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膨大な調査データの分析によって、日本における単身世帯急増の実態と影響を浮かび上がらせる本書。
そこから見えてくるのは、決して他人事では済まされない、貧困や介護、そして社会的孤立であると著者は言う。
「単身世帯の割合は、2005年では29.5%でしたが、2030年には37.4%に上昇することが予測されます。
ここで注目すべきは、年齢別の割合です。05年では20代男性の単身世帯が205万世帯と最多でしたが、
30年になると50代が最多の197万世帯に。60代も187万世帯となり、中高年男性の単身世帯が急増するという特徴が見られました」
人口に占める割合では、50〜60代男性のほぼ4人に1人が単身世帯になる計算だ。
ちなみに、30年の女性の単身世帯は80代が最多で、男性のように中高年層突出の傾向はないという。
単身世帯の増加には、長寿化や成人子と老親の別居、そして未婚者や離婚者の増加といった、
さまざまな要因が影響を与えているようだ。
「社会的インフラの整備で、単身生活に生じる不自由さは減少していますが、リスクもあります。
ひとつは、貧困。夫婦2人、あるいは子供がいる場合、失業や病気で世帯主が働けなくなっても、
避けられないのが自身の介護です。日本国が社会保障に費やす費用を対GDP比で見ると、
世界的にも非常に安上がりな制度であることが分かります。これは、家族による助け合いを前提として構築されているためですが、
単身世帯には介護を補う家族がいない。社会保障の拡充や再構築が急務ですね」
孤独死につながる社会的孤立も大きな問題だ。ある調査では、日本は“家族以外の人との交流”が
非常に少ない国であることが分かっている。つまり、単身世帯が社会的孤立に陥りやすい国民性があるわけだ。
「団塊世代が中心となり、NPOを拠点として地域コミュニティーの強化を図るなど、
人的なセーフティーネットづくりという対応策も考えられます。
今は家族と暮らしていても、単身世帯になる可能性は誰にでもあります。
単身でも安心して暮らせる社会のあり方を、早急に考える時が来ているのではないでしょうか」
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