07/03/09 00:41:53 FebY5iNd
「ワタル兄、もっと・・・」
皺が寄って乱れたシーツの上、一瞬離れた身体を引き止めて、ヒナタが縋るような視線を向ける。
「もういっぱいしただろ?」
ワタルは苦笑してヒナタの頭をくしゃりと撫でた。
口調は穏やかではあっても時計を見ればそろそろ連れ立って出掛けて行ったオサムとサトシが帰って来る時間で、ワタルは少々焦っていた。
「やだ。」
しかしヒナタはそんなワタルの焦燥には敢えて気付かないふりをして、ワタルをベッドに押し止める。
形のいい、優しい声音を紡ぐ唇をわざと淫らに吸い上げればワタルがなし崩しになるのは、いつものことだった。
「ヒナタ・・・」
ワタルは抑えの効かない本能に苦い味を覚えながら、ヒナタの細い身体をきつく抱きしめた。
分かっている。
この行為が終われば、ヒナタはまた淫らに朱く腫れた唇で次をねだるだろう。
そして自分はそれに抗えない。
ヒナタの欲望には終わりがない。
与えれば与える程
もっと、もっとと次をねだる。
この愛では足りないのだと。
欲しいのはこんな愛ではないのだと。
「ヒナタ・・・っ」
汗にまみれた身体をかき抱けば、少年から大人になる前のしなやかさで、その存在は腕の中におさまった。
「ワタル兄…」
ヒナタは満足そうな、泣き笑いの表情を浮かべて、せめてワタルの背中にきりりと爪を立てた