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宮崎哲弥
この点については、名作「自虐の詩」で四コママンガの新たな可能性を切り開いた
業田良家の近作「詩人ケン」(マガジンハウス 1998年)も示唆に富んでいる。
(略)ケンはその日の体験を詩にする。
生命よりも大切なものはない
生命よりも大切なものはなにもないのだ
生命が生きてゆくために生きている
理想や目標は地面に手を付き命乞いをしなさい
生命は本当にかけがえのないものだから
ずっと生きてゆくことです
そのかわりと神は言った
おまえたちに空っぽをあげよう
私たちの生は「空っぽ」である。私たちの生は偶然の所産である。
私たちの命には目的も、方向性もない。生の真意は「死なないこと」
のみである。(略)皆がこのように悟りきることによってのみ、世界の平和、
心の平安は実現する。約二千五百年前、
ゴータマ・ブッダはこの事実に気づいた。
そのおよそ五百年後に現れたイエス・キリストはこのことを見落とした。
以降、人は少しも賢くなっていない。(略)
小林よしのりの『戦争論』は、
人類の愚かしき多弁と無惨の様を如実に痛感させてくれる
ということにおいてのみ、末永く銘記される作品となるだろう。