【PSU】新ジャンル「パシリ」二十体目【祝二十体】at OGAME3
【PSU】新ジャンル「パシリ」二十体目【祝二十体】 - 暇つぶし2ch2:名無しオンライン
10/06/03 20:14:27.59 UZ+TMYJm
2 名前: 名無しオンライン [sage] 投稿日: 2010/05/25(火) 11:02:53 ID:LvPgVlId
 ブーツでGH-440を作ってEXデバイスでGH-470にした
そして初の打撃100なGH-410を作ろうとして打撃武器を集める日々~~
新キャラ育成は荊のみち~ そして新スレの行方は…

 即死だけは回避したい
3 名前: 名無しオンライン [sage] 投稿日: 2010/05/25(火) 11:10:55 ID:GJ+/8Q3g
ややこしい設定前提のが増えてからすっかり読まなくなった
ワンオブサウザンド(笑)
4 名前: 名無しオンライン [sage] 投稿日: 2010/05/25(火) 13:37:16 ID:l6KzjSRA
誘導
【PSU】新ジャンル「パシリ」十九体目ver2.0
スレリンク(ogame3板)

5 名前: 名無しオンライン [sage] 投稿日: 2010/05/25(火) 14:53:05 ID:LK22MtMv
俺のパシリ遍歴
メイン
打50法50の420→470→465(今ここ)
サブ1
射100の430→432→431(今ここ)
サブ2
防100の440→421(今ここ)


3:名無しオンライン
10/06/03 20:18:29.61 UZ+TMYJm
6 名前: 名無しオンライン [sage] 投稿日: 2010/05/25(火) 20:15:50 ID:q2Nb7kK5
スレ立てお疲れ様です。
早速後編投下。
7 名前: ボクはちゃんと覚えてる 1/6 [sage] 投稿日: 2010/05/25(火) 20:16:34 ID:q2Nb7kK5
ご主人が先に飛び出し、ボクが後に続く!・・・が。

「何も居ない…?」

ボクが呆気に取られていると、

「何やってる!アッシュ! 死ぬぞ!」
「え!? 何もないよ!?」
「そこら中に居るぞ! 早く撃て!」

そう言いながら、ご主人は・・・


がむしゃらにアオリユウを振り回している。・・・何もない空間に。

「ご主人…? どうしたの…?」

鬼気迫る表情そのもので、ご主人は武器を振り下ろす。

「こんなに! まだ残ってたのか!? 封印された筈だぞ!」


「こんな数が!」


「こんな…こんなに…!」
8 名前: ボクはちゃんと覚えてる 2/6 [sage] 投稿日: 2010/05/25(火) 20:16:55 ID:q2Nb7kK5
「ご主人! やめて!」

「アッシュ!? 死にたいのか!?」

ボクはご主人に抱きついた。ご主人を止めなくちゃ・・・!

「どうしちゃったの、ご主人!? 何もいないんだよ!?」
「お前には見えないのか!? SEEDが!」

「やめて…ご主人…お願い…何もいないんだから…!」

それでも、ご主人はその手を止めようとはしない。

「離れろ! お前も死ぬぞ!」

そう言うとご主人は、ボクを無理やり引き剥がす。

「ご、ご主人…」



「エミリア! だれかこっちにいるぞ!」



4:名無しオンライン
10/06/03 20:20:49.50 UZ+TMYJm
9 名前: ボクはちゃんと覚えてる 3/6 [sage] 投稿日: 2010/05/25(火) 20:17:18 ID:q2Nb7kK5
「貴方!? 何をやっているんです!?」

リトルウィング社員と・・・ガーディアン?

「くっ、また来やがったか!」

ご主人は振り返ると、その人達に斬って掛かる。

「ご主人、やめて! SEEDじゃない! SEEDなんかじゃ…!」

「うおぉぉぉぉっ!!」
アオリユウを振り下ろし・・・


次の瞬間、ご主人は地面に地面に倒れていた。


「…ご主人…?

 大丈夫!? ご主人! お願い、起きて!」

「ちょ、ちょっとあんた、強くやりすぎたんじゃないの?」

「まったく…スタンモードとは言え、手加減も必要ね」
10 名前: ボクはちゃんと覚えてる 3/6 [sage] 投稿日: 2010/05/25(火) 20:17:53 ID:q2Nb7kK5
「…ご主人に何をした!」

「ちょ、待った! ストップ! 気絶させただけよ!」
「救援を呼んであげるわ。あなたはここで待ってなさい」

そう言うとガーディアンの人は連絡を取り出した。
ご主人は確かに気を失ってるだけみたい、よかった・・・

「ご、ごめんなさい…ご主人が心配で…」
「この異常な状況じゃ仕方ないわ」

「ここ…いやなかんじがする。長くはいないほうがいい」
「私達は先に進みます。あなたは帰還して、この現状を報告しなさい」
「この子はガーディアンズじゃなくてリトルウィングの社員なんですけど」
「そう。だったら情報協力をお願いしたいわね」
「…わかった、そうするよ」

「あと20分ぐらいで到着するわ。 …しっかりご主人を守ってね」
「うん」


「こっちだ!はやく!」
「こら、そんなに急がない! ヤバイのが出てきたらどうするのよ!」

「まったく、世話が焼けるわね…行きましょう」

ガーディアンズは横に立っていた人にそう言うと、先に行った二人を追いかけていった。




5:名無しオンライン
10/06/03 20:22:29.63 UZ+TMYJm
11 名前: ボクはちゃんと覚えてる 4/6 [sage] 投稿日: 2010/05/25(火) 20:18:27 ID:q2Nb7kK5
気付くと俺はベッドの上に横たわっていた。
部屋は一面真っ白で、目覚めたばかりの目には眩しい。
そして、身体に感じる微かな重み。青い髪が目に入った。

頭を撫でる。どうやら眠っているようだ。

「…まったく、お前も人間らしくなったもんだ」

ここは・・・病院か。
俺はあの時・・・

「どうだ? 気分は良くなったか?」
「あなたは…ラリーさんですか」

青いキャストは病室に入ってくるなり、『どっこいしょ』と言いながら椅子に腰かける。何だその掛け声。

「君のPMから話は聞かせて貰ったよ。なるべく…他人には話さない方がいい」
「やっぱり…おかしいですよね」
「お偉方はこの状況を一応認識してはいるが、公表は避ける方針だ。緘口令、という事だな」
「ラリーさん、俺は」
「分かってる。仕事は引き続き可能だ」
「よかった…」
「君の精神も正常そうだしな」

「そうだ、アッシュ君には感謝した方がいい。君が寝込んでいる間中、ずっと付き添っていたんだ」
12 名前: ボクはちゃんと覚えてる 5/6 [sage] 投稿日: 2010/05/25(火) 20:18:51 ID:q2Nb7kK5
「おかげでオーバーヒート寸前になったがな…今は休んで貰っているが、
 どうしても君から離れたくないようだ」
「そうだったんですか…」
「まだ仕事が山積みだ。そろそろ失礼するよ。……もう目を覚ます頃だろうしな」

俺の返事を待たず、彼はさっさと出て行ってしまった。
最後の方はよく聞き取れなかったな・・・
そのうち、アッシュがもぞもぞと動き出した。

「ううん…?」

「おはよう、アッシュ」
「ご主人…大丈夫なの?」
「俺は大丈夫だよ、心配するな」
「うん…よかった」


「ご主人、今日は何の日か知ってる?」
「いや? 知らないな…」
「ちょっと待ってて」

そう言うと、脇に置いてあった帽子から何か─白い箱のようなものを取り出した。

「ボクはちゃんと覚えてる。ご主人のことを」

「おいおい、何なんだ?」

6:名無しオンライン
10/06/03 20:23:32.52 UZ+TMYJm
12 名前: ボクはちゃんと覚えてる 5/6 [sage] 投稿日: 2010/05/25(火) 20:18:51 ID:q2Nb7kK5
「おかげでオーバーヒート寸前になったがな…今は休んで貰っているが、
 どうしても君から離れたくないようだ」
「そうだったんですか…」
「まだ仕事が山積みだ。そろそろ失礼するよ。……もう目を覚ます頃だろうしな」

俺の返事を待たず、彼はさっさと出て行ってしまった。
最後の方はよく聞き取れなかったな・・・
そのうち、アッシュがもぞもぞと動き出した。

「ううん…?」

「おはよう、アッシュ」
「ご主人…大丈夫なの?」
「俺は大丈夫だよ、心配するな」
「うん…よかった」


「ご主人、今日は何の日か知ってる?」
「いや? 知らないな…」
「ちょっと待ってて」

そう言うと、脇に置いてあった帽子から何か─白い箱のようなものを取り出した。

「ボクはちゃんと覚えてる。ご主人のことを」

「おいおい、何なんだ?」
13 名前: ボクはちゃんと覚えてる 6/6 [sage] 投稿日: 2010/05/25(火) 20:19:10 ID:q2Nb7kK5
「本当はミッションが終わってからするつもりだったんだ」

そう言うと箱を開けて・・・中身を取り出す。それは・・・

「ちょっと遅くなっちゃったけど…」

そうか。あの日は・・・


「お誕生日おめでとう、ご主人」


14 名前: ボクはちゃんと覚えてる [sage] 投稿日: 2010/05/25(火) 20:23:39 ID:q2Nb7kK5
これで後編も終了。
パシリスレってこんなに長く続いてるんですねぇ…
これからも様々な方が作品を投稿してくれることを願います。

7:名無しオンライン
10/06/03 20:24:33.72 UZ+TMYJm
        /~~> - -<~^}
   £§/´ ::::::: :: ;;::: . ヽ.
    /::~/:: :: :::::::: ;ハ;:: : :;ハ
    | ::::| :: ( ::::;ノ  ヽノ;;::::.}
    | ::::|:(@:)イ-‐  ‐ ,'::.ノ   <1乙。これはポニーテールうんたらかんたら
    | :::,ハ,|ツヘ.{、 ( フ_ノノ´
    ヘ,ツツ≠;:'`.=/ ̄ ̄ ̄ ̄/
        (__.}つ/ GH-420 / カタカタ
. ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\/____/ ̄ ̄

>>3
と、いいつつ即死回避に協力してくれるとは。
あんた、IDといい、本当にいい奴だな。

>>14
後編投下乙です。だが、タイトルが前編のままなのぜ?
誕生日プレゼントを渡すPM、何かすごくほのぼのしたぜ!

16 名前: 名無しオンライン [sage] 投稿日: 2010/05/25(火) 23:43:02 ID:7odm2ZLK
20か、すげーな
もうPSUからは離れちったけど
別のゲームでもロボットとかマシンの名前にGH-430は使ってるんだぜー


8:名無しオンライン
10/06/03 20:25:01.40 UZ+TMYJm
18 名前: 最適化機能 1/3 [sage] 投稿日: 2010/05/26(水) 12:35:24 ID:2zpmdax3
惑星パルム、リニアラインの中。心地良い音と共に景色が流れてゆく。
上を見ても下を見ても街が広がっている。

「…見たけりゃ見ればいいだろ。人の顔色を伺うな。」

そう言ってやると、ぱっと瞳を輝かせて窓際へかじりつく。
年の離れた弟を連れている様な気分だ。

「─まもなく、グリングリンステーションへ到着致します。」

アナウンスの声に、ぱっとこちらを振り向く470。
今度は疑問系の表情だ。

「ああ、仕事だよ。降りるぞ。」

こくりと頷くとシートから立ち上がり、おしりをパンパンとはたく。
ホコリなんか付かないっつうの。
19 名前: 最適化機能 2/3 [sage] 投稿日: 2010/05/26(水) 12:36:17 ID:2zpmdax3
「どうもー。ガーディアンズの者です。こいつはパートナー。」
「あっ!お待ちしておりました!」

グリングリンファーム管理者レムリア・ノルフェがしなやかに大鎌をナノトランサーへ
格納しこちらへ駆けてくる。
放牧エリアから脱走したゴルドルバ3匹を連れ戻してほしいという依頼なのだが
恐らく骨の折れる仕事になるだろう。

「実は、先ほど1頭を別件でいらしていたリトルウイングの方々が連れ戻して下さった
 ので、お二人に連れ戻して頂きたいのは残りの2頭になります。
 大変な作業になると思うのですが、どうかよろしくお願い致します。」

丁寧にお辞儀をするノルフェに、同じく深々と頭を下げる470。
それに気づいて微笑み、「お願いしますね♪」とノルフェは優しく付け加えた。
20 名前: 最適化機能 3/3 [sage] 投稿日: 2010/05/26(水) 12:37:30 ID:2zpmdax3
ヒトは五感のいずれかを失うと残った感覚が発達するというが、それはマシナリーにも
言える事なのだろうか。
アタシはキャストやマシナリーに詳しくないのでサッパリだが、こいつにはどうやら
その発達が現れた傾向が見られる。というかおかしい。
何故、どうしてマシナリーがゴルドルバの鼻を撫でて大人しく躾けられるのだろう?
2頭のゴルドルバはまるで親の後へ付く様に、470について放牧エリアへと戻った。
それを見たノルフェの表情がおかしくて忘れられない。

「おかげで助かったけど、一体どうやったんだ?」

問いに、てへへと照れる様な表情で微笑む470。
言葉以外の表現で意思疎通を試みる様最適化された結果なのだろうが、この所嫌に
ヒトじみてきている。

「GRMで発声ユニットを付けてもらったら詳しく教えるんだよ。いい?」

真顔で親指を立ててこっちへ突き出してみせる470。声が出せないこいつもかわいい。

「─まもなく、ホルテス・シティへ到着致します。
 GRMをご利用の方は、左側出口より西ブロック通路をご利用下さい。」
21 名前: 名無しオンライン [sage] 投稿日: 2010/05/26(水) 12:42:16 ID:2zpmdax3
しゃべらない○○っていうのを某所で見たので、そのパクりです。
保守のお手伝いになればー。


