06/12/04 03:33:11
>>55-57の続き
話は、今野達が掃除を始めて、ジャイが出て行った所迄遡る。
いざと言う時の待機要員、とは言われたものの、実際今がそのいざって時ではないので、する事もなくぼんやり座っているスギの隣で、あからさまに邪魔者扱いされた高橋がうとうとしていた。
「壁に食込んだ弾丸、抜く?」
「壁に穴が開いて、隙間風が入るといけないから、そのままでいいんじゃない?」
さっきの高橋の言葉ではないが、なーんか呑気だなあと思いながら、今野とゆうぞうのやり取りを聞いていた。
それから、今のジャイの心境を一番よく分かっているのは、自分でもゆうぞうでもなく、隣でうとうとしている男なんじゃないかと。
長年、一緒にやってきた俺達じゃなく。
どうして?何時から?
俺にわかるのは、ジャイが...自分が死にたくないってのもあるんだろうけど...俺達の為に戦ってくれている事くらいだ。多分あいつはあいつなりに、苦悩しているんだろうけど...俺達には何時もの笑顔しか見せないから。
「そう言えばさ、昔、一緒にトークライブやった事あったよね、友達になろうってテーマで。」
ゆうぞうが、窓ガラスを拭きながら言った。
「そんな事...あー、あった。」
今野は床を拭きながら言った。
「あの時は確か他にハレルヤと18KINがいたよね。今ここにはいないけど。」
ハレルヤはいないが、18KINは割とこの近くにいる事を、今このアジトにいる者が知っている筈も無い。
「これって、友達になったのかな。」
「ゆうぞうさん、それって、キモイ。」
「そーだよねぇ。」
友達、か。確かに女子高生でもあるまいし、いい大人の男が口に出すのは気持ち悪いよな、とスギは思った。
でも状況が状況だ。何があってもおかしくない。例えば裏切りとか。