近。
「セプターフォール!!」
「ぬおおっ!?」
 セプターガントレットをフルパワーにしてデビルマスクをふん掴み、力任せに放り上げる。
 空中ですきだらけになったデビルマスクに対し、二挺のセプターショットに一際威力の高い必殺弾を込めた
イエローが、
「セプターファイナルショット!!」
 弾丸を二発同時に撃ち込む。
「ぬああああ・・・!!」
 デビルマスクは全身から火花を散らす。最早風前の灯。

31:名無しより愛をこめて
07/05/04 18:41:15 rd5+hdkF0
「ぬうう・・・だが、俺様を倒したところで、もう本部への救援には間に合うまい! 五色守備隊本部の最期だ、
ははははは!!」
 捨て台詞と共に大爆発。セプターファイナルショットの威力はそれだけではおさまらず、爆風が上空から
降り注ぐが、
「セプターオーラシールド!!」
 控えていたブルーがセプターブレードに乗せて闘気を放ち、青く輝く障壁を作って爆風を防ぎ、自分達や
街への被害を食い止めた。
 三人にはまだ一撃で怪人を葬れる必殺砲などの共用装備がないため、苦肉の策で編み出した連携攻撃である。
 激戦の後で疲弊している三人だが、
レッド「急いで本部に戻ろう!」
ブルー「間に合うか・・・?」

 二大怪人隊長は多重のセキュリティをものともしない。隔壁はカブトロイが腕力や体当たりでこじ開け、
オートのレーザー砲などの攻撃はヤイバーケンが剣の斬撃で砲台ごと弾き飛ばし、着々と基地の最深部に進んでくる。
 並みの攻撃では通用しないと見たザンテツは、早々に一般兵士や非戦闘員のスタッフを安全域に下げる。
しかし、自身はオペレーターの鈴木フタバ共々、指令室に留まったまま退かない。敵は真っ直ぐ指令室へ
向かってくる。
「フタバ君」
「はい」
「イロセプターの非常要員、グリーンセプターとピンクセプターの出動だ」
「はい」

 遂に指令室の入り口を破り、二大怪人隊長が入ってきた。
 ザンテツとフタバは泰然と座っている。

32:名無しより愛をこめて
07/05/04 18:43:09 rd5+hdkF0
ヤイバーケン「既に覚悟を決めたのか。組織の長として、その辺は流石だな」
カブトロイ「その覚悟に免じ、苦しまないように一撃で葬ってやろう」
 カブトロイの胴体前面から、多数の砲身が突き出した。
 一斉砲撃が行われ、室内に爆風が吹き荒れる。
 撃ち終えた後、硝煙が晴れるのを待っていた二人は・・・
「・・・何!?」
 指令室が崩壊した中、全く無傷の、ザンテツとフタバを視認した。
 いや、ザンテツとフタバそのままではない。
「何だ、貴様らは!?」
「見ての通り、グリーンセプター」
「ピンクセプターですが、何か?」
 爆発の瞬間、瞬時にセプタースーツを電送装着した、年配の指揮官のザンテツとオペレーターのフタバだった。
 更に、ピンクセプター・フタバは、座していたオペレーター席の周囲に電磁バリヤーを展開し、自分の仕事席を
完全に守っていた。
 安全域から事態をモニターで見届けていた他のスタッフ達も、ザンテツとフタバ自身がイロセプターであったことは
知らされておらず、騒然となった。

ヤイバーケン「成る程・・・赤・青・黄の三人しかいないのに五色守備隊とはこれいかにと思ったが」
カブトロイ「面白い・・・これは面白い! わはははは!」
 カブトロイは哄笑し、もう一度全力で一斉砲撃。

33:名無しより愛をこめて
07/05/04 18:44:43 rd5+hdkF0
 しかし、ピンクセプターのバリヤーには全く無効。
 そのままピンクはコンソールのキーを叩き、同時にオペレーター席ががしゃがしゃと変形し、巨大な大砲になる。
 息が続かず砲撃を思わず止めたカブトロイに向かい、バリヤーを解くと同時に、
「セプターカノン、発射」
 淡々としたピンクの呟きと余りに対称的な威力の光が大砲の砲口から迸り、カブトロイは何が起こったのか
判らないまま無敵の巨体を跡形もなく焼き砕かれ、序でにその後方に長大なトンネルが出来た。
「・・・・・・・・・」
 言葉を失うヤイバーケンに対し、
「君には私の相手をしてもらう」
 グリーンセプター・ザンテツも静かに言い放つ。
 伝家の宝刀・『セプター正宗』を取り出し、緑色の鞘から長く細い刀身を抜く。
 普通の日本刀。
「・・・ふ・・・ふふふ・・・
 そんななまくらで俺の必殺剣に抗おうというのか、老いぼれが!!」
 得意の剣で後れを取るのでは名折れとばかり、ヤイバーケンは巨剣をかざしてグリーンセプターに突っ込んだ。
 ああ・・・これは駄目っぽいと基地のスタッフ達は思った。
 その通りだった。
 済んだ打ち合いの音が響き、擦れ違った両者が背合わせに停止。
 グリーンセプターは、無言で刀身を鞘に収める。
 直後、ヤイバーケンの全身が裂けて爆発の火花が飛び、悲鳴が轟いた。

34:名無しより愛をこめて
07/05/04 18:46:41 rd5+hdkF0
 だが、ヤイバーケンもそれだけでは終わらない。
 沈黙した彼の体内から、アナログのカウントダウンの音が響いて来る。
「フタバ君」
「了解」
 グリーンの声に応じたピンクの操作により、床に突如落とし穴が開き、ヤイバーケンが落ちていく。
 更に気流で非常ハッチから基地の外に排出されたヤイバーケンは、万一の場合に基地内で炸裂させるはずだった
体内の時限爆弾で、空中で空しく自爆した。

 遅れ馳せながら駆けつけた三人のイロセプターは、派手に破損した本部基地を見て、間に合わなかったのかと
戦慄した。しかし、グリーンセプターとピンクセプターがスタッフ達を連れて無事に基地から出てきたのを見て
更に驚いた。
「人的被害は最小限に抑えられましたが、基地は大きな打撃を受けました」
「取り合えず、予備の基地施設に移転して体勢を立て直さねばならんな」
 ピンクセプターの報告に、グリーンセプターは落ち着き払って答えた。

35:名無しより愛をこめて
07/05/04 22:38:53 u06SSMwTO
専用のロボットへの道が遠ざかっていく…w

36:名無しより愛をこめて
07/05/06 12:19:42 lCs+uN3v0
ho

37:名無しより愛をこめて
07/05/06 22:34:22 p9v+lZ7V0
 五色守備隊・イロセプター 5 大きな敵に挑め


 前回、ジャデラー軍団によって本部基地を破壊された五色守備隊は、臨時措置として、
東京湾沿いの沿岸にある予備の基地施設・『マリンファーム』に移動した。あくまで新たな
本部基地が建つまでの措置だが。
 マリンファームは本来、五色守備隊の主力であるイロセプターの予備要員を養成するための
訓練施設であり、訓練生が大勢いて日々鍛えている。予備といっても、敵の襲撃や不測の事態に備え、
要塞といっても遜色ない装備は十分に用意されている。
 そのマリンファームの通路の一角で、穂積キョウタと織田ユウコは沈んでいた。ジャデラー軍団の
陽動に見事に引っ掛かり、本部基地の壊滅を阻止できなかったからである。因みに、一条ケンジは
沈んでいる暇があったらとばかりに、訓練ルームでトレーニングを続けている。
 そんなキョウタとユウコのところに、倉形ザンテツ司令が歩んできた。
キョウタ「司令・・・」
ユウコ「申し訳ありませんでした・・・私達がいたらないばかりに」
ザンテツ「何を謝るのかね?」
キョウタ「しかし、司令・・・」
ザンテツ「君達が気に病むことはない。君達イロセプター本隊に出動命令を出したのは私だ。
あの状況なら普通誰でもそうするだろう。ジャデラー軍団の策に五色守備隊が一歩出遅れた、それだけの
ことだ。次で取り返せばいい」
キョウタ「くうう・・・勿体無いお言葉!!」
 キョウタは滂沱の涙を流してむせび泣く。そんな彼にザンテツは笑いかけ、
「今君達に必要なのは、一部の者が突出して気張っただけではどうにもならない事態があるということ、
それをフォローするために他のスタッフがいるということを自覚することだ。驕らず、又卑屈にならず、
殊勝な気持ちで任務に励み続ければ決して悪い結果にはならん。キョウタ君、君の目標である新生
セプターロボの建造も、その気持ちを持ち続ければ必ず現実のものとなろう」
「はい! 司令のお言葉を胸に刻みつけ、より一掃自己研鑽に励みます!」
 そこへ、オペレーターの鈴木フタバが報告に来た。
「倉形司令。次のミッションの要請が入りました」
「うむ。説明を」

38:名無しより愛をこめて
07/05/06 22:36:17 p9v+lZ7V0
 IRO所属の技術者・星野アカネ博士が、ジャデラー軍団に拉致された。
 モズンガーロボ建造計画をイロセプターに阻止されたジャデラー軍団だが、大規模破壊活動用の
巨大ロボの建造計画をまだ諦めていない。後任の作戦指揮官として、怪人隊長・エゴラーが就任。
モズンガー同様、エゴラーの姿と能力をコピーした巨大ロボット・エゴラーロボの建造に掛かった。
そして、イロセプターに対抗すべくロボの性能を更に上げるため、優秀なロボット工学者である星野博士を
さらい、その頭脳を役立てようとしているのだ。
 尚、今言われた通り、星野博士はキョウタ達と年の頃の変わらない女性ながら天才的な科学者であり、
かつて旧セプターロボの建造に携わったこともあり、もし再度ロボの開発計画が持ち上がるなら、
計画の中心となるのは間違いなく彼女であろうと、
「や り ま す」
「・・・・・・」
 ザンテツがまだ出動命令を出していないのに、キョウタが満面の笑みを浮かべて目に炎を燃やしながら
勝手にミッションを了承した。
「己の邪悪な野望のためにか弱き女性を誘拐して利用しようなどと、許しがたい魂胆!! その野望、
必ず俺が打ち砕き、星野博士を無事奪回して見せます!!」
 拳を握り締めて背に炎を燃え上がらせるキョウタを見て、さっきザンテツが言ったことを本当に
肝に銘じたのか、一同はちょっと不安になった。

 とにかく、キョウタ、ユウコ、ケンジの三人は星野博士救出のために出動した。エゴラーロボの
開発工場は太平洋の名もなき孤島にあるという情報も既に掴まれており、三人はマリンファームに
配備されているステルス機能付きの潜水艇(今回は現用兵器の範疇)に乗って海底から島にギリギリまで接近し、
後は生身で島に潜入し、博士を探し出して助ける。

39:名無しより愛をこめて
07/05/06 22:38:03 p9v+lZ7V0
 三人が出て行った後、フタバは指令室でザンテツと話す。
「司令。今回の件・・・」
「うむ。気になるな」
 孤島に工場があり、星野博士もそこに捕われていることは確認されている。だが、余りにもスムーズに
情報がキャッチできたのが妙だとザンテツとフタバは思っていた。
「ひょっとして、ジャデラー軍団に何か企みがあるのでは」
「うむ・・・だが、今は様子を見るしかあるまい」

 海底を進む潜水艇。既に島の近くまで来た。
 艇の操縦を一般兵士に任せて待機させ、三人はダイバースーツを着て泳いで島の沿岸まで直接接近。
周りを見回しながら岩礁に上陸し、アクアラングを外す。
「一見普通の未開の島だけど・・・」
「工場は何処にあるんだ・・・?」
「よく来たな、イロセプター!」
「!」
 声の方向を見ると、岩壁の上に戦闘員ザコマンドを大勢連れて立っている怪人隊長・エゴラー。
モズンガーと意匠が似ているが、よりプロポーションが洗練されている。
 構える三人。
「お前がエゴラーか!?」
「星野博士は何処にいる!?」
「そういきり立たずとも、直ぐ会わせてやろう」
 ザコマンドの一人が、後ろ手に縛られた星野アカネ博士を引っ立ててきた。艶やかな黒髪の美人。
「おお博士、ご無事でしたか! 今お助けします!」
 気を吐くキョウタに、アカネが叫ぶ。
「いけません、下がって下さい!」
「え?」