9:名無しオンライン
10/06/03 20:27:44.83 UZ+TMYJm
22 名前: 名無しオンライン [sage] 投稿日: 2010/05/27(木) 21:11:50 ID:MIkP75oe
>ゴルドルバの鼻を撫でて大人しく躾けられるのだろう?
>2頭のゴルドルバはまるで親の後へ付く様に、470について放牧エリアへと戻った。
何この470すげーカワイイw

某所の某動画の影響でしゃべらない○○系で浄化されてしまう俺ガイル

23 名前: 1/6 [sage] 投稿日: 2010/05/28(金) 01:54:13 ID:4wJlE0H5
「はひっ・・・はひっ・・・はひっ・・・」

頬を上気させ、息を切らせながら主人がふらふらと走る。
いつもならこんな事はないんだけど、今日はいつもとは違う。

「少し・・・休憩するか」

そう。この人がいるからだ。

パートナーカードを交換してから数日、早速主人がミッションへと誘ったのだ。
返事はあっさりOK。向こうもPMを連れて行くので私も一緒に行くことになった。
本来ミッションで同行できるPMは一体となっているが、今回のようにこっそり2名以上連れて行く人も多い。

少しでも長く一緒に居られるようにと、普段行かないような長めのミッションを選んだのが悪かった。
主人は緊張からかペースを乱し、何度も息を切らせた。
本日何度目かの休憩。主人はへたり込んで必死に息を整え、セシル様は無言でマップの確認。マイは相変わらず「休め」のポーズ。
沈黙。気まずい。空気が重い。何か喋らないと・・・。

「すみません。その・・・ご主人様、体力あまり無くて」
「・・・フォースだから・・・」
「・・・・」
「・・・・」

会話終了。私が話し下手なのか?
と、そこで復活した主人がもう大丈夫ですとのお知らせ。助かった。


24 名前: 2/6 [sage] 投稿日: 2010/05/28(金) 01:54:48 ID:4wJlE0H5
その後、目的の大型エネミーを討伐し、無事にミッション終了。
と言っても、ほとんどセシル様とマイの二人で倒したようなものだ。
戦闘前から既にへろへろになっている主人と、普段ほとんどミッションへ参加しない私。
はっきり言って居ても居なくても変わらなかっただろう。むしろ邪魔だったかもしれない。

帰り道、持ち直した主人がしきりにセシル様に話しかけている。
カード交換の時の事を思えば結構な進歩だ。・・・成果はあがってなさそうだけど。

何だろう、決して適当に聞き流しているわけじゃなさそうなのに、返事が「ああ」とか「うん」とかばかり。
くじけない主人も大したものだ。

「あの・・・らぶさん」

隣を歩いていたマイが声をかけてきた。

「はい、なんでs「うあーーーーーーん」

私の返事は子供の泣き声にかき消された。見ると、女の子が道端で泣いている。
迷子かな。そう思っていると、主人が女の子に駆け寄っていた。



10:名無しオンライン
10/06/03 20:30:14.42 UZ+TMYJm
25 名前: 3/6 [sage] 投稿日: 2010/05/28(金) 01:55:20 ID:4wJlE0H5
「だいじょぶか?どないしたん?」
「おかあさ・・・いっ、いなく、なっ、うあーーーーーーーーん」

やはり迷子のようだ。

「そっかぁ、かわいそうになぁ。もう大丈夫やで、お姉ちゃんが一緒にお母さん探したるからな」
「ぐすっ、ひっ・・・ほん、と・・・?」
「任しときぃ。だからもう泣いたらあかんで、お母さん心配してまうからな」

頷く女の子の頭を撫でるとこちらへ振り向き、いいよね?という顔をする主人。
私とマイは勿論異論なし。セシル様も頷いた。




その後30分程歩き、ショップの立ち並ぶ通りで母親を見つけることが出来た。
時間によっては人通りが増える場所のため、はぐれてしまったらしい。
何度も頭を下げてお礼を言う母親に、主人は少し照れていた。

別れ際、女の子が手をぶんぶん振りながら、大きな声で

「おにーちゃん、おねーちゃん、ありがとーーー!」

・・・あの女の子の記憶には「背の高いお兄さんと関西弁のお姉さんにお母さんを探してもらった」と
刻まれたんだろう。


26 名前: 4/6 [sage] 投稿日: 2010/05/28(金) 01:55:52 ID:4wJlE0H5
女の子を見送った後、私達は元の道へ向かって歩き出した。
途中、多分初めてだろう、セシル様が主人に話しかけた。

「いつもは、あんな感じなのか」
「へっ?」

言葉が少なすぎて意味がわからない。主人が困惑していると、それに気付いたのか言葉を付け足した。

「その・・・喋り方」
「・・・・!!」

喋り方。そうだ。いつも聞いているせいか違和感がなくて気付かなかったけど、さっきの女の子に主人は普段の口調で話していた。
というか、主人は敬語じゃないと標準語が扱えない。

「え・・・っと・・・あれは、その・・・」
「無理、してたのか?」
「う・・・うん・・・変、かな、って・・・・」
「別に、いいんじゃないかな」
「えっ?」
「なんというか・・・さっきの方が、自然、だったと思う」
「そ、そう?・・・さっきの方が、いい?」
「・・・私は、そう思う」

多分、心の中でガッツポーズしてるんだろうなぁ。
活き活きとした表情でいつもの様に早口で喋り始めた主人を見ながら、そう思った。


・・・あれ、今回私何もしてなくね?

11:名無しオンライン
10/06/03 20:30:57.58 UZ+TMYJm
27 名前: 5/6 [sage] 投稿日: 2010/05/28(金) 01:56:16 ID:4wJlE0H5
主人と共にルームに帰ると、マイからメールが来た。

「今日はお疲れ様でした。
 今、お時間ありますでしょうか?」

主人はシャワーを浴びている。長風呂だからしばらくは大丈夫なはずだ。

「お疲れ様でした。
 私は大丈夫ですよ。何かありましたか?」

返信、と。
・・・お、返事きた。

「では、いつものチャットルームでお待ちしています。
 クロさん」


目玉が飛び出そうになるってこういう感覚なんだろうか?
なんでマイが私のHNを知っているんだ・・・。
私は慌ててビジフォンの電源を入れた。


28 名前: 6/6 [sage] 投稿日: 2010/05/28(金) 01:56:37 ID:4wJlE0H5
---- クロ さんが入室しました。
クロ:こんちゃー・・・
乙女>>クロ:こんにちは。お待ちしていました。誰か来るかもしれませんから、個人チャットにしましょう。
クロ>>乙女:了解。早速だけど・・・もしかして、マイ?
乙女>>クロ:はい。
クロ>>乙女:マジでか!
乙女>>クロ:マジです。それでですね、お話なんですが
クロ>>乙女:うん。
乙女>>クロ:ミコト様の件、私も協力させていただけませんか?
クロ>>乙女:へ?い、いいの?
乙女>>クロ:はい。・・・その、我が主は決して悪い方ではないのですが
乙女>>クロ:如何せん社交的とは言い難く・・・ご友人がとても少ないのです・・・
クロ>>乙女:ああー・・・うん・・・なんとなく分かる・・・
乙女>>クロ:せっかく出来たご友人ですし、私も何かお役に立てたら、と思いまして・・・
クロ>>乙女:そっかぁ・・・でもいいの?自分の主人と他の女の仲を応援するんだよ?
乙女>>クロ:はい。ミコト様はとても良い方ですし、主も決して嫌ってはいないと思うんです。
クロ>>乙女:そっかぁ・・・わかった。心強いよ、一緒に頑張ろうね!
乙女>>クロ:はい!


おわり

29 名前: 名無しオンライン [sage] 投稿日: 2010/05/28(金) 02:09:49 ID:4wJlE0H5
「遅ればせながら、二十体目おめでとうございます」
「おめでとうございますー!」

>>14
>そう言うと、脇に置いてあった帽子から何か─白い箱のようなものを取り出した。
「やっぱり、あの帽子はナノトランサーやったんやな・・・!」
「他に言う事ないんですか・・・?」

>>21
>2頭のゴルドルバはまるで親の後へ付く様に、470について放牧エリアへと戻った。
「なぁ、頼んだら背中乗せてもらえへんやろか」
「やめてくださいよ恥ずかしい・・・」


12:名無しオンライン
10/06/03 20:31:37.28 UZ+TMYJm
31 名前: 名無しオンライン [sage] 投稿日: 2010/05/29(土) 23:43:22 ID:ntgt16Q9
どなたかは知らんが、前スレ梅乙&保守

>>28
ご主人といる時はすごく堅苦しい感じなんだが、チャット時は案外普通だよな。
どっちが本当の性格なんだろうと、ふと思った。
32 名前: 名無しオンライン [sage] 投稿日: 2010/05/31(月) 23:37:18 ID:lyJhFin1
        ,ヘ/~ヽ/~\ヘ,ヘ
    ((@〈´_/^, ~;;~ ^ ヽ.〉
      /./ :〃..::::..,,へ,;. , ハ
     ( ::|::i{l|..::::,ノ''   ソ,;;:::.}
    | ::|:(@:)イ-‐  ‐ ,'::.ノ   <保守なのです
    / ::>、|ツヘ.{、 ( フ_ノイ
    (.:;リ  /';:'`.=/ ̄ ̄ ̄ ̄/
   / :ソ  (__Zつ/ GH-410 / カタカタ
. ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\/____/ ̄ ̄

新着レス 2010/06/03(木) 02:00
33 名前: 名無しオンライン [sage] 投稿日: 2010/06/03(木) 00:25:19 ID:0olB5Uw4
保守。
2日に1回、保守しとけば大丈夫かなと個人的には思ってる。


13:名無しオンライン
10/06/03 20:33:47.78 UZ+TMYJm
前スレ サルベージ完了
2スレ続けて途中で落ちてサルベージとは
ま 今回は 謎のサーバー移転らしいですが?

14:名無しオンライン
10/06/03 22:04:58.89 VSMEtbVZ
スレ立て&サルベージ乙。
Wiki保管庫からの誘導はこちらで修正しました。

15:名無しオンライン
10/06/03 22:10:39.27 QyBebyK5
>>1&14
乙であります。
そして、また即死回避を頑張る必要がガガガガ
         _____
        |__  \ :::::::::/|
        | |   |__::::_| |
        へ. \   Y  |ヘ
       〔_\_|___|___ノ_ 〕
       | :: ( :::::;ヘ;; ;;ハハ::::.}
       |:(@:)イ-‐  ‐ ,'::.ノ   <合成Up期間だし、どんどんポリマー持ってきてね♪
      ム;:::リヘリ、 ( フ_ノツ
      ムル/';:'`.7/ ̄ ̄ ̄ ̄/
      .(__.]つ/ GH-440 / カタカタ
. ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\/____/ ̄ ̄


16:名無しオンライン
10/06/03 22:12:53.05 FhsnbrDL
「我、食べずしてごちそうさま無し
 理想の食卓、整わざるとも屈せず
 これ、後悔とともに仕えること無し」

嗚呼、パシリが行く……
望まれることなく、食卓から
外されし彼女等を動かすもの。
それは、食べる意志を持つ者の
食欲に他ならない。

17:名無しオンライン
10/06/04 00:26:10.62 PZlcltDd
今更ですが、祝20体目!

どうも、パパと412作者です。
週末に予定が入っちゃったので、本日急遽投下です。
第8話『I think, and seem』
URLリンク(a-draw.com)

※DLキーが設定されています。キーは412。
注意!zipではなくlzh圧縮になってます。

18:名無しオンライン
10/06/05 01:18:31.91 jOgA+nRu
>>17超乙です。今、読み終えました。
諜報部のワンワンサンドの2人、出てこないから何してるのかと思いきや、
元気そうでよかったです。
ってか、「狂戦士」のご主人、マガシにやられて、
てっきり死んだものとばっかり思っていた俺ガイル。

そろそろ物語も最終かな?
それまでにはきっと制服も復活するさw


主   「最悪ショップで買えばいいさ、と思って検索したが、
     不人気な色とそうでない色の差が半端なかったな。」
GH450 『女性服は前から人気の色は途轍もなく高いですからね。』
主   「こういう時は男性でよかったと思うよ。」
GH450 『どの道、着たきり雀のご主人には関係ない話ですけどね。』
主   「ひどいな。つーか、それを言うならPM全般も着たきり雀じゃないか。」
GH450 『何を言いますか!確かに私達PMはいつも同じ服を着てるように見えますが、
     ちゃんと毎日着替えてるんです!それに服も微妙に違うんですよ。ほら。
     (PM用服のクローゼットを開けながら)
     例えば、この服は普段着用。普段着なので、洗濯しても困らないよう同じ素材のが5着あります。
     こっちの服は寒冷地用で少し生地が分厚いです。
     逆にこちらは熱帯気候用で涼しい作りになってます。』
主   「俺に全部、同じに見えるんだが・・・」
GH450 『全然違うじゃないですか。これなんか、耐火処理が施されていて、フォイエLv50でも絶対に焼けない特殊仕様ですよ。
     いろいろな用途に合った服をちゃんと用意してあるんです!』
主   「(違いが全く分からん・・・)じゃあ、その奥に閉まってあるのは何用なんだ?」
GH450 『え、あ、それは駄m』

ご主人
Get:勝負服 ☆15

主   「・・・」
GH450 『~~~~~~!!!(///)』
主   「ア、アノ、450さん?」
GH450 『・・・の』
主   「???」
GH450 『ご主人のバカァ~~~~~####』


19:名無しオンライン
10/06/05 11:36:17.25 Lk8JX9PM
やっと書き込む暇ができたぁ

前スレ>>15
タイトルが同じなのは、元々一つの話を無理やり前後に分けたからです。
UPロダに上げる事も考えましたが、それだとライブ感がないなぁ、という変な拘りが。

前スレ>>29
それが440のマジシャンタイプたる所以なのです。多分。

>>17
おう、パパと412さん来た!…と思ったらまだ17話を読んでなかったという。
今から読んできます…

さてさて、保守がてら投下します。

20:unsung episode01 1/6
10/06/05 11:37:28.53 Lk8JX9PM
「少女型マシナリー?」
「そうだ。今回新たに開発され、ガーディアンズにて実地試験中の新型でな」
「それをウチもテストすると?」
「その通り。話が早いじゃないか」

