07/02/05 02:03:44
>>94-97の続き
静寂。
何分？何時間？何日？何年？
陳腐な表現だが､三人には、この数十秒の静寂が永遠に続きそうな程､重たかった｡
「．．．俺のせいでこんな事になって、ごめん。巻き添え食らわせたのに、自分勝手だけど、でももう俺、楽になってもいいよね？」
地雷は、踏んだだけでは爆発しない｡踏んで、足を離した瞬間に爆発する｡
この殺し合いが終わる迄、ここで立ち続けるのは、仮に誰から襲撃されなくても、体力的に無理だろう｡
でも、ジャイの「楽になってもいいよね？」が、体力的な意味ではない事は、二人にはよくわかった｡
地雷の爆発による激しい苦痛と死への恐怖、そして、その為に死んでいくスギとゆうぞうに対する強い罪悪感はあった。
だけど俯くジャイの横顔には、どこか安堵感があった｡
どんなに謝っても、謝りきれるもんじゃないけど．．．でももう俺、誰も殺さなくて済むんだ｡だからって、ほっとしちゃいけないのに．．．
「俺、キングの二人呼んで来る。」
動揺したゆうぞうが言った｡
「呼んで来て、それで？あの二人に、地雷を踏んだ時の、正しい対処法の知識があると思うか？それとも、俺達が死んでいくの、見せ付けるのか？」
冷めた口調で、スギが言った｡
「死ぬって．．．地雷って、元々人を殺す為の武器じゃないじゃない？確か。」
普通地雷で即死する事はない｡地雷を踏んで重傷を負った兵士を治療する為、その場に足止めさせたり、それを見た他の兵士の戦意喪失させたりするのが目的だ｡
「でも、ここには衛生兵も野戦病院も無いよね｡」
あったとしても、信用出来るものではない｡
今ジャイが左足を上げたら、多分、その左足首から先は無くなるだろう｡