40:名無しより愛をこめて
07/05/06 22:39:54 p9v+lZ7V0
 直後、岩壁に仕込まれていた装置から、三人のいる位置に稲妻が走った。
 電磁波によるフィールドが形成され、その中に、ユウコとケンジが閉じ込められる。
 見えない壁には電流が流れ、迂闊に生身で触れば感電する。
ユウコ「罠・・・!?」
ケンジ「こっちの動向を見越していたって事か・・・だが、変身すればこのくらい!」
 二人はセプターブレスのスイッチを押す。
 だが、何の変化もない。
「何・・・!?」
「そのバリヤーは、お前達のセプタースーツを電送するための信号も遮断するのだ。どうだ、変身できまい」
 くっと歯噛みする二人だが、それはともかく、
「・・・何故俺にはバリヤーを張らない!?」
 当然の疑問をエゴラーに投げかけるキョウタ。
 わざわざキョウタだけを避ける意図が判らない。警戒もする。
 エゴラーはにやりと笑い、
「お前には、我々ジャデラー軍団の同志となる資格があるからだ、穂積キョウタ」
「・・・!?」
 益々意図が掴めない。
「俺が、貴様等卑劣で邪悪なジャデラー軍団の同志だと!? 何を馬鹿なことを・・・」
「巨大ロボットが戦力として欲しいのだろう?」
「!!」
 キョウタの動きが止まる。
「判っているぞ。お前は色んな場で何度も、巨大ロボを手に入れてロボ戦がしたいと豪語している。
現在エゴラーロボを開発中の我々なら、その機会をお前に与えることが出来るのだぞ。無論、そのためには
お前に我々の軍門に下ってもらわねばならんのだがな」

41:名無しより愛をこめて
07/05/06 22:41:41 p9v+lZ7V0
「・・・馬鹿な・・・俺は、地球を守る使命を帯びた五色守備隊のレッドセプターだぞ! そんなことを
するはずが」
「よく考えてみろ」
 エゴラーは食い下がる。
「モズンガーロボは一度完成寸前にまで至った。手早く巨大ロボを建造できるだけのノウハウが既に
我々にはあるのだ。それに比べて、お前が地道に地道に苦労を重ねて一から巨大ロボを作れる状況に
持っていくまで、一体どれだけの時間が掛かる? 我々と手を組めば、その手間を一気に省くことが
出来るのだぞ」
「・・・・・・」
 言葉を失うキョウタ。
「さあ、来るがいい、同志よ。お前の実力はよく知っている。今なら幹部待遇で迎え入れようではないか」
「・・・・・・・・・」
 ふらりと、キョウタは何かに取り付かれたかのように足を踏み出す。
ユウコ「まさか・・・馬鹿! 本気にしてどうするのよ、キョウタ!?」
ケンジ「気を確かに持て! 五色守備隊を裏切る気か!?」
 その場から動けない二人が呼びかけるが、キョウタは次第に足を進め、そして走り出した。
「ジャデラー軍団ばんざ~~~~~い!! だから巨大ロボちょうだ~~~~~い!!」
「いらっしゃいませ~~~~~!!」
 エゴラーは諸手を広げて迎え入れ、

42:名無しより愛をこめて
07/05/06 22:43:30 p9v+lZ7V0
「な ん て 言うと思うかーーーーーッ!!!!!」
 キョウタは瞬時にレッドセプターにチェンジし、崖の下から全力ジャンプして瞬時にエゴラーに肉迫し、
セプターガントレットでアッパーをかまして吹っ飛ばした。
「エゴラー様!?」
 思わず飲まれたザコマンド達の不意を突き、レッドは更にアカネを人質に取っていたザコマンドに
迫って忽ち叩き伏せ、アカネを抱えて離れた場に飛び退いて隙なく着地。
 転がって倒れたエゴラーは、慌てて身を起こし、
「ば・・・馬鹿な!? お前は巨大ロボが欲しくないのか!?」
 エゴラーの企みとしては、元より意図的にこの島の情報を流してイロセプターを誘き寄せ、他の二人を
足止めしてから、一番乗ってきそうなキョウタを買収して仲間にするつもりだった。
「見くびってもらっちゃ困るな」
 レッドセプターは鼻で笑い、
「腐っても五色守備隊のレッドセプター、一時の欲目で悪党どもに魂まで売り渡すほど落ちぶれちゃいねえ!
ロボ建造という俺の夢は、五色守備隊の一員という本分を守った上で、俺自身の手で果たしてみせるぜ!!」
 そっと地上に降ろされながら、アカネは目を見開いてレッドの啖呵を聞いていた。
 一方、イエローとブルーは深く安堵の溜息をつく。キョウタをいまいち信用していなかったのである。
「ふ・・・ふふふ・・・愚かな」
 エゴラーは後ずさる。
「その愚かな選択を、地獄で後悔するがいい! 出ろ、エゴラーロボ!!」
「何!?」
 エゴラーの背後の絶壁の下から、巨大な影が上半身を現した。
 エゴラーそっくりの機械の巨人。

43:名無しより愛をこめて
07/05/06 22:48:34 p9v+lZ7V0
「エゴラーロボは、既に完成していたのか!?」
「星野博士の協力を得られなかったために性能を予定のレベルまで引き上げることは出来なかったが、
それでも貴様らを葬るには十分だ! 叩き潰してくれる!」
 エゴラーは高く跳び、エゴラーロボの開いたハッチに入り込み、内部のコクピットに座して操縦桿を握り、
レッドセプターに狙いを付けた。ロボの拳が振り上げられる。
「いかん!」
「このままじゃレッドが!」
 一人で戦わせるわけにはいかないと焦るケンジとユウコだが、依然バリヤーに閉じ込められたまま
出られない。

 だが。
「な め る な あ あ あ!!!!!」
 今回、試された男を見せたキョウタのバイオリズムは異様に上がっていた。
「セプターファイヤーーーーー!!」
 全身から炎を放って空を飛び、エゴラーロボの攻撃を交わし捲る。エゴラーロボが一帯でたたらを
踏む余波で、ザコマンド達が蹴散らされて一掃される。
「おのれ、ちょこまかと!」
 エゴラーロボはストレートを放つが、レッドセプターはそれもすれすれで交わし、ロボの背後に回って
背中にしがみ付く。
「えっ・・・あれ?」
 エゴラーロボはもがくが、背中に手が回らず攻撃が届かない。
「くそ、それなら・・・押し潰してやる!」
 後ろの絶壁に背中を叩き付けるべく、後ずさりを始める。

44:名無しより愛をこめて
07/05/06 22:49:56 p9v+lZ7V0
 ぶつかるまえにレッドは素早くロボの背を蹴って飛び退き、その勢いで絶壁に垂直に立って踏ん張り、
ロボがぶつかってくる前に、
「ファイヤーナックル!!」
 絶壁を蹴り、全エネルギーをガントレットに込めて火の玉となって飛び、内部のエゴラーごと、
背から胸へと貫通。
「ぐわあああああっ!?」
 大破したコクピットの中でエゴラーは炎に巻かれて焼き尽くされ、エゴラーロボもショートして
火花を吹きながら倒れ、爆発四散した。

「貴方の決意、見届けさせていただきました」
 感じ入った星野アカネ博士。
「直ぐにと言うわけには行きませんが、新生セプターロボ建造という貴方の目標が達成されるよう、私も
IROに働き掛けていくことを約束しましょう」
「宜しく頼むぜ、博士!」
 キョウタとアカネは笑顔で握手を交わした。
 やっとバリヤーから解放されたユウコとケンジはそれを見届けていたが、それはそれとして、
レッドセプター一人に破壊されたエゴラーロボの無残な残骸を見ながら言葉を交わした。
「必要なのか? ロボ・・・」
「まあ、あるならそれはそれで・・・」

45:名無しより愛をこめて
07/05/08 09:05:50 tYt2BXEB0
ho

46:名無しより愛をこめて
07/05/09 23:15:24 oHW6087U0


47:名無しより愛をこめて
07/05/10 12:13:27 rMpuHEuLO
マスコット的役割の動物キャラクターって、何がいいかな?

48:名無しより愛をこめて
07/05/10 12:19:16 fzOwkr1vO
モチーフに合わせて決めれ

49:名無しより愛をこめて
07/05/11 12:21:50 9/8pXMH/0
「君達はまだ、本物のイロセプターになっていない」
 ザンテツ司令は、キョウタ、ケンジ、ユウコの三人に出し抜けに切り出した。
「・・・はあ」
 意図するところが判らないので、ユウコはそう返すしかない。
「具体的に言いますと?」
「この物語が始まってから既に5話分を消化したが、君達は、正義の戦隊ヒーローでありながら・・・

 まだ一度も、戦闘前に決めポーズと名乗りをやっていない!!」


 五色守備隊・イロセプター 6 決めろ! ポージングバースト


 ユウコとケンジは顔を見合わせ、
「そういえば、忘れてたな」
「結構余裕のない戦いが続いてたからね」
「しかし、そこまで無理して消化しなくても、どうせ1クール分も行かないうちに本筋のイベント消化に
押されて画面分割のバンクとかでさらっと流されることになるんじゃねえのか?」
「そうやって惰性に流される姿勢はよくない」
 ザンテツは強く言い放つ。
「余裕のない展開の中でもお約束をきちんと消化してこそ真に優れた戦士。そうではないかね?」
「その通りです、司令!!」
 他の二人と対照的に打ちひしがれたキョウタは、激しく賛同した。
「外せないその要素に気付かなかったこの俺の不覚、恥ずかしい次第です!」
「判ってくれたか、キョウタ君」
 熱く手を握り合う二人にどうコメントしていいのか困るユウコとケンジ。

50:名無しより愛をこめて
07/05/11 12:23:06 9/8pXMH/0
「そこで、君達により高次な段階に進んでもらうため、改めてイロセプターとしての決めポーズと名乗りの
訓練を行うことにする」
ユウコ「はあ・・・別に異存はありませんが」
 決めポーズと名乗りは戦隊ヒーローを務めるものとしての慣例であり、三人とも既に研修段階で練習はしている。
「ついては、その再訓練のため、特別講師を召還している」
「決めポーズと名乗りのためだけに?」

 特別講師の名は、木端ジン(こっぱ・じん)。
 若干とうが立っているものの、異様な活気を全身から漲らせている男で、キョウタと同じノリの人種であることが
直ぐ窺い取れる。経験を買われてIROに所属した、レッドセプターの控え隊員でもある。
 経験とは何かというと、IROに入る前、ジンは既に戦隊のレッドを務めたことがある。民間の研究施設でありながら、
その優れた技術力を以って五人の戦闘部隊を編成し、正義と平和のために戦っていた組織があったのである。その
技術は五色守備隊にも供与され、役立てられている。
 その戦隊の名は、

 火薬戦隊・ダイナマイトマン。

「・・・・・・・・・」
 複雑な表情をしているユウコとケンジを置き去りにして、べんっべれべー、べんべんべれべーと琵琶でアレンジを掛けた
主題歌のイントロが流れる。
 ジンはそのダイナマイトマンのリーダー、ダイナマイトレッドとして仲間を率い、地上征服を企んでいた未知の地底
文明・ジシンカ帝国を相手取り、一年に渡る戦いの果てにこれを滅ぼした。ジシンカ帝国は地上人よりも優れた地底人と
しての強い自信に満ちており、大地震を発生させて地上壊滅を目論んだ恐ろしい組織であった。
「語呂だけでネタ考えて、本当は設定何も考えてねえだろ」
 ケンジの呟きも華麗に無視し、ジンは講義を始める。
「そんなわけで、司令から講義役を仰せつかった木端ジンだ。宜しく頼む」
「こちらこそ!」
 キョウタだけが凄くやる気になっている。

