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(>>2のつづき)
3.マイノリティの生き方を決め付ける傲慢
ぼくはかつて、「在日コリアンに地方参政権の門戸を開くかどうかというのは《日本人の問題》だ」と
書いた(外国人の地方参政権 #1)。すなわち、日本で生まれ育ったにもかかわらず意思決定に
参加できない者がいるということを不正義だとみなすか、それとも、「ガイコクジン」だから仕方が
ないと排除するか、それを責任を持って決めるのは日本人の課題だということだ。
議論のうえで、やはり外国人には意思決定に参加させられないというのなら、(参政権が
認められないことではなく隣人として受け入れられなかったことが)たいへん残念ではあるが、
一つの結論として重く受け止めよう。
だが、「参政権を求めるのであれば国籍を変えていただきたい」などと、マジョリティの知識人が、
マイノリティの生き方に口を挟む暴力を、ぼくは許すことができない。
宮台氏はこうもいったらしい。「日本人のネットワークをそれなりに頼っている人間が増えたのに、
まだ4世、5世にも特権を与えるのが続いているのはおかしい」。
なるほど、「おかしい」だろう。「3世以降になっても外国籍のままであるのはそれ自体が
人権侵害である」との主張により国籍法を改正した国もあるほどだ。それを、外国籍のまま
放置した旧宗主国の責任を問わず、一方的に「在日特権」呼ばわりするとは、宮台氏の認識こそ
「おかしい」のではないか?
4.「国際標準」を語る愚かさ
確かに、国籍とエスニック・アイデンティティが独立しているケースは少なくない。出生地主義の
国籍法を持っている国では概してそういう傾向がある。だが、国籍が移民のエスニック・
アイデンティティに重要な役割を果たしているケースも少なくはない。「世界標準」などと
乱暴に一般化できるようなものではないのである。
5.簡単ならやってみるがいい
日本国籍を取得した在日コリアンの知人もいるが、「容易だ」などという人にはお目にかかったことがない。
そんなに「容易」だと思うなら、宮台氏自身がやってみればいい。一度、日本の国籍を離脱した上で、
再度、日本国籍を取得してみなさい。(以上、抜粋)
■金明秀 社会学者。関西学院大学社会学部准教授。