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★時代の風:公共性と匿名性=精神科医・斎藤環
・駅員への暴力が急増しているという。
2009年度、駅員や乗務員に対する暴力行為が869件発生。調査開始以来最多であったという。
加害者の60%近くが飲酒していたと報告されている。世界で最も安全な国であるはずの日本で、
こうした暴力が増加しつつあることは、なにを意味しているのだろうか。
海外でも就業中の暴力被害は大きな問題となっている。しかし、アメリカやイギリスの調査研究を
みるかぎり、かなり日本とは状況が異なっている。大多数を占めるのは強盗や殺人、レイプと
いった凶悪犯罪だ。アルコールが関与する暴力にしても、アルコール依存症者によるものが
大半で、酔っぱらった一般人によるものではない。
一方、日本では酒の上での失態は大目に見ようという風潮がいまだ根強い。
ところで、この種の暴力は、電車内での痴漢行為にも通じるところがあるのではないだろうか。
日本における痴漢被害の多さはよく知られており、対策として女性専用車が導入された。痴漢対策の
ための女性専用車は、海外では韓国やブラジルにもあるが、それほど一般的なものではない。
アメリカやイギリスでは、日本特有の奇妙なシステムとして報道されたほどだ。
私には、この種の痴漢行為と駅員への暴力には共通の要因がかかわっているように思われてならない。
それは「匿名性」の問題である。
混雑した電車内では、誰もが単なる乗客の一人として、高い匿名性を帯びてしまう。このとき“匿名性
という仮面”は、しばしば人々の攻撃性を高め、あるいは迷惑行為への敷居を下げてしまうのではないか。
典型例としては「2ちゃんねる」など、ネット上の匿名掲示板が挙げられる。この種の掲示板は、ネット上
でも誹謗中傷や罵倒の応酬が最も頻繁に見られる場所だ。同じく匿名であっても、発言者の同一性を
追跡しやすいブログやツイッターなどはずっと平和だ。この違いは、匿名性が高いほど人間の攻撃性が
誘発されやすいと考えなければ説明できない。(>>2-10につづく)
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