51:名無しより愛をこめて
07/05/11 12:24:27 9/8pXMH/0
ユウコ「あの、質問宜しいですか?」
「どうぞ」
「慣例ですから一応やってるんですが、大きな隙を作ってまでわざわざ決めポーズと名乗りというプロセスを消化しなければ
ならない理由は何なんでしょうか? ケンジじゃないですけど」
「ユウコ!!」
 キョウタが凄い形相で叫ぶ。
「な、何よ」
「そういうことにまで突っ込み出したら、そもそもこういう物語をやる意味がないだろう! 実際原則として今まで決めポーズと
名乗りの最中に敵は攻撃してきてないんだからいいじゃないか!」
「万一のことがあったらどうするのよ。どうしてもやりたいなら、敵を完膚なきまでにやっつけてからでもいいと思うけど」
「お前・・・!」
「まあ待て、キョウタ君」
 ジンが制する。
「ユウコ君の言うことにも一理ある。ここで男のロマンとか芸のない答えをして皆に脳味噌筋肉とか手抜きと思われるのも
不本意だ。思考を硬直させて意見交換の道を閉ざすのは、真の勇者の目指すべき方向ではない。
 実は、俺は司令からもう一つ別の趣旨の目標を言付かっている」
「別の趣旨?」
「チームとして編成されたばかりの君達三人は、これもまた戦隊の定番、強力な合体必殺技をまだ修得していない」
「!」
 三人が揃ってジンに目を向ける。
「怪人隊長デビルマスクに対しては、セプターフォール、セプターファイナルショット、そしてセプターオーラシールドの
連携で切り抜けたが、いずれ限界が来るだろう。強力な合体必殺技の開発が急務なのだが、それを使いこなすためには君達の
チームワークをもっと強化する必要がある。今回の決めポーズと名乗りの訓練は、そのための前段階なのだ。いかにお互いに
息を合わせて振り付けのプロセスを美しく進められるかが重要なのだ」
「・・・成程」

52:名無しより愛をこめて
07/05/11 12:25:36 9/8pXMH/0
「何も、敵がこちらの不意をつくような卑劣な作戦を使ってきたときや、大至急時限爆弾を止めるとか言うミッションの
ときにまで律儀に決めポーズと名乗りをやらなくてもいい、現場でのその辺の判断は君達に任せる。只、今回の訓練の
成果は次の実戦の際に見せてもらうので、とにかく一つ騙されたと思ってやってくれ。それでまずい事態になったときは
俺や後方部隊が必ずフォローするから」
ケンジ「う~む・・・」
ユウコ「・・・判りました」
 三人とも納得した。
「うむ。それに・・・俺には、ある目算がある」
「目算?」
「上手くすれば、決めポーズと名乗りの完璧なマスターと同時に、新しい合体必殺技を体得できるぞ」
「新しい合体必殺技!?」
「それは一体!?」
 ジンは、にやりと不敵な笑みを浮かべた。

 そして、お披露目のときが来た。
 東京近郊の適当な採石場に見えても決して適当な採石場ではないはずの決戦場、ごくらく谷。
「逃げずによく来たな、イロセプター。だが、今日こそなきものにしてくれるわ!」
 陽光照りつける荒れた荒野に、挑戦状を突き付けてイロセプターを呼び出したのは、ジャデラー軍団の怪人隊長・
ツインアニジャー。筋骨隆々とした見るからに屈強そうな怪人。
 だが、対峙する三人は恐れる様子など全くない。体のあちこちに激しい訓練による生傷を作っているが、今しがた
一仕事してきましたといわんばかりの堂々とした表情。キョウタに至っては笑ってさえいる。こいつについては
いつものことだろうが。
「特訓の成果を見せてもらうぜ」
 遠くの崖の上から見届けているジン。

53:名無しより愛をこめて
07/05/11 12:26:42 9/8pXMH/0
(何だ・・・あいつらのあの妙に自信ありげな顔は?)
 ツインアニジャーは微かにいぶかしんだが、
(まあいい。奴らめ、こちらの企みにまんまと掛かりおったわ、ふふふ)
 表向きは挑戦状を送って正々堂々の勝負を挑んだツインアニジャーだが、彼に与えられた使命は如何なる手段をも
行使してのイロセプターの抹殺である。元より正々堂々と戦う気などない。
 ツインアニジャーと向き合うイロセプターの後方の地中に、もう一人の怪人隊長が潜んでいた。地下を自由に移動できる
能力を持つ、ツインアニジャーそっくりの双子の弟・ツインオトジャー。
 アニジャーに気を取られたイロセプターの隙を突き、背後からオトジャーが不意打ちで奇襲。同時にアニジャーも
攻撃し、挟み撃ちで潰す作戦だった。
(頼んだぞ、弟よ)
(おう、任せておけ兄者)
 言葉はなくとも、兄弟のやり取りは完全に成立していた。
 一方、
「行くぞ、ユウコ、ケンジ!」
「OK!」「おう!」
「「「セプター・チェンジ!!」」」
 綺麗に息を合わせ、シンクロしながら三人はセプターブレスを作動させてスーツを装着していく。
 光を放ってイロセプターの姿に変わるところを、ツインアニジャーは悠然と見ている。
(まあ、今日が貴様らの最期だ。せめてもの情けだ、見届けてやろう。くっくっく)
 三人の後ろでは、ツインオトジャーがじわじわと地下から迫ってきている。

54:名無しより愛をこめて
07/05/11 12:27:53 9/8pXMH/0
 イロセプターは決めポーズ開始。
 先ずレッドが脚を広げて踏ん張り、びっと右手を天にかざし、続いて流れるように両手を動かしながら、
「燃える浪漫は漢の本懐! 赤の酔狂、レッドセプター・キョウタ!!」
 次にイエローが背筋を伸ばして爪先を揃え、両手を伸ばして弧を描き、
「速き情報、戦局制す! 黄色の英断、イエローセプター・ユウコ!!」
 三番目にブルーが手を動かしつつゆっくりと横に歩み、突如立ち止まってポーズを固め、
「敵は残さず地獄の底へ! 青の必罰、ブルーセプター・ケンジ!!」
 そして三人は横一列に並び(レッドを中心にイエローが左、ブルーが右)、
イエロー「非常要員のグリーンとピンクは今回欠けてるけど」
ブルー「貴様ごとき、三人で充分!」
 三人同時にポーズを決め、
レッド「我ら、目に鮮やかな迎撃者!」
三人「「「五色守備隊・イロセプター!!」」」

(今だ! やれ、弟よ!!)
 三人が固まった瞬間を隙と見出し、ツインアニジャーは腹の中で指示した。
 ツインオトジャーもそれに応え、地下から一気に飛び出してイロセプターを襲おうと踏ん張った。
 そのとき。

 ポーズを決めた三人の背後で、赤と黄色と青の粉塵が、大爆発の響きと共に空高く湧き上がった。
 真後ろに肉薄していたツインオトジャーは、当然それに巻き込まれ、
「ぎゃあああああーーーーーッ!?」
 木の葉のように高く吹っ飛ばされながら、木端微塵となっていく。
「ああっ、弟よーーーーーッ!?」
 驚愕するツインアニジャー。

55:名無しより愛をこめて
07/05/11 12:29:01 9/8pXMH/0
「完成させたな。『ポージングバースト』を」
 見届けながら頷くジン。
 決めポーズの極意を真に会得した戦隊ヒーローは、発破も何も仕込んでない場所から強力な爆発を起こすことができるのだ。
地球自体の意志、地球が邪悪な者らから自らを守ろうとする本能が戦士の魂に呼応し、強烈な神秘の爆発力『ポーズフォース』を
生むのである。ジンを筆頭とした火薬戦隊ダイナマイトマンもこのポーズフォースを体得した者達であり、
そのダイダイダイダイ大爆発を攻撃手段に転用し、ジシンカ帝国を次々蹴散らした。御蔭で周囲から危険視され、
ジシンカ帝国壊滅後即座に解散となったが。

 振り向きもせずツインオトジャーを倒したイロセプターは、爆音の残響の中で続いてツインアニジャーを睨みつける。
足下の地底にはポーズフォースが満ち、ゴゴゴゴゴと地鳴りが響いている。まだまだ三人の余力は残っているのである。
「おのれ・・・よくも弟をーーーーーッ!!」
 自分が汚い不意打ちを企んでいたことは棚に上げ、ツインアニジャーは弟をやられた怒りで激して三人に正面突撃。
だが、合体必殺技の余力をフルで溜め込んでいる戦隊に対して、それは自殺行為でしかなかった。
レッド「もう一丁!」
三人「「「五色守備隊・イロセプター!!」」」
 イロセプターが又叫んでポーズを決めると、今度は方向を調整されたポーズフォースの爆発が、正面に走ってきた
ツインアニジャーに向かって巻き起こる。威力は更に上がっている。
「ほう・・・体得直後で器用に使いこなすか」
 爆発の衝撃を一方向に集中させるのは、偉大な先達である某パーフェクトサイボーグの忍者ライダーが使った技と
事情通の間には伝わっているが、それを三人がいきなりこなしたことにジンは感嘆する。
 ツインアニジャーはポーズフォースの劫火に焼かれ、
「む、無念・・・許せ、弟よー!!」
 消滅した。

56:名無しより愛をこめて
07/05/11 12:30:18 9/8pXMH/0
「やったな、お前達」
 勝利を収めたイロセプターの下に、ジンが歩んできた。
 変身を解く三人。キョウタは微笑みながら、
「今こそ、本物のイロセプターになれた気がします」
「うむ。だが、ポージングバーストは切っ掛けに過ぎない。これからもジャデラー軍団はもっと恐ろしい攻撃を仕掛けて
くるだろう。それに対抗するため、お前達も日々研鑽して更に新しい力と技を会得していかなければならないぞ」
「はい!」
 答えるキョウタに呼応し、ユウコとケンジも強く頷いたのであった。
 悪質パロだのパクリだのそしられようが、何でもありで世界を守れ! イロセプターーーーー!!

57:名無しより愛をこめて
07/05/11 17:20:43 boJxByALO
イロセプター面白いです!決めポーズで敵を倒す戦隊というのもw
ところで少しお尋ねしたいことが。何となくなんですけど…もしかして
オリトラマンスレのアルファ作者様ですか?違いましたらごめんなさい

58:名無しより愛をこめて
07/05/12 09:01:02 MffxGJWQ0
>>57
有難うございます。
書式や文体でばれるかと懸念はしていましたが、隠しても仕方ないので、
ええ、同一人物です。

今回他にも戦隊がいたという設定が出ましたが、大昔のゴレンジャーとジャッカー
共演やVシネマシリーズみたいなのそれ自体を背景世界としてやれないかと
いう模索です。今後もこういう試みを又するかもしれません。

59:名無しより愛をこめて
07/05/12 13:22:58 ffzAos3gO
戦隊のメンバーを考えていましたが、行き詰まりました…

普段はクールだけど敵に対しては感情を剥き出しにして戦う青(男)。
普段は高飛車で男勝りで指揮能力が高いが、戦う際には非情になりきれない黄色(女)
その二人を率いて今まで敵と戦ってきた男の長官(イメージとしてはウルトラマンタロウのZATの長官)

このメンバーで戦隊を作る場合、赤はどんな性格がいいんですかね…

60:名無しより愛をこめて
07/05/12 13:30:30 JOfurlqLO
戦隊メンバーの青と黄には、一見の印象とは違う面が戦闘時に現れるわけで、
まず赤もそうなのか、赤だけは違うのかを決めるといいんじゃないか。

61:名無しより愛をこめて
07/05/12 13:56:57 MffxGJWQ0
メンバーは赤も含めて三人でしょうか? 半分以上がツンデレ属性なら、
これはもうその辺を緩和できる明るいか温和な人物では?

