07/03/04 04:04:06
>>153-158の続き
スギとゆうぞうが出て行ってから、壁にかかっている時計の針がきっちり五分経った｡
三人が何らかのトラブルに巻き込まれている事は間違いない。
今野と高橋は顔を見合わせ、立ち上がった｡
最初から二人共、そのつもりだった｡
スギとゆうぞうが出て行った時、ジャイが所々に落としていったタオルの切れ端をそのまま、回収していかなかったのを高橋は確認していた｡
ただ．．．
高橋は胃が痛むのを堪えた｡
三人がトラブルに巻き込まれているのは間違いないだろうが、だとしたら、俺は誰かを殺すのだろうか､という事｡
そして．．．三人の戦っている相手が人力舎の先輩だったら｡
今野も似た様な事を考えていた｡
窮地に陥っているであろう三人を助けたい｡でも、人を殺すのは嫌だ｡でも．．．と。
二人は無言で、そのタオルの切れ端の後を追った｡
歩き始めてすぐ、爆音が聞こえた｡二人はとっさに、すぐ脇の草むらに飛び込んだ｡
人がしゃがんで、身を隠すには丁度いい丈の草むら｡二人はしゃがんだまま、音を立てないように草を掻き分けながら、爆音の方へ前進した｡
インスタント・ジョンソンの三人の無事を祈りながら｡
草むらの行き止まり、そこを抜ければ平地という境目で、二人は凄惨な光景を見た｡
何があったのかはわからない｡
血塗れのジャイが、自殺しようとしたゆうぞうを撃った｡
わかるのは、周囲に敵はいないだろうという事と、三人はまず、助からないだろうという事｡