殺風景な廊下を行く、ラリーとヒューマンの青年。
ヒューマンは話に少々困惑している様だ。

「でも、『少女型』ですよ? そんなんを戦場に連れていく気ですか?」
「お偉方の命令だ、仕方あるまい」

「それに現場じゃな、ハラルト。GSM-05シリーズにはほとほと嫌気が差しているらしい」
「確かに信頼性の低い旧式ですが…でもマシナリーとは言え女の子を戦わせるなんて、
 倫理的に問題が─」

ヒューマン─ハラルトがそう言い掛けたとき、研究者らしき男が話しかけてきた。

「あっ、少佐! すいません、既に起動してしまって…」
「構わん、入るぞ」

ラリーは男の言葉も気に留めず、その男が立っていた横のドアに入る。

21:unsung episode01 2/6
10/06/05 11:37:51.71 Lk8JX9PM
「いーたーいー! 引っ張らないで!」

「もぎもぎ…微妙な味」

「それそれ、必殺のスピニングブレイクぅ!」
「きゃぁぁぁぁ!」

「お茶を出して下さる? わたくし、喉が渇きましたの」


部屋に入ると、まるで遊び盛りの子供の様に大暴れする・・・また、見た目も子供の様なマシナリー。

「こいつらが、パートナーマシナリーだ」

ハラルトはただ驚くばかりだ。

「まったく、まるで幼稚園だな…ずいぶんとやられた様だな、モニカ?」
「も、申し訳ありません!」

女性キャストがPMの下敷きになっている。ラリーに話しかけられると、
すぐさま立ち上がって敬礼をした。

22:unsung episode01 3/6
10/06/05 11:38:12.17 Lk8JX9PM
「GH-410から450まで、間違いありません。全員居ます」
「よろしい」

「さて…君達は普通のマシナリーとは違い、学び、経験して成長する。
 ガーディアンズなら主人と一対一の関係になるだろうが、ここは同盟軍だ。
 上官の命令には何時でも従わねばならん。わかるな?」

「はぁーい」

赤いPM、GH-410はさも面倒臭そうに返事をした。

「私たちは特定の人物をマスターとする機能はオミットされています」

GH-420が口早にそう答える。

「それはあえてそう注文した。運用上の面でその機能は不要なのだ。君達はボーマルタや
 グリナ・ビートの様なポンコツに替わる戦力として期待されている…とはお偉方の言葉だがな」

「だが君等にはまず教育が必要なようだな…特にそこの帽子」
「は、はィッ!」

「よくもクーラーを食べてくれたな。おかげでこの部屋は灼熱地獄だ」


23:unsung episode01 4/6
10/06/05 11:38:28.88 Lk8JX9PM
「ハラルト、辛いのなら出てもいいぞ?」
「いえ、大丈夫です!」

どう見てもやせ我慢だ。この部屋は日当たりも良い。

「所で君等の名前は? まだ付いてないのか?」
「ううん、あるよ。『同盟軍のヤツらは、どうせロクな名前を付けんだろう』って、
 作ってくれた人が付けてくれたの」
「むっ…」

GH-430がおっとりとした調子で答えた。

「GH-410がレイチェルで」
「どうも」
レイチェルはぶっきらぼうに挨拶する。

「GH-420がシャーリー」
彼女は軽く会釈するのみだ。

「わたしがエマ」
今話しているGH-430自身のことだ。

24:unsung episode01 5/6
10/06/05 11:38:42.64 Lk8JX9PM
「GH-440がマリー、」
「よ、よろしくおねがいしますっ」
少しビクビクした様子で頭を下げる。帽子が落ちてしまっているが、本人はまだ気付いていない。

「GH-450がフィオナ」
「宜しくお願い致しますわ、隊長さん」
少し気取った様子だが、礼儀正しくお辞儀をする。

──

「試験開発団、PM5体を受領しました」
「よろしい」

ラリーの前には、豪勢な椅子に座った男が見える。
キャストばかりの同盟軍において、高い階級にあるヒューマンは珍しい。

「くれぐれも大事に扱ってくれよ?」
「はっ」
「GRMの生産ラインに割り込むのにはかなりの金を使った…換えは無い。もしも誤って大破しようものなら
 諸君の首が飛ぶと思いたまえ」

「…存じております」

25:unsung episode01 6/6
10/06/05 11:39:02.05 Lk8JX9PM
「しかし、少女型マシナリーに戦闘をさせるとは、GRMにもかなりの変人がいたものだなぁ?
 それが『変人』の部隊に配備されるとは、何とも可笑しい話だ」

──

げんなりした様子で部屋から出てきたラリーに、モニカが駆け寄った。

「少佐、『ゴルドルバ』は何か言ってました?」
「『ゴルドルバ』?」
「司令の事ですよ。でっぷりと太って不細工だから、隊のみんなはそう呼ぶ様になったんです」
「ふん…いい名前を付けるじゃないか」

「まったく、こんな厄介な代物を押しつけておいて、絶対に壊すな、だとさ」
「ですが…隊の皆は最近気が立ってますから、少しは空気も和むのではと思いますが」
「ほぅ、そう思うか」
「ま、キャストには通用しないでしょうけど」
「そういう君もキャストだ」
「わ、私は! 私は…少佐を見習わせて頂いておりますから」
「ふぅん…」

「まったく、君も異端児だな…」
「…何か仰られましたか?」
「いや、独り言だ。気にするな」

26:unsung episode01
10/06/05 11:40:06.38 Lk8JX9PM
sage忘れた。アスタークに殴られてきます。

今回は何かキャラ紹介みたいになってしまいましたが、まぁ1回目だし仕方ないかな…

27:名無しオンライン
10/06/05 17:42:33.37 1CNZgLCG
>「よくもクーラーを食べてくれたな。おかげでこの部屋は灼熱地獄だ」

ああ、なんか好き、こういう洋画っぽいギャグ好き
これからも楽しみにするよ

28:2
10/06/06 12:39:43.20 opF7Of2H
ついに打撃100のGH-410完成
ムーンアトマイザーと2000メセタ打撃武器を与える日々
つかれた

保守~

29:名無しオンライン
10/06/06 14:49:04.76 Ggbp/64F
>>19
今思った。何だ17話って。7話だよ…疲れてるのかな

ついでに保守

30:名無しオンライン
10/06/06 21:07:50.46 9kIIy0kR
>>28
おめでとう!そしてお疲れ様。

        ,ヘ/~ヽ/~\ヘ,ヘ
    ((@〈´_/^, ~;;~ ^ ヽ.〉
      /./ :〃..::::..,,へ,;. , ハ
     ( ::|::i{l|..::::,ノ''   ソ,;;:::.}
    | ::|:(@:)イ-‐  ‐ ,'::.ノ   <ご主人様、これからもよろしくお願いします♪
    / ::>、|ツヘ.{、 ( フ_ノイ
    (.:;リ  /';:'`.=/ ̄ ̄ ̄ ̄/
   / :ソ  (__Zつ/ GH-410 / カタカタ
. ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\/____/ ̄ ̄


>>29
半角で7を入力しようとして半角/全角キーと同時に1を誤入力と予想。
ってか、俺がそれをよくやるだけなんだけどねw

31:名無しオンライン
10/06/07 20:55:31.37 SChAHvqG
>>18
 ご拝読いただき、ありがとうございます。
 作中に『狂戦士』と『魔女』の二人が出てくるのは、意外と稀になってしまいました。
 能動的に諜報部と関われない今となっては仕方ない事ですが、今後も何かの折には彼女の前にひょっこりと現れるはずです。

 >ってか、「狂戦士」のご主人、マガシにやられて(ry

 実は、過去の作品中に、一度も彼が「死んだ」という表現はしてません。
 死んだと思わせるような表現にして、実は生きているというのがやりたかったからなんですが。
 ちゃんと誤解されたという事は、それなりに書けていたみたいで、ちょっとうれしかったりします。

ところで……

>ご主人
>Get:勝負服 ☆15

返してあげたんだろうか……


>>26
 >「よくもクーラーを(ry

 出先で携帯からチェックしててフイタw
 同盟軍のパシリはどうなるか、今後が楽しみです。

>>28
 オメデトウ!
 さぁ、次のパシリが待ってるぞw

32:名無しオンライン
10/06/08 23:15:10.70 0y/vFwQm
保守にはやっぱり、投下だよね!という事で今から投下します。
さて、打って変わって本遍ですが、パシリスレにあるまじきPMの出番の少なさと
なってしまいました…
でも話を繋げる為だし、いいよね?

33:あこがれ 1/4
10/06/08 23:15:42.62 0y/vFwQm
「最近よく会うな…?」
「気のせいじゃない?」

俺はあまり特定の友人を作る事はない。
赤の他人と居るのはどうも落ち着かないし、人付き合いもそんなに得意じゃない。

だから今まで一人で仕事することが多かったし、リトルウィングに入社してからも、
大抵はアッシュと二人でやってる。もちろんPTを組んでやることもあるが、
メンバーとそんなに深く付き合いを持とうとした事はなかった。

が・・・

「またあんたか」
「わたしじゃ不満?」

何かやたらと縁がある・・・いや、付きまとわれている?
とにかく、最近この女性ヒューマンとよく組んだりする。

そもそも事の発端は何だ・・・?
以前に初めて組んだ時・・・いや確かにソードは刀身の幅が広いから、うまく使えば防御もできるが・・・
・・・まさかそんな単純な理由?
子供じゃあるまいし。

34:あこがれ 2/4
10/06/08 23:16:03.74 0y/vFwQm
「ケイちゃん、ジョニーさんと仲いいね? 何かあったの?」
「別に何も~? ただの偶然よ?」
「…だと思いたいけどな」
「な、何よ!」
「まぁまぁ、二人とも…」

あれは凶暴化した原生生物を駆除する仕事だったか・・・
何でも亜空間実験の影響で凶暴化したってのが発表されたばかりの頃だ。

担当したのはラフォン草原の北部・・・詳しいポイントは亜空間発生装置に近く、機密扱いなので話す事はできない。
メンバーは俺、アッシュ、シュネー・・・そして『ケイ』という女性ヒューマン。
何でもシュネーの友達だそうで。

二人とも経験の多い方じゃなかったから、俺はリーダー兼教官という訳だ。
別にそんな困難な仕事でもないし、特に何も無かった筈だ。
道中、ケイが何度か危ない目に遭ったんで、その都度面倒を見なくちゃいけなかったがな。
そういえば帰り道でアッシュがちょっと不機嫌だった・・・そんなに俺の手際は悪くなかったと思うんだが。

そんなところだ・・・多分。

「…ジョニーさん、多分それだと思うよ」
「…は? 何だって?」

シュネーがひそひそ声で続ける。

35:あこがれ 3/4
10/06/08 23:17:27.64 0y/vFwQm
「…いや、ははは、ケイったらずいぶんと箱入りだったみたいで、戦闘経験より男性経験の方が少ないからさぁ。
 あーでも、別に紹介するつもりだとかそんなんじゃないよ? ただジョニーさんが知り合いだったから、
 丁度いいやと思って参加しただけなんだから…」
「…お前なぁ…」
「あ、あはははは…あ、あたし、用事思い出しちゃった! じゃあねケイちゃん、ジョニーさん! バイバーイ!」
「おっ…おい」
「じゃあね、シュネー」

逃げられた・・・

「…どうする?」
「わたしはどっちでも?」
「…俺は帰る。っと、その前に買い物して行かなきゃならんな」
「じゃあわたしも」

「あいつ…金払わずに行きやがって」
「わたしが払おうか?」
「いや、いい。今度取り立てればいいだけだからな」

カフェを出ると、クラッド6内の照明は傾きかけていた。

「あー、アッシュか? 今から買い物して帰るが、晩飯は何がいい?」
≪ボクはなんでも。 ご主人の好きなものでいいよ≫
「うーい、わかった」

36:あこがれ 4/4
10/06/08 23:17:53.10 0y/vFwQm
ケイは『わたしも』とは言ったが、特に何かをカゴに入れるわけでもなく、ただ商品を見て回っている。

「さて、さっさと済ませて帰らなきゃな…お前は? PMが待ってるんだろ?」
「あ、うん…」
「ん…どうした?」
「いえ、別に」
「ふーん…?」

おっといかん、もう暗くなってきたな。必要な食材をぽいぽいと買い物カゴに入れて、レジへ進む。

「じゃあな、ケイ」
「また会えるといいわね」
「そう言って、そっちから会いにくるんじゃないのか?」
「…! バカ言いなさい!」
「わかったわかった、またな」


≪お嬢様、お食事の用意が出来上がっております、お早めにお帰りくださいませ≫
「…わかったわ、今から帰るから…」
≪夜道は危険です。迎えに参りましょうか?≫
「結構よ。子供じゃないもの」
≪わかりました≫

「そうよ、私は…」

照明はすっかり落ちて夜になっていたが、リゾートコロニーはまだ活気に満ち溢れていた。

37:あこがれ
10/06/08 23:18:50.92 0y/vFwQm
今回分は終了。
よかったねジョニー、久々の全編通しての主役だよ。
その代わり、アッシュの出番が一行だけになっちゃったけど。

38:名無しオンライン
10/06/10 11:41:57.21 ewkIKnNb
昼の保守タイム 40まで あとすこし

39:名無しオンライン
10/06/11 22:07:32.87 DdmO9vjh
>>37
「おぉーぅ・・・なんやロマンスの香りがするなぁ。
 アッシュちゃんも焼き餅焼いとるっぽいし」
「人のことより自分の心配した方が良いんじゃないですか?」
「うぐっ・・・ええねん!こういうのは駆け引きやねん!
 押してばっかりじゃあかんねん!」
「はいはい・・・ではこちらも投下しますよ」

40:1/5
10/06/11 22:08:22.94 DdmO9vjh
キャストの女性がディスプレイを食い入る様に見つめている。
手にはゲーム機のコントローラーを握り締め、一心不乱に操作している。

隣に佇んでいた彼女の相棒が口を開いた。

「あと10分で出発予定時刻です」
「ま・・・待って。もう少しで倒せるはずです・・・」

画面から視線を逸らさず応える主人に、相棒──GH-430は無言でナノトランサーからハンドガンを取り出すと、
ゲーム機に向けた。

「ぎゃーっ!すみません!ほんっとすみません!すぐ終わらせますから!」

謝った拍子に手元が狂ったのか、画面内のプレイヤーキャラクターが攻撃を受け、倒れ伏した。

「あーっ!!」

画面に浮かぶゲームオーバーの文字にがっくりと肩を落とす主人を見つめていたPMは、何故かコントローラーをもう一つ取り出した。

「・・・?」
「協力プレイならば今の相手は7分25秒で片付けられます」
「・・・手伝ってくれるんですか?」
「このまま出発してもゲームの事ばかり考えそうですから。上の空で怪我でもされたら困ります」

そう言われた主人はコントローラーを放り出し、PMに抱きついた。

「・・・ありがとうリム!愛してます!」

ばちーん!

