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北九州市立青葉小（同市若松区）５年、永井匠君（当時１１歳）が０６年に
自殺したことを巡り、両親が「担任教諭による体罰が原因」と市などに損害賠償を求めた訴訟は２１日、
福岡高裁（古賀寛裁判長）で和解が成立した。市は自殺を防げなかった責任を認め、
再発防止に真摯（しんし）に取り組むことを盛り込んだ。この言葉は、
遺族側が１審で勝ち取った市への８８０万円の損害賠償を求めない代わりに和解条項に記された。
１審判決によると、匠君は０６年３月１６日午後、掃除中に丸めた
新聞紙を女子児童に当てたとして担任の女性教諭＝既に退職＝にしかられ、
胸ぐらをつかまれて床に倒れ落ちた。直後に教室を飛び出し、しばらくして戻った際、
「何で戻ってきたんね」と担任に言われ、再び教室を出て自宅で首をつった。
福岡地裁小倉支部は０９年１０月、教諭の行為は体罰と認め、
市に８８０万円と、独立行政法人「日本スポーツ振興センター」に
死亡見舞金２８００万円支払うよう命じたが、市側は控訴していた。
福岡高裁は今年１月、控訴審の初弁論後に和解を打診。
末期の子宮がんをおして裁判に臨んでいた母親の和子さん
（今年３月に４８歳で死去）は１審で勝ち取った賠償請求権を
放棄する代わりに、市に責任を認めることと教育現場での体罰の
再発防止を求めたが、市側は「教諭の行為は体罰には当たらない」と譲らず、交渉はいったん決裂しかけた。
その後、和子さんが死去し、市側は態度を軟化させた。
「教諭の行為は体罰ではない」との主張は変えなかったが、
一連の責任は認めることとなり和解が成立した。匠君の父、
昭浩さん（４９）は「和解は１００％納得できる内容ではない。
ただ、訴訟はあまりに疲れる。匠の他にも大切な子どもが２人いる。ここで区切りをつけることにした」と語った。
北九州市の北橋健治市長は和解について「児童の自殺を防止
できなかったことに責任を感じている。匠君と和子さんに対し、
心からご冥福をお祈りします」とのコメントを出した。【岸達也】
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