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★中国、人民元の上昇容認へ 対ドル相場固定を解除の意向
中国の中央銀行にあたる中国人民銀行は19日、「人民元為替レートの弾力性を強める」とする
声明を発表した。人民元相場のドルへの固定を解除し、再び人民元を上昇させていく意思を示すものだ。
カナダで26日に開かれるG20首脳会議を目前に、為替制度の改革への積極性を示した。
週明けの21日以降、為替介入によって2008年夏から続けてきた1ドル=6.83元前後での
相場固定を解除。対ドル相場の緩やかな上昇を再び容認していくものとみられる。為替制度そのもの
は変更しないので、人民元の対ドル相場の上昇ペースは今後も人民銀が握る。最大でも毎朝、
人民銀が公表する基準値の0.5%に制限される。
人民銀は声明で「世界経済は着実に回復し、中国経済の回復傾向の基礎もしっかりとしたものになっており、
経済運営は平穏に向かっている。人民元為替レートの形成メカニズムの改革をさらに進める必要がある」と強調した。
中国政府は今回の声明を機に、08年の金融危機で先送りしていた国内の産業構造の転換に本腰を入れる
方針とみられる。輸出依存型の経済から徐々に脱却し、産業の高度化を図り、内需主導型への転換を進めていくとみられる。
中国では人民元相場を固定するために続けてきた「元売りドル買い介入」で、中国国内に人民元がだぶつき、
インフレ圧力や不動産バブルが発生。物価上昇を抑えて景気回復を息の長いものにするため、
人民元の上昇再開は避けられないものになっていた。
ただ、ギリシャの財政危機をきっかけとする欧州での財政不安、ユーロ安進行で世界経済の先行きには不透明感が
出ていることから、為替制度改革に前向きな姿勢を強調しつつも、人民元の対ドル相場を一度に数%切り上げる
方法は避け、人民元相場の上昇ペースについては、世界経済の先行きや輸出の動向を見極めながら決める、
との判断に至ったものとみられる。
中国は05年7月の為替制度改革で、人民元対ドル相場を約2%切り上げ、その後も緩やかな上昇を容認していた。
だが、金融危機の深刻化から自国の輸出産業を守るため、08年夏から相場を事実上固定した。
自国通貨が安いと、輸出品を割安な価格で他国に売り込める。
しかし、中国製品を大量に輸入する米国にとっては、人為的な為替の固定は、自国産業の収益を悪化させ、
貿易赤字の拡大にもつながる。米議会は「人民元の対ドル相場が不当に安く抑えられているせいで、
米国企業の競争力がそがれ、米国内での失業増を招いている」と、中国に対して人民元切り上げを求めていた。
今回の声明には、6月下旬にカナダ・トロントで開かれるG20サミットを前に、米国の要求をかわす狙いもあるとみられる。
朝日新聞 URLリンク(www.asahi.com)
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