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・鳩山政権がバラマキ政策から増税路線にかじを切り始めた。菅直人財務相が発表した今後の
経済財政運営に関する談話には、財務省指南の増税路線をうかがわせる文言がちりばめられた。
談話は「増税こそデフレ対策」という内容で、菅氏がこれまで掲げてきた「需要重視、成長重視」とは
やや趣が異なる。
財務相の談話は、(1)デフレ脱却に向けた取り組みを強化(2)所得税、法人税、消費税を積極的に議論
(3)中期財政フレームと整合性のある「財政健全化法案」の今国会提出を検討-などが主な内容。
そのなかで、デフレ脱却について次のように記した。
「デフレはお金の循環不全が原因。市場任せではお金の循環不全は解消できず、デフレの解消は困難。
そこで、税と財政出動でお金の潤沢で安定した循環をもたらし、仕事と雇用を生み出す方策を検討する。
これにより、国民に安心感を与えることがデフレ脱却の道と考えます」
耳障りの悪くない文言に思えるが、要は「デフレなので、増税します」というのである。
国民は財布のひもが固くて、お金を使わない。だからデフレになってしまう。それなら、増税で
国民からお金を合法的に徴収し、その金で財政出動する。使い先は雇用対策だから国民は
安心する-という理屈だ。
この理屈は、「国民は社会保障などに将来不安を抱えているため、お金は貯蓄に回る。消費税を
増税して社会保障に充てれば、将来不安は取り除かれ、経済社会は活性化する」とした麻生前政権と
本質は変わらない。
菅氏は供給サイド(企業側)ではなく需要サイド(消費者側)に重点を置き、成長重視を掲げて
きたため、一部では「新・上げ潮派」とも呼ばれていた。だが、最近の言動は、自民党の与謝野馨
元財務相に近く、「財政規律派」への宗旨変えとも受け取れる。
与謝野氏は「安心社会実現」を掲げ、消費税の増税と社会福祉目的化、財政再建を目指した。
消費税増税を含む税制抜本改革の道筋を示す「中期プログラム」も法定化した。(>>2-10につづく)
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