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国立公園内などの山岳地帯で、山小屋の経営者らがトイレを
設置する際、環境省が費用の一部を補助する制度が論議を呼んでいる。
省庁版の事業仕分けで、「廃止」と判断されたものの、登山関係者や自治体から
「環境保護のために必要」と反発が出ているためだ。同省は12日に有識者らの検討会を開き、今後の方策を考える。
「トイレ整備が不十分なため、使用済みトイレットペーパーが登山道脇に残っている。
外国人の登山客も増えているのに、日本の山の美しさを味わってもらえない」。
愛媛県山岳連盟の白石崇会長(70)は、西日本最高峰として人気の石鎚(いしづち)山(愛媛県)の現状を嘆き、
「国の補助を活用すれば改善できる」と話す。
仕分けで「廃止」とされたのは、同省が1999年から行う「山岳環境等浄化・安全対策緊急事業費補助」。
国立、国定公園内などで、山小屋を営む民間事業者や自治体がトイレなどを整備する際、
事業費1000万円以上の場合は国が半額負担する。2001年の同省調査では、
汚水流出やトイレットペーパー散乱などで改修が必要なトイレは全国に約200か所とされた。
このうち約半数で、カキ殻やスギのチップで汚物を分解する「バイオトイレ」などが導入され、
今年度も1億2000万円の予算で5か所程度を改修する予定だ。
ところが先月上旬の仕分けでは、有識者から「建設費を利用料で回収する方策を考えるべきだ」
「受益者負担、汚染者負担の原則から、補助は説明がつかない」などの意見が相次ぎ、「廃止」と結論づけられた。
受益者負担について、同省は「国立公園の所有者と管理者が同じで、入園料を取る米国と違い、
日本では難しい」と説明する。日本の国立公園は、所有者が林野庁や民間地主、管理者が環境省とばらばらで、
入園も原則無料。トイレ補助の対象は急峻(きゅうしゅん)な山岳地帯がほとんどで、
ヘリコプターで資材を運ぶこともあり、1件あたりの事業費は平均約3700万円。使用料で賄うのは難しいという。
先月18日には、日本山岳会メンバーや山小屋経営者らが、同省に事業継続を求める要望書を提出した。
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