リムと呼ばれたPMの平手が容赦なく主人の頬に炸裂する。

「調子に乗らないでください。あと早く準備してください」
「・・・はい、すみません」

主人は赤くなった頬をさすりながら、それでも少し嬉しそうにコントローラーを握った。



41:2/5
10/06/11 22:09:00.45 DdmO9vjh
無事に予定時刻に出発した二人は銃器専門店を訪れていた。
主人が鼻歌を歌いながら商品を品定めしている。
とあるパーツを手に取った時、リムが声をかけてきた。

「それ、ハンドガン用のカスタマイズパーツですよ」

主人はガンナーだが、ハンドガンを使うことは滅多にない。

「ああ、頼まれているんですよ。ハンドガンのカスタマイズ」

ニコリと微笑みながら主人が応える。

「ほら、ショップのカスタマイズって武器の威力を上げるだけじゃないですか。
 どうにもしっくりこないらしくて」
「セシル様ですか、頼んだの」
「あら、よくわかりましたね?」
「貴女に頼みごとをするような人が他にいるとは思えませんから」

容赦のない言葉に主人は苦笑を浮かべる。

「まぁ、命の恩人ですから。このくらいは、ね」
「そうですか」

眉一つ動かさず素っ気無く応えたリムだったが、どこか不機嫌に見えた──気がした。
主人がにやっと気色の悪い笑みを浮かべる。



42:3/5
10/06/11 22:09:22.07 DdmO9vjh
「あれ、もしかして妬いてます?」
「何がですか」

生まれつきなのか極悪な目つきを含めていつも通りの無表情だったが、ちょっとスネている──様に見えた。

「んもぅ、照れちゃって。この顔だけ狂犬さん♪」

主人がつん、と頬をつつくと、

ばちーん!

出発前とは反対側の頬にリムの平手が炸裂した。
余りに見事な効果音に周囲の客や店員の視線が集まる。

「馬鹿なことしてないで、さっさと会計済ませてください」
「・・・はい、すみません」

主人は頬を撫で、それでも少し嬉しそうにレジへ向かった。



43:4/5
10/06/11 22:09:49.47 DdmO9vjh
ショップでの買い物を終えた二人は、射撃訓練場を訪れていた。

「実は今日はお仕事はお休みなのです。自主訓練に来ました」
「知っています。誰に言ってるんですか」
「何事にも取っ掛かりは必要なのです」
「そうですか」

主人が射撃位置につき、ナノトランサーからツインハンドガンを取り出した。
旧式の実弾銃を模し、発砲すると実弾に似せた弾丸が飛び、薬莢が吐き出されるタイプだ。
主人がゆっくりと銃を構える。練習用ターゲットが表示された。

ガンガンガンガンガン。

連続で銃口から弾丸が吐き出される。飛び散る薬莢。箒と塵取りで薬莢を掃除するリム。
ターゲットは無傷のままだ。

「うーん、当たりませんねぇ」

首を傾げながら主人がぼやく。

「交差撃ちなどしているからです。それは曲芸の部類ですよ」

てきぱきと箒を動かしながらリムが言った。

「だってぇ、カッコいいじゃないですか。普通に撃ったってつまらないですよ」

主人が口を尖らせながら答え、ターゲットに向かって「普通に」構えて引き金を引いた。



44:5/5
10/06/11 22:10:09.86 DdmO9vjh
弾丸は寸分違わずターゲットの中心を撃ち抜いた。
主人は銃口に口を近づけ、ふっ、と息を吹きかける。勿論煙など出ていないが。
その後何体かのターゲットを蜂の巣にした主人はリムの方に向き直ると、

「そろそろ帰りましょうか」
「もうよろしいのですか」
「ええ。頼まれごともやらないといけませんしね」
「そうですか」



帰り道、アニメソングを口ずさんでいた主人がふと思い出したように言った。

「そういえば、セシルさんに面白い友人が出来たそうですよ」
「友人、ですか。あの方に」

あんまりな反応に思わず苦笑を浮かべながら、主人が続ける。

「ええ。リトルウィングの社員らしいんですけどね、なんか、とにかくよく喋る人だそうですよ」
「・・・私も人のことは言えませんが、あの方と会話を成立させるのは至難の業だと思います」
「ですよねぇ。どんな人なのか会ってみたいですね。・・・可愛い女の子だったらいいなー」

がんっ!「おぅふっ!」

リムのローキックが主人の脛に直撃した。


おわり

45:名無しオンライン
10/06/11 22:12:26.22 DdmO9vjh
「あれ?おわり?うちの出番は!?」
「ありませんでしたね。名前すら出てないです。」
「主人公なのにこの仕打ち・・・!」
「まぁこれで40超えましたし、いいじゃないですか」
「全っ然よくないわー!!」


46:名無しオンライン
10/06/11 23:54:54.89 zC4AuHp6
レス&保守&駄文投下。

>>31
GH450 『ご心配おかけしました。服はちゃんと返してもらいましたよ。』
GH422 『奪い返したって感じだけどね~(横で転がっている黒こげの何かを見ながら)』
GH450 『あれぐらい当然です。大体、こっちが説明の為に開けたとはいえ、
     勝手にクローゼットの中身を触る方がいけないんです!
     (横で転がっている黒こげ何かに冷たい視線を向けながら)』
GH431 『確かにそうだけど、そういう事は本人がちゃんと聞いてないと意味ないんじゃない?』
GH440 『(うんうん)』
GH422 『そんな事よりさ。あんたのその勝負服、ご主人様とニャンニャンする時用のとっておきよね?』
GH450 『$%&ぶラぁぁldrftgじょ!!!111 なななあ、そんあんことあrまsンヨ』
GH431 『・・・バレバレね。』
GH440 『(ニャンニャン////)』
GH450 『バ、バレバレってナンデスナ。ソンナキョトはマッタク全然考えテなどイナイデござりまするよ?』
GH431&
GH440 『(これはひどい・・・)』
GH422 『まあ、否定するのはいいけど。(慌て方が面白かったしw)
     で、もし、そういう用途で着るとして、
     ご主人は勝負服と普通の服の違いが全く分からないのに意味あるのかな~って思ってね。』

GH431&
GH440&
GH450 『あ』

GH422 『・・・気づこうよ皆。orz』

>>37
新キャラ乙。
今後の伏線なんだろうけど、最後の含みがとても気になるな・・・。

>>45
投下乙。
ツンデレ?パシリがいい味だしてて楽しめたぜ。




47:名無しオンライン
10/06/13 22:48:23.09 SjN6V3eF
        γ-―‐‐ヘ
       /厂/~~: ~:,ノノヽ.
       / ∞:::...:::...;;,ハ, : ハ
       |.:i{l|::::...;,/  ソ;;:.:.}
       |:(@:)イ-‐  ‐ ,'.:.ノ   < ご主人様、保守しておきますね。
      ノ::::.リヘリ、 ( フ_ノ:.ノ
      / ::イ/';:'`.7/ ̄ ̄ ̄ ̄/
      |:::リ(_||]つ/ GH-430 / カタカタ
. ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\/____/ ̄ ̄


48:名無しオンライン
10/06/15 16:55:43.58 KyRv36R7
「よーしいいぞー!
 主人の代わりに保守するのは良いPMだ!
 保守を兼ねて投下してしまうのは訓練されてない私だ!
 ホントパシリスレは地獄だぜぇーふぅはははーはー!」

「・・・と中の人が申しております」
「ええっと、要するに保守兼ねて投下しますっちゅーことで、うりゃー」


49:1/8
10/06/15 16:56:27.57 KyRv36R7
それは、主人と一緒に買い物に出かけた時だった。

「あら!」

前方から歩いてきたキャストの女性が、主人を見て声をあげると、こちらへ近寄ってきた。
私と主人は顔を見合わせる。・・・主人の知り合いではないらしい。
主人をじっと見つめてぶつぶつ呟いている。

「主人に何か御用でしょうか?」

私は主人をかばう様に前に出て、声をかける。
クラッド6の中とはいえ、不審者がいないとも限らない。前に侵入者が暴れた事件もあったし。

私の疑うような視線に気付いたのか、黒いパーツに身を包んだキャストはニコリと微笑んだ。

「ああ、突然失礼しました。私、アイリスと申します。セシルさんの・・・えっと、友人です」
「あー、なるほど・・・あ、私は」

自己紹介しようとした主人を制し、アイリスが微笑みながら続ける。

「ミコトさん、ですよね?セシルさんから聞き出し・・・もとい、聞いていますよ」



50:2/8
10/06/15 16:57:00.80 KyRv36R7
意外だ。あの人に友人がいることもそうだけど、主人のことを話しているなんて。
・・・なんて言っているんだろう。

「あ、あの、セシルさん、私のことなんて言ってました?」

主人も気になったらしい。
アイリスは少し考えるような仕草をした後、主人に提案した。

「立ち話もなんですから、お時間よろしければカフェでも行きませんか?」

元々私達はただの買い物だ。その後も特に予定があるわけじゃなかった。
主人がこくこくと頷く。

「ああ、よかったです。じゃあ、行きましょうか」

連れ立って歩く二人の後を私ともう一人のPMがついて行く。
・・・もう一人のPM?

「!?」

思わずぎょっとして相手を見た。いつの間にかGH-430が隣を歩いている。
多分アイリスのPMなんだろうが、全く気付かなかった。
私の視線に気付いたのか、こちらに顔を向けてきた。
・・・物凄い目つきだ。視線で人が殺せそう。こぇぇ・・・。
しかし相手は軽く会釈してきただけで、すぐに視線を前に戻した。
こっちを睨んできたわけじゃなさそうだ。元々なのかな・・・。

その時ふと思い当たることがあった。目つきの悪いGH-430。
・・・いやいやまさかね。あんなの都市伝説だ。



51:3/8
10/06/15 16:57:30.66 KyRv36R7
「ああ、そういえばお互いPMの紹介がまだでしたね」

席について飲み物を注文した後、アイリスが思い出したように言い、自らのPMに顔を向けた。

「・・・GH-430、リムと申します。よろしくお願いします」

凶悪な目つきのPMは無表情な顔の通り、平坦な声で名乗り、一礼した。
アイリスが苦笑しながらフォローする。

「ごめんなさいね。この子、元々こういう顔つきで、別に不機嫌なわけじゃないんですよ」
「あー、そ、そうなんですか」

主人も少しびびっていたらしい。

「ええ、本当はとっても可愛らs」

どごっ!「うげふっ!」

リムの肘うちがアイリスのわき腹に突き刺さった。
主人と私は唖然として二人を見つめる。アイリスは腹を抱えて悶絶していた。
自分の主人に対して銃器をぶっ放したり、ロッドで殴ったりするPMもいるとは聞いていたけど、
実際に見るのは初めてだ。・・・うわ、痛そう。



52:4/8
10/06/15 16:58:08.87 KyRv36R7
自分の主人を横目で見ていたリムは、こちらに向き直った。
ああそうか、私の番だ。

「GH-450のらぶと申します。よろしくお願いしますね」

先程と同じように、私も一礼する。
互いの紹介が終わったところで、何とか立ち直ったアイリスが話を再開する。

「げほっ・・・えーっと、さっきの続きですね」
「はい」

しゃちほこばる主人を見て、アイリスがクスリと笑った。

「そんなに緊張しないで。セシルさんからは明るくて活発なお嬢さんだと聞いていますよ?」
「へっ?あ、で、でも」
「ああ・・・言葉遣いのことなら聞いています。私も気にしませんから、普段通りで大丈夫ですよ」
「そ、そうかな?じゃあアイリスさんも」

普段通りとなるとどうしてもタメ口になる。相手が敬語なのにこちらだけタメ口というわけにもいかないだろう。

「ああ、気にしないでください。私のはキャラ作りですから」
「は?」

ゴスッ!
リムの肘うちがまた突き刺さった。



53:5/8
10/06/15 16:58:35.94 KyRv36R7
「げほっ、ごほっ・・・あー、前にですね、相談されたんですよ、セシルさんに」
「相談?」
「ええ。よく話しかけてくれる人がいるんだが、どう対応すればいいのか分からない、ってね」

アイリスは薄っすらと苦笑を浮かべた。

「あの人、なんていうか無愛想とかそういうレベルじゃないでしょう?
 だから最初はみんな何とかコミュニケーション取ろうとするんですけど、そのうち離れてしまうんですよね」

私は先日のミッションの帰り道でのことを思い出した。
確かに話しかけてもあんな態度とられたんじゃ嫌われてるのかと思ってしまうだろう。

「でもその人──ミコトさんですね──は違った。自分がいつも通りの対応をしても
 ずっと話しかけてくるし、メールもよくくれる。こんなこと初めてだから、どう対応すればいいのかって」

主人は少し俯いて、口を開いた。

「迷惑そう・・・やった?」
「まさか!もし迷惑に思っていたらあの人なら無視していますよ」

主人の言葉を否定した後、アイリスはにやっと笑みを浮かべた。

「多分、逆だと思いますよぉ。嬉しいんじゃないですかねぇ。
 それに、貴女に応えたいからどうすればいいか相談してきたわけですし、ね」
「そ、そっかぁ。よかった・・・」



