08/08/18 15:20:24 lqh+mjK4
>>605続き
◇臓器売買問題にも言及
--小説や映画にあるような幼児の人身売買が、実際にされているとは、にわかには信じられません。
阪本監督:小説の中にある事例は、取材をすると、ほとんどありました。ただ、僕自身、タイで取材をし直すと、(原作者の梁さんが取材をした)
当時とは現地の様子が変わっている部分があり、そういうところは変えています。たとえば、今は子供たちを鎖でつながないとか、
子供たちを清潔にしておくとか。ただ、映画で描いていることのすべてが、タイで本当にあった事例ではないんです。取材の途中で、
それ以上突っ込めないということもありますから。ですから、臓器売買のくだりは、極端な仮説を立てて描いています。
--仮説を立ててまでも、臓器売買の問題に言及したのはなぜでしょう。
阪本監督:子供の臓器移植に関しては、日本で今も苦しんでいる親御さんがたくさんいる。子供が海外で臓器移植手術を受けるとなると、
カンパを集めて、ある種の美談として報道されますが、話を伺った心臓外科医の先生がおっしゃるには、その後の物語というのがあるんだそうです。
--その後の物語とは?
阪本監督:カンパをもらった御家族というのは、人々の善意で自分の子供が助かったことを一生抱えて、身を小さくして生きていかなければならない。
それもこれも、日本の(遺言法や臓器移植法などの)法整備がしっかりしていないからです。子供の臓器移植を自国で解決できない
先進国なんて他にはないですよ。解決できないから、海外に行って移植ネットワークに登録し、外国の子供の臓器をもらう。
移植ネットワークの関係者や医師たちは、さまざまな運動を展開していますが、マスコミは、いくら(お金が)集まったとか、
そういう話を伝えるだけで、肝心の問題点は見えてこない。こういう話を聞いた時に、親御さんに、罪悪感を持ちながらも
(違法な)臓器移植を発想させてしまう原因はどこにあるのか、そういうことをきちんと映画の中で見せておきたいと思ったんです。