07/03/21 22:14:13 uFKB5v1H0
―READY―
「チェック」
―EXCEED CHARGE―
ダルそうに下げた銃にエネルギーが走る。
ゆっくりと銃を向けられ、引き金に指がかかったのを確認する。
風見には、放たれた光弾を避ける力は残されていなかった。
白い三角錐が、生身の風見志郎を縫い付ける。
「ハッハッハッハッハ!」
狂気に満ちた笑い声を上げ、僅かに上下に開いた蹴りで三角錐のエネルギーを纏いながら、仮面ライダーを貫いた。
(お、俺は……茂……)
右手が虚しく空を掴み、風見志郎は仮面ライダーとしての生を終えた。
「ハァ~、こいつはいい。イライラがすっかり消えた」
風見の死体を見下ろし、変身を解いた浅倉の顔には笑みが浮かんでいた。
オルフェノクの身体ではない浅倉がデルタになったゆえ、デモンズスレートという名の毒が回った。
しかし、浅倉は変わらない。人の闘争本能を刺激するだけの毒では、闘いに飢えている浅倉には影響を与えられるはずがなかった。
デルタの毒は、毒を内包する蛇に影響を与えれず、ただ巨大な力を提供するだけだった。
「ふん? こいつ、静かになりやがった」
手に持っているベルトが沈黙したのに気づく。
浅倉は知らないが、連続使用により過負荷がかかり二時間の間完全に沈黙したのだ。
神崎の、生への確率を減らす制限の一つだった。
「まあいい。どうせしばらくすればまた使える」
北崎との戦闘、続けてV3との死闘を通して浅倉はある程度時間が来れば再度変身できることに気づいた。
頭の回る浅倉は、戦いの余韻もあってかその場で休憩を取る事を決めた。
(キックホッパーを殺しに行って拡声器を奪うのも面白いな。北岡やあきらを呼びつければもっと面白くなる)
低く笑い、荷物へと向かう。風見志郎の荷物を手にしたとき、中身が零れ落ちた。
「ん?」
手に取ったそれは、デルタのベルトと似た構造をしていた。
四角に折り畳まれた物、その名をファイズブラスターと言った。