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一刀両断 -小林節-
児童ポルノ処罰法の欠陥
2005/03/22の紙面より
つい最近、日本最大の歓楽街、東京・新宿の歌舞伎町で児童ポルノのビデオ等の専門店が摘発され、
大量のDVDなどが押収された。関心を持って、児童ポルノ法を読んでみた。ここでいう児童とは
十八歳未満の青少年のことで、この法律は、青少年の擁護を目的として、青少年に対する性交等を処罰するものである。
人類の種の存続が成人男女の性交により保たれているという厳然たる事実は否定できないが、
同時に、未熟な青少年に対する性交等が青少年の健全な成長ひいては社会の存廃を害することも事実で、
そういう意味で、児童ポルノを処罰することは正当である。
ところが、わたしは、実際に児童ポルノ処罰法を読んでみて驚いた。
同法は、まず児童に対する買春と買春周旋(仲介)と買春勧誘を禁じるとともに、児童ポルノの提供と、
また、提供目的での製造・所持・運搬・保管を禁止している。さらに、児童ポルノの単なる製造と公然陳列も禁じられている。
しかし、不思議なことに、同法では、人が自分で鑑賞する目的で児童ポルノを所持することが処罰対象に入ってはいない。
つまり、この法律の下では、児童ポルノは上述のように「禁制品」のようで実は禁制品ではない。
成人を対象とするポルノ(で、わいせつの基準=限界に触れていないもの)を製造し、それを成人に流通させることは、
憲法上、表現の自由として保障されており、その限りで成人のポルノは禁制品ではないし、それはそれで良い。
しかし、児童ポルノは、その本質に照らして、そもそもこの世に存在してはならない、そういう意味において、
紛れもなく「禁制品」ではなかろうか。
例えば、たばこは、さまざまに有害ではあるが、使用方法を厳格に管理する限り、利用者にとってはそれなりの
(例えば精神安定などの)利益があり、その存在は社会に許容されている。しかし、麻薬は、
(医師により薬として使用される場合は別として)本質的に反社会的なもので禁制品とされている。
その点で、児童ポルノに関しては、自分で鑑賞する目的で私蔵することも禁止しなければ、
それを密造・密売するビジネスはなくならないはずである。青少年の保護は他のすべてに優先する公益の一つである。