54:6/8
10/06/15 16:59:03.57 KyRv36R7
「あーでも、どうしてそこまで仲良くなろうとするんですか?」

突然の質問に主人は言葉に詰まる。

「さっきも言いましたけど、普段あんな態度だし、とてもじゃないけど仲良くなりたいと
 思うような人ではないですよねぇ」

何気に酷いことを言う。同感だけど。

「えっと・・・それは・・・その」
「もしかして、一目惚れしちゃったとか?」

冗談のつもりで言ったんだろう。しかしその言葉に耳まで真っ赤にした主人を見て、アイリスは一瞬固まった。

「え・・・当たっちゃった?」

こくりと主人が頷く。

「・・・・」
「・・・・」

嫌な沈黙が流れる。主人は俯き、アイリスは何事か考えているようだ。



55:7/8
10/06/15 16:59:36.21 KyRv36R7
数分後、沈黙を破ったのはアイリスだった。

「・・・つまり、たった一度ミッションで一緒になっただけで惚れてしまった、と」
「・・・!」

確かにその通りだが、棘のある言い方だ。私はアイリスを睨み付けた。
「一目惚れなんて錯覚だ」とでも言うつもりなのか。

しかし、ぱっと表情を輝かせたアイリスから出た言葉は全く違うものだった。

「素晴らしい!」
「へっ?」

アイリスは両手を広げ、早口でまくし立てる。

「戦場で始まる禁断の恋!こんな漫画みたいなことが身近で起こるなんて!
 しかもヒューマンのハンターとニューマンのフォース、なんて王道なカップリングでしょう!素敵すぎます!
 分かりました、私も一肌脱ぎましょう!大丈夫、こう見えてもそこそこ古い付き合いですから色々吹き込んであげます!
 手始めに次話しかけられたら返事は「愛してるよ、ハニー」とでも教えt」ドゴッ!「うぉぐっ!」

本日三度目の肘うち。



56:8/8
10/06/15 17:00:17.72 KyRv36R7
「ハァハァ・・・ちょっと取り乱しました、すみません」

ちょっとどころじゃなかった気がするが。

「あの、このことは・・・」
「ああ、大丈夫、誰にも言いませんよ。もちろんセシルさんにも、ね。
 それからさっきも言いましたけど、私も協力しますから、何か出来ることがあれば遠慮なく言ってくださいね」

アイリスが主人ににっこりと微笑む。

「え、で、でも、そんなの悪いし」
「あぁ・・・一度やってみたかったんですよねぇ、攻略対象の情報を教える主人公の親友的ポジション」

聞こえてないようだ。
と、アイリスが突然真顔になった。

「まぁ冗談はさておき──やってみたかったのはホントですが──あの人、本当に友人や知人が少ないんですよ。
 月並みですがヒトは一人では生きていけません。せっかく出来た友人を大切にさせてあげたいんです」
「・・・・」
「セシルさんは私にとっても大切な友人です。セシルさんにとっての貴女も、そんな存在になれるように、
 協力させてください、ね」

微笑みながらそう言うアイリスに主人も頷き、「よろしくお願いします」と笑みを返した。


おわり



57:名無しオンライン
10/06/15 17:03:23.76 KyRv36R7
「IDが・・・KY・・・」
「連投まがいなことしやがって空気嫁ってことですかね・・・」

58:名無しオンライン
10/06/18 08:04:39.79 uXoBYfwF
>>57
結構楽しみにしてるので頑張って。
旧作ネタがちょっとだけ入ってるのが、前から見てる身には嬉しかったり。

59:名無しオンライン
10/06/19 19:55:36 2+RJNj34
>>57
アイリスとセシルの間にも何かありそうですねぇ…これからの展開に期待です。

おっしゃ、暇ができたので今から投下します。
今度はまた同盟軍のPM編です。
本遍と話がごっちゃになって分かりづらい?仕様です。

60:unsung episode02 1/5
10/06/19 19:56:18 2+RJNj34
草原を行軍する隊列にそっと忍び寄る、小さな影。

「事前に打ち合わせた通りです。私は奇数番、貴方は偶数番の兵士を攻撃して下さい」
「わかってるわよ…じれったいわね、まだなの?」
「完全に通り過ぎるのを待ちます」

レイチェルは今にも飛び出したくてうずうずしている。

「…今です」
「よしきたっ!」

シャーリーが合図すると同時に飛び出す。
そして一気に飛び掛かって行く・・・はずだったが。

『ビーッ!』

「えっ!?」

≪レイチェル、戦死だ≫

「うそっ!? まだ何もやってないのに!?」

≪続いてシャーリーも戦死。ぬるいな。その程度か?≫

61:unsung episode02 2/5
10/06/19 19:56:40 2+RJNj34
「レイチェルが戦死した時点で私の攻撃力は失われました。計算の結果、勝利の確立はほぼ0%です」
≪どうした、チームワークを欠いたか?≫
「ちゃんと息は合ってた筈よ!」

兵士の一人が呆れて言う。

「あのなぁ…そんなでかい得物を持って飛び出してきたら気付くに決まってんだろ」

見ると確かに、レイチェルはソードを持っている。

≪ヘルムートの言う通りだな。プロに舐めてかかると痛い目に遭うぞ?≫
「あ、あたしはソードが得意なのっ! セイバーよりもこっちの方が効率的だと思ったのよ!」
「ですが隠密性に欠けます。この場合は小型の装備が適切です」
「むぅぅぅ…」

「本部、状況終了。帰還します」
≪本部了解。あぁそうだ、近くでディ・ラガンが暴れてるらしいから懲らしめて欲しいとさ。≫
「あいあい。了解」

「レイチェル、お前は補習だ。先に帰ってセイバーの練習してろ」
「…はぁーい」

62:unsung episode02 3/5
10/06/19 19:57:29 2+RJNj34
「ハラルト、それではわたくしが居る意味がございませんわ」
「いいや、この技術は無意味なものじゃないよ。応急処置が適切になされるかで、死亡率は大幅に変わる。
 でも、PPが尽きたらレスタは使えない。その時の為に備えて、ね」

「部隊において衛生兵は生命線なんだ。兵士の士気にも関わる。みんなは衛生兵である僕を頼りにするし、
 僕もいざという時に…それこそ種族の隔たりなく命を救わなくちゃならない」
「…わかりました。わたくしも伊達にナースタイプを名乗る訳ではありませんから」
「じゃあ、まずは基本からだ。出血を止める場合は、止血帯もしくは幅のある布で傷の手前をきつく縛る。
 ここに訓練用の人形があるから、これを相手にやってごらん」

これは本来PMの用途ではないので、フィオナにもこの情報はない。
たどたどしい手つきで言われた通りにやってみせるが・・・

ドゴォォォン

「…やってしまいました」

「…食べていいよ、これ」

──

「ちょぉぉぉ! 俺のファントムがぁぁぁ!」
「ご、ごめんなさぃぃぃ!」

63:unsung episode02 4/5
10/06/19 19:57:56 2+RJNj34
突然の絶叫に、ぞろぞろと人が集まってくる。そこには、半壊状態のライフルを手にした隊員が・・・

「どうした、フリッツ?」
「ちょっ、見てください、班長! マリーが俺のファントムを齧りやがって…!」

「あーあ、スコープがオシャカじゃん」
「整備部に掛け合ってみろ、駄目だったら俺にも知らん」
「そ、そんなぁ…」
「でも、おいしかった」

騒ぎなどどこ吹く風、マリーは満足そうだ。

「なぁ、ところでここに置いてあったフリーズトラップ知らね?」

「班長ォ、マリーが凍ってます!」

──

「どうした、モニカ。機嫌が良さそうだな」
「ふふっ、あの子たちが来てから、ずいぶんと騒がしくなりましたね」
「…違う方向にな」
「少佐はお気に召しませんか? 皆はPMと接するのを楽しんでいるみたいですよ。

 まるで娘か…妹ができたみたいに」

64:unsung episode02 5/5
10/06/19 19:58:53 2+RJNj34
ふ…『姉妹達』と言った所か」
「相変わらずのセンスの無さですね、少佐」
「キャストは皆、センスが無いものだ」

「おうて!」
「ま…参りました」

ニューデイズの伝統的なボードゲーム『ショウ・ギ』を挟んで、エマと隊員の一人が向かい合っている。

「デミトリ、また負けたのか? 君らしくもない」
「だって少佐…こいつ、強いんですよ? 今まで部隊で負け無しだったのに…」
「へっへ~ん、どうですか?」

「ふむ…」
「少佐、ショウ・ギごときで考えすぎでは?」
「いや、案外彼女らをうまくまとめてくれるし、あるいは…」
「そうでしょうか…」

「まだだぁっ! もう一戦!」
「何度でも返り討ちですよ~」

65:unsung episode02
10/06/19 19:59:58 2+RJNj34
今回分はこれで終了。

PMが配備されてかなりはちゃめちゃになったラリー達ですが、
はてさてこれからどうなることやら…ね。

66:名無しオンライン
10/06/19 20:55:41 4FMjdh9C
長編あんま好きじゃないなぁ
ほどほどにまとめておくれよ

67:名無しオンライン
10/06/19 21:39:35 lqUbgnQk
>>58
「ありがとうございます。あなたのおかげで中の人のブラストゲージがもりもりたまります」

>>65
「うん、うんす・・・うんすんぐ・・・?」
「・・・アンサング・エピソードです。歌われていないエピソード、という意味だそうです」
「う・・・ちゃうもん!読めとったもん!ボケただけやもん!」
「はいはい」


「では、勢いに任せて投下してしまいますよー」

68:1/5
10/06/19 21:40:24 lqUbgnQk
その日、ミコトは珍しく一人で買い物に来ていた。夕飯の買出しだ。
買いだめすると食材をダメにしてしまうことが多かったので、出来るだけこまめに買い物に行くようにしている。
食材を選びながら、今日は何を作ろうか考える。
自慢じゃないが料理の腕にはそこそこ自信があった。その腕を披露する相手はもっぱら相棒であるらぶだったが、
ミコトはつんと澄ましたした顔でパクパクと料理を食べるらぶを見るのが好きだった。

特売の野菜を手に取った時、「あ・・・」と聞き覚えのある声がした。
振り向くと目に入ってきたのは、買い物カゴを持った長身のヒューマン。セシルだった。
いつもの如く仏頂面・・・ではなく、どこか戸惑ったような顔をしている。

アイリスが本当に何か変なことを吹き込んだのだろうか・・・ミコトは先日会ったキャストを思い出した。

「こんにちは!奇遇やね~」

とりあえず笑顔で挨拶してみた。

「・・・こんにちは」

問題はここからだ。何を話したものか。

「(何してるん?って見たらわかるわ買い物やがな。ショップで他に何せぇっちゅーねん。
  この野菜安いよなー・・・あかん、「そうだな」で終わってまう!
  今日の夕飯何にしようか迷ってて~・・・いや、料理しそうなタイプには見えへんしなぁ・・・)」

ミコトが頭をフル回転させて話題を探していると、なんとセシルの方から口を開いた。



69:2/5
10/06/19 21:40:55 lqUbgnQk
「買い物・・・か?」

当たり前だ。買い物カゴを持って他に何をするのか。
先程の脳内シュミレート通りのツッコミをかましそうになったがそんなことはおくびにも出さず、

「うん、今晩の夕飯の材料。セシルさんも?」
「ああ・・・私は今晩の、というより食料の買いだめだが」

そう言って持っているカゴを示した。
ミコトがカゴを覗くと、中に入れられていた物は──。

ペロリーメイト(フルーツ味)、ペロリーメイト(チョコ味)、コルトバヌードル(即席タイプ)、
ペロリーメイト(ポテト味)、ペロリーメイト(メープル味)、ミネラルウォーター数本。

「・・・・」
「・・・・」

顔を引きつらせながらミコトがそれらを指差し、セシルに顔を向ける。

「えと・・・食料?ご飯?」
「うん」

「あ・・・ああー、そうやな、小腹が空いた時とか夜食とかかぁ!
 ペロリーメイトも最近色んな味出てきておいしいって聞くし」
「いや、主食だが」

「・・・ダイエット中、とか?」
「いや、そういうわけでもないが」

「え・・・じゃ・・・いつも、こんな感じなん・・・?」
「たまに外食することもあるが・・・基本的には、そうだな」



70:3/5
10/06/19 21:41:26 lqUbgnQk
ミコトが俯き、ぷるぷると震えだした。怪訝な顔をしたセシルが声をかけようとした時、

「あかーーーーーーーーーーーーーーーーん!!」

ミコトが叫んだ。店中に響き渡る声だった。
珍しく呆気にとられているセシルにミコトがまくしたてる。

「食べ盛りの働き盛りがこんな食生活しとったらあかん!ご飯っちゅーんは栄養とれたらええっちゅーもんちゃうねん!
 そら忙しい時はしゃあないけどそうやない時は美味しいもん食べてお腹いっぱいになってごちそーさんせなあかんねん!
 お腹空いとったら力出ぇへんし頭も回らへんねんで!?」

周囲の視線も気にせず怒ったように早口で喋るミコトに、セシルは気圧されたようにこくこくと頷く。
荒くなった息を整えてから、ミコトが訊いた。

「嫌いなもんは?」
「な、なに?」

突然の質問が理解出来ずセシルが聞き返す。

「食べられへんもんとか、ある?」
「いや・・・特に、ない」

少し考えて応えたセシルに、ミコトはうんうんと頷いた。

「ええこっちゃ。好き嫌いしとったら大きぃなられへんからな」

セシルは十分過ぎる程大きいが。
ミコトはセシルをびしっと指差した。

「わかった!ほなうちが今日の晩御飯作ってルーム持って行くから待っとって!
 絶っっっ対後悔させへんから!」
「わ・・・わかった。待ってる」

セシルが頷くとミコトも頷き返し、会計へと向かった。
セシルは暫く買い物カゴの中身を見つめた後、一つ一つ律儀に商品棚に戻していった。



71:4/5
10/06/19 21:42:00 lqUbgnQk
「っちゅーわけでして・・・」
「・・・いくらなんでも強引すぎじゃないですか?」

買出しに行った主人が真っ青な顔で戻ってきたものだから何事かと事情を訊いてみれば。
なんというか、主人はどうもその場の勢いやテンションで物事を進めてしまうクセがある。
勢いも大事だが時と場合によりけりだ。後になってみて後悔することも多いし。
今回は帰り道で冷静になってえらいことをしてしまったと青くなったらしい。

