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・「あの話聞いた?」「聞いていないよ。教えて」。特別親しい同僚だったわけではないが、
情報交換し合う仲になっていた-。会社などの喫煙スペースでは、喫煙者同士のよしみ
から意気投合し、独自のネットワークが広がることも珍しくない。
20代女性から、こんなメールが寄せられた。
《禁煙分煙の時代。どんどん吸う場所がなくなっていきましたが、それでもコミュニケーション
ツールとして、お酒のお供とともに、大好きでした。楽しみの存在です》
また、54歳の女性は《たばこの煙を深く、ゆっくり吸う。まるでゆったりとした深呼吸のようで、
精神的にとても落ち着く。たばこを吸うことで、どれほどのイライラを解消できたことでしょう》と、
たばこのありがたみを述べている。
喫煙者にとって、たばこは生活の潤滑油のようだが、国立保健医療科学院の吉見逸郎・
たばこ政策情報室長は「『たばこでストレス解消』は、混同している面がある」と話す。
吉見室長は「イライラが解消されると感じることはあるでしょうが、たばこにストレス解消物質が
入っているわけではない」とし、「ニコチン切れのイライラが、補充により、ほかのストレスも
解消したと感じてしまう」と説明する。
では、仕事が行き詰まったときや気分転換のための喫煙はどうなのだろうか。
「たばこで気分転換されるのではなく、気分転換のタイミングでたばこを吸うのが習慣に
なっているため」と指摘。
さらに「たばこをくわえ、火を付けて一息ふかす、という一連の行為は、深呼吸やため息にも
似ており、行動的にも心理的にもなじみやすい。文字通り『息抜き』の行動として混同
されやすいのでしょう」と分析する。
偶然だろうが、たばこの“利点”を寄せてくれた女性2人は、いずれも今はたばこを吸って
いないという。20代女性は元喫煙者として、こうも書いている。
《もうたばこは見たくもない。でも「この一服がうまい」と思いだすときもある。このまま禁煙
できればいいけれど、楽しみの存在でもあってほしいという矛盾した気持ちがあるのです》
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