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・「日本では汎アフリカ主義を表明すると批判されるのか」。フランス人のテレビ記者が
こう聞いてきた。最初は何の話かよく分からなかったが、国母和宏選手の服装問題だった。
日本では腰パンが盛んに批判されているが、人種問題に敏感なフランスでは、アフリカ風の
あの独特のヘアスタイルの方が目につくようだ。
この記者も、国母選手の写真から、批判されているのはラスタ・スタイルと呼ばれるこの髪型だと
勘違いしたらしい。ラスタは1930年代にジャマイカの労働者、農民階級を中心に発生した
宗教的思想運動ラスタファリからきている。
キリスト教の聖書を聖典とし、アフリカ回帰や汎アフリカ主義を標榜したこの運動は、レゲエ・
ミュージックを通して世界中に広まった。ファッションとしてのラスタ・スタイルの元祖は、
ジャマイカの伝説的レゲエ・ミュージシャン、ボブ・マーリーだ。房(ロック)が垂れているように
見えるのでドレッドロックスとも呼ばれている。
フランスなどでこのヘアスタイルをしているのは、元プロテニス選手でアフリカ系の
ヤニック・ノアやサッカーのロイック・レミー選手らのスターであり、大都市郊外に住む
貧困層のアフリカ系住民には少ない。スターのまねをしたくてもできないのは、おカネが
かかるヘアスタイルだからだ。
アフリカ系の女性が日本人のように直毛にしようとしたら、美容院などに行って時間と
カネをかける必要があるように、アフリカ系の人の毛髪は日本人とも白人とも異なる。
もし、フランスで肌の色も毛髪の質も異なる欧州系のフランス人がドレッドロックスにしたら、
単に「格好良さ」を意識しただけではなく、アフリカ系住民に対する「連帯の表明」といった
何らかの意思表示と受け取られるのが、ごく一般的だろう。(>>2-10につづく)
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