「下手したらドン引きですよ、それは・・・」
「うう・・・」

主食がペロリーメイトのヒューマンってのもどうかと思うが。
私は一つため息をついた。

「まぁ、言ってしまったものは仕方ありません。それに、考えようによってはチャンスですよ、これは」
「チャンス・・・?」
「ええ、手料理を振舞えるわけですからね。しかも相手の部屋で」
「!!」

男を落とすにはまず胃袋を掴めという。・・・セシルは女性だけど。

「そっか・・・そうやな!よし、頑張る!」

相変わらず立ち直りの早い主人に、私は質問した。

「それで、何を作るんですか?」
「ああ、それなんやけどな。カレーにしようかなって」
「なるほど、無難ですね。カレーが嫌いな人ってあんまり聞きませんし」
「ふふーん、そうやろ?あとはサラダかなぁ」

嬉しそうに愛用のエプロンを付ける主人を見て、ふと気付いた。



72:5/5
10/06/19 21:42:30 lqUbgnQk
「あの、ご主人様?ルーは何を買いました?」
「何って、いっつも買っとるやつやけど?」

いつも買ってるやつ・・・。

「いつものっていうと、まさか、甘口ですか?」
「そらそうに決まって・・・あー!?」

主人は辛いものが苦手なので我が家のカレーはいつも甘口だ。だが相手もそうとは限らない。
むしろいい年した大人が甘口を好むとは思えない。更に言ってしまえばセシルは見た目からして辛口を好みそうだ。

「・・・仕方ありません。とりあえずそのまま食べてもらって、甘いようなら調味料でごまかしましょう」
「うう・・・」



何だか早速雲行きが怪しくなってきた。かといって私が手伝えばもっと酷い結果になりかねない。
どうする主人、どうなるカレー。



つづく



73:名無しオンライン
10/06/19 21:52:41 lqUbgnQk
>>66
どのくらいからが長編になるんでしょうか?
毎回出来るだけ無駄な文章は省くようにはしているのですが・・・

話を考えているとどうしても長くなってしまいます。申し訳ない。
短くて面白い文を書ける方が羨ましいですorz

74:名無しオンライン
10/06/20 19:59:33 Pyg2TU/N
>>66では無いけど、

>>73
>毎回出来るだけ無駄な文章は省くようにはしているのですが・・・
それはどちらかといえば「長編」ではなく、「長文」にならないように注意してるんだと思うんだ。

で、あくまで俺の意見だが物語を短編と長編で分けるとするならば、
以下に該当する場合が短編。それ以外が長編だと思う。

・1回の投稿が1~10レス程度として、1~3投稿程度で話が終わっている事

イメージ的には、アニメのサ○エさんやちび○子ちゃんみたいな感じと言えばいいか。
(30分で1~3話、登場するキャラ名や性格以外は特に前知識必要なし)
1~3投稿程度ってのは前・中・後編みたいな感じでも短編の枠とみなすって事。

ぶっちゃけ、どれぐらいが短編 or 長編というのは、
読み手毎の好みで違ってくるから一概には言えないと思うよ。
上記の俺の意見を例にすれば、
「1~10レス程度」、「1~3投稿程度」の部分が人によって違ってくるだろうから。
その為、この話題になると議論状態になってしまうから困った話だ。

>話を考えているとどうしても長くなってしまいます。申し訳ない。
無駄な文章は省くようにして、それでも書きたい事があって長くなってしまう場合は
別段謝る必要はないんじゃないかな?

それはそれとして、
>短くて面白い文を書ける方が羨ましいですorz
激しく同意だw俺もそんな文章書きてぇorz

75:名無しオンライン
10/06/20 20:02:36 Pyg2TU/N
>ちび○子ちゃんみたいな
GH450 『伏字になっていない件』
主   「フヒヒwwwサーセンww」

76:73
10/06/22 00:34:39 2XwVGEM4
>>74
レスありがとうございます。
>それはどちらかといえば「長編」ではなく、「長文」にならないように注意してるんだと思うんだ。
確かに、長編と長文は違いますよね。履き違えていました。

>無駄な文章は省くようにして、それでも書きたい事があって長くなってしまう場合は
>別段謝る必要はないんじゃないかな?
そうですよね、書きたい文を省いてしまったら意味がないですし。
開き直って書き続けます!



「・・・というわけで、開き直って書いた前回の続きです」
「なんか・・・結局なごぉなっとるなぁ・・・」
「そういうこと言うと、また出番なくなりますよ?」
「長編結構!長いの結構!投下やー!」

77:1/8
10/06/22 00:35:32 2XwVGEM4
主人が台所に篭ってから一時間余り、カレーの良い匂いがしてきた。

「完成ですか?」
「んー、出来たことは出来たんやけど、あとは煮込まなあかんなぁ。
 ほんまやったらもっと時間かけたいとこやけど・・・しゃーないな、もう1時間くらいしたらいこか」

そう言うと主人はセシルにメールを送った。あと1時間もすれば丁度夕飯時になるだろう。
時折鍋の中身をかき混ぜる主人をぼーっと見つめていると、私のパートナーカードにメールが着信した。
相手は一人しかいない。マイだ。

『こんにちは。本日の夕飯の件、主より聞きました。
 こちらで何か準備するものはありますか?』

準備か。といっても夕飯自体こちらが持っていくわけだし、食器くらいだろう。
主人に確認した後、そう返信した。すると、

『了解しました。買ってきます。』

買ってきます・・・って食器すらないの!?
慌てて待つように返信。主人に話すと私と同じような反応をした後、今回はこちらが持っていこう、ということに。

待てよ・・・食器すらないってことはご飯もないよな。これも持っていくのか・・・。
炊飯器、ナノトランサーに入れて大丈夫かなぁ。



78:2/8
10/06/22 00:35:59 2XwVGEM4
パートナーカードに記載された住所を頼りに、セシルのルームへ到着。
ドアが開くと、マイが門番のように仁王立ちしていた。
マイは軽く息を吸い込むと、元気よく

「ようこそいらっしゃれました!」

噛んだ。

顔を真っ赤にし、先程とは打って変わって小さな声で「こちらへどうぞ・・・」と奥を示すマイを
にやにやと眺めながら、私と主人は部屋へと入った。

「お邪魔しまーす」

イメージ通りというべきか、殺風景な部屋だった。最初から設置されているベッドや棚以外、一つも家具がない。
セシルは部屋の奥のベッドに腰掛けていた。

「わざわざ、済まないな・・・」
「ううん、うちが強引に決めてもたし・・・あ、火、借りるね。あっため直すから」

主人が鍋を暖めている間に、私はテーブルに食器を並べた。程なく主人が鍋を持ってやってくる。

「あれ、マイちゃんは?」
「ああ・・・そういえば入り口のとこに立ったままですね」

「マイちゃーん、準備できたでー」

主人が声をかけると、マイがトコトコと歩いてきた。



79:3/8
10/06/22 00:36:23 2XwVGEM4
「何でしょうか?」
「準備できたから、食べよ?」

マイがきょとんとした顔になった。

「自分も・・・ですか?」

今度は主人がきょとんとする。

「いや、そらそうやろ?ほら、二人分準備しとるし」
「主とミコト様の分ではないのですか?」
「あはは、ちゃうよー。今日は二人に食べてもらお思って・・・」

言いかけて主人は何事か考え込む。

「もしかして、いつも食べてない?」
「はい・・・定期的に武器や防具をいただいてはいますが」

そう、私達PMはヒトと同じように空腹を感じることはあっても、基本的に餓死することはない。
これが原因か、聞いた話ではガーディアンズでは様々な理由でマスターを失ったPMがルームに立てこもり、問題になっているという。
何も摂らずとも死ぬことのない身体故に帰ってこない主人を待ち続けている、と。

「何か・・・まずいのか?」

セシルが珍しく不安そうに訊いてきた。



80:4/8
10/06/22 00:36:48 2XwVGEM4
「じ、自分が食事しなくても平気と言ったんです!その、現に生活には支障はありませんし!」

自分の主人をかばうようにマイが言う。

「うーん・・・」

主人が考え込む。これが仮に主人だけ普通に食事をしてPMには与えていない、とかなら間違いなく主人は怒っていただろう。
しかしセシルは本人すらまともに食事を摂っておらず、マイに普通の食事を与えていないのも特に他意はないようだ。
ただいらないと言われたからその通りにしただけで。

「えっと、確かにPMは食べへんかっても大丈夫やねんけど、でもうちらと同じようにお腹は空くやん?」
「それは・・・そうですが・・・」

「やったら、やっぱりご飯は食べた方がええと思うねん。それに、一人より二人で食べた方がおいしいで?」

主人が笑いかける。セシルはしばらく主人とマイを見つめていたが、やがてマイに向き直ると、

「マイ。・・・一緒に食べよう」
「はっ・・・はい!ご一緒させていただきますっ!」

そのいつもより少し嬉しそうな返事に、私と主人は顔を見合わせて笑った。



81:5/8
10/06/22 00:37:13 2XwVGEM4
さて、ある意味ここからが本番だ。お皿にご飯を盛り付け、カレーをかける。
良い匂い・・・なんだけど、やっぱり辛そうに見えない。どう見てもお子様用だ。

二人の前にカレーが置かれ、主人の顔が若干緊張する。
セシルがスプーンを手に取った。

「すとぉーーーっぷ!」

主人だ。びっくりして動きが止まったセシルとマイの視線を受けながら、ゆっくりと両手を合わせ、

「いただきます」
「・・・いただきます」

大人しく真似した二人にニコリと笑って「召し上がれ」と言った。

セシルがスプーンでカレーをすくい、口に運んだ。
どうだ・・・?
もぐもぐと咀嚼するうち、セシルの目が段々と開かれていった。

手と口を動かすスピードがどんどん速くなる。がっついてはいないが、結構見事な食べっぷりだ。
マイは少しづつ食べながら主人の顔を上目遣いで見つめ、「美味しいです・・・」と小さな声で言った。
無言で食べ続けるセシルを見ていた主人はマイの言葉にはっとした。

「あ、ありがと~。・・・セシルさんは、どう?」



82:6/8
10/06/22 00:37:38 2XwVGEM4
「・・・・」

主人の声が聞こえていないのか、セシルは無言で食べ続けている。

「あの・・・セシルさん?」
「・・・!!」

二度目の問いかけにようやく気付いたセシルは手を止めた。少し顔に汗をかいている。

「ごめん・・・なんだ?」
「えっと、味、どうかな?美味しい?」
「美味しい。物凄く」

即答したセシルはまた無言で食べ始める。主人はほっとして「よかった~・・・」と言って脱力した。
まぁ、ここで飛び上がって喜ぶわけにもいかないしね。

それ程時間をかけずに食べ終えたセシルは主人を見ると、珍しく、本当に珍しく、少し恥ずかしげに

「おかわり・・・いいかな」

と言った。
お世辞ではなく、本当に気に入ったようだ。まぁ、お世辞言うような人には見えないけど。
もちろん、主人の返事は決まっていた。

結局その後もう一度おかわりして、夕飯は終了となった。



83:7/8
10/06/22 00:37:58 2XwVGEM4
「ごちそう様でした」
「ごちそう様でした」

最初と同じように主人の真似をして二人が手をあわせた。

主人は肩の荷が降りたような顔をしてセシルに話しかけた。

「ほんでもよかったわ~、美味しい言うてもらえて」
「ああ。・・・三食あれでも良いくらいだ」
「あははは。でもあれ甘口やってんけど、もうちょっと辛い方がよかったんちゃう?」

セシルが一瞬口をつぐんだ。

「私・・・辛いもの、全然だめなんだ」

これは意外だ。・・・もし主人が辛口で作ってたらどうなってたことやら。

「あは、ほなうちと一緒やねぇ。・・・っと、時間もおそなってったし、そろそろ帰ろかな」

時計を見ると、もうとっくに暗くなってる時間だ。・・・クラッド6は暗くならないが。
席を立ちかけた主人と私を、セシルが引きとめた。

「あ・・・待ってくれ」
「うん?」
「・・・何か礼をしたい」



84:8/8
10/06/22 00:38:37 2XwVGEM4
「お礼て・・・言われても」

主人が困惑する。

「そんなえらいことしてへんしなぁ・・・気にせんでええよ?」
「しかし・・・」
「ん~・・・あ、ほんなら」

何か思いついたようだ。主人はモジモジしながら、

「名前・・・セシルって呼んでも、ええ?」
「・・・そんなことでいいのか?」
「うん・・・」

セシルは少し拍子抜けしたような感じだったが、すぐに了承した。

「構わないよ。・・・元々、さん付けで呼ばれるのは慣れていないしな」
「あ、あ、あと、うちも、ミコトって、呼んで欲しい・・・」
「わかった」

思わぬ収穫だった。セシルは主人より年上みたいだから勝手に呼び捨てには出来ないし(しても気にしなさそうな人だけど)
かといっていつまでもさん付けでは距離を感じる。

セシルは居住まいを正すと、改めて主人に礼を言った。

「ミコト。今日はありがとう」
「ううん・・・こんなんで良かったら、またいつでも作るから」

その後、もう遅いからとセシルとマイに主人のルームまで送ってもらい、二人と別れた後、私と主人は気付いた。

私達、夕飯食べてない。


おわり



85:名無しオンライン
10/06/22 00:41:35 2XwVGEM4
「うぅ・・・こんな時間にこんな話書くからほんまにお腹空いてった」
「我慢してください。夜中に食べると太りますよ」
「むぐぅ・・・」


