10/03/14 13:22:41 y9XKeFIb0
何の気もなく教場へ入ると、黒板いっぱい位な大きな字で、【財団ひとり】と書いてある。
俺の顔を見てみんなわぁと笑った。俺は馬鹿々々しいから、【財団法人つくっちゃおかしいか」と聞いた。
すると生徒の一人が、「然しひとり占めは過ぎるぞな、もし」と言った。
著作権だろうが肖像権だろうが、俺の先祖で俺が儲けるのに文句があるもんかと、
さっさと講義を済まして控所に帰ってきた。
十分経って次の教場にでると【一つ自作自演也。但し笑う可からず】とウィキペディアに書いてある。
さっきは別に腹も立たなかったが今度は癪に障った。冗談も度を越せばいたづらだ。
焼餅の黒焦のようなもので、誰も誉め手はない。
田舎者は此呼吸が分からないから、どこ迄押していっても構わないという了見だろう。
一時間も歩くと見物する町もないような狭い都に住んで、外に何も芸がないから、
財団法人事件を日露戦争のように触れちらかすんだろう。憐れな奴らだ。
子供の時から、こんなゆとり教育されるから、いやにひねっこびた、
植木鉢の楓見た様なネラーができるんだ。
無邪気なら一所に笑ってもいいが、こりゃなんだ。子供の癖に乙に毒気を持ってる。
「こんないたづらが面白いか、卑怯な冗談だ。君らは卑怯という意味を知ってるか」と言ったら、
「自分がしたことを笑われて怒るのが卑怯ぢゃろうがな、もし」と答えた奴がある。やな奴だ。
わざわざ東京から、こんな奴を教えにきたのかと思ったら情けなくなった。