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政府にすら期待してはならない。政府は、最後の場合には民衆に阿諛することしか考へないであらう。
世論はいつも民主社会における神だからである。われわれは民主社会における神である世論を否定し、
最終的には大衆社会の持つてゐるその非人間性を否定しようとするのである。
では、その少数者意識の行動の根拠は何であるか。それこそは、天皇である。
われわれは天皇といふことをいふときには、むしろ国民が天皇を根拠にすることが反時代的であるといふやうな
時代思潮を知りつつ、まさにその時代思潮の故に天皇を支持するのである。なぜなら、われわれの考へる天皇とは、
いかなる政治権力の象徴でもなく、それは一つの鏡のやうに、日本の文化の全体性と、連続性を映し出すものであり、
このやうな全体性と連続性を映し出す天皇制を、終局的には破壊するやうな勢力に対しては、われわれの
日本の文化伝統を賭けて闘はなければならないと信じてゐるからである。
三島由紀夫「反革命宣言」より