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松田薫の章 (Ⅰ)
晶子さんが手術室の扉の向こうに消えてしまってから3時間余り経つ。
あの身の毛もよだつ残酷でおぞましい改造手術は、間違いなく既に始まって
いるのだろう。
晶子さんの肉体が、類稀なる改造素体であることが判明したため、
ここの研究所の技術者達は、ごぞって「世紀の大改造手術」の見学と称し、
晶子さんの手術室へと集合してしまったようだ。
私も夏美も、降って湧いたような半日休暇…ということで、
普段なら大喜びで盛り上がり、コスチューム室に忍び込んでコスプレ衣服を
無断で着衣し、研究所内に設置されている中古機ばかりのゲーセンのプリクラ
やったりして、楽しく遊んでいる…ところだったのだが、今回はしばらく、二人とも
無言のまま、ひざを抱えて座り込んだままだった。