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・政府が30日夜の閣僚懇談会で、亀井郵政改革相らが推す郵政改革案を了承したことで、
民間金融機関が懸念していた「民業圧迫」は確実なものとなった。郵便貯金の預入限度額
引き上げに加え、2月発表の政府素案に盛り込まれた住宅ローンなどへの業容拡大にも
“お墨付き”が与えられたことになる。地方銀行や信用金庫など地方金融機関は郵便局と
競合関係を強いられるだけに、小泉政権以降の改革の後退は、回復の兆しが見え始めた
地方経済を再び突き落としかねない。
「もはや万策つきた。政府は、粛々と既定路線を進めるのだろう」
亀井案が認められたとの一報に、信金関係者はがっくりと肩を落として吐き捨てた。
仙谷国家戦略担当相らが限度額引き上げなどに反対したことに期待を抱いていたこともあり、
あっさり認めてしまった鳩山首相への失望は大きい。
1千万円の限度額は、退職金などの大口資金がゆうちょ銀行に集中せずに信金などにも
分配される「いわば安全弁」(関係者)だった。それが、「暗黙の政府保証」を受けた郵貯へ
一気に流入する懸念が高まる。
預金喪失以上に民間金融機関が恐れるのが、肥大化したゆうちょ銀行による業務範囲の拡大だ。
ゆうちょ銀行は約177兆円(昨年末時点)の貯金の約8割を国債で運用しているが、貯金が
倍増すれば新たな資金運用先が必要になる。政府は2月に示した改革素案で、住宅ローンへの
本格参入の姿勢を示しており、限度額とともに認められる方向だ。
不況で預金の企業向け貸し出しが低迷する中で、住宅ローン市場は地域金融機関の経営を
下支えしているだけに、地方銀行幹部は「郵貯に本気になられたら、体力のない金融機関は
ひとたまりもない」と頭を抱える。
民間金融機関の反発への配慮から、改革案には、来年4月までに限度額を再検討する方針も
盛り込まれた。「いったん引き上げを実施すれば、元に戻すのは難しい」(日本郵政幹部)との
見方が強く、復活が決まった巨大郵政が地域金融機関を圧迫する構図は覆りそうにない。(一部略)
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