10/03/25 16:28:45 0
(>>1のつづき)
これに対して、生活保護の受給者が受け取る「生活扶助額」は65歳の単身者で月額6万2640円
~8万820円。単身世帯では多くの地域で生活扶助が満額の老齢基礎年金を上回る。
さらに、借家住まいなら、家賃にあてる「住宅扶助」も上乗せになる。医療や介護サービスを
使えば、その費用相当分も給付される。
単身者の生活保護費が老齢基礎年金より高くなる“逆転現象”について、厚労省は「両者は
役割が違う」と説明する。
「生活保護は生活できる最低水準を保障するもので、資産や親族の助けなど、あらゆるものを
活用しても不足する分を支給する。これに対して、老齢基礎年金は納めた保険料に応じて
給付しており、これだけで生活することを前提にしていない。資産や家屋、自動車、不動産なども
所有できるし、自営業なら事業収入がある人もいる」
老齢基礎年金は生活費の一部にすぎないが、生活保護は最低生活に見合う額が支給される。
だから、両者は比較の対象ではないというわけだ。
しかし、慶応大学経済学部の駒村康平教授(社会保障論)は、そもそも老齢基礎年金の水準が
中途半端なことが問題だと指摘する。「生活保護の水準は厳密には改善の余地はあるが、
おおむね妥当。問題は基礎年金だ。税金が半分投入されているものの、満額で6万6008円では
衣食住は賄えない。ただ、基礎年金の額が低い理由は、保険料が低すぎるから。単身世帯の
生活保護水準まで増やすには、保険料を倍にしなければ財政上つじつまが合わないが、
それは現実的ではない」と、基礎年金の水準引き上げの難しさを指摘する。
では、民主党の掲げる「最低保障年金」が実現されれば、生活保護と基礎年金の“逆転”は
解消されるのか-。民主党は今月、「新年金制度に関する検討会」の初会合を開き、年金制度
改正に乗り出した。新制度の柱は「月額7万円の最低保障」だ。
しかし、実現できたとしても、7万円は生活保護の水準よりも少ない。このため、生活保護制度に
ある住宅扶助や医療扶助は形を変えても残るだろうというのが大方の見方だ。
年金しか収入がない世帯にすれば生活保護との逆転は納得しがたいが、新制度でも
逆転現象の解消は難しそうだ。(以上、抜粋)