10/05/29 13:33:08 0
・これが、鳩山首相の「5月末決着」の姿だった。深い失望を禁じ得ない。
普天間問題は最後まで迷走を続けたあげく、政府方針が閣議決定された。臨時閣議に先立ち
発表された日米共同声明とともに、移設先は名護市辺野古と明記された。
これは、首相が昨年の総選挙で掲げた「最低でも県外」という公約の破綻がはっきりしたことを
意味する。首相の政治責任は限りなく重い。
首相は決着の条件として、米国政府、移設先の地元、連立与党のいずれの了解も得ると
再三繰り返してきた。
しかし、沖縄は反発を強め、訓練の移転先として唯一明示された鹿児島県徳之島も反対の
姿勢を崩していない。
社民党党首の福島瑞穂担当相は署名を拒み、首相は福島氏を罷免せざるをえなくなった。
「5月末決着」という、もうひとつの公約すら守れなくなることを恐れ、事実上、現行案に戻る
ことで米国とだけ合意したというのが実態だろう。
地元や連立与党との難しい調整を後回しにし、なりふり構わず当面の体裁を取り繕おうとした
鳩山首相の姿は見苦しい。
この「決着」は、大きな禍根を二つ残すことになろう。一つは沖縄に対して。もう一つは
米国政府に対して。沖縄県民には、今回の政府方針は首相の「裏切り」と映るに違いない。
政権交代の結果、普天間の県外移設を正面から取り上げる政権が初めて誕生した。
県民が大きな期待を寄せたのは当然であり、そのぶん反動として幻滅が深くなることもまた当然である。
一方、米国政府に植え付けてしまった対日不信も容易には取り除けまい。
私たちは5月末の期限にこだわらず、いったん仕切り直すしかないと主張してきた。東アジアの
安全保障環境と海兵隊の抑止力の問題も含め、在日米軍基地とその負担のあり方を日米間や
国内政治の中で議論し直すことなしに、打開策は見いだせないと考えたからだ。その作業を
避けたことのツケを首相は払っていかなければならない。(>>2-10につづく)
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