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★「就職氷河期」はなぜ起こったのか 下
90年代のくわしい実証研究でも、90年代に各部門の雇用が減る一方、建設業だけが
増えており、こうした部門間の人的資源配分のゆがみによって労働生産性が大きく低下した
ことが示されている。わかりやすくいうと、実質的につぶれた銀行や不動産・建設などの
「ゾンビ企業」を大蔵省が「官製粉飾決算」で延命するとともに、失業者が生産性に
寄与しないハコモノ公共事業に吸収されたため、労働生産性が低下したのだ。
こうした労働供給の減少と労働生産性の低下が不況を長期化させ、しかも「日本的雇用慣行」
によって社内失業者を守るために新卒の採用をストップしたことが「就職氷河期」をもたらした。
この人的資源配分の不均衡は、景気が最悪の事態を脱した現在でも続いており、日本の
労働生産性は主要先進国で最低だ。この意味で、まだ氷河期は終わっていないのである。
だからマクロ的にみて最も重要なのは、労働市場を流動化させて人的資源を生産性の高い
部門に移動し、労働生産性を上げることだ。そのためには、流動化をさまたげている正社員の
過保護をやめるしかない。労働者派遣法には派遣労働者を一定の期間雇用したら正社員にしろ
といった規定があるが、これは結果的には企業が派遣労働者の雇用を短期で打ち切ったり
「偽装請負」を使ったりする原因となるだけだ。労働市場の反応を考えない「一段階論理」の
設計主義による労働行政が、結果的には非正規労働者の劣悪な労働環境を固定化している
のである。
問題は、非正規労働者を正社員に「登用」することではなく、労働市場を競争的にすることだ。
ゾンビ企業などに「保蔵」されている過剰雇用を情報・金融・福祉・医療といった労働需要の
大きいサービス業に移動すれば、成長率を高め、失業率を減らすことができる。そのためには
労働契約法で雇用を契約ベースにし、正社員の解雇条件を非正社員と同じにするなど、
「日本的ギルドの解体」が必要である。また「都市と地方の格差」を是正するよりも、逆に
都市への人口移動を促進する必要があり、農村へのバラマキをやめて地方中核都市の
インフラを整備すべきだ。
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