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3) 伝播
潜伏期及び発病期の感染動物は,口蹄疫が発生後蔓延する際の主要な感染源になる。
とくに,感染動物は病変形成前からウイルスを排出するので大きな問題となる。
主な家畜の潜伏期間は,牛6.2日,豚10.6日及びめん羊9.0日である19)。
潜伏期間は感染ウイルス量が多いと短かく,少ないと長くなる傾向があり,
自然例では必ずしも一定していない。
各家畜はいずれも水疱形成前からウイルスを排出する。
その期間は水疱が出現する前の1~5日(牛),2~10日(豚),0~5日(めん羊)といわれる(表3)。
とくに,豚の潜伏期間は長く,その間にウイルスを排出するので問題となる。
さらに,豚のウイルス排出量は,ウイルス株により差があるが,
一般に牛などの反芻獣に比較して100倍~2,000倍多く,
高濃度のウイルスをエアロゾルの状態で気道から排出する37,38,115)。
1頭の感染豚が1日に排泄するウイルス量は108ID50(ID50は
感染動物が発病に要する最少感染量の推計値)を越えるが,
牛,めん羊,山羊の1日ウイルス排泄量は最大でも105ID50程度である83)。
一方,豚の最少有効感染量(経気道感染で102.6ID50,経口感染で105.0ID50)は,
牛のそれ(経気道感染で101.0ID50)に比較して,より多量のウイルス量が必要とされる35,39,40,56,110,117)。
このことから,口蹄疫ウイルスの感染疫学において,牛をdetector(検出動物),豚をamplifier(増幅動物)とみなす概念がある68)。
このように,豚は本病の蔓延にきわめて重要な役割を果たしている。
豚の飼養密度が高い地域に発生すると,地域のウイルス汚染度が高まり,
空気伝播や風による伝播が起こりやすくなって,防疫が困難になるとの指摘がある76)。
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