86:名無しオンライン
10/06/22 23:33:20 slUFjzIb
>>85
投稿乙でした。噛んだマイかわいいなwおいw

で、ちょっと>>74が言葉足らずだったので補足。

前に、いろいろな書き手さんの長編が重なった時に
とある書き手さんが「流れに割り込むのもどうかと思って・・・」と
投稿をちょっと躊躇してたって事があったんだわ。
だから、
「無駄な文章は省くようにした上で、結果長編になるなら仕方ない」
のだけれど、
「それでもうまく短編に纏めるよう努力する事」
「スレの流れを見て長編(短編)ばかりにならないように空気読む事」
は必要だと思うんだ。
例えば、
「書きたい長編があるけど、ここの所、長編が続いてるから、
書くだけ書いて投稿せず、小ネタの短編作ってみようかな~」とかね。
ただ、スレの空気読もうにも、そもそも書き手さん自体が減ってきているから、
そんなところまで考えてると投稿出来なくなってしまうという・・・
いや、物語を書くって難しいね、マジで。

ここまで書いておいて、今更ですが、
とっても偉そうで、しかもとっても難しい事を言ってるのは理解してます。
「言われなくても分かってるし、そんな事出来れば苦労はね~よ!!!!」
全くもってその通りです、申し訳ない。
どこぞのお馬鹿の戯言程度に考えててくださいな。

お詫びついでに駄文おいておきますね。ノシ

87:とあるPMの古い日記 1/1
10/06/22 23:42:38 slUFjzIb
○月×日
稼ぎの少ないご主人様がコツコツと☆2杖を取ったり買ったりしてくれたおかげで
今日ようやく人型になれた。嬉しさのあまり、ご主人様に飛びついて見たが
勢いあまってタックル状態に。かなりいい角度で入ったらしく、ご主人様はしばらく起き上がらなかった。
今度飛びつく時は少し遠慮しようと思う。

人型に成れたといういい機会なので、これから日記を書いていこうかと思う。


○月□日
ご主人様と初ミッションに行く事になった。
場所はニューデイズ。私の食事の杖を取っていた場所でもあるらしく、
ゴーモンのバータを避けつつサクサクと進んでいく。
私はせっかく人型になれたのだから、と張り切ってフォイエを連打していると、
遠くで「くそぅ、ダメダ・・・」と声がした。
どうやら、間違えてご主人様に当ててしまったらしい。次は注意しようと思う。


○月◎日
手作り料理でご主人様をメロメロにしよう!とパシ通に書いてあった。
メロメロは置いておいて、ほっておくとご主人様はインスタント物で済ませてしまう為、体に良くない。
玉型の頃から料理はたまにしていたが、人型になったので、本格的に頑張ってみようと思う。
手始めにパシ通の付録「マヤリー先生のお手軽クッキング♪」を熟読し料理を作って見る。
早速ご主人様にご馳走すると、ご主人様は泣きながら食べてくれた。隠し味のドグマドロップがよかったのだろうか?
ともかくここまで喜んでもらえると頑張った甲斐があると言うものだ。もっともっと料理の勉強を頑張ろうと思う。


☆月○日
お友達が出来た。GH440ちゃん。ご主人様の知り合いのヒュマ子さんのPMだ。
とっても内気な子だけど、そこがまた可愛らしかった。
仲良くなろうといろいろ話を聞くうちに、少し気になったので、
ご主人様とヒュマ子さんの関係について聞いてみた。
なんでも私のご主人様がヒュマ子さんの所の倉庫を借りる代わりに、ヒュマ子さんに服を提供するという事らしい。
拾った物は捨てられないご主人様の性格からして、うまくやったなあ~とは思うけど、何か複雑な気分。
だって、ヒュマ子さんってすごく美人なんだもの。
何かご主人様を取られちゃいそうで・・・って何書いてるんだろ、私。


□月×日
店番をしてたら、いきなり黄色い鳥の着ぐるみが入ってきた。
余りにも突然だった事と、着ぐるみの意味不明なハイテンションについていけず、
思わずフォイエをぶつけちゃった。しかも「くそぅ、ダメダ・・・」と聞き覚えのある声が・・・
ご主人様、着ぐるみ取れてうれしいのは分かるけど、そうならそうと早く言ってよぅ。


○月×日
ミッションから帰ってきたご主人様がいきなりハラロドウの現物を渡してきた。
何がなんだか分からないので、聞いてみたら、
「ほら、今日で人型になって1周年だろ?」だって。
・・・そっか、もうそんなに時間がたってたんだ。
本人すら、もうすっかり忘れていたのに、ご主人様が覚えてくれていた事がとてもとても嬉しかった。
まだ呆然としている私に、ご主人様は照れた様子で、
「で、だ。その、・・・これからもよろしくな!」
と言ってくれた。
・・・当たり前じゃないですか。こちらこそ、よろしくお願いしますね。ご主人様♪


88:名無しオンライン
10/06/23 11:54:52 a5MmVkf+
>>85
セシルの普段の生活ってどんなんなんだろ…

>>87
このPMは450なんでしょうか。
ほほえましい内容に癒されますね。

私のはどう見ても長編です。本当にありがとうございました。
でも気にせず投下します。

89:悩み 1/4
10/06/23 11:55:25 a5MmVkf+
「お嬢様、朝食の用意が出来ております」

またこの声。今までと大して変わっちゃいない。

「出発のお支度は済みましたか、お嬢様?」

私は何のために飛び出して来たの?

「いってらっしゃいませ、お嬢様」

束縛から逃れるため。自由になるため。それ以上でも、それ以下でもない。

ただの単純な理由よ。


「よう、また会ったな、ケイ」


変わりたかった。

90:悩み 2/4
10/06/23 11:55:47 a5MmVkf+
このクローですか?」
「それ、可愛いですよねぇ…私は装備できませんけど」
「ボクも見たことない」

「ツインミケクローです。2年3カ月と4日前にマスターから頂いたものです」
「あの人から…」
「いい御主人様ですね。羨ましいです、シュネー様なんてちっとも私の事なんか…」

ボクは・・・ご主人に何て思われてるんだろう。

「…ッシュ様? アッシュ様、いかがなされました?」
「ぁあ、うん、何でもない」
「嘘。顔に書いてありますよ。何か心配事でもあるんですか?」
「…」

「ボク、もう帰るね。ありがとう」
「…? お気をつけて…」

「何かあったんでしょうか…」
「私には推測できません」

91:悩み 3/4
10/06/23 11:56:13 a5MmVkf+
ご主人のしあわせは、ボク達PMのしあわせ。
ご主人のしあわせを願うのは、PMとして当然のこと。

だけど・・・

何かイヤだ。


あの『ケイ』とかいう人が現れてから、ボクはご主人と仕事に出ることはほとんどなくなった。

連れて行ってもらえないわけじゃない。

行きたくないんだ。

ボクは成長したはずだ。色んなことが理解できるようになった。

でもこれは・・・これだけは・・・


わかんないんだ。

いくら考えても。

92:悩み 4/4
10/06/23 11:56:34 a5MmVkf+
「よかった、貴方がお箸を使えて」
「俺もニューデイズで育ったからな」

「これ、ケイが作ったのか? なかなか美味いな」
「ううん、私のPMが作ったの」
「ふぅん…どんなヤツなんだ? ケイのPMは」

「そうね…逃げ切ったと思ったら、そうじゃなかった」
「はっ?」
「何でもないわ。あんまり話したくないのよ」

「PMを避けてるのか?」
「好きではないわ」

「じゃあ、貴方は自分のPMをどう思ってるの?」
「どう思ってるかって?」
「頼れる存在か、それとも恋愛の対象か。やっぱり、私よりも立場は上なの?」
「上って…何を言ってるんだ」
「ごめん、忘れて。私ったら、色々と考えすぎちゃって」

「俺はお前の事を何も知らない…だから大したことは何も言えない」

「そうよね…話したことがなかったもの。いいわ、折角だもの、話してあげる」

93:悩み
10/06/23 11:57:12 a5MmVkf+
今回分はこれで終了。

★今回の課題:展開をゆっくりにする

94:名無しオンライン
10/06/23 15:11:44 ffAiq61Z
>>86
レスありがとうございます。開き直って、というのは言葉が悪かったですね。
「長文にならないようにする努力」が必要なのは認識しています。
誤解させてしまっていたら申し訳ありませんでした。
割り込みに関してですが、私の場合は一応一話完結のつもりで文の最後に「おわり」と
つけて他の方が投稿されてもおかしくならないようにはしているつもりです。
ご指摘ありがとうございました。


それはそれとして。

>>87
>どうやら、間違えてご主人様に当ててしまったらしい。次は注意しようと思う。
「なるほど、その手がありましたか・・・」
「待てぇーい!どういう意味やそれ」


95:名無しオンライン
10/06/23 15:16:36 ffAiq61Z
>>88様の「セシルは普段どんな生活をしているのか」という疑問に勝手にお答えしたいと思います」
「っちゅーわけで、ミコトと!」「らぶの」「「突撃!インタビュー!!」」ワーパチパチパチ

「ゲストは勿論セシル様とマイ、インタビュアーは主人と私、カメラマンにアイリス様でお送りします」
「え、私映らないんですか?」「カメラさん、喋らないでください」

「えー、では早速セシルさん、普段何してますか?」「お見合いの質問みたいですね」
「あの、セシルさん映すとマイさん見切れるんですけど」「だからカメラさん喋らないでください。・・・らぶ、肩車や!」「エーッ」
「・・・あの、喋っていいのか?」「どうぞ!」「お、重い・・・」「す、すみませんらぶさん・・・」

「普段は・・・指定された任務がなければフリーミッションをこなしている」「なるほどー」
「・・・・」
「・・・・」

「えーっともうちょい具体的に・・・あ、一日のスケジュールみたいなんってありますか?」
「スケジュールか・・・まず、朝起きて、顔を洗って朝食」「うんうん」「・・・ペロリーメイトですよね」
「その後指定任務の有無を確認して、なければ午前中はフリーミッションをこなす。昼食後は大抵場所を変えてミッションだな」
「・・・えー、あー、仕事熱心デスネ・・・」「仕事人間ってレベルじゃないですよ」
「帰宅したらシャワーを浴びて夕食、就寝・・・以上だ」「・・・・」「・・・・」「膝がガクガクしてきました」

「・・・えー普段から仕事に励み、自己鍛錬にも余念がないっちゅうことですね!
 以上、ミコトとらぶの突撃インタビューでした!」「モノは言い様ですねぇ・・・」

「も、もう降ろしてもいいですよね・・・うわ、あ、わーーっ!」「きゃーっ!」バターン


おわり



96:名無しオンライン
10/06/23 15:18:30 ffAiq61Z
「書ける!私にも短編が!」
「勢いで書いたせいで物凄いごちゃごちゃになってますけどね」


本当、読みにくかったらすみません・・・。

97:名無しオンライン
10/06/23 18:38:46 qNFxbkbH
パシリがメインなら文句は無い
つまり文句あるって事だ

98:96
10/06/23 21:57:27 ffAiq61Z
>>97
申し訳ありません。確かにこれでは短編云々以前にスレ違いですね。
すみませんでした。

99:名無しオンライン
10/06/24 04:00:36 S2rQNEsT
固有名詞は一見さんにキツいという注意
続き物を書く時に配慮しておくれ

100:名無しオンライン
10/06/25 00:14:28 nXxh65px
test

101:名無しオンライン
10/06/25 18:15:54 YdMzLPFD
最近はパシリスレというよりご主人様スレな気がする
あと上にもあるけど固有名詞はどうしてか違和感を拭いきれないな

いや、もちろん読物は楽しませてもらってる

102:名無しオンライン
10/06/25 18:19:09 YdMzLPFD
>>87
タイトルに「古い日記」ってあるのに気付いて胸が苦しくなった
そうだよな… そうだったよな…

103:名無しオンライン
10/06/26 15:01:38 81y86Ci3
株式会社ロックワークス 廃業のお知らせ
━━━━━━━━━━━━━━━━━━
           ☆★ RoC Works ★☆
━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 
前略、皆様にはますます御清祥のこととお慶び申し上げます。
 
多くの皆様に長らくのご愛顧をいただいてきました『株式会社ロックワークス』は、
2009年11月30日12時00分をもちまして本社閉鎖ならびに
一切のサービス終了とさせていただきました。
 
2005年12月27日より事業を開始して、様々な
世界観を、オンラインネットワークゲームを通じて皆様にお楽しみ
いただけるよう尽力してまいりましたが、弊社の力及ばす、お客様
にご満足いただく為のサービスの提供が非常に困難との結論に至り
誠に遺憾ではありますが、先日に発表のとおりと相成ります。
 
わずかな期間でありましたが『株式会社ロックワークス』を温かくご支援いただいた
全てのお客様に、心より感謝と共に厚く御礼を申し上げます。
 
敬具
 
2009年11月30日 株式会社ロックワークス

※ロックワークスがポケモンをぱくって訴えられてる件
URLリンク(www.kajisoku.org)

104:名無しオンライン
10/06/27 20:41:23 jUj0mzQO
肺魚ウッ

105:名無しオンライン
10/06/27 23:35:35 lDbxlot7
          ____
        /|_:|:::::::::: __|
       /´ ::::::::: ,ノノ :.ヽ.
       / :::: :::::::,;:::: :::::;; ハ
       | :: ( :::::;ヘ;;,.,:;:,ハ::::.}
       |:(@:)イ-‐  ‐ ,'::.ノ   <まだだ、まだ終わらんよ!(このスレ的意味で
       (;イソヘリ、 ( フ_ノノ´
      (イリ/';:'`.=/ ̄ ̄ ̄ ̄/
      (.リ(_;:::つ/ GH-450 / カタカタ
. ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\/____/ ̄ ̄


106:名無しオンライン
10/06/28 00:18:18 ZQ4RxzBc
さーて、PSUチャレンジモード最終話、ようやく一部完成です。
詰め込みすぎてややこしくなってきてますが、2年半続けてきたものの伏線回収は楽しいですなw
ではどうぞ。

107:継承 VI 未来へと続く空(前編) 1
10/06/28 00:19:39 ZQ4RxzBc
わたくし、荒ぶる戦乙女のGH432がいつの間にか手にしていたその箱は、開くと大きさも形もまるで違うものになっていました。
色とりどりの花を敷き詰められた金剛石の棺。一人の女性がその中に入っていました。
主…?いや違う?
呼吸音もしませんし、心臓の拍動もありません。生物学的に言えば死んでいる、ただの蛋白質の塊。
ですが、それはまるで眠っているだけ…今にも起きだしそうな安らかな表情で。
主とまったく同じ姿をしていますが、なぜか違うとわかります。記憶領域の中にはないはずの人です。
ですが…
わたくしは…この女性を、知っている…!

