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「出会い系サイト」をうたいながら、入会しても雇われた「サクラ」としか連絡できない仕組みをつくった
サイト運営会社「LINX」(東京都新宿区)などによる詐欺事件。出会い系サイトのサクラの存在は以前から
指摘されており、ハイテク犯罪に詳しい専門家は「オンライン上は危険がいっぱい」と警告する。
昨年二月、警視庁はLINX社を家宅捜索した。約六百平方メートルのフロアにパソコン約二百台が並び、
若い男女四十~五十人が操作していた。サクラとして時給千円で雇われたアルバイトだった。
都消費生活総合センターによると、昨年四~十月、出会い系サイトに関する苦情が毎月百五十件前後寄せられた。
その多くが「成り済まし会員がいる」などサクラを疑う内容だったという。
「出会い系の女性の六~七割はサクラと考えるのが普通」と風俗評論家の下川耿史(こうし)さんは推測。
都内の元風俗店経営の男性(45)は「男女比の均衡をとるためもある。素人よりも言葉巧みなサクラにやりとり
させ、客をつなぎ留める狙いもあるはず」と説明する。
出会い系サイトは、主にネット掲示板に男女が自己紹介を書き込み、気に入った異性にメールを送って交流する。
メールを送受信するたびに課金される。
二〇〇〇年ごろから盛んになり、児童買春に悪用されるケースが相次ぐなど社会問題化。〇八年十二月施行の
改正出会い系サイト規制法では、業者の届け出義務などを定めた。都内の業者は約五百六十社が登録している。
警視庁によると、出会い系サイトのサクラ行為を詐欺容疑で摘発したのは全国初。捜査員は「サクラが1%でも
いれば、立件対象になる。だが現実は突き止めるのが困難」と明かす。
LINXなどは〇五年に稼働し、〇八年一月からは、サクラ以外とは連絡できない仕組みにしていた。
約十万円の被害に遭った都内の十代の男性は「女性が同じ会員制交流サイト(SNS)の会員を名乗るので信用
してしまった」と悔やむ。コンピューターセキュリティー会社社長の鵜飼裕司さんは「SNSの信頼性を突いた犯罪。
オンライン上は危険がいっぱいだと啓発が必要だ」と指摘する。
中日新聞 2010年2月6日 夕刊
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