10/03/13 22:45:09 XwdQShr9O
僕の天皇に対するイメージは、西欧化への最後のトリデとしての悲劇意志であり、純粋日本の敗北の宿命への
洞察力と、そこから何ものかを汲みとろうとする意志の象徴です。
しかるに昭和の天皇制は、内面的にもどんどん西欧化に蝕まれて、ついに二・二六事件をさえ理解しなかったではないか。
そのもっとも醇乎たる悲劇意志への共感に達しなかったではないか。「何ものかを汲みとろう」なんて言うと
アイマイに思われるでしょうが、僕は維新ということを言っているのです。天皇が最終的に、維新を「承引き」
給うということを言っているのです。そのためには、天皇のもっとも重大なお仕事は祭祀であり、非西欧化の
最後のトリデとなりつづけることによって、西欧化の腐敗と堕落に対する最大の批評的拠点になり、革新の
原理になり給うことです。イギリスのまねなんかなさっては困るのです。
三島由紀夫
林房雄との対談「対話・日本人論」より