62:名無しより愛をこめて
07/05/12 14:04:02 ffzAos3gO
>>60
赤はできるだけ普段と戦闘時とのギャップを排していきたいと思います。
>>61
最初は三人の予定です。
確かに、キツい性格の人々だけだとキツいかもしれないですね……コメディリリーフになるようなキャラクターでも大丈夫でしょうかね。

63:名無しより愛をこめて
07/05/12 14:04:42 JOfurlqLO
そうだね。
青と黄の折衝役を長官から期待されるようなこなれた人格の持ち主が望ましいかも。
二人とも戦闘中には「情>理」に偏るタイプっぽいし、「理」を強化する計算が立つ。

64:名無しより愛をこめて
07/05/12 18:06:54 ffzAos3gO
難しいですね…
普段はのんびりした性格だけど、戦いに赴く際には冷静沈着…こんなキャラクターなら動かせそうな気がします。

65:名無しより愛をこめて
07/05/13 23:00:25 f04wwJ0w0
ho

66:名無しより愛をこめて
07/05/15 09:20:48 7ztGLbIx0
hosyu

67:名無しより愛をこめて
07/05/15 12:03:41 2gQyZvFnO
アゲンジャーハリケーン、缶切り!

68:名無しより愛をこめて
07/05/15 13:06:25 3Vs1jiaIO
機動武闘伝ゴッドレンジャー


主人公ドボン・カッシュを初めて、戦隊物初となる、漢5人!

戦隊の仲間同士の熱い漢と漢の激闘!(後半仲間になる)
レッド(ドボン)と師匠東方不敗との特訓!別れ!師弟対決!!
そして、ドボンのサポーターのレインとのツンデレ展開など、話題盛り沢山!

爆熱!●●ファイトぉ~!レディ…GO!!!



こんな戦隊物がでたら最強だ!
てか、間違いなく歴代最強作品になるだろう!

お願い!サ●ライズ様!!ご協力を!!!










まあ、あれだ…G●ンをほぼ完全に戦隊物に移植すれば、最強作品が出来ると俺は思うんだ…

69:68
07/05/15 13:18:48 3Vs1jiaIO
×機動武闘伝
○機動武闘戦隊
だった

70:名無しより愛をこめて
07/05/15 15:34:13 7ztGLbIx0
 五色守備隊・イロセプター 7 ディスコミューン再び


 第1話、2話でイロセプターに敗れて以来、雌伏していた謎の侵略軍団・ディスコミューンが
再度襲来した。

 宇宙から市街地に降下してきた異形の兵団・ディスソルジャー、それを率いる指揮官クラス・
ディスマスター(名称不明のままでは不都合なので作戦呼称が付けられた)は、例によって
街を襲って壊し、人々を脅かす。
 しかし、IROも対応のノウハウが出来てきたのか、今回はイロセプターに先駆け、先鋒として
一般兵士が大隊となってやってきた。
「撃て!!」
 指揮官の命令で一斉射撃開始。その大火力にディスコミューンの軍団は怯む。
 意外に健闘する一般兵士達に対し、ディスマスターは又よく判らない言語でディスソルジャーの
群れに号令。ディスソルジャーは一箇所に集まり、わらわらと組み合って融合し始める。
 山のような塊になったところで、最後にディスマスターがジャンプして塊の頂点に取り付き、
自身も融合して機能中枢になる。直後、塊が一気に形を整え・・・異形の巨人となる。
 ディスコミューンの群れが合体して生み出される巨大な戦闘形態・ディスギガント。
 合体して異常な堅固さを得たディスギガントは最早銃撃などものともせず、腕を振り回して
ビル群を破壊し、IROの兵士達を蹴散らし、追い散らし始めた。
 その様子を遠目から見詰める男。
 ブルーセプター・一条ケンジ。

71:名無しより愛をこめて
07/05/15 15:35:16 7ztGLbIx0
 回想。
 自分の家族を皆殺しにしたディスコミューンへの復讐心をまだくすぶらせていたケンジは、
ディスコミューンを滅ぼせるだけの強力な力と技を自身の身に付けることに固執していた。
主に、得意の武器であるセプターブレードによる剣の技を。しかし、自分一人で鍛え続けるだけでは
足りないと感じていた。
 そんな矢先、倉形ザンテツ司令が実はグリーンセプターで、しかも剣の達人であると4話で知ったケンジは、
ザンテツに頭を下げて教えを乞うた。だが、個人的復讐の為に技を教える気はない、どうしてもというなら
自分で方法を見つけろとあっさり断られた。何度も手を尽くして交渉したが駄目だった。
 途方に暮れたケンジだが、別の道を見出した。
 前回イロセプター三人のトレーナーとして現れた、元・火薬戦隊ダイナマイトマンのリーダー、ダイナマイト
レッドであった、木端ジン。彼も剣の使い手で、ダイナマイトレッドとしての武器・ダイナマイト剣による
必殺の剣技『爆炎の舞』で、ジシンカ帝国の多くの敵を葬ったという。
 司令が駄目ならとばかり、ケンジはなりふり構わずジンに教えを頼むことにした。
 ちなみに彼らの使う剣技とは、ブルーセプターがセプターブレードを使うときもそうだが、敵に剣の刃を
かすらせるだけで何故か火打石のように火花が飛び散って敵がダメージを受ける、やはり戦隊定番のあれである。

 話を聞いたジンは少し考えたが、引き受けた。
 ザンテツが断ったのは司令としての仕事が他にもあって忙しいからということもあり、ケンジの主義信条に
ついては特に何もいうつもりはないのだろうとジンはフォローまでしたが、とにかく今のケンジは気が
はやっており、より強い技を手に入れることで一杯一杯だった。

72:名無しより愛をこめて
07/05/15 15:36:18 7ztGLbIx0
「・・・教えるのは構わないが」
 そんなケンジを見たジンは、一応言った。
「・・・いや、いい。俺が何を教えたところで、最終的に教えたものを使うのはお前だ」
「?」
「そして、身についた技を軽率な考えで使った結果、そのツケを払うことになるのも結局はお前だ。
それでお前が身を滅ぼすことになろうが、俺には関係ないことだから」
「・・・・・・」
「だが、それで五色守備隊の仲間達に迷惑を掛けるようなことがあるなら、俺が直々にお前を斬って
落とし前をつける。それだけのことだ」

 マリンファームの訓練施設に併設されている武道道場の大きな板の間。
 台座の上に置かれた兜が、裂帛の気合と共に、縦二つに綺麗に割れる。
 胴着を纏ったザンテツは刀を鞘に収め、ジンがケンジに技を叩き込んでいる最中の訓練ブロックの方向を
一瞥した後、又自身の修練に戻った。

 時間帯、現在に戻る。
 ケンジがジンの厳しい訓練に耐え、既により強力な剣技を身に付けていた矢先、ディスコミューンの再度の襲来。
ケンジは鉄砲玉のようにマリンファームから飛び出し、現地へ遊撃という名目の独走に向かってしまった。
「相変わらず勝手なんだから!」
 織田ユウコは怒っている。
「ほっといても後でこってり司令に絞られるだろ。俺達は俺達で敵に対応するしかないさ」
 穂積キョウタは然程激していない。
「まあ、そんなに心配する必要はないと思うぜ」

73:名無しより愛をこめて
07/05/15 15:37:31 7ztGLbIx0
 で、その対応手段。
 マリンファームの基地棟の上部の一角のゲートが開き、何かがせり出してきた。
 鈴木フタバのオペレーター席。椅子にはフタバが座している。
 続いて変身と変形が同時に行われ、フタバがピンクセプターに、オペレーター席がセプターカノンに変わる。
 通常の攻撃では効かないディスギガントに対し、マリンファームから直接砲撃を行う。
 東京湾沿岸から首都圏までという超長距離だが、そのためにセプターカノンは改めて強化改造され、
充分届いてディスギガントを確実に撃ち抜くほどの射程と威力を得た。只、まだ問題が残っている。
 このまま撃つと、威力が大きすぎて反動に耐え切れず、ピンクセプターとセプターカノン自体が逆方向に
吹っ飛ばされてしまうのである。固定用の台座を頑丈にするだけでは足りない。
 よって、
「あたし達がセプタースーツのパワーを全開して後ろから押さえるって訳ね・・・」
 セプターカノンの後ろにレッドセプター・キョウタとイエローセプター・ユウコが取り付き、カノンに
組み付いて支えていた。ピンクは体力がないので(他のイロセプターに比べてだが)、カノンの制御に専念。
「奇しくも、力を合わせて必殺砲発射という初のシチュエーションになったわけだ」
 レッドは例によってやる気になっている。
イエロー「ちょっと違う気もするけど・・・本来こういうのは等身大怪人相手にやらない?」
ピンク「いずれそういう運用も出来るように改良される予定ですが、何にせよ取り回しがもっと簡素に出来る
ようにしなければいけません。ですが、今は取り合えず眼前の敵です」

 遥か彼方のディスギガントに照準が合わされ、カノンのエネルギーが存分に充填される。
「セプターカノン、発射」
 ピンクの呟きと共に、眩しい桃色の熱光線が砲口から迸った。一帯が激しく照らされ、予想以上の反動に
レッドとイエローは自らの力とスーツの倍力を総動員して踏ん張る。反動のプレッシャーが掛かるのは
ピンクとて例外ではなく、フタバも気絶しないように懸命に意識を保つ。
 太いピンクのビームは真っ直ぐディスギガントに飛んで行き・・・

74:名無しより愛をこめて
07/05/15 15:38:45 7ztGLbIx0
 軽快な音で弾かれた。
レッド「何!?」
 ディスギガントの周囲に光の膜のようなものが出現し、体を包んでいる。
 即座に分析するピンク。
ピンク「バリヤーです。ディスギガントが自身のエネルギーを障壁に変換して身を守っています」
レッド「インチキな真似しやがって・・・!」
イエロー「突貫できるの!?」
ピンク「・・・セプターカノンのエネルギーは、後一発分しか残っていません。仮にバリヤーを抜けたと
しても、ディスギガント自体に致命傷を与えられるか・・・」
レッド「くそ・・・!」

『俺がバリヤーを破る』
 ブルーセプター・ケンジの通信が入った。
「ブルー!?」
「今何処に!?」
『現地のディスギガントに直接向かってる』

 廃墟の中、見上げるような巨体に走り寄りながら通信を続けるブルー。
ブルー「セプターブレードに乗せた俺の闘気を叩き付けてバリヤーを破る。その隙にセプターカノンの残り一発を
本体へ叩き込め!」
イエロー『出来るの・・・?』
ブルー「やってみせる」
レッド『・・・よし。任せたぜ、ブルー!』
ブルー「任された」

75:名無しより愛をこめて
07/05/15 15:47:13 7ztGLbIx0
 足下へ走ってくるブルーセプターに気付くディスギガント。
 獣のような顔で吼えて威圧する。常人が見たら正気を失う形相だが、ケンジは怯まない。元より、バリヤーで身を
守っているうちはディスギガントは反撃できない。
 走りながら加速し、渾身の闘気を振りかぶったブレードに込めていく。刃身から青いオーラが炎のように
立ち昇る。
 頃合を見てジャンプし、滞空しながらバリヤーに狙いを付け、
「闘気爆裂斬!!」
 ブレードを振り下ろし、闘気の斬撃を放つ。
 技の型は今までと変わっていないが、ジンの特訓で徹底的に鍛えられたことにより、威力は何倍にも増している。
 流星のように光って飛んだ気は、正面からディスギガントのバリヤーを叩き割り、青い炎の爆発が巻き起こった。
爆風を浴びて苦しんで呻くディスギガント。
「今だ!!」
 レッドの叫びでマリンファームに位置する三人は一斉に踏ん張り、全てを賭けた残り一発分のエネルギー弾が
セプターカノンから放たれる。
 苦痛にのけぞっていた巨獣の胸板が貫かれ、続いて湧き起こった莫大な熱で巨体が焼き尽くされ、炭化して
崩れていった。

