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そうして一般入試枠から絞り込んだ分を、今度は推薦やAOに振り分ける。評価と定員確保を狙った一石二鳥の策。
ある私大関係者は「一部の優秀な学生に依存する形で偏差値を保っている大学は少なくない」と打ち明ける。
日本私立学校振興・共済事業団(東京)によると、08年度決算で私立の約4割が赤字。経営環境が厳しい上、
定員割れすれば補助金の減額もありうる。とはいえ「見掛け上の偏差値」(日本私立大学連盟)が許されるわけではない。
■全入時代
定員を確保しつつ、学生の質も落とさない?。この難題を解こうと、推薦・AO入試の見直しを試みる大学も出てきた。
大分大医学部は定員の一部を学校推薦からAO入試に切り替えた。「高校側でふるいをかける学校推薦より、
大学として、複数回の面接などを通して本気度を見極められる」などの理由からだ。国公立で推薦志願者に
大学入試センター試験を課す学部も増えており、今回は全国で123学部(前年比5増)が実施する。
「入学後」に対策をとる大学もある。鹿児島大は高校時代に未履修だった科目を中心に、新入生を対象とした
補習授業を導入。私立でも福岡大が理系の推薦組を中心に、入学前に予備校などで受講しておくよう呼び掛けている。
それでも「さらに1年くらい補習をしないと追いつかない」(福岡県内の私大関係者)のが実情で、
各大学は推薦枠拡大の副作用に頭を悩ませる。
大学・短大入学者数を志願者数で割った収容率は昨春、92%に達した。「大学全入時代」が目前に迫り、
推薦枠拡大による学生獲得競争は今後、激しさを増しそうだ。九大の八尾坂修教授(教育行政学)は
「入学時に基礎学力を確保するのが望ましい。同時に、卒業時に求める学生像を明確にし、
入学後のサポート体制を強化する必要がある」と提言していた。 (おわり)