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注釈特別刑法(第八巻)』
第六章 罰則 二 大麻取締法の罰則の合憲性
(1)憲法一三条違反の主張の当否
一般的に、薬物の副作用、後に及ぼす効果の証明は困難である。人体実験と長期の観察を必要とする。
薬物を自由化してから後にその回復できない損傷が証明されたのでは遅すぎるのである。
したがって薬物の有害性が、一定の許容できる限度内にあるということが明確に証明されていない限り、その使用等を禁止したからといって、憲法違反の問題は生じてこない。
しかも大麻の場合、比較的小量の摂取でも、視覚認識、時間感覚、距離感覚の変化、思考、感情の障害、被暗示性の増強、音感の鋭敏化等精神機能に障害が起こり得ること、
そのため自動車の運転が危険になること、さらに感受性の強い人の場合には、大量摂取の場合と同様の幻覚等を主とする急性中毒類似の症状が起こること等が科学者の間の共通の認識となっているのである。
さらに大麻吸食の伝染による社会環境汚染の可能性が大きいことからすれば、
国民の保健・衛生の向上といった観点から、大麻の所持等の行為に罰則をもってのぞんだからといって、憲法一三条に違反するとはいえない。