10/04/13 21:37:53 Nc/USaG80
もうひとつ、一〇月の北京大学での講演を機に中国を訪れた時の、屈折した
体験に言及しておきたい。中国の幾人かの外交官、国際問題の専門家と日米安
保に関する議論をしていて、率直な疑念として提起されたのが所謂「ビンのふ
た」論であった。つまり、日本が自立志向を高め、日本から米軍が撤退すれば
「日本軍国主義の復活を閉じ込めるビンのふた」がなくなり、近隣諸国は不安
になるという論理である。実は、日米安保が現状のまま固定していて欲しいと
願うのは、日米双方に存在する「日米安保で飯を食う人々」だけでなく、中国
こそ在日米軍の存在に期待しているという皮肉な構図に気付かされるのである。
日米安保の屈折した様相に苦笑せざるをえないが、日本人として心に期すべ
きは、日本の平和と安全は日本人自身の意思で確保すべきものであり、平和主
義に徹して近隣の脅威にならない自制も我々の責任だということである。
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◆寺島実郎 常識に還る意思と構想ー日米同盟の再構築に向けて
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