10/03/16 13:52:20 7gEjus3V0
【描写対象が非実在青少年であることによる危険の増幅】
以上のようなことはすでに各所で述べてきたところであるが、今回の条例改正案にある
非実在青少年に関わる視覚表現の規制が固有にはらむ問題について若干補足しておく。
実在青少年に比して、非実在青少年に関わる視覚表現は年齢判断の恣意性が極度に高まる。
設定上は成人なのに青少年にしか見えない登場人物もあれば、青少年という設定で
成人にしか見えない登場人物もある。これらの場合、設定がポイントであるのか、
青少年に見えるかどうかがポイントであるのかが、判然としない。これは重大な疑義につながり得る。
日本の漫画やアニメの文化が世界的に受容されてきた背景の一つは、欧米の漫画やアニメと違って、
設定が成人か青少年かに関係なく、キャラクターが「未成熟でカワイイ」ところにある。
かかる文化的特性ゆえに、非実在青少年に関わる規定は問題をはらみやすい。
設定が問題だというのであれは、極端な話、漫画の冒頭部分に「これは成人の登場人物による
コスプレごっこです」と断り書きすれば済むことになり、因より意味をなさない。
見え方が問題だというのであれば、成人の性を描いた作品の多くさえNGになってしまう。
法律や条例の立法を考える場合、わかりやすいケースではなく、こうしたわかりにくい
ケースがもたらす行政的裁量の恣意性を問題にせねならない。とりわけ今回の
非実在青少年に関わる規定においては、わかりにくいケースは例外的どころかむしろ通常的たりうる。
行政的裁量の恣意性を市民が常々監視しやすい条件を整えておくことが肝要である以上、
非実在青少年を登場させる表現についての表現規制は極めて危険なものだと言わねばならない。
かかる危険を賭してまで非実在青少年を問題視すべき合理的理由は存在しない。