76:名無しより愛をこめて
07/05/15 15:48:26 7ztGLbIx0
 ディスギガント攻略の矢面となったブルーセプター・ケンジは、戦いを見届けていた市民達の賞賛を受ける。
両親に連れられて表情を輝かせ、声援を送る少年の一人の面影が、ケンジの既にいない弟の姿に重なった。
セプタースーツのヘルメットで顔を隠したまま、無言で手を振って応えるブルーセプター。
「な、心配なかったろ」
 セプターカノンの照準を兼ねたモニターで現場を見ながらのほほんとユウコに言うキョウタ。
ちなみにフタバはセプターカノン連射の激しい衝撃で消耗し、卒倒しているので聞いていない。
 司令室でも、ザンテツとジンが大モニターで見守っていた。
 ケンジにも、幾らディスコミューンを憎んでももう家族が帰ってはこないことは理屈では判っていた。
只、憎しみにも捉われれば煩悩にも左右される人間なので、正解に合わせて体が動いてくれるようになるには
時間が掛かるのである。

 マリンファームに凱旋したケンジは、功績は功績として、無断出動のかどで向こう一ヶ月、基地内の全トイレの
掃除当番と相成った。

77:名無しより愛をこめて
07/05/17 00:42:59 k2kdmdWG0
ho

78:名無しより愛をこめて
07/05/18 15:35:37 dZVYUQk40
hosyu

79:名無しより愛をこめて
07/05/18 23:27:43 dk4hjDgW0
 五色守備隊・イロセプター 8 華麗なる戦士!?


 新しいミッションの依頼が五色守備隊に持ち込まれた。
 特に共通点のない市民が、唐突に変調をきたして暴れ出し、周囲に混乱を起こすという事件が
続出している。
 具体的にどう変調をきたすのかというと、いきなり全身が黄色になる。肌の色から髪の色まで、
黄色人種の黄色い肌というわけではなく、ペンキで塗ったような原色の黄色。
 そして誰彼見境なく襲い掛かって組み付いて空高く投げ飛ばしたり、連続で頭突きをかまして
弾き飛ばしたりして、人々に怪我を負わせる。格闘能力も異常に上がっている。
 IROの兵士達が大勢で掛かって取り押さえ、変調状態が元に戻らないので厳重に拘束して
次々留置という状態になっている。医療部で分析したところ、何らかの刺激物による中毒症状と
いう結果が出た。刺激物の詳細と対抗策については引き続き分析ということになり、同時に、
刺激物を市民に与えて意図的に混乱を起こしている者がいると五色守備隊は推測、諜報員としての
高いスキルを持つ織田ユウコが、5話のエゴラーロボ事件同様先行捜査に当たることになった。
「では、行ってきます」
「ああ、待ちたまえ」
 ユウコを呼び止める倉形ザンテツ司令。
「実は、イロセプターの予備要員の一人が、今回の事件について既に調査を開始し、刺激物の
出所の目星をほぼ付けている」
「・・・正式なイロセプターメインメンバーの私より先に、事前に話もなしにですか?」
 ちょっとプライドが傷つくユウコ。
「いや、すまん。当人の強い希望でな・・・その人物が、目星を付けた地点の付近で既に待機
しているので、今回はその人物と共同で捜査を行ってもらいたい。事件の詳細が判り次第、続いて
キョウタ君達イロセプター本隊も突入、一気に現場を押さえる」
「・・・私が先行調査に関わらずとも、そこまでやれる人物なんだったら一人で充分なんじゃないですか?」
 まだ拗ねている。
「いや、君に同行してもらうことにはちゃんと意味があるのだ」
「?」
「とにかく、現地に向かってその人物と合流して、二人で潜入捜査を始めてくれ」

80:名無しより愛をこめて
07/05/18 23:29:02 dk4hjDgW0
 現地、市街の裏通りの一角に向かったユウコは、問題の人物と出会った。
 その人物・小泉ジロウは、レッドセプターの予備要員の木端ジンと同じく、先達の戦隊のメンバーを
やっていた経験者だった。如何なる戦隊であったのかについては今回は詳細は明かされなかったが、
それ以前に、ジロウ自身が余りにも特徴的な人物だった。
 ジンくらいにとうが立っているのはともかくとして、とにかく、太っている。といって戦闘向きでない
脂肪太りではなく、筋肉のついた固太りだが。顔も非常に丸くて横に広い、妙ににこやかな恵比寿顔。
「ご足労感謝しますタイ」
 九州弁・・・らしいが、語尾にタイをつければ九州弁になると思ってるだろうと言いたくなる
適当なイントネーション。態度から見て嫌な奴ではなさそうだが、ユウコはこの男を見ていると何だか
イライラしてくる。何故なのかは自分でも判らないのだが、なんか緊張感をそがれるのである。
特徴が常識的な人格からはみ出ている感がある。そういえば穂積キョウタもそれ臭いが。
「じゃ、捜査に向かいますタイ」
 同行しながら、ユウコはジロウについて予め聞いた断片的な情報を思い出していた。
 かつてジロウが所属していた戦隊での彼のポジションは、黄色だったらしい。ユウコと同じである。
そして現在のジロウも、イエローセプターの予備要員である。一昔前の戦隊においては、ジロウのようなタイプが
イエローの典型的な適応者だったらしい。
 そして、もう一つ印象的な事例。
 ジロウからは、妙に、カレーの匂いが漂ってくる。

 そして、ジロウに案内されてやってきた場所も、異常にきついカレーの匂いが充満していた。いるだけで
頭がくらくらしてくるユウコ。
 何で外部に匂いが漏れて発覚しないのか疑問に思ったが、ジロウの調べによると、空調で器用に偽装
しているらしい。

81:名無しより愛をこめて
07/05/18 23:31:04 dk4hjDgW0
 ビル街の地下にひっそりとあったその場所は、どうも料理店で、しかもカレーの専門店らしい。
店内の照明は暗めで、客は結構いるようだが、あからさまに様子がおかしい。皆、出されたカレー料理に
片っ端から飛びつき、腹をすかせた獣が貪るかのように死に物狂いで食っている。
 怪しんだユウコ、
「どうしたんですか!? しっかりしてください!」
 片っ端から掴んで揺さぶるが、客達はそれに気付きもしない様子で一心不乱に食っている。
「そろそろ来ると思っていたぞ、イロセプター」
 厨房から店主が現れた。といっても、人間の店主ではない。コックの扮装こそしているが、肌が原色の黄色の
悪魔のような形相のモンスターで、頭の上にはカレーライスを盛った皿が乗っている。その気の狂った姿も妙に
ユウコをいらつかせる。
「俺はジャデラー軍団の新たな怪人隊長・ジャンキール!!」
 親切に教えてくれる。取り合えず今回もジャデラー軍団の企みであることが判った。
「俺はこの自らの神の手によって、究極のカレーを完成させた! 俺のカレー料理を食した者は、余りの美味に
心酔し、俺の命令に忠実に従うしもべとなるのだ!」
 多分なんか中毒性のやばいものがカレーに混ざってるんだろうが、そういうことらしい。暴れ出した市民から
検出された謎の刺激物というのはそれで、ジャンキールが市民をさらうなり騙しておびき寄せるなりして連れてきて
食わせ、街中で暴れるように仕向けたのだろう。
「これ以上そんな真似はさせんタイ!」
 ジロウが先んじてジャンキールに挑もうとするが、
「おっと、お前達と戦うのは俺ではない」
 ジャンキールが指をぱちんと鳴らすと、客達が揃ってカレーを食うのをぴたりとやめた。
 そして、忽ち全身が黄色く変色し、惚けたような顔で立ち上がり、ジロウとユウコを睨んで両手をわきわきと
動かしながら前に上げ、唸りながら戦闘態勢を取る。
「しもべ共よ、まんまとここにおびき寄せられたこいつらを襲え。そして殺すのだ!」
「カレ~~~~~」「カレ~~~~~」「カレ~~~~~」
 操られた人々は死霊のような様相でじわじわと二人を包囲して歩み寄ってくる。

82:名無しより愛をこめて
07/05/18 23:42:17 dk4hjDgW0
「ははははは、一般市民に手は出せまい! 真綿で首を絞められるように死んでいくがいい!」
 元より、自家製の中毒性カレーで一般市民を操って差し向け、イロセプターが抵抗できないようにしてから
攻撃するのがジャンキールの狙いだったのだが、

「なめられたもんでごわすな」
 ジロウは全く怯まなかった。そして、
「セプター・チェンジ!!」
 セプターブレスで変身する。彼もブレスを装備していたのだ。
 電送されたスーツを身に纏う肉ダルマのような怪物体。
「な・・・何!? まさか、一般人でも容赦なく攻撃する気か!?」
「そんなことはせんでごわす」
 イエローセプター・ジロウは迫る市民から器用に間合いを取り、おもむろに両手を背に回す。
 そして再び両手を前にかざすと、その左手には、皿に乗って湯気を立てる美味しそうなカレーライス。
右手にはスプーンが握られていた。
 何処に隠し持っていたのかというエクスキューズも一切なく、ジロウは戦いの最中にいきなりスプーンを使って
カレーライスをかきこみ始めた。フィルムの早回しにも見える超高速で。
 フルフェイスのヘルメットをつけたままカレーを食べられるのも、イロセプターたる者の未知なるパワーだ。
 忽ち食べ終わった後。
「はああああああああああああああ!!!!!」
 ジロウの全身から、セプタースーツによって増幅された潜在能力がオーラとなって立ち昇り始めた。
カレーのように黄色いオーラが暗かった店内を眩しく照らし、操られた人々が思わず苦しんで目を覆う。
同時に、激辛のカレーの強烈な匂いも店内に立ち込める。
 更にジロウは、自らの意志により、カレーの暗黒面に落ちた人々の力をも吸収し始める。
 操られた人々の体からも黄色いオーラが立ち昇り、というより吸い出され、ジロウの体に吸い込まれていく。
黄色い力は吸い尽くされ、黄ばんだ体色が元に戻った人々は、全員気を失って倒れた。

83:名無しより愛をこめて
07/05/18 23:43:49 dk4hjDgW0
「これで皆のバッドステータスは回復して正気に戻ったでごわす。もう心配はいらんですタイ」
 一方、ジロウの黄色いオーラは更に勢いを増している。目を見張るジャンキール。
「貴様・・・まさか、その力は」
「ほう、知っているでごわすか」
 ヘルメットの下で笑うジロウ。
「そう、これこそが、カレーと意志を通い合わせ、カレーを真に愛した者が会得出来る神秘の力、カレーフォース!!」
(・・・何、それ?)
 呆然と聞いているユウコ。
「正義のカレーフォースを体得した者として、おんしの行いは許せんでごわす! カレーは人殺しの道具では
ないですタイ!」
(ええ、その通りね。そんなことを何故改めて確認するの?)
「邪悪なカレー使い、ジャンキール! おいどんがこの力で成敗してくれるタイ!」
「ふ・・・ふふふふふ・・・成程。こんなところで、これほどの使い手に出会えるとはな・・・
 おおおおおおおおおおおーーーーー!!!!!」
 雄叫びを上げると、ジャンキールも全身から黄色い力を激しく放ち始めた。余りの勢いに宙に浮きながら。
「おんし・・・まさか!?」
「そうとも、俺もカレーフォースの使い手よ!」
 睨み合う両者。
「どちらが真にカレーに認められた者か、決着をつけようではないか」
「望むところタイ!」

