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1995年10月、兵藤長雄ポーランド大使は、8名の孤児を公邸に招待した。
皆80歳以上の高齢で、一人のご婦人は体の衰弱が激しく、お孫さんに付き添われてやっとのことで
公邸にたどりついた。
私は生きている間にもう一度日本に行くことが生涯の夢でした。そして日本の方々に
直接お礼を言いたかった。しかしもうそれは叶えられません。
しかし、大使から公邸にお招きいただいたと聞いたとき、這ってでも、伺いたいと思いました。
何故って、ここは小さな日本の領土だって聞きましたもの。
今日、日本の方に私の長年の感謝の気持ちをお伝えできれば、もう思い残すことはありません。
と、その老婦人は感涙に咽んだ。孤児たちは70年前以上の日本での出来事をよく覚えていて、
別の一人は、日本の絵はがきを貼ったアルバムと、見知らぬ日本人から送られた扇を、
今まで肌身離さずに持っていた、と大使に見せた。
同様に離日時に送られた布地の帽子、聖母マリア像の描かれたお守り札など、
それぞれが大切な宝物としているものを見せあった。
「このお札のお陰で長生きできた」というこの聖母マリアの像が描かれたトランプの大きさの
お守り札は、時を経てもうボロボロになっていたが、裏面に印刷されたお祈りの日本語が、
かすかに残っていた。