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『闇の子供たち』85点
URLリンク(movie.maeda-y.com)
『闇の子供たち』は、「本年度日本映画界最大の問題作」と宣伝されているが、そのコピー
に偽りはない。生半可な気持ちで見ては痛い目にあう、きわめて重い社会派ドラマである。
タイ・バンコクの支局で働く新聞記者、南部浩行(江口洋介)は、タイ闇ルートで行われて
いる子供の生体臓器移植の取材を始める。その過程でフリーカメラマンの与田(妻夫木
聡)、NGO職員の音羽恵子(宮崎あおい)らと出会い、協力して調べを進めていくが、その先
には彼らの想像を超えたおぞましい現実と、裏社会からの制裁が待っていた。
児童買春、エイズ、人身売買、生きたままの臓器摘出……。先進国の人々の
欲望、あるいは命を救うため、外国の貧しい子供たちの生存権が踏みにじられていく。
テーマがあまりに重いだけに、集まったキャストらの意気込みが段違い。
絶対に下手は打てないという、他の映画とはまったく次元の異なる緊張感が、彼らの一挙手一投足からはっきりと感じられる。
江口洋介は観客のすべてを驚かせる素晴らしい役作りを見せるし、
宮崎あおいの世間知らずな「自分探しボランティア女」ぶりも相当にうまい。
妻夫木聡や佐藤浩市ら脇役も、他作品の演技とはまるで違う"本気"を見せているので、ファンは文字通り必見である。
阪本監督は自分が描くテーマに対し、必死に冷静でいようとしているが、いてもたってもいられない怒り、
あるいは焦りの痕跡が全編いたるところから感じられる。その誠実さに私はいたく感動したし、好感を持った。