84:名無しより愛をこめて
07/05/18 23:49:04 dk4hjDgW0
(・・・これ何?)
 互いの力をぶつけ合って、ついていけない戦いを始めた両者を只見つめるユウコ。それでも、戦いの余波から
身を守るために既に自分もセプタースーツを本能的に装着していたのは流石というべきか。
(キョウタは巨大ロボを扱うに当たっての真の心得に目覚めるとか、ケンジは復讐の輪廻から自ら抜け出すとか、
今まで結構美味しいメインエピソードが回ってるのに、やっとあたしに番が回ってきたと思ったら、これ?
しかもこの話、あたしがいる意味あるの? カレーフォースって何? ポーズフォースといい、何でも神秘の力に
しておけば許されるって世の中なめてない? そりゃあたしのキャラ性って他の二人に比べてちょっと薄いけど、
だからって・・・普通って何? ねえ?)
 ユウコは、予備要員でありながら余りに濃いジロウの出現で、アイデンティティを見失おうとしていた・・・

 だが、彼女も又、イロセプターとして認められるに足るだけの戦士だった。
 呆然としていた自分に、速射された複数の弾丸があらぬ方向から迫ったのを無意識に感じ取った彼女は、
自然にセプターショットを抜いて矢継ぎ早に撃ち放ち、弾丸で全て相殺した。
「ふむ・・・噂に違わぬ力量はあるようだな、イエローセプター・ユウコ」
 店の奥の暗がりから、狙撃してきた影が、片手に銃を携えて悠然と歩み出てきた。重々しい金属の響きを立てながら。
 全身メタリックグレーの装甲で覆われた、スマートなスタイルの戦士。顔を覆ったシェイドの奥ではランプが
複数明滅し、無機質な電子音が静かに響いている。ユウコのゴーグルはセプターアナライズをオートで行い、
狙撃手がメカで構成された体である機械生命体であるという分析結果を出した。それも、地球の技術によるもの
ではない。異世界の技術。
「取り合えず自己紹介しておこう。俺はお前らイロセプターに対抗するため、ジャデラー軍団に改めて雇われた、
さすらいの異次元スナイパー、メガラ」
 思いっきり親切に事情を明かしてくれているのはジャンキールと変わらない。にもかかわらず、ニュアンスが
全く違う気がするのは何故だろう。

85:名無しより愛をこめて
07/05/18 23:50:48 dk4hjDgW0
「今回の作戦の援護をしろとの雇い主からのお達しでね。一つあんたの腕試しにと不意打ちさせてもらったが、
やはり一筋縄では行かないらし・・・うおっ!?」
 涼しげに語っていたメガラは思わず飛びのいた。
 喋ってる最中にユウコがいきなりセプターショットを足下に撃ってきたからである。
「おいおい、そりゃこっちが先に不意討ちしたんだけどよ・・・せっかちだなあ」
 ぼやきつつも何処か余裕のあるメガラ。
「まあ、俺はお前らと戦いに来たんだったな」
 かくして、両者は銃撃戦を開始した。
 激しく攻め込むイエローセプター・ユウコだが、敵への憎悪からではない。寧ろ、ヘルメットの
下の素顔は、生き生きとした笑顔に満ちていた。
 ジロウとジャンキールの訳の判らない問答に比べれば、いきなり不意討ちで銃撃してきた相手であっても、
メガラの方が余程理解できる相手だった。普通に問答が出来て普通に善悪の勝負の話が進むことがこれほど
胸のつかえが取れるとは思わなかった。涙さえ滲んできた。
 そんな戦いの中で銃弾が飛び交っても、倒れている一般市民達には一発も流れ弾が飛んでいかないのも
互いに凄い技量である。

 一方、ジロウとジャンキールは動き回りながら戦ううち、何時しか地上の路地へ移動していた。
「殺人カレーガス!!」
 ジャンキールは口から濃黄色の毒ガスを吐き、ジロウが避けて回った後の立ち木が忽ち枯れ、
コンクリートさえ腐食する。器用に避けるジロウの、ずんぐりむっくりな体躯での素早くアクロバティックな
動きも最高に不気味だ。
「無駄でごわす! 不毛な外道に墜ちたおんしの技では、おいどんには勝てんタイ!」
 撒き散らされたガスの残滓の中、踏ん張ったジロウの姿が、突如ジャンキールの視界から消えた。
「ぬ・・・ど、何処だ!?」

86:名無しより愛をこめて
07/05/18 23:58:18 dk4hjDgW0
 見回していたジャンキールの背を、凄まじい重圧が襲った。
「セプター百裂張り手!!」
 何時の間にか後ろに回りこんでいたジロウが、無数の残像を残す張り手の連発を叩き込み、ジャンキールを
遠くに張り飛ばした。
 格闘能力に異常に特化したイエローセプター・ジロウは、他のイロセプターの装備のような手持ちのセプター
ウェポンを使わない。肉弾技だけでこの威力なのだ。
「うぬぬ・・・」
 よろよろと身を起こし、ジロウにはかなわないと見たジャンキールは、身を翻し、人口の密集している
街区へと走り出した。
「こうなったら、俺自身の手で市民どもを皆殺しにしてやる!」
「ああっ、それは卑怯タイ!」
 ジロウが追おうとしたとき。
「セプターファイヤーーーーー!!」
「闘気爆裂斬!!」
 駆け付けてきたレッドセプター・キョウタとブルーセプター・ケンジが互いの攻撃を放ち、
炎と闘気の斬撃を同時に食らったジャンキールは、断末魔の悲鳴を上げて無に帰った。
 息をつくキョウタとケンジの下にのこのこやってくるジロウ。
ジロウ「いや~、流石正規イロセプターのお二人タイ」
キョウタ「ははは、それほどでも」
ケンジ(待機してたものの、どうやって介入するかタイミングはかるのに苦労したけどな・・・)

「あちゃ・・・作戦の要のジャンキールがやられちまったか」
 ユウコとの戦いの中、戦況を見届けるメガラ。牽制の弾を撃ってユウコの足を止め、
「続きは又にしようぜ!」
 ハイジャンプを繰り返しながら撤退していった。

87:名無しより愛をこめて
07/05/18 23:59:33 dk4hjDgW0
 ジャンキールを倒して被害者達は治療の末無事元に戻り、事件は解決したが、ジャデラー軍団が雇った
凄腕の用心棒の出現という新たな課題が残った。事後、ユウコは張り詰めたポーカーフェイスを
装いつつ、メガラとの再戦のときが又来るであろう事を予期して気を引き締め、同時に密かにわくわくしていた。
「・・・そういえば」
 ザンテツ司令に尋ねる。
「ジロウ氏も結構なポテンシャルを秘めているようですが、何故彼でなく私が正規のイエローセプターに
選ばれたのですか、司令?」
「それについては、彼と接触して君が感じ取った感覚がまさに答えだ」
「?」
「ジロウ君はキャラとしてのアクが強すぎて、彼を突出させすぎると話がまともに進まないのだ。
君を今回のミッションに同行させた理由も、君のまともな反応による対応を期待してのことだ」
 ・・・といいつつ、メガラを相手にしたユウコの、普通で基本的な流れへの強い執着による感情の振幅が、
彼女の潜在能力の惹き出しを異常に高めていたという鈴木フタバの報告を受け、ユウコも実はキョウタ達に
近いノリを秘めていることをザンテツは感じていた。でもそれを口にすると多分ユウコは激怒するので
黙っておいた。

 ジロウの体からは、発動させたカレーフォースの余波がまだ抜けず、基地内の隔離ブロックで
ヒンズースクワットや腕立て伏せを超高速で続けながら必死にカレーフォースのオーラを発散させていた。
「まだ抜けんタイ~~~!! ああ腹減った、カレー食いたいタイ~~~!!」

88:熾烈戦隊作者
07/05/19 22:57:51 ban0zIbvO
24話を越えてストーリーが長引いているんですが、読んで下さる方が確実に減っていっているので悲しいです…
やっぱり長い作品を書くなら、読んでもらいためにそれなりのクオリティって必要ですよね…

89:名無しより愛をこめて
07/05/20 09:35:01 W39OYedt0
 五色守備隊・イロセプター 9 鋼鉄の絆


「おおお!!」
 穂積キョウタは感嘆の声を上げた。
 彼の前に、一機の巨大ロボットが聳え立っていた。やや細身だが洗練されたスタイルで、
真っ赤なカラーリング。機体名は『セプターグラップ』。
 キョウタは3話での失態を取り返すために地道にレッドセプターとしての任務をこなし続け、
5話ではジャデラー軍団にさらわれたIROの技術者、星野アカネ博士をほぼ単独で救出という功績を挙げた。
そのアカネ博士の口ぞえもあり、キョウタが以前から希望していたイロセプター専用の戦闘用巨大ロボの
開発プロジェクトが遂に始動した。
 かつてのセプターロボの情報は既に周囲に出回ってしまっており、当時のものをそのまま再現したのでは
過去の情報を元に敵に対策を立てられる恐れがある。又、現在の敵であるジャデラー軍団も巨大ロボ開発の
技術を持っており、今後もそれなりに手ごわいものを差し向けてくるだろう。対抗するためには、過去の
データを参考にしつつも、新しいコンセプトを盛り込んでいく必要がある。その試みの一端が、この
セプターグラップである。
 サイズは旧セプターロボに比べてやや小さい。それも当然で、今後他にも複数のサポートメカを順次
用意してセプターグラップと併用して運用し、最終的には数が揃った段階でそれぞれを合体させることで、
新セプターロボを完成させる予定。
 そのプロセスを聞くだけでキョウタは感慨に打ち震える。
「けど、現状のジャデラー軍団の巨大ロボ相手なら、このセプターグラップでも充分立ち向かえる
はずです。キョウタさん、貴方がセプターグラップを自在に使いこなせれば」
 アカネ博士が笑顔を浮かべながらキョウタに言う。
「というより、セプターグラップは当面のジャデラー軍団の大規模破壊作戦に対抗するために取り急ぎ
用意しました。今回の起動実験が成功すれば、直ぐに実戦に投入する予定です。貴方の立場は重大ですよ、
キョウタさん」
「おう、任せとけって!」

90:名無しより愛をこめて
07/05/20 09:36:53 W39OYedt0
 起動実験において、セプターグラップのテストパイロットにはキョウタが選ばれたというか、当初から
イロセプター内で巨大ロボ戦に対して一番意欲のあるキョウタがテストパイロットとして当て込まれていた。
セプターグラップもキョウタが操ること前提で造られており、モーショントレースシステムによって
キョウタの体の動きをそのまま再現し、彼の高い格闘能力を生かせるようにしてある。実戦での運用に
おいても随時稼動データを取ることで、最終的に巨大な人型になる新セプターロボを効率よく動かす
プログラムを組むのに役立てていくのである。

 実験は都市から離れた郊外の山岳地帯で行われることになった。
 地響きを立てて谷あいを歩くセプターグラップ。中にはレッドセプターのスーツを着たキョウタが
乗り込んでいる。スーツにつけられたセンサーからの情報を元に体の動きをトレースし、機体がそれを
再現。パイロットが体を自由に動かせるよう、広めのコクピット内部には人工的に反重力状態が形成され、
レッドセプターは常に頭頂の向きをセプターグラップと同じ向きに合わせて宙に浮いている。その状態で
歩く動きをしてセプターグラップを歩かせている。
「凄え、手足の動きが軽いぜ。やってくれるぜ、アカネ博士!」
「ふふ、おだてても何も出ませんよ」
 アカネやザンテツ司令やフタバ(オペレーターとして彼女もデータ取りに参加)、ユウコとケンジは
メカニックスタッフと共に、離れた場所からセプターグラップの動きをデータと共に肉眼でも観測しており、
両者通信回線で繋がっている。
 やがて、開けた荒地に出た。次は、レッドセプター・キョウタの格闘技をトレースするテストである。
アカネはデータ取りの準備に入る。
「宜しくお願いしますよ、キョウタさん」
「おお! くっくっく、いけるぜ、このセプターグラップがあればもうジャデラー軍団なんぞ恐るるに足らず!」

