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【北京・西岡省二】北朝鮮が通貨ウォンのデノミネーション(通貨呼称単位の変更)を実施して約2カ月。
当局はデノミ政策の失敗を認め、実務責任者の朴南基(パク・ナムギ)朝鮮労働党財政計画部長の解任に踏み切った。
地元の経済関係者らから国内の状況を聞き取ると、党幹部を処分せざるを得ないほど、
市民生活が大きく混乱している様子が浮かび上がる。
◆大半が閉店
当局は昨年11月末、市民の給料支給額を据え置いて、物価を100分の1に下げた。
これにより市民が市場に殺到、市場は品不足への懸念から閉鎖した。食料を購入できなくなった市民は闇市場に頼った。
このため物価は逆に上昇し、デノミで1キロ20ウォンに下がったコメの価格も1月末には平壌では400ウォンに跳ね上がった。
1月25日の時点で一部の外国人向けを除き、平壌の大半の商店は閉鎖された。
食堂の場合、料金を100分の1にする義務があるのに、食材は100分の1では買えず、営業できない状態だ。
◆闇両替で急落
デノミに伴い、新通貨の公式の為替レートが1ドル=約100ウォンに設定された。
だが、国の両替機関だと35ウォンに値切られることも。
その結果、市民は闇両替に向かい、通貨ウォンの価値が急落。先月20日の時点で実勢レートは600ウォンに達した。
外国に出張する知人に食料の持ち込みを依頼するケースも多く、北京発平壌行き定期便ではコメや野菜などが
詰まった荷物が大量に持ち込まれる。
◆見せしめ?銃殺
当局はデノミの約半年前、政府機関など数十カ所に物資輸入を割り当てていた。
物資がそろった状態で物価を下げればデノミは成功する見通しだったが、供給目標は大半が未達成だったという。
現時点では暴動は起きていない。当局は昨年末、違法な外貨取引に関与したとして市民数人を銃殺刑にした。
「不満を封じ込めるための見せしめ」とささやかれたという。
北朝鮮の経済関係者は「デノミ失敗で国の経済再建は2、3年遅れた」と指摘する。
毎日新聞 2010年2月4日 2時30分
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