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広告の利便性やインターネット業界の都合を優先する規制緩和が進められ、
個人のプライバシーが損なわれる危険があるとしたら、そんな政策は認められない。
総務省の研究会がこのほどまとめたネット広告に関する提言は見過ごせない内容だ。
ネット接続業者(プロバイダー)が通信を傍受して利用者の情報を得る
ディープ・パケット・インスペクション(DPI)と呼ぶ技術を広告ビジネスに使うことを解禁するというのである。
利用者の同意取り付けなどに関する業界ガイドラインを作ることが条件とされている。
解禁すれば、利用者が初めて訪れたサイトにも「あなたにはこんな商品がお勧め」
といった広告を出せるようになる。だがそれは、電話ですしの出前を頼んだら、
電話会社から情報を得たケータリング会社の御用聞きが頻繁に来るのと同然だ。
憲法21条の2項は「通信の秘密は、これを侵してはならない」と定めている。
この規定を事実上、棚上げにして、営利目的の通信傍受を条件付きながら認めるものではないか。これはとんでもない話である。
ネット利用者の操作履歴などを利用した広告は、ネット通販業者など
通信の相手先が独自に情報を集めるという限られた形で行われてきた。これに比べ、
通信傍受による広告は利用者がどこで自分に関する情報を集められ、
どう使われるかが一段と分かりにくい。米国や英国でもDPIの広告利用は実用化されていない。
研究会の提言はネット業者のガイドラインを作る際の配慮事項として、
情報収集の方法と用途を利用者にあらかじめ説明することや、利用者が拒否すれば収集を停止する、
情報が外部に漏れるのを防ぐ、など6項目を挙げている。だが、この程度では厳密なガイドライン作りは無理だ。
続きます
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