91:名無しより愛をこめて
07/05/20 09:38:40 W39OYedt0
『キッキキキキ・・・それはどうかな?』
「!?」

 甲高い笑いと不吉な声が響いたかと思うと、セプターグラップと外部の計測器が一斉にアラートメッセージを
発し始めた。モニターが真っ赤になって点滅。
ザンテツ「何事だ!?」
フタバ「外部から侵入した別のプログラムが、制御系に強制介入しています」
アカネ「そんな・・・ウイルス対策は万全のはず!?」
『普通のウイルスならな、キキキ』
 モニターの画面が変わり、怪人の姿が映った。歯医者のポスターに描かれている小悪魔のように擬人化された
バイ菌がそのまま普通人のサイズになったような姿。
『俺はジャデラー軍団随一のハッカー、怪人隊長・ザイバーグ!!』
「どうやってこのプログラムに侵入を!?」
『知りたいか、キキキ。俺は自らの体をコンピューターウイルスと化し、直接別のプログラムに侵入して
意のままに操ることが出来るのだ!』
 ザイバーグの姿がデジタル処理でちろちろと動く。
『意志を持つコンピューターウイルスならば、ワクチンに対してもフレキシブルな対応が幾らでも可能なのよ!
この力でお前達のロボを乗っ取って奪い、ジャデラー軍団の破壊兵器として存分に使ってやる!』
「そんなことをさせるものか! くそっ、動け、動け!」
 セプターグラップの中でレッドセプターは懸命に手足を動かしてコントロールを取り戻そうとするが、
機体はその動きに反応しない。じわじわとザイバーグに操られ、やがて、勝手に走り出す。
市街地の方向目指して。
「おのれ、又一般人を巻き込むつもりか!?」
『キキキキキ!!』

92:名無しより愛をこめて
07/05/20 09:40:02 W39OYedt0
 異次元の要塞内で事態を映像で見届けている魔人ジャデラー。
「そうだ、それでいいのだ、ザイバーグよ。仮にロボの奪取には失敗したとしても、セプターグラップを
使って街をめちゃめちゃに破壊すれば、五色守備隊に地球人どもが悪印象を持つのは避けられまい。
ロボの開発計画も頓挫しようというものよ、ズロロロロロロ」

「セプターグラップ、しっかりしろ、目を覚ませ!」
 呼びかけるレッドセプター・キョウタ。
アカネ「キョウタさん、セプターグラップは人工知能を持つAIロボとかいうわけではないので、呼びかけても
どうにもなりません!」
キョウタ「そんなことはない!」
 言い切る。
「セプターグラップは只単にイロセプターの武器というだけじゃない! こいつも俺達と共に戦ってくれる
仲間なんだ!」
「・・・キョウタさん」
「その仲間の手を、平和な街の破壊などという凶事にみすみす染めさせるわけにはいかない! 何としても
止めなくちゃいけないんだ!」
「・・・・・・」
 ユウコとケンジは聞いていたが、両者、黙ってイロセプターにチェンジ。
「キョウタの言うとおりです」
「俺達も現場に向かってセプターグラップを止めるぜ」
「おい、ユウコ君、ケンジ君!」
 ザンテツの声にも構わず、二人は飛び出していく。

『キキキキキ、ご高説は結構だが、どうやって止めるつもりだ?』
 嘲笑うザイバーグ。市街地は遠目に段々迫ってくる。
「ぬう・・・」
 考えるレッドセプター。

93:名無しより愛をこめて
07/05/20 09:42:10 W39OYedt0
(そうだ・・・かつて俺はモズンガーロボと出会い、不幸ないきさつでモズンガーロボが地上での被害を防ぐために
宇宙へ飛び去って自爆して散ったとき、悲しみの涙を流した)
 ・・・一応確認しておくと、モズンガーロボの地上での自爆はユウコが外部コントロールによってモズンガーロボを
大気圏外に飛ばしたことによって防がれたのであって、自己の人格も何もないモズンガーロボが自分でそうした
わけではない。
 だが、キョウタの魂の中では、モズンガーロボが地球の人々に迷惑をかけないために自ら決断し、宇宙へ飛び去った
ことになっていた。
(あの瞬間、俺とモズンガーロボの絆は確かに成立していたのだ)
 していない。
(ということは・・・あのときの状況をもう一度再現すれば・・・!)
 レッドセプターは、何やら身を低くしてためを作り始めた。
『キキ・・・? 何の真似だ』
「聞いてくれ、セプターグラップ」
『カカカ、まだそんな世迷言を・・・』
「お互い辛いこともあったが、地球を守り、皆の幸せを守るため、俺とお前は今まで共に力を合わせて戦って
きたんじゃないか」
 今日試験運転したばっかりである。
「そうして築き上げてきたものを、全て無にしてしまおうというのか? そんなことがあっていいはずはない。
そうだろう・・・
 目覚めてくれえーーーーーッ、セプターグラップ!!!!!」
 例によって、フルフェイスのヘルメットをつけたまま涙をゴーグルから流しながらレッドセプターは叫んだ。
 その涙の雫がコクピットの内壁に落ちるや。
 振りまかれた涙が、きらきらと金色の輝きを放ち始め・・・
『キキーーーーーッ!? ま、まさか、そこまでベタな展開を・・・!?』

94:名無しより愛をこめて
07/05/20 09:43:55 W39OYedt0
「あれは・・・?」
「何が起こってやがる!?」
 駆けつけ、見上げて驚くイエローセプターとブルーセプター。
 セプターグラップがボディから金の光を放ち、のけぞって咆哮する。セプターグラップもカメラアイから
涙を流し、ザイバーグの支配に抵抗してもがく。
『何で!? 何でだ!? そんな大袈裟な演出をするほどの積み重ねなんか何もないじゃないか!?』
「時間は関係ない!! 大切なのは相棒への想いだ!!」
 滂沱の涙を流して言い切るレッド。
 強い想いを秘めたレッドセプター・キョウタの奇跡の涙は、仲間と認めた者への如何なる邪悪な呪縛も
打ち破るのだ。
『くっ・・・なめるなよ、キキキーーーーーッ!!』
 ザイバーグもセプターグラップの制御を取り戻そうと奇跡の涙の力に抵抗。
 だが、レッドはそれを上回る力を放った。
「おろろーーーーーん!! おろろーーーーーーーーーーーーーーーーん!!」
 左右に勢いよく飛び散る滝のような涙を噴出し、涙は忽ちコクピット一杯に充満し、容量の限界を超える。
 胸部のコクピットのハッチが内圧で外れ、大量の涙と共にレッドセプターと、遂にセプターグラップから
強制排出されたザイバーグも実体化してあふれ出た。
「ぬああああ~~~~~!!」
 レッドセプターの涙にまみれたザイバーグは、その涙に秘められた金色のプラスエネルギーに邪悪な自身の存在
そのものを蝕まれ、浄化されて消滅していった。
「おい、しっかりしろキョウタ!」
 地上に倒れているキョウタを助け起こすケンジ。
「セ・・・セプターグラップは・・・?」
「解放されたわ。貴方が守り抜いたのよ」
 ユウコに伝えられ、キョウタはふらふらと頭を上げて見上げ、膝を付いて停止しているセプターグラップを確認し、
ぬくもりに満たされた。

95:名無しより愛をこめて
07/05/20 09:45:59 W39OYedt0
 事後、アカネ博士はザイバーグの侵入を事前に防ぐことが出来なかったと自分を責めた。
キョウタ「いや博士、こんなこと誰だって予測できないから」
アカネ「いえ、ジャデラー軍団の底力を侮った私のいたらなさです。セプターグラップの制御系のセキュリティを
強化改造します。時間を下さい」
キョウタ「そうか・・・よし、待ってるぜ」
 セプターグラップは技術部に戻され、もう一度改良を受けることになった。

 それと、レッドセプター・キョウタの涙に秘められた力の効果を知った五色守備隊各部署は、
「すいませ~んキョウタさん、パソコンの調子が悪いんですけどちょっと来てくれませんか」
 そのたびキョウタは調子の悪い機械のところへ行って変身し、玉葱を剥きながら無理やり金色の涙を撒き散らす。
「おろろーーーーーんおろろーーーーーん!」

96:五色守備隊作者
07/05/20 09:53:21 W39OYedt0
結果的に連投になってます。すんません。

>>88
こことか、出来るだけ多くの人の目に付くところに張るという方法も
あると思います。批判も覚悟せにゃならんですが。

97:五色守備隊作者
07/05/20 14:47:00 XcFYhggm0
熾烈戦隊作者様
今サイトに行ってざっと3話辺りまで読んできました。着想とか
話の流れそのものには問題はないと思います。只、1話内で
事件の発生からヒーローが敵を倒して事件解決、一端終了という
通常のパターンに慣れている読者にとっては、一人の敵を倒すのに
何話もかける連続劇の流れは厳しいかもしれません。今の平成ライダーなら
それもありかもしれませんが。伏線を消化しつつ毎回一体は敵を倒すという
やり方が一番理想なのかもしれませんが、難しいですね。
しかし、主人公の成長過程をじっくり描きたいという意図だろうと
思うので、これはこれでいいかもしれません。もう少し読んだら
又コメントします。

98:名無しより愛をこめて
07/05/20 14:56:31 OG44AUrQ0
ほんとに本人が言ってるのかどうか
確認してからコメントしたほうがいいんではないのかい?

99:五色
07/05/20 15:16:20 XcFYhggm0
といっても、匿名掲示板で裏を取る方法もないし。
今此処に書き込んでるのも、ひょっとすると私本人ではない
可能性もあるわけだし。

100:名無しより愛をこめて
07/05/20 15:19:11 jtxikYwaO
>>97
イロセプター作者様、読んで下さってありがとうございます。
確かに私の作品は連続劇で一体の敵を倒すのに二話使ってしまいます…これも取っ付きにくい原因なのかもしれません。
内容も戦隊と言うより、平成仮面ライダーに近しいものになっているかもしれませんし…登場人物の(熱さ)も空回りしているかもしれません。
でも一度作ったものですので、最後まで頑張って書き上げようと思います。

イロセプターも頑張って下さい、又今度読んでみます。

101:名無しより愛をこめて
07/05/21 22:12:42 7A9sZLyw0
ゲキレンも二週で1エピソードというパターンを多用してきたし、
今後受け入れられていくことに期待>連続劇形式

ゲキレンの場合は
・リオメレ側の描写をどんどん厚くしてきている
・「一度負けて、修業して(今年は特に、ここが重視されている)、勝つ」という展開上、
 二話使っても不自然にならないし、週に1回の戦闘シーンノルマは二話構成にしても一応達成できる
と、目的に一致したスタイルだと思うけどね。

102:名無しより愛をこめて
07/05/23 08:54:24 30e4qatN0
ho

103:名無しより愛をこめて
07/05/23 12:29:02 30e4qatN0
 五色守備隊・イロセプター 10 ロボット大水中戦


「おおおおおお!!」
「それ前回と同じですから」
 穂積キョウタは又も感嘆の声を上げ、星野アカネ博士に突っ込まれた。
 新セプターロボ建造計画の第一弾として前回造られた合体ユニット用のロボットであるセプターグラップに
続き、早くも次の合体ユニット用メカが出来上がった。
 カラーリングは鮮やかな青、イルカの形と機能を模した水中戦用のユニット『セプタードルフィン』。
 建造が早かったのは、マリンファームに既に配備されていた潜水艇を改造して造ったからである。
その潜水艇は、5話でイロセプターが太平洋の孤島にアカネ博士をジャデラー軍団から救出しに行く際に
使用したものであった。
 その姿通りに水中を生き物のように泳ぎ、速度も運動性も従来の潜水艇を遥かに超えるという。
が、キョウタが期待している別ユニットとの合体については、まだプログラムは開発途上。まあ、元より
全てのユニットが造られた上で合体して最終形態である新セプターロボを形成しなければ真の性能は発揮されない。
最初のユニットであるセプターグラップに関しても、アカネがドルフィン建造の傍ら外部からのハッキング対策を
講じている最中。だが、その問題ももう直ぐ解決するということらしい。

