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・映画監督の宮崎駿さんが、アップルのタブレット型端末iPadにダメ出しをしたとネットで
話題になっている。iPadを使っている人は新製品にとびついて得意になっているだけの
「自慰行為」そのもので嫌悪感すら覚える。誰もがiPadで入手できる程度の情報は
たいしたものじゃない、というのだ。
宮崎さんのこの発言はスタジオジブリが発行しているフリーマガジン「熱風」(2010年7月発行)の
7号に掲載されている。同誌の編集部が宮崎さんにインタビューをし、それを元に宮崎さん自身が
新たに書き起こしたものだ。
宮崎さんはインタビューでiPadに何の関心も感動も持てない。人がそれを触っている様は
気色悪いだけで嫌悪すら感じる、とし「その内に電車の中でその妙な手つきで自慰行為のように
さすっている人間が増えるんでしょうね」と話した。質問者がiPadは欲しい情報が居ながらにして
手に入るなど、先進技術や利便性を説明すると、「あのね、誰でも手に入るものは、たいしたもの
じゃないという事なんです。本当に大切なものは、iナントカじゃ手に入らないんです」と
切り捨てた。宮崎さんは仕事で使うものは鉛筆と紙、わずかな絵具があれば充分だという。
宮崎さんはiPadで得られない大切な情報として、「安宅(あたけ)型軍船」を挙げた。欲しい情報は
この軍船の漕座の雰囲気や、漕手の生活や心理状態。こうしたことはiPadを使っても探し出すのは
不可能。「安宅型軍船」の情報は、様々な記録から自分で推測するしかないし、大切な情報は
自分でその場に出かけていって想像力を注ぎ込んで初めて得られるものだという。
iPadをありがたがっている人達は、1960年代に大きなラジカセを買ってどこへ行くのにも
誇らしげに持ち歩いた人たちと同じで、新製品を手に入れると得意になるただの消費者だと
している。そして宮崎さんは最後に、「あなたは消費者になってはいけない。生産するものに
なりなさい」という言葉で結んでいる。(>>2-10につづく)
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