「本作戦の目的は、炎侵食下におけるフォラン地方病院の生存者救出である」
「主、主~?どこにいらっしゃいますか~」
「はぐれた!?よりによってこんなときに!」
「探さなくちゃ…パートナーなのよ、私の大切な…」
失われていた記憶が断片的ですが甦ります。
それは3惑星すべてが炎侵食を受けたときのことで、わたくしとその人…わたくしがかつて主と呼んでいた人は、浄化が遅々として進まないパルムを救おうと、平原の浄化や地方の建造物での救出作業を繰り返していました。
報酬が少ないためかガーディアンズからも見放され、多数の重傷患者がいるにも関わらず、焼け落ちるのを待つだけの地方病院。その日のミッションはそこの救出作業でした。
燃えさかる建物の中で悠々と飛ぶ珍しいちょうちょを追い回しているうちに、主とはぐれてしまったことも…
爆発がありました。建物が崩れ落ちるのと、主がわたくしに覆い被さるようにしたのが見えたところで、目の前が暗転しました。

108:継承 VI 未来へと続く空(前編) 2
10/06/28 00:20:46 ZQ4RxzBc
「御されない、出来損ないのフォトンか…アドバンスト・フォトンなどとは、皮肉の効いたネーミングだこと」
次に目に入ってきたのは神々しい亜麻色の髪。わたくしはその女性を見上げていました。わたくしのボディは損壊が激しく、焼けこげた死体が覆い被さって…
「あなたの主人は死んだわ」
目の前に立っている女性も主の姿をしていますが、わたくしに覆い被さった死体の顔は、ずっと過ごしてきたことの大きさから感じられる何かは、その物言わぬ物体が主だと…
この黒焦げの塊が…主…?
嘘…嘘!主が…こんなこと嘘に決まってる…!わたくしのせいじゃない、嘘、嘘、嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ…
「自分の身に降りかかったことが理解できないか…その幼さがここで特異点を生み出すとはね。残念だけど、これは現実よ」
主を返してくださいよ、ねえ…
返して、返して、返して!返して!返して!返してよーっ!!
右手と両足が破損しているので、左手だけでしがみつき、黄金に輝く鷹の翼に似た衣をまとった亜麻色の髪の女性に向けてみっともないくらい泣きわめく、錯乱したわたくし。
わたくしのエネルギー源であるフォトンジェネレータがアラートを発し、胸中の、恐れと悲しみとやり場のない憤りがないまぜになった感情が、どす黒い塊と感じられるような質量を持ちだしました。
「そう…では、あなたがいつかこの現実に向かう勇気を得るなら、勇者となる誓いをたてるなら、その願いを叶えましょう」
女性はため息をついてわたくしを抱き上げました。わたくしの中で爆発した荒れ狂う感情と物理法則を超えて増大しだした質量が溶けるようにして消えていきました。
「ただし、この事実は残るということは忘れては駄目。私が行うのは、あなたの主人が死んだという事実とは別の方向を進んだ世界を作ること。
いずれあなたは自分の力で本来の運命と向き合わなければならない。あなた自身がこの願いを叶えるのよ。そう誓いなさい」
ぐるぐると頭の中で言われたことが錯綜します。怖いことを認めるのもいや、わからない何かをしなければいけないのもいや、今のままもいや…
「このままでいいというならそうするけど。誓うの?誓わないの?」
わかりました…誓います…
意味はわかりませんでしたが、誓えばなんとかなるというのだけはわかり、その言葉を口にしました。
「よろしい、誓い(ゲッシュ)は掲げられた。勇者の前途に祝福を」
そうして、わたくしはそれまで本物の主と過ごした事実と引き替えに、主の死ななかった世界を創造してもらったのです。

109:継承 VI 未来へと続く空(前編) 3
10/06/28 00:22:27 ZQ4RxzBc
……………
すべて理解できました。わたくしが覚えている限り最初からGH432で、GH430より前の記憶がないこと、主の素性を知らないこと、そして今までの主の不審な行動。
なんということはありません。あるはずだった過去は、この世界には存在していないのですから。わたくしの知っているこの世界は、このときに作られたものだったのですから。
わたくしは…わたくしは、戦乙女の名を持った、ただの負け犬だったのですね…
本物の主を自分のミスで死なせ、それを受け入れられないまま逃げ出した…
「そう、あなたは死というものが理解できなかった。ただ目の前の事実が怖くて、目をそらして、ねじ曲げた」
「………」
聞き慣れたような、ちょっと違うような声が、わたくしに残酷な事実を告げました。わたくしはうなだれた首を上げられず、目から流れ出る液体を落ちるに任せるだけでした。
「ねじ曲げたところで事実は変わりません。あなた以外のすべてのものが、その事実を指し示しています。そこから逃れるために他を歪ませ、その歪みが生み出したものが、あなたの作ったダークファルス、最終的に全てを破滅に導く無限エネルギー」
「そう、そういうことだったんですね…だから死に反応して…」
「わたくしは誰よりそれを知っています。だって、わたくしは、あなたですもの。あなたの本当の姿ですもの」
やっと顔を上げたわたくしの目に入ってきたのは、体のあちこちが焼けこげ、右腕と左足首より先、右膝から先が壊れてなくなったGH432、他ならぬわたくしでした。

わたくしはたしかに成長してきたのでしょう。ダークファルスにも黒の巨人にも勝ちました。でも、何も解決していませんでした。
結局わたくしは、神という存在、越えられない壁の前に、同じように逃げ出しただけ。自分が作った闇にとらわれたまま、もがいていただけ。
何も始まってなんかいなかったのです。
わたくしはいてもたってもいられなくなり、何をしよう、何を言おうとか考えるでもなく、主のところへ向かおうとしました。ただ会いたい、それだけのために。
しかし、開けられた箱から広がっていた空間は、わたくしを見えざる手で縛り付け、ミッションカウンターへ行くことを許しませんでした。
それでも光の翼で無理矢理向かおうとしましたが、今度はまっすぐ進むことができず、天井にぶつかって落ちるはめになりました。見れば、不安定な翼は奇妙にねじくれてしまっていました。

110:継承 VI 未来へと続く空(前編) 4
10/06/28 00:23:58 ZQ4RxzBc
「やはり何もわかっていなかったか…それでは何もできぬと言ったであろう」
もう一度聞きたい、でももうそれはかなわないと思っていた声。はっとして声のほうを向くと。
「残酷だとも思ったけど、しょうがなかったのかもね。止められていた無限エネルギーを使った以上、あなたはそれを使えなければいけなくなったんだから」
ラシーク王に、リコさん…
「言ってくれたよね?自分を見るのは怖いんだって。自分は自分をやめることはできないんだって」
ネイさんと、お姉さん…
「この世界において、おまえはいったい何をやってきた?ライラ・ブラングウェンは相手を悪と断じるのではなく、純粋に利益同士のぶつかり合いで我を殺した。
だが貴様はどうだ。貴様自身を正当化する正義とは何か、その結論も出せていない」
あなたは、ジオ…
「現に貴様は我が何を求めたのか、自分の知らない観点を理解しようとすらしなかったではないか。ステージクリアはできたからもう関係ないとでも思っていたのか?だから貴様はモノなのだ」
敵だったとはいえ、ジオの言葉が正しいことはわかります。言い返しようがありませんでした。
「パルマ王として、為政者として言わせてもらおう。人が大きな問題に立ち向かうとき必要なのは、正しい情報と知恵だ。
それをするためには、物理や化学、政治経済、歴史を学ぶことを避けて通ることはできぬ。すべては蜘蛛の巣のように絡み合っているのだ。学問とはそういうものだ」
「たとえば、あなたが食べていたものがどこで作られたか、その材料はどこから集まって、誰にどれだけの利益がわたったか。
身近なことに関係があるとわかれば、学ぶこと自体が楽しくなるはずよ。まずは興味のあるところから入ればいいんじゃないかしら」
それだけ言い残すと、忌まわしい過去を詰め込んだ金剛石の棺や、今まで出会ってきた人たちは、ふっと意識が遠のくような一瞬の感覚とともに、跡形もなく消えました。

111:継承 VI 未来へと続く空(前編) 5
10/06/28 00:25:39 ZQ4RxzBc
わたくしが取り残された出られない空間には、相変わらず周囲には映像が舞い、星々の光の間にいくつもの宇宙の歴史が映し出されています。
リコさんに言われたとおり、先ほど使われた端末に、わたくしの不完全な『光』でアクセスして、記録の海を彷徨っていました。
興味のあるところと急に言われてもすぐに思いつきませんでしたので、とりあえずグラール全体の歴史から見ていきました。
そこにはいろんな歴史がありました。起こった出来事には理由があり、またいくつもの分岐点があって、そこでいくつもの宇宙が存在していました。
SEEDが出現しなかったグラール。レリクスを作った旧文明の人たちが突如現れたグラール。ファージと呼ばれる謎の惑星破壊因子に3惑星とも破壊されたグラール。
そのファージが気になって調べてみると、外宇宙との関わりがある場所へと続いていき、私はそこにたどり着きました。
1つの恒星と8つの惑星で成り立つ太陽系の、青い水の惑星。それは『地球』といいました。
ネイさんを助けるとき協力してくれたオンミョージさんの出身はここだと本能的にわかり、興味がわきだしました。
その星の過去の姿を見ていくうちに、非常に大きな光が見えてきて、その中を覗き込むと、輝く宮殿の玉座に座る人物が見えました。
「『炎より守られたる所』へようこそ、遠い未来の勇者よ」
主と同じように、まぶしい光の中からそこにずっといたかのようにして現れた、歴史の教科書に載っているような古代の服を身に纏った黒髪の偉丈夫。孫を見守る老人のような優しさをたたえた眼差しの男性でした。
主の『席のある部屋』と同じ、変なネーミングセンスの館…この人、まさか。
「あなたは誰です?主のことを知っているのですか?」
「『女主人』の兄、『主人』とでも言っておこうか。そう呼ぶものが多かった」
「主の…?お兄さんがいたんですか」
「私と妹は、あらゆる時代、あらゆる世界で兄と妹であり続ける。ネロとアリサのように、兄が先にいなくなることも含めた運命の連鎖となっている」
ちょっと理解の範疇を超えていますが、もうさすがにわからないことが多すぎて、慣れてきてしまいました。
もうかたっぱしから質問していきますよ、ええ。

112:継承 VI 未来へと続く空(前編) 6
10/06/28 00:27:09 ZQ4RxzBc
主のお兄さんは聞いたことをわたくしにもわかるよう丁寧に教えてくれました。
その膨大な知識量で、何を聞いても教えてくれそうでしたが、時々知っているのに答えないというそぶりを見せるのが主そっくりで、なんだか心安らぎます。
「…そして神々が作り出した知性の集合体たる世界樹は黒の巨人に壊された。私が残しておいたその根幹が『牡鹿の角』と呼ばれるものだ。立派に育っているようで何よりだ」
お兄さんが手にした、いくつも枝分かれした奇妙なセイバーをわたくしのほうに向けると、わたくしが先ほどから彷徨っていた、古き神の遺産がその全貌を見せました。
それは人の意志でアクセスすることのできる超巨大データベースのような、しかしそれだけではない何かでした。
わたくしのいるところから前後に長大な光の束がのび、何千何万という枝に分かれて、あらゆる方角へと飛び散っています。
それは作られたときには最小限の大きさでしかなく、お兄さんが今持っている大きさでしたが、わたくしが見ると膨大な知識を蓄えているという巨大な木のようでもありました。
それを見上げるわたくしはあまりにもちっぽけで。
わたくしが無限エネルギーを制し、自分の過ちに向き合って進めるようになるのには、これを理解しろという話ですが。
ただでさえ勉強嫌いで、しかもいろいろと制限の多いパシリのわたくしなんかにできるものでしょうか…
満月の下でそびえ立つ光の大樹に呆然としているわたくしに、主のお兄さんはほほえみかけました。
「妹は先天性色素欠乏症で、日光に弱かった。そしてそれを克服するためにマジックを創造した。月の女神と呼ばれたのは、日が落ちてから外に出ることが多かったためだ」
「あ…『光』は力劣る者が生み出しやすいとは、そういうことですか?ないものを求め、必要があるから生み出すと」
「そうだ。劣るからこそ、君にはできる。少しは自信がついたかな?」
そこまで言うと、主のお兄さんはわたくしから視線を外し、周囲を見回しました。
「気がついていたか?入り口も出口もないこのパイオニア2の不自然さに。君がいるのは君が作り出した『闇』、ブラックホールの中。だから時間も空間もおかしくなっていて、出ることができないのだ」
「その中では時が止まっているということですか?」
「まあ、そんなところだ。時間がなぜ過去から未来に流れるか、考えてみたことはあるか?それがわかれば、なぜ止まっているかもわかる。
原因がわかれば、対処の方法も考えられるだろう。焦らずに、道草をして足下を固めながら行くがいい。無駄な経験など、何一つとしてないのだ」
大きくて暖かい、力強いのに柔らかいお日様みたいな手と握手すると、少し勇気がわいてきて、一つずつできるところから見ていくことにしました。
幸いにして、時間は無限にあるのですから。
「立ち直ってみせたまえ。君が今まで不可能を覆してきたのと同じように」


-続く-


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