 さて、セプタードルフィンの搭乗員だが、赤のユニットであるグラップにレッドが乗っている以上、
青い色のドルフィンにはブルーが乗るのが筋というものだろう。
 だが、正規ブルーセプターの一条ケンジは、実は搭乗式のメカ操縦のスキルが人より劣っている。
何時も遊撃で単身で剣をかざして白兵戦という戦い方ばっかりしてきたので。仕方ないので、現在一からメカ操縦の
研修を受け直している。
「・・・悪かったな」

104:名無しより愛をこめて
07/05/23 12:30:00 30e4qatN0
 そんなケンジに代わって今回ドルフィンのテストパイロットを務めるのは、ブルーセプターの予備要員であり、
マリンファームの女性訓練生、森野ナオ。アカネ博士救出作戦の際にもくだんの潜水艇の操縦を務めており、
地上での白兵戦においては若干難があるが、水中戦においてはめきめき頭角を現している期待の新人である。
普段はマリンファーム周辺の警護役。
 ドルフィンに乗り込んだナオも、キョウタのとき同様安全のため、ブルーセプターのスーツを纏っている。
ヘルメットの下は緊張した面持ち。
「今回はテストだから、そんなに意識しなくていいですからね」
 アカネの通信が入ってくる。
「そうだぜ、寧ろ飲んでかかれ飲んで!」
 通信画面の横からキョウタが割り込んでくる。
「は、はいっ、前向きに善処いたします!」
 ナオはキョウタの通信に過剰な反応を示す。
 彼女はアカネ救出作戦の時海中で潜水艇に乗って待機していたが、島でキョウタが怪人隊長エゴラーの誘惑を
決然と跳ね除け、アカネを単身で救い出し、更にレッドセプターになっているとはいえ、搭乗式メカも何も使わず
等身大で火の玉となって飛び、エゴラーロボを貫いて轟沈させたその一部始終を中継映像で見ており、キョウタの
勇姿に心酔していた。

 海中のドックからゲートを開けて海に出たセプタードルフィン。緊張しつつもナオはアカネの指示に従い、
海上に浮上。動作テストのプロセスを確実にこなしていく。
 興奮したキョウタが基地から出てきて大きく手を振り、それを見たナオは動転して思わず操縦桿を切り損ね
そうになったが、直ぐ気を取り直してテストに戻る。
(キョウタ先輩にみっともないところは見せられない・・・!)
 平和な光景が続いていた。

105:名無しより愛をこめて
07/05/23 12:31:06 30e4qatN0
 基地内でアカネは他のスタッフと共に着実にデータを取っていた。今回は順調に進むと思った。
 と、見つめていたモニターの隅に、何かちょろちょろと動く、ごく小さな不自然な像に気付いた。
 このモニターの機能で出てくる類のデジタル像ではない。
 アカネが不吉なものを感じた瞬間、その像はいきなり肥大し、画面から飛び出して近くの床に降り立ち、
実体化した。
「ザイバーグ!?」
 驚くスタッフ達の正面で、アカネは直ぐ察した。
 全身の表皮がただれたように損壊して醜い姿に変わっているが、前回セプターグラップの制御プログラムに
自ら侵入して操ろうとした、ジャデラー軍団の怪人隊長・ザイバーグだ。
「キョウタさんの奇跡の涙で消滅したはずでは!?」
「ギ、ギギギギ・・・俺がそう簡単にくたばると思うのか」
 奇跡の涙で溶解され、どくろのように変貌した顔でザイバーグは笑う。
「溶かされて僅かなかけらとなっても、仮死状態となってその場をしのぎ、少しずつ再生しながら機を待って
いたのだ。残念ながら、完全に再生することは出来なかったが・・・制御プログラムに侵入する能力は健在よ!」
 ザイバーグは踏ん張り、戦闘能力は皆無なアカネ達開発スタッフの方に飛びかかった。
 思わず手で身を庇う一同だが、ザイバーグは彼女らには攻撃を加えない。
 一同の背後のモニターから、再び電脳世界にダイブ。
 機材から音声が響く。
『セプターグラップの奪取がならないなら、もう片方の新兵器を奪ってくれる!』
 ザイバーグは電脳世界を素早く移動し、忽ちセプタードルフィンの制御プログラムに侵入した。

106:名無しより愛をこめて
07/05/23 12:32:09 30e4qatN0
「あああ・・・!?」
 コクピットで混乱するナオ。
 セプタードルフィンが勝手に動き出し、海上で激しくジャンプを繰り返す。加速が掛かって失神しそうになる。
 基地の外の海沿いで見ながら驚いているキョウタにアカネからの通信が入り、事態が説明される。
 スタッフ達がドルフィンの制御を取り戻すべく操作を続けているが、ザイバーグの呪縛は強力だ。
『申し訳ありません・・・又みすみす敵の侵入を許してしまいました』
「今それを言っても仕方ない! このままじゃナオが危ない、助けないと・・・」
 キョウタは考えていたが、
「博士、セプターグラップは使えるか?」
『普通に機動は出来ますが・・・まさか』
「ああ。コンピューターからの奪回が駄目なら、物理介入しかないだろう」
『しかし、水中戦に特化したドルフィン相手に、地上用のグラップでは不利です!』
「それでもやるしかない! グラップを使わせてもらうぜ!」
 キョウタは走り出すと共にセプターチェンジし、レッドセプターとなって格納庫に向かう。

「ぐうう・・・!」
 ナオは抵抗しようとするが、コクピット周辺の配線がザイバーグに操られて生き物のように動き、彼女を
拘束してしまう。
『ギッギッギ・・・』
 ザイバーグは笑うと、ドルフィンの艦首をマリンファームに向ける。
「な、何をする気なの!?」
『この兵器を持ち帰る前に、お前達の基地を破壊してやるわ』
 ドルフィンはマリンファームに向けて突進を開始。
『これだけの質量が只基地にぶつかるだけでも大打撃だろう。お前の守ってきた基地が崩壊するのを
黙って見ているがいい!』
「くっ・・・!」

107:名無しより愛をこめて
07/05/23 12:33:07 30e4qatN0
「させるかよ!!」
 キョウタの声が轟いた。
 セプターグラップに乗り込んだレッドは、ドルフィンの出てきた海中ゲートから出撃し、海底から不意を突いて
ドルフィンに真下からぶつかった。
『ギギ!?』呻くザイバーグ。
 そのままグラップはドルフィンに組み付いて締め上げ、水際で基地への突撃を防ぐ。
「生きてるか、ナオ!」
「キョウタ先輩!?」
 通信は届く。
(キョウタ先輩が・・・私を助けに・・・)
 拘束状態で呑気にトリップしているナオ。
 そんな彼女の感情の動きも知らないキョウタは、グラップにドルフィンを押さえ付けさせたまま、
「・・・さて、ここからどうやってナオを助けるか・・・暴れるドルフィンを離すわけにもいかないし・・・」
 ・・・後のことを考えていなかった。
『ギギギーーーーーッ!!』
 悩んでいるうちに、ザイバーグが又ドルフィンを暴れさせ始めた。
 ドルフィンは波飛沫を立てながら海上を跳ね回り、機体への負担など省みない無茶な機動にグラップも
振り回される。中のキョウタもナオも目が回る。
『この前はよくもやってくれたな、レッドセプター! 俺の怒りを思い知れ、ギギーーーーーッ!』
「うおおおおおお!?」

108:名無しより愛をこめて
07/05/23 12:34:06 30e4qatN0
 アカネからザンテツ司令に連絡が行き、指示を受けてユウコが現場に駆け付けた。既にイエローセプターに変身。
ケンジは研修場から帰ってくるまでまだ時間が掛かる。
 基地の外に出て、グラップとドルフィンのもみ合いを見るユウコとアカネ。
「最優先は、人質にされたナオさんの安全をどうやって確保するかですが・・・」
「グラップはドルフィンを押さえるので精一杯・・・やっぱり外部から私達が介入するしかないでしょうね」
「ならば・・・」
 アカネは、一個の弾丸を取り出した。
「これは?」
「ジャデラー軍団のハッキングへの対応策の検討は一応進めていたのです。電脳世界と三次元を自由に行き来する
相手に対抗するために開発した、実体弾として構成した対ウイルスワクチンプログラム『デュアルワクチン』が、
この弾丸に内蔵されています」
「じゃ、ザイバーグの取り付いたドルフィンにそれを撃ちこめば、ザイバーグにダメージを与えることが出来ると」
「・・・只、まだ実験していない段階ですので・・・効果があるかどうか・・・」
 ユウコはふっと微笑み、しかし顔がマスクの下ではアカネに判らないことに気付いて、力強く親指を立て、
「アカネ博士の技術力は皆信頼してますよ」

 ユウコはキョウタに通信し、
「キョウタ! ドルフィンを全力で押さえつけてこっちに向けて!」
「え? 一体何を・・・」
「いいから! 後はあたしが何とかするから!」
「・・・よし、判った!」
 キョウタは二つ返事で了解し、モーションコントロールで手足の力をグラップに込め、ドルフィンを羽交い絞めにして
マリンファームの方に向ける。機体が激しくきしむ。
「早くしてくれ! 長くは持たない!」

109:名無しより愛をこめて
07/05/23 12:35:01 30e4qatN0
 ユウコはアカネから弾丸を受け取り、セプターショットに素早く込める。
「試作品なのでそれ一発しかありません! くれぐれも外さないで!」
「ふっ・・・あたしの腕も、信頼して下さいよ!」
 大揺れする標的にユウコは頭の芯をじっくり冷まして右手で狙いを付け、照準が合うと同時に、ためらわず撃った。

 弾丸が直撃し、暫くして、ドルフィンのボディから稲妻が迸り始める。
『ギアアアアーーーーーッ!?』
 デュアルワクチンに体を侵食されて苦しんだザイバーグは、たまらずドルフィンから実体化して空中に飛び出した。
 そこを逃さず、ユウコはもう一丁用意していたセプターショットを左手で取り出し、込められた大威力の必殺弾を
とどめに撃ち込む。
「セプターファイナルショット!!」
 寸分違わず命中し、ザイバーグは悲鳴を上げながら今度こそ完全に粉砕された。

 ザイバーグの消滅と共にドルフィンのコントロールも取り戻され、ナオを締め付けていた配線も緩む。
「大丈夫か、ナオ!」
 外部コントロールでドルフィンのハッチを開け、キョウタがコクピットを覗いて呼びかける。
「は、はい、平気です」
 ナオはキョウタを白馬の王子様ビジョンで見詰めながららっき~とか思っていた。
 気をよくしたナオにより、後日改めて行われたセプタードルフィンの起動実験はつつがなく成功に終わった。

「・・・結局今回俺の出番なしか」
 ケンジはふてながら研修を続けていた。

110:名無しより愛をこめて
07/05/24 00:23:48 c6WDMaOYO
>>101

亀レスですみません。
私の場合、ドラマパート・戦闘・ドラマパートをやるだけで二話を使ってしまいます。
もしかしたら一話一話が短くて、圧縮したら二話使わなくてもいいのかもしれませんが…

私の作品は修行して勝つという流れの話は数回だけでして、あとは物語と並行して主人公達は特訓してるという台詞や描写を入れているだけです。
負け・修行・勝つ、のシナリオは難しいからどうしても少し路線が変更してしまいます…


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