08/05/28 02:33:18 w/DPSwzg
曲が終わった。
「ありがとうございましたぁ」
深々とお辞儀をするカシノ。
我に返って、ありったけの力で拍手をする俺。
カシノの嬉しそうな笑顔。最高だ。
「よ、よかった!何かうまく言えないけど
か、感動…」
「えへへ。」
カシノは額に汗を浮かべていた。黒髪が汗に濡れてエロティックだ。
「久しぶりに踊ったから、汗かいちゃった」
カシノは白いハンカチを出し、汗を押さえる。
「…う、ウタダさん!私より汗びっしょりじゃないですか!」
いかん。俺は汗っかきなのだ。しかもスキンヘッドなので
頭頂部からあごまでだだもれ状態になる。
カシノが小動物のような動きで駆け寄ってくる。
ハンカチで俺の頭頂部を拭こうとする。
「あ…」
「動かないでください」
傷口の消毒でもするように、優しく、優しく
俺の頭を拭いてくれるカシノ。
俺は座っているので、カシノの胸元が目の前にくる。
鎖骨から首筋の肌。
職人が時間をかけて作り上げたみたいな精緻な白い肌。
シルバーのネックレスをしているのに今気づいた。
「…」
なぜか息を止めていたが、苦しくなって呼吸してしまった。
甘い香水と、カシノの汗のにおいが
直接脳髄を直撃した気がした。
